ヒーローエキスポ、それは色々なヒーロー事務所が集まり自社での活動を会場に来てくれた人達に見てもらうイベントだ。ショーを行ったり物を売ったり、それぞれが好きだと思っている事務所のヒーロー達と交流が出来るという事で人気のイベントとなっている。自分の所をよく知ってもらう事にもなり事務所側としても有難いことだった。
数年に一度行われるそのイベントに今回自分が出ることになった、初めてという事もありドキドキしているとどうやら会場での不備が無いようにと健康診断をするらしい、それは自分だけでは無いらしくその場所には沢山のヒーローやオペレーターがいた。それぞれ軽く挨拶をし自分の番、緊張はしたものの無事に終わった……かに思えたが事件が起きた。診断する病院は大きな船であり設備が整い、診断はAIによるものらしい。そのAIが暴走し、危険に陥る。
一時は本当に危ない所まで行ったが、ヒーロー達と協力し、AIを正常に……いや説得?することが出来無事に事件は終わったのだ。
後日改めて健康診断を行うことになった、流石に場所は同じ所ではないらしく別の病院だった。ヒーローエキスポ自体はちゃんと開催するようでそこは安心した。指示通りその病院に向かって中に入り準備をすると院内で見知った顔に出会う、近づいて声を掛けようとすると何やら独り言が聞こえてきたのだ。
「結局、やることになるのかよ……はぁ、こんなんでどうやってテンションをブチ上げろっていうんだ。あの事件があって今回は特別に診断なしでやりますとか期待したのによ」
はっとして顔を上げると、そうだ!またあんな事件が起きれば診断が無くなってそのまま!いやだがなぁ……危険思考に囚われそうになっているオブシディウスに近づいていくと気が付いたようだ。
「ぬぉ!か、観測者!いつからそこにいたんだ!?」
さていつからでしょう、にやにやと笑うとばつが悪そうに視線を逸らす。今危ない事考えてましたよね?
「考えてっ!……ねーよ、やるわけないだろそんな事」
はぁとため息をつくオブシディウスの検査着がはらりとはためく。腹当たりにある紐で結んである為全てではないが妙に短いというか何か違和感?サイズあってなくない?それ。
「あぁこれな、着替えろって言われてうだうだ考えながら手に取ったら小さくてよ、他の奴もいたし長く居るのも迷惑だろうと思ってそのまま出てきちまったんだ。すぐ終わるだろうと思ってな。ん?なんだ、っておい!こんな所で捲るんじゃねぇ!」
片手でぱしりと叩かれてしまう、呆れながら相変わらずだなお前はと苦笑していた。いやそれよりもいくら小さいからってちょっとその場所があまりにも主張しすぎだと思うのだが。おかしい、もしかして……もしかして中は裸!?
「んなわけねぇだろ!ちゃんとパンツ穿いてるって!だぁだから確認しようとすんじゃねぇ!まぁったくお前は煩悩塗れなんだからよ」
流石にこれ以上はドリルで穴を開けられそうなので諦めることにした。
「まぁあれだ、俺とオキタカさんなんだけどよ、実は精密検査をまたすることになってな。最初のは事件が起きたからなしになってもう一度ちゃんとってことらしい。正直げんなりするぜ……折角あれが無くなると思ったのによぉ」
しょげるオブシディウスの目線の先を目で追うとどうやら採血する場所のようだ。そんな顔するということは血を抜かれるのが怖いのか、それとも注射が怖いのか。それとも両方?
「いっ!そ、そりゃぁ苦手意識があるが別に怖いなんて……」
言いかけると頭を振ってがしがしと掻いた。
「別に血を抜かれる事にゃぁ怖さを感じねぇよ、今までだってカイブツ騒ぎで怪我したりしてるしな。そこじゃねえんだ、そう、俺はあの注射が怖いんだ。あの細い針がよ、腕に刺さるとチクッてするだろ?それも嫌だが、腕を伸ばして徐々に迫ってくるあの針、その時間がどうしても慣れねえんだよ。試しに目を瞑ってみたりもしたが暗い中で待ってると余計に怖く感じちまって……」
相当嫌らしく身振り手振りで説明してくる、そのうち終わったかと思うとぷるぷると震え出した。どうしたのだろうか?
「だーっ!嫌だ!やっぱり嫌だ!健康診断なんて知るか!俺は帰る、絶対に帰る!今すぐ俺を変身させろ!」
叫ぶオブシディウスにまぁまぁ落ち着いてと宥める、折角のエキスポにも出られなくなるし迷惑かかるからね?少し涙目になっているオブシディウスはこっちを見ると数秒、握っていた拳を開くとはぁぁと大きく溜息をついた。
「悪い、何かお前といると何とかなるんじゃないかと思ってな、いつもはこんなんじゃないんだが。なぁ……頼みがある」
少し頬を赤くすると切実な目で見つめてきた。
「俺の手を握ってくれ、俺に勇気をくれ。あのカイブツ……じゃない、採血を退治できるように」
退治て……まぁそれくらいなら全然いいよ、言う前に勝手にこっちの手を握っていた。大きな手が包むようにがっちりと掴んでくる。オブシディウスは真剣で、目をぎゅっと瞑っている。そんなオブシディウスに声を掛ける。
「ん?な、なんだ?」
一度手を離してもらい、まだ怖いか聞くとこくんと頷いた。それを見てから一歩近づくとそっとオブシディウスに腕を伸ばしハグをする。
「か、観測者……!」
頑張ってね、それに嫌なのは自分も一緒。流石にオブシディウス程じゃないけど、痛いし怖いよね、あれ。するとオブシディウスもゆっくり抱きしめてくる。
「……あぁそうだな、本当に嫌なもんだ。ありがとな観測者、おかげで少し落ち着いた。何とか我慢できそうだ」
離れると最後に手を握り頑張ってくるぜ!と言いながらその場所に向かって歩き出した。さて自分も残りの診断の場所へと向かおう。
*
全ての診断が終わると着替える為にロッカー室へと向かう。中に入る手前でオブシディウスが名前を呼んで手を振っていた。
「おーい!俺も終わったぜ!」
軽く駆け足で近づくと一緒に中へと入る。
バタン
「いやぁ終わった終わったぁがっはっは!全部済んでこんなにも気分がいいとはなぁ」
まるで別人になったように豪快に笑うオブシディウス、これで一安心だね。おぉよと頷くとそのまま言葉を続ける。
「あぁそうだな、本当に感謝してるぜ観測者。勿論さっきのもそうだが、今回の事件の事も含めてだ」
検査着の紐を解くと片手上げて話す。
「前にも言ったかもしれないが、俺はこの俺の手で自分の謎を解明しようと思ってる、それを他の奴に譲る、奪わせるつもりはねぇんだ、そういうのもあってこういう検査が嫌いなんだよ。無いとは思うが、俺の中の謎がそれで分かっちまうかもしれねえだろ?」
腕を組むとそういうこったと頷く。
「ずっと一緒にあったあの腕輪の謎を解く。俺の謎はいわばそこに存在するだけで俺を突き動かしてくれる、俺への原動力になるんだ。それだけは何があっても誰にも手を触れさせねぇ」
大事な事なんだね、今回それが分からなくて良かったね。オブシディウスは苦笑する。ちょっとヒヤヒヤした時もあったけどなと。
「あーじゃないかこーじゃないか、未だに分かっちゃいないが昔から調べてきた。勿論腕輪だけじゃねぇ他の知らないこと全部だ。試して、調べて、そうしてるうちに自分でも気づかないうちに学者なんてものになっちまってな。結構楽しくやらせてもらってるぜ?がはは!」
互いにロッカーの中を弄りながら話していたがオブシディウスはふとこっちに体を向けてくる。
「あえてこう言うが、あの牢屋の中にぶち込まれちまった時、勝手に俺の中を調べられそうになった時、本気で焦ったんだ。血管が切れそうなくらい頭がブチ上がっちまって、どうしても我慢できなくて、許せなくてよ。何がどうなろうと知ったこっちゃねぇとにかく今を何とかしてぇ、強く強く思い、願った。その願いを観測してくれた。感謝してもしきれねぇくらい嬉しかったぜ。あぁ俺は間違ってねぇんだってな」
あのままだと本当に怒り狂って死んじゃいそうだったし。がっはっはと大きく笑うと本当助かったぜと楽しそうにしていた。そしてオブシディウスはへへへとニヤつく。
「鉱物ってのは削って採取して調べるのが基本だ、慎重にならなきゃいけねぇ。だけどよ?あの新しい姿で後先考えず全てをブチ壊していく感覚は最高だったな。本当最高に気持ち良かったぜ!まぁ学者としては間違っちゃいるけどよ」
加減を知らないんだもんな~、そうやって体まで壊さないでね。言うとオブシディウスはうっ!と視線を逸らす。
「まぁ、そうだな。こうやって精密検査なんてことになっちまったのも言っちまえば体が壊れそうになってるからだしな。気を付けねぇといけねえぜ、そこはちゃんと反省するつもりだ」
そういえばと聞いてみる、精密検査なんて早々なるもんじゃないと思うんだけど、何か具合でも悪かったの?
「ん?あ~まぁ悪かったと言えばまぁそうなんだが……はぁ、まぁお前にならいいか。恥ずかしいんだが原因はカフェイン中毒らしい、それでちと腹がの調子がな……」
カフェイン中毒……珈琲かな?そんなに飲むんだ。そこまで好きだとは思わずちょっと意外だった。オブシディウスは勿論好きは好きだがと付け加えるように言ってくる。
「眠くならねえようにってな、そんな時間があるなら色々調べたりしたいって気になっちまって。それで何杯も飲んで。眠くなったら飲むを繰り返してるうちに気づいたらそれが当たり前のようになっちまってて結果これだ」
はぁと溜息をつくとロッカーに手当てて俯く。
「ラクタ先生やマルフィク先生、さんざん俺を気遣って言ってくれていたってのに、俺は自分の目先のことだけに囚われちまっていた。ただそれだけに執着して、自分の体なんて放っぽりだしていた。情けねえ話だよな?研究研究と言っておきながらその対象がどんどん不健康になっていくんだぜ?それで倒れちまったら大事な研究なんてできやしねぇ、馬鹿みてえだぜ。だが今回の事で流石に分かったよ、自分ではまだ行ける全然余裕だと思っててもそうじゃないって。そういうもんは自分じゃ中々気づかねえ、勝手な思い込みなんだってな。俺には周りにちゃんと心配していってくれる人がいる、今度からはそういう人達の言葉を素直に受け取るさ。じゃないと本当誰も何も言わなくなっちまうだろうしな」
苦笑するオブシディウスにそうだねと頷く、心配させないでね?それと――
「ん?」
どんなことがあろうと、どんなに無茶してようと見放したり見限ったりしないよ。危なくなった時はちゃんと言うから。どんなに声が届かなかったとしても言い続けるよ。
「……観測者」
数秒沈黙するとこくんと頷いた。
「あぁ頼む。きっと俺はまた無茶をしちまうと思う。いや流石に俺の中でもブレーキは踏むつもりだ、だがきっと、この性格だからよ……その時は頼むな、観測者……気づかせてくれよ」
できれば言われなくて済むようにしてほしいんだけどなぁ?うっ!と大袈裟に驚くと赤くなって腕を組む。まったく、優しくねえなぁお前は!互いに声を出して笑っていた。
「ようし、この話はここまでだ!あんまり言うと俺が恥ずかしくてかなわねえぜ。色々あったが健康診断は終わったんだ、後は俺達の自由だろ?嫌なもんを乗り越えたんだから楽しくいかねえとなぁ!なぁ観測者、お前ももう終わったんだろ?ならこの後空いてるんじゃねえか?」
残念予定入ってます。
「なっ!ま、マジかよ……」
露骨に残念がるオブシディウスに冗談だよ、この後は帰るだけ。そう伝えると途端に元気になっていく。
「んだよ騙しやがったな!がはは!良かったぜ、じゃぁ一緒に街でぶらぶらしようぜ。このまま帰るだけなんてどうにもな」
しょうがないなぁと笑う、一人で帰したらこっそり珈琲がぶ飲みしそうだもんね。オブシディウスはむすっとすると流石に怒られた当日にするわけねえだろ?と呆れていた。
ぶらぶらすると言っていたが何か計画でもあるのだろうか?
「そんなもん適当だ、その場で思ったところに行けばいい。丁度腹も減ってるしな。付き合ってくれるんだろ?逃がさないぜ」
うーんデートの誘い文句としてはちょっと強引かな?なんて、冗談を言うとだめか~?と首をかしげていた。少し頬を赤くすると検査着で手の平を拭いてじゃぁとこっちを見て言ってくる。
「俺とデートしてくれよ、観測者」
直球に言われて思わず心臓が高鳴る。続けざまにオブシディウスは俺は本気でそのつもりで言ってるぜ?と言ってきたのだ。流石に軽口は出てこなくて数秒固まってしまった。で、デート……ねぇ。頭の中で反芻するとふぅと息を吐く。じゃぁ、一緒にデートしようか。途端にオブシディウスは満面の笑みを浮かべた。
「よしきた!ちょっとだが柄にもなく緊張したぜ。ようしそうと決まればだ……」
ずいっと近づくと両手を持ち上げて肩を持ち向きを変える、ロッカー側を背にするとぐっと押されて押し付けられてしまった。その手は離れてロッカーに置く。まるでオブシディウスという牢屋に閉じ込められたようだった。
「色々言ったがそんなもんは理由付けみたいなもんだ。これからデートするんだろ?そんなら相手の事をよく知っておく必要があるはずだ」
徐々に顔が近づいていく、少し荒くなったオブシディウスの息が顔にかかる。
「成り行きがあったとはいえ、お前にゃ俺の隠したい部分まで見られちまってんだ。お前が観測したあの姿でのブチ壊したい衝動や、まぁカフェインの事もな……俺の奥の中を見られたんなら、お前の事も俺に見せないとズルいよな?」
ぴたり、鼻先同士がくっつくとぼそりと呟く。
「俺は学者だ、学者ってもんは対象物を時間をかけてゆっくりじっくり調べるもんだ。だから俺はお前の事を調べたい、謎を解き明かすようにお前の全てを知っていきてえんだ。だからよ……」
互いに息が絡み合う。
「俺に教えてくれよ、お前の事を。タイミングはあるだろうが、対象物がここにあんだ。後でと言わず、先にちょっとだけ、覚えさせてもらうぜ……?」
有無を言わさず近づいてくる口に塞がれる、ほんの少し舌が中に入るとゆっくり動き唾液を拭われる。その後は静かに動かず口をつけたままだった。数秒、十数秒だろうか?ロッカー室の壁に掛けてある時計がチクチクと音を奏でる。やがてすっと離れるとオブシディウスと見つめ合った。
「……お前の唾液はこんな味なんだな、もっと味わいてえが流石に場所を変えようぜ」
へへへと赤い顔で笑うオブシディウスに苦笑した、少しは我慢も覚えようね。んだよ、雰囲気ブチ壊しじゃねえか。離れるとそっぽを向いて角を掻く。お互いに検査着からいつもの服に着替えるとロッカーを閉めて病院の外へと歩き出した。
*
すでに真っ暗な中を歩く、どうしようかと考えているととりあえず飯にしようぜ言っていた。検査で無駄に緊張して我慢して、妙に力んでしまったと。思った以上に疲れてしまったらしい。頑張った自分にご褒美だと言っていた。
少し歩き、適当に見つけたレストランに入ることにした。そこで案内されて窓際のソファーにテーブルを挟むようにしてお互い座る。横にあったレシピを取りそれを眺めて何を食べようかと考えていた。
「やっぱりよ、こういう時はがっつり肉が食いてえよなぁ。後はぁ、サンドイッチも美味そうだ。それと珈琲と、デザートも色々あるな……」
見た目通り沢山食べそうだなぁ……いや待って?ちょっと待って?今なんて?
「俺は大体決まったぜ、お前も決まったなら呼ぶ……なに?」
いやいやいや!珈琲て!今珈琲言いましたよね?
「……あ」
本気で気づいていなかったらしい、はっとすると頬が赤くなる。
「い、いやついな、いつもの流れというか、珈琲好きだし眠くならないようにとか関係なく頼むことも多くてよ。あ~、まぁ……」
照れ隠しのように頬を掻くと苦笑していた。
「お前が居て助かったぜ」
これは思ったよりも重症かもしれない……そりゃ皆言うし今回の事件でもラサルハグェの言葉には納得だわ。こうやってどんどん危なくなって後々だから言ったのにって……だめですそんなの体壊すに決まってます。気を付けてもらわないと!
「悪かったって。あれだな、ちょっと本当にちゃんと意識するようにするぜ。流石に何度も精密検査受けたくねえしな」
お前にも心配させたくねえからよと頷いてくれた。頼むよほんと……まぁそうならないように自分がいるのだが。いやこれデートか?
そんなことを思いながら二人で食事をした。カフェインは入ってないものを頼み、満腹になると外へと出る。その後もちらほら歩き映画館を見つけると指を差して入ろうぜと。特別気になっている映画はなかったが、上映中の物から見てみたいものを選ぶ。館内にある売店でポップコーンや飲み物を買うと軽く食べながら時間になるまで待っていた。飲み物に関してはコーラを選ぶ、珈琲なんてものもあったのだがオブシディウスを見ると顔を背けられてしまった。
「分かってるって、大丈夫だ買わねえよ。まぁ飲んじゃいけないもんではないけどな?」
わざと言ってますそれ?冗談だ冗談、笑うオブシディウスにちゃんと見てないと危ないからね~と。調子に乗ったオブシディウスは肩に腕を回すとおぉ頼むぜ見張っててくれよと。呆れながらしょうがないなぁと言うとどうやら映画が始まる5分前になったようだ。矢印による案内を見ながらその場所へと向かい、自分達の席を見つけると座る。
「デートと言えば映画だよな」
すっかり忘れているかと思ったからちょっと嬉しかったのは秘密だ。暗い中、映画が始まると二人でそれに集中する。
「……」
ふいにオブシディウスの手がこっちに触れる、膝に置いていた手を持ち上げるとその下に滑らせてきて互いに指を絡めて握りしめあった。ちらっとオブシディウスを見ると横目で視線が合う。
「……っへへ」
嬉しそうに楽しそうに笑うオブシディウス、その手をぎゅっと力を込めて握ったのだ。
「は~楽しかったな!映画なんて久しぶりだぜ」
外に出るとぐっと背筋を伸ばしている、結構な時間経っちゃったけどどうする?空には星がキラキラと輝いていた。
「少し歩こうぜ」
互いに会話をしながら歩いていると公園を見つける、休憩がてら中に入ろうという事になり、ベンチに座るとオブシディウスは両足を前に伸ばして空を見ていた。オブシディウス……?
「……俺はさ、お前に会えて本当に良かったと思ってる、嬉しいと思ってるんだ。周りにも俺の事を気にかけてくれる奴はいる、前にも言ったがラクタ先生やマルフィク先生、それに俺の事を慕ってくれる奴だっていっぱいいる、オブシディウス先生なんて言われるとちょっと恥ずかしくなるけどな。だけど……ここまで俺の中を見せた奴はいなかった。それにお前はそんな俺のだらしない部分を見せても嫌な顔一つしないで付き合ってくれる。今日だって飯食って映画見て、滅茶苦茶楽しかったんだ」
足を戻すとこっちを見つめてくる。
「感謝してるし礼もしたい。俺はもっとお前の事が知りたい……正直、今すぐにでもだ」
周りに誰もいないことをいいことに大胆にも片手を伸ばして肩の向こう側の背もたれを掴む。そのまま顔を近づけてきたのだ。月明かりに照らされるオブシディウスの瞳が光って見えた。
「いいよな……?」
数秒して目を瞑ると口を開く。
「んんっ……」
伸ばした手は頭の後ろにそっと置かれ支えてくる。今度はロッカー室でしたようなものではない深いキスだった。かぶりつくようにぴったりとくっついて離れない、その中で舌をあちこち動かしては口壁を舐める、歯や歯茎をつつつっと撫で、舌同士が触れると器用に動かして掬い上げて絡めてくる。
「んぶっふっんん」
ジュブッチャプッ
液体が擦れる音が漏れる、二人の熱い息が互いの口の中で充満していく。口の端から唾液が漏れるがそれを気にする暇もなくて、ひたすらに探るように求めるように口内を探索する。
衝動を抑えきれないのか、オブシディウスは力んで前のめりになる。押し倒されてベンチに横になるとその上からオブシディウスが覆いかぶさってきたのだ。まだ口は離れていない。
「ふーふー」
びくんと体が震えた。獰猛なオブシディウスは鼻で呼吸を繰り返しながら片手を股間に押し当ててきたのだ、そのままあの大きな手でしっかりと揉んでくる。何か言おうにも口は塞がれていて出来る事と言えば両手で抱きしめることだけだった。
キスをし、唾液を交換しながら何度も股間を揉まれる。数十秒、下手すれば一分近くそうしていたかもしれない。ようやく口を離すとはぁはぁと荒く呼吸をしながら見つめ合った。
「ふぅ、っへへ、もうガチガチじゃねえか。さすが煩悩塗れの観測者だ」
こ、これはオブシディウスのせいだし。恥じらいを隠すように相手になすりつけるとあぁそうだと頷いた。
「正直俺もなりかけてる、そんでよ、俺は言ったよな?お前の事をもっと知りたいって。それはお前をだけじゃないんだ。お前に、俺の事ももっと知ってもらいたい。奥ん所以外の分かりやすい部分でもな?」
片手を持たれて自らの股間へと運ばれ押し当てられる、検査着でのあの膨らみ、気になっていた部分に触れていた。そこはほんのり暖かみがあり、柔らかくて大きかった。ふと目が合うと恥ずかしそうにしつつも笑っている。
「分かるよな?まずは互いに知りやすい部分をよ、教え合おうぜ」
挑発するように誘ってくるオブシディウス、それはきっと破壊以外での彼の衝動なのだろう、何かを我慢するのは苦手そうだ、きっとこの衝動も抑えられないはず……いや、こうなってしまっては自分もそうかもしれない。
そんなオブシディウスにこくんと頷く、精密検査しないとね?その言葉を聞くとどきっとして横を向く。
「お、お前なぁ今そんな言葉……あぁいいや。お前にだけならされても嫌じゃねぇ、っていうか……まぁそうだな」
もう一度体を倒すと背中側に腕を入れ抱き起す。
「お前なりの精密検査で俺を調べてくれ、その代わり!俺もお前の事を精密に検査させてもらうぜ?」
変なやり取りにお互い笑うと姿勢を整え座り直した。流石に股間に山を作って歩き出せないので少し会話をし、落ち着いてから立ち上がる。
「本当はよ、ホテルとか行こうかと思ってたんだがぁ何かを気にしてじゃ色々出来るもんも出来ねえだろ?だから俺の家に来いよ。ここからならそこまで遠くねえしな」
後ろから肩を掴むとへへっと得意そうに笑う。
「デートにゃぁお持ち帰りってもんがあるだろ、今更嫌だと言っても遅いぜ」
大丈夫言わないよ、オブシディウスの家でお家デートだね。瞬間オブシディウスは驚いて顔を背ける。い、言われてみればそうだな……何かちょっと嬉しくなるな。珍しい表情を見せながら足を進めていく。ちらっと見た後ろでは尻尾がぶんぶん振れていた。
何十分か歩くとオブシディウスの家に着く、遠慮せず入ってくれ。扉を開けるとお邪魔しますと言って玄関で靴を脱いだ。オブシディウスは電気もつけず廊下を歩いていく。こっちに俺の寝室があるんだと。
「まぁ本来飲んだり食ったりするんだろうけどよ、今は俺ぁそういう気分になっちまってる」
バタン
一つの部屋に入る、窓の方へ歩くオブシディウスは少しカーテンを開ける、月明かりが部屋を薄暗く照らす、その中で振り返るオブシディウス、逆光で見え辛い股間は大きく山を作っている気がした。
「早速、互いに検査し合おうぜ」
*
そうと決まれば行動が速いのがオブシディウス、躊躇いもなく服を脱ぎあっという間に全裸になってしまった。恥じらいとか無いのかこの牛……そう思っていると近づいて服を掴んでくる。
「ほら、脱がないと調べられないぜ?恥ずかしがらずに見せてくださいってな」
おどけながら持ち上げると腕を通して脱がしてくる、それが終わるとベルトに手をかけてかちゃかちゃと外そうとしていた。じ、自分で出来るって。だがオブシディウスはこれすら楽しんでいるらしくやらせてはくれなかった。
結局全部脱がされてしまう、服を横に退けると互いに全裸で向き合っていた。そのうちオブシディウスの方から両手を伸ばし抱きしめてくる、その流れで目を閉じるとキスをしてきたのだ。まだまだ口内は検査しきれていないらしい、自分の家で誰にも見られる心配がないと分かっているからか、外でのキスよりよっぽど激しく獰猛だった。それと同時に確かめるように両手で体を撫でてくる。
「んぶっんぶっ……んぐ」
されているように自分も同じことをする。服越しじゃない肌で直接感じるオブシディウスの短い体毛や温もり、汗……その生々しい感触はどんどん自分を興奮させていった。互いの硬い勃起が密着し、ぐいぐいと押し付けてくる。
ぐっと力を入れてくると体を抱きしめて持ち上げられる、そのまま数歩歩くと横にあるベッドにゆっくり倒してきた、やたら大きいベッドは二人が乗っても余裕があるがぎぃときしむ音を立てていた。
「っぷは、はぁはぁ。力抜いて楽にしてくれよ?」
上半身を起こすと両手で体を触ってくる、肩や腕、その手は徐々に胸へと移動し乳首を見つけると指先でつまんでくる。淡い刺激に声を漏らすとそれだけでオブシディウスは嬉しそうに笑う。
「へぇ、なるほどな。また一つ覚えたぜ」
徐に顔を下げると乳首を舐めてくる、あっお、オブシディウス……!何か言いたいけど恥ずかしくて結局名前を呼ぶしかできない、そんな言葉を聞きながら得意げになって舐めたり吸ったりしていた。
「可愛く鳴くじゃねぇか、気持ち良かったか?」
はぁはぁと荒く呼吸をしながら横を向く、恥ずかしくて言えません。がははと笑うと腕で口を拭う。
「いいじゃねぇか、テンションブチ上がるぜそういうの。もう俺が我慢できねえよ、すぐにイくなよ?」
体を下げると片手を股間へ持って行く、あの手は硬く勃起していてもほとんどを握れてしまうようだ。その手の中でゆっくりとそれを扱き、もう片方では玉もやんわりと揉んでくる。いきなりの直接的な強い刺激に思わずシーツを掴んでしまう。や、優しくしてくれないとすぐ……だがその手の動きは徐々に速くなる。
「感度がいいんだな?ふー、やばいな、悶えるお前の姿はどうにも止められない衝動が湧いてきちまう」
手を離すと間髪入れず顔を下げてしゃぶってくる。ヌルリ、唾液に塗れた肉が纏わりついて埋めてくる。あぁぁっ!流石に声を我慢できず両手でオブシディウスの角を掴んでしまう。それでもオブシディウスの動きは止められず激しく上下に擦られていた。
ジュブッジュブッ
吸い付き、吸い込まれ、その中で舌が巻き付いて擦られる。敏感な亀頭を分厚い舌で覆い隠され舐めまわされて思わず力が入る。そ、そんなしないでって!で、出ちゃう……っ。その声はオブシディウスの動きを速める原因になった。急激に自分の中で射精欲が上がり一気に駆け抜ける。話しかける余裕なんてなくて、次の瞬間には体を弓なりに曲げていた。
ドプッドプッドプッ
「んっんぐっんぐ」
動きが止まると喉の音が部屋に響く、口が窄まりごくごくと飲んでいるのが分かった。その刺激があまりに気持ち良く、汗ばんだ手は角を離すことができない。数秒して出終わると軽く頭を上下し尿道に溜まっている物も吸い取ると口を離した、それを察してようやく手も離すことが出来た。
「っぷは、若いな観測者、大量じゃねえか。これがお前の精液の味ってわけだな……」
どんどん知らないことが知れて楽しいぜ?心底そう思っているのだろうオブシディウスは笑って言っていた。ベッドに座ると手を太腿に置く。
「さぁお前の番だぜ、俺の事を検査するんだろ?それとも俺が上から下まで全部調べてやろうか?」
い、いいって自分がやる!やります!このままだと本当に全部余すことなくあれこれされてしまいそうだから慌ててそう言うとがははと笑われてしまった。体を起こすとオブシディウスを見る。外から入る明かりで汗や唾液が光りオブシディウスを輝かせる。それは最高の雰囲気を醸し出していたかもしれない、エロさというよりはセクシーさ、淫靡、蠱惑的、そんな表現が似合いそうだ。体はごっついのに。
我慢できないのは自分もそうだった、ゆっくり近づくとされたように両手で肩に触れる、遅い動きで手の方へと動いていき腕や二の腕の筋肉を確かめていた。あまりにも太く、同じ人であるというのに自分とは明らかに違う、自分がどう鍛えようともこんな風には慣れないだろう。
続いて手は胸へと移動する、ここも筋肉の盛り上がりが凄かった、外から見てかなり分かりやすい部分だろう、力を入れていない胸筋は柔らかさがあり揉んでいて楽しい。谷間のふさっとした獣毛に触れるとちらりとオブシディウスを見る、目が合うとへへへと笑っていた。
「検査したいんだろ?お前の知りたがってることだ、遠慮も恥じらいもしなくていいんだぜ」
言われて唾液を飲み込むとその谷間に顔を寄せて埋めてみる、毛の感触が心地良く、思ったよりもさらりとしていた。その中で染み込んだ汗とオブシディウスの体臭が鼻腔の中で充満する。なんというか、男臭いというか雄臭いというかおじさん臭いというか……今の自分にはあまりにも効果があり過ぎる好きな匂いだった。
「ぉぉぉ……」
嗅ぎながら両手で胸を揉み、やがて乳首を見つけるとそこを重点的に攻め……いや調べてみる。まだ柔らかかったが弄っていると徐々に硬くなっていった。獣毛から顔を離すと乳首に顔を寄せて舐め、吸い付く。
「あぁいいぜ観測者、たまらねぇ……」
オブシディウスも乳首の感度は良好のようだ、これはしっかり覚えておこう。不意に頭の後ろに手を置かれてぐいぐいと押し付けられる、上からはオブシディウスの可愛い嬌声が垂れ流しだった。
数分して終わりにする頃には乳首はべとべとになっていた、若干息を乱しながらこの検査は気に入ったか聞くとあぁと頷く。
「こいつぁ定期健診してもらわないとな、くせになりそうだぜ」
いつでも準備しておかないとね、へへへと笑うと両手で腹を撫でる。デコボコとした腹筋は日々の努力を手の平に直接教えてくれる。見た目、感触から男らしさを感じ普通に魅力を感じてしまう、素直に格好良いと。撫でられて気分がいいのかふーと鼻から息を出し天井を見つめていた。
それが視界に入った瞬間どきりと心臓が高鳴ってしまう、生唾を飲み込むと手の平で鼠径部を撫でる。頭の中ではすでに股間に意識が集中していた、ガチガチに勃起したオブシディウスの陰茎は何度もビクンビクンと怒張し、先走りの雫さえ溜めている。その根元から沢山の皺を作り下に伸びているのはオブシディウスの睾丸だ、こっちも想像してるよりもずっと大きくて何とも重量感がある。重たそうにベッドに乗っかり若干皮が弛んでいた。陰茎も睾丸も成人男性よりも遥かに大きく、色もどす黒い。正直近くで見続けていればそれだけで射精だってできそうなくらい、少なくとも自分にとってはあまりに魅力的な物だった。はぁはぁ、口が渇く……。
我慢できず掴むとゆっくりと上下に扱いてみる、瞬間先走りがだらりと流れてきて手の甲を濡らす。それと同時に上からは先程よりも大きい嬌声が聞こえてきた。
「気持ち良いぜ……そのまま検査してくれよ観測者、今更だから言うが待ちわびてたんだぜ、好きなだけ調べてくれ」
言いながらオブシディウスは横になった、太い血管を浮きだたせる陰茎は感度も勃起力も問題なし、良好だ。先走りの量はやや多め、しっかりと機能していると。こっちはどうだろう?
「はぁぁ……」
一度手を離して両手で玉に触れる、じんわりと汗で湿り、いちだんと熱が籠っているようで熱かった。柔らかくて、揉めば中身が上へと動く、それが気持ち良いのかオブシディウスの深い息が聞こえた。皮が少し厚く、手に持って分かるがかなりの重量がある、存在感が凄かった。陰嚢を伸ばしたり擦ってみたりして反応を伺いながら調べていく、次いで顔を近づけると睾丸の間に押し付ける。
「んん?……変わった奴だなお前は。だがぁいい気分だ……あぁぁ、どんどんブチ上がっちまってる」
嗅ぐと他よりもずっと強い匂いが鼻腔の中に入ってくる、この場所特有のあの匂いだ。風呂にも入っていない為まぁ言ってしまえば臭さはあるが、それでも顔を背ける程じゃない、むしろこれが自分の中の性欲を刺激している、酔いしれるというのはこういう事かもしれない。興奮がどんどん高まっていく、自分の中の理性が薄れ、衝動が止められなくなっていく。
口を開けると睾丸をしゃぶりだす、一つで口いっぱいになるそれは初めて味わうような、何とも例え辛い味だった。若干のしょっぱさと、肉っぽい?よく分からないが確実なのが一つ、自分にとっては美味いということだ、それでいてしゃぶっている自分の方が気持ち良い、口の中が気持ち良いと感じてしまう。
両方を余すことなくしゃぶり、それが終わると玉を持ち上げて会陰へと舌を伸ばす、瞬間びくりと体を震わせていた。
「おいおい、そんな所舐められたの初めてだ。ぉぉ、はぁ……凄いなお前は。俺の事なのに知らなかったみたいだ、気持ち良いぜ」
ここまでくるともう制止も抑制もかなぐり捨てて欲望に忠実に従っていたと思う、やりたいからやる、検査したいから調べる。オブシディウスの睾丸も会陰も、味匂い共に正常で良好で?感触も香りも病みつきになるような?なんというか検査結果そんな感じだ。正直毎日検査したくなる。
自分が再び陰茎に戻る頃には股間は先走りでびっちょりになっていた。いつの間にか呼吸が荒くなったオブシディウスは頭を持ち上げるとこっちを見てくる。
「さんざん焦らしてくれやがって、そこだけ手抜きするなよ?」
分かってるって。簡単に出さないでよ?それを調べるんだろ?俺は結構耐久力あるぜ。何を言っているんだかと苦笑すると再び陰茎に触れる、もう先走りで亀頭や下腹部がびちょびちょだ、相当感じていたらしい。持ち上げると口を開きしゃぶり、口を窄めると頭を上下する。
ジュブッジュブッ
「あぁぁ、たまらねぇ……凄ぇぜ観測者。ぉぉぉっぁぁ……」
口の中に一気に雄臭さが広がる、太すぎる陰茎はあっという間に口いっぱいになって隙間がほとんど埋まってしまった、舌さえ動かし辛くて仕方がないから尿道辺りに添えて擦ることにした。歯で傷つけないように注意しながら奥の方までしゃぶるがあと少しの所で入りきらない。どれだけ大きいんだ……そう思いながら頭を上下する。刺激的な味と匂いにくらくらしまるで脳が爆発するようだった。亀頭も竿も全てが美味しく、濃い味に舌が喜んでいる、気がするのではない実際に喜んでいるのだ。もっともっと味わいたい、虜になっていく自分は歯止めがきかない。暴走気味の性欲によってどんどん行動はエスカレートしていった。片手で玉を揉み、もう片方では腹を撫でたり乳首を弄ったりする。
「はぁはぁ、ぐっぁ、か、観測者ちょっとは手加減しろって!俺としたことが……やべぇブチ上がってきちまった」
どんどん呼吸が荒くなり若干の焦りを見せるオブシディウス、心なしか陰茎や睾丸もびくんと跳ねる頻度が短くなったような?その時が近いのかもしれない。ならばと更に速さを増して両手で玉を弄る。途端に上からは大きな喜びの悲鳴が聞こえた。
ジュブッジュブッジュブッ
「ぉおっぉぉぉっ、はぁはぁ!だめだ我慢できねぇ!観測者イクぞ!しっかり検査してくれよっぐおおおおお!!!」
ドプッドプッドプッ
片手で頭を押し付けると雄々しく唸って射精をしてくる、陰茎は全て口の中に入り喉を通り越してその奥で出してるように感じた、呼吸がほんの少ししか出来なくて苦しく、その隙間もやがて大量の精液で埋まってしまう。何度もごくごくと飲み込むが当然追いつくはずもなく逆流して口や鼻の中全てを満たしていく。
「ぁぁぁっ、はぁ!ぜぇ……」
少しずつ量が減り止まる頃には少し萎えたようだ、そのおかげで息が出来急いで飲み込むと口を離す。横を向いてゲホゲホと咳き込むとオブシディウスは体を起こして背中を撫でてくれる。
「大丈夫か?ありがとな、初めてあんな量出したぜ。凄い気持ち良かった」
それは良かったね、こっちは大変だったよ……するとオブシディウスはがははと笑って頭を乱暴に撫でまわす。
「怒るなって、だがお前も嬉しかったんだろ?だから口を離さなかったんだろうしな」
まぁ実際凄く気分良かったししたいからしたわけで、そう言われると言い返せなくなる。得意げになるオブシディウスはへへへと笑うと両手で肩を押してベッドに押し倒す。その目はギラついていて欲望が混じってるのが明らかだった。
「これで終わりじゃないよな?そういや診断結果を言ってなかったな、お前にはどうやら注射が必要らしい」
言いながら腰を押し付ける、先程萎えたと思っていた陰茎はもう硬くなっていた。目が合うと、注射は苦手なんだよねと……すると安心してくれと笑う。
「こいつぁ痛みはねぇ気持ち良くなれる注射だ。きっとくせになるぜ?」
危ない言い方をすると上半身を起こし両足を持って持ち上げてくる、ほら自分で持ってくれよ。言われるままに行動すると尻を掴まれ横に広げられる。
「んっ……」
ふいに肛門に熱さを感じた、ヌメる物体は穴の表面を行き来し、やがて中へと入ってくる。すでに太さを感じるが柔らかくて今は素直に気持ち良さを感じた。若干異物感はあるが気になる程ではない。ぴたり、口を肛門に押し当てると中で上下し舐めまわしてくる。初めての刺激と感触にぁぁぁ~と変な声が出てしまう。恥ずかしかったがオブシディウスはそれを全く気にせず夢中になっていた。
チュプッジュプッ
「っぷは、ようしこんなもんだな。慣らしていくぜ?」
言いながら人差し指を押し当てる、ゆ……ゆっくり、慣れてないから……分かってるって。中に入ってくると流石に若干の痛みと抵抗感があった、それをオブシディウスはすぐさま察して止まる。何も言わずともたった一瞬顔を歪めたり震えたりするだけでそれを感知する。息が整い表情が和らぐとゆっくりと動かしていく。
「……」
オブシディウスは汗を流しながら真剣な目でこっちを見ていた、いや……何か違う?まじまじと見ていて、息もずっと荒い。
「もう一本、入れていくぜ」
こくんと頷くと二本目を入れる、同じように止まって動いてを繰り返し痛みが完全になくなるまで続けていく。必死で慣れる努力をしている最中オブシディウスを見るとやはりあの目をしていた、ギラギラしていて欲望の炎が燃え盛っているような、いや先程よりも強い?
オブシディウスの陰茎は太い為しっかり手を抜かず慣らしていく、時間はかかったが指が四本入るくらいまで広がった。ぜぇぜぇと呼吸を繰り返しながら指を抜くとオブシディウスは再び顔を近づけて舌を中へと入れる。あぁぁ!い、今それされるとっ!敏感になった中を蛇が暴れるかの如く舌を動かし舐めまわす。ヒダを擦り、腸液を舐め取ってごくごくと飲まれる。数秒そうして顔を離すと口周りを汚しながらこっちを見ていた。はぁはぁ、オブシディウス……?
「悪い観測者、俺の事ぁ見ただろ?新しい姿で牢屋をブチ壊すあの姿を。俺の中のよ、破壊衝動を……言っちまえば俺はお前を、お前を壊したい観測者」
え?すぐには理解できず聞き返すと鼻からぶふーと息を吐く。
「俺の中の破壊衝動がお前を壊せと言ってるんだ、滅茶苦茶にして、ブチ壊して……そんでもってよ、俺の虜にさせてぇ。俺もお前を壊しながらお前の虜になりてぇんだ、観測者」
上半身を倒すと顔を近づけて鋭い目で見つめてくる。嘘なんか言っていない、全て本気だ。
「お前を……壊させてくれ」
会話が途切れしんと部屋が静まり返る、お互いの荒い息が重なり合い、オブシディウスの汗が顔に流れてくる。そんな彼の顔にそっと手を寄せる。ちゃんと後で責任取ってよね……?オブシディウスは安堵したかのように笑うとこくんと頷いた。
「俺が全部面倒見る、お前は何もしなくていい。一時だけ、俺に全てを預けてくれ。大丈夫だ、絶対に苦しませない、約束する」
体を起こすと片手で陰茎を持ちそれを肛門へと当ててくる、入れるぜ観測者。一言言って中へと入れてきたのだ。
ズブッ
いきなりの鋭い突きだった、一気に根元まで入ると体に指とは比べ物にならない快感が襲ってくる、大津波のようにそれはあっという間に全身を飲み込んでいった。あれだけ広げたというのにそれでも余裕はなくてかなりキツさがあるが痛みは感じなかった。
「おぉぉすげぇ、我慢なんか出来ねえぜ観測者。我慢なんかしてやらねぇ!」
パンパンパン
激しく腰が動き出す、まるで盛りの付いた野生動物のようにそれはあまりにも荒々しかった。両太ももをがっちりと抱え込んで汗を飛ばしながら何度も貫いてくる、まさに壊そうとしているようだった。ありったけの力で腰を打ち付け、ぎりぎりまで差し込むと次の瞬間には飛び出そうなくらい引き、腸を限界まで広げて奥の奥まで貫いてくる。それを何度も行っていた。
「はぁっはぁっはぁっ」
言葉はなく行為に集中する、オブシディウスの腰がぶつかる度に体が大きく揺れて酔いそうになる、振動が下から上へと伝い意識が飛びそうになるのだ。もはやまともではいられない、普通の思考なんて出来るわけがなかった。ただただ全身が気持ち良い、体が、脳が最高潮に達している。
「もっとだ観測者!はぁはぁっ!」
太腿を抱え込んだまま両手首を掴まれ引っ張られる、そのまま更に激しさを増していく。引き寄せられ、腰がぶつかるとガツンと奥が擦られて悲鳴が上がる。その衝撃で体が離れれば腕を引っ張られまた腰がぶつかってくる。快楽に溺れながら少しの理性で本当に腰が壊れてしまうのではと思っていた、骨が砕けたりしないだろうか……そんな考えもすぐさまなくなり今はそれでもいいかななんてさえ思わせてくる。この気持ち良さが続くなら、オブシディウスに壊されるならそれでいい。
ズブッズブッズブッ
「はぁっはぁっはぁっ!やべぇな、過去一番ブチ上がっちまってるぜ、こうなっちまったらもう俺は止まれねぇ、最後まで付き合ってもらうぞ」
ぐいっと上半身を倒すとベッドに足をつける、少し前に移動させると両手で肩を押し付けながら上下に動き始めたのだ、振動を利用し思い切り腰を落とすと腸が抉られる、体位が変わったことによって当たる場所も変わり先程よりも強い刺激と快感が送られてくる。壊されながら見るオブシディウス、顔を前に向けて歯を食いしばりながら食らうかのように腰を振っていた、上から汗と唾液がぼたぼた垂れてきて体や顔を濡らしていく。口を開け舌を伸ばすとそれすら求めてしまっていた。この行為できっと体だけでなく脳も破壊されてしまったのだろう、他の誰もいないのだ、今は自分のやりたい事をやればいい。それが例えどんなに変態的な事であろうと。
「ふーふー、俺の唾液が欲しいのか?くれてやる……っ」
気づいたオブシディウスはニヤリとすると両手で頭を押さえて口をつけてくる。
「んんっんっんっんぅっ」
パンパンパン
腰を落とす度に合わさった場所から体液が飛び散る、互いに汗にまみれながら抱きしめ合い貪り合っていた。口内では出来る限り舌を絡ませ合い擦りあって絶えず唾液を飲み続け、腰の動きも止まらない。まるで一つの肉塊になったかのように離れず快楽を享受する。それは自分にはあまりにも過剰すぎて徐々に意識が朦朧としていく。やばい、出そう……ぁぁ……。
ドプッドプッドプッ
思った時には射精をしていた、挟まれた腹の間で精液はドプドプ出てお互いを汚す。それは動きに合わせて伸びて泡立ち、スベりを良くする。
口を離すとぜぇぜぇと呼吸を繰り返し見つめ合った。だ、だめオブシディウス……本当に壊れちゃう、今擦られると……っ!射精後の敏感な陰茎は触らずとも穴を擦られ過度に感じてしまう。だがオブシディウスは体を止めなかった。
「壊してほしいんだろ?はぁはぁ、俺ももう少しで……ぐっはぁ!」
切羽詰まった顔をすると体を倒し背中と頭を抱きかかえてくる、動きは細かく激しくなり唸り声のような息遣いになった。オブシディウスの胸の体毛に顔を埋めながらなすがままにされる。
「おおおぉぉイクッ!イクぞ観測者!がぁぁ!出るっ出るっ!うおおおおおお!!!!」
ゴポッゴポッゴポッ
ずしんとまるで地震を思わせる振動を最後に中でぶちまけてくる、骨がミシミシいうのを感じながら中の液体が逆流していくのが分かった。あまりに熱く、あまりに多い精液は腸を膨らませながら腹へと溜まっていく。まるで交尾を思わせるその迫力に思わず孕んでしまうのではという思考に陥る、それがまた心地良くて、液体や中で膨らむ陰茎、密着した肌や聞こえる吐息全てが快感に繋がり遅れて自分も射精していた。あまりに過剰すぎる快楽は意識を徐々に遠のかせていく。
「ぜぇ……ぜぇ……」
体を起こすオブシディウスと目が合う。
「……観測者、ありがとな付き合ってくれて。こんなもん一生忘れられそうにねぇよ、くせになっちまった」
その言葉に自分もだよ……そう言って瞼が下がってくる。壊されちゃった……虜になっちゃったよ。ごめん少し、休ませて……。
「あぁ分かった、後は任せてくれ」
言いながら近づいてくるとキスをしてくれる、そこで瞼が閉じると意識が離れていった。
「……愛してるぜ、観測者」
*
それは数年に一度の大きなイベント、ヒーローエキスポ。沢山のヒーロー事務所が集まって盛り上がる大人気のイベントだ。そのイベントに自分が出ることになる、この前初めてそれに参加し不安もあったが楽しめたと思う。それ以降イベントがある度に都合が合えば自分が出るようになった。イベントに出る前にいつものように病院で検査をする、最初こそ緊張したが一度やれば少しは慣れる……慣れるだろうか?
今日も今日とて病院に足を運んでいた、検査着に着替え、指示に従って順調に進めていく。すると院内で見知った顔を発見した。
「あ~、やっぱ慣れねえなぁ、なんつうか雰囲気というかにおいというか。まぁ前よりかは落ち着けるようになったけどよぉ……」
相変わらずぶつぶつ独り言を言っているようだ、こっそり近づいて後ろから声を掛ける。またハグが必要かな?
「ぬぉ!いつの間にそこに!っていうか盗み聞きするなって!恥ずかしいじゃねえかよ」
赤くなってぽりぽり頬を掻くが今度は腕を組んで少し得意な顔になる。
「聞いてくれよ観測者、今回は俺は特に異常はなかったらしいぜ。あれから珈琲飲み過ぎも注意してるし色々無理をしないようにしてるからな」
よしよし偉いね、おいおい何だか子供扱いしてないか?笑い合うとオブシディウスは横を向く。どうやら後一つらしい。
「まぁ採血はするみたいだけどよ。やれやれだぜ」
さてと!とオブシディウスは歩き出そうとする、あれ?今日はいつもより速いね?するとニシシと笑う。
「お前から沢山勇気をもらったからな。もうあれの前でうじうじする格好悪い俺はいねえ、たまには格好良い所も見せなくちゃな!」
採血一つに格好良いも悪いもあるかなぁ。するとオブシディウスは大袈裟に驚いてむくれる。い、いいじゃねえかよ!俺だって頑張ってんだから!意地悪しねえで褒めろって!はいはい偉いね~お、お前なぁ!
「ったく、それじゃあ行ってくるぜ!ロッカー室で待っててくれよ、どうせなら一緒に帰ろうぜ」
うんと頷くと逃げるなよ~と言いながら館内を走っていった。あ、スタッフに怒られてる……。
バタン
「ようし終わったぁ!」
ロッカー室で着替えてるとオブシディウスが入ってくる、お疲れ様。おぉお前もお疲れさん。横に来ると一緒に着替えだした。
「やっぱり検査が終わった後の解放感はいいもんだな。正直やっぱり病院は苦手だぜ……」
それでよとオブシディウスは話しかけてくる。
「この後、空いてるか?」
予定が――
「まぁた嘘なんだろ?そうだな……」
少し考える素振りを見せると近寄ってきて肩を掴む。顔を近づけるとぼそりと呟く。
「……お前にだけの特別な注射してやる、どうだ?俺と来るか?」
言われて顔が赤くなった、ずるいよそんなの……。がははと笑うオブシディウスは頬を赤くすると視線を逸らす。
「お前と一緒に居たいんだよ、いいだろ?色んな事あったがまだまだお前の全部を知れたわけじゃない。だからまぁあれだ……」
ふぅと息を吐くと手を握ってくる。
「デート、してくれ」
あまりに豪快な笑顔でまっすぐ見つめてきて心臓が高鳴る。だからずるいってそんなの……否定できないって。心底嬉しそうに喜ぶと顔を近づける。
「少しだけ、味見させてくれよ、家まで我慢できねえ……んんぅ」
互いの口が合わさると舌同士がくっつく。数秒それを堪能すると離れていった。もうスケベ。お前には負けるって。言いながらいつもの服に着替えていく。
「さぁてと、夜の街に繰り出すか。まずは腹ごしらえしようぜ!」
腕を伸ばしたオブシディウスに抱き寄せられる。その顔は朗らかで嬉しそうで――
「っへへ、大好きだぜ!観測者!!」
誇らしげだったのだ。
完