お試し ハラパン・クエスト 青い狼

  とある神界の伝説的な闘姫である女神ベロニアが管轄する異世界に存在する島「ワイルドストーン」

  其処では多様な種族が集まって生態を構成するこの島では女神ベロニアの加護を受けた女性達を拳姫と呼ばれており、4年に一度に拳姫達が拳を競う「拳姫祭典」が開催され、最後に残った1人が女王となって島を統治する女王統治制が行われている。

  その島のもっとも発展しているシャンパンタウンの一角にあるバー

  此処では拳姫同士の殴り合いが見える事で有名で今日も試合が行われている

  『さぁ試合も終盤に入りました!この熱い戦いを制した拳姫は一体誰になるのか!?』

  実況者の声がバーに響き渡るが観客達はもう試合結果を察しておりただ試合を見届けるだけになっている。

  そんな中でリングでは髪や眼、更に狼の耳は青く肌色は陶器の様な色をしており彼女は退屈そうに対戦相手を睨みつけている。

  彼女の名前はアオフ

  一方で対戦相手の人間の女性は顔はパンパンに腫れあがり鼻血を出して口からも血を流しておりお腹は紫色になってしまっている。

  そんな状態になっても彼女の眼にはまだ闘志があり諦めてはいない様子で対戦相手が動き出して拳を振り上げてアオフに襲い掛かる

  其れを見ていたアオフは思わず

  「はぁ~、遅いな・・・」

  とため息を吐いて言ってしまう。

  次の瞬間にはアオフは対戦相手の攻撃を紙一重で

  「よっと!」

  と避けて対戦相手の顎に強烈なアッパーカットを

  「オラァ!!」

  と叩き込み

  「うげぇ!!!」

  と言う悲鳴と共に相手の体はリングの上に倒れ込んでしまう。

  そしてレフェリーが確認すると両腕をバッテンにして試合続行不能のポーズを取って

  [カン!カン!カン!カン!]

  試合終了を告げるゴングが鳴りレフェリがアオフの右腕を挙げて

  『勝者、アオフ選手!!』

  実況者の声でアオフの勝利が決まった。

  試合を終えたアオフはバーが用意された控え室で

  「あぁああ、クソつまんなかったなぁ~

  こんな弱い奴らしか居ないのか此処は?」

  と愚痴りながら自分の控え室にある水を飲む。

  「此れなら森に居るオークの方が強いわ」

  そう言った後、暫く考えて

  「不燃焼だからちょっと行って来るか」

  と言ってバーを後にしてオークが生息する森へと移動を開始する。

  ~移動~

  「さて、オークが生息する森にやって来たぞ!」

  とアオフは叫びオークが生息する森に入って行く。

  森の中に入ってオークを探す。

  暫くして

  「お!あれは」

  アオフの前に両手にボクシンググローブを付けているメスのオークが歩いて来たのでアオフはニヤリと笑い

  「丁度良い所に獲物が来たぜ」

  そう言いながら思わず涎が出てしまう。

  アオフはグローブで涎を拭いてファイティングポーズを構えるとメスのオークの方はアオフを見ると興奮していて鼻息荒くしながらファイティングポーズを構える。

  そんでいつの間にか木と木の間に四本のロープが張られて即席のリングが出来上がっている。

  アオフは気にせずステップを踏んでメスのオークにジクザクににじり寄って行きお互いの距離が数メートルになった所で一気に踏み込む。

  メスのオークは其れに合わせてパンチを放ってくるがアオフはその攻撃を読んでいたかのようにギリギリで避けてカウンターの右フックを繰り出して叩き込む。

  追撃でアッパーカットを繰り出して顎を直撃する。

  メスのオークも負けじと左ストレートを放つ。

  だがそれも読んでいたアオフはそれをスウェーで避けると同時に今度はアオフから左ジャブからの右ストレートをメスのオークのぽっくりと出ているお腹にぶち込んだ。

  メスのオークから

  「グフゥッ!?」

  と呻き声は出るがお腹の脂肪のお陰でダメージは少ない様ですぐに反撃に転じて来て左右の連打を浴びせてくる。

  それをアオフは避けたりガードしてバックステップで距離を取る。

  (やっぱり、試合できるサンドバックはオークに限る)

  と心の中で呟いてからアオフは一気に距離を詰めて接近戦に持ち込む事でアオフはラッシュを仕掛ける。

  それに対してメスのオークも必死に反撃でインファイトを仕掛けて来たがアオフは全て紙一重で避けながらインファイトでメスのオークを殴り続ける。

  メスのオークはアオフに殴られてすぎて両腕の構えを解いてただのサンドバックに成り果ててしまい一方的に殴り続けられる。

  そしてアオフは最後のアッパーカットを顎に叩き込んでKOさせた。

  メスのオークを殴り倒したアオフは頭を掻きながら

  「何かオークが弱く感じるようになったな⋯

  それだけ私が強くなったと言う事かな? まぁいいや、とりあえず今日の所は帰ろう」

  アオフはそう言ってその場を後にしろうとした瞬間に狼の耳が有る音を拾った。

  その音を聞いたアオフは音がした方向を見て

  「団体客のご到着みたいだな・・・」

  そう言った後、アオフの目の前にメスのオークの群れが現れた。

  アオフは舌なめずりをして

  「食い放題だな⋯」

  歯茎を鳴らして笑った

  メスのオークの一体が即席のリングに入って来てアオフに向かって襲い掛かってきた。

  其処からはアオフ一人VSメスのオークの集団の勝ち抜き戦が始まった。

  アオフは即席のリングに挙がったメスのオークを片っ端から拳で殴り倒していくが相手はメスのオークの集団

  アオフが一体KOすれば他のメスのオークがKOされたホークを即席リングを降ろして新たなメスのオークが即席リングに上がってアオフに襲い掛かる。

  アオフは休みなく戦う事になり疲労が少しずつ溜まり動きが鈍くなって

  「うぶ...ッ!!」

  メスのオークの攻撃をお腹に喰らてしまうが倒れずメスのオークの顔面を殴り返す。

  そんな事を繰り返して日が沈むころにはKOされたメスのオークの山が出て来て

  ボロボロで出血しているアオフは最後のメスのオークに

  「⋯此れで⋯最後ぉおお!!」

  と叫びながらアッパーカットを繰り出して

  「ぐふぅうううう!!」

  と断末魔と共にメスのオークが倒れた。

  アオフは肩で

  「はぁ、はぁ、……」

  息をしながら、一呼吸を置いて

  「ワォオオン!!!」

  と勝利の雄たけびを上げた。

  アオフはその後、シャンパンタウンに戻って外れにあるボロ宿の一室を借りて、中庭で返り血を洗い流してから借りた部屋に戻り傷を治療してベッドに寝転んだ。

  (そう言えばそろそろこの世界に来て大分経つな)

  アオフがワイルドストーンに転生する前の前世を思い出す。

  前世では負けなしのアマチュアのボクサーだったが交通事故で両足を切断、ボクシングを諦めて車椅子生活を余儀なくされて、更に一緒に居た両親は交通事故で他界して遺産相続のトラブルに巻き込まれて、嫌気がさして大雨の日に決壊した川に飛び込んで自殺した。

  気が付けばこの世界に転生していた。

  アオフはそう思い返せば眠気に襲われてそのまま眠りについた。