元ノンケ同士の惚気話 3

  第一幕

  久しぶりに顔を出すためにも茅野家を訪れた。茅野家というか...レンの叔父夫婦の家。ハルトとレンもそこに住んでるっぽい。

  「寒いし眠いからあと5分寝させて...」と毛布に身を包んで丸くなっているワタルを叩き起こして移動を始めた。寝ぼけたまま運転されちゃ困るので今回は俺が運転をすることに。ワタルは助手席に乗せた途端にまた寝始めた。よくそんなに寝れるな...と1周回って感心しつつレンの叔父夫婦宅に向かった。

  春樹「こ~ら、着いたから起きろ。寝すぎだ」

  ワタル「う~...寒いぃ...寒さだけは俺無理ぃ...」

  春樹「...暖房が効いてるであろう部屋とエンジンを今から切る車、どっちがいい?」

  ワタル「部屋」

  カッと目を見開いたワタルはそう即答した。即答するんならはよ来いよ。

  「これ貸すからさっさとついてこい」とマフラーを手渡して少々強引に引っ張りだした。

  「あう」とか「さむい~」とか駄々をこねながらも普通についてきた。成人男性って自覚持ってくれよ...

  刹那「さむ~...なんでこんな時に買いだし...あっ想定より来るの早かったな...」

  ハルカ「あら、いらっしゃい。先に中で休んでてちょうだいね。ちょっと買出しに行かなきゃだから。」

  春樹「あっハイ」

  促されるままに中に入っていった。和風ならではの木材の匂いが充満している。すんごい落ち着く空間だ...

  おまけにすごい暖かい...広い家のはずなのになんでこんなに暖かいんだ...?

  まるで春の陽気に包まれた芝生みたいな...まぁなんでもいいや。暖かい屋内にワタルもご満悦。

  ハルト「おっ来た来た」

  レン「すぅ...すっぴぃ......」

  ハルトとレンの部屋っぽい場所に行くとハルトの膝で穏やかに眠るレンとそのレンを膝枕しているハルトが居た。

  入るタイミング間違えたかな

  ハルト「ほら、荷物置きな。少しの間泊ってくんだろ?」

  春樹「ん。りょーかい」

  ワタル「膝枕かぁ...のほほんとしてていいね~」

  ハルト「そっか。俺らみたいに同性愛者同士なわけじゃないからそういうことはしないのか」

  ワタル「最近寝ぼけた春樹に膝まく」

  春樹「わーーーーーーわーーーーーーーーーー!!!」

  かなり恥ずかしいことを暴露されそうになったので大声で遮った。仮に晒されたら生涯恥ずかしさのあまり思い出すたびに蹲っちゃう。

  遮ったにも関わらず俺の顔は赤くなって俯かざるを得なくなった。

  ハルト「ふふ、いいじゃん膝枕。俺もたまにレンにしてもらってるよ?」

  春樹「えっあのしっかり者のハルトが!?」

  ハルト「しっかり者だなんてそんな...」

  ワタル「でも家事全般できるでしょ?」

  ハルト「気づいたらできるようになってただけだって...」

  照れながらそういうハルトの尻尾はゆらゆらと揺れていた。ああは言っても売れしいんだろう。

  この会話から短期間の成瀬家での生活が始まった。

  第二幕

  一日目の終わりを迎えた。レンがとにかくハルトに甘えてたり、ワタルがそれを羨ましがって俺に甘えようとしていたり、少し部屋を見ているとコ●ドームが引き出しに入っていたり。あ、ハルトとレンによると「別に使ってない。いる?」だそう。いらねぇよ。使う相手居ねぇよ。

  あとは峻君がとにかくかわいかった。そういえば刹那さん虎獣人なのに灰色の体毛だったな...って思って本人に聞いたら遺伝子変異って言ってたな...

  春樹「ワタル、寒いからってくっつくな寝れない」

  ワタル「え~だってハルトとレンがちょっと羨まし...」

  春樹「離れろ」

  ワタル「布団1枚だからそんなに離れられないよ?」

  春樹「それでいいから離れろ」

  ワタル「ん。」

  諦めたのかちゃんと離れてくれた。息遣いと心臓の鼓動を感じれるくらい近づかれたらさすがの俺でもちょっとドキドキする。

  レン「...ハルトなんかちょっと離れてない?」

  ハルト「自制が効かなくなるからしばらくお預け」

  レン「けち」

  春樹「俺らと真逆だな」

  ワタル「ね。」

  自制が効かなくなる、ということは最悪おっぱじめちゃうってことか...確かに友人とは言え人の営みの場に出くわすのは勘弁してほしい所だ。

  俺らはその心配はないからまぁ大丈夫だろう。

  ワタル「ね~やっぱ寒いからくっついていい?」

  春樹「はぁ...しゃーなしな」

  寒さが加わるとこう甘えるようになるのか...こいつ...あっていうかお前わざと当ててるだろオイ

  心臓の鼓動が矢鱈と煩い。恥ずかしくて死にそう...ゲームじゃないんだから残機はないんだぞ丁重に扱えアホンダラ

  しばらくするとワタルの寝息が聞こえ始めた。ハルトとレンはまだ寝てはなさそう。少し会話が聞こえる。

  レン「ね~やっぱダメ?」

  ハルト「ダメなもんはダメだ」

  レン「禁欲なんて俺らが一番できないじゃん...」

  ハルト「それはそうだけど今ここでヤるのはやめろ」

  なんちゅー会話してんだ...ていうかそんな高頻度で営んでんの!?

  体力がすごいのか性欲がえぐいのか...どっちもか。

  レン「あ~やめてぇ...にゃふぅ...」

  にゃふぅ...?えっ向こうで一体ナニが起きてるってんですか...気になる...ていうかなんで同性の営みに俺興味持ってんだ...?

  いや、どういうもんなのか知りたいだけなのか...?俺が自分で勝手に「自分はノンケ」って思い込んでるだけで俺ホモなのか...?

  まぁどっちでもいいや。とにかく気になるったら気になる。

  しばらく沈黙が続いたので二人も寝たのかと思って耳を澄ますとなんか荒い息遣いが聞こえる。

  ...まさかな。

  レン「ん~くすぐったいって」

  ハルト「くすぐって疲れさせてやるから寝ろ。」

  すまん。俺が不純なだけだった...寝よう...

  そろそろ寝ようと体勢を治すと目の前にワタルの顔があることに気が付いた。普通に驚いたけどこいつの昼寝以外の寝顔なかなか見ることないし今のうちに堪能しておこう。

  ワタル「えへ~はるき~...そこ~......肩凝ってるからその辺揉んで~」

  こいつ...幼さを感じる喋り方でジジクセェこと言ってやがる...

  起きたらワタルは既に横に居なかった。もう起きてるんだろうか

  ハルトは起きてるっぽいけどレンはまだ寝てる。レンの寝顔こんな感じなんだなぁ...子供みたいでちょっとかわいい...

  リビング...いや、この家だと居間か...? どっちでもいいや。リビングからなんかいい匂いがする。朝飯、そろそろできるかな。

  ハルト「お~い、起きろ~」

  春樹「飯か」

  ハルト「いんや、まだちょっと時間かかる。とりあえず起こそうと思って」

  春樹「りょーかい。」

  俺はもともと起きてたからなんともないけどレンはハルトに揺さぶられても起きる気配がない。レンも寒さに弱いのかな

  揺さぶるのは諦めたのかほっぺをすごい勢いでつんつんし始めた。少し経つと寝てるレンの眉間にすこしシワが寄った。

  ハルト「起きろ、おい、起きろ。おーきーろー」

  春樹「よく寝るな。」

  ハルト「寝すぎてちょっと困る」

  ほっぺの皮をみょ~んと引き伸ばしながらそう言った。よく伸びるほっぺだな。

  スクイーズみたいなほっぺをハルトは何往復も伸ばしたり元に戻したりしているとレンの目が少し開いた。ようやく起きたか?

  レン「ん~...あとごふん~いやじゅっぷん寝かせて...」

  ハルト「あっコラ、起きろ...はぁ」

  春樹「どうすんの?」

  ハルト「ん~...あ、そうだ。お前のモンデリング食うぞ」

  レン「それはダメ」

  ハルト「はい、もう寝るなよ~。あとモンデリングお前昨日食ったから無いだろ」

  レン「あ」

  意外と簡単に起きるんだな。ワタルにもこれ効くかなぁ...

  第三幕

  レン「...これはワタルの料理。こっちはハルトだね」

  ワタル「当たり。ちょっと怖い」

  ハルト「だろ?」

  レン「ひどい」

  春樹「ワタル、これ前のやつと味ちょっとちがう。アレンジ加えた?」

  前よりちょっと濃くなってる気がする。もともと美味しかったけどもっと美味しくなってる。

  これはハルトのだな。こっちも美味しい...

  ワタル「ちょっと調理方法変えた。あとお前もなんか怖い。」

  レン「好きな人の料理の味くらい分かって当然でしょ」

  ハルト「てことは...」

  春樹「ん? なんでこっち見て...あっそういうことじゃないからな? なんとなくわかるだけで...」

  言い訳すればするほどハルト、レン、ワタルがにやにやしていく。

  うぅ...穴があったら入りたい...

  ワタル「ごめんて」

  春樹「別に。」

  ワタル「ごめんて」

  春樹「...気にしてない」

  ハルト「レン、口についてる」

  レン「ん、取って」

  ハルト「自分で取れ」

  レン「え~」

  普通にあしらわれたレンの口が尖る。普段どう二人が接しているのかなんとなくわかる気がする..

  少し不満気に尻尾を揺らしながらまた「もっもっ」と口を動かし始めた。動きはゆっくりなはずなのにすごい勢いで量が減っていく。ダ●ソンもびっくりな吸引力だな。カー●ィみたいな無限の胃袋あるのかな。

  ワタル「お前...なにしたら鼻頭に米つくんだよ...」

  春樹「ん?」

  ワタルに取ってもらって気づいたけどほんとに鼻頭に米ついてたらしい。

  箸同士が軽く当たる音や料理のいい匂い充満した部屋の中で和やかな食事を楽しんだ。

  中華料理はやっぱ美味しいね。どれだけ食べても飽きないしアレンジも割と効く。最強じゃん。

  峻「ワタルさんもふもふ~あったか~い」

  ワタル「ふふん、ケアは欠かしてないからね~」

  レン「ほんとだもふもふ」

  春樹「いいよな~もふもふ。俺もケアしなきゃ...」

  ハルト「お前のはお前のでいいと思うけどな。この手触り」

  春樹「ん~...そーかー?」

  ワタル「そだよ~ 俺はその触り心地好き」

  春樹「...ならそのままで...いいかな」

  自分でもはっきりわかるくらいに赤面した。自分の両手で顔を覆って悶えた。

  ほんと...なんでこいつはそういうことを平然と言えるんだ...俺ならかなり覚悟が...いわけではないけどわざわざ言おうとは思わないかなぁ...

  ハルト「照れてるな。」

  レン「照れてるね。」

  うるしゃい...冷静に状況を分析しないでよぉ...

  ワタル「おっかしーなぁ...昔は『ありがと』だったのに」

  春樹「あぅ」

  図星を突かれた。だって...だってぇ...なんか...むずむずするっていうか...なんでだろ...

  両膝にマズルを埋めてそんなことを考えていた。最近はワタルの反応に一喜一憂してるというかなんというか...細かい仕草まで見ようとしちゃってるような...うぅ...なんか俺おかしい...

  刹那「顔赤いしちょっと休ませてやれば?」

  レン「だね。」

  春樹「ん...そうする...」

  部屋に行こうと立ったところで足元がふらついた。

  あっやばい、転ける

  ワタル「おっと。体調悪いならちったぁ頼れ。」

  春樹「ぁ...ごめん...」

  ワタル「はぁ...今までの仕事の疲労かなんかが今になって来たってのか...?」

  春樹「わかんない」

  てわけでまさかの2日目から風邪。しかも出先で。

  まぁうだうだ言っても手遅れだし休むしかないよなぁ...