指輪 【ケモホモ】

  「なぁ國塚」

  「ん?」

  「熊崎課長って、やっぱかっけえよな」

  ふと、隣にいた虎が零したのはそんな言葉だった。

  その声につられ、俺も熊崎課長の方へと目を向ける。

  今日も厳ついその眼差しをした熊獣人は、雄々しい体格をスーツの中で強ばらせていた。

  「虎ってあんなのがタイプ?」

  「あんなのって失礼だろ國塚!! あの巨体に可愛い耳、下あごから伸びる雄々しい牙にやんちゃな笑顔・・・それに部下思いで気さくで優しい最高の上司じゃねぇか。理想の男!!って感じだろ」

  そんな同僚の言葉を聞きながら、俺は適当な相づちを打つ。

  確かに言われて見れば、理想の上司と言っても過言ではなかった。

  熊崎弘敏。48歳。学生時代はラグビー部に所属していたと言う。左手の薬指に指輪が見える通り、彼は既婚者だ。噂では、結構な愛妻家らしい。子供がいない分、夫婦でよく旅行に行ったという話をよく聞いた。48歳とは思えない程その体格は筋肉質で、肩幅も図体も大きい。太い丸太のような太ももと、雄々しくがっしりとした両腕、筋肉で引き締まった太鼓腹が印象的だった。

  虎が言う通り、下顎から見える白い牙が特徴的だ。見かけは怖く強面だが、俺達には気さくに笑いかけてくれる。部下の面倒見もいい。確かに、人気があってもおかしくなかった。

  「それによ・・・熊崎課長って結構な巨根らしいぜ。たまたま風呂屋で見たらぶらんぶらんのぶるぶるだったってよ。この前総務課の石田が言ってたぜ」

  その噂は本当なのだろう。

  熊崎課長の股間をみれば、いつだってスーツのスラックスがこんもりと盛り上がっているのが見て取れた。

  椅子に座れば、アボカドのような双球がもっこりと浮かび上がる。歩いて見れば、亀頭であろうその先端がこにゅこにゅと左右に揺れているのが見えた。

  男好きにはたまらない体だ。

  「なぁ國塚・・・お前もスリットマンコに熊崎課長のでっけえチンポ咥えてぇだろ? 熊崎課長の特濃ザーメンじゃお前一発で妊娠しちまうんじゃねぇのか?」

  いやらしい笑みを浮かべながら、虎はそう言葉を続けた。

  吐き出したため息が痛い。

  確かに竜人である俺には、スリットがある。しかも雄でも妊娠可能な子宮までついている。陰茎こそあるが、いわば両性器具有のようなものだ。そんな俺の特異体質を知ってか、時々虎はそんな言葉で俺をからかってきた。

  國塚竜也。35歳独身。表面は黒いゴツゴツとした鱗で覆われ、身体の内側はクリーム色のなめらかな鱗で覆われている。俺も熊崎課長も、強面の分類に入る人間だ。しかも図体もデカい。こんな巨体で妊娠できる子宮とスリットがついているのだから、物好きには堪らない身体をしていると言われたことがあった。

  固く閉ざしているはずのスリットの割れ目が、一瞬だけほころんだ気がしたのを気のせいだと言い聞かせる。

  今はまだ会社だ。

  バレる訳にはいかない。

  「俺はピル飲んでるから妊娠しねぇよ。縁起でもないこと言うな馬鹿虎」

  「けどよぉ・・・雄でも妊娠できるってうらやましいぜ。俺だったら絶対熊崎課長の子供身ごもるけどなぁ・・・」

  そんな虎の言葉を隣で聞き流しながら、俺は一人ため息をついていた。

  ただでさえ雄同士なんて煙たがれる世の中だ。

  雄妊娠なんてたまったもんじゃない。

  「お前、熊崎課長と付き合いたいのか?」

  率直に、俺はそんな言葉を虎に投げかけていた。

  付き合うといっても、相手は既婚者だ。それこそ不倫になる。

  その意味を知っているのも、この中ではごく限られた人間だけだ。

  「んー!! ワンチャンあったらだな!! 俺は付き合いたいというより、熊崎課長がエッチしてるとこを見てぇよ・・・すっげえ激しい攻め方しそうじゃん?」

  そんな虎の言葉を聞き流しながら、決裁をもらう書類を片手に、俺は席を立つ。

  向かったのは、さっきまで話していた熊崎課長の所だ。

  ちょうど他の職員と話し終えた彼が、側に来た俺のことに気がついたようだ。

  茶色い丸い目をこちらに向けながら、彼は手を伸ばした。

  「決裁か?」

  「はい。持ち回りでお願いします」

  俺にはない肉球ついた指先が、俺から書類を受け取る。

  彼はペラペラと書類を眺めながら、中身に目を通していった。

  「すまねぇな、國塚・・・急がせちまったか?」

  「いえ。なんとかまだ間に合います。大丈夫です」

  「そうか・・・お前さんにはいつも世話になってるからな。これも残業してやっつけてくれたんだろ?」

  下顎の白い牙を震わせながら、彼は申し訳なさそうに笑う。

  きっと、こんな表情が彼の人気たる所以なのだろうと思った。

  「まぁ、通常業務の範囲内ですよ。そう気にすることもないですよ」

  「そうかぁ?」

  「ええ。おかげで今日は“定時”で上がれそうです」

  その言葉に、彼の耳がぴくりと動いたのを俺は見逃さなかった。

  そう。

  俺達にしかわからない。

  合い言葉だ。

  「そうか。じゃあ俺も今日はさっさと帰るかな。あとはこれ持ち回ってくれ」

  「ありがとうございます」

  決裁を渡す彼の指先が、微かに強ばっていた。

  きっと、この瞬間を待ちわびていたのだろう。

  今日こんなやりとりをするのも、これが1ヶ月ぶりのことだった。

  「・・・じゃ、いつもの場所で待ってますからね・・・」

  立ち去る瞬間、俺は微かな囁き声で彼の耳元に言葉をかける。

  ピクリと、彼の巨体が反応した。

  「お、おう・・・」

  その図体から到底想像つかないような可愛い返事が、彼のマズルを震わせる。

  彼がデスクの下でその逸物を固く勃起させていることを知るのは、きっと、俺しかいない。

  そうだ。

  俺達は、不倫している。

  皆が思うより、ずっと前から。

  俺の中で燃える加虐心が、めらめらとその穂先を揺らめかせていた。

  「指輪」

  会社を出た夜の街は、あいにくの雨だった。

  傘を打つ雨の音が、耳の奥を響かせている。水たまりに跳ねる革靴の足跡が、今は少し寂しかった。

  裏路地を抜けた、ホテル街。

  そこに、いつも俺達が使っているラブホテルがある。

  コテージ型の、部屋が独立しているタイプだ。これなら、どれだけ喘ごうとも隣の部屋には聞こえない。

  いつも通り受付を済ませ、鍵を受け取る。

  “105号室”

  いつも俺達が会うときに使っている部屋だった。

  「熊崎課長・・・」

  こうして熊崎課長と会うのは、約一ヶ月ぶりになる。

  つまり、約束通りなら熊崎課長は一ヶ月以上も“抜いていない”ことになる。

  射精するのは俺と会う時だけだと決めていた。互いに興奮する為の、密かな約束だった。

  聞けば、奥さんとは長年セックスレスらしい。今では寝室も別室なのだという。

  そんな生活だからこそできた一ヶ月にも及ぶ禁欲生活の効果が、俺は楽しみで仕方が無かった。

  「さてと・・・」

  熊崎課長が来るまでにはまだ時間がある。

  先にシャワーを済ませて、何か飲み物を用意して・・・今のうちにできることは沢山ある。

  ネクタイに指を通し、一気にそれを引き抜いていった。その時だった。

  「ん?」

  ドアから、ノックの音が聞こえた。それも馬鹿力を込めたような、重く荒々しいものだ。

  まさかと思って、ドアを開ける。

  目の前にいたのは、スーツを雨でぐっしょりと濡らした、あの熊崎課長だった。

  「課長!! 傘は――」

  「・・・忘れちまった。お前さんに会いたくて急いでたら・・・」

  そんな言葉を続けながら、熊崎課長は部屋の中へと入る。

  雄々しい顎先から、ポタポタと雨がしたたり落ちていた。そんな彼の巨体が、悪寒で一瞬だけ大きく震える。

  驚かないはずがなかった。

  「忘れたって!! どうして連絡してくれなかったんですか!?」

  「すまねぇ・・・お前さんが待ってると思うとよ。居ても立ってもいられなくてよ・・・」

  下顎から見える白い牙を煌めかせながら、目の前の熊は不敵に笑う。そんな彼の仕草が、俺は好きだった。

  雨で濡れた上着を脱ぎ、彼もそのゴツゴツとした太い指先を首元に入れネクタイを抜き取っていく。一瞬だけ見えた薬指の結婚指輪が、なぜか俺の欲情を誘った。

  「先にシャワー浴びてください。このままじゃ風邪を引いてしまう」

  「いや、いい」

  「いいって――」

  「・・・シャワーより、こっちがいい」

  そう言うなり、目の前の熊はいきなり俺の身体を抱き締めた。

  子供が、甘えるように。太い丸太のような両腕を背中に回して、その雄々しいマズルを首筋へと埋める。

  甘い吐息が、首筋を濡らした。

  あまりにも熱い抱擁に、全身の力が抜けていく。

  「・・・ずっと、こうしたかった」

  抱き寄せた両腕に、力が入った。

  このまま、離さないと言っているかのように。

  上手く、息が出来なかった。

  「課長・・・」

  「ずっと、おあずけ食らってたんだ。今日位・・・その、いいだろ?」

  俺の手の平が、そっと握りしめられる。

  そしてそのまま、彼はその手を自身のスラックスへと押し当てた。

  ビクンと、脈打つ熱が、薄い布越しに伝わる。

  その太い幹へと指先を絡め合わせるように、彼は自分の股間を俺の手の平に押しつけた。

  「・・・分かるか? 俺の息子が興奮しているぞ・・・」

  ニヤリと、彼は笑った。

  その不敵な眼差しが、俺の胸を締め付ける。

  茶色をした優しい瞳の奥で、何かがギラリと光った。

  「課長・・・」

  抱き寄せる身体が、熱い。

  俺は静かに目を閉じると、吸い寄せられるように近づいてきた唇へと舌先を絡め合わせた。

  2

  絡み合わせた舌先が、ただ熱かった。

  キスをしながら、互いに服を脱ぎ捨て裸になっていく。二人とも下着だけの姿になった所で、俺はベットの上へと押し倒された。

  何度も見たはずの茶色の瞳が、全く違う色に見える。

  息を荒げながら、それでも俺を傷つけないようにと自制しているその姿が、ただ俺の情欲を誘った。

  「國塚・・・」

  彼の大きな手の平が、そっと俺の頬を撫でる。

  俺にはない柔らかな肉球の感触が、ただ優しかった。

  何度もこんなことはしているのに、まるで壊れ物を扱うかのように接してくれる。

  そんな彼の優しさが、俺は好きだった。

  「濡れているな・・・お前のここ・・・」

  いやらしく笑いながら、彼は俺の下着の上から俺の股間を撫でる。

  スリットの割れ目からしたたり落ちた愛液が、ぐっしょりとそこを濡らしていた。

  じわりと伝わる彼の体温に、ほころびかけた割れ目からじわりと愛液がしみ出していくのを感じる。

  心が、震えた。

  「課長・・・ぁっ――」

  下着の中に、熊崎課長の手の平が入っていく。

  ゴツゴツとした指先が、柔らかな割れ目をなぞった。

  糸を引くように濡れたその感触を確かめるように、太い中指がその場所を抉る。

  ぐちゅりと、音を立てながらそれは入ってきた。

  「ああっ!! っぁ・・・」

  電撃のような快感が、背筋を駆け抜けた。

  熊崎課長の指先が、内壁のヒダの一つ一つを確かめるように動いていく。

  バラバラになった指の動きが、的確に俺の最奥にある良いところを刺激していった。

  「ぐちょぐちちょじゃねぇか・・・ん?」

  嬉しそうに目の前の熊は笑う。

  興奮しているのだろう。彼のマズルからは荒い鼻息が出ていた。見れば、彼の履いている灰色のボクサーパンツは勃起した彼のモノでテントを張り、その先端はぐっしょりと濃い色にシミを作っている。

  彼の指先が、スリットの中で勃起した俺の亀頭を抉る。

  柔らかい肉球が、尿道の割れ目をいやらしくこねくり回した。

  「國塚・・・」

  彼の唇が、俺の唇を奪う。

  ねっとりとした分厚い舌が、口内を犯した。甘い唾液をすするように、互いの舌先を絡め合う。

  「んん!! ふぅ・・・ん、んんんんっ!!」

  段々と、スリットを弄んでいた指先の動きが激しくなっていった。

  キスをしながら、漏れ出た喘ぎ声で上手く息が出来ない。酸欠になりそうになる中、ただ彼の指先と舌先に犯されているという事実だけが、頭の中を真っ白に塗りつぶした。思わず、目の前の丸太のような熊の腕に抱きつく。執拗に絡め合わせる彼の舌先が、どこまでも俺を犯していった。

  「ふぅ・・・良い感じになってきたな」

  唾液で濡れたマズルを手の甲で拭いながら。彼は笑う。

  彼はスリットの中から指を引き抜くと、一気に俺のパンツを剥いでいった。

  外側のゴツゴツとした黒い鱗とは違う。薄く艶ややかなクリーム色をした鱗が、彼の目の前に露わになる。

  ゴクリと、彼の喉仏が上下するのが見えた。

  「まんこじゃねぇか・・・お前のここ・・・」

  両足をM字のように押し広げながら、彼は俺の割れ目をまじまじと見る。

  見れば、固く閉ざしているはずのその場所はほぐれ、パックリと割れたその割れ目には勃起した亀頭が中から少し顔を出していた。俺の愛液と我慢汁で濡れ、いやらしい糸を引いている。

  興奮した彼の鼻息が、俺のスリットに熱く吹かかかった。

  「いくぞ・・・」

  彼の吐息が、濡れたその場所を湿らせる。

  彼は大きく口を開けると、ベロリと俺のスリットを舐めあげていった。

  「んぁ!! っぁ!!! っは・・・っは・・・ぁう!!」

  まるでその場所に溜まる密を吸い上げるように、短い彼のマズルが俺のその場所を舐めあげていく。

  分厚い舌先が何度も何度も俺の内壁を抉り、勃起した亀頭の鈴口を舐めていった。

  あまりにも強い快感に、腰を浮かせながら喘ぐことしかできない。そんな俺の身体を離さないように、太い丸太のような両腕ががっしりと俺の両足を掴んで離さなかった。

  彼の生暖かい唾液が、俺の愛液と混ざり合っていく。

  深くねじ込まれた彼の舌先が、俺のスリットの最奥を舐めあげていった。

  勃起した俺のモノが、一回り大きくなるのを感じた。

  「い、イク!! 課長!! イってしまいます!! ぁあああああ!! っぁあ!!」

  吹き出すように、俺ははしたなく射精した。

  その反動で、俺のモノがスリットから勢いよく飛び出す。マズルに俺の精液が降りかかるのにも気にとめないまま、彼は飛び出た俺のモノをパックリとその口に銜え込んでいった。

  まだ終わらない射精の最後の一滴までもを搾り取るように、彼の頭が大きく上下する。

  強すぎる快感が、俺を襲った。

  「か、課長!! イク!! またイっちゃうから!! 離し・・・ぁああああ!! ぁああ!!」

  勃起した俺のモノを根元から先端まで舐めあげるように、彼の舌先が絡みついてきた。

  もう、限界が近い。

  俺は彼の頭を抑えながら、腰を浮かせた。

  「イク!! イクっ!! がぁあああ!! っぁ!!」

  ドクンと、それは彼の口内で弾けた。

  さっきよりも大量の精液が、はしたなく吹きこぼれていく。

  俺の精液を飲んでいるのだろう。彼のマズルの動きがねっとりと絡みつくような動きへと変わった。

  最後の一滴を出し終えた瞬間。

  全身から、身体の力が抜ける。

  まるで尿道に残っている精液の一滴までもを飲み干すように、彼はその口先をすぼめた。

  「ふぅ・・・美味かったぜ、お前のザーメン」

  マズルを手の甲で拭いながら、彼は笑う。

  俺は上体を起こすと、そんな彼のマズルへと自分の唇を重ね合わせた。

  ねっとりとした、甘い口づけだ。抱き締め合う身体に、力が入る。

  彼の柔らかくも短い毛先が、ただ心地よかった。

  「次は・・・いいか?」

  何か期待した目で、熊崎課長は俺を見る。

  彼の灰色のボクサーパンツは限界までテントを張り、先端のシミはぐっしょりとその場所を色濃くさせていた。勃起したテントに引っ張られて、彼のアボカドのような双球がくっきりと浮かび上がっている。パンツの先端はパックリと割れた尿道の形に我慢汁が滲んでいて、いやらしい糸を垂らしながらその滴を滴らせていた。

  静かに、彼の股間へと手を這わせる。

  それだけで、ビクンと目の前の巨体は震えた。

  「一ヶ月ですか?」

  「・・・あぁ。抜いてない」

  鼻息を荒くさせながら、彼はそう答えた。

  ボクサーパンツの上からでも分かるぱんぱんに腫れた双球が、たぷたぷと揺れている。そこに手を這わせれば、ずっしりとした重さが手の平を押し返した。

  パンツのゴムに、指をかける。

  彼に見せつけるように、ゆっくりと俺は彼のパンツを下ろしていった。

  「っ!! すまねぇ・・・気持ち良くて思わず声が出ちまった」

  恥ずかしそうに、目の前の熊は笑う。

  何度見てもそうだ。彼のモノは、本当に太くて立派なものだった。剥けきった亀頭に、固くエラを張ったカリ首。太い血管が絡みつくように浮き出た太い竿。玉はずっしりと重く、今にもちぎれ落ちてしまいそうな程に引っ張られた陰嚢がたぷたぷと揺れていた。磨き上げた鏡のような亀頭から、葛きりのような透明な粘液がしたたり落ちている。糸を引きながらあふれ出る我慢汁が、いやらしくシーツを汚していった。

  そっと、彼のモノを握りしめる。

  熱く弾力のある肉感が、指先を押し返す。指を絡ませるように握りしめれば、それだけで亀頭の鈴口から甘い蜜があふれ出した。それを指先でこねくり回せば、透明な糸がタラリと伸びていった。

  濃厚な雄の香りがする。

  俺は大きく口を開けると、一気にそれを頬張った。

  「おぉ・・・気持ちいいぞ・・・國塚・・・」

  トロンとした目で、彼は俺を見つめる。

  大きな手の平で、彼は俺の頭を撫でた。その温かさが嬉しくて、目を細めてしまう。

  口の中で、彼のモノがビクビクと脈打っている。唇をすぼめて吸い付けば、それだけで彼の鈴口から我慢汁がドクドクと溢れ出した。固くエラを張ったカリ首に舌先を絡め合わせれば、濃厚な雄の香りが鼻腔の奥まで突き抜けた。

  溢れ出した俺の唾液が、シーツの上へと滴り落ちていく。

  上下する頭の動きが、段々とその速さを増していった。

  「く、國塚・・・駄目だ、もう・・・イッちまう・・・お、おい!! 國塚!!」

  じゅぼじゅぼと、音を立てて彼のモノを舐めあげる。

  彼の言うとおり、限界が近いのだろう。口の中で脈打つ頻度が高くなっていった。

  彼の玉袋が、一気にせせり上がる。

  あともう少しで、達してしまう。その瞬間、俺は彼のモノから口を離した。

  「ぁああ!! っぁ――」

  ビクンと、彼のモノが大きく脈打つ。

  パックリと割れた鈴口からは、葛きりのような我慢汁がドクドクと溢れていた。

  肩を上下させながら、彼はそのマズルを震わせる。

  そんな彼の表情が、ただ愛おしかった。

  「・・・イキそうでした?」

  彼をベットへと押し倒しながら、俺は言葉を続ける。

  仰向けになった彼の身体が、ベットを重く軋ませた。

  「あぁ・・・ヤバかった・・・」

  肩で息を弾ませながら、彼は恥ずかしそうに笑う。

  そんな彼の笑い方が、俺は好きだった。

  互いに脱ぎ捨てた服の中から、俺と課長のネクタイを引っ張り出す。そしてそのまま、俺は課長の腕へと巻き付けていった。

  ベットの柱に固定するように、両腕を左右に上げさせて俺は彼の手首を縛る。

  軋んだマットレスの音が、俺の加虐心をくすぐった。

  「・・・縛りプレイか?」

  余裕のない目で、彼は俺を見つめる。

  ガチガチに硬くなった彼のモノから、彼がこの状況に興奮していることは手に取るように分かった。

  パックリと割れた鈴口から、我慢汁がしたたり落ちる。

  俺は静かに微笑みながら、彼の頬を優しく撫でた。

  「・・・たまにはいいでしょ?」

  彼の体に覆い被さりながら、俺は上体を起こす。

  彼のモノをスリットの割れ目に合わせながら、ゆっくりと俺は腰をくねらせていった。

  ぬめり気のある音が、糸を引きながら絡み合っていく。

  彼のモノを確かめるように、根元から先端までスリットの割れ目に絡ませていった。

  「はぁ・・・はぁ・・・國塚・・・っぁ・・・」

  目をトロンさせながら、彼は俺を見つめている。

  両腕を縛られながら、彼は俺の腰つきをゆっくりと堪能しているようだった。腰をくねらせるようにスリットを擦りつければ、彼の目尻が快感で苦しそうに歪む。その表情を見るのが、俺は好きだった。

  段々と、腰つきをいやらしく、そして激しくさせていく。

  俺のスリットからあふれ出る愛液と彼の我慢汁で、ぐちょぐちょに音を立てながらシーツをいやらしく汚していった。

  「く、くにづか・・・も、もう・・・」

  辛抱たまらないのだろう。

  下顎の牙を震わせながら、目の前の熊は苦しそうに顔をゆがめていった。

  目に、余裕がない。

  じれったいまま押し寄せてくる快感に、彼がもう我慢できずにいるのが手に取るように分かった。

  「挿れたいですか・・・?」

  彼の亀頭をスリットの割れ目に擦りつけながら、俺は問いかける。

  ビクビクと脈打つ彼のモノが、別の生き物のようだった。

  「俺のスリットに・・・入れたいですか・・・?」

  ゆっくりと腰を浮かせながら、割れ目の入り口へと重ねる。

  クチュリと音を立てながら、吸い付くようにその場所を綻ばせた。

  今だけは、この人は俺のモノなんだ。

  その事実だけが、この錆び付いた孤独から俺を救ってくれた。

  「あ、あぁ!! い、挿れたい!! 挿れてくれ、國塚!! た、頼む!!」

  もう、我慢の限界なのだろう。

  彼の顔に、余裕がなかった。

  1ヶ月も射精していないんだ。今まさに待ち望んだその瞬間が、もうすぐ迎えようとしているのだ。

  パンパンに腫れ上がってずっしりと垂れ下がる双球が、早く精を吐き出せと待ち望んでいるようだった。

  「じゃあ・・・挿れますよ・・・課長・・・」

  ニヤリと笑いながら、俺はゆっくりと腰を落としていく。

  エラの張った亀頭のカリ首が、柔らかなスリットの内壁を押し広げていくのが分かる。

  にゅるりと粘液を纏わせながら、ゆっくりとそれは入っていった。

  「んんん・・・っぁ・・・」

  「っぁ!! がぁあ!! く、くに・・・づか・・・」

  一気に、体重を落とした瞬間。

  何の抵抗もなく、それは最奥まで入っていった。

  太くて長い肉々しい圧迫感が、ビクビクと脈打ちながら俺の中で息づいているのが分かる。

  圧倒的存在感を放つ熱が、俺の内壁で締め付けられていくのを感じた。まるで搾り取るように、吸い付いて離さない。そんな確かな意思を感じるように、俺のスリットは彼のモノを咥え込んで離さなかった。

  「全部入りましたよ・・・課長・・・」

  優しく胸を撫でながら、俺は課長を見下ろす。

  今にも達してしまいそうなのだろう。俺の内壁の締め付けだけで、彼の体はビクビクと痙攣しているように震えていた。少し内壁を締め上げれば、それだけで彼の表情が苦悩で歪む。そのすべてが、ただ愛おしかった。

  今だけは。

  今だけは、何もかも忘れて一つになれる。

  そう思いたかった。

  「く、國塚・・・」

  目線に、余裕がない。

  俺は腰を浮かせると、ゆっくりと結合部をくねらせていった。

  ゆっくりと、いやらしく。彼のモノを、根元から先端まで感じるように。

  彼の体が、弓なりにのけぞった。

  「ぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・っぁ・・・気持ちいいぞ・・・國塚・・・ぁぁ・・・」

  あふれ出た俺の愛液と彼の我慢汁が混ざり合って、卑猥な音を立てている。

  縛られた両腕に力を入れるように、彼は両手の手のひらをぎゅっと握りしめていた。微かに開いたマズルから、下顎の牙が快感に震えているのが見える。ゆっくりとした腰つきで迫り来る快感を楽しみながら、俺は丁寧に腰をくねらせていった。

  まるで、二人の愛を確かめているように。

  願っても、口にしてくれないのなら。

  今だけは、「愛している」と感じていたかった。

  「・・・課長」

  「なんだ?」

  「俺・・・今月ピル飲んでないんです・・・」

  その言葉に、課長の表情が変わった。

  無理もない。

  今、俺たちはコンドームをつけてないのだから。

  ビクンと、彼のモノが俺の中で脈動した。

  「そ、それって・・・」

  「このまま・・・いい、ですよね? 課長・・・」

  ニヤリと、俺は笑う。

  そしてそのまま、俺は激しく腰を振った。

  何度も、何度も。根元から先端までしゃぶりつくように。

  彼のモノが、一際その硬さを増した。

  「や、やめろ國塚!! せ、せめてゴムを・・・がぁあああああ!! っぁ!!」

  「いいじゃないですか・・・子供できても・・・欲しかったんでしょ? 子供・・・」

  「だ、だが!! お、俺たちは・・・や、やめろ國塚!! 頼むから!! がぁああああ!!」

  縛られた両腕を振りほどこうとしながら、彼は抵抗しようとあらがった。

  もう限界が近いのだろう。

  彼のモノは一回り硬くなり、大きな双球はその中に溜まった精液を注ぎ込もうと辛抱溜まらずせせり上がり始めていた。

  そんな彼を追い詰めるように、俺はスリット内壁をこれでもかと締め付ける。

  約一ヶ月もの間射精できずたまり続けた精液が、今まさに吐き出されようとしていた。

  「く、國塚っ!! 出る!! ホントに出ちまう!! 抜いてくれ!! 頼む、もう・・・ぁあああああああ!!」

  歯を食いしばりながら、必死に射精しまいと頭を左右に振りながら耐えている。そんな彼の健気な抵抗が、ただ愛おしかった。

  彼のモノが、大きく脈動する。

  もう一度、スリットの内壁を思いっきり締め付けた。

  その時だった。

  「い、イク・・・!!」

  目を見開きながら、彼は叫んだ。

  「だ、駄目だ・・・イってしまう!! く、國塚!! やめてくれ!! イク!! イクゥゥ!!! がぁあああああああ!! がぁ!!」

  ドクンと、それは俺の中で弾けた。

  まるでマグマのような粘液が、俺の最奥で吹き上がる。

  縛られた両腕に力を入れながら、彼は体を弓なりにさせるようにして果てていった。

  「あああ!! っぁ――」

  快感がすごいのだろう。口を開けながら、ビクビクと舌先を痙攣させている。その痙攣に合わせて脈動する彼のモノから、確かに精液が吐き出されるのを感じた。

  ゆっくりと、彼のモノをスリットから引き抜いていく。

  栓を失った瞬間、黄色く黄ばんだ痰のような精液がドロリと中から出てきた。それが、課長の太鼓腹の上に広がっていやらしい水たまりを作っていく。

  未だに堅さを失っていない彼のモノが、ピクピクと微かに痙攣していた。

  「イっちゃいましたね・・・課長・・・」

  両腕のネクタイをほどきながら、俺は笑う。

  未だに動けないのだろう。脱力したままの目の前の体は、肩で息をしながら放心したままだった。

  短い毛先の彼の腹を撫でながら、少しずつ、少しずつ、指先を彼のモノへと這わせていく。

  一ヶ月間濃縮された精液の塊が腹から垂れ落ちて、いやらしくベットのシーツにシミを作っていた。

  「あああああ!! ちくしょう!!」

  課長はそう声を荒げながら両腕で俺の肩をつかむと、強引にベットへと押し倒した。

  目が、野獣のようにギラついている。

  肩で息をしながら、彼は俺の両足を押し広げた。

  「・・・もう、後戻りできねぇんだよな・・・」

  俺の目をまっすぐ見つめながら、彼は言葉を続ける。

  彼の精液と俺の愛液でぐちょぐちょになったスリットの割れ目に、彼は自分のモノを押し当てた。

  限界まで柔らかく綻んでしまったそこに、何の抵抗もなくそれは入ろうとしている。

  「・・・責任は、取る。だから――」

  その言葉の続きをいわないままに、彼は自分のモノを一気に挿入した。

  「ああああ!! か、課長・・・ぁっ――」

  「ふぅ・・・ふぅ・・・く、國塚・・・くっ!!」

  そのまま彼は上体を倒すと、腰を振り始めた。

  ただ内壁へと、自分の硬くそそり勃ったものを絡め合わせるように。

  リズミカルに打ち付けていく腰の動きが、ただ卑猥だった。

  中に出した精液が逆流して、二人の結合部をいやらしく汚していく。

  そんな暴力的でどこか優しい腰つきが、こんな孤独な俺を救ってくれた。

  捨てられてもいい。

  利用されてるだけでもいい。

  それでも今だけは、“愛されている”と、そう自分を騙すことができた。

  「あっ!! ぁああああ!! 課長・・・ぁあ!!」

  「気持ちいいか? 気持ちいいんだな? ん? お前さんのスリットが俺のちんぽを締め付けているぞ・・・気持ちいいんだな? ん?」

  「ぁっ・・・き、きもち・・・ぁああああ!! かちょう・・・っぁ――」

  彼の大きな背中にしがみつきながら、何度も俺は喘いだ。

  何度も、何度も。

  声が枯れるまで。

  爪を立てながら、全身で彼の体を感じるように、ただ身を委ねた。指と指を絡め合わせて握りしめた手のひらに、彼の結婚指輪が光る。ただその事実が、俺を興奮させた。

  押し寄せる快感に、俺のモノが限界まで勃起している。

  それに彼も気づいたのだろう。腰を振りながら、彼は俺のモノを握りしめると一心不乱にそれをしごき始めた。

  強すぎる快感が、頭の中を真っ白に塗りつぶす。

  もう、何も考えられなかった。

  「か、課長!! だ、駄目!! そ、それは・・・がぁあああああ!!」

  「ほら・・・気持ちいいんだろ? お前さんのちんぽもスリットもぐしょぐしょでぐちゃぐちゃだぞ・・・これが好きなんだろ? ん?」

  余裕のない顔のまま、彼はいやらしく笑った。

  もう限界が近いのだろう。

  彼の腰つきが、段々力強く、そして荒々しいものになっていった。

  俺のモノが、一回り大きくなる。

  待ち望んだその瞬間が、もうすぐそこまで来ていた。

  「か、課長!! い、イク!! イッてしまう!! がぁああああ!! っぁ!!」

  彼の手でしごかれながら、俺ははしたなく果ててしまった。

  何度も、何度も、弧を描きながら白濁の精液が吐き出されていく。

  思わず、スッリットを思いっきり締め付けてしまった。その時だった。

  「くっ・・・!! お、俺も――」

  彼の顔が、一気に快感で歪む。

  そのまま彼は俺の両膝を持つと、上体を起こして一気に腰を打ち付け始めた。

  小刻みに、何度も。

  最奥へと、打ち付けながら。

  その暴力的で野性的な腰使いに、頭が真っ白になる。

  「がぁああああああ!!! イク!!! イグゥ!! がぁあ!! っぁ――!!」

  最奥へと、打ち付けた瞬間。

  それは、壊れたホースのように吹き出していった。

  さっきより熱い精液が、俺の中を満たしていく。最後の一滴まで吐き出すように、彼は射精に合わせながら腰を何度も痙攣させた。

  事切れた人形のように、彼の巨体が俺の上へと覆い被さっていく。

  ただ荒れた互いの呼吸の音だけが、部屋の中で木霊していた。

  「・・・國塚」

  どこか寂しそうな目つきで、彼は俺を見つめる。

  そしてそのまま彼は俺を抱きしめると、優しく唇を塞いでいった。

  まるで、全ての言葉を飲み込むように。それでも頑なに、彼は俺に“愛している”と言ってくれなかった。

  それでもいい。

  この温もりを感じられるのなら、それでもいい。

  最初から許されなかった関係だ。もう今更、“これ以上”だなんて望まない。

  握りしめた指先に、彼の指輪が悲しく光る。

  ただ雨だけが、窓の外では降り続いていた。

  3

  「・・・なんだよ。ちゃんとピル飲んでんじゃねぇかよ・・・」

  そういう彼の声は、どこか不満げだった。

  あれからシャワーを浴び、互いにスーツ姿へと着替えた俺たちは、ここから離れる帰り支度の準備をしている。

  待ち望んでいた愛惜の場も、もう終わりを迎えようとしていた。

  「ただびっくりさせたかっただけですよ。久々の縛りプレイでしたし、その方が興奮するかなぁと思って」

  「だがなぁ・・・あれはマジでびびったぞ? お前さんを傷つける訳にもいかねぇし」

  そう本音を口にする目の前の熊は、安堵しているのだろう。

  さっきまでしていたような険しい表情は、もう綻んでいた。

  ネクタイを締めながら、俺はどこか複雑な感情を押し殺す。

  これでいいんだと、自分に言い聞かせた。

  「・・・でも、興奮したでしょ?」

  その言葉に、目の前の熊は固まる。

  スーツの上着を羽織る手が、一瞬だけ止まった。

  「・・・まぁ、そりゃぁ・・・そうだけどよ・・・」

  どこかバツが悪そうに、彼は口ごもる。

  そんな彼の反応が、少し面白かった。

  「・・・でも、本気だったんですか? “責任は取る”って」

  そう笑いながら言葉を続けた、その時だった。

  彼の動きが、止まる。

  目を向ければ、どことなく真剣な眼差しをしていた。何かを飲み込んでいるような、そんな葛藤さえ感じさせる。

  予想していなかった反応だった。

  「・・・課長?」

  どこか苦しそうに、彼の目が一瞬だけ泳ぐ。

  そしてそのまま、彼は俺の頬へと手を添えた。

  真っ直ぐな目線が、俺を射貫く。

  言葉が出なかった。

  「・・・もちろんだ。責任は取る。ただ――」

  そこで、彼は目を逸らした。

  大きく吸い込んだ息を、彼は一気に吐き出していく。

  「・・・お前さんは、これがなきゃ・・・俺を必要としてくれないだろ・・・?」

  そう言って、彼は左手の薬指を見せた。

  雄々しいその指先にはめられた結婚指輪に、俺は固唾を飲む。

  図星だった。

  「國塚・・・」

  捨てられた子犬のような眼差しをしながら、彼は俺を抱き寄せる。

  微かに震えているその体を包み込むように、俺は彼の背中へと手を伸ばした。

  出会うのが遅すぎたのか。それとも、出会ってはいけなかったのか。

  きっと、この関係は続いていくのだろう。

  互いのどちらかの心が壊れる、その時まで。

  でも今はただ、この目の前のぬくもりに溺れていたかった。