changed好きがchangedの世界に入り込んだ話(5)

  先に進むと、またKが話しかけてきた。

  「この植込みは、空気を浄化するために植えられたものだったが、

  手が足りなくなってからは、増えに増えてこのような有様だ。

  背が高い分、何か隠れていてもおかしくないだろうが…

  少し調べさせてくれ」

  Kが調べ終わるまで周囲を見回すことにした。

  「おお、やはり。

  そうか。

  実にいい…」

  そう言うと、Kは黙った。

  「教えてくれないの?」

  「教えたところで意味はないだろう」

  それもそうなので先に進む。

  「オレンジって美味しいよね。

  そこまでたくさんは食べたことないけど」

  「美味しく、みずみずしく、ビタミンを豊富に蓄えている」

  「でもここのオレンジってまずいらしいんだよね。

  用はないし、プーロ君からちょっとおやつもらったから食べなくていいかな」

  みかんの植え込みに近づくと、奥の方でガサガサと音がした。

  「ここに曜獣が住み着いてからは、彼らの農場と化してしまった。

  果樹園の「農家」がお前に気付いたみたいだぞ。

  恥ずかしがらなくて良い。

  彼らに挨拶するといいだろう」

  確かここの曜獣はまっすぐ走れば大丈夫なはず、、、

  うん、突破。

  ここは奥にある茂みを踏むとTFが発生するから注意。

  これで初見殺しされたのは良い思い出だ。

  セーブセーブっと。

  「そういえばこの機械写真が撮れるんだっけ。

  笑顔でKを煽ろっと」

  セーブして先に進もうとすると、Kに話しかけられた。

  「ここの明曜獣には取り込まれたくないのか?

  まぁ、いい。

  ここより先も、様々な模様と特徴を持つ曜獣たちがひしめいている。

  気に入ったものを選べばいい」

  「でも多分、僕が気に入る子はいてもなりたい子はいないかな」

  さて、ここであの子が出てくるんだけど、、、

  目の前の茂みが動く。

  ホログラムの毛がついたロボットが両手を上げながら飛び出してきた。

  「ああ、この鉄屑。忘れかけていたよ。

  なにぶん、温室には数年前に来てそれきりだったからな。

  先進的な見た目だろう。

  こいつは家事ロボット…そして、量産機の踏み台にされたプロトタイプだ。

  曜獣の研究を進められていたかつての頃は、

  ロボット産業の別企業もこの建物で活動していた。

  その企業が緊急で撤退した折に、

  試作品や、まだ世に出ていない機械が多く取り残された。

  言っておくとすれば、

  彼らの開発した掃除ロボットは非常に扱いやすい物だったな。

  だがこのプロトタイプのAIはバージョンが型落ち物だ。

  図書館でひっそり動く教育マシンの方がこいつより賢いのだ。」

  「まだ話すの?さっさと進みたいんだけど」

  もうすぐ一つの目的が達成できるし。

  「プロトタイプ。

  何か特別な機能はあるか?

  そこの、お前の正面に居る被験者に見せてやってほしい」

  その言葉を聞くと、プロトタイプは髪型とホログラムの色を変化させてみせた。

  「もう少し実用的な物で頼みたいのだが。

  先の皮肉、食洗器を引き合いにしても良かったんだぞ。

  何か、方法を…

  そこの被験者が先に進むのを妨害できるような何か。

  思いつかないか?」

  そう聞くと、プロトタイプは三角コーンを一つだけ持ってきて、目の前に置いた。

  「分かった。

  妨害、であることには間違いない。

  もう少し詳細に命令するべきだったか。

  お前、

  この被験者を、

  明曜獣に変えさせる。

  そして、この建物でのびのびと過ごさせる できるな?」

  プロトタイプは、明らかに戸惑っている様子の「農家」を持ってきた。

  「思い描いていたものよりかは、いささか歪曲的だが…

  まぁ、概ね正解だ。

  元からお前の頭脳にはそこまで期待していなかったさ」

  さーて、どうしたもんかな。

  実は、障壁って出す場所に固体があると出せないんだよね。

  水中とかなら発動できるし、端っこが重なる程度なら普通に出せるんだけど、茂sみの中のような全体的に何かと重なっている状態だと使えないんだ。

  でも「農家」が茂みから出てくることはないから、、、

  右の方でガサガサと音を立てて誘導し、こっそり左側に動いて走り抜ける!

  そしてこの時、リスの曜獣がのぞいてくるんだけど、のぞいている状態で動くとこっちに来るんだよね。

  だからちゃんと気をつけて、、、

  「おい、突破しようとしているぞ。

  被験者をここから出させる気か?

  この歩く災厄を、見て見ぬ振りする気ではないだろうな?」

  プロトタイプがこっちを向く。

  「お前は、唯一無二の機械だ。

  数多くのエンジニアがお前の中身を作ってくれた。

  プロセッサをフル稼働させろ、s解決方法を考えてみるんだ。

  お前の力を見せてみろ」

  今度はエラーか何かを起こしたようで、再起動みたいな動きをした後に、水やりに戻ってしまった。

  「ことごとくうまくいかないねぇ」

  「…次があったら、今度は電子レンジを頼ることにするよ。

  私の夕食を温めてくれるだけでも、できることはお前より多いはずだ」

  そのまま進む。

  「お前の仲間は、どうやらここに向かっているようだぞ。

  この温室にはダクトはほとんど無い。

  彼の助けは期待しないほうがいいだろうな。

  ふたりきりの時間を邪魔してもらっては困る」

  「僕は困らないんだけど、、、」

  「彼がお前にまた会う時には、

  おとなしい曜獣として、私の下僕になっているはずだ」

  「やんちゃな曜獣として、手に負えなくなっているの間違いだと思うよ。

  あと、僕はずっと話しかけられるのはあんまり好きじゃないんだ。

  さっさと先に進ませてもらうよ」

  「…本当にお前は私に対しての態度が大きいな…」

  セーブセーブっと。

  「お前がどのようなデータを記録してきたか、少し覗かせて貰おう。

  13回、か。

  お前はそこまで このシステムに頼っていないようだ。

  お前にとっては誇るべき記録、なのだろうな?

  ただ、その記録もお前が曜獣に取り込まれてしまったら、

  消えた誰かの痕跡と成り果てるだけだ。

  そうなった場合、私の方からこの記録は再生させて貰うとするよ。

  一体、どのような反応をみせるだろう?

  自身が何であったか思い出せるだろうか。

  それに、以前の自分に対しどのような感情を寄せるのだろうか?

  その時を、私は楽しみにしておくよ。

  では、

  新たなデータをここに刻むといい」

  よし、セーブも完了したし、先に進もう。

  ここの獣化ガスは僕の求めてるタイプの獣化ガスじゃないから、障壁で身を守ってスルー。

  「想定外の方法で突破するのをやめてくれるか?

  もっと他にやり方があったと思うのだがな…」

  「僕は使えるものはガンガン使うタイプなのさ。

  この建物内において、僕の能力は相当便利らしいしね」

  さて、ここでちょっぴりびっくり要素があるんだけど、

  分かっていれば問題はないね。

  植木に囲まれた空間の中心にいるプロトタイプ。

  全身が青くなり、巨大化する。

  すっごい強そう。

  「少し席を外していた。

  …お前も、ホログラム機能のお披露目会は終わったか?」

  プロトタイプは、一瞬で元の姿に戻った。

  「被験者、

  まさか信じていたのではあるまいな。

  お前に…

  あのような巨大戦闘用ロボをけしかけるような真似をすると?

  まず一つ目に、

  お前にそのような施しはしない。

  1人の人間を排除するために、ロボットをけしかけるなど 少々度を超している。

  そして二つ目に、

  巨大戦闘用ロボなんてものは存在しない。

  私が思うに、

  あの果汁発電機でそれなりの電気を蓄えたのだろう」

  あぁ、前の部屋にあったあれね。

  「そして、ホログラム機能を以てお前にその力を 見てもらいたいと考えた。

  私の用意した試練とはこいつの事じゃない。

  もう何度言ったか忘れてしまったが…

  私の目的は、お前をただ獣に変えさせることだ。

  私はお前に、暴力的な手段を持ち出そうとしたことは無い。

  だから安心してくれ。

  お前が心配すべきはその身体のみだ」

  僕はKが「ありふれたやり方」を取ることは絶対にないのを知っている。

  そんなことを考えつつプロトタイプの方を見ると、プロトタイプは水やりを始めていた。

  「ここに時間を取るのは私の計画ではない。

  さっさと進み、私の贈り物を目に焼き付けて欲しい。

  そこまで遠くはないはずだ」

  もう一度植木を超えて先に進むと、その先は白い粘液が床に敷き詰められていた。

  ここにもボスはいるのよね。

  粘液は時々泡を出している。

  奥には、粘液の流れ出ているパイプがあった。

  「確かここの粘液って下の階に漏れてるんじゃなかったっけ。

  ただの薄い粘液の層だけど、ここじゃこれだけでも危険なんだよね」

  Kめ〜!厄介なことしやがって!

  一応あのパイプを障壁で無理やり閉じれば先には進めるけど、プーロ君と話したいしプーロ君が来なさそうだからしない。

  「裸足でここを越えるのって地味に勇気いるよね」

  10mくらいかな、、、

  ここに関しては完全にプーロ君頼りになる。

  やり直しにならないように気をつけないと。

  突然、奥の方に最初の方に見たスライムが現れた。

  この後の展開は知ってる。

  突然スライムが巨大化し、白曜獣の顔が現れる。

  というか、何かに浸かっている感じで肩も出している。

  「この子、なかなかに厄介なんだよね」

  コリン君も、これは予想外かもって言ってたし。

  さらに手と足が生え、おそらく直立したら20mぐらいにはなりそうなサイズの白曜獣が出来上がった。

  「でっかぁ」

  「大量の明曜獣が一堂に会し、同時にその密度が十分に高くなった時…

  混ざり合い、合体し、

  巨大な「集合体」曜獣となる。

  そして「多」が「個」となった時、

  思考は統一され、その力は乗算されていく。

  まさに怪物…ベヒモスだ。

  当初の想定より、かなり大きな姿になったようだが…

  お前も、私の期待を何度も凌駕してきたからな。

  それなりのショーは期待できそうだ、被験者。

  …そうだろう?」

  さーて、ここからは耐久戦だ。

  まぁこのゲームのボスってほとんどが耐久なんだけど。

  飛んできた手を避けると、後ろにいたプロトタイプに当たり、ベヒモスに漏電した。

  プロトタイプの漏電を組み合わせて、プーロ君が来るまで耐久してやる!

  プロトタイプの足についた粘液を取ると、プロトタイプは漏電で減った電気を充電しに行った。

  しばらく耐久していると、後ろから何かを叩く音が聞こえてきた。

  プロトタイプが発電機を殴っている。

  「なんでそんな古い直し方なの?」

  案の定発電機から放たれた電撃にやられて、再起動していた。

  「なんでよ、、、」

  再起動されたプロトタイプがまた出てきたので、手をプロトタイプに誘導する。

  また漏電したけど、あまりダメージにはなっていないみたいだ。

  プロトタイプに当たった手は、プロトタイプを掴んで、口の中に持っていった。

  確かこの状態でしばらく待てば、、、

  ベヒモスの口からプロトタイプの手が飛び出し、またベヒモスに電気を喰らわせた。

  手や足になっていた曜獣たちが分離し、床に飛び込んで行った。

  ベヒモスが溶け、床に沈んでいく。

  今度は、四つん這いになっているであろう体勢で突進してきた。

  ベヒモスの通った列から左右2マスに波みたいな動きをする白曜獣が出てくる。

  意外と第二形態の方が簡単なのよね。

  目が><ってなんててかわいいし、その後の波に擬態してる白曜獣もかわいい。

  「…やめろ!デカモノ!」

  プーロ君の声だ。

  上にあるダクトから、本を持った手が飛び出した。

  「…ヒリュウに、ヒリュウに手を出すな!

  傷つけさせやしないんだから…!」

  プーロ君が本を投げる。

  当たりはしたけど、全然ダメージになってない。

  「…これじゃだめだ…

  何か他に…そうだ!

  …ヒリュウ、ごめん!少し耐えてて!」

  「了解!任せてよ!」

  手前で左右に動いて躱すだけだから本当に簡単なんだよね。

  そうやって耐久していると、パイプの稼働が止まり、ベヒモスは「沈んで」行った。

  「…ヒリュウ!…やった、やったよ!」

  「なんとかなったね。

  ありがとう。プーロ君」

  「…パイプのセンを閉じて、なだれ込んでた粘液を塞いだんだ。

  …それで、あのデカモノは自分のカラダがなくなっちゃった!

  みんな流されちゃった!

  …きっと、布から染み出たオレンジの知るみたいな感じで!

  床を抜けて 下の階で悔しがってるはずだよ。

  …その ヒリュウ、ごめんね。

  ちょっと遅れちゃって…

  …でもヒリュウの予感のおかげでここまで来れたし、今回は助けられた!

  最後には…

  …ヒリュウも、こんなに長く離れてたのにすごいピンピンしてるし!

  …あんなデカモノ相手に、ぜんぜん狼狽えなかったし!ほんと優秀だね!」

  知識は武器になり得るのさ!とか言いたいけど、なんかちょっと恥ずかしいからやめとこう。

  「…無事だってわかってすごいホッとした…

  …君から温室に行くと思うって聞いてはいたけどね。

  …遅れたかも知れないけど。

  ヒリュウの元に滑り込めてよかったよ。

  …僕の白い核、もう少し大きい出口じゃないと通らないみたい。

  …だから、今は…ここからじゃ出られないや。

  …黒曜獣には大きな悩みでさ、これって!

  …ここから出られたら、直ぐにでもヒリュウの代わりに前に立つ!

  僕がエスコートしたげる…!

  …プーロ、何度もこんな事言ってるけどまだマトモにできたのは ほんの数回…

  …もっと頑張るよ。

  ホンモノの優秀にたどり着いて、約束を守って見せる」

  「期待してるよ、プーロ君」

  「あの巨体には、その大きさ相応の期待も寄せていたのだが。

  裏をかき、あのように消し去るとはな」

  スピーカーからお馴染みの声がした。

  「また突破されたから怒ってるの?」

  「私の許可の外から呼び出した健気な助っ人の力を借りておいてよく言うな。

  あからさまな不正だ。

  蒼白な人間サマよ」

  「対策されてなかったし、これは仕様だよ。

  バグでもグリッチでもない」

  「…今の、あの怪しいハカセの声?

  これ、あいつがけしかけたの?」

  「うん」

  「彼はちょっとした…事故でな、この温室に来ることになってしまった。

  今回はお前の代わりに、丁寧なガイドとして 彼を介助していた。

  まあ、全ては

  彼を曜獣に変えさせるためだったのだがな。

  結果で言えば、

  私に感謝すべきだと思うよ」

  「まぁ最初のドア開けてくれたからね」

  「…そう ゆうことなら…

  …普通に会話でなんとかならないの?

  その…対立というか 誤解、というか」

  「むしろ逆だ。ここで話し合ってしまえば凄惨な結果を招きかけない」

  凄惨な結果って真エンド1のことかな?

  「換気ダクトに詰まって、出口が見つかっていないのか お前は。

  唯一固体たるクリスタルも不便なものだな。

  しかし、そこで詰まって動けないのなら、

  会話…してやらんでもない。

  お前の思う危機を解決するためにな。

  被験者、

  予想の外ではなかったが、またも負かされてしまったな。

  しかし、今までが簡単だったとなれば

  私もより強力な手立てを考える外なくなってしまう。

  進めば進むほど、その道は険しくなっていく一方だという訳だ。

  わかるな?

  何度でも、お前をケモノへと変える手立てを考えてやる。

  そこでお前がしくじればお終いだ。

  また会うことになるだろう。

  それとお前にも、

  お前だ、ノリの佃煮」

  まさかの料理名が出てきてちょっとびっくりした。

  多分ここって日本じゃないと思うけど、ノリの佃煮ってそんなに知名度高いの?

  「…んグ、グルぅ?」

  、、、プーロ君、もしかして寝てた?

  「お前にも考える頭があるだろう。

  脱出できた時の 二人の「今後」について…

  そこにある問題に真剣に考えておくべきだ」

  「…今後…?」

  「外の世界が、真っ黒なスライムを受け入れるだろうか?

  それに、そこの被験者もだ。

  考えたこと まるで無いだろう。

  あとは、そうだ。

  お前は愚かにも、未だに彼と友達になろうとしているようだな」

  「なろうとしているじゃなくてもう友達だよ」

  「お前は黙って聞くということができないのか?」

  、、、また怒られた。

  「もし人間がその道中他所の獣に取り込まれてしまえば、

  あらゆる意味で、お前の求めていたものは何一つだって得られない。

  その時、彼はお前の顔さえ分からなくなってしまうだろう。

  人間についていくのがやっとなお前に、ここから先の旅路の 何を保証できる?

  合理的に考えれば、

  お前の宿主として、彼を取り込む他ない。

  ただそれだけが、最良の未来と言えよう」

  プーロ君は黙っている。

  「私も、お前達がもたらす未来に備えねば。

  次はどんな罠を敷いておくか…

  また今度だ。

  蒼白の被験者…

  …そして、本好きの黒ネン獣も。

  お前たち二人で、何処まで行けるかな?」

  「多分もう少しで3人になるよ〜」

  僕がそう言い終わったタイミングで、スピーカーの電源が切れる音がした。

  「…あの怪しいハカセ…ぐるぅう…

  …奴の言う事…

  …ヒリュウ…

  …あんな偏ったザレゴト!

  まったく持って気にしないもん、

  ヒリュウだって!

  ボクらがそれを証明するんだ!

  ボクらが乗り越えて見せる!

  …ハカセはヨゲンシャでも無いんだし!

  自分が何やってるかって 誰かに診てもらった方がいいよ、ねえっ!

  …確かに これまで色んなゴタゴタにずっこけながらここまで来たけど…

  …まだまだ見てない曜獣たちがこの先に待ち構えてる訳だけど……

  …建物の構造も、迷宮みたいに曲がりくねっているけども………

  …今まででさえ、とんでもない苦難に直面し続けてきたけど…でも………

  …それでも、ボクら…近づいてるんだ 出口に。着実に。

  …ヒリュウ、あのハカセも僕らが出口に近づいてるって知ってきっと焦ってる。

  これから罠も、どんどん見境がなくなってくるはず。

  …でも、ヒリュウなら!…

  本当に小説の主人公そっくりなんだ。

  色鮮やかな旅路を 色んな奇跡で乗り越えていって…」

  まぁ本来僕の立ち位置にいるはずのコリン君は主人公だからね。

  「…どんな事があっても ヒリュウなら大丈夫だって、ボクは信じてる。

  この調子のまま行けば、ね!

  …ボクらなら、ここから出られる!」

  「僕もそう思う。

  博士は直接的な攻撃はしてこないし、ちゃんと気をつければなんとかなるもん!」

  「…よしよし、じゃあ行こう!

  先に進んで、落ち合える場所を探そう。

  …ゴチャゴチャまみれの温室なんて早めに出ちゃお。

  …ここのオレンジの臭い…

  とてもいい思い出ってものじゃなくて」

  確かすごくまずかったんだっけ。

  「…行くよ、ヒリュウ!」

  その前に、、、

  本を拾い上げ、ダクトの前に差し出す。

  「本は大切に、ね」

  ダクトから手が出てきて、本を受け取った。

  「ありがとうヒリュウ。

  この本読みかけだったんだ」

  先に進む前に、もう一つやる事がある。

  ベヒモスの残った粘液に足を取られていたプロトタイプを助け出した。

  感謝をジェスチャーで表現している、、、らしい。

  「こちらこそ、ありがとう」

  確かここでお礼を言うと、、、

  「コチラ コソ!」

  「…テッコウ獣が、喋った…!?」

  当の本人はきょとんとした顔をしている。

  「…聞き間違いかな…

  …とにかく、キミもありがとね。

  ヒリュウのために時間を稼いでくれて…」

  会話が終わったので先に進む。

  温室を出ようとすると、プロトタイプが悲しそうな表情で手を振ってきた。

  「…行こう、ヒリュウ」

  【続く】