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(よくもまあそんな楽しそうに話すもんだな)
植田は中谷を相手に、昨日あった廣岡との出来事を軽快に話している。
「アイツ、ほんま、おっかしいんすよ」
(自分はコイツのこと好きですよ、って言ってるよーなもんだ)
話し続ける植田の前へ、中谷は身を乗り出す。
「海、」
名前を呼んで、一瞬会話を止めた植田の唇へ中谷は軽く口付けて、植田に問う。
「どっちか選べよ、アイツか、俺か」
自分の身に何が起こったのか、今自分に何を聞かれたのか、植田は理解が出来ず、ただ中谷を見る。
「まー、さ…」
呆然とする植田からの答えを待たず、中谷は再び顔を近づけたが、植田は咄嗟にそれを拒んだ。
「…そーゆーことか」
「!ち、ちがっ、」
イヤだからとか、嫌いだからとかいう理由で避けたのではないと植田は弁明しようとしたが、中谷はその機会を与えない。
「違わねーよ。おまえはアイツを選んでんだ」
「まーさん!」
まったく話を聞き入れてもらえず焦る植田に、中谷は言葉を続ける。
「気づけよ、自分の気持ちに」
そう言うと中谷は立ち上がり、植田に背を向けた。
背後から、待ってください!と叫ぶ声が聞こえたが、中谷は歩を緩めることはしなかった。
(なんで俺がここまでしてやらなきゃいけないんだか)
そう思うのと同時に、中谷は自分の人の好さに呆れ、ふうっと息をついた。
- end -
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