[chapter:1]
羊獣人のメイにとって、自分の人生は生まれた時から決まっているようなものだった。
上質なミルクを絞り、それを売って暮らす。
父のように、毎朝早く起きて新鮮なミルクを瓶に詰め、それをお得意さんに届けにいく。
そんな日々が待っていると疑わなかった。
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メイがまだ、父の腰ほどしか背丈がなかった頃。
クリーム色のくせ毛を揺らし、くるんとした小さな角をのぞかせながら、メイは荷車の後ろをついて歩いていた。
「おとうさん、きょうはおっきなおやしきにいくの?」
「ああ、街でも一番大きなお宅だ。メイと同い年の坊ちゃんがいるんだよ」
立派な鉄格子の門をくぐり、手入れされた庭園を進む。父が執事と話している間、退屈したメイはフラフラと生垣の向こう側へと迷い込んでしまった。
そこで、メイは「彼」に出会った。
木陰の特等席に腰掛け本を広げていたのは、メイと同じ年頃の少年だった。
艶やかな黒髪の間から、ピンと尖った三角形の耳がのぞいている。しなやかで長い四肢と、獲物を値踏みするような、琥珀色の鋭い瞳。
(あ、おおかみだ……!)
メイは緊張で足がすくみ、手に持っていた小さな鈴をチリン、と鳴らしてしまった。
その音に反応して、黒髪の少年――リクがゆっくりと顔を上げる。
「……だれ?」
「あ、えっと……ミルクをどどけにきました。ぼくはメイっていいます、ぼっちゃん」
メイがぺこりと頭を下げると、リクは本を閉じ、音もなく立ち上がってメイの方へと近づいてきた。
琥珀色の瞳がじっとメイを見つめる。その強烈な視線に、幼いメイは「食べられちゃう!」と本能的に怖くなって、涙目で父の元へと逃げ帰ってしまった。
「おとうさん、おとうさん……! おおかみさんにたべられちゃう……!」
必死に訴えるメイを、父は困ったように笑いながら宥めたものだった。
それからというもの、メイは屋敷へ行くたびに「おおかみの坊ちゃん」を意識するようになった。
成長するにつれ、さすがに本当に食べられるとは思わなくなったが、リクの自分を見る視線がいつも熱く、鋭いことには気づいていた。
「……メイ、今日も来たんだね」
「はい、坊ちゃん。今日のミルクも出来立てですよ」
「ありがとう。……ねぇ、少しだけここで話していかない?」
リクはメイにだけは少し砕けた口調で話しかけてくれた。けれど、メイは「商家の大事な坊ちゃん」と「ミルク売りの自分」の立場をわきまえ、いつもどこか一線を引いて接していた。
リクがどんなに名残惜しそうな顔をしても、メイは「坊ちゃん、また明日」と笑って帰ってしまう。
そんな二人の関係が、メイの十八歳の成人を境に激変した。 突然、リクの家から「メイをリクの嫁に迎えたい」という、信じられないような縁談が舞い込んだのだ。
「ええっ!? 僕が坊ちゃんの……奥さんに!?」
獣人は異種間の同性同士でも子どもがつくれる。だから同性結婚自体は珍しくないのだが…まさか坊ちゃんと?
断る余地などないほどの強引さで、メイは婚礼衣装に身を包まされ、リクの待つ邸宅へと連れて行かれたのだった。
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[chapter:2]
「今日から、ここがメイの部屋。自由にしてね」
婚礼の初夜。リクが案内してくれたのは、広々とした客室だった。 主寝室ではなく、一人用の部屋。
大人になったリクは、見違えるほど逞しい大人の雄へと成長していた。広い肩幅、引き締まった腰つき。ピンと立った黒い耳は、相変わらず艶々で手触りがよさそうだ。
「あの、坊ちゃん……。僕、今日から何をすればいいんでしょう……?」
「……何もしなくていいよ。メイはただ、そばにいてくれればいいんだ」
リクはそれだけ言うと、メイの頭を優しく撫でて部屋を出ていってしまった。
それから一ヶ月。二人の仲は全く進展しなかった。
リクは食事の時こそ隣に座ってくれるが、指一本触れてこない。そして夜はいつも別々だ。
(坊ちゃん、僕のこと本当は好きじゃないのかな……)
そんな不安を抱えるメイだったが、実のリクは極限状態にいた。
嫌われたくない。怖がらせたくない。
その一心で、リクは長年押さえ込んできたメイに対する衝動を、必死に抑え込んでいたのである。
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[chapter:3]
そんな折、メイの身体に異変が起きた。 朝起きると、なんだか胸のあたりが重苦しく、熱を帯びている。
(あ、あれ……? おかしいな、なんだかおっぱいが、ツンとする……)
体が完全に大人の羊獣人へと成熟したメイは、定期的に「ミルク」を絞らなければ、胸が張って痛くなってしまう体質だった。
両親から搾り方は教えてもらっていたものの、張りが来たのは初めて。
「うぅ……痛い、かも……」
シャツの胸元が、じわじわと内側から押し上げられるように張ってくる。そのの生地に、ぽつぽつと丸い染みが広がっていく。
「あ、あっ……垂れてきちゃった……」
甘く濃厚な、搾りたてのミルクの香りが、部屋中にふわりと立ち込める。
そこへ仕事から戻ったリクが通りかかった。
「ただいま、メイ。今日は――」
リクの言葉が、ピタリと止まる。
部屋に充満する、濃密な甘いミルクの匂い。 リクの琥珀色の瞳が、一瞬で深い獣のそれへと変貌した。ピンと立っていた黒い耳が、ピクピクと細かく震える。
「ぼ、坊ちゃん……あの、ごめんなさい。僕、おっぱいが張っちゃって、その、ミルクが……っ」
メイが赤くなって胸元を隠そうとしたが、時すでに遅かった。シャツの薄い生地を通して、ぷっくりと膨らんだ乳首の形がくっきりと浮き出ている。
その先端から、白い一滴が、ポタリと床に落ちた。
「……あ」
リクの喉が、ゴクリと大きく鳴った。 もう、限界だった。一ヶ月間、必死な思いで維持してきた理性が、音を立てて崩れていく。
「ぼっちゃ……んっ!?」
気づいた時には、メイは畳の上に押し倒されていた。目の前には、興奮で完全に余裕をなくしたリクの顔がある。
「……もう、無理だ」
グルルと、唸るような声。
リクの大きな手が、メイのシャツのボタンを乱暴に引きちぎるようにして剥ぎ取った。
「あ、あぁっ……!」
露わになったメイの肌は、クリーム色の髪と同じように白く、 柔らかそうだった。
そして何より、その胸元――女の子のようにふっくらとした乳房が、赤く上気してパンパンに張り詰めている。
ピンク色の乳首からは、リクに見つめられている羞恥心からか、さらにたらたらと白いミルクが 溢れ出ていた。
「すごい匂いだ、メイ……。毎日、こんなエロい身体で、俺の前にいたのか……?」
「ち、違います、これは羊の習性で……ひゃんっ!」
言葉を紡ぐ暇もなく、リクの熱い舌が、左の乳首を深く巻き込んだ。
チュウ……
「……っ、ん」
「んああっ」
張って痛かった胸を吸われる気持ちよさに、メイは甘い声を出した。
リクは溢れるミルクを 一滴も逃すまいと、貪欲に深く乳輪ごと吸い付く。
[newpage]
「ん、んっ……、……甘いよ、メイ……」
リクの口の端から、飲みきれなかった白い筋が顎へと伝い落ちる。それを舐め取る姿がたまらなく雄々しくて、メイは頭がどうにかなりそうだった。
「右も……右も張って、苦しい……あ、あ、吸って、ぼっちゃん……」
「……っ、自分からねだるなんて……」
リクは今度は右の胸へと吸い付いた。
大きな手で、 柔らかい胸の根元をグッと掴み、搾乳するように揉みしだきながら、先端を激しく舌で転がす。
ジュウ…
「ん゛っ、あ、あ、そこッ、 気持ちいい……っ」
「…っ、どこが気持ちいいって?メイ?」
「あッ、あッ、おっぱい…、 おっぱいが気持ちいい……っ」
快感を素直に言葉にするメイ。そんな様子にリクがさらに興奮を煽られていることを、メイは知る由もなかった。
「はぁ……んっ、……メイはミルクを出す時はいつもこんなふうに感じるの?」
「あ、あ、知らな……、ぼっちゃんが吸うから…っ」
「うっ……」
散々吸われた乳首はぷっくりと腫れ、先端から甘いミルクを垂らす。
メイが胸を突き出すと、リクは再び乳輪ごと口に含み、甘く噛みつきながら先端を舌で押し潰した。そしてもう一方は指でこねられ、ピュッとミルクが押し出される。
「ん、ん、んぁ…」
知らなかった。
ミルクを吸われると、こんなに気持ちいいなんて。
だけど本当は、まだ何も始まっていない。
「あ、はぁ……ぼっちゃんの、かたいの……当たって、る……」
「ああ……メイが欲しくておかしくなりそうだ」
リクのズボンを押し下げると、そこからはメイが見たこともないほど、太く、赤黒く猛り狂った狼の雄が姿を現した。
先端からは、すでに粘度の高い先走りの汁が溢れ、 濃い雄の匂いを放っている。
「いや、あ……そんなおっきいの、入らない……っ」
「大丈夫だから……ちゃんと入る」
今度はメイの下半身が露わになる。
髪の毛と同じクリーム色の下生え。その下で勃ち上がったペニスは、リクのものと比べると、まるで子供と大人のようだった。
リクはメイの細い足を左右に大きく広げると、胸から溢れたミルクを指ですくい、メイのピンク色の窄まりへと塗りつけた。
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「ん……」
指が一本、二本と潜り込む。中をほぐしながら、何かを探るように動いた。
「 つ、そこ……っ」
「ここ?」
「んぁっ」
ちょうどペニスの裏側にある、コリっとした部分を探り当てられ、ビリビリとした快感が体を突き抜ける。
リクは指で挟むようにしてそこを刺激し始めた。
「んっ……あ、あ……!」
これ…気持ちいい……
そんなメイのとろけた表情を確認すると、指は徐々に激しさを増す。
グチャ…グチャ…
リクはメイの中を蹂躙するように指を出し入れした。
「あ、あ、あぁ…!」
「はぁ、……きついな……指をいれてるだけでイキそうだ……」
メイの中は、すでにとろとろに 柔らかく解れ、甘い匂いを放っていた。指を出し入れされるたび、中の気持ちいいポイントを擦られる。
「あッ、あッ、ああん、ぼっちゃ…、イキます…イクッ」
「可愛い…イッてもいいよ」
グチャグチャグチャ…!
カーっと中がが熱くなり、トドメとばかりに会陰をグッと掴まれた。
「え……ひゃあぁッ」
掴まれたなんてものじゃない。指を強く押し込まれ、前立腺を中と外から挟み込むように刺激される。
「はっ…はっ…」
そのあまりの快感に、気づけばメイは全力疾走したように荒々しい息をつきながら、白濁を噴き出していた。
「メイ、気持ちよかった?」
「んッ…はい…」
メイのおへそのあたりにべっとりとついた精液。吸い寄せられるように、リクがそれを舐めとろうとする。
「あっ、ダメです坊ちゃん!そんなの…」
「ダメじゃない。メイのだと思うと興奮する」
そう言ってメイの精液を舐めとる姿は、メスの全てを享受し飲み込もうとするオスそのものだった。
そしてリクは興奮を抑えるかのように自身のペニスを数回扱いてみせた。
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「なぁ、メイ、入れてもいい?壊さないようにするから……」
「はい……坊ちゃんの、ほしい……っ、入れてください……っ」
その言葉が引き金だった。 リクは指を引き抜くと、 涎を垂らす入り口に、自身の巨大なペニスの先端を宛てがった。
クチュウ……ッ。
「――っ、んあぁあーッ!!」
硬い肉棒が、メイの狭い膣内をみちみちと広げながら、奥へと侵入していく。
「はぁ、はぁ…っ、吸い付いてくる……っ」
リクもまた、 未経験の圧倒的な快感に、眉根を寄せて低く呻いた。 腰がピッタリと密着し、メイの会陰に陰毛があたる。
「あ、あ……」
「メイ、痛くないか?」
「ん…痛くないです…」
リクがゆっくりと腰を引くと、中の肉壁が「行かないで」とばかりにギュウギュウとペニスにしがみついた。
「あー、夢みたいだ……嬉しすぎて、どうにかなりそうだよ……」
リクは蕩けたような笑みを浮かべて、メイの体を抱きしめる。ずっとずっとメイが好きだった。何度こうしてメイを自分のものにすることを想像したか、数えきれない。
繋がりが深くなり、メイは体をビクビクと震わせた。その表情は普段の愛らしさとは異なる、甘い色香を纏っていた。
リクはたまらなくなり、ズンッ! ズンッ! と、容赦ないピストン運動を開始する。
「あ、あ、んあッ! はぁ…そこ、 あ、あぁッ!さっきのところ……っ!」
「ここか……? ここが好きなんだろ、メイ……っ。んっ、……あぁ、気持ち良すぎる……」
パンパン、と肉と肉が激しくぶつかる卑猥な音が部屋に響き渡る。
リクは夢中でメイの唇を奪い、お互いの唾液を交換しながら、 容赦なく奥を突き上げた。
「ん、ん、んう゛、イク、またイクッ……!」
「一緒にいこう、メイ……、う゛――っ」
ビクビクッとメイの身体が大きく痙攣し、絶頂を迎える。同時にぎゅーっとペニスを締め付けられ、リクもまたメイの最奥に向かって 濃厚な熱い精液をドクドクと 吐き出した。
「はぁ、はぁ、……メイ……」
中に出された熱さに、メイは恍惚とした表情でリクの首にしがみついた。
一度外れた枷は、もう二度と戻らない。 その日から、二人の甘く、 濃厚なセックスの毎日が始まったのだった。
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「んぅ……坊ちゃん……朝から、また、おっきくしてる……」
「起きたメイが、可愛すぎるのが悪いんだよ……」
ベッドの中で、クリーム色の髪をリクの胸元に擦り付けながら、メイは小さく甘えた声を出す。
あの日以来、リクの「我慢」はどこかへ行ってしまった。朝、目が覚めればどちらからともなく唇を重ね、昼下がりには書斎のデスクで、夜は広すぎるベッドで、幾度となく肌を重ねる毎日。
不思議なことに、今ではメイもリクのことが欲しくてたまらなくなっていた。
「坊ちゃんの……ここ、入れて……?」
「そんな顔で誘われたら、また仕事に行けなくなる……っ」
メイが自らお尻を広げ、ピンク色の窄まりを覗かせると、リクは嬉しそうに耳をピンと立てて、すぐに覆いかぶさってくる。
「本当に、えっちになっちゃったね…誰がこんなふうに教え込んだの?」
「ぼ、坊ちゃんです……。坊ちゃんが、僕をこんなにしちゃったんですよ」
「そうだね。俺が悪い」
そう言ってリクはメイを抱きしめる力を強め、そのうなじを優しく甘噛みした。
メイは、リクに激しく犯される快感にすっかり溺れてしまっていた。
リクの大きな手が自分の腰を掴み、 激しく突くたびに、ツノの先まで痺れるような甘い快楽が駆け巡る。
けれど、これだけ毎日のようにセックスをして、中に何度も中出しをされているにもかかわらず、メイのお腹に新しい命が宿る気配はなかった。
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「……あの、坊ちゃん。僕たち、こんなにえっちしてるのに、どうして子供ができないんですかね?」
ある夜、リクの腕枕の中で、メイはふと疑問を口にした。
リクはメイのくせ毛を優しく指でいじりながら、答える。
「獣人の世界ではね、お互いの『発情期』の周期がぴったりと重ならないと、子供はできないんだよ。特に、羊の獣人と狼の獣人は、本来なら周期がズレやすいんだ」
「そうなんだ……。じゃあ、もっとたくさんえっちしないとダメですね?」
純粋な目でそう言いきるメイに、リクは理性的な苦笑を浮かべた。 「これ以上したら、俺の腰がもたないよ。……でも、もしその時が来たら、覚悟してね」
それから数週間が経った、ある雨の日のことだった。
[newpage]