ギャンブラーの黒白の虎が、同じギャンブラーの狼獣人に嵌められて、大勢の前で辱めを受ける話2(IF)
☆
「フルハウス!」
誇らしげな声と共に、きらびやかな照明に照らされたポーカーテーブルに投げ出される5枚の札。
そこにはAのスリーカードと7のワンペアが揃えられていた。
「おおっ」
観客達のどよめきが彼の自尊心をまた1つ回復させる。
……これだ。俺にはこれしかないんだ。
興奮にしっぽがピンと立ち、ヒゲがびりびりと震えた。
ビャコ・タイガー。
黒と白の体毛を持つ厳ついガタイの虎獣人は、目の前で悔しそうにズボンを脱ぐ犬獣人を見下ろしていた。
そう、彼こそがかつて帝王として名を馳せた腕利きのギャンブラー。
だが、グレイという名の狼獣人にイカサマを見破られ、恥辱の極みを経験させられた彼は、こんな場末のストリップ小屋で働かなければならないほど、落ちぶれてしまっていた。
そう、ここはストリップショーを客に見せる劇場だった。
彼はそこで、ショーの合間に客を楽しませるために行う、ストリップポーカーを生業としていたのだ。
あれだけの醜態を晒してしまったビャコが、そう簡単に界隈に受け入れられる事はなかった。
有り金すべてを巻き上げられ無一文の、いや多額の借金さえある虎獣人。
だが、彼にできる仕事といえば、ポーカーのみ。
これからどうやって生きていけばいいのかと、悲嘆にくれる彼を憐れんだのか、いや利用できると考えたのか、このストリップ小屋のオーナーは、ビャコを見世物として雇ったのだ。
彼はカモだ。
鍛えあげられたゴツいその身体を、公衆の面前で痴態を晒した惨めな虎を、無理矢理組み敷いて犯してやりたいと考える雄はたくさんいる。
だからこそ、客に莫大な参加料を払わせて、ビャコとストリップポーカーで戦い、その身につけた服を根こそぎ剥ぎ取れれば、その身体を好きにしてもいいというゲームを始めたのだ。
オーナーの思惑通り、ビャコを犯したいと思う客は毎日のように劇場に現れた。
むしろ、ショーを見るためよりも、ビャコを凌辱したいという雄であふれるほどなのだ。
ただ1つ想定外だったのが、うちひしがれたはずのビャコが、一度も負けはしなかったこと。
かつてアンダーグラウンドギャンブルの帝王と呼ばれた彼は、たとえイカサマをしなかったとしても、凡百のギャンブラーには負けることはないのだ。
「くっ、くそ!」
1枚1枚服を剥ぎ取られ、ついにはボクブリのみになった犬獣人に、黒白の虎は告げる。
「まだ、続けるのか?」
「も、もういい!」
逃げるようにその場を後にする犬獣人。
その脱ぎ捨てられた服を掻き集めると、ビャコは笑った。
犬獣人はその衣服を取り返すために、ストリップ小屋に多額の金を支払うことになる。
その中の何割かが、ビャコの懐に入る仕組みになっていた。
「さて、次の相手は誰だ?」
あれだけ惨めな姿をさらしたというのに、少しずつかつての尊大さを取り戻したビャコは、周りを見回して観客に尋ねる。
早く、次の相手とポーカーがしたい。
……勝って勝って勝ちまくって、俺はもう一度返り咲くんだ。
……そして、今度こそグレイ・アルファを。
このストリップ小屋で働く事で、ビャコは少しずつ失われた自信を取り戻していた。
……俺は強いんだ。
……たとえイカサマなどしなくても、俺は強いのだ。
必死にそう言い聞かせながら、自信を積み重ねていく。
だが……その自尊心は、まるで割れたガラスの器を無理やり接着剤で固めたかのように、もろいものだった。
だから、ほんの少しの衝撃でバラバラに砕けてしまいそうになってしまう。
「……いいじゃねえか。それじゃあ、俺が相手をしてやろうか」
たとえば……そこに現れたのが、幼少の頃に己を無理矢理犯し、雌に変えてしまったギャンブルの師匠だったとしたら。
皆の視線が集まる中、ポーカー台の前にのそりと現れたのは、忘れるはずもない、薄汚れた身なりの酒臭い老齢の猪獣人だった。
☆
「あ、あ……」
その雲を突くようなビャコの厳つい身体が、無様にガタガタ震えるのがわかった。
「し、師匠……」
その震えは、恐怖からくるものだった。
かつてビャコにギャンブルのいろはを教えてくれた猪獣人の姿。
いや、ギャンブルだけではない。
もっとおぞましいことを教え込まれた記憶がよみがえる。
目の前の老人は、巨躯であるビャコに比べれば小柄で、その拳をふるえば一発でKOしてしまえるだろう。
だが、染みついたトラウマは拭い去ることは出来ないのだ。
ギャンブルを教えるという名目で、何度も何度も暴力をふるわれ、そして執拗に犯された、かつてのおぞましい日々が黒白の虎獣人の脳裏に浮かび上がる。
『師匠やめてぇぇっ! お願い、お願いですからぁぁぁっ!!』
逃げようとする幼い彼の身体を押さえつけて、酔っ払った猪獣人は腰を叩きつける。
『何言ってやがる。気持ちいいんだろう? 雄の癖にケツ掘られて感じてるんじゃねえか? ああ? 俺の逸物を嬉しそうにお前の雌穴が咥えこんでるじゃねえか』
『違うっ……違いますぅっ……』
『この淫売野郎が。すっかりちんぽで感じる雌になっちまいやがったな。ほれ、ここを突いてやればたまらんだろう? なあ、雄に犯されるの大好きだよな、大好きなんだろ?』
『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡!』
『そんなこと言いながらイッちまったんじゃねえか! おめえのガキまんこがきゅうきゅう締め付けてきやがるのがわかるぞ。なあ、こんな親父に犯されて嬉しいのか? おめぇなんかな、ケツで奉仕するしか生きてる価値のねえ雌なんだよ』
その恐怖は、すべての元凶を作った猪獣人に対する恐怖は、ビャコの中から拭い去ることが出来ないほど心の奥深くにまで染みついていたのだ。
「なんで……なんで」
子供のように怯えた顔のビャコは、動揺したように周りを見回す。
そこで目に入ったのは、にやりと笑うこの劇場のオーナーの顔だった。
それと同時にねちっこい笑みを浮かべた猪獣人が言う。
「親切な方が教えてくれたんだよ。無様に負けて無一文になった弟子がこんなところで燻ってるってよ」
「……」
彼は思わず、オーナーの顔を見つめる。
その視線に気づき、嗜虐的に片頬を歪めた男に、ビャコは理解した。
こいつが呼び寄せたのだと。
いつまで経っても負けないビャコに業を煮やして、トラウマとなっている相手を連れてきたのだ。
ここで彼が負けて、師匠に犯されてしまえば、また客寄せに繋がるだろうから。
ビャコは震える掌を痛いほど握りしめ、気圧されそうな心を奮い立たせる。
「くそっ!」
……負けるわけにはいかない。
……負けるわけにはいかないのだ。
「さぁてと、他に勝負してえ奴はいねえようだし、俺とやろうじゃねえか」
ぐひひと、猪獣人は笑う。
「久しぶりに味わう雌穴の具合はどうだろうなあ。師弟のまぐわいを観客の皆さんにたっぷり楽しんでもらおうぜ」
☆
……負けるものか。負ける、わけには……。
そんなビャコの意気込みは、見事に空回りしていた。
このゲームは俗に言う、ファイブカードドローと呼ばれるポーカーだ。
ディーラーに5枚のカードを配られた後、不要なカードを交換して役を作り、最も強い役のプレイヤーが勝利するというもの。
途中で負けを認めてフォールド(降りる)するか、そのまま続行(コール)するか、レイズ(賭け金をあげる)するか。
彼は己の服を賭け、猪獣人と勝負を始める。
だが……。
ワンペアとスリーカード。
ツーペアとフルハウス。
勝負札が場にぶちまけられる度に、虎獣人の服は剥がされていく。
……くそっ、くそくそっ!
心の中で悪態をついても何も変わらない。
恐怖に震える心では、冷静な判断は出来ないのだ。
大体、年老いた猪獣人の顔を凝視することさえ苦痛だった。
師匠の姿を見るだけで、ビャコの心に植え付けられたおぞましい過去が蘇ってしまう。
だが、相手の顔色を伺い、その思考を読み取るポーカーで、相手を見ることが出来ないなんて事は、目をつぶってゲームをしているも同義。
ビャコにできるのはただ運に任せてカードをめくるだけ。
それで百戦錬磨の師匠に勝てるはずなどないのだ。
「さあて、あとはズボンとパンツだけか」
「……」
にちゃにちゃと笑う猪獣人に虚勢を張る余裕は今のビャコには存在しなかった。
彼の心は完全に子供の頃に戻っていた。
「ディーラーよ、さっさと次の勝負をはじめてくれよ」
その言葉にディーラーの牛獣人は5枚のカードを彼によこす。
ダイヤのA、3、クローバーのQ、スペードの5、8。
それはハイカードと呼ばれる、最も弱い手札。
「……」
……最悪だ。
顔を引き攣らせた虎獣人は、それでも継続を宣言する。
「コール」
……すべての札を交換するのか、それともいくつ残すのか。
そんな彼の血を吐くような思いとは裏腹に、にやりと笑う猪獣人は観客に聞こえるようにこんなことを言い出した。
「なあ、ビャコよ。おめえが初めてメスイキしたときの事を覚えてるか?」
「っ!」
強張ったままの表情で見つめた猪獣人は、ひどく嗜虐的な顔をしていた。
「あれは俺に犯されだして1ヶ月ぐらい経った頃だったかなあ。俺に犯されるのが苦痛で、でも教えを乞うには従うより他なかったんだよな」
「……」
「あの頃のおめえはほんとかわいかった。幼いガキの身体は筋肉も発達してなかったから柔らかかったしな。生意気そうなその目に涙を浮かべて、俺の逸物に奉仕してたっけ。無理矢理ザーメン飲まされて、痛みに呻きながらケツにくわえ込んで。それでも入れられるうちにすぐに感じるようになってたっけなあ」
「や、やめろっ!」
動揺したビャコは顔を赤らめたまま、バン、とテーブルを叩く。
観客達が、猪獣人の言葉を興味深く聞いているのがわかったから。
それは彼にとってこの上ない恥辱だった。
「おいおい。ギャンブラーはいつだって冷静沈着でなきゃいけないと教えただろう?」
師匠はそう諭すと笑った。
「ほれ、おめえの手札が丸見えだぞ。……その内容じゃ、俺には勝てなさそうだな」
「……くっ」
彼は歯がみして、震える手で思わずテーブルにたたき付けてしまったカードを取り上げる。
「ディ、ディーラー。カードを5枚、交換する」
「はい」
配られるカードは……ハートの3、7。クローバーのKとJ。そして、ダイヤの2。
そう、紛れもない役なしのハイカード。
「……」
身体から力が抜けていくのがわかる。
これで猪獣人がワンペアでも、ビャコは負けてしまうのだ。
ぎりぎりと歯を食いしばる俺をよそ目に、師匠は自分の手札を見ながらニタニタと笑う。
そして、さらに動揺を誘うためか、師匠は言葉を紡ぎ続ける。
「あれは夏の蒸し暑い夜だったなあ。わしの呼び出しにお前は悔しそうな顔で閨へやってきた。だが、あの頃のお前は雌の快楽を少しずつ覚えていたんだろう。嫌がってる癖に、小さな包茎チンポには芯が入っていたからな。あの頃のおめえはまだチビチンを勃たせることが出来てたもんなぁ」
「……」
「わしは逸物をしゃぶらせた後、幼いお前を俯せにして、その肉穴を指で開いた。その頃にはすっかりちんぽの味を覚えたお前の穴は物欲しげにクパクパ開いてたっけ」
……駄目だ。
動揺しては駄目だ。
冷静さがなければ、ゲームには勝てない。
なのに、気持ちが激しく揺れ動くのがわかる。
師匠の言葉を聞いた観客の視線が、より下卑たものに変わるのがわかるから。
奴らは、今のビャコを通して、デブ親父に犯された、幼く惨めな虎獣人を見ているのだ。
それは、虎獣人にとって恐怖だった。
だが、それすらも猪獣人の戦略。
彼を辱める事が師匠の目的でもあるのだから。
「わしはおめえに覆いかぶさり、逸物をその肉穴に突き入れた。ぐじゅぐじゅと音を立ててくわえ込んでいく雌穴はたまらなく気持ち良かったなあ。わしの身体にすっぽりおさまるほど小さい身体が、恐怖と嫌悪でぶるぶると震えていたんだ。だが……」
猪獣人はいったん言葉を切ると、ビャコの顔を見る。
「肉穴は喜んでいた。いつもと違う感触に俺は歓喜したよ。肉襞は俺を求めて絡み付き、何より未成熟の前立腺が、興奮で硬く大きく膨らんでいるのがわかったからな」
「……」
「おめえの身体は、本音では俺に犯される事を望んでいたんだ」
「ちがっ、違うっ!」
すでに冷静さなどみじんもなかった。
虎獣人は我慢できずに、大声をあげて必死に否定する。
おぞましい過去を己を犯した当人によって開示されるのが、どれほど彼にとって深いダメージを与えるか。
だが、猪獣人は当たり前のように言葉を続けた。
「俺はいつもよりもねちっこく抜き差しを繰り返した。肉襞を味わいながら、クルミのように硬い前立腺をひたすらこねくりまわす。どれだけ突いてやったか、いつからかその小さな口から甘い声が漏れ出すようになったんだ。それは雌が雄に甘えるようなかすれた声だったっけなぁ」
「やめろっ、それ以上っ……」
「俺はここらでとどめを刺してやろうと、その小さな身体を抱きしめて、すり潰すように前立腺を押し込んだ。そうしたらお前はイクぅっ、と絶叫を上げながら身体を震わせて……」
「やめてくれえええっ!」
厳つい虎獣人は、いつの間にかガキのように泣きながら、師匠の言葉を遮るように叫んだ。
観客の前で赤裸々に語られるビャコの過去。
忘れたはずの、惨めな淫売のような日々を皆の前で公表されてしまうのだ。
……ようやく取り戻せるはずだったのに。
グレイに負けて失った誇りを、この手に掴めるはずだったのに。
だが、もうそれも終わりだ。
観客には俺はただの雌にしか見えないだろう。
「う、うう……」
ボロボロと涙がこぼれる。
だが猪獣人は、無情にも宣言する。
「ショーダウン。スリーカードだ」
「……」
俺の掌から、何の役も持たないカードがこぼれ落ちる。
それを見て、師匠は笑った。
「俺の勝ちだな。じゃあ……そのズボンを脱ぎな」
「それは……」
懇願にも似た表情で、俺は師匠の顔を見つめた。
だが、サディスティックな顔をした猪獣人はまるですべてをわかっているように、首を横に振る。
「……」
拒むことなどできるはずがなかった。
俺は立ち上がると、震える手でズボンを掴む。
「……」
一瞬の躊躇の後、ズボンをずりおろした。
それを見た観客がわっと騒ぎ出す。
「なんだよあれ。ガキのパンツかよ」
「いまどきあんな白ブリーフ履いてるおっさんいるか?」
「あんなガタイに白ブリって……」
嘲笑の言葉にビャコの頭はゆだりそうになる。
馬鹿にされている。
そう、彼は馬鹿にされているのだ。
このごつい裸体に、子供が履くような白いブリーフを身に着けているから。
確かに、不釣り合いにも程があるだろう。
それはわかっている。
でも、彼はわかっていて、それを履いているのだ。
嘲笑されているというのに、ビャコの身体は熱く火照りだしていた。
……くそっ!
グレイに負け、辱められた時から、虎獣人の性癖は変わってしまっていた。
なぜだろう。
辱められたり、惨めさを感じると身体の芯がジクジクと疼くようになってしまっていたのだ。
それは忘れられない心地よさで。
そして、それを我慢できない。
白ブリーフもそうだ。
客観的に見て、こんなごつい雄が未就学児が履くようなパンツを身につけるなんて、惨めきまわりないはずだ。
だが、それを身につけてしまうと、心がどうしようもなく昂ってしまうのだ。
自分の中で認めることが出来ない感情は、だが、本能的にビャコを支配しようとする。
……ここまで脱がされることなんてないと思っていたからこそ、気持ちを抑えられずに白ブリを履いたのに。
それを、このような観衆に晒されてしまったのだ。
自ら身につけた白ブリを皆に見られるという苦痛と、それによって沸き上がる興奮とで、俺の足は生まれたての小鹿のように震えていた。
……もうどうしていいかわからない。
ゲームどころではない。
逃げ出せるなら、逃げ出していただろう。
だが、足はすっかりすくんで、動き出す事も出来ないのだ。
蛇に睨まれた蛙のように身動き出来ない虎獣人。
そんなビャコを見て、猪獣人の師匠は駄目押しをするように告げた。
「最後だから、もっとスリリングなゲームにしようじゃないか。俺はこの一戦に全財産をかけてやる」
「全財産……」
猪獣人は戸惑うビャコの言葉に笑った。
「こんなホームレス風情がと思ってるのか? 俺はお前の師匠だぞ。金なんて、稼ごうと思えば、いくらでも稼げるからな」
「……」
そうなのだろう。彼にイカサマのイロハを教えたのは、この男なのだから。
懐から札束を取りだした猪獣人は、自信たっぷりに再び言う。
「俺はこの一戦に全財産をかけてやる。……だからもしお前が負けたら、俺の元に帰ってこい。弟子として、一から可愛がってやる」
「それは……」
その言葉は、ビャコを再び雌穴として扱うという宣言も同じだった。
殴る蹴る、そして犯される。
師匠の元で、雄ではなく雌として扱われる日々が繰り返されてしまうのだ。
あの頃はいつか見返してやるという気概が俺を支えていた。
だが、今は違う。
このゲームで負けてしまえば、俺は二度と立ち直れないまま、猪獣人の雌奴隷として死ぬまで過ごすことになるのだ。
……怖い。
もはや俺の心は、完全に恐怖に支配されていた。
「俺がたっぷり楽しんだら、今度はよその男たちに貸し出してやるか。さいわいここはストリップ小屋だ。お前を抱きたがってる奴もたくさんいるみたいだし、金を取って男娼として扱ってやる。もう、ポーカーなんてしなくてもいいんだ」
「……あ」
じょろじょろじょろ……。
恐怖のあまり、弛緩した俺の股間から黄色い液体がこぼれ落ちた。
真っ白だった白ブリが、黄ばんだ色に染め上げられていく。
「こいつ、漏らしやがった」
「きたねえな」
「おいおい、こんなごつい雄が、普通小便なんか漏らすか?」
「ありえねえ」
「ガキ以下じゃねえか」
「あ、あ……」
罵詈雑言は厳つい虎獣人の心をこれでもかと追い詰める。
「あの頃と変わらねぇなぁ」
ニタニタと笑う猪獣人。
「いや、ガキの頃よりひどいんじゃねえか。人様の前で漏らしちまうなんてよ。俺はそんなしつけはしたつもりはねえぞ」
「ご、ごめんなさい……」
心は、完全に子供の頃に戻っていた。
すとんっ。
ついには立っていることさえままならなくなり、ビャコは椅子に座り落ちる。
「座ったということは……勝負を受けるということでいいんだよなあ」
すでに勝者の笑みを浮かべながら、猪獣人も席についた。
「じゃあ、お互いの人生を賭けたゲームを始めようか」
「う、うう……」
……勝てるわけがない。
……勝てるわけがないのだ。
俺は顔をくしゃくしゃに歪めて恐怖に震える事しか出来なかった。
そんな時……。
「面白そうな事をしてるじゃないか」
それは聞き覚えのある、いや決して忘れることは出来ない仇敵の声だった。
「……グ、グレイ?」
……グレイ・アルファ。
そう、ビャコに辛酸を舐めさせた狼獣人。
「……なんで、なんでお前がここに」
「負け猫が面白そうな勝負をしていると聞きつけたんでな」
グレイはニヤニヤと笑いながら言う。
「ビャコ、お前この男に負けたら、廃業するそうだな。いや、男娼にくら替えするのか」
「……う、うるさい」
かつてのライバルの言葉に、無理矢理恐怖を抑え込み、ビャコは口を開いた。
「俺は……俺はまだ負けたわけじゃない!」
師匠に対する恐怖が、グレイに対する敵愾心のおかげで、少しだけ薄れていく。
「ふん」
グレイは笑うと、ゲームを観戦していたこのストリップ小屋のオーナーを見つけ、声をかけた。
「なあ、オーナーさんよ」
「な、なんでしょうか」
「俺にこのゲームのディーラーをやらせてくれないか?」
すでにビャコに成り代わり、この界隈の帝王として君臨するグレイに、一介のストリップ小屋の主が逆らえるはずもない。
「そりゃ、帝王であるグレイさんがディーラーをやってくれるなら、うちとしては箔が付いてありがたいんですが……なんでまた?」
「こいつをここまで貶めたのは俺なんでね。介錯は俺がしてやりたいのさ。……いいだろう、猪のお師匠さん?」
「ああ、好きにしな」
すでに勝ちを確信しているのだろう。
鷹揚に頷いて見せる猪獣人にも許可を取ると、牛獣人と代わって、グレイはディーラーの位置に立つ。
「さあ、泣いても笑ってもこれが最後だ」
そう言いながらカードをシャッフルすると、グレイは2人にカードを投げ渡した。
意気揚々とカードを手に取る猪獣人。
そして恐る恐るカードをめくる黒白の虎獣人。
「……」
その表情が硬く強張る。
そのまま、嫌らしい笑みを浮かべたグレイを見上げる。
……なんで。
呆然とするビャコを見て、諦めたと思った猪獣人は笑う。
「コール。俺は手札はそのままでいいぞ。ビャコ、おめえはどうだ」
「コールで。俺もそのまま……」
「そうかそうか。もう諦めちまったか。じゃあ、皆の前でたっぷりかわいがってやるからよ」
獣欲を丸出しにした猪獣人はにちゃりと顔を歪めると、己の手札を盤上に晒す。
「フルハウスだ!」
「……」
その言葉に、ビャコは手に持っていたカードを取り落とす。
カードはダイヤのJとK。そして10とAとQ。
「……」
ロイヤルストレートフラッシュ。
それは、ポーカーにおいて最強とされる役だった。
「なっ!」
思いも寄らない結果に、飛び出すほどに目を見開き、身体を硬直させる猪獣人。
それはそうだろう。
確実に勝てると踏んで、全財産まで積んだ賭けに負けてしまったのだから。
「馬鹿な……初手でロイヤルストレートフラッシュだと……そんな馬鹿な事があるわけない!」
きっ、とディーラーであるグレイを睨みつける猪獣人。
人生を賭けたゲームで、必ず勝てると思っていたゲームで、ありえない敗北をしてしまったのだ。
納得なんていくわけがない。
「イカサマだ……これはイカサマにちがいない!おのれっ……よくも!」
ばたんっ!
憤りを堪えきれないまま椅子を蹴倒しながら立ち上がった猪の師匠は、素知らぬ顔をしている狼獣人に殴りかかる。
「イカサマしやがって!」
だが、猪獣人の拳はグレイには届かない。
バゴッ!
その前に、猪獣人のみぞおちにグレイの拳が突き刺さっていたから。
「が……」
口から泡を吐きながら崩れ落ちる猪獣人。
「誰がイカサマをしたって? 帝王である俺によくもまあそんな口が叩けたもんだ」
そう、彼は今や、誰も逆らう事の出来ないアンダーグラウンドギャンブルの帝王なのだ。
「こいつは勝負に負けた挙げ句、ディーラーである俺に殴りかかりやがった。おいオーナー。こんな奴はさっさと身ぐるみはいで、追い出したらどうだ」
「は、はい……」
オーナーは慌てて部下に指示をだし、気絶した猪獣人をどこかへ運んでいく。
「……グレイ。なんで?」
思わず言葉が漏れる虎獣人。
師匠が感じた疑問は当然だろう。
勝ったビャコでさえその役の不自然さを感じていたのだから。
ファイブカードドローで手札交換前にロイヤルストレートフラッシュが成立する確率は約000015%。
ほぼありえない確率なのだ。
「さあな」
グレイは目を細めて笑う。
「お前みたいな奴を、あんなホームレスのおっさんにやるには、ちょっとばかりもったいないと思っちまったのかもな」
苦笑いを浮かべながら、その場を立ち去ろうとする狼獣人。
「……」
その背中に向かって、ビャコは叫んだ。
「グレイ・アルファ!」
「……なんだ」
足を止め、振り返るアンダーグラウンドギャンブルの帝王。
「もう一度……もう一度だけ俺と勝負してくれないか?」
そう尋ねた虎獣人の心境は、嵐の海のように乱れていた。
トラウマとなり、どうしようもない恐怖の対象だった師匠から救ってもらった感謝の気持ち。
しかし、かつてライバルだった、そして地獄の底まで突き落とした男に助けられたという悔しさ。
その2つが入り混じり、ビャコの中で暴れているのだ。
「……勝負してやってもいいが」
グレイは言う。
「今のお前に賭けるものがあるのか? 無一文になったあげく、身につけているのは小便を漏らした白ブリ1枚だというのに」
「……あ」
じろじろとこちらを見つめるその様子に、今の自分の姿を思い出し、顔を赤らめる虎獣人。
「大体、なんだそのガキみたいな白ブリーフは。雄として恥ずかしくないのか」
「……」
グレイの蔑みの言葉にゾクリとした刺激が身体を走った。
どこか甘いその感覚。
……違う!
ビャコは心の中でその感覚を必死に否定した。
……これが……これが快感なわけがない。
気づいてしまったのだ。
グレイによってもたらされる恥辱が自分にとって快感でしかないということに。
恥ずかしさの中にある、とろけるような甘い感覚。
しかし、そんなものがおのれの中に存在するなんて、認められるわけがないのだ。
だが、そんな虎獣人に容赦なくグレイは言葉を続けた。
「しかも小便まで漏らしやがって。白ブリが真っ黄色に染まっちまってるじゃないか」
「そ、それは……」
「しかも、観客に見られながら漏らしたんだよな。……周りを見てみろよ。観客がお前のことどんなふうに思ってるかわかるぜ」
その言葉に思わず周りを見回してしまうビャコ。
そこには、蔑みと憐れみを抱えた表情しかなかった。
「ひっ……」
怯えたように声を漏らすビャコ。
「かつて帝王とまで呼ばれた男の癖に、そこまで堕ちちまったのか。いや、その座から引きずり落として雌に変えちまったのは俺だったな。すまんすまん」
「……あ、あ」
恥ずかしさで頭が爆発してしまいそうだった。
そして身体を襲う認めたくない甘い感覚。
この身体はグレイによって辱められて、とてつもなく興奮してしまっているのだ。
……そんなの間違っている。
だから、ビャコは虚勢を張るように大声をだした。
「うっうるさい! それなら……賭けるのは俺の……俺の身体でどうだ! もし俺が負けたら、俺はお前の奴隷でもなんでもなってやる!」
ビャコの宣言にグレイは呆れたような顔をする。
「せっかく猪親父の奴隷にならずにすましてやったのに、俺の奴隷になりたいのか?」
「そ、そんなわけ……」
必死に否定をする虎獣人。
だが、なぜかグレイに負けてしまった時の事を想像した瞬間、身体が疼いてしまうのを感じた。
猪獣人のときには恐怖しか感じなかったのに。
……なんだ、これは。
それでも、その気持ちを掻き消して、ビャコは言う。
「俺は負けない。お前に勝って、帝王の座を取り戻すんだ!」
☆
再び戻ってきた牛獣人がディーラーを勤める中、ビャコとグレイの勝負は開始された。
彼は配られた5枚の手札を見る。
……ワンペアか。
ちらりとグレイの顔を窺うと、自信満々な表情でビャコを見ている。
「コール!」
ビャコはそう言うと、役ではない3枚の手札を交換した。
……きたっ!
同じ数字が4枚のフォーカード。
これに勝つには、ストレートフラッシュかロイヤルストレートフラッシュの2つのみ。
……俺の勝ちだ。
「コー……」
だが、その宣言は尻すぼみに消える。
ビャコの勝ち誇った様子に、当然グレイも気づいているだろう。
しかし、その顔にはいささかの焦りもなかったのだ。
それどころか、変わらない余裕。
にやりとふてぶてしい笑みを浮かべ、ビャコを見ているのだ。
第一、続行したものの狼獣人は手札を交換しようとはしない。
それは確実にビャコに勝てる手があるということ。
「……」
そう、先ほどの師匠とのゲームでロイヤルストレートフラッシュを出せたのは、グレイのイカサマによるもの。
それならば、このゲームで同じ事が出来てもおかしくない。
いや、出来るはずだ。
グレイは帝王だったビャコを引きずり落とした唯一の男なのだから。
……勝てない。
……俺は勝てないんだ。
まだ勝負もついていないのに絶望感に襲われる。
このゲームが終われば、俺はグレイの奴隷になるのだ。
あの時と同じように、観客の前で雌としての痴態を晒すことになってしまう。
……ああ。
身体が火照る。
雄としての人生が終わってしまうかもしれないのに、彼は興奮しているのだ。
そのことに気づいたビャコの唇が無自覚のうちに震えながら開く。
そして、言葉を紡いだ。
「フォ、フォールド(降ります)……」
負けを宣言してしまったのだ。
「……な」
「なんでだよ」
「あんなに勝ち誇ってたのに自分から負けを認めるなんて……」
観客達は呆気に取られてテーブルを見つめていた。
どのような魔法を使ったのかと、固唾をのんで2人のやり取りを見ていた。
「勝者、グレイ・アルファ」
ディーラーは狼獣人に軍配を上げる。
……負けたんだ
俺は先に己の手札を晒した。
「フォーカードじゃねえか」
「なんであれで負けを認めたんだ」
「普通勝てるだろ」
「という事は、グレイはもっとすごい役を作ったって事か?」
皆が見守る中、狼獣人は自らの手札を晒した。
「……ブタ」
「ハイカードって……役なしかよ!」
観客席からは悲鳴にも似た声が漏れる。
それはそうだろう。
グレイはまさに、ポーカーフェイスでブラフを役だと信じ込ませて、ビャコに自ら負けを認めさせたのだから。
「そ、そんな馬鹿な……」
信じられないとばかりに虎獣人の身体はわななく。
あの顔は、初めから勝ちを確信していた。
「なぜ、どうして……」
それを見てグレイは男臭い笑みを浮かべた。
「当然の結末だ。俺はお前が負けを選ぶことなんて、わかっていたからな」
「なんで……」
「決まってるだろ。……お前が本心では俺に負けることを望んでいたんだからな。また辱めて欲しいんだろ?」
「ちが……」
「違わないだろ。あの時、観客の前で犯されているのに、興奮していたのは誰だ?」
「……」
「またあんな風に雌にされたいんだろう?」
「違う! 違うから……」
「じゃあなんでストリップ小屋で働いているんだ? わざわざストリップポーカーなんてしなくても、食っていく事は出来るだろう?」
その声は優しく穏やかで。
だからこそビャコの心を抉るのだ。
「お前は見せたかったんだよ。無様に負けて、服を脱がされ、犯される姿を観客にな」
「違う、違うんだ……」
「違うかどうかはこれから確かめさせてもらうさ。俺と、ここにいる大勢の観客たちでな」
☆
「さあてと。早速始めさせてもらうか」
グレイはそう言うと、コツコツと足音をたて、怯えるビャコに近づいていく。
「この間は見てるだけだったからな。今度は俺もたっぷり楽しませてもらうか」
「あ、あ……」
敷き詰められたカーペットの上にへたり込んでしまう虎獣人。
後ずさりをしようとするが、腰が抜けて動けないのだ。
コツコツコツ……ピタリ。
すぐ目の前で足を止めた狼獣人を涙目でビャコは見上げた。
「お願い……許して……」
そこには猛々しく威厳のあったかつての帝王の姿は皆無だった。
「怖いのか? 皆の前で凌辱されるのが」
「……」
虎獣人はただ首を縦に振ることしか出来なかった。
だが、勝者である狼獣人は狡猾な狐のような笑みを浮かべる。
「そうかそうか。……でも……興奮してるんだろ?」
びくんっ、とビャコの身体が震える。
それは図星をつかれたから。
そう、確かにビャコは興奮していた。
かつての仇敵に完全に敗北し、またも観客の前で無様な姿を晒しているというのに、ありえないほど興奮しているのだ。
「なあ、もっと興奮したいんだろう?」
まるで悪魔のような囁きにビャコはごくりと唾を飲み込んだ。
「やだ……やだ……」
それでも羞恥心を感じる理性は崩壊してしまいそうな感情を必死に食い止めようとする。
……駄目だ。
……俺は雄なんだ。
そんなビャコの心の内など、人の心を読み取るポーカーの帝王はお見通しなのだろう。
無慈悲なグレイは雌を屈服させるために端的に告げる。
「まずはその汚らしいブリーフを脱いでもらおうか」
「あ……」
ビャコの顔が恐怖で歪む。
恐る恐る周りを見回すと、下卑た表情の観客達が食い入るようにこちらを見ている。
みなかつて流された映像で知っているのだ。
ビャコの逸物が、子供にも勝てないほどに小さいということを。
「嫌だ……それだけは……」
「大丈夫だ。恥ずかしがらなくても、みんなそのちびチンがどれだけ雄として惨めかは知っているんだ。そんなものを持ってるだけで、普通は雄であるなんて事は恥ずかしくて口が裂けても言えないような代物だってな」
「……」
「雌のクリトリス以下のサイズで、どうして雄だなんて名乗れるんだ? 腹の中にいる赤子でも、もうちょっとマシなものを持ってるぞ」
「ああ……ああああっ!」
グレイのその言葉に発狂したように頭を抱え泣き叫ぶビャコ。
「いやだいやだいやだあああっ!」
まるでおもちゃを買ってもらえない子供のように駄々をコネる事しか出来ないのだ。
「そうかそうか」
猛々しい狼獣人は菩薩のような笑みを浮かべた。
「そんなに嫌なら……俺が脱がしてやるよ。あの時、あいつらがしたようにな」
「はっ!」
強張らせた顔を上げ、その言葉を発したグレイを見つめる虎獣人。
そんなビャコに見せ付けるように、グレイはポケットからハサミを取り出した。
カシャン。
「……」
グレイの手の中で刃が重なると、ビャコの身体ががたがたと震え出す。
そのトラウマが激しく虎獣人の心を打ち抜いたから。
「あああああっ!」
あの日、グレイに敗北したあの日、ビャコはボディーガードであった牛獣人と熊獣人に押さえ付けられ、その手にあったハサミで、最後の砦であるボクブリを切り裂かれたのだ。
無様なちびチンを晒され、凌辱のきっかけとなったハサミを、今グレイは手に持っているのだ。
「やだやだやだ……」
まるで祈るような顔で狼を見上げるビャコ。
グレイはそんな虎獣人に微笑みかける。
「なあ、自分で脱いだ方がマシだろう?」
コクコクと頷いてしまうビャコ。
「じゃあ、自分で脱いでみせろ。みんな楽しみにしてるぞ」
その言葉に、ビャコは周りに凄まじい熱気が渦巻いている事に気づいた。
観客達が身を乗り出して囃し立てていたのだ。
「脱げ」
「脱げ」
「脱げ」
「脱いじまえっ」
「早く見せろ!」
「脱げ」
「脱げ」
……。
頭が真っ白になる。
恐怖が脳を支配して、どうしていいかわからない。
なのに……。
ビャコの手は恐る恐る腰に伸びた。
そして、床に座ったまますでに黄色く染まった白ブリに触れると、ゆっくりと引き下ろしていく。
それはまるでストリップ嬢が脱衣シーンを見せつけているように冴え見えた。
ずるんっ。
「……」
一瞬の静寂が、空間を支配した。
グレイも観客も、その瞬間口を開かなかったから。
足先まで落ちた白ブリーフが隠していた場所には……何もなかったから。
もさもさと黒白の毛が覆うそこにあるのは、針の先ほどの小さな穴だけ。
そう、それは包皮に包まれた余りにも小さな鈴口だった。
「がははははっ!」
「なんだよっ、なんだよあれっ」
「動画で見たときよりも小さくなってやがる」
「完全に埋もれちまってるじゃねえか」
「ガキどころじゃねえ。あんなのないも同然だろ」
一瞬の後、爆発したような嘲笑がビャコを襲った。
その言葉通りだった。
ただでさえ小さかった逸物が、恐怖でより縮こまり、まるで元から存在しないようなサイズへと変貌を遂げてしまっていたのだ。
「み、見ないで……」
虚勢を張る事も出来ず、観客達に懇願することしか出来ないビャコ。
「見ないでだってよ」
「見れないじゃねえか」
「逆に見せて欲しいぐらいだよ」
「どこにあんだよ、お前のちんぽは」
「そっ、それは……」
その言葉に羞恥の限界を超える虎獣人
鏡が見られれば、その顔は黒白ではなく赤くなってることに気づけただろう。
だからすぐ側にまでグレイが近づいていることに気づけなかったのだ。
「お客様のご指名だ」
その言葉に振り返ると、しゃがみ込んだグレイがビャコの上半身を軽く押した・
「あっ」
仰向けに倒れるビャコ。
グレイは獲物を捕らえたケダモノのような獰猛な笑みを浮かべると……その股間に手を伸ばした。
「やっ、やめ……」
ぐにゃり。
その小さな包皮を摘むと、優しく奥に押し込んだのだ。
「ひぎいいいっ!」
ビャコは絶叫する。
かつての仇敵に皮を剥かれて、その小指にも満たない萎えた芯の先端が、なんとか顔を覗かせた。
薄桃色の小さな小さな性器。
「おおおおっ!」
「なんだよあれっ……」
「すげえな」
もう誰も嘲笑さえしない。
もし自分がそうだったらと考えたら、雄の本能が憐れすぎてそれをさせないのだ。
だからこそその哀れみの感情が、ビャコには伝わってしまう。
「いやだあああっ!」
グレイにちびチンを剥かれたまま、ビャコは泣きじゃくる。
……いやだいやだ。
……もう死んでしまいたい。
……どこかに消えてしまいたい。
そう思っているはずなのに……。
「んんんんんっ♡!」
どろっ。
剥きだしにされたその先端から、わずかにではあるが白濁液が漏れ出したのだ。
「……嘘だろ」
「……イッちまったのかよ」
「……あんな惨めなもん、大勢に見られてイクか普通」
「……ど変態じゃねえか」
「あんなの、雄じゃねえよ……」
哀れみよりも蔑みが増していく観客達に、涙に濡れた顔で首をふってみせるビャコ。
「ちっ違うっ! 違うんだっ!」
これを認めてしまえば、もう戻ってこられないような気がして。
だが、そんな凌辱を行った狼獣人は、ビャコに優しく話しかける。
「よかったじゃねえか」
「えっ……」
「こんな豆粒みてえな惨めな代物でも、ちゃんとイク事が出来るってみんなに証明出来たんだからよ」
「……」
雄とさえ見られていない現状に、ビャコはもうどうしていいかわからない。
「お、俺は雄なんだ。ちゃんと逸物だって……」
グレイに言うというよりも、自分に言い聞かせようとする虎獣人。
「逸物だと?」
その言葉尻を掴んで、グレイはせせら笑う。
「こんなもんが逸物なわけないだろう? 逸物ってのは、こういうのを言うんだよ」
そう言うと、グレイは立ち上がり、己の身につけた衣服を脱ぎ去る。
「なっ……」
その股間にあるのは、ビャコがこれまで見たことがないほど、雄々しく勃ちあがる太長い肉棒だった。
己を犯した師匠よりも、ボディーガードだった牛獣人や熊獣人よりも遥かにデカい。
ビャコの持ち物とはまさに別次元の代物。
すでに格付けは完了していた。
元々、ビャコの敵う相手ではなかったのだ。
「なあ、俺の前で、胸張って言えるのか?その小さい寸詰まりの突起が逸物だってよ」
「あ、あ……」
言えるわけない。
言えるわけがないのだ。
あれと比較したらビャコの持ち物など、存在しないも同然なのだから。
「雌のクリトリス以下なんだ。逸物どころか、ちんぽなんて呼ぶのももったいないよなあ」
言い聞かせるようなグレイの声に顔が熱くなるのがわかる。
「まあ、射精は出来るみたいだし、せいぜいおちんちんってのが関の山か」
「……」
「ほら、言ってみろよ。俺の……いや、僕のおちんちんは世界で1番小さいですって」
「やだ……そんな……」
グレイが自分の尊厳を破壊しようとしているのはわかっていた。
そんな言葉を吐き出してしまえば、きっと自分はもう戻れない。
どうしようもなく堕ちてしまう。
でも……。
逆らえない。
目の前にいるのは、自分なんかじゃ敵わない、猛々しい雄なのだ。
「ああ……」
「どうした?」
にやりと笑って狼獣人は言う。
「正直に言ってみろよ。お前のそれはなんなんだ?」
ビャコを突き落とす、辱めの言葉。
だが、その言葉はビャコを傷つけるだけではない。
なぜなら……厳ついはずの虎獣人は、今この上なく興奮しているから。
「僕の……僕のおちんちんは、世界で1番小さいです……ううっ♡!」
どぷっどぷっ……。
まるで現実を認めた自分をねぎらうように、その小さな突起は再び射精してしまう。
「おい、言葉攻めでイッちまったよ」
「やばいぜ、あいつ」
「気持ちわりい」
もう観客達も躊躇しない。
ビャコがいじめられることで興奮する変態野郎だと、認識してしまったから。
「なんで……なんでええ……」
ビャコは絶叫する。
尊厳がすり潰される感覚がたまらなく快感だったから。
蔑まれて馬鹿にされて、それだけでイッてしまう。
そんなこと、雄として……いや人として許されるわけがないのに。
虎獣人はそれを快感として認識してしまうのだ。
もう、自分自身がわからない。
混乱したまま快感の波に浸る。
ビャコに追撃するようにグレイは言う。
「わかっただろう? お前は雌だと言うことを」
「……」
「でもなあ。観客達はまだ理解出来てないみたいだからな。ちゃんとわからせてやろうか。かつての帝王、ビャコタイガーは、ちんぽが小さいだけの雄じゃなくて、正真正銘の雌だってよ」
その筋肉質の身体がデカい虎獣人の身体を後ろから掴み、易々と立ち上がらせる。
「あ、あ……」
まるで公開処刑のように惨めな性器を観客に晒すビャコ。
くちゅり。
「ひっ!」
その凶悪な逸物が、後ろから恐れおののく肉穴に触れた。
熱く硬い、鋼鉄のような肉棒は、もはやビャコにとっては凶器でしかなかった。
「や、やめて……」
もう抵抗することも出来ず為すがままのビャコは、ただ惨めに懇願することしか出来ない。
しかし、猛々しい雄が雌の戯言など耳を貸すはずもなかった。
「さあて、お前がかわいい猫ちゃんだってことをみんなに見てもらおうぜ」
その言葉と共に、後ろから抱きしめるグレイの力が強くなる。
それと同時に凶器のような肉塊が、雌穴をこじ開け、えぐりぬいてくるのだ。
ぐじゅっぐじゅっぐじゅっぐじゅっ……がちゅんっ!
「ひぎいいいっ!」
ビャコは泣き叫んだ。
張り出した雁首が、震える肉壁を壊すように押し広げ貫いた。
内臓を無理矢理拡張される感覚は、ビャコに苦痛を与える。
痛み、苦しみ。
だがそれは……堪えようもないほど気持ち良かった。
強い雄に虐げられ、それを下衆な観客達に見られることが……たまらなく快感だったのだ。
「あああああっ♡♡!」
絶望と快楽に苛まれながら、ビャコは絶頂する。
とろとろとろ……びしゃあああっ!
雄とは思われない数滴のザーメンの後、激しい勢いで吹き出したのは黄色い小便だった。
「おいおい、またくせぇ小便漏らしやがったぜ」
「雄汁は数滴なのに、小便は噴水みてえに出すよな」
「しょうがねえだろ。雌に雄汁期待してどうすんだ」
「そうそう。竿もろくに見えないような身体でザーメン出せるわけねえだろ」
「あんなんで雄面よく晒せてたよなあ。俺だったら家に引きこもって外に出られねえぜ」
「普通はな。あいつはど変態だからよ。恥ずかしい自分を見てもらいたくてわざわざこうやって目立つようにしてたんだろ」
観客たちの軽蔑した声。
それがビャコの脳を焼く。
「言わないで……言わないでください……」
もう、そこに雄らしさなど皆無だった。
理性をぶち壊され、泣きわめく事しか出来ない虎獣人。
「そういえば、猪野郎に攻められた時も小便漏らしてたよな」
グレイは責めるようにビャコに言う。
「お前は興奮すると漏らしちまうんだな」
「ちっちが……んんっ♡♡!」
お仕置きとばかりに振られる腰は甘い快感をビャコに伝え、反論を封じてしまう。
「あの父親みてえなろくでもない猪親父に犯されて辱められるのが、そんなに楽しみだったのか?」
「ちがっ、違いますっ! 俺はそんな……」
「何言ってる。だから小便なんか漏らしたんだろう? わざわざ漏らしたのが目立つように白ブリーフなんか穿きやがって」
「……」
「ガキじゃあるまいし、恥ずかしいとは思わないのか?」
「……」
「見てほしかったんだろ? お前にピッタリの無様な白ブリーフを穿いているところを観客に見てほしかったんだよな」
「……」
もう、ビャコに出来るのは首を横に振ることだけ。
だが、邪悪な顔をした狼獣人は子供に言い聞かせるように優しく繰り返す。
「白ブリを小便で汚すところをみんなに見られたかったんだろ? じゃなきゃあんな無様な姿を晒していったりしねえよな。もう、どうしようもない奴だな」
甘く優しい口調のその言葉に身体を震わせる虎獣人。
……こわい、こわい。
びしゃっびしゃっ。
その恐怖が甘い快感を呼び起こし、ビャコは再び小便を漏らしてしまうのだ。
「ほら、見ろよ。みんなお前の痴態に喜んでるぞ。ほら、スマホで動画までとってやがる」
はっ。
その言葉に正気に返ったようなビャコは顔を正面に向ける。
その目に入るのは無数のレンズの鈍い輝き。
何十ものカメラが、ビャコの惨めな姿を映し、それをネットに拡散しているのだ。
世界中の人達がこの映像を無制限に見ることが出来る。
大人も子供も。
雄も雌も。
世界で1番小さいおちんちんと揶揄されて、そこから小便を漏らしながらイク姿を見られて……。
「いやあああああっ♡♡!」
ビャコは脳を掻き回されるような焦燥感を感じながら身体をぴんっと硬直させる。
メスイキだ。
メスイキしてしまったのだ。
それは恐ろしいほどの快楽で。
涙もよだれもだらだらと垂らしながら、ビャコはその場に崩れ落ちる。
……もう、嫌だ。もう……。
だが、狼獣人はそんなビャコに容赦などしなかった。
最後まで追い詰めるつもりなのだ。
それは雄としての人生を放棄させるため。
崩れ落ちたビャコの身体を仰向けにひっくり返すと、その両足を開き、みなにその惨めな性器が見えるように晒す。
そしてそのまま正常位で、再び逸物をめり込ませた。
どちゅんっ!
「んああああっ♡♡!」
そこにはもう拒絶の意思は存在しない。
快楽を与えてくれる雄に縋り付く雌の姿しかなかった。
「しゅごい♡……しゅごい♡……」
脳を壊されたように舌足らずな声で、ビャコは夢見るように呟いた。
がちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅがちゅっ!
壊されてしまったビャコがすがれるのは、与えられる快楽だけ。
「イグっイグっイグっ♡♡!」
激しく揺らされているのに、震えるだけの長さもない単なる穴のような竿からは、もう薄い精さえ漏れない。
出てくるのは黄色い小便だけ。
びゅるっ、びゅるっ。
ザーメンとは違い、勢いよく出る黄色い液体に失笑する観客達。
「また漏らしてやがるぜ」
「きたねぇなぁ。ガキじゃあるまいし」
それに気づいてまたメスイキしてしまうビャコ。
「やだやだやだ……イグぅぅぅっ♡♡!!」
そんな虎獣人に、グレイは抽挿を繰り返しながら当たり前のように告げる。
「お前はもう終わりだ」
「……」
「これだけ惨めな姿を晒して、もう復帰なんてできるわけないよな」
「……」
「せいぜい出来て、娼婦の真似事ぐらいだ」
「……」
「それだったら……」
一度言葉を切ったあと、グレイはビャコの目を見ながら、こう言ったのだ。
「俺の雌になっちまえ」
「え……」
「お前みたいな奴を飼ってやれるのは……満足させてやれるのは俺だけだ」
「……い、嫌だ」
恐怖と快楽に飲み込まれながらも、ほんの一欠けらほど残っていたの矜持が、ビャコの口からついて出た。
……それだけは……それだけは駄目なんだ。
ビャコをここまで堕とした元凶であるグレイ。
そんな奴の雌になるなんて、今までの人生はなんだったのか。
萎えきっていた怒りがふつふつとわきだしてくる。
屈してはいけない。
……俺は……俺は雌なんかに。
がちゅんっ!
「ひゃんっ♡!」
子猫のような悲鳴が、ビャコの口から漏れた。
彼はわかっていないのだ。
彼を犯す目の前の雄は、もう二度と、対等に戦える相手ではないということを。
ごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごつごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっごりっ!
「あっ♡あっ♡あっ♡!」
肉穴をえぐる甘すぎる快楽に身体を震わせる虎獣人。
脳が焼けただれてしまいそうな快感に白目を剥きそうになるビャコに、グレイは決定事項のように抜き差しを繰り返しながら宣言する。
「お前が望むすべての恥辱と快楽を俺は与えてやる。大勢の前で辱めて、気絶するほどの快感で攻め抜いてやる。想像してみろ。それがどれだけお前にとって幸せな事なのか」
がちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅん……。
「お前はどMだ。辱められて興奮し、絶頂する変態なのだ。この快楽なしてこれから生きていけるのか? 俺ならそれを与えてやれる。死ぬまで快楽に満ちた、いや今以上の生活を送らせてやる」
「あああ♡♡……」
責め苛まれる身体への快感と共に、頑なな心が、唯一残された氷のような矜持がゆっくりと溶けて流れていく。
今まで想像もしたことのないような辱めは、ビャコを極上の快感へと導いていた。
もうこの悦楽を覚えてしまえば、生涯忘れることは出来ないだろう。
だがグレイはこの快感をビャコに与えてくれると言うのだ。
どこまでも辱めて、どこまでも堕として……。
「ああああっ♡♡!」
恐怖で絶叫するビャコ。
それは従わされる事に対する恐怖ではない。
従う事が正しいと感じた自分の理性に対する恐怖だった。
「お前は俺のものだ。俺の雌だ」
「……はい」
頷いてしまった。
ビャコは頷いてしまった。
もう逃れる事は出来ないと悟ってしまったから。
この快楽から、そしてそこまで己に執着するグレイからは。
「そうか」
端正な顔を歪め、悪鬼のような表情を見せる狼獣人。
「お前は、俺の、ものだ」
言い聞かせるように言葉を切って宣言する。
そこには慈愛の感情など微塵も存在しなかった。
だが、ビャコはそれを見て絶頂する。
「イグぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ♡♡♡♡!!!!!!」
全身を襲う快感と共にその穴同然の竿から、ビャコは噴水のように潮を噴き出す。
それは観客達からすれば、自らの行く末を祝福するライスシャワーのように見えた。
☆
「ビャコ、準備は出来たか?」
そう声をかけながら、高級スーツに身を包んだグレイは、与えられたビャコの自室にノックもせずに入っていく。
ここは、グレイの豪邸だった。
そして、当たり前のようにビャコの部屋も用意されている。
なぜならビャコ・タイガーはすでに、この帝王の雌となってしまったのだから。
そしてそれを虎獣人は完全に受け入れてしまったのだ。
「せっかく新しく出来たカジノビルのお披露目なんだ。遅れるわけにはいかないぞ」
今日は肝いりだった、グレイの会社が設立した大型カジノビルをマスコミに披露する日なのだ。
「くくく……俺と仇敵だったお前が一緒に登場したときのマスコミ共の驚く顔が目に浮かぶな」
にやにやと笑うそんな狼獣人の言葉に、戸惑いを隠せない黒白の虎獣人。
「はい。……あの、この格好で行かなければならないのでしょうか」
「当たり前だろ。それがお前の正装だ」
その視線の先にあるのは、鍛えられた身体を持つ厳つい虎獣人の裸体だった。
いや、裸体ではない。
唯一許されている白ブリーフのみを身につけていた。
「この姿で、マスコミに……」
「そうだ」
無慈悲に告げる狼獣人。
「お前にはその姿が1番相応しい」
「な、なんで……」
「俺が好きだからだ。その格好をしたお前がな」
「……」
「想像してみろ。マスコミ共が、お前のその姿をこぞって写真にとり、世界中に流すのだ。お前の惨めな格好を誰しもが知ることになるんだ」
……おかしい。
……狂ってる。
己の雄に対してそんな感情を抱くビャコ。
だが、その股間の白ブリは、じっとりと濡れはじめていた。
興奮しているのだ。
グレイにビャコ。
互いに歪んだ性癖を持つ相手が、いびつなまま重なり、相応しいツガイとなってしまったのだ。
『恥ずかしくないのか?』
『子供に見せられねえ格好しやがって』
『おいおい、大の男があんな格好するか?』
世界中に己の姿が晒され、罵倒される事を夢想し……。
「んんんんっ♡♡!」
じょろじょろじょろじょろ……。
白ブリーフが黄色く汚れていく。
「……」
そんな己の雌の惨めな姿を見て、グレイは何も言わない。
ただ、身に纏う高級スーツを乱雑に脱ぐだけ。
「あっ、何を……」
「もう、我慢出来ん」
そう呟くとグレイはビャコをベッドに押し倒した。
「ビルの披露が……」
「うるさい。そんなのは待たせておけばいい。お前がいけないんだ。俺を誘惑しやがって!お前は俺の雌だ。俺だけの雌だ。もっと、もっとぐちゃぐちゃに汚してやるからな」
「ああああっ♡♡!」
その言葉を聞いて、歪んだ愛情を受け止めて、ビャコは再び絶頂したのだった。