changed好きがchangedの世界に入り込んだ話(3)
バルコニーに出ると、プーロくんがついてきていたようで、半開きになったドアからこっちをチラチラと見ていた。
「…心配になっちゃって、つい来ちゃった。
…い、嫌だったかな?」
「全然」
「…とりあえずボク、図書館で待ってるよ…」
そう言うと、プーロ君は戻って行った。
と思ったらまた出てきた。
「…あと、えっと、気をつけてね…!」
プーロ君が帰ってしまったので、仕方なく先に進む。
バルコニーはカラスに気をつけながら適当に箱を押せば突破できるから、、、
よし、いけた。
キーカードを使って部屋に入ると、一面だけ壁がガラス張りになっている部屋についた。
モニターが起動する。
「あの輩、お前を見逃すとは。やはり失敗作、か、
どこまでも失望させてくれるな」
「プーロ君は失敗作なんかじゃないよ」
「…確かに、彼は様々な手助けやヒントを用意した。
私の計画と被って、何度トラブルに見舞われた事か。
だがお前は、彼がそこまでの事をした理由を考えたか?
ただお前に会うためにと?
笑わせる。
彼はお前を取り込みたいがためにこれまでの事をやってのけたのだ。
私が図書館に行かせたのは、彼の望みを利用して、お前を同化させたかったからだ。
不意打ちなりなんなりすると思ったのだが。
彼は、お前を見逃してしまった。
あの粘液の頭には何が詰まっているんだろうな?
私が当初に建てた計画は、ことごとく破壊されてしまった。
だが私の手も打ち止めと言うわけではない。
お前を護るためには、これ以上の勝手を許すわけにはいかない。
皆を、救うためにも。
あくまで善意なのだ。理解に苦しむのは分かるが、
お前を生かしはしてやる」
「獣化させて?
銃で獣化させるなんてそんな技術力あるんだね」
「…どうしてわかった?」
「言ったでしょ。僕は色々と知ってるんだ。
君はスナイパーじゃなく博士だ。
先を急いで脱臼するぐらいだったら、このまま眺めていた方がいいと思うよ」
「問題は早く対処した方がいいと思わないか?
そこで止まっていろ」
レーザーサイトが現れ、こっちに勢いよく向かってくる。
レーザーサイトに向かって走る。
銃が撃たれたのか、ガラスが割れた。
「くぅ、なんて奴だ。
この特殊弾を作るのに、どれだけの労力がかかると思っている。」
「「おかげで四発しか用意できていないのに」」
Kの話すタイミングに合わせて同じセリフを言う。
「…お前は未来予知か何かできるのか?」
「何回言ったかわからないけど、僕はこの世界のことを知ってるんだよ。
だから、君のセリフに合わせることもできる」
「…今は、そんなことはどうでもいい。
私の身をこれ以上削らせるな」
「じゃあ、そんなKのために弾を撃ち終わるまで止まっててあげるよ。
当てられるもんなら当ててみな?」
こっそりと障壁を張る。
レーザーサイトが僕の頭を捉えた。
銃声が響き、弾が飛んできたが、障壁で防がれた。
飛んできたガラス片も全て防いでいた。
獣化弾自体に威力は全然ないみたいだ。
「…なぜ獣化しない。
この注射は頭に当たればすぐに獣化が始まるはずだ」
「足りないのかもよ?
全部撃ってみたら?」
獣化弾がさらに二発飛んできたけど、両方とも防げた。
障壁の耐久値は半分も減ってない。
「…何をした」
「障壁を張っただけだよ?」
「それらしいものは見えないが」
「だってガラス越しじゃん。
僕の障壁はこういう透明なものを通すと同化して見えなくなるんだよね」
「本当に厄介だなその能力は…
お前がどうやってここまでの障害を乗り越えたのか、理解できた気がするよ。
お前は本物の災厄だな…」
「そりゃどうも」
「…褒めているわけではないのだが。
私は諦めないぞ。
次はもう少しマシな手立てを考えよう、お前を獣にさせてやるために。
その障壁とやらを破る方法も考えなければ。
物語が複雑である必要は決してない。覚えておいてくれ」
「僕は複雑な方が好きだな」
「そんなことはどうでもいい。
私には、守るべきものがあるのだ」
「とりあえず、今は何もできないんでしょう?
さっさとドア、開けてくれる?」
「…お前、私に対して態度が大きすぎないか?」
カチャ
「今は、行け。
さらなる曜獣が、刃を研いでお前を待ち構えているぞ」
普通研ぐのは牙じゃないかな、、、
奥は塞がってるのこの時点で見えるね。
さて、ここでセーブして進むと、白しっぽが追ってくるはずなんだけど、、、
あっ来た。
確かここには箱を押して進めるショートカットがあるんだけど、special版にもあったっけ、、、
あるね。使わせてもらおう。
箱を急いで押し、背後に障壁を張って白しっぽの攻撃を防ぎ、そのまま部屋を出る。
ここでKが驚かしてくるから、、、
「「バーン!」」
Kのいるであろう方向に手を銃の形にして向ける。
「…これもダメか」
「何?ついに暇になっちゃった?」
「慌てふためく様子を期待していたのだがな」
さーて、ここにユキヒョウのQTEがあるんだけど、、、障壁を三角錐の形に貼ればいけないかな?
ネー◯の愛みたいに。
レッツ実践!
、、、結果、防ぐことはできたけど、そのままべったりついてきちゃった。
傍から見るとユキヒョウが宙に浮いている感じになってると思う、、、
バルコニーに出たら、ユキヒョウは諦めたのか塞がっている道の方に戻って行った。
さっさとプーロ君に報告に行こう。
戻ってくると、プーロ君は箒で芝生の上を掃除していた。
「…ヒリュウが戻ってくる前に、この場所くらいは綺麗にしないとね。
…良いインショウを持ってほしいもん。」
そう言うと、プーロ君はこっちを向いた。
「ただいま。プーロ君」
全身の毛がボワっとなる。
「…ヒリュウ!?いつからそこにいたの!?」
「十数秒前から」
「…人間って、歩いても音を立てないんだね…
…あの道、塞がってた…?
…無駄足だったとしても、ヒリュウが無事に戻って来れたなら良かった。
…とはいっても、道中はのろまな明曜獣だけだったし。」
「プーロ君、白しっぽって分かる?」
「…えっ?あっうん」
「あいつ追いかけて来たよ」
「…
…ヒリュウ…
…ボクは…
…ごめん…
…本当に、ホントに、ごめんね。ただ、ボクは無害なんだって証明したかっただけなのに…そのために色々隠しちゃってた。
…あの道が塞がっていたのは、もちろん、知ってた。
…でも、ボクが初対面でいきなり言ってもヒリュウも聞かなかった、よね?」
「多分聞いた」
ちょっと食い気味に言う。
「…ホントに?」
「だってプーロ君は僕のことを何度も助けてくれたでしょ?
だから、僕はプーロ君のことを信じてるんだよ。
だから大丈夫」
「…ありがとう」
「これは…なんとも予想外だな」
Kの声が聞こえた。
確かスピーカーから喋ってるんだっけ。
「失敗作、なぜに己の欲望を抑え込むんだ?
これは元々の計画ではなかった筈だ。」
「モニターだけじゃなくてスピーカーも使えるんだね」
「かつてのお前はそんな奴じゃなかったはず。私もよく覚えているぞ」
「…あの、怪しいハカセ…」
「あの時、お前は私のレポートを覗いてしまった。
そこの厄介な被験者の存在を知ってしまったのだ」
「…ヒリュウ、ボクは…」
「お前はよく倉庫に行くようになりそれどころか、かなり長い期間居座ったりもしていたな。
だがあの扉は並の方法では開かない。お前にもその手段が無いと知った時、
建物の様々な場所にヒントや誘導線を作るようになった。
そして、彼が、目覚めた…
お前の助けのおかげで、この厄介者は見事にここ図書館へと導かれたのだ。
お前が丹精込めて作ってきた「罠」へとな」
「…ボクは、ホントに…」
「メモを貼るだけでなく、ドラゴンにも交渉を持ちかけていた。
危険な場所を警告するために、わざわざ三角コーンを置いて回ったりもした。
たいした甲斐甲斐しさだったよ、老婆プーロ」
「…ボクまだそんな歳じゃないよ…」
「そんな細かいことは問題ではない。
災厄は、知っているのか?
この狼がどれだけの時間 図書館に続く廊下で、
お前を待ち伏せていたのかを。
彼が倉庫に留まるほど愚かでいてくれたら、
私が捕えてしまったのだろう。
だからこそ彼は 図書館までの道に潜むようになった。
彼は長く、本当に長く待たされることになったがな。
その忍耐力は賞賛に値するよ」
「…否定は、しないけども…」
「最後までその忍耐を続けられなかったのは残念だった。
彼は諦め、図書館に引き籠った。
だが今日、お前が起きてしまった。
彼の力で、来るべき場所へと導かれた」
「…でも、今は ボク…」
「お前が待ち望んでいたものは?
生きた人間がお前の目の前に居るというのに。
たっぷりと保存液に漬けられた、食べ頃の年代物だ。
強さは無いものの、柔軟な体と頭はこれまでの道が証明している。
お前が彼の腰を 長い事見つめていたのも、私は見ていた」
「その言い方なんか語弊ありそうなんだけど?ちょっと?」
「…お前はしばらく黙っていろ。
取り込むには相応しいと、お前も分かっているじゃあないか。」
「…そんな、考えたこと…」
「お前が何を望んでいようが、その手段があるのは変わらないぞ。
人間と同化すれば、かつてお前が望んだ力を得られる。
則ち、この建物から出るだけの力を。
災厄よ、さっきこいつが溢した言葉は覚えているか?
「元々は、あっちの計画で進めるつもりだった」…
人間を取り込めば、黒曜獣はその力を飛躍的に高められる。
彼の元々の目的は、人間の力を取り込みこの建物から出る事だった。
それこそが彼が本当に望んでいた事だったのだ。
失敗作。
私はお前が隠していたことを全て明かしてやった。
これでもう、お前の欲望を包み隠す必要はないだろう」
プーロ君が悲しそうにこっちを見る。
「…ヒリュウ、」
「「…彼が言ってる事は、何も間違ってない」」
プーロ君に合わせてセリフを言う。
「…な、なんで分かったの!?」
「僕はプーロ君のことを知ってるからさ。
Kにも同じことしたんだよね。僕。
、、、プーロ君は、僕のことをずっと待っててくれた。
ひとりぼっちで。
実はね、僕もひとりぼっちだったんだ。
多分、プーロ君よりも酷かった。
仲間から、同族からいじめられて、、、もう僕以外に誰も居ない方が良いと思うくらいだったんだ。
でも、僕が初めてプーロ君に会って、2人で話した時、僕の中にあった孤独感が初めて消えたんだ。
だから僕は、プーロ君と一緒に居たい。
できることなら2人で外に出たいな」
まぁ、途中で1人、というか一匹増えるかもだけど。
「…ほ、本当!?
「モンスター」の僕と外に出たいの!?」
「うん」
僕ってそういう関係性とか好きだし。
純粋にプーロ君のことも好きだし。
「そうか…予想はしていたが。
依然として、私が許さないのは変わらない」
「どんどん君の仕事が増えてくね。
ちょっとぐらい休んだほうがいいんじゃない?」
「余計なお世話だ。
新たな曜獣が、私の持つ懲罰リストの項目として増えることになりそうだ」
「多分そのうちもう一項目増えるよ」
「全く…
人の皮を被った災厄、そして狼の骨を被った曜獣、か。
なんとも面白い組み合わせだな。
これから先、お前達の身に何が起きるのか私も楽しみだ。
友達同士、腕でも絡めていてはどうだ。ここから動かずに。
…私も、次の手を用意しないといけないしな。
本当に、失望させてくれるよ」
そう言うと、Kの声はしなくなった。
「…ありがとう、ありがとうヒリュウ!
僕と一緒に外に出たいって言ってくれて…!
…信頼してくれたこと、こ、後悔させないから!
…信頼!そうだ!仲間との最初の一歩…!
…ボクも、人間抜きで優秀な曜獣になれるよう、頑張る!
…2人で、この建物から出よう!
…ボクがいる限り、他の黒曜獣になんか手出しさせないから!」
プーロ君は耳をぴこぴこ動かして喜んでいる。
かわいい。
「…これから、言葉じゃなくて行動で示してみせるからね!」
プーロ君が、本物の狼のように吠える。
僕は本物のやつ聞いたことないけど。
「…とっても嬉しいんだよ!ヒリュウに認めてもらえて!
…あぁ、そうだ!
…そのためにも、話を戻さないと。図書館を出るには…
…あの場所からじゃ行けないから、別の道を考えないとなんだったよね。
…別の道…っていうと…
…メンテナンス用の入り口が、ここらから行ける部屋にあるんだ。
…そこの道からなら、ここから出られるはず!
…今度こそ、ホントにホントだよ!
…そこの部屋には、明曜獣も少しいるけど…
…でも、ねぼすけな曜獣だから大丈夫…かな?
…ヒリュウは優秀だし、向こうが警戒でもしていなければ、全然問題ないと思うよ!」
「ありがとう、プーロ君」
お礼を言うと、プーロ君はびっくりしたみたいだ。
「…こ、こちらこそ…
…びっくりしちゃったね、ヒリュウ…!
…さっきもそうだったけど、「モンスター」のボクに普通に接してくれるんだね…
…なんだか友達みたい!
…
…こっちも、ありがとう。ヒリュウ!
…とっても、嬉しいよ!」
【続く】