12月21日
漏れは、あの夏と同じように。水郷村へと帰ってきた。
あのときと違うのは、季節が寒い冬であること。そして、漏れと虎彦が恋人になったということだ。
日にバスが3つしか来ないバス停から降りる漏れ。その時、近くの草むらが動いた。
「グァオオオオオオオ!!!!」
虎獣人の男が吼える。2度目だった。だからこそ、漏れは驚くことなく。
「虎彦!!」
そう言いながら、虎彦に抱き着いたのだ。
「こんなにも早く再会できるなんて思わなかったぜ。」
「だって虎彦に会いたかったから…」
外聞も恥もなく。虎彦に向かって告げる。
「そんなの俺のほうこそ同じだって。お帰り、博行。」
「ただいま。虎彦。」
再び漏れと虎彦が再会した瞬間だった。
前と同じように祖父と祖母の家に泊る漏れ。
そんな漏れに対し、
「よく来たな、博行。」
「こんなに早く会えてうれしいわぁ。」
2人は歓迎の声を上げてくれた。
「今日は雷門に行くのか?」
「ううん今日は家でご飯を食べるつもり。」
今回、確かに歓迎会の話はあった。しかし、今回は断った。さすがに、帰ってくるたびしてくれるのは、みんなへの負担が多いと思ったから。代わりに、今回は、クリスマスにみんなで集まってパーティをする予定だ。クリスマス。虎彦と2人だけで過ごしたいという思いはあった。でもそれ以上に、またみんな。漏れのために集まってくれる。嬉しい気持ちのほうが上だった。
夜、祖母の作ったご飯を食べ、寝支度をしようとすると、電話が鳴った。
「もしもし?」
「博行か?」
電話の相手は虎彦からだった。
「どうしたの虎彦?」
「いや用はないんだが…」
少し黙ってしまう虎彦。
「いや違う。確かに用はない。でも声を聞きたかった。」
「何それ。」
「あの日から3か月もたったんだ。声を聞きたいと思うのは当然だろ。」
嬉しかった。漏れと同じ気持ちでいてくれるのは。
それからは、数十分。漏れと虎彦はとりとめもない話をした。
お互いの現状。虎彦の仕事が忙しくなったことの愚痴。
でも、話している時間は。漏れにとって大切な時間だった。
電話が終わって眠りにつく時。
虎彦の声を聞けた。
幸せな気持ちのまま、眠りに落ちることができた。
[newpage]
12月22日
今日は、虎彦とともに風鳴高校へと、足を運んだ。
「せっかくだから、また校舎を案内してやるよ。」
そう言われ、虎彦が意気揚々と学校を案内してくれた。
以前と違うのは、来客カードを書いたことで、隠れることなく。様々な場所を案内してもらうことができた。体育館。家庭科室。図書館。漏れにある高校と同じ施設なはずなのに、どこか違って見えた。
「今プールはやっていないの?」
冗談交じりに虎彦に言うと。
「馬鹿、やってるわけねぇだろ。凍えて、せっかくのクリスマス。博行と過ごせなくなるぜ!」
そう言って、漏れの頭をコツンと叩いた。
そして、高校を探検した際、新たに発見したことは、漏れが思っていた以上に、虎彦が人気者だということだ。
「おはよう虎彦!!!!」
「虎彦、今日も元気そうだな!!!!」
「数学は大丈夫か?また赤点を取りそうだとぼやいていたじゃないか。」
虎彦に向けられる様々な声。悪ふざっけぽい言葉もあったが、そのどれもすべてが虎彦に対し好意的である言葉だった。
「おはよう!虎彦!!!」
何人かの男子と女子の集団が虎彦に向けて挨拶をした。
「おう!おはよう!」
それだけ返すと、虎彦は去ろうとした。
だが、その集団の一人が、漏れの存在に気づき、虎彦に質問した。
「ねぇ虎彦。虎彦の隣にいる男の子はだれなの?」
「えぇと話したことあったかな。俺の大親友の博行だぜ!」
「ふうん。そうなんだ。」
親友。みんなの前では、漏れと虎彦の関係をそう言うことしかできない。わかっていた。でも、チクンと胸が痛んだ。
虎彦の言葉に納得したのか。それじゃまた。とだけ告げ、その集団は去っていった。
「さあ、行こうぜ、博行。えぇと次は…」
そう言って漏れと虎彦は歩き出した。
その時だった。ゾクッ!刺さるような視線を感じた気がした。しかし周りを見ても、誰も漏れを見ていない。
「どうかしたのか。博行?」
「何でもないよ。虎彦。次はどこに行くの?」
そう言い、虎彦は漏れと歩き出した。誰も漏れを見ていないはずだった。
しかし、本当は、あの集団は漏れを見ていた。ぞっとするような冷たい目で。
高校見学を終えた漏れと虎彦。
帰るとき、
「じゃあ、またな。博行。」
「またね。虎彦。」
また、という言葉が嬉しかった。一緒にいられることの証だったから。
同じように、祖母の夕食を食べ眠りにつくとき、幸せを感じていた。
しかし、高校見学に感じた二つの痛みは、棘のように、漏れに刺さっていたのだ。
[newpage]
12月23日
今日は虎彦と一緒ではない。
代わりに深君の家にお邪魔していた。
「この飾りつけはここでいいかな。」
「いいんじゃないかな。綺麗に見えるし。」
明日、クリスマスパーティを深君の家で行う。その準備のために深君の家にお邪魔していたのだ。
「それにしても、次の日はパーティだっていうのに、孝之助も虎彦も赤点を取って補習だなんて…」
「はは…」
漏れは笑うことしかできなかった。
今日の朝。漏れあてに一つの電話がかかってきた。相手は虎彦ではない。孝之助だった。
「博行、久しぶり。元気だった?」
「うん元気だよ。」
電話の相手は虎彦ではない。孝之助だった。でも嬉しかった。孝之助も大事な友達だったから。
「早速で悪いんだけどごめん。赤点とっちゃったから。今日の準備には行けないや。」
「ええっ!?」
孝之助らしいマイペースな答えだった。続けて、
「後、虎彦も赤点だから一緒に来れないよ。僕たち2人の分まで頑張ってね。」
それだけ告げると、孝之助は電話を切ってしまった。
唖然とした。でも孝之助らしいや。そう思っているとまた電話が鳴った。
「もしもし、博行か?」
「虎彦?」
そう答えると、
「言いにくいんだが、実は今日…」
そう言いよどむ虎彦に対し、
「赤点で補習になったため来れないんでしょ。」
漏れが告げた。
「なんでそれを…」
「今朝、孝之助から電話が来たよ。」
孝之助め…つぶやく虎彦。
「確かに、今日手伝いには行けねぇ。すまねぇ。でも、ケーキは上等なものを用意してやるからな。」
「分かってるよ。虎彦も補習頑張ってね。」
それだけ告げると、漏れは電話を切った。
仕方なく、深君と2人で飾り付けをしていると。
「まあ、どうせ、孝之助は適当な理由をつけてさぼるのが目に見えてたからいいんだけど。虎彦には、来れなかった分。上等なケーキを作ってくれることを期待しているよ。」
あはは…と笑っていると、ちょっとした疑問が浮かんだため、深君に質問をした。
「でも、ケーキなら、深君が作ってくれるものだと思っていた。深君のほうがお菓子に関しては向いていそうなのに…」そういうと、深君はクスリと笑って
「僕も最初はそう提案したんだけど、虎彦が聞かなくてさ。俺がケーキを作るって。」
そうなんだ…と漏れがつぶやくと。
「まぁ、恋人である博行のためにいいところを見せたいからなんだろうね。」
一瞬の沈黙。そして、
「ええええええええ!?な、何で知って!?」
「分かるに決まっているじゃないか。夏、あんなにべったりだったんだ。それに、博行の話になるとにやけるようになった。何もないなんて考えるほうが不思議だよ。」
「深君…あの…」
漏れたちの関係をどう思ったのだろう。
「まあ、君たちは2人で1つのようなものだったしね。ある意味当然の帰結だと思うよ。だから、僕の前では隠さなくてもいいよ。」
深君は、言った。でもそれは、漏れたちの関係を決して非難しているようなものではなかった。だからこそ、漏れは深君に対し。
「そうだよ。実は漏れと虎彦は付き合っているんだ。」
隠すことなく答えた。
それからは、天木さんが入れてくれた紅茶で休憩をしながら、作業を続けた。
家に帰る時。
「君は明日寝坊しないでね。孝之助が2人いたら大変だ。」
深君は漏れに向かって軽い冗談を放った。
それに対し、
「寝坊なんかしないよ。深君。また明日!」
そう元気に答えた。
[newpage]
12月24日
今日は深君の家でクリスマスパーティ。
久々に、漏れを含めたあの夏の10人が集まった。
「博行!久しぶり!会いたかったよ!」
漏れと深君が朝早くに、食事とかの準備をしていた時、孝之助が一番に現れて言った。
「ええええええ!?孝之助?」
まさか、孝之助が一番に来るとは考えていなかった。最悪、終わる寸前に、来る可能性もあったから。
「そんなに驚くことないじゃないか。僕だって昨日はちょっと悪いと思っていたんだよ。
あっ、唐揚げだ。味見しちゃおっと。」
孝之助が、唐揚げに手を伸ばす。もしかしたら、今日早くに来たのは、つまみ食いをするためではないかと邪推してしまった。
続いて、
「オッス!博行!」
「博行、久しぶりだな。」
「博行さん!ひさしぶりですぅ!」
辰兄と洸哉と峻君が現れた。
「久しぶり、みんな、元気だった?」
「おう!俺は元気だぜ。」
「まあ、俺はぼちぼちかな。」
「元気ですよ。博行さん!」
そう答えてくれた。
続いて現れたのは三日月先輩と京慈先輩と宗太郎君だった。
「遅くなったか?」
三日月先輩は聞いたが、そんなことはないよ。と返事をした。
「博行、久しぶりだな。」
「博行先輩久しぶりっす。」
京慈と宗太郎君が続けて言う。この2人は、深君以外で、漏れと虎彦との関係を知っている人だった。
「相変わらず、夫婦みたいでラブラブだね!」
茶化すように、そういうと。
「おいおい、博行…」
「夫婦っすか!?」
夏の時の同じような返事をした。
そして最後に、大きなケーキとともに虎彦が現れた。
「すまん、遅くなった、ケーキの仕上げに時間がかかってよ。」
そう言ってケーキを置くと、当然かのように虎彦は漏れの隣に座った。
「それじゃ、全員揃ったな。それじゃ、再会を祝して乾杯!」
「乾杯!!!」
声がそろった。
パーティの中、中心となったのはやはり漏れだった。
都会での生活はどうか。今度俺のバンドを東京でやるんだぜ。おい、おい、博行、こっちに来て一緒に飲もうぜぇ!たくさんの質問をされ、現在の近況を応えあった。
どれも、漏れに対し好意的な話題になった。
三日月先輩がなんとから揚げにレモンではなく、マイ蜂蜜をかけようとしていたり、
辰兄が峻君を持ち上げてグルングルンしたり、洸哉の歌に虎彦が茶化していたりとにぎやかだった。そして、ケーキを食べるとき、切り分けたのは、虎彦だった。
綺麗に10等分されたケーキ。しかし、板チョコレートだけは漏れのものに乗せられていた。
「えぇ!?博行だけ特別じゃないか?」
その言葉を
「まぁまぁ、主役は博行といっても過言ではないのだから、いいじゃないか。」
深君がその声をたしなめた。
虎彦が作ってくれたケーキはおいしかった。虎彦が、
「どうだ!?」と質問してきたので、
とてもおいしいよ。そう答えた。虎彦は目を輝かせた。
楽しい時間も終わりを告げる。みんなでまたねと言い合って解散した。
虎彦と2人で帰っていると漏れの家の前で虎彦は漏れに向かって告げた。
「明日の夜。2人きりで会いたい!」
そう告げた。
それに対し、漏れは、
「喜んで!」
そう笑顔で答えた。
明日は素晴らしい日になる。漏れはそう思い、願いながら眠りについた。
しかし、その願いはかなわなかった。あの時植え付けられた棘によって、引き裂かれたのだった。
[newpage]
12月25日
「わりい、朝と昼は予定があるんだ。夜に合おうぜ。」
そう連絡を受けた。寂しかったが、或る意味都合がよかった。虎彦へのプレゼントを買う時間ができたから。午前中、風鳴町に行き、虎彦へのプレゼントを考えていると。
ある店の一つのドッグタグが目に留まった。虎彦に似合いそうなドッグタグだった。それに、値段も今の漏れの手に届く金額だった。漏れは、これは、神様がくれた奇跡だと思い、購入を決めた。ドッグタグを買い、昼飯を風鳴ですませ、帰ろうと歩を進めた時、一つの集団とすれ違った。その集団は漏れの姿を見るなり声をかけた。
「もしかして、博行さんですか。」
そう声をかけられた。知り合いなんかいただろうか。
「以前高校であなたの姿を見ました。虎彦の親友なんですよね。」
そう言われて気が付いた。虎彦に話しかけていた集団だと。
「漏れに、何の用ですか。」
そう尋ねると、
「虎彦のことで話があります。」
そう告げられた。
集団に連れられ、人気の少ないところへ案内されると。集団の人たちは口を開いた。
「あんたは、虎彦のなんなの。」
くだけて、見下す口調に変わった。
その口調に漏れはムッとしながらも
「親友だけど。」
そう答えた。漏れが言った後、集団は口々に言った。
「なんであんたみたいのが虎彦の隣にいるの。」
「虎彦が俺たちに対して、扱いが冷たくなった。お前のせいだろ。」
「後輩想いの虎彦だったのに、冷たくなったのはあんたのせいだ。虎彦はあこがれだったのに。」
「虎彦がかわいそう。親友だと言って付きまとわれているなんて。」
漏れは言い返そうとした。だが、その集団の中で一番きれいだと思われる女の子が口を開いた。
「私はクラスのマドンナよ!あんたみたいなのがいるから。私は告白したのに振られたの!とてもいい仲だったのに!」
その言葉に、漏れは言い返せなかった。それは、恋する女の子の本気の思いだとわかったから。そして、その女の子と、虎彦が並んで立っている姿はお似合いだと思ってしまったから。男の漏れと違って。
「あんたがいるから、虎彦はおかしくなった。」
暴言が激しさを増す。不意に一人がつぶやいた。
「そうだ。お前にいいものを見せてやるよ。」
そういって、漏れとその集団は一つの店へと足を運んだ。
そこは何の変哲もないただの服屋だった。でも、虎彦が中にいるのを見た。
「虎…」
思わず声をかけようとした。だが、かけれなかった。一人の美人な女性が虎彦に声をかけていた。虎彦も、その女性に対し、楽しそうに話していた。漏れに見せるような笑顔だった。虎彦が、その女性とともに奥へと消え去る。
「見ろよ。お似合いだろ、美男美女の恋人だぜ。ありゃ。」
「あの店に足しげく通っているんだぜ。虎彦はきっとあの店員が目当てだぜ。」
「あの人だったら、私も我慢できるのに。」
そう次々に告げられた。確かに、あの2人ははたから見れば、とてもお似合いのカップルに見えた。
「お前に虎彦はふさわしくない。消えろ。」
最後に集団はそう言い、漏れの前を去った。
残された漏れに残された感情は絶望だった。
違うと思いたい。でも、虎彦の気持ちが変わってしまっていたら。
もしそうなら、漏れは生きていけないだろう。
虎彦に聞く勇気を漏れは持てなかった。
夜。虎彦から電話がかかる。
「今から会いに言ってもいいか。」
その電話に対し、漏れは、
「ごめん。風邪を引いたから今日は会えない…」
それだけを応え、電話を強制的に切った。
[newpage]
12月26日
虎彦から大丈夫か。お見舞いに行こうかとの電話があった。
しかし、虎彦に向かって、
「ごめん。風邪がひどいからしばらく会えない。」
そう答えた。
本当は風邪などひいていなかった。祖父と祖母の前では、元気な姿を見せた。
「博行ちゃん。じゃあ、今日と明日留守にするけどよろしくね。」
「済まないな。家を空けて。」
そう、祖父と祖母は告げたが、
「大丈夫だよ。漏れのことは気にせず、行ってらっしゃい。」
あえて明るく答えた。
祖父と祖母が出て言った後、漏れの中に感じたのは、水郷村に来たことの後悔だった。
ここに来なければ、虎彦と恋人でいられる幻想に浸っていられたのに。
祖父と祖母が帰ってきたら、やっぱり都会に帰るように告げよう。そう思った。
そして、1時間後、不意に扉が開いた。
「あれ、なんか忘れ物?」
明るくそう答え、玄関の前に出た。
そこにいたのは。
「よう、元気そうだな。博行。」
虎彦だった。
虎彦の姿を見ると、漏れに動揺が走るのを感じた。
そんな漏れに対し、虎彦は、
「さっき近くで博行の祖父と祖母に出会った。博行の風邪は大丈夫かと聞いても、博行は風邪などひいていないとのことだったよ。」
そう短く告げ、虎彦は無理やり漏れの手を引っ張って、漏れの部屋へと足を運んだ。
「どういうことか説明してもらおうか。」
漏れは何も言えなかった。虎彦から目をそらそうとした。しかし、手が両ほほに当てられ、
強制的に虎彦のほうに向けられる。ぽつりと漏れはつぶやくしかなかった。
「だって…虎彦は…」
「なんだって?」
「だって虎彦はあんなにも周りから人気で、周りから慕われていて、お似合いだと思われる女の人がいて…」
言葉にならなかった。でも、虎彦は、漏れの言葉をやめさせなかった。
「服屋で見た虎彦とあの女の人は素敵な恋人に見えた。あんなに楽しそうに話している虎彦なんか見たくなかった!男の漏れと違って、隣に並んでも問題ないんだ!」
激情に任せ、声を出してしまった。
そういうことか。虎彦がつぶやくと漏れのほうに向きなおり無理やり唇を重ねた。
その感触は夏以来だった。何も言えなくなった漏れを残し、虎彦は言った。
「今から理由を話してやる。ぜってぇ逃げるんじゃないぞ!」
そう言い残し、出て言った。
一時間後虎彦は戻ってきた。
サンタ服を持って。
「何…これ…」
「見ての通りだ。サンタ服だ。」
「だから、これが何…」
漏れがそう呟くと、
「これは博行が見た店で買ったんだ。博行の前で着てみせるために。」
「え…じゃあ…なんであんな楽しそうに…」
「そりゃ、楽しい気分になるだろうよ!恋人である博行のことを考えながら作ってもらった服なんだからよ!」
「恋人…」
「当り前だろ、俺たちは恋人だ!!!」
「漏れなんかが恋人でいいの?」
「なんかじゃない!!俺は博行がいいんだ!!!俺にはお前が必要なんだ!!!」
そう言って、漏れは涙を流す。
「俺は博行を絶対に逃がさない!だから、博行も俺から逃げるな!」
「虎彦!」
そう言いながら2人、唇を重ねた。
R-18
虎彦への誤解が解けた漏れ。その漏れに対し、虎彦は言った。
「今から俺はお前のサンタだ。」
そういって、虎彦はサンタ服を着た。
「サンタにもいいサンタとブラックサンタの2種類がいるそうだな。本当なら、博行が俺を疑ったからお仕置きを込めて、ブラックサンタとして接するだろう。だが、特別だ。許してやる。今回はいいサンタさんでいてやるよ。」
そういって、虎彦は漏れに向きなおる。
「虎彦…」
「違う。サンタさんだろ?」
そう告げられ、
「サンタさん…」
そう呟くとサンタさんは漏れに向かって言った。
「そうだ。サンタさんだ。だからお前の望みをかなえてやる。」
「抱きしめて…」
そう答えると、サンタさんは俺の望みをかなえてくれた。でも、抱きしめるだけだった。
少し、困惑していると。
「俺はお前のサンタさんなんだ。サンタさんは願いをかなえる存在。博行が言葉に出してやらないと願いをかなえないぜ。」
そう答えた。したいことすべてを漏れに言わせる気なのだろう。
そのことが冗談ではないとわかった。だから。
「サンタさん。キスしてください。」
「もちろんだ。その願いをかなえてやるよ。」
そう言って、漏れだけのサンタさんはキスをしてくれた。
触れるだけのキス。すぐに離れた。物足りなさを感じた。
「もっとしてください…」
漏れの願いをかなえるよう。キスの回数を増やしていった。
「激しくしたい…」
そう言って、漏れが舌を入れると、サンタさんも舌を絡めてくれ、激しいディープキスをした。数分のディープキスを終え、漏れとサンタさんとの唇が離れる。つぅっ…と口の間で銀糸がつながり、そして切れた。もっと気持ちよくなりたい。もっとサンタさんのものになりたい。その想いから、漏れは自ら服を脱ぎ、生まれたままの姿になった。漏れはサンタさんのものだという証を刻み込んでほしい。その想いから、
「漏れの体を噛んで、キスをして、サンタさんの痕をつけてください。」
そう願った。瞬間、サンタさんの牙が首筋に触れ、噛み痕を残した。そしてサンタさんは、腋、腹、へそへと噛み痕を増やしてくれる。この体がサンタさんのものになってくれる。
そのことに高揚し、漏れは次なるお願いを口にした。
「漏れの乳首をいじめてくださいサンタさん。」
そうお願いすると、サンタさんは漏れの乳首に顔を寄せた。
ペロッ!サンタさんが舐めてくれると、漏れの体がビクンと反応した。優しく、舐め、触られる。体をいたわるような優しい行為。嬉しかった。だが、漏れはさらなる快楽を求めてしまった。
「優しくじらさないで、もっといじめてください。サンタさん!」
そういうと、手つきが激しいものに変わった。その刺激にたまらず漏れは喘ぎ声をあげた。
「あっ!あっ!あっ!あっ!」
絶頂へと導かれていく漏れ。漏れのペニスが大きくなり、汁が垂れていく。ペニスを触ってほしい。だが、変態の漏れを見てほしい。
その想いから、
「お願いします。サンタさん。乳首だけでイカせてください!変態の漏れをもっと見てください!!!」
そういうと、了承したのか、手つきをより強いものとした。
強くつまみ、こすり、舐め、噛まれる。
その刺激にたまらず、
「ああああああああああああっ!!!!!」
漏れは精液を噴出した。
乳首の刺激だけで絶頂した漏れ。雌としての自覚を持った漏れ。そんな漏れを血走った目で見るサンタさん。でも、もっと漏れを気持ちよくしてほしい。
「漏れのペニスをいじって、舐めてください!」
そうお願いした。
願いを聞き入れてくれたサンタさんは、ペニスへと手を伸ばした。激しく手を上下させ、絶頂へと導く。再び漏れのペニスが大きくなっていく。その様子を見ながら、サンタさんは、漏れのペニスを口に含み、激しく舐めまわした。
「あああああっ!!!あああああああっ!!!!」
ほとんど舐められる経験がなかった漏れ、その刺激に耐えきれず、喘ぎ声がもれた。
そして、再びイキそうになる漏れ。相手はサンタさんだ。穢れのない、綺麗な存在。漏れもこのシチュエーションに酔っていたのだろうか。この穢れのない存在を漏れの精液で穢したい。そう思った漏れは。
「サンタさん。サンタさんの口でイカせてください!漏れの精液を飲んでください!!!!」
そう告げるとは、口の動きが激しくなる。そして、
「サンタさあああああああああ!!!!」
サンタさんの口の中で漏れは再び絶頂した。
はぁはぁと息をする漏れ。そんな漏れをただ血走った目でサンタさんは見た。
サンタさんも興奮してくれたのだろう。サンタさんのペニスを見ると興奮のためか勃起していた。サンタさんも気持ちよくなってほしい。その想いから、
「奉仕をさせてください。サンタさん。」
そう言いた。本当は意味が分かっていたのであろう。サンタさん。しかし、
「どういう意味だ?きちんと願いを言ってくれないとわからないぞ?」
いじわるそうにサンタさんは言った。
「サンタさんのペニスを触らせてください。サンタさんのペニスを舐めさせてください。」
そういうと、サンタさんは、ズボンを下ろし、漏れの顔の前にペニスを近づけた。
相変わらず、大きく、太い。だが漏れには、その大きさが、夏のころよりもさらに成長していると思った。サンタさんのペニスを触り舐める漏れ。汁が垂れる。
「おいしい…」
そう呟いていた。
舐め続けていると、汁の量が多くなる。その中に白いものも混じるようになった。
絶頂が近いのだろう。だが、必死に耐えているようだった。
「サンタさん。漏れの口でイッて下さい!!!サンタさんの精液を漏れに飲ませてください!!」
漏れから許しの言葉を得たからなのだろう。サンタさんが我慢することはなくなった。
本能的に快楽を求めていたのだろう。漏れがお願いしていないにも関わらず、サンタさんは若干腰を振っていた。そして、
「いくぞおおおおおおお!!!!!うぉおおおおおおおおおお!!!」
そううなりながら、サンタさんは漏れの口の中で達した。
量が多かったのだろう。漏れの口からもれる精液。もったいない。その想いから、垂れた精液を指につけ、舐めた。サンタさんにとっては、まだ足りないのだろう。サンタさんのペニスは、勃起したままだった。もっとサンタさんに気持ちよくなってほしい。漏れももっと気持ちよくなりたい。サンタさんと一つになりたい。その想いから、恥も捨て、尻孔をサンタさんの方にむけ、言った。
「サンタさん。漏れの尻穴をいじめてください!!舐めて、指を入れて、ペニスを入れ、獣のように激しく腰を振ってください!!漏れと一つになってください!!!」
願いが聞き届けられたのか。それとも、サンタさんも願ってくれていたのか。サンタさんは、顔を近づけ、尻穴へ舌を入れ、舐めまわした。気持ちいいようなくすぐったいような快感。
その感覚を数分味わった後、サンタさんの指が漏れの尻穴に突き入れられる。久しぶりで異物感があったが、上下させられているうち、確かな快感を得た。
「あっ!あっ!あっ!あっ!」
だんだんと喘ぎ声が上がる漏れ。快感を感じていることを悟ったサンタさんは指を2本、3本と増やしていった。尻穴に指を入れられて数分。そして、
「入れるぞ!!」
そう言ってサンタさんのペニスが漏れの中へと入れられた。
本当は無理やりに突っ込みたかったのだろう。だが、サンタさんは漏れをいたわるようゆっくりとペニスを入れた。そして、
「全部入ったぞ!」
そう言った後、ゆっくりと腰を振り始めた。
ゆっくりと、小さく、やさしく上下される腰。気持ちよかった。その動きは数分続いていた。
漏れは、その小さな動きでも達しそうになっていた。だが、漏れには分かった。
サンタさんは、こんな時でも漏れの快楽を優先しているのだと。本当は激しく腰を振りたいのだろう。だからこそサンタさんに、
「サンタさん!もう我慢しなくていいよ!!」
そう告げた。漏れからの願いと許しの言葉を聞き入れたサンタさんは腰の動きを激しくした。ずちゅずちゅずちゅずちゅ!!!!
そして
「イキそう…」
サンタさんはつぶやいた。その声を聞き、
「サンタさん!!!漏れの中でイッて下さい!!!漏れの中をサンタさんで満たしてください!!!」
そう告げた。お互いにもう言葉は出なかった。そして、
「いくぞおおおおおおお!!!!!うぉおおおおおおお!!!!!」
漏れの中で、サンタさんが達した。その感触から、
「ああああああああっ!!!!」
漏れも達した。大きすぎる快楽のためか、意識がなくなっていく漏れ。
「漏れを捨てないで…」
気絶する前に最後につぶやいた。
「当り前だろ、絶対に逃がさない。」
サンタさんという優しい面を破った獰猛な虎は、そう告げた。
数時間後、目が覚めた。もう日が落ちようとしている時間だった。
その間ずっと、虎彦は側にいてくれたのだろう。虎彦はずっと腕枕をしてくれながら、
漏れを見つめ続けてくれていた。
「虎彦、漏れ…」
そう呟くと。
「訳なら明日聞いてやる。今は俺が側にいてやる。だから、今は俺だけを感じながら寝ろ。」
そう虎彦が言ってくれた。
嬉しかった。虎彦が側にいてくれる。
その幸せな思いを感じながら、漏れは再び眠りに落ちた。
[newpage]
12月27日
漏れは自分の部屋で目が覚めた。
虎彦はいなかった。昨日のことは夢だったのだろうか。そう思っていると虎彦が現れ。
「博行。おはよう!!!朝食ができてるぞ!!!」
そういって、居間へと案内してくれた。
「勝手に台所を使って悪かったな。」
そういいながら、朝食を漏れの前へと差し出す虎彦。
炊き立てのご飯。いい匂いのする味噌汁。ふっくらとした卵焼き。彩がきれいなあえ物。
どれもおいしかった。それに、虎彦と一緒だから、なおさらおいしく感じた。
朝食を2人で食べ終わると。虎彦は口を開いた。
「昨日の理由を聞いてもいいか。」
そう告げられ、漏れは口を開いた。
高校見学の間に会った集団に漏れは悪口を言われたこと。目障りだと言われたこと。あの店員と虎彦が楽しそうにしているのを見せるよう仕組まれたことを。そのすべてを聞いた虎彦は
「あいつら…」
今まで聞いたことがない低いうなり声でそう呟いた。
「なあ、博行、俺は今からすることができたから帰らなければならねぇ。すまねぇな。」
その言葉に少し寂しそうにする漏れ、それを察してか。
「大丈夫だ。俺はずっとそばにいるから。」
明るくそう言って虎彦は漏れにキスをしてくれた。
その言葉から、そのキスから、漏れはもう虎彦のことを疑う気持ちはなくなった。
[newpage]
12月28日
「俺についてきてほしい。」
そう虎彦につげられ、一緒に言った風鳴町。
虎彦と一緒だった。楽しかった。だが、その気持ちはすぐにしぼんでしまった。
「待たせたな。」
虎彦はそう言って一つの集団へと足を運んだ。漏れに悪意を向けていた集団だった。
「虎彦!会えてうれしいぜ!」
「虎彦から呼び出しなんて珍しいね!」
そう、喜びの声をあげながら集団は虎彦へと声をかけた。だが、その集団が漏れの姿を見つけるや否や、目が泳いでいるのを見逃さなかった。
「博行さんだっけ…ええとこんにちは…」
少し戸惑ったようにあいさつされる漏れ。何も言えないでいると。
「俺はお前たちと会えてこれっぽっちも嬉しいだなんて思っていない。むしろ憎い。」
虎彦が集団に向けて告げた。今まで明るい虎彦のことしか知らなかったのだろう。そう、強くうなりながら集団に向かって虎彦は告げた。
「虎彦!冗談はやめろよ!」
明るく虎彦に話しかける集団のうちの一人。だが、
「聞こえなかったのか。お前たちのことは憎いといったんだよ!」
吐き捨てるようにそう虎彦は言った。戸惑っている集団に対し、
「お前たちが博行に対してやったことは全部知ってる。博行を傷つけたことも、悪意を持って博行と接したことも全部な!」
虎彦は告げる。
「だって、そいつは虎彦の親友だと言って、虎彦を縛り付けているじゃないか!」
「そいつがいるから、虎彦は私の告白を受け入れなかったんでしょ!?」
言い訳するように、集団が虎彦に向けて口を開く。
「うるせぇ!黙れ!」
その一言で、周りを黙らせる。怒りをあらわにした本気の虎の表情。だが、その表情が悪どいものへと変わった。
「だがお前たちは俺を純粋に慕ってくれていた。そのお礼だ。いいものを見せてやるよ。」
そう言って、虎彦が漏れの方を向き、白昼往来にかかわらず。漏れにキスをした。
「何…やってるの…」
誰かがつぶやく。
「何って、見てわからねぇのか?キスだよ。俺は博行にキスをしているんだ。」
そう言って虎彦は再び、漏れとキスをした。今度は、より深いものへと。
「やめて!!!」
そう叫び声が上がった。だが、その声を無視し、キスを続けた。
キスを終えた後。虎彦は集団に向かって、告げた。
「あの時俺は博行のことを大親友だといったよな。それは嘘だ。本当は博行は俺の恋人なんだよ!」
その言葉を聞いた途端、虎彦に告白をしたといった女の子が崩れ落ちた。
「俺の大切な恋人を傷つけたお前たちを許すことなど永遠にない。たとえそれが、クラスのマドンナであろうが、俺と同じ水泳部の後輩であったとしてもだ。」
もうその集団からは何も声が上がらなかった。
「わかったら、もう二度と俺と博行に話しかけるな。」
死刑宣告にも近しい言葉を言った後、虎彦と漏れはその集団から立ち去った。
2人きりとなった後、虎彦に対し漏れは、不安そうに声をかけた。
「虎彦、よかったの?これからの学校生活、大変なものになるんじゃ…」
虎彦の評判が悪くなってしまうのではないか。そう考えた。しかし、
「あんな奴らの戯言なんか関係ない。たとえ、部内で悪いうわさが広まったとしても、俺の実力で黙らせてやる。」
力強く告げる虎彦。
「それに、どうでもいい奴らと大切な恋人。優先するのは大切な恋人なのは当然だろ!」
恋人…力強く漏れに宣言した虎彦。その言葉に、真剣な表情に何一つ偽りなどなかった。
そして、今日、虎彦と別れるとき、漏れの中に芽生えたのは、勇気だった。今までは、虎彦に支えられるだけだった漏れ。これからは、対等な恋人として漏れも虎彦を支えたい!そう思った。
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12月29日
俺と一緒にデートしてくれないか。
昨日と同じように、漏れを誘ってくれた虎彦。違う点は、デートと力強く言ったことだ。
昨日と同じように風鳴町にやってきた漏れと虎彦。午前中は、いろいろなところを見て回った。ゲームセンター、アクセサリー屋。そして、あの服屋へも足を運んだ。
店員さんが虎彦の顔を見るなり、笑顔で告げた。
「虎彦さん。あの服はどうでしたか?」
「好評だったよ。またこの店で服を買いたいぜ。」
そう笑顔で店員に告げると、
「友達も一緒なのね。ここには、いろんなサイズの服があるから、よろしければ見て行ってね。」
店員さんは、虎彦へと向けていたものと同じ笑顔で、漏れにそう告げて言った。昼食、どこでとろうかとぶらついていると、一つの定食屋が目についた。そこに決めた漏れは、虎彦の手を引いて、その店に入った。漏れと虎彦は肉じゃが定食に決めた。肉じゃがを食べ、虎彦に向かって、
「この肉じゃがおいしいね!」
そう告げると虎彦は、
「俺の方がもっと美味く作れるさ。」
ちょっとした嫉妬心をむき出しにして、漏れに答えた。
午後、どこに行こうかとぶらついていると、偶然、京慈先輩と宗太郎君が2人で歩いているのを見た。向こうも気づいたのか声をかけてきた。
「よう2人とも、デートの最中か?」
茶化すように告げる京慈先輩。
「そうだよ。京慈先輩たちも?」
若干口ごもる京慈先輩。でも宗太郎君の表情が、デートの最中なのだと物語っていた。本当なら、お互い2人だけで楽しむのが良いかもしれない。でも、虎彦と2人で入れる機会はいくらでもある。だから、
「よかったら、これからWデートしない?」
そう2人に向けて告げた。虎彦は一瞬不満そうな顔を見せたが、すぐに笑顔に変わり、
「俺はいいぜ。」
と答えてくれた。虎彦もOKしたからだろう。京慈先輩と宗太郎君もOKしてくれた。
4人喫茶店に入り、4人でパフェをつつきながら、お互いの近況を話した。
もしこれが、男2人ずつのグループだったら、若干白い目で見られていたのだろう。
しかし、今は4人。周りからは、仲のいいグループとしか思われていないだろう。
2人からの話題は主にサッカーだった。宗太郎君は1年ながらレギュラーを獲得したこと。そして、京慈先輩は推薦で大学への合格が決まったため、たまに、後輩にサッカーを教えていることなど。そしてカラオケ。4人思いっきり歌った。楽しい時間はあっという間に過ぎていく。夕方になり、4人それぞれ分かれた。
「また明日な!博行!」
「また明日!虎彦!」
笑顔でそう返した。
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12月30日
今日は虎彦が手伝いをしている旅館おおしまへと足を運んだ。虎彦から、
「博行に食べてもらいたいものがある。」
そう言われたからだ。ワクワクしながら来ると、
「部屋で待っててくれよ。もうすぐ出来上がるから。」
そう告げて、虎彦の部屋へと案内してくれた。虎彦の部屋は、以前と同じように、散らかっていた。でも、漏れと2人で撮った写真が入った写真立てとその周りだけは毎日掃除をしているのか綺麗だった。虎彦がやってくるのを部屋にあった漫画を勝手に借りて読んでいた数十分後、
「待たせたな。」
そう言って、虎彦は、一つの鍋を持ってきた。その中には肉じゃがが入っていた。昨日も食べたのになぜ肉じゃが?少しだけ疑問に思うと。
「昨日。博行の俺以外の肉じゃがに対しておいしいと言った時の感想が悔しくてな。俺の方がおいしく作れると見せたかったから。」
負けず嫌いの虎彦らしい。肉じゃがを食べると。
「俺のほうがおいしいだろ?」
虎彦が質問してきたため、
「肉じゃが勝負は、虎彦の勝ちだね!」
そう答えた。虎彦が笑顔になった。不意に、いたずら心がささやいたため、虎彦に向けて言った。
「もしかして、虎彦は昨日のおいしいといった感想に嫉妬したのかな?」
冗談交じりに言った。それに対し、虎彦は、
「否定はしねぇよ。嫉妬したのは事実だ。でもそれだけじゃない。」
「小さい頃を覚えているか。別れる前。博行が俺の作ってくれた肉じゃがをおいしいと言ってくれたことを。そのことがきっかけで、俺は料理人の道を目指した。博行の肉じゃがに対しての一番おいしいという感想。これだけは譲れなかったから。」
嬉しかった。虎彦がずっと漏れのことを思ってくれていたことを。
「でも、親父の料理は博行の前には出せないな。悔しいが、親父の方が料理の腕はまだ上だから。」
そして、
「でもいつかきっと、俺は親父の腕を超えてみせる。その時こそ、博行の中で俺が一番だ!」
力強い覚悟を持った答えで答えた。
「また明日も会える?」
その返事に、虎彦は、
「すまねぇ。俺も会いたいが、明日は頼まれているお節料理の準備、正月3が日は旅館客の対応で忙しくて抜けられないんだ。」
その返答に寂しさを感じる漏れ。だが、
「1月4日は必ず開けてみせる。だから絶対来てくれよな!」
そう言ってくれたので、
「約束だよ!」
そう答えて、別れた。
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12月31日
虎彦のいない日中はどこか味気ないものに感じた。
虎彦はいそがしい。わかっている。それに、料理に対して、漏れが力になれることはないことも分かっていた。だから、無理に旅館に押し掛けるような真似はしなかった。
夜。祖父と祖母とともに紅白を見ていた。最近のはやりの歌から、懐かしい歌。歌というものは不思議なもので、聞いていくうちに、時間がたっていくのを感じた。
夜中、年が明ける5分前。不意に電話が鳴った。普通なら、こんな夜中に電話をかけるのは失礼なことだ。漏れが出るよといって、漏れは電話に出た。
「もしもし?」
「もしもし、博行か?」
相手は虎彦からだった。
「虎彦?どうしたのこんな夜中に?仕事忙しいんじゃないの?」
そう尋ねると。
「やっぱ博行の声が聞きたかった。俺が思っている以上に俺は、博行がいないとダメだったらしい。それに、年明けのあいさつを何よりもまず博行にしたかった。」
「漏れのほうこそ…」
それだけ言って、照れて黙ってしまった。そして、新年を告げる鐘がなった。
「新年だな。あけましておめでとう。博行。これからもよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
言って、2人、笑いながら電話を切った。
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1月1日
漏れは一人、初詣へと出かけていた。
普段であれば、ほとんど人がいないであろう神社。しかし、今日に限ってはこんなにも人がいたのかと思うほど参拝客であふれかえっていた。その中に一人の黒猫の獣人の姿を見た。深君だった。
「深君。あけましておめでとう。これからもよろしく。」
「博行。こちらこそよろしく。」
それだけ言って、漏れと深君は二人、お賽銭をすべく列に並んだ。ようやく、賽銭箱の前に並ぶと、一礼し、手を合わせた。
深君も終わったのだろう。2人で並んで帰ろうとするとき、深君に聞いた。
「深君は何を願ったの?」
「僕かい?僕は、お菓子の腕がもっとうまくなることかな。」
深君らしい願いだった。深君が聞く。
「君の方こそ、なにを願ったんだい?」
「漏れは、虎彦が幸せに1年を過ごせますように!だよ!」
そう答えると、深君は、少しだけ驚いた表情をして、
「意外だったな。君のことだったから虎彦とずっと一緒にいられますようにだとおもったよ。」
そう返した。
「その願いは、虎彦が叶えてくれるから。自分にとって最愛の恋人が叶えてくれるから。」
「お熱いね。」
短く深君が返した。深君と別れるとき、
「漏れは、虎彦のために何ができる?料理以外で?」
そう、深君に尋ねると。
「さあ。わからないね。でも、出来ることはあるんじゃないかな?なんでも行動することが君のとりえだろう。」
その言葉が頭から離れなかった。
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1月2日
朝、ずっと深君の言葉が頭から離れなかった。そのため、不意に祖父に尋ねた。
「ねえ、おじいちゃん。旅館の仕事って何があるの?」
「そうだなぁ。料理をお客さんに提供することじゃないかな。」
やはり料理か。そう思っていると。
「提供するにしても客の前に出す配膳作業は必要だな。ほかにも、布団の用意、ふろやトイレ掃除、客の見送りなどやることはいっぱいあるぞ。」
それを聞き、はっとした。料理を作ることは漏れにはできない。でも、漏れでも力になれることはある。漏れでも、虎彦の役に立つことができる。
「おじいちゃん。ありがとう。」
そう言って、旅館おおしまへと足を向けた。旅館おおしまへと足を運びだした漏れ。玄関を開けると。虎彦が出迎えてくれた。
「いらっしゃ…博行じゃねえか!どうしてここに?」
漏れの姿を見ることができたのが嬉しかったのだろう。笑顔を見せた。だが、
「すまねぇな。今日は忙しくて。相手をしてやることができなくてよ。」
申し訳なさそうに言う虎彦。それに対し。
「違うよ。今日は。旅館の手伝いに来たんだ。」
「えっ?」
意外だったのだろう。少し、上ずった声が出た。
「だって漏れは虎彦の恋人だよ。恋人の力になりたいと思うことは当然じゃない。」
そういうと、虎彦は、漏れに向けて、とびきりの笑顔を向けた。虎彦に連れられ、虎彦の父親の前に連れられる漏れ。
「博行じゃねえか久しぶりだな。」
「おじさんこんにちは。今日は旅館の手伝いに来ました!」
明るくそう言う。
「だが、今忙しいからすることが多くて大変だぞ。大丈夫なのか。」
「大丈夫です。それに漏れも男です。なんでも手伝わせてください。」
漏れが告げた。漏れの覚悟を感じ取ったのか、おじさんは告げた。
やることが多くて大変だった。配膳。布団の用意。掃除。すべてが終わり漏れが帰るころには体が悲鳴を上げていた。もちろん。虎彦と話をする時間はなかった。でも、よかった。少しでも虎彦の力になれていたから。虎彦が見送りに来ることはなかった。まだ本当はやることがあるのだろう。改めて、漏れの恋人はすごいのだとわかった。高校生活に部活。旅館の手伝いをしながら過ごしているのだから。
夜。疲れからか、何もする気力がなく、すぐに眠りに落ちていった。
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1月3日
今日も旅館の手伝いをするために足を運んだ漏れ、昨日と同様。やることが多くて大変だった。そして、夕方。
「今日はありがとうな博行。」
おじさんが告げる。そして、
「虎彦ももう上がっていいぞ。今日は終わりだ。」
本当はまだやることはあるのだろう。だからこそ。
「いいのか?親父。」
虎彦の返事に対し、
「当り前だろ。俺を誰だと思っているんだ。それに、せっかく恋人の博行が来てくれたんだ。少しくらいいい目をしないと罰が当たるだろ?」
「親父、知って…」
「当り前だろ。何年お前の父親をしていると思っているんだ。息子のことならわかって当然だ。」
それに漏れに向かって。
「博行、こんなろくでもない息子だが、ずっといてやってほしい。これからもよろしく頼む。」
と告げた。虎彦の部屋に入る漏れと虎彦。
「知っていたんだね。おじさん。」
「そうみたいだな。それに、親父は博行のことを認めているんだな。」
「父親公認の仲か。なんだか照れくさいね。」
2人笑う。そして。
「んっ…」
唇が重なる。見つめあう2人。これから行為が始まるのだろう。だが、
「今日はしねぇよ。さすがにへとへとな博行を前に襲い掛かるほど鬼畜じゃねぇからな。」
「だが、明日。明日は必ずする。だから、楽しみにしておけよ。博行。」
そう獰猛な雄の虎は漏れに向けて告げた。
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1月4日
漏れは、虎彦の部屋にいた。当日。虎彦に言われた内容は、
「わりぃが勉強を見てくれ。」
だった。漏れは、明日帰らなければならない。虎彦のいない世界へと。本当なら、外へと駆け出し、デートをしているのだろう。しかし、漏れはどこでもよかった。虎彦と2人一緒にいられるのなら。勉強を教える前、漏れは虎彦に向かって言った。
「虎彦らしくないね。自分から勉強するだなんて。」
「パーティーの手伝いの日があっただろ。その日俺は補習なんかのせいで博行と一緒にいられなかった。そんな時間があったことが悔しかった。だから、もう補習みてぇな下らねぇことで博行との時間を失いたくない。」
漏れと一緒にいる時間を作るためなら、苦手な勉強にも向き合ってやる。そう告げた虎彦の瞳は真剣だった。
だが、現実はそこまで甘くないようだった。いままで、勉強などそんなにしなかったのだろう。勉強をしていく中。あぁ…うぅ…分からねぇ…などのうめき声が増えて言った。その勉強は昼過ぎまで行われた。それでも虎彦は逃げることなく。教科書へと向き合っていた。他に何かできることはないかな。そう思っているといいアイディアが浮かんだ。
「虎彦。この問題を解いておいてね。」
そう虎彦に言い残し、漏れは台所に向かった。台所には先客がいた。
「おじさん。こんにちは。」
「博行じゃねぇか。虎彦に会いに来てくれたのか。」
「うん。勉強を見てあげているんだよ。」
「あの虎彦が…熱でもあるんじゃねぇか?」
おじさんが、つぶやくと漏れはおじさんに向かって。
「おじさん。台所を貸してもらえないかな。」
そう尋ねると。
「ああいいぜ。」
おじさんは快諾してくれた。
「虎彦、お待たせ。少し休憩にしようか。」
そう言って、漏れが焼いたクッキーを虎彦に差し出す。
「これ、博行の手作りか。」
「うん。さっき焼いてきたんだ。虎彦や深君ほど上手にはできなかったけど。」
「そんなことない。うまいぜ。博行!」
クッキーをかじると虎彦が告げる。よかった。おいしくできていたようだ。
「このクッキーがあれば百人力だぜ!!!いまならどんな勉強もこなせる気がするぜ!」
そして、再び教科書を手に取った。
夕方。頭がパンクしそうな虎彦が告げる。
「うぅ…生まれて初めて勉強をした気がするぜ。」
「お疲れ様。虎彦。」
「明日には、博行はまたいなくなっちまうんだな。寂しいぜ。」
「確かに寂しい。でも、この冬会えた。春もある。それに、将来、漏れはこの旅館で働こうと思っているんだから」
「博行…」
「漏れは、ずっと虎彦から離れない。漏れは虎彦の恋人。虎彦のいる場所が漏れの居場所だ!」
「ありがとう…博行ありがとう!!」
そう言って、漏れを抱きしめる虎彦。そして、
「んっ…」
唇が重なる。そして、虎彦が告げた。
「今からやるぞ!姫はじめ!」
「なにそれ、ムードも何もないじゃない。」
「いいじゃねぇか。俺たちらしくてよ。」
そう言いながら再び唇を重ねた。
R-18
触れるだけの口づけ、しかしその口づけは次第に濃厚なものへと変わっていった。
「ん…じゅる」
「ん…は、は」
博行の唾液を余すことなく啜った。そして、俺の味をおぼえこませるように隅々まで舌を差し込んだ。博行は俺のものだと教え込むように。そうして、2人の遺伝子が交わり、一つになる感覚に俺は高揚した。やはり俺たちは2人で一つなのだと感じている瞬間だった。数分のキスを終えて唇を離す俺。銀糸が途切れる。博行に向かって。
「脱がすぞ。」
そう言った。博行の体は。数日前見たものと同じで綺麗だった。その体のいたるところに俺はあちこちにキスマークをつけていく。首筋。腋。腹。前に違ったことといえば、博行からのお願いからではなく、俺からつけていったことだ。数日たてば消えてしまうであろう痕。永遠につけることができないことを惜しいと思った。そして、俺の口は、胸についている2つの小さなつぼみへと近づけていった。
「あああああああっ!!」
博行から悦びの声が上がった。もっと聞かせろ。もっと聞かせろ。俺の中の獣欲に従う中、俺はその2つのつぼみを舐め、つまみ、こねくり回した。数分乳首をひとしきりいじった後、乳首は卑猥に勃起していた。たまらない。少しだけ惜しいともいながらも、俺の顔を博行のペニスへと向け、ペニスを口に含んだ。
「あああああああっ!!!」
悦びの声が上がる。もっと聞かせろ。口の動きを早くした。
「待って、虎彦!!!」
制止の声が博行から上がるが、俺はその言葉を無視した。
「待って、虎彦!!!」
再びの制止の声だろうか。また無視をしようとすると。
「漏れだってしたいことがある!」
博行からの願いだった。その声にたまらず、俺は口の動きを止めてしまう。
「漏れだけなんてずるい。漏れと虎彦は恋人なんだよ。漏れも虎彦を気持ちよくしたい!」
そう博行が答えた。博行からの提案はなんとシックスナインをするということだった。
初めての行為。自分と相手が同時に気持ちよくなれる行為。俺と博行は体格差もあり、少々体勢的につらいものはある。しかし、些細なことだった。再び、博之のペニスを含む俺、そして、その直後、俺のペニスに快感が走った。
「んんっ!!」
2人声が漏れてしまった。そうして、2人愛撫を続けた。俺のペニスから、汁があふれていくのを感じた。また、俺の口の中へと放たれる汁の量が増えているのが分かった。
くちゅくちゅくちゅくちゅ!!!!
そして、続けていくうち、限界がやってきた。
「くっ!!!!!」
先にザーメンを博行の口に放ったのは俺だった。そして。
「んんっ!!」
ほぼ同時に博行のペニスから俺の口に向かってザーメンが放たれた。
はぁはぁはぁ…お互いに口を離し、余韻に浸っていると。博行は信じられない行為に出た。
なんと、俺に向かって尻穴をさらけ出し、自分で指を入れようとしていた。その扇情的な姿に、俺のペニスに再び芯が入った。だが、博行は本当は自分で自分の指を入れたことなかったのだろう。若干怖がるような表情を見せた。俺のためにここまでしてくれている。でも怖い思いはさせたくない。その2つの気持ちから俺がとった行動は、博行の指と俺の指を重ね、同時に入れることだった。2つの異なる意思を持った指が同時に入っていくことなど初めてだ。だが、安心させるように、重ねた指を小さなしこり大のクルミへと近づけた。快感を感じ取ったのだろう。博行から喘ぎ声が漏れる。
「んっ!」
その声に気を良くし、重ねた指で重点的に攻め立てた。
「あっ!あっ!あっ!あっ!」
指を上下させているうち、博行の中が柔らかくなってるのを初めて博行自身の指で感じたのだろう。博行は俺に向けて告げた。
「虎彦…来て!!!」
その声を聞き、俺はいきり立ったペニスを博行の中に入れた。博行の中は熱く、すぐにでも持っていかれそうだった。だが自分は雄なのだ。博行を気持ちよくさせる義務がある。そうおもいながら、俺は腰を振った。
「あっあっあっ…」
次第に喘ぎ声が大きなものへと変わっていく。その声を聞きながら腰のふりを大きなものへと変えていった。
ずちゅずちゅずちゅずちゅ!!!!
「あっ…あっ…あっ…虎彦!」
限界が近いのだろう。だが、俺は博行のペニスには触れなかった。ケツだけでイカせてやる。そして、
「あああああああっ!!!!!」
博行が触れていないペニスからザーメンを吐き出した。トコロテンだ!射精によって中が締まる感触に、ついに俺も限界を迎えた。
「いくぞ!!!博行!うぉおおおおおおお!!!!」
そして、俺は、博行の中へとザーメンを放った。ペニスを博行の中から抜き出す。入りきれなかったザーメンが漏れだす。たまらなかった。
「博行。愛してる。もう逃がさねぇぜ…」
「漏れも愛してる虎彦。漏れの方こそ逃がさないよ…」
2人そう言い。そして、唇を重ねた。
腰が砕けて立てなくなった博行を自転車に乗せて二人駆け出す。
もっとこの時間が続けばいいのに。明日はお別れだとわかっていたからこその強い思いだった。そして、家へとたどり着く。
博行を降ろした。優しく。でも、誰にも渡さないように強く。
「またね。虎彦。」
その別れの言葉をうけ、俺はまず、その唇に軽いキスを落として
「またな。博行。」
そう言って去っていった。
[newpage]
1月5日
今日は漏れが、都会へと帰る日。でも、思っていたほど寂しくはなかった。また虎彦に会えるとわかっていたから。
「じいちゃん、ばあちゃん。またね。」
「またな。博行。」
そう言って、玄関を出ると虎彦が目の前に立っていた。少しでも博行と一緒にいたいから。玄関を閉め、二人きりになった時、虎彦は言った。バス停までの時間。2人で話していると時間はあっという間にたってしまった。バスが来るまでバス停で話ながら待つ漏れと虎彦。ほかの幼馴染も見送りにやってきた。
虎彦が漏れから目を離した瞬間。漏れはあるものを取り出した。あの日プレゼントに買ってきたドッグタグ。渡そうと思いながらも渡せなかったドッグタグだった。バスがやってくるのを見た。
もう虎彦と別れなければならない。でも、あの夏と違い、漏れと虎彦の中を認める人が増えた。そして、漏れの大切な幼馴染達には真摯に向き合いたい。そう思った。
バスが、バス停にやってくる瞬間。漏れは虎彦を抱きしめ。幼馴染達に向かってこう告げた。
「漏れと虎彦は付き合っています!漏れたちは恋人です!だから、とても幸せです!」
そう言って、虎彦の首にドッグタグをかけ、短いキスをした。虎彦も他の幼馴染達も、ポカンとしてしまった。深君だけが、
「おやおや…」
とつぶやいた。バスへと駆け込む。
「またね。皆!」
それに気づいた虎彦が。
「またな。博行!愛してるぜ!」
そう告げた。そして、バスは水郷村から走り出した。