Ad
「どうかしたか、クロコダイン。」
そう言いながら獅子の頭に強靭な肉体を蓄えた勇壮な雄ーレオ・グリーディアは振り返った。
その視線の先には他のリザードマンに比べむっちりとした肉付き、更にレオよりも一回りは大きい肉体をもつ、人に友好的なリザードマンークロコダインが顔を少々赤らめながら首を横に振った。
「な、なんでもない。」
「…そうか。」
クロコダインの言葉に、レオはどこか納得がいっていないような表情をしながら一言だけ返す。ここ数日、クロコダインの様子が少々おかしい事に気が付いていたが…あえてレオはそれを問い詰めるような事はしなかった。
何か重大な事があれば彼から言い出すだろうし…体の異常なら分かる…つもりだ。そう考えたからである。二人はそれほどまでに互いを信頼し合っていた。
元の体に戻り切れず、未だに呪いの残っているレオはその呪いを解くために孤独に旅を続けていた。
その道中で、自分と同じように旅をしていたクロコダインと出会い…共に何か通じるものを感じたのか、共に旅をするようになったのだ。
幾度の危機を乗り越え、苦難に立ち向かい。そうしていく内に二人には強い絆が生まれていた。それは友情とも違う。ましてや愛とも違う。…言葉には出来ない。それこそ絆、と称するにふさわしいものだ。
少し立ち止まってしまったが…ここは魔物の多い地帯。同じ場所に留まるのは危険だ。レオはクロコダインの前を歩き始め…クロコダインもそれに少し遅れて、後に続く。
クロコダインは内心、びくびくしていた。
旅の道中。レオの命を狙う呪術師に襲われた時にそれは起きた。レオのほんの一瞬を突き、呪術師はとある呪詛の言葉をレオに唱えた。
それに気が付いたクロコダインは咄嗟に呪術師の視線を自分に向けさせ…その言葉を自分に向けさせたのだ。もちろん呪術師は獣王会心撃によってバラバラに引き裂いた。
その時はなんでもなく…何の呪術だったか分からなかった。当初は失敗したか、詠唱途中だったのだろう、と判断し…特に何の手を打つこともしなかった。
しかし。旅の途中で。
野営をし、目覚め。尿意を覚えたクロコダインはまだ眠っているレオから少々離れた場所で用を足そうと自分のスリットに手を伸ばした。
そこで自分の体に起きている異常に気が付いたのだ。…スリットの中に納まっていたはずの雄の象徴―剛直が無いのだ。探そうと指を更に深くに入れようとするが…
「んっ…!?」
ぐちゅり、と湿った音が指から体内を通ってクロコダインの耳に届いた。スリットの中には肉棒が収まり僅かな空間がいつもならあるはずなのに。その指で感じたのは肉の感触。
その感触には覚えがある。数度抱いた事のある。雌。
つまり。
今現在、クロコダインのスリットは見事な女性器に変貌していたのだ。
どうやらあの呪術師のかけようとしていた呪術は屈強な雄をか弱い雌に変えようとしていたもので。
詠唱途中だったのは確からしい。…剛直だけ綺麗さっぱり無くなり、女性器に変貌している。そしてそれ以外の肉体は雄そのままなのだから。
自分の予想は半分当たり、半分外れていた訳だ。しかも嬉しくない方が見事的中。
幸いなことにー本当に幸いかどうかは別として―パッと見はスリットのままであり、レオもそれには気が付いていないようだ。
正直に話そうとも考えたが…レオ自身はかばわれた事にすら気が付いていない。それをわざわざ伝え、しかもそのせいで自分の剛直が無くなり女性器になったなど…
言えるわけが無い。
自分の羞恥心もあるが、それ以上にレオが自分自身を責め続けることになるだろう。それを見ているのはクロコダインには耐えられそうにも無かったのだ。
そして今に至る。
もちろん道中立ち寄った街でレオに見つからないようこっそりと教会にも行き、相談をしてみた。しかし見たことの無い呪術、しかも中途半端な成功。…解く手段を知る神父などおらず。
八方ふさがりである。自分がリザードマンであることに感謝したことはこれ以上に無いだろう。
はぁ、と少々ため息を吐いて。
「クロコダイン?」
「…あっ、あぁ、なんだ?」
どうやらレオはクロコダインに何度か話かけていた様だ。怪訝そうな表情でクロコダインに近寄っている。クロコダインはハッ、とした表情を浮かべるがすぐ悟られないように平坦を装った。
自分でも気が付かない内に深い思考に入っていたらしい。気が付けば辺りは夕暮れ。まもなく陽が沈み…魔物たちの時間になる。
「…何かあったのか?」
「だ、大丈夫。少し疲れただけだ。」
「そんなこと言うとは、クロコダインらしくないな。まぁ正直に言うと俺も少々疲れた。…そうだな、ここは安全そうだし、今日はここで野営をしよう。」
「分かった。」
レオの言う通り、今二人がいる小さな湖の近くは魔物の気配や残り香などはなく、安全そうだ。湖の持つ清廉性のお陰なのだろうか。
そうと決まれば。レオは背負っていた荷物を降ろし、肩をゴキゴキと鳴らした。
長旅、それに伴う荷物は当然重苦しいもので…降ろせば肩が軽くなり、自然と気分も緩む。
荷物も降ろし、気が緩んでしまったのだろう。レオはくわぁぁ、と普段は見せないような大きな欠伸をしながら身に着けていたマントやブーツを脱ぎ…褌一枚になる。
ここの所まともに水浴びもしていなかったおかげで酷い臭いだ。
「むぅ…眠い…」
しかしそれも気にならないのか。レオは横になると目を瞑り…早くも眠ってしまう。
一方のクロコダインはというと…はぁぁぁぁ、と大きなため息を吐いた。
目の前で繰り広げられた半ばストリップショー。まぁ同じ雄であり、共に旅をしているのだからそんな事気にする必要はないのだが…
バレないように気を張っているクロコダインとは大違いである。とはいえ自分でバレないようにしよう、としたのだから仕方あるまい。
クロコダインもレオに遅れて荷物を降ろすと鎧を脱いだ。レオと同じ褌一枚。とはいえその褌に膨らみは無く。少しずらせば出てくるのはスリット…と見紛う。
女性器なのだ。
「…はぁぁぁぁぁ…」
さてこれから先どうしたものか。思案するも妙案が思い浮かぶはずもなく。これから先の事を考えると気分が重たくなってしまう。とりあえず地面に横たわると…クロコダインもそのままうとうととした眠りについた。
[newpage]
虫の鳴き声が聞こえる。動物の泣き声が聞こえる。湖の水が跳ねる音が聞こえる。
「んっ…ふぅっ…」
クロコダインはそんな静かな中で目を覚ました。…というよりも覚めてしまった、と言った方が正しいだろう。
風がそよそよと吹き抜ける。丁度レオが風上にいるせいだろう。レオの汗の臭いと雄独特の臭いがクロコダインの鼻に入り込み…意識を覚醒させたのだ。
一方のレオは…安心しきった様子で眠り続けている。まったく、のんきなものだ、という思いと…それだけ自分を信頼している、という嬉しさがこみあげてきた。
月が天高く昇り、静かな湖や、クロコダイン、そしてレオも照らした。
レオの肉体が妖艶に映ったような。そんな気がした。
「…む…?」
そこでクロコダインは、自分の褌が少し濡れている事に気が付く。…かなり厚手の褌。それが分かるほどに液体が染み込んでいるのだ。
しゅるしゅると慣れた手つきで褌を外すと…女性器がくぱ、くぱ、と蠢き、涎のように透明な汁を垂らしているのだ。
外気に晒されたそれは…
「んっ…!?」
じゅんっ、と今まで感じたことの無い熱と疼きを持ち始める。いや、すでにその予兆はあったのだが、クロコダインが気が付いていなかっただけのようだ。
レオの姿を、臭いを。それを感じ取った事で自覚せざるを得なくなってしまったようである。蠢く女性器は相変わらずだらだらと透明な汁を零し…クロコダインの下腹部を熱く疼かせる。
自慰や行為を我慢していた時よりもそれは強く、甘く。どうすればいいのだろうか。触れば分かる…?
クロコダインはごく、と唾を飲み込みながら…そのワレメをゆっくりと摩ってみた。
「…ッ!!!」
それだけでクロコダインの背筋に電撃のような快感が走り抜け、ワレメからごぽり、と大量の汁が零れてきた。
こちらは先程まで出ていた透明な汁と違い…粘度が高く、少々白く濁っている。しかし、仄かに甘いような…そんな臭いが立ち込めていた。
ワレメを触っただけ。それだけでこれだけの快感。
「駄目だッ…」
クロコダインはこれ以上はいけない、と震える指をワレメから離した。これ以上触り続けるのは危険だと雄の本能がクロコダインの体を律する。
しかし、生まれてしまった雌の本能が理性に問いかけるのだ。
指を入れるだけ。それだけなら大丈夫。気になるだろう?どれだけ気持ちいいのか。快感なのか。
軽く指を入れて、締め付けるだけ。たったそれだけなら問題ない。レオにバレる事も無い。まだ戻ってこれる。
それは甘い誘惑。聞き入れてはいけないものだ。理解している。分かっている。
だが下腹部は切なく疼き、この疼きをどうにかしたい、と悲鳴を上げている。
風がぴゅう、と吹いた。
レオがごろん、と寝転がる。横向きに眠っていたが仰向け、大の字に変わり…脇からもう、と先程まで漂っていた汗の臭いよりも強い臭いを放っていた。
その臭いは、クロコダインの理性を陥落させるには充分すぎる。耐え切れなくなったクロコダインは…レオの身に着けていたマントを手に取った。
肉体から直接嗅ぐよりも薄い。しかし、しっかりとレオの臭いがマーキングされている。
「じゅるっ…んぐっ…」
いつのまにか口の端から滴るほどに垂れていた唾液を飲み込み…クロコダインはそのマントを自らの鼻に押し当て、ゆっくりと鼻で深呼吸をする。
脳がガツン、と鈍器で殴られたかと思うほどの衝撃。ワレメから地面を濡らすほどの粘液が溢れ出した。下腹部の疼きがどんどん強くなる。
片手でマントを持ち、ひたすらその臭いを嗅いで。もう片方の手でワレメの周辺を摩り回す。電撃が何度も流れ、クロコダインははしたなく背を反らせた。
ワレメの周辺は既にびしょびしょに濡れており…指を挿入することなど容易いだろう。
少し入れるだけ。少しだけ。少しだけ。それできっとこの疼きは収まる。そしたらまたバレないように旅を続け、この呪いを解く。それだけ。
だから、今だけは、少しだけ。
そう何度も頭の中で唱えるように。言い聞かせるように。そしてクロコダインは…びっしょりと己の粘液で濡れた人差し指をつぷり、とワレメの中に押し入れた。
「んぶぅぅぅっ!!!」
マントで口や鼻を覆っていなければそのくぐもった声は獣王の遠吠えとなっていただろう。そうならなかったのは奇跡に近い。
ワレメの周辺を触っているだけでも快感だった。しかしそれはこの挿入の悦びや充足感、幸福感。それらに比べればほんのちっぽけな快感でしかなかった。
クロコダインの目じりが自然と下がっていく。呼吸が荒くなる。そしてそれはレオの臭いを更に肺の中へ押し込め…脳を揺さぶる行為と何一つ変わりない。
自分の身がレオの中に埋もれていくような錯覚。そしてそれは、この上なく幸福な事なのではないのだろうか、とすら思える。
互いに雄同士でありながら抱き合ったこともある。慰めるだけの行為ではなく、互いを確かめ合うために。
その時は互いの雄をぶつけ合い、互いに雌になった瞬間であった。どちらかがどちらかであることはなかった。もし、自分が雌の状態で、雄に抱かれたら…?
くちゅくちゅとかき混ぜる指が止まらない。膣壁がぐにゅぐにゅとクロコダインの指を包み込み、まるで繊細な絹糸に触れているかのように心地よかった。
指でも快楽を感じているが、それ以上に膣壁から流れてくる快感にクロコダインは酔いしれる。尻穴を弄った時と比べ物にならない。剛直と比べてすらそうだ。
常時射精以上の快感が。指を動かすたびに得られる。
「んっ、んっ、ふぅっ、ふはっ、んんっ…!」
何度も何度も呼吸を繰り返し。指を動かしては抜き、周辺を触り。そして快感が快感を呼び…止まらない。
ほんの少しだけ、と思っていた行為は…止まらなくなってしまった。
腰が笑ってしまうほどに。指でがむしゃらにかき回して。レオのマントの中で喘ぎ。クロコダインの雌が肥大化していく。
[newpage]
「…むぅ…」
太陽の眩しさを目に受けて、レオは目を覚ました。眠るつもりはなかったのだが…どうやら眠ってしまったらしい。上半身を起こし、ボリボリとボサボサの鬣を掻いた。
辺りを見渡して…隣にクロコダインが居る事を確認する。どうやら彼もかなり深い眠りに入っているらしい。…かなり地面が濡れ。そして自分の身に着けていたはずのマントをその手に愛おしそうに握っているが。
まぁ安全に朝を迎えられ、しっかり休むことも出来た。…しかしまぁ、地面に直接横になっていたせいで体が汚れ、そして酷く汗臭い。
くんくん、と鼻を鳴らすとつん、とした刺激臭にも近い臭いがして、レオは顔をしかめる。行為の最中なら気にならない…むしろ昂るが、こういった時は別だ。
とにかく今は体を清めたい。…レオは褌をしゅるり、と取り払うと生まれたままの姿になり、湖から手で水を掬うとざばぁ、と自分の体を流した。
程よく冷たく、未だに半分ほど眠っていた頭がすっきりと冷めていくのが分かる。…クロコダインも自分が寝ている間に体を流したのだろう。そう思えばあれだけ濡れていても別に不思議なことは無い。
さて。レオは早速湖に脚を踏み入れた。…浅瀬になっている様で、少しずつ進んでいけば、腰より下が少々浸かる程度である。その先はかなり深いが…綺麗な湖にしか生息できない魚の姿が視認でき。
過酷な旅の中で。みつけたオアシス。
レオはぱしゃぱしゃとその顔や胸、腹などを存分に洗う事とした。
…眠ってしまった、と言うよりも、気絶してしまった、と言った方が正しい。クロコダインはうっすらと意識を取り戻しながら…むくり、と上半身を起こした。
足元や股間の部分はずぶぬれ。…悲しい事に全て自分が出した体液である。
気が付けば明け方近くまでワレメを弄り続けー早い話、自慰をし続けー耐え切れなくなった脳が意識を無理矢理シャットダウンしたらしい。
まだ快楽の余韻が残っているのかワレメはひくつき、汁を零している。太腿なんかは乾く気配すらない。
「起きたか、クロコダイン。」
その声はレオの声。隣にいた筈のレオが居なくなっていて…湖の方から聞こえてくる。そちらへ目を向けると…クロコダインは息を呑んだ。
勇壮な獅子はにこり、とほほ笑み。クロコダインを手招きする。
「一緒に水浴びでもしないか?…体が汚れてるぞ。」
ごくり、とクロコダインは思わず喉を鳴らした。夜中に満月の下見ていた肉体は、朝日に照らされるとまた違う味を出していた。
煌めく水面に、映える。硬く引き締まった筋肉、そしてそれをコーティングするように胸についた脂肪。丸太のように太い二の腕。硬く山を連ねる腹。
水を浴びた肌は宝石のように煌めき…美しさすら覚え、めまいがしそうだ。今までにこれほどレオを性的で、魅力的だと思ったことがあっただろうか。
今の自分は正常なのだろうか。いや正常でないにせよ。ただひたすらに。
美しい。
じゅんっ、と。昨日あれだけ自分を慰めたというのに、ワレメが、下腹部が。切なく疼く。しかし、これを彼に知られるわけにはいかない。
「…あぁ、そうしよう。」
クロコダインは弱々しく呟くとマントを置いて立ち上がり、湖に入っていった。湖は程よく冷たく、心地よい。
火照った体を冷やしてくれるようだ。
レオの近くまで行き。
「こんなに眠れるとは思わなかった。クロコダインもよく眠っていたようだが、休めたか?」
「あっ、あぁ…」
レオの声が耳から入って、脳に届く。たったそれだけなのに、体の火照りが強くなった。鼓動が止まらない。心臓が痛い。
「なら、良かった。眠ってしまうつもりはなかったのだが、自分が思っていたより疲れていたようだな。もし魔物にでも襲われてたら助かっていなかったかもしれん。」
冗談めかして笑うレオ。しかしクロコダインの耳にそれは届いているのか、届いていないのか。
レオに近付いたクロコダインは…レオの臭いにもはや脳を動かす事が出来ていないのだ。ぼんやりとした頭は考える事を拒み。その肉体や…股間にぶら下がっている雄の象徴から目を離す事が出来ない。
「…クロコダイン?」
問いかけるが、クロコダインはぼんやりとしたままだ。…スリットから粘液が溢れているが…疲れと共にあっちも溜まっているのだろうか。
そう思ったレオは…にっ、と悪戯を思い浮かべた少年のように無邪気な笑顔を浮かべた。
そして…両手で掬った水をクロコダインの顔にばしゃんっ、と少しだけ勢いをつけてぶつけた。
流石に今のクロコダインでもそれに意識を取り戻したのか。
「んぉっ!?」
素っ頓狂な声を上げながら目を見開いた。
「どうした、クロコダイン。寝起きでぼけっとしてるか?それとも、こっちが溜まりすぎてどうかしたか?…慰めてやろうか?」
「いやっ、違ッ…だい、大丈夫だ、なんでもない。み、水浴びもこれぐらいで…」
レオの言葉にクロコダインは尻尾をびんっ、と立ててレオから目を背け、湖から上がろうとした。しかし、その後ろ手をレオが掴む。
そしてクロコダインの腹へ太い指を這わせた。突然与えられた他者からの刺激にクロコダインははぁっ、と熱く息を漏らす。
「触っただけで感じるのは相当溜まってる証拠だ。…湖に出すには気が引けるが、ここで射精させてやろう。」
「やめっ、やめろっ…」
そう言葉で否定してもクロコダインは力を体に入れない。それはほぼ同意と同じだろう。そうみなしたレオはクロコダインの下腹部へ手を伸ばした。そしてスリットの中へ…
「んぉっ…!!」
「…ん?」
クロコダインはレオの指の感触に悲鳴にも近い嬌声を上げると天を仰いだ。しかしもう片方のレオは…眉をしかめる。スリットの中が空洞…でない…?
感じるのは…肉の感触。それは…
「…膣…か?」
レオの言葉にクロコダインは一気に顔を青ざめさせた。今までバレぬようにしていたが…とうとうバレてしまったのだから。
どう説明するべきか。なんと言えばいいのか。言葉を探す。しかし。レオはその言葉を探させることを強制的に中断させた。
クロコダインを振り向かせ、その唇を無理矢理奪い去る。
「んぶっ…!?」
「んっ…」
短く、しかし太い舌をクロコダインの口腔内へ侵入させた。ざらざらとした舌でクロコダインの粘膜をこそぐ様に。そして自らの唾液を流し込むように。
クロコダインは注ぎ込まれた唾液を…飲み干す。どこか遠く甘く、そして自らを屈服させる、強さを感じさせる。そう錯覚させるほど濃い、雄の味。
最初は驚き、目を開いたような状態のクロコダインだったが…やがて目付きがトロン、としたものに変わり、力が抜けてしまっているのか、レオの体に抱きとめられる形で何とか立っている。
膝が笑い、もし支えが無ければ倒れているだろう。…その支えとなっているレオの体が、熱く。胸板がしなやかに、確実に。クロコダインを捕らえて離さない。
「ぶはっ…いつから、だ?」
レオの問いかけに、クロコダインは口をつぐんだ。
答えないクロコダインに…しかしレオは怒るでもなく、失望するでもなく。クロコダインのワレメに指を這わせた。
クロコダインの艶っぽい声がレオの耳を震わせる。…軽く撫で回すだけでクロコダインの割れ目からとろとろと少々濁った粘液が溢れ出し…あっという間にレオの指をコーティングした。
すんすん、と鼻を鳴らすと…レオは嗜虐的な笑みを浮かべた。それは普段は絶対にレオが見せないような表情。隠していたのか、それとも。
「ふむ。…昨日は眠れなかったみたいだな。道理で地面が濡れていた訳だ。」
「そっ…それはっ…違っ…」
「これだけ雌の臭いをさせているのに否定するか?分かるぞ。相当自分を慰めていたようだな。」
「うぅっ…」
否定することは出来ない。確かにその通りだからだ。自分でも分かるほどに、レオの指から雌の臭いがする。甘く、誘うような、甘美な。
「…発情した雌を前に、発情しない雄などいるか?」
その言葉通り。レオの先程まで萎えていた剛直がむくり、と起き上がる。血管が浮き上がり、どくんどくんと脈動しながら跳ねる。レオとクロコダインの体の間で、主張を始める。
挿入の準備は整っている。いつでも挿入できる。びくん、びくん、と二人の腹を叩いた。
それは今のクロコダインには凶器に見える。こんな凶悪で、太く、硬く、熱いモノを、自分のワレメは受け入れられるのか?
スリットも雄穴も拡張をしたからこそ行為を出来た。だがこのワレメは、触ったことしかない。
しかし…その一方で、それを魅力的に感じている自分も同居している。
自分の指、一本ですらあれだけの快楽だった。快感だった。何も考えられなくなるほどだった。
これだけのモノを、もし、受け入れられたら?その中身をかき混ぜられたら?…中に子種を注ぎ込まれたら?
恐怖も疑問も尽きない。しかし。疑問と、興味が同時に。恐怖を埋め尽くし、見えなくなるほどに膨らんでいく。
「やめっ…てくれ…」
その恐怖が消え切る前に。クロコダインは体を震わせながら―それこそ可愛らしい、男を知らない、少女のように―首を力なく振り、震える声を出した。
入る訳が無い。
もし入ったら、なんて。考えてはいけない。しかし。
「…そうやって言うなら、自分の足で立ち、俺から逃げればいい。俺は今、クロコダインを支えているだけだ。」
その言葉は真実だろう。現にレオの腕から力は全く感じられず、脱力している状態に近い。普段のクロコダインーいや、発情しているクロコダインでも逃れる事は容易い筈だ。
しかし。クロコダインの体は動かない。動かせない。目が離せない。体を離せない。呪われているように。魅了されている。この王に。雄に。
「…ふふっ、そんな表情をされたら…俺も滾ってしまうではないか。さて、クロコダイン。しかし俺は無理矢理、というのはあまり好かん。…本当に嫌なら、離れろ。これが最後通告だ。これ以上は聞かん。何より…俺の逸物が耐え切れなくなる。」
その言葉も真実。レオの剛直は既に期待から触れても居ないのに先走りを垂らしている。レオ自身も呼吸が荒くなり、生暖かい鼻息がクロコダインの体を通り抜けていく。
クロコダインは…離れようとしなかった。理性は逃げようとするが、それを雌としての本能が抑えつける。
この雄に抱かれ、達したい。指だけでは到底たどり着けないであろう、そんな次元へ。
はぁ、はぁ、と。浅ましい呼吸をして。
レオは…これ以上ない程に、嬉しそうに笑った。その奥に、雄として。捕食者としての光を宿して。
「ではいいな?もう否定は出来ないぞ。…何、これだけ濡れているなら初めてでも平気だ。安心しろ。」
「うぅっ…」
クロコダイン自身は気が付いていなかっただろうが…レオはとっくに気が付いていた。クロコダインの割れ目から滴る滴が既に太腿や膝裏まで濡らしていたことに。
そしてレオの体にまで垂れていたことに。…むしろ、その状態になるまでレオは耐えていたのだ。発情した雌の臭いを嗅ぎながら。
レオは剛直をクロコダインのワレメに押し当てると、亀頭で軽くこすり上げた。
「ぐぁっ…!!!」
ただそれだけで、自身の指以上の快感がクロコダインの脳を揺さぶり、呻き声を上げさせた。
「まだ挿入れてもいないぞ?…まぁいい。これだけ焦らされたんだ。一気に挿入れてやる。力を抜いたほうがいい。今の俺は、多分手加減出来ない。」
「んっ…」
言われるがまま、クロコダインは力を抜き、レオの体に寄りかかった。
脱力したクロコダインをしっかりと受け止め…レオは。
ずぬぶん、と。濡れ切ったクロコダインのワレメへと一気に剛直を挿入する。
「ぐぁっ…ぐぁぁぁぁぁぁ!!!!」
悲鳴のような。いや、確かな嬌声をクロコダインは上げながら全身を激しく痙攣させ、脱力したその身でしかし背筋を仰け反らせた。
目の前で星々が瞬くように。視界が白黒と、カラーと行き来して。チカチカと点滅する。ワレメー膣の中を満たす肉棒の感触が尻穴よりもはっきり感じられた。
血管の中を流れる血液すら伝わる。どくん、どくん、と波打ち、膣壁を撫でて。こつん、と亀頭が奥へ。奥へ。子宮の近くにまで。届いた。
「ひっ…んぐぁぁぁぁっ!?」
挿入されただけだというのに、クロコダインは何度も何度も全身を陸に打ち上げられた魚のように跳ねさせて。
レオはぐぅっ、と呻き、だが頬を釣り上げ余裕を見せながらクロコダインの尻を掴んだ。
「これからが本番だぞ?グゥッ…素晴らしい孔だ…!」
そう評しながら。レオは腰を動かし始めた。
一突きするごとにクロコダインは口の端から唾液を零し、雌のように喘ぐ。
レオは、夢中でクロコダインを犯し始めていた。
剛直を突き入れ、抜き、また突き入れる。そうする度にクロコダインの膣はレオの剛直を奥へ、奥へと導いていくのだ。一番奥だと思っていた所はまだ奥ではなく。
抽送を繰り返すたびにより深い所まで誘われ。きゅうきゅうと竿や雁首を吸い上げ、根元を締め付ける。かと思えば膣壁のヒダが一つ一つ。丹念に這いずり回るように。
「グゥゥゥゥッ!!!」
レオは唸り声を上げながら、ピストン運動を更に強め始めた。
「ぐぉっ、んぁっ、んんぐぅぅぅっ!んがぁぁぁぁぁっ!やめっ、んぁぁぁっ!!そこっ…んぁぁぁぁぁっ!」
クロコダインはレオの貪るようなその腰の動き、そして膣壁や膣全体を侵食する剛直の熱や硬く、そして抉るような感触にはしたなく声を上げる事しか出来ない。
そうでもしないと頭がおかしくなってしまいそうだったのだ。
一突きされるたび、絶頂へ。絶頂が絶頂を呼び…天井を知らない。どこまでも高みへ。
1だった絶頂が10へ。10だった絶頂が100へ。いつまでも、どこまでもとまらない。自分の指だけでは絶対にたどり着くことは出来なかった。
「ひぎっ、うぐぅぅぅっ、うぅぅぅぅぅ!!」
余りの快楽に、クロコダインはレオに強く強く抱き着くと涙を流し、舌をはみ出させながら呻き声を上げた。
その表情は蕩けきっており…
「いい雌だ…!クロコダイン、しっかり孕ませてやるからな…!」
レオの言葉に。クロコダインは怒るでもなく、嘆くわけでもなく。
「はらっ、孕ませっ…孕ませてぐれぇぇぇ!!!」
そう絶叫すると…クロコダインはレオの肉棒を締め付け、そして肩に噛みついた。だがレオの肉体には傷一つつかない。体も脳も、雌となってしまったクロコダインには、傷をつける事が出来ない。
むしろ心地よい疼きとなって。
「グゥゥッ!!ォォォォォ!!!」
レオは顔をしかめ。そしてクロコダインの最も深い所へ剛直を押し付けると遠吠えを上げた。
根元が膨らみ…
ぶぐんっ、ごぼぼぼぼっ、びゅぐるるるっ!
剛直が爆ぜ、鈴口から大量の精液が溢れ出す。それはクロコダインの膣へ染みわたり…子宮へ。
「んぉぉっ、ぉぉぉぉ!?ォォォォ!!!!!」
その衝撃と熱に。クロコダインは今までで一番の絶頂を迎えると…喉がかれるまで吼え…そしてそのまま快楽の波へと押し流されていった。
[newpage]
「…で、いつからだ?」
湖からあがり、体を拭いて褌やマントを身に着けるとレオはクロコダインに尋ねた。
クロコダインは答えるかどうか迷いながら…結局は答える事にする。
呪術師に襲われた時。それ以降はこの体だった、と。しかし自慰をしたのは昨日の夜が初めてだと。それも伝えた。
「すまない。言う訳にはいかないと思ってな…」
「…いや、悪いのは俺だった。すまなかった、クロコダイン。俺はお前の事なら気が付けると思っていたが、とんだ思い上がりだったようだ。本当にすまない。」
レオは深く、深く頭を下げる。そしてぎりっ、と牙を食い縛った。
あぁ、やはり彼は自分を責めてしまう。だからバレたくなかった。…だが。
「いや、いい。」
下腹部の疼きや熱は、収まった。たぷたぷ、と下腹部の中が熱く波打つ。この中に子種が注がれ、今尚、孕ませようと動いている。
そしてそこからくる感触が決して嫌なものでは無く…幸福であることも。
「しかし、本当に孕んでしまうな。…孕み腹では旅を続けられんぞ?」
そう困ったように―だが愛おしそうに―呟くと、クロコダインは不敵に笑った。
「…そうなったら、お前を妃として娶ってやろう。呪いを解くことをやめ、国に戻るさ。」
「それは頼もしい。よろしく頼むぞ、グリーディアの王よ。」
冗談を交わし合い。
レオとクロコダインは軽く、ついばむようなキスだけを交わして。
湖の魚が跳ね、美しい水しぶきをあげた。
Ad