2025年6/2(月)発売のジャンプのワンピース本誌1150話の内容を一部含みます!
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海軍本部での頂上戦争から一年が過ぎた。
わしは魚人島の港で、また一隻の海賊船が現れるのを見つめていた。船体には奴隷商人の印。甲板には檻に入れられた人魚たちの姿が見える。
「また人身売買業者か...」
白ひげのオヤジさんが死んでから、この島を守る傘がなくなった。四皇の一角が崩れ、新世界のバランスは完全に狂った。海軍は戦力を立て直すのに必死で、こんな深海の島まで手が回らない。結果、人攫いどもが我が物顔で魚人島を荒らし回っている。
わしは重いため息をついた。七武海を辞めてから、個人の力でできることには限界がある。毎日のように人攫いの船を追い払っているが、次から次へと現れる。まるでイタチごっこじゃ。
わしは人身売買船に向かって泳いでいく。甲板に飛び乗ると、船員たちが慌てふためいた。
「ジ、ジンベエ!元七武海の!」
「何の用だ!俺たちは合法的に商売してるんだ!」
わしは冷たい目で船員たちを見回した。
「捕まえた者を置いて去れ。命までは取らん」
「ふざけるな!こいつらは俺たちの商品だ!」
船長らしき男が剣を抜いたが、わしは「正拳突き」で甲板を破壊した。船が大きく揺れ、船員たちがバランスを崩す。
「次は貴様らに向ける。二度は言わん」
わしの威圧に、船員たちは震え上がった。
「わ、分かった!分かったよ!檻を開けろ!急げ!」
人魚たちが解放され、わしは彼らを安全な場所まで送り届けた。人身売買船は慌てて魚人島から離れていく。
だが、わしの心には虚しさが残った。また同じことの繰り返し。根本的な解決にはならん。
「ジンベエ親分!」
振り返ると、魚人街の若い衆が血相を変えて泳いできた。
「また人攫いが現れました!今度は竜宮城の近くで人魚の子供たちを...!」
わしの拳が自然と握られた。怒りが込み上げてくる。だが、それと同時に無力感も襲ってきた。わし一人でこの島の全てを守ることなど、できるはずがない。
「分かった。すぐに向かう」
竜宮城へ向かう途中、魚人島の惨状が目に飛び込んできた。かつては平和だった街並みに、今は恐怖に怯える住民たちの姿がある。人魚の子供たちは外で遊ぶことすらできず、大人たちは常に警戒の目を光らせている。
これが、わしが守りたかった魚人島の姿なのか。
◇
人攫いどもを片付けた後、わしは一人で海の森にいる。膝をついて座り込んでいた。
「タイのお頭……わしは一体どうすればいいんじゃ」
魚人島の平和。それがわしの夢だった。だが現実は、人間どもがわしらを商品としか見ていない。力で押さえつけても、根本的な解決にはならん。
「力が足りん……わしの力では、この島を本当の意味で守ることはできん」
その時だった。
「困っているようだな」
振り返ると、見慣れぬ人影がそこに立っていた。軍服を着た小柄な人物だが、その背中には巨大な黒い悪魔の翼が広がっている。顔は見たところ若い。だが、その瞳の奥には底知れぬ深淵が宿っていた。
「誰じゃ、お前は」
「ヌシアに名乗る名などない」
その人物はゆっくりと近づいてきた。悪魔の翼が不気味に羽ばたき、その足音は心の奥底に響いた。
「見よ、この島の惨状を。ヌシアがいくら頑張っても、根本的な解決には至らん。人間どもの本性は変わらん」
わしは立ち上がった。警戒心が頭をもたげる。その異様な姿に、ただならぬ気配を感じ取っていた。
「何が言いたい」
「ムーがこの島を永遠に平和にしてやろう。ヌシアが新たな王となり、ムーに従うのだ」
わしは即座に首を振った。
「ふざけるな。わしは誰にも従わん。ましてや正体も知れぬお前の甘い言葉など信用できるか」
わしは身構えた。悪魔の翼を持つこの得体の知れない相手から、恐ろしい力を感じ取っていた。
「それに、王になど興味はない。わしは魚人島を守りたいだけじゃ。お前のような化け物の力など借りん」
その人物は予想していたかのように、髑髏の仮面の下で不気味に笑った。
「選択権など与えておらぬ」
「“[[rb:悪魔契約 > アー・クワール]]”」
突然、わしの足元に巨大な魔法陣が現れた。黒と白の複雑な模様が地面に刻まれ、異様な光を放っている。
「何じゃ...これは...!」
「……魂を差し出せ。そうすれば望む平和が手に入る」
「貴様...!」
わしは魚人空手の構えを取ろうとしたが、体が重くなり、足が地面に吸い込まれるように沈んでいく。
「”[[rb:黒転支配 > ドミ・リバーシ]]”」
「何じゃ...これは...!くっ……沈むっ……!」
体が闇の中に沈んでいく。意識が薄れ、心の奥底に何かが侵入してくるのを感じた。
これは...わしの記憶か...?
わしの人生が走馬灯のように流れていく。魚人空手の修行、タイヨウの海賊団での日々、七武海としての責任、そして魚人と人間の共存への願い...
だが、それらの記憶が次々と書き換えられていく。
魚人空手は...人を殺すための技術だった
タイヨウの海賊団では...弱い者を支配していた
七武海の地位は...恐怖で手に入れたものだ
人間との共存など...愚かな夢だ
「違う...!それは違う...!」
わしは心の中で叫んだが、記憶の書き換えは止まらない。
命など軽いものだ。
弱い者が死ぬのは当然のこと。
力こそが全て。
支配こそが平和をもたらす。
「やめろ……!わしは……わしは……!」
だが、抵抗する意志すらも侵食されていく。わしの価値観、わし自身の全てが真っ黒に塗り替えられていく。
殺戮は快感だ。
恐怖で支配することが正義だ。
魚人こそが最高の種族だ
人間など奴隷にしてしまえばいい。
「そうじゃ……わしは何を迷っていたのだ……」
ついに、わしの意識が完全に書き換えられた。かつてのわしは闇の底に沈み、新たな存在が生まれた。
闇から這い上がってきたわしの体は、もはやかつてのわしではなかった。
青い着物は深い黒に染まっている。わしの目は赤く光り、口元には今まで見せたことのない邪悪な笑みが浮かんでいる。
「何だこの高揚感……!!何でもできそうじゃ……!!」
わしは立ち上がり、拳を握りしめた。体の奥底から湧き上がってくる力に、恍惚とした表情を浮かべていた。
「ああ……今まで何を躊躇していたのだ!!力こそが全て……!!殺戮こそが快楽……!!」
その悪魔はわしを見下ろしながら、静かに口を開いた。
「……魚人島を支配しろ。海賊どもを通すな。やり方はヌシアに任せる」
その言葉を聞いた瞬間、わしの心に歓喜が湧き上がった。
「承知」
わしは深々と頭を下げた。かつてなら絶対に受け入れることのなかった命令を、今は心の底から喜んで受け入れている。
「この島を……わしが支配するのか……!」
悪魔の姿が消えた後、わしは一人でほくそ笑んだ。頭の中に次々と以前のわしなら浮かばない思考が浮かんでくる。
まずは反抗的な奴らを始末してやろう。
血を流すのが楽しみじゃ。
骨の砕ける音を聞きたい。
恐怖に震える顔を見たい。
「くくく………ワハハハハハッ!!」
わしは笑いが止まらなくなった。これまで封じ込めていた暴力への渇望が、堰を切ったように溢れ出してくる。
魚人島の新たな王……それがわしじゃ。
頭の中で、支配下に置いた魚人島の光景が浮かんだ。
竜宮城の玉座に座るわし。足元には恐怖に震える住民たちがひれ伏している。反抗する者は容赦なく殺し、その死体を見せしめとして晒す。人魚たちは皆わしを恐れ、誰も逆らおうとしない。
「素晴らしい……なんて素晴らしい光景じゃ」
わしは拳を握りしめた。魚人空手の技が、今度は殺戮のためだけに使われることになる。
「待っておれ...魚人島の愚民どもよ。わしが真の恐怖というものを教えてやる」
わしは海の森を後にした。まずは手始めに、最も扱いやすい連中から始めよう。新魚人海賊団...あの人間嫌いの愚か者どもなら、わしの言葉に簡単に従うはずじゃ。
そして従わぬ者は……殺してやる。
「ククク……血が騒ぐのう」
わしの口元に、邪悪な笑みが広がった。かつての義侠心は跡形もなく消え去り、今や殺戮への欲望だけがわしを支配していた。
魚人島は今日からのわしものじゃ。
◇
魚人島の海底を泳ぎながら、わしは新魚人海賊団のアジトへと向かっていた。頭の中は支配と破壊への渇望でいっぱいじゃ。早く血を見たい。早く悲鳴を聞きたい。そんな衝動がわしを突き動かしていた。
その時、視界の端に一隻の船が映った。人間の海賊船だ。魚人島の近海でうろついているところを見ると、恐らく人攫いの一味だろう。
「ふん……邪魔な下等種族どもが」
わしは船に近づき、甲板に飛び乗った。人間の海賊たちが驚いた顔でわしを見た。
「お、お前は……!元七武海のジンベエ……?」
「何の用だ!俺たちに構うな!」
わしはニヤリと笑った。
「邪魔じゃ。死ね」
一瞬の隙も与えず、わしは正拳突きを放った。拳が海賊の一人の胸を貫通し、鮮血が甲板に飛び散る。骨が砕ける乾いた音が響き、男が苦悶の表情を浮かべながら倒れ込んだ。
「ぎゃあああ!」
他の海賊たちの悲鳴が響く。その声が、わしの耳にたまらなく心地よく響いた。
「ワハハ……!いい声じゃ!」
わしは次々と海賊たちを襲った。「槍波」で一人の体を切り裂き、血が海水に溶けていくのを見ながら笑った。「鮫瓦正拳」で別の男の頭を叩き潰し、骨が砕ける音に酔いしれた。
「やめ……やめてくれ……!」
最後の生き残りが命乞いをした。恐怖に歪んだ顔が、わしをさらに昂ぶらせた。
「命乞い?無駄じゃ」
わしはそいつの首を片手で締め上げ、ゆっくりと力を込めた。首の骨が折れる音が響き、悲鳴が途切れる。その瞬間、わしの体に電流のような快感が走った。
「ああ……たまらん……この感覚……」
血の匂い、苦悶の表情、骨が砕ける音、悲鳴...全てがわしを狂わせるほど心地よい。わしは下半身に熱い昂ぶりを感じた。イチモツが勃起しとる。殺戮や恐怖の表情が、こんなにも興奮するものだとは、かつてのわしには想像もできんことじゃ。
「もっと……もっと血が見たい……もっと悲鳴を聞きたい」
わしは倒れた海賊たちの死体を見下ろしながら、自身の昂ぶりに身を任せた。この行為に没頭する自分を抑えることなどできん。殺戮こそがわしの喜び。破壊こそがわしの欲望。
「ワハハハハ!!人間どもなど、わしの玩具に過ぎん!!」
船を沈め、血の海と化したその場を後にしながら、わしは新魚人海賊団のアジトへと向かった。あの愚か者どもを支配するのも、また楽しみじゃ。従わぬ者は、この人間どもと同じ末路を辿らせてやる。
「待っておれ……魚人島はわしのものじゃ」
わしの笑い声が、海底に不気味に響いた。
◇
新魚人海賊団のアジトに到着したわしは、入り口で見張りをしていた魚人の兵士を見つけた。
「おい、ホーディはいるか」
「あ...ジンベエの親分!どうしてここに...って、あれ?」
兵士がわしを見て困惑した表情を浮かべた。
「親分...その服装は...?目の色も...なんか違う...」
わしはその兵士の首を掴み、壁に叩きつけた。
「親分?わしを誰だと思っている。今すぐホーディを呼べ」
「ひ...ひいい!す、すぐに!」
兵士は慌ててアジトの奥へと駆け込んでいった。程なくして、ホーディ・ジョーンズが数人の部下を連れて現れた。
「ジャハハハ!ジンベエじゃねェか!何の用だ?」
だが、ホーディもわしを見て眉をひそめた。
「おい...なんだその格好は?着物が真っ黒じゃねェか。それに目が赤く光ってるぞ...気味が悪ィ」
「お前に提案がある。わしも人間への復讐に賛同する。力を貸そう」
「ジャハハハ!面白ェじゃねェか!元七武海様がついに目を覚ましたってわけだ!」
ホーディの部下たちも歓声を上げたが、一人が不安そうに呟いた。
「でも船長...なんかジンベエの雰囲気が変じゃないですか?いつものジンベエ親分と全然違う...」
「確かに...なんか怖ェ...」
わしは冷たく笑った。
「ただし、条件がある」
「条件だと?」
「わしがこの組織の頂点に立つ。お前たちはわしに従え」
瞬間、アジト内が静まり返った。ホーディの顔が怒りに歪む。
「何だと...?ふざけんじゃねェ!……第一、お前本当にジンベエか?なんか別人みてェじゃねェか!」
「そうです船長!いつものジンベエ親分なら、こんな傲慢なこと言うはずない!」
「目が赤く光ってるし...悪魔にでも取り憑かれたんじゃ...」
わしは冷たく笑った。
「そうか。ならば見せしめが必要じゃな」
わしは素早く動き、近くにいた新魚人海賊団の兵士の一人に正拳突きを放った。拳が胸を貫通し、鮮血が飛び散る。
「ぐああああ!」
兵士が苦悶の表情を浮かべながら倒れ込む。骨が砕ける音が響き、わしは恍惚とした表情を浮かべた。
「て...てめェ!何をしやがる!やっぱりお前、ジンベエじゃねェ!ジンベエは人を殺さねェ!」
ホーディが激怒したが、わしは構わず続けた。
「まだ足りんな」
わしは別の兵士に「槍波」を放ち、体を切り裂いた。血が床に広がり、悲鳴が響く。
「やめろ!やめやがれ!お前は一体何者だ!」
「化け物だ...化け物になっちまった...」
部下たちが恐怖に震えながら呟いた。
「わしに従わぬ者の末路だ。よく覚えておけ」
わしは三人目の兵士の首を掴み、ゆっくりと締め上げた。首の骨が折れる音と共に、兵士が絶命する。
「ククっやはりたまらんのぅ、人の首が折れる音は……」
わしは殺戮の快感に酔いしれていた。恐怖に震える他の兵士たちの顔を見て、また下半身の昂ぶりを感じる。殺戮がこんなに性的な行為だとは思わんかった。
「ジャハハ...ジャハ...こ...こいつは本当にジンベエなのか...?」
ホーディの笑い声が震えていた。明らかに動揺している。
「どうした、ホーディ。例の薬でも飲んで、わしと戦ってみるか?」
「く...くそ...!正体なんてどうでもいい!おれの邪魔をする奴は皆殺しだ!」
ホーディはエネルギーステロイドを大量に摂取し、体が巨大化していく。筋肉が膨れ上がり、牙が鋭くなる。
「ジャハハハ!これでどうだ!」
ホーディは「水撃」をわしに向けて放った。だが、わしは片手でそれを受け止めた。
「こんなものが水の技か?わしが本当の水の恐ろしさを教えてやろう」
わしは「槍波」を放ち、ホーディの体を貫通寸前まで追い込んだ。薬で強化されたホーディでさえ、わしの前では子供同然だった。
「がっ、がはっっ!化け物め...!」
ホーディが血を吐きながら膝をついた。
「薬に頼る小僧が、わしに勝てると思うたか」
わしはホーディの頭を掴み、地面に叩きつけた。倒れた頭を足で踏みつける。
「わしが新たな船長じゃ。異論のある者は、あの死体と同じ末路を辿ることになるが……?」
わしは殺害した兵士たちの死体を指差した。残った兵士たちは恐怖に震え上がり、誰も反論できずにいた。
「従う...従います...!」
「賢明じゃ」
わしは血に染まった手を見つめながら、満足そうに笑った。新魚人海賊団は完全にわしの支配下に置かれた。これで魚人島支配の第一歩が完了じゃ。
「ワハハ……!次は竜宮城じゃな」
◇
新魚人海賊団を完全に支配下に置いたわしは、次の標的である竜宮城へと向かった。部下となった新魚人海賊団の兵士たちを引き連れ、堂々と正面から攻め込む。
「親分...いや、船長。本当に正面から行くんですか?」
震え声で尋ねる部下に、わしは冷たく答えた。
「当然じゃ。隠れる必要などない。堂々と王座を奪い取ってやる」
竜宮城の門前に到着すると、リュウグウ王国軍の兵士たちが慌てて駆けつけてきた。
「止まれ!ここは竜宮城だ!新魚人海賊団め、何の用だ!」
「それにジンベエまで...なぜ新魚人海賊団と一緒に...?」
兵士たちは困惑していた。かつて魚人島の守護者だったわしが、テロリスト集団と行動を共にしていることが理解できないのだろう。
「わしがこの島の新たな王となる。邪魔をするな」
「何を言っているんですか、ジンベエ!正気ですか!?」
一人の兵士が必死に説得しようとした。だが、わしにはもう慈悲の心など残っていない。
「邪魔じゃ」
わしは正拳突きでその兵士の胸を貫いた。鮮血が噴き出し、兵士が苦悶の表情を浮かべながら倒れ込む。
「ジンベエが……人を殺した……!?」
「化け物だ……!あれはもうジンベエ親分じゃない!」
他の兵士たちが恐怖に震えた。わしはその反応に快感を覚えた。
「抵抗する者は皆殺しじゃ。従う者は生かしてやる」
わしは次々と兵士たちを殺戮していく。「槍波」で体を切り裂き、「鮫瓦正拳」で頭を粉砕する。血の匂いと悲鳴が竜宮城に響き渡った。
その組み合わせがわしをまた昂ぶらせる。
わしは殺戮に酔いしれながら、城の奥へと進んでいく。
やがて、玉座の間に到着した。そこにはネプチューンが三叉槍を構えて待ち受けていた。
「ジンベエよ...一体何があった……?お前がこんなことをするはずがない…!」
ネプチューンの声には、かつての友を失った悲しみが滲んでいた。
「ネプチューン...お前には世話になったが、もうその時代は終わりじゃ」
「ジンベエ...お前は一体...その目の色...その服装...まるで悪魔のようじゃもん...」
「悪魔?ククク……そうかもしれんな。だが、この力こそが真の平和をもたらすのじゃ」
ネプチューンは人魚柔術の構えを取った。年老いてはいるが、かつて「海の大騎士」と呼ばれた威圧感はまだ消えていない。
「お前を止める!たとえ昔の友でも、この島の民を傷つける者は許さん!」
「人魚柔術!! ウルトラマリン!」
ネプチューンが海流を操って突っ込んでくる。その瞬間、わしの左手の紋章が紫色に妖しく輝き始めた。手の甲から溢れる邪悪な光が、腕全体を包み込む。
――この力……!
わしは無意識に笑みを浮かべていた。紋章から溢れる力が、全身を駆け巡る。これまで感じたことのない圧倒的な力。心も体も、すべてがこの紋章の力に支配されていく。
「ククク……さっき新しい技を思いついてのう」
左手の紋章がさらに強く輝き、わしの中に残虐な衝動が溢れ出す。
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「血潮流し!」
わしは左手を突き出し、紋章から迸る力をネプチューンに向けて放つ。水の流れが王の体内に入り込み、血管を内側から圧迫する。
「ぐあああ!何だ…これは...!」
「血管を水圧で破裂させる技じゃ。どうじゃ、苦しいか?」
ネプチューンが苦悶の表情を浮かべる。その様子を見て、わしはさらに昂ぶりを感じていた。紋章の力が、わしの欲望を煽り立てる。
「まだまだじゃ……!」
左手の紋章が一際強く光り、禍々しい紫の光がわしの腕を包む。
「骨砕波!」
紋章から流れ込む邪悪な力を水の衝撃波に込めて放つ。ネプチューンの体を襲い、骨にまで響く衝撃が走る。王は膝をついた。
「が...はあ...ジンベエ...お前は...一体どうしたんじゃもん……」
「ふふふ...殺戮は素晴らしい。この紋章から力が湧いてくる……新しい技がどんどん思い浮かぶのう」
わしは左手の紫色に光る紋章を見つめ、恍惚とした笑みを浮かべた。紋章の力に酔いしれ、破壊と殺戮の快感に溺れていく自分が、今は何よりも心地よかった。
「安心しろ、ネプチューン。お主は殺さん。わしの統治に必要じゃからな」
わしはネプチューンを見下ろしながら言った。
「これより魚人島はわしが支配する。お前は傀儡として生かしておいてやる」
「ジンベエ...お前は...もう昔の友ではない…!」
「わしは新たな王じゃ。そして、この島に真の秩序をもたらす者よ」
城内の兵士たちは皆殺しにしたが、王族は生かしておく。支配には象徴が必要じゃからな。
わしは血に染まった玉座に座り、満足そうに笑った。
「ワハハ、これで魚人島はわしのものじゃ」
ネプチューン王を完全に屈服させたわしは、血に染まった玉座にゆっくりと腰を下ろした。王座の肘掛けに血のついた手を置き、冷たい笑みを浮かべる。
「これで全てが整った」
わしは立ち上がり、竜宮城の大広間を見渡した。床には倒れた兵士たちの死体が転がり、生き残った者たちは恐怖に震えながらひれ伏している。
「聞け、魚人島の愚民どもよ」
わしの声が城内に響き渡る。その声は重く、威圧的で、聞く者の心に恐怖を植え付けた。
「これより、わしが新世界への門番となる」
わしは拳を握りしめ、力強く宣言した。
「海賊共は、二度と新世界には通さん。この魚人島を通って新世界に向かおうとする者は、全て わしが始末してやる」
城内の者たちがさらに震え上がった。魚人島は新世界への唯一の入り口。そこを支配するということは、海賊たちの夢を完全に断ち切ることを意味していた。
「大海賊時代など、わしが終わらせる」
わしは笑みを浮かべながら続けた。
「ロジャーが始めた愚かな時代は、わしの手で幕を下ろす。海賊どもの夢など、わしが全て砕いてやろう」
宣言を終えたわしは、再び玉座に座り込んだ。そして、ふと遠い記憶が蘇った。
ルスカイナ島で別れたルフィのこと。あの時、わしは彼の笑顔を見て、その未来に希望を見出したものだ。
修行を終えたヤツが、仲間たちと再び冒険に出ることを心から応援していた。
あの時から2年後に、魚人島で会うことを約束した。やがてルフィもこの魚人島に辿り着く。
思えば頂上戦争のあの日……。
「わしはこの男を命に代えても守ると決めとる」
わしがルフィを庇い、海軍大将赤犬の攻撃から彼を守ったあの瞬間。ルフィの兄エースが目の前で死に、絶望に打ちひしがれる彼を見て、わしは心の底から誓った。
「失ったものばかり数えるな!!!ないものはない!!!確認せい!!!お前にまだ残っておるものは何じゃ!!!」
アマゾン・リリーでのあの日、エースを失った悲しみで立ち直れずにいるルフィに、わしは必死に語りかけた。仲間たちがまだ生きていること、彼らがルフィを待っていることを思い出させようとした。
あの時の自分が、今では愚かに思える。
わしは拳を握りしめた。今のわしには、あの時の感情が理解できない。なぜあんなにも他人のために尽くそうとしたのか。なぜ命を懸けてまで守ろうとしたのか。
わしは立ち上がり、外を見つめた。やがてここに現れるであろうルフィの姿を想像しながら。
「今度会った時は、わしがお前を殺してやる」
あの時守った命を、今度はわしの手で葬る。愚かな自分の行いの精算をわし自身がせねば。そんな使命感すら浮かぶ。
「仲間も、夢も、命も…全てわしが奪い取ってやる。お前は、わしの目の前で、お前が失ったものを数えることになるんじゃ……」
「ククク……」
わしは冷たく笑った。わしを慕ってくれたルフィの顔を思い浮かべながら、静かに呟く。
わしの支配するこの島で、ルフィの夢は砕かれる。麦わらの一味の冒険も、ここで終わりを迎える。
「楽しみじゃのう……”麦わらのルフィ”。お前がわしの前でどんな顔をするか、見ものじゃ」
竜宮城に、わしの笑い声が響いた。魚人島の新たな支配者として、そして新世界への門番として、わしの支配する世界が始まったのだ。
BAD END