理想の猪親父ヒーローを手に入れたい話【関西けもケット11】

  朝六時。暗い黒と青が混ざりあい、太陽は昇り始め、鳥が鳴き、少しずつ人の気配が出始める。世界が目覚め始めるようなこの時間が、猪瀬真琴は少し好きだった。もっとも、好きな一番の理由はそれではないかもしれないが。

  『ヒッヒッヒ、人質が惜しければおとなしく金を持ってくるんだナァ!』

  今日日中々お目にかかれないようなテンプレートの台詞が、テレビの中から聞こえてくる。叫んでいるのは黒いローブを着て、仮面をつけた獣人。おそらく種族はトカゲか何かだろう。持っている鎌を振り回す際にローブが少しめくれて、袖口から緑色の皮膚が見えている。場所は銀行の受付カウンター。捕まっている子供は、泣きそうになりながら、少しでも声を出さないように必死に歯を食いしばっている。近くでは母親がおろおろしている様子がかろうじて見えた。人質がいるからか、警察たちも犯人を遠巻きに見つめており、撮影しているカメラも手持ちのスマホで撮られたものなのか、時折大きく映像がブレている。場には緊迫した空気が流れていることが良くわかった。

  『そこまでだ!』

  緊迫した空気を壊すような、野太いだみ声が、その場に響き渡った。

  『な、そ、その声は……』

  鎌を振り、前後左右に視線を移しながら、それまで余裕そうにしていたトカゲの表情がさっと緊張感を持ったものに変わる。

  警察の奥から堂々と歩いてきたのは大柄な猪の獣人。身長はトカゲと同じくらい、百六十後半ほどだが、その身体の分厚さは全く異なる。腕、足。すべての四肢がトカゲの胴ほども太く、その威圧感は鍛え抜かれた兵士そのもの。銀色を基調とし、何本か土色のラインが引かれたスーツを身にまとったその男性。

  『ダイラントボア、只今見参!もうそこまでにしておけ』

  『うっ、ウルセェ!こっちには人質がいるのが見えねェのか!』

  何度みても不思議な光景だ、と真琴は思った。人質にナイフを突きつけるトカゲ。手を出せない周囲。状況は何一つだって変わっていないのだ。ただヒーローが来て、その重厚感あふれるバリトンボイスで登場宣言をしただけ。それだけのはずなのに、なぜかホッと一息つくような、もう事件は収束したかのような空気が場を満たしている。

  『手荒な真似はあまりしたくないんだが……致し方あるまい』

  次の瞬間、カメラから猪の姿が消える。

  『……ハ?』

  勝負は一瞬のうちについていた。

  猪を追おうとしたカメラの映像が揺れた次の瞬間には、トカゲが猪に地面へと組み敷かれ、ナイフはひしゃげて床に落ちている。床のパネルは蜘蛛の巣のようにぴしりとひび割れていた。母親の元へと返された子供は、何が起こったのかもわからずキョトンとした表情をしている。

  【身体強化】。

  異能、と呼ばれる、獣人の中でも一部のモノにしか現れない超常的な力。その中でもダイラントボアのものは特にシンプル。その名の通り、身体能力を向上させる力。

  一見地味にも思えるその力は、しかし長い年月を経て磨きあげれている。ヒーローとして実戦を積み重ねてきた彼には、行き当たりばったりのヴィランなど敵ではない。

  『最近、こういった犯罪は減少傾向にある。しかし時折道を踏み外してしまう者がでることも事実だ。こういった事件が発生してしまうことを、私は心苦しく思う』

  トカゲは警察に捕まり、パトカーへと乗せられて運ばれていく。その様子を横目に、ダイラントボアは沈痛な面持ちでインタビューを受けている。

  『私は犯罪者を良しとしない。しかし憎むべきはあくまで犯罪者ではなく犯罪だ。彼が落ち着いたら、話をしに行こう。どうして道を踏み外してしまったのか。どうすれば彼は元の道へ戻れるのか』

  『少しでもこの町をよくすること。それこそが、私の仕事だ。私はいつでもここで皆を守ってみせる』

  そう言ってにかっとカメラに向かって不器用な笑みを浮かべ、コーナーを締めくくるダイラントボア。そう、これは昨日の出来事をまとめた今朝のニュース、そのコーナーの一つ。「ヒーロー特集」。四十代前半の男性の凶行、ダイラントボアまたお手柄。

  映像はスタジオに戻り、キャスターたちがダイラントボアを褒め……

  「ふぁーあ。おはよう、真琴。相変わらず早いな」

  テレビを遮るような大きく、そしてぼんやりと眠たげな声が、後ろからやってきた。重厚感のあるバリトンボイス。テレビに映っているダイラントボアと同じ声。

  テレビに没入していた真琴はそれを遮られたことに若干の苛立ちを交えて振り返る。真琴と同じくらいの体格の、真琴と比べれば大分老けた猪が、白いタンクトップとトランクスをはいただらしない姿で立っている。パンツに手を入れてぼりぼりとだらしなく掻きながら、冷蔵庫を開けて食べ物を探す猪。真琴はニュースに映る凛々しい猪と、目の前に突き付けられた残酷な現実の猪を見比べて、また一つ、深いため息を吐いた。

  「……おはよ、親父」

  「ん」

  猪瀬大五郎、つまりはベテランヒーロー、ダイラントボアは猪瀬真琴の父親である。

  ★

  「食えそうなもん勝手に食おうとするんじゃねぇ。ちゃんと朝飯用意してあんだから」

  テーブルには大五郎の為にトーストとハム、あとは卵焼きとサラダまで置いているのだが、寝ぼけている猪には目に入っていないらしい。これもよくあることだ。

  冬眠明けの熊のように、ぼうっと冷蔵庫をもぞもぞと漁る大五郎にため息を吐きながら、身体をつかんで向きを変えさせ、テーブルにつかせる。昨日は少し熱かったからだろうか。白いタンクトップが、じんわりと汗で滲み、生暖かい。

  「ん……」

  テーブルにつかせると、もそもそと食事を始める大五郎。口に入れば何でも良いらしく、順番もろくに考えずに片っ端から口に入れては飲み込んでいく。

  「ちゃんと噛んで食えって。詰まらせるぞ?」

  「ふぁふぉふぉぉ」

  「口に入れたまましゃべるんじゃねぇ。……なんだよ」

  「びゅーひゅー」

  「はいはい、牛乳ね」

  真琴が手渡した牛乳をごきゅごきゅと音を立てて、あっというまに一リットル丸々飲み干す大五郎。

  「ぷはー、生き返ったぁ」

  「それは風呂上がりにやる奴だろうが」

  そのまま大五郎は部屋の隅へと歩いていき、柱に顔を近づけて、『んー、ちったぁ伸びたか…?』と、昨日の自分との身長差を測っている。

  このやり取りも、真琴にとってはもう慣れたものだ。

  「真琴は今日、学校は?サボりか?」

  「そんな訳ねぇだろ。今日は午後から。親父は?」

  「今日は会議からの外回り。……会議、出たくねぇなぁ」

  「いつまでもわがまま言うんじゃねぇよ。後進に道を譲るとか、色々あるって言ってただろ」

  「言ってたけどさぁ……」

  大五郎はビジネススーツに着替えつつ、ぶすっとした表情で不満を吐露し、窮屈そうにネクタイを締める。

  「ったく、上層部の奴らめ……俺はまだまだ現役だってのに……」

  大五郎はぶつぶつ言いながら、腰に付けたコルセットを、もう一度強く巻きなおす。

  「一日会議に育成指導なんて、腕がなまっちまう」

  (『ダイラントボア』が徹底出来ているなら、そんなこと言わないだろうに)

  大五郎の愚痴をBGM代わりにパンをかじりながら、真琴はそう思う。

  ポーン、と、メッセージがスマホに届いた音がする。やり取りの主は、最近知り合った、真琴の相談相手。メッセージは一言。『今日、届くよ』。

  「お、もしかして彼女か?」

  「ちげぇよ、友達。……その下世話な顔やめろ」

  ニヤニヤと息子のプライベートを詮索する大五郎に、真琴はごまかすようにビジネスバッグを投げつける。おっと、と言いながらも大五郎はきれいにキャッチ。

  「ほら」

  「ん」

  「いってらっしゃい、親父」

  「おう、行ってくる」

  手渡した鞄を渋々もって、大五郎は今日も家を出る。アパートから出て、少しずつ小さくなっていく大猪を、真琴は玄関前の手すりに頬杖を突きながら、なんとなく見えなくなるまで見送った。手すりを握った指に、ぎゅっと力を込めながら。

  ★

  猪瀬真琴は、ダイラントボアが好きだ。それは父親……猪瀬大五郎を好ましく思う感情と、必ずしも一致するわけではない。

  ダイラントボアのデビューは真琴が生まれるずっとずっと……ざっと三十年ほど前のこと。

  その代表的な活躍を示したタペストリーをはじめとして、彼の活躍の全てが、今でも真琴の部屋へ飾られている。恥ずかしがりやな父親に見つからないよう、部屋の棚の奥底にこっそりと。

  ニュースでダイラントボアの活躍を見るたびに、真琴は胸を躍らせた。

  真琴はダイラントボアが敵を倒す姿を見るのが好きだった。それが歪な形に変質したのは、いったいいつのことだっただろう。

  ダイラントボアが誰かを助ける度に、それが自分だったらいいのに、なんて思ってしまう。ダイラントボアに自分を見てほしい。「大丈夫だ」と頭を撫でてほしい。ダイラントボアの太い腕で抱きしめてもらいたい。……ダイラントボアの全部が、自分は欲しい。

  いったいいつからだろうか。ダイラントボアの活躍を、そして彼に助けられる誰かを見るたびに、胸の奥に潜むどす黒い感情を抱くようになっていたのは。喜ばしいはずの活躍を素直に喜べず、爪が掌に食い込むほどに拳を握るようになったのはいつからだったろうか。

  そしてそんな真琴だからこそ、ダイラントボアの記事を読むたびに思う。

  ──これは一体、どこの誰の話なんだろう。

  少なくとも、真琴が知るダイラントボア、いや、猪瀬大五郎はそんな高潔な人物ではない。

  壁のカレンダーには、大五郎がずる休みをした日付に、赤ペンで乱暴な×印がいくつも書き殴られている。その横でひっそりと飾られている三人で撮った家族写真は、ホコリを被って随分とくすんでしまっていた。テレビの中では『人を愛する』と高潔に語るダイラントボア。それと同一人物であるはずの父親から、真琴がしてもらったことは、いったいいくつあっただろうか。

  世間が知っているダイラントボアを、真琴は知らない。

  真琴が大好きなダイラントボアに、真琴だけは会うことが出来ない。

  しん、と静まり返ったダイニング。そのテーブルの上に、小さな段ボールが置いてある。

  『届きました。ありがとうございます』

  先ほどのメッセージの主に、真琴はそう返した。ほとんど時間をおかず、了解を示すスタンプが送られてきた。

  段ボールの中には、簡単な包装でモデルガンが入っている。大きさは真琴の片手の中にすっぽりと納まるサイズ。モデルガン、といっても、本物の銃を模したようなかっこいいフォルムではなく、まるで小さい子供が持つようなデザインだ。全体的に丸々としており、白を基調として、丸っこい銃の先端だけが黒く塗られている。チューブのようなものがくるくると銃身に巻き付いている。手に取ってみる。思ったよりも少し重い。軽くトリガーを握ってみると、今度は思ったよりも軽い感覚。銃と一緒に入っていた、簡単な説明書類に目を通す。『めいれいじゅう 説明書』。

  内容に対してやたらポップなフォントでそんな文字が表紙に書かれていた。同時に、「※これはプロトタイプです。危険なバグをはらんでいる可能性もあるため、取り扱いには十分ご注意ください」と、こちらは随分と硬いフォントで添えられている。

  ──これはね、キミの願いを叶えてくれる、魔法のアイテムなんだ。

  銃を握りながら、自身に届けてくれた人が言っていたことを、真琴は思い出す。

  ──絶対うまくいく、とは言い切れないけどね。

  不思議な声だった。真琴が内側にかたくなに隠していた何もかもを見透かしていたような、そんな温かい声。

  ──キミはどうしたいんだい?

  真琴は自分の望みを思い浮かべる。

  ダイラントボアが欲しい。猪瀬大五郎ではない、高潔なヒーロー、ダイラントボアが。

  ──……キミが望むなら、ボクはキミに協力しよう。

  祈るように目を瞑り、強く、とても強く、真琴は銃を握った。

  ★

  「で、何か言うことはある?」

  「……アリマセン」

  夜の十一時。夜はすっかり更けて、周囲は寝静まったようにしん、と静まっている。

  そんな周囲の気配に後押しされて、針の筵に立たされているような、鋭く冷たい気配が部屋中に充満している。

  どっかりと椅子に座っている真琴は腕を組み、床に正座してしょんぼりとうなだれた、ダイラントボアの恰好をした父親を白い目で見つめ、わざと聞こえるような大きさでため息を吐く。

  「まさか父親に誕生日を忘れられてるとはなぁ」

  「ほ、本当にちゃんと覚えてたんだって!ほら、ケーキも買ってきてるんだ!」

  「つぶれてるけどな」

  「うぐっ」

  大五郎が慌てた声で持ち上げたケーキは、すっかり形が変わってしまっていた。べっこりとつぶれた箱を見て、大五郎の恰好も相まって、真琴は今朝見たニュースでダイラントボアがひしゃげさせた鎌を思い出す。

  カレンダーには、『誕生日(真琴)』、と今日の日付に大きく丸が付けられている。にもかかわらず、テーブルに置かれた料理には、水滴のついたラップがかけられていた。

  つい十五分前に「今から急いで帰る!」とだけ連絡をよこした大猪は、帰ってくるなり、真琴に土下座して謝罪を開始している。

  「……で、なんだって?」

  「本当にすまん。どうしても外せない事件が起きちまってて……またすぐに戻らないといけねぇ」

  すまん、すまんと頭を下げる大五郎を見ている内に、真琴は何処かほっとしている自分に気づく。大五郎はこのまますぐに家から出ていく。入手した銃を使う隙は見つからないだろう。タイミングを見計らって、改めて機会を探る必要がある。

  「まぁ、仕事なら仕方ねぇよ」

  「本当にすまん。この埋め合わせは、絶対にする。ご飯も、作ってくれてありがとな」

  「あんまり気にすんなよ。俺だってヒーローの息子なんだ。親父の事情くらい、ちゃんと分かってるって」

  これはきっと、今は時じゃなかったと考えるべきなのだろう。だから仕方ない。そんな風に真琴は考えた。

  「ケーキはまたちゃんとしたものを買って帰る。一応、冷蔵庫に入れておいてくれ。……捨てるのも忍びないからな。帰ってきたら食べる」

  「ん、わかった」

  事情を説明し終えた大五郎は、よほど時間がないのか、ご飯にも手を付けないままあわただしく玄関へと移動し、靴を履く。

  靴を履きなおしながら、何かを思い出したように、あ、とつぶやく大五郎。

  「誕生日プレゼント」

  「ん?」

  「そういえばプレゼント、まだ聞いてなかったな」

  「……あぁ」

  「何が欲しい?今年は遅れちまったからさ。なんでも言ってくれよ。高くたってなんだって買ってやる」

  「そう、だな」

  平静を装いながら、真琴の胸のあたりがどくんと跳ねる。

  無防備に丸められた背中を見て、ズシリとポケットに入れた銃が重たく感じた。

  これ以上のチャンスが、今後果たして訪れるだろうか?

  かぁっと頭に血が上る、立ち眩みのような感覚に真琴は陥る。

  「欲しいものか。そういや最近は考えたことなかったな」

  嘘だ。

  自分が欲しい物。何回も何回も、真琴は考えてきた。何回考えたところで、そんなものは決まっていたのに。

  きっと、初めてテレビでその雄姿を見たときから、ずっと。

  「俺は……」

  でもそれも今日で終わりにできる。喉から手が出るほどに欲しかった物は、あとほんの少しの勇気だけで手に入れられる。唇から水分が完全に蒸発したかのように、喉が渇く。握られた手には汗が滲み、呼吸はひどく浅く、酸素が足りないように息がしづらい。

  「真琴?」

  真琴の様子が少しおかしいと気付いた大五郎が振り返る。

  「……俺は、ダイラントボアが、欲しい」

  かちゃりと、懐に入れておいた銃を、大五郎に向けた真琴が、少し熱に浮かされたような表情で、そこに立っていた。

  「冗談にしちゃ、やりすぎだ。真琴」

  「冗談じゃねぇ。本気だ。ちょっとでも動いたら、撃つ」

  先ほどまでの父親らしい顔はすっかり消え、鋭い目つきになる大五郎。その姿はテレビで見てきたダイラントボアそのもので、それと相対するとここまで身がすくむのか、と、真琴はヴィラン達の気持ちを痛感する。銃を構える手が、はたから見てもわかる位に、大きく震える。

  「お前、それが何なのかちゃんとわかってんのか?」

  「……俺の願いを、叶えてくれる銃だって」

  「誰に言われた?そんなこと」

  「……誰だっていいだろ」

  この銃をくれた人。自分に協力すると言ってくれた人。それは果たして誰だっただろうか。思い出そうとすると、靄がかかったように輪郭がぼやけて、真琴はうまく思い出すことが出来ない。

  その不快感を、真琴は銃に意識を集中させて無理やりかき消す。

  「精神汚染か……?それも相当深い……」

  「俺は正気だ!」

  ぶつぶつと分析するようにつぶやくダイラントボアの言葉が、今の真琴には大きく聞こえた。どくどくと、心臓の鼓動が煩く、耳鳴りがする。

  「正気だったら持たねぇんだよ。そんなもん」

  銃を見た大五郎の顔から、血の気が引いていく。平静を装い、声を絞り出しながらも、ダイラントボアの額を冷たい汗が流れた。大五郎は知っている。その銃が持つ危険性を。

  (どうして、あんなもんを真琴が……?)

  到底一般人が持つような代物ではない。想像もしていなかった事態の深刻さに、大五郎はその大きな体を震わせ、ぎり、と奥歯をかみしめる。

  「真琴、それはそんな都合の良いもんじゃねぇんだ。あぶねぇからこっちに渡せ」

  ゆったりとした口調で、真琴に向かって手を伸ばしてゆっくりと近づくダイラントボア。足が動いたその瞬間、真琴はかちゃりと銃を動かして威嚇する。狭いアパートの、最も狭い玄関。真琴を傷つけかねない【身体強化】は今は使えない。足裏にじんわりと嫌な汗が滲む感覚。この状況ではダイラントボアも、ぴくりとも動けない。

  「真琴、俺はずっとお前を見てきたから知ってる。お前はそんな自分の都合を相手に押し付けるような奴じゃない」

  ふー、と大きく一息はいて、一転した優しい声で、『ダイラントボア』ではなく、『猪瀬大五郎』として、大五郎は真琴へと話しかける。

  「優しい子だ」

  「……」

  真琴は動かない。猪特有の三角耳が、微かに動く。ごくりと、真琴の喉が鳴り、瞳が揺れる。

  「その優しさに、俺はずっと甘えてきちまったんだよな。だからこうなってる。お前は何にも悪くない。俺が、全部悪かった」

  「……」

  「けどな、真琴。その一線だけは超えちゃいけねぇんだ。一回超えちまったら、それまでと全く同じにはもうなら、ね……え」

  真琴から一瞬震えが止まり、銃口がピタリと安定する。縋るような瞳には確かな怒りが宿っている。

  ──もう、取り返しがつかない。

  気づいたときには、何もかもが手遅れだった。

  「ダイラントボアだったら」

  震えた声で、真琴が言う。涙を我慢しているような、そんな声だった。

  「俺が知ってるダイラントボアだった、そんなこと言わない。だって、元の道に戻すのがダイラントボアなんだろ?」

  「真琴、落ち着け」

  「あんたはダイラントボアじゃない。ダイラントボアは……ダイラントボアは……!」

  「真琴ッ‼」

  「うるせえッ!うるせぇうるせぇうるせぇ!」

  もう何も聞きたくなくて、真琴はトリガーを引いた。

  音はならなかった。

  光が、大五郎に向かって飛んでいく。

  【身体強化】を発動する間もなく、光は正確に大五郎の胸を打ち抜いた。

  そして──。

  ★

  朝六時。暗い黒と青が混ざりあい、太陽は昇り始め、鳥が鳴き、少しずつ人の気配が出始める。世界が目覚め始めるようなこの時間が、真琴は少し好きだった。もっとも、好きな一番の理由は最近変わってしまったのだけど。

  「ん、起きたか。おはよう、真琴」

  以前のような、冬眠明けの熊のようにくぐもった声ではない。テレビ越しに聞いていた、あの重厚感と安心感に満ちたバリトンボイス。まだ寝ぼけてぼんやりとした眼をこすりながら、キッチンを見ると、五十歳という年齢に相応しい落ち着きと、日々の鍛錬を感じさせる分厚い筋肉を備えた大柄な猪獣人が、真琴を愛おしそうに見つめて立っていた。

  だらしないタンクトップとトランクス姿ではなく、銀色を基調とし、何本か土色のラインが引かれたスーツ、それに、少しおしゃれなエプロンを身にまとった、真琴が世界で最も敬愛するヒーロー。

  「……うん、おはよう、『ダイラントボア』」

  「朝からご機嫌だな。今日も学校だろう?早く着替えておいで。それとも着替えさせてあげたほうが良いかい?」

  戯れに真琴がそっとダイラントボアを後ろから抱きしめると、ダイラントボアは嫌がる素振りも見せずに振り返って、ぽんぽん、と真琴の頭を優しくなでる。とはいえ、もう大学生にもなって着替えさせられるのは流石に気恥ずかしい。真琴は慌てたようにパッと、ダイラントボアから離れた。

  「そ、そこまではいいよ、自分で着替えるから」

  そんな真琴を見て、ダイラントボアはくすくすと笑う。

  「朝ご飯もできてるぞ。着替えが終わったら一緒に食べよう」

  その眼差しも、言葉も、態度も、何一つ以前の大五郎にはなかったものだ。

  真琴の銃が放った光が親父の胸に吸い込まれてから、一か月が経っていた。

  ダイラントボアは今日も変わらず、ヒーローとしての職務を全うしている。その裏で、大五郎は寝坊をしなくなった。朝は真琴よりも必ず早く起きて、食事の支度も完璧。仕事への泣き言も一切言わず、ただにこにこと、真琴の話を聞いてくれる。真琴の望んだ、『ダイラントボア』のように。

  表面上、ダイラントボア『には』なんの改変も加えられていない。そのため、その変化は誰にも気づかれていないはずだ。真琴はそう考えている。実際、テレビの特集に映るダイラントボアは、今日も圧倒的な力でヴィランを制圧し、ヒーローとしてインタビューに答えている。そこには微塵もおかしな箇所はない。

  「あぁ、今日もお前と一緒にご飯を食べられるなんて、俺は本当に幸せ者だ」

  姿勢良く椅子に座った親父は、昨日までのように順序も考えずに口に詰め込むような真似はしない。目玉焼きとトーストを、一つ一つ味わうように丁寧に咀嚼している。

  その姿はどこまでも、真琴の望んだ『ダイラントボア』そのもの。

  ……そのはずなのに、その先を求めてしまうのが、きっと欲望を持った生き物の業なのだろう。

  「……親父。今日は、非番だったよな?」

  「む……ん?いや、今日は後輩に付いてパトロールの日だ。ほら、この間、中規模の作戦があっただろう?その後処理のようなものだ。後輩の育成も兼ねてな。なに、心配しなくても今日は少し早く帰ってこられるだろう。そうしたら……」

  「親父」

  「……真琴?」

  「『ダイラントボアは今日は非番だ』。そうだったよな?」

  真琴の強い言葉に、一瞬、ダイラントボアの目が焦点を失い、ぼうっとする。

  虚空を見つめ、表情を失ったダイラントボアは、ぶつぶつと「非番……非番……」と呟いた。

  めいれいじゅう。それは、撃たれた相手を極端に被命令受容体質へと変換する精神操作能力を持った銃。

  数秒も経たないうちに、こつん、とダイラントボアが自身の頭を軽く小突き、コミカルに微笑んだ。

  「……あぁ、そうだ。そうだったな。すまない……少し勘違いをしていたようだ」

  「じゃあ今日はさ……いいよな?」

  「勿論。今日は真琴のためのダイラントボアだぞ♡」

  ★

  最初は、ただテレビの中と同じように、規律を重んじる、真面目な姿を見せてほしかった。

  次に、その温かい眼差しで、頭を優しくなでて欲しくなった。頭をなでて貰ったら、とたんにそれだけでは満足できなくなって、真琴と同じ、けれど質が全く異なる分厚い身体を、思う存分抱きしめさせて欲しくなった。

  今はもっと自分のことを見てほしくなった。自分だけにしか見せない、そんな表情を見せてほしくなった。どこまでが『理想』のダイラントボアで、どこからが『自分の理想』のダイラントボアだったのか、真琴にはもうわからない。

  小学生の頃に買ってもらい、以来ずっと使い続けている勉強机。増えた体重で一度壊してしまい、丈夫に作り替えて貰ったセミダブルのベッド。お洒落が苦手で、ほとんど種類がない衣類を収納した棚。それ以外には特筆すべきものがない、殺風景と言えば殺風景な真琴の部屋。今は、その空間を、んちゅ、ちゅ、と卑猥な水音と、荒い息遣いだけが満たしている。

  「ん、真琴、真琴ぉ…♡」

  一人だとやや広いベッドでも、巨漢が二人乗れば限界だ。ぎし、と悲鳴を上げるベッドの音をかき消すように、真琴を下に敷いたダイラントボアは、むさぼるように何度も口づけを落とす。

  真琴の頭を愛おしそうに抱きながら、大猪は少し短い舌を夢中で絡めていた。

  「ボア……!」

  ダイラントボアの手の温かさを、自身の後頭部に感じる真琴。鼻息が首筋に当たるくすぐったさも、目をつぶって必死にキスをする姿も、今の真琴にとってはどうしようもなく愛おしく感じる存在だ。

  ぷはぁ、と口を外すと、透明な糸が名残惜しそうに二人の口を繋いだ。

  「真琴、キスがうまくなったなぁ……♡私もすっかり興奮してしまっているぞ♡」

  ダイラントボアは息子の成長を喜びながら、自身の股間を真琴の足へとこすりつけ、娼婦のように媚びる。

  「そういうボアは、本当にキスが好きだな」

  「勿論だ♡私は……っ、【キ、キスだけで、イって、しまうほどの……キス魔】だから、な……っ♡

  かつてヴィランに対して大仰な正義を語ったのと同じ口からとろりと涎を垂れ流し、泥のようにどろりと淀んだ目で、大猪は自分に植え付けられた性癖を、当然のように宣言する。

  「それに私は【真琴のちんぽが何よりも好物】で、【一日咥えられないとマンコが疼いて仕方ない】んだ。早くおマンコとちんぽでこんにちはしたいぞ♡」

  「そうだったな。まぁ、俺がそうしたんだけどさ」

  【好物】であるはずの真琴のちんぽに、ダイラントボアは命令を待つ犬のように、ごくりと喉を鳴らしながら、しかし決してがっついたりはせず、目をらんらんと輝かせて健気に真琴の許可を待つ。

  「しかし私ばかりが気持ちよくなっていてはいけないなぁ♡ヒーローとして、真琴を気持ちよくさせねばな♡」

  むふー、と鼻息を荒くし、ちらちらと真琴を見つめながら、スウェットへ顔を寄せて頬ずりをする大猪。かつては憧れを抱いていた猪が、自身に媚びを売るその姿に、真琴は自然と口角を上げた。

  「あぁ、立派なちんぽだ……♡早くおマンコに入れてほしいぞ♡真琴、脱がせても良いだろうか…?」

  「あぁ、頼むよ」

  ぱぁっと顔を明るくしたダイラントボアは、そのまま口で真琴のスウェットとパンツを下ろしていく。

  中からは、すっかり興奮して大きくなった、ダイラントボアのものよりも随分と大きく、そして太いちんぽが出てくる。青少年特有の青臭い、むわっとした匂いを少しでも体内に入れようと、ふごふごと鼻を鳴らして吸い込んだ。

  「あぁ、咥えるのはちょっと待ってくれ」

  そのまま嬉しそうに頬張ろうとする父親の頭を、真琴は片手で軽く止める。ご馳走の寸前で止められたダイラントボアは、だらりと舌を出して涎を垂らし、なぜ、という疑問と、早く、という欲求の両方をない交ぜにした表情で真琴を見る。腰をそっと引けば、猪のぎらついた目がそれを追う。サディスティックな笑みを真琴は浮かべた。

  「ど、どうした真琴……?♡早く、早く私に真琴を気持ちよくさせてくれ♡」

  「いや、今更だけどさ。やっぱりヒーローに奉仕させるってのは良くないよなって」

  「そ、そんなことはないぞ♡真琴を守り、奉仕をすることこそ、ヒーローである私の役目なのだ♡私を使ってくれることを、誰が悪いというものか♡」

  「でもダイラントボア、今日が非番だって忘れてたじゃん」

  本来の予定を捻じ曲げて、非番にさせた張本人。であるにもかかわらず、真琴は一切の罪悪感を感じさせず、むしろひどく傷つけられたような、純真無垢な被害者の表情でダイラントボアの罪悪感を駆り立てる。

  「本当は俺よりも町の方が大事なんだろ」

  「そ、そんなことあるはずがないだろう!すまない!今日の私はどうかしていたんだ!」

  拗ねたような表情をする真琴に、大猪は表情をぐしゃりと崩して、ベッドに頭を擦り付ける勢いで謝る。

  「なぁ真琴、私の一番は、いつだって真琴だ。信じてくれ」

  「本当……?」

  「本当だ!」

  「世界よりも、俺の方が大切?」

  「勿論だ。世界の誰が襲われていようと、私にとっては真琴との一日の方が大切だ」

  デレデレと表情を崩し、すっかり淀んだ瞳で、迷うことなくダイラントボアは真琴に告げる。少しでも真琴が喜んでくれるように、真琴のちんぽを挟み込み、上目遣いで情欲を煽りながら。

  「んっ♡、真琴……真琴ぉ……許してくれぇ……♡」

  かつては脂肪で多少張っていた程度で、快楽とは無縁だったダイラントボアの胸は、幾度の【身体強化】によって開発され、 今では服が擦れるだけでも思わず声が漏れてしまうような、敏感な弱点へと成り果てている。ぷっくらとした乳首は巨大化し、指で簡単につまめるほどのサイズになっている。すっかりと快楽に素直になった乳首に時折真琴のちんぽが当たり、艶やかな吐息がダイラントボアから漏れ出る。

  「これなら他のヒーローの息子になった方がいいかもなぁ」

  「そ、そんなことを言わないでくれ!」

  側にあった銃をくるくると手で弄びながら、ため息と共に呟く真琴。ダイラントボアはそれを聞いて、サーっと顔が青ざめる。

  「ま、真琴がいなくなってしまったら、私はどうすればいいんだ♡お前の父さんは私だけだろう?♡」

  真琴の歪んだ理想がすっかり染まり、今では真琴にずぶずぶに依存してしまっているダイラントボア。それが良くないことだと彼に警鐘を鳴らしてくれる存在は、この場にはいない。

  「じゃあさ、ダイラントボアをおかしくしちゃったこと、許してくれる?」

  「なんだ、そんなことか♡そんなの当然許すに決まっているだろう♡」

  真琴から許しを貰える予感。大猪は目を輝かせて捲し立てる。

  「寧ろ私は嬉しい位だぞ♡ヒーローとしての使命を気づかせてくれて♡真琴のためならなんだってしてみせる♡真琴の理想に近づきたい♡もっともっと、私に命令してくれ♡」

  「ありがと。ま、ダメだって言ってももう遅いけどさ。ほら、咥えてよ、ダイラントボア」

  やっと得られた許し。ダイラントボアは目を輝かせて真琴のちんぽへと飛びついた。ずちゅ、と大きな音を立てて、上目遣いで真琴を見て、先の部分から丁寧に舐め取っていく。

  「む、んじゅ……真琴のちんぽ♡おいしいなぁ♡もっともっと、私が綺麗にしてあげるからなぁ♡」

  右手でちんぽを持ち、時折頬ずりを交えてねっとりと舐め上げていく。留守になった手持ち無沙汰な左手で、乳首をいじり、時折嬌声を上げる。

  「今のボア、すっごいエロいぜ」

  「んむ、真琴がそう言ってくれるならぁ♡私はもっとエロくなるぞぉ♡」

  限定解除、と呟くと、ダイラントボアのスーツが変容を始める。光と共に分解を始めたスーツは、あろうことか鼠径部から尻のラインだけを露出する。真琴のモノよりも随分と小さく、太い包茎ちんぽと、何度も真琴のちんぽを受け入れて穴が随分と緩くなった尻が露わになっていく。全身をヴィランから守るためのヒーロースーツは、最早勃起したちんぽと、ちんぽを求める尻だけを強調したフレーム程度にしか機能していない。

  「逆バニーみてぇ」

  「むうん…んっ、ふぅ…♡真琴のちんぽ見てたらぁ♡尻が疼いちまって…♡」

  「尻じゃなくて、おマンコ、だろ」

  「おマンコ、おマンコいじりが止められないんだぁ♡」

  真琴のちんぽに奉仕を続けながらも、自身の尻を慰め始めるダイラントボア。しかしどれだけ自身の尻を慰めようと、決して熱が頂点へと達することは出来ない。満たされない欲求に飢え、燻り続ける熱を少しでも逃がそうと、ダイラントボアは卑猥な水音を真琴に聞こえるように大きく立てながら、自身の穴をいじり続ける。水音の大きさに負けないほどに、大猪の息が、少しずつ荒く、激しくなっていった。

  「真琴ぉ…♡私のおマンコ、早く使ってくれぇ…♡奥、いっぱい突いてくれよぉ♡」

  「ま、そろそろいいか。……ボア」

  「はぁい♡」

  名前を呼ばれただけで、真琴の要求を理解したダイラントボアは、少し名残惜しそうにちんぽにキスをして口から離すと、真琴と立ち位置を入れ替えて、自身の両足を持ち上げる。

  正常位の姿勢で待機する大猪の尻穴は、既にローションでぐちょぐちょになっていて、ひくひくと動いて真琴のものを今か今かと待っていた。

  「真琴ぉ、いいぞぉ♡挿れてくれぇ♡」

  「じゃ、遠慮なく」

  何のためらいもなく腰を押し出し、ちんぽをずぷ、と挿れると、ダイラントボアの尻は、それを殆ど抵抗なく受け入れていく。

  「ん、んおぉ♡」

  「ぐっ、入ったぞ、ボア。ちょうどぴったりだ」

  「ふへへ、真琴の為のおちんぽケースだからな♡あぁ……真琴のちんぽがここまで入ってきてるぞぉ」

  と顔を蕩けさせながらも自慢げに言うダイラントボアは、自分の腹を指した。

  「動くぞ」

  「ん、おぉぉ♡んんんん♡」

  ずん、とちんぽが自身の中を突く感覚。大猪が声を漏らす。

  

  「あんま早くイくなよ」

  「ん♡任せろぉ♡」

  どちゅ、どちゅ、とゆっくりと力強く腰を打ち付けていく。真琴が腰を打ち付ける度に、大猪のうっすらと脂肪の乗った熱い腹肉が揺れた。腹同士がぶつかるたびに、間に挟まれたダイラントボアのちんぽにかすかな刺激が与えられ、幾度も透明な汁を吐き出す。

  「ぁ、だ、だめだ♡いいとこ、あだっでぇ♡」

  イイ所にあたったのだろう。ダイラントボアの表情がどろりと蕩けた。舌を出し、汗で濡れた体毛が、シーツをじわじわと濡らしていく。

  「やっべぇ♡そこ、そこごんごんされるの気持ちいぃ♡♡」

  「俺も気持ちいいぞ、ボア!」

  「キス、キスしてくれぇ♡」

  両手を広げ、潤んだ瞳でせがむダイラントボア。涎と涙でぐしょぐしょになった顔からは、最早ヒーローの片鱗も感じ取ることは出来ない。大猪を支配しているという事実に、暗い悦びが真琴を満たす。それをより強く感じるように、ダイラントボアにぐい、と身体を押し付け、貪るように口づける。大猪のちんぽから吐き出された透明な汁で、二人の毛は濡れ、汗と混ざって解けていく。自分のモノだと、真琴は強く主張するように舌を絡めた。

  「んんんん♡んんん♡」

  「っはぁ、それじゃ聞こえねーよ」

  「好き、真琴、好きだぁ……♡」

  『俺も好きだ』。そう言おうか少し迷った真琴は、しかし言葉の代わりに腰を打ち付ける。

  「おぉ、なんか来る♡おぉぉ、イクイクイク♡♡」

  ぶる、と身を震わせながら、両手をぎゅっと握るダイラントボア。しかしそのちんぽから精液は出てこない。雷に撃たれたように何度も激しく分厚い身体を跳ねさせ、指先をぎゅっと丸めて両足を震えさせている大猪だが、白濁は一滴たりとも吐き出されず、透明な涎を垂らしていた。

  「ん…ぁ……?」

  息を荒げながら、全身を震わすほどの連続的なオーガズムの波が徐々に引いていく、ダイラントボアの焦点の合っていなかった目が、少しずつ正気を取り戻す。するとなんの因果か、ダイラントボアの淫らに蕩けた表情が、本来の、あるべき姿へと戻される。

  (以降は同人誌で!)