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ワータイガーの洞窟

  私は動物が好きだ。現在ペットショップで働いていることもあるが、子供の頃から動物図鑑を見て、何か心惹かれるものがあった。別に人間が嫌いという訳ではないが、自然の中で生きる動物には逞しさと美しさが感じられて、人間以上に好きだった。むしろ、動物になりたいとさえ思っていた時期があるくらいだった。

  この「動物になりたい」という欲求は、着ぐるみに入ることで発散していた。インターネットサーフィンをしていたある時、私はとても可愛らしいケモノの着ぐるみが運営しているSNSを発見した。そのSNSを毎日のように見ていると、着ぐるみのオフ会を定期的にやっていることを知った。様々なケモノの着ぐるみが密集するその集合写真はとても魅力的だった。インターネットで調べてみると、着ぐるみを自作している人もいるみたいで、作り方を解説している動画サイトもあった。私も動物に変身出来たら、こういう姿になりたいというイメージが頭の中にあったので、頑張って着ぐるみを自作してみることにした。

  

  休日に材料を買い、試行錯誤して、何とか着ぐるみを作ることができた。私が着ぐるみのモチーフにした動物はトラだった。トラの縞模様や大きさ、力強い感じがとても気に入っていて、もし何かに変身できるのなら、トラに変身したいと思っていた。着ぐるみにはキャラクター名を付ける慣わしがあるようで、私は自分の着ぐるみを「トラフィー」と名付けることにした。

  ケモノの着ぐるみのオフ会参加者の募集の時が来て、私はドキドキしながら勢いで申し込んだ。スーツケースに着ぐるみを入れて、初めての着ぐるみオフ会に参加する。着ぐるみの試着室は獣化部屋と呼ばれていて、まさに動物に変身している気分になれた。獣化部屋は男性用と女性用で分かれていた。この手のイベントは男性がほとんどであるイメージが強かったが、女性参加者もいることが分かって嬉しかった。着ぐるみに着替える際、既に何回も参加しているという女性と知り合い、友達になった。着ぐるみオフ会は、本物の動物ではないが、可愛らしい・カッコいい着ぐるみが和気藹々と交流していて、とても心が満たされた。私はすっかり着ぐるみオフ会に夢中になって、その後も参加し続けた。

  ある時、着ぐるみの中の人達で集まって打ち上げをするという誘いを受けた。着ぐるみを持っている女性からのお誘いだったので、大丈夫だろうと思い、私はその打ち上げに参加した。打ち上げは男女比半々くらいで、まさに理想的な打ち上げだった。初めて知り合う人が多かったが、皆動物好きなこともあり、すっかり打ち解けることになった。

  ある時、打ち上げメンバーの中にいた男性の一人から動物園に一緒に行かないか?という誘いを受けた。打ち上げメンバーでは既に何回も会っていたので、私は気軽にOKを出した。男性の名前は大河(たいが)。特にこれといって際立った特徴はない普通の男性だが、身長は170㎝とやや高く、私と同じ20代後半だった。私はいつもノリで一緒に動物を見て回るだけかと思っていたが、一緒に動物園を見て回って帰る間際に、お付き合いしたいと告白された。想定外のことでビックリした私は返事を保留したが、他の着ぐるみメンバーからも応援を受けたので、私は大河と付き合うことになった。そのまま何度もデートを重ね、ついに私は大河からプロポーズまで受けることになった。動物好きで、着ぐるみで一緒に獣化できる相手と結婚することになり、私はこれ以上ない巡り合わせに感謝した。

  私には子供の頃から抱き続けていた叶えたい夢が一つあり、それは新婚旅行で叶えることができそうだった。私の叶えたい夢……それは野生のトラをこの目で見ることだ。トラ自体は動物園でも見ることはできる。しかし、飼い慣らされた檻の中のトラではなく、野生で生きている自然状態のトラを見てみたいという欲求があった。このことを大河に話すと「いいよ、トラは俺の名前みたいで親しみあるし」と快くOKを出してくれた。二人でいろいろ調べて、幸運にも期間限定のジャングル超格安ツアーに申し込むことができた。そして今、いよいよその新婚旅行が始まった。

  「よし、飛行機の荷物受け取りも問題なかったな」

  「うん! 飛行機の旅も楽しかったね」

  私と大河は目的地の空港に降り立った。

  「後はツアー会社の現地スタッフと合流するだけだね。日本語が通じるガイドがいるって話だったけど……あっ! 日本語の看板を持っている人がいる。あれかな」

  「あ! 私達の名前が書いているわ! あそこで間違いないと思う」

  私と大河は真っ黒の日に焼けた日本語のプレートを持っているガイドに近付いて行った。

  「ハロー! ジャングルマッスルツアーさんですか? 俺達、ツアーを申し込んだ者ですけど……」

  大河はそう言って、ガイドにツアー申込書を見せた。

  「ワオ! タイガサンネ! ヨウコソワガクニヘ! ジャングルマッスルツアーノマッキートモウシマス。ソレデハクルママデアンナイシマショウ!」

  ガイドは明らかに外国人である。しかし、片言ながら、私達の質問に的確に答えを返してくれるので、日本語は理解できているようだ。とりあえず会話はできるようでホッと一安心した。

  一応現地語の会話集も持って来ていたが、この感じだと使わなくても済みそうだ。二人の荷物をトラックに積み、まずは宿泊施設へと向かう。今日は宿泊施設で一泊して、ジャングルツアーは明日の予定だった。

  ジャングルとあるだけあって、現地は蒸し暑い。オープンカーのようなタイプだったので、トラックを走らせると風が吹き込んでくるが、これもまた蒸し暑い。しかし、海外に来たー!という実感に心が躍った。トラックに乗っていると、砂漠のような場所と木や草の生えている場所がランダムに見えてくる。日本ではまず見ることのない光景だ。

  トラックを走らせること数時間。ようやく目的地に着いた。

  「ココガホテルデス」

  日本だと三流くらいのホテルに見えたが、超格安ツアーなので仕方がない。マッキーにホテルの宿泊時の説明を受ける。ホテルでは料理は出ないので、周辺のレストランか、スーパーマーケットで食事をして欲しいとのことだった。着いた頃にはもう夕方だったので、とりあえず荷物を置いてホテルの外に出る。

  「うわぁ~! すごい! やっぱり日本と違うね~!」

  「そうだね。美奈(みな)、海外だと何があるか分からないから、俺からあまり離れないようにして欲しい」

  「うん! 分かってるよ!」

  現地の下町をウロウロ。観光地化されているようで、英語や怪しげな日本語の看板も所々にあった。

  「あっ! これいいなぁ。いくらだろう?」

  私はアクセサリー屋で、全身がトラの形をした青い宝石のようなペンダントを手に取った。光が当たると、キラキラ輝いてとてもキレイだ。

  「どれ、俺が買ってあげよう」

  「いいの? やったー!」

  私は素直に喜び、思わず大河に抱き付いてしまった。

  「こらこら、人前ではよそうぜ」

  「あ、ごめん。えへへ、そうだね」

  私は勢い余って公共の場でイチャイチャしてしまったことに反省した。

  思っていたよりは高価ではなく、無事そのペンダントを購入することができた。タイガからプレゼントされ、私は早速、そのペンダントを首から下げた。

  すると、ペンダントを売っていた店のおじいさんから何やら話し掛けられる。

  「(ソレヲエランダモノハミチビカレル。ナンジノユクミチニサチアレ!)」

  現地語だったので何を言っているのかは分からなかったが、とりあえず感謝の仕種をしておいた。下町を観光している間に、適当な店に入って、夕食を済ませることにした。

  夕食後、私と大河はホテルに戻り、一緒にまったり過ごしていた。

  「さて、風呂にも入ったことだし、そろそろ始める?」

  「うん……そうだね」

  私達はバスタオルを脱ぎ、スーツケースからトラのマスクを取り出し、顔に装着する。加えて、お尻の付け根に人肌用粘着テープでシッポを付ける。これで簡易な獣化は完了だ。本当は着ぐるみを持って来たいところだったが、さすがに大荷物になるので、この簡易な獣化セットで我慢した。

  「ガゥ……」

  大河がそう言って、ベッドの上で私を押し倒し、私の乳首を舐めてきた。

  「アンッ……ハァハァ……」

  大河は動物のように雑にベロベロと私の乳首を舐める。疑似動物プレイ……私も大河も動物になりきってエッチなことをする妖艶な一時。このプレイ中は動物の鳴き声を出さなければならないと二人で決めている。傍から見るとなかなかの変態かもしれないが、これが私達の幸せの形なのだ。

  「ガゥ、アゥ、ペロペロッ」

  乱暴に舐められるのが人間ぽくなくて逆に興奮する。私の鼓動は最高潮にドキドキしていた。マスクは特注のもので作っているので、顔によくフィットし、口の動きに合わせて開閉できる。トラの獣人が目の前にいて、私は襲われている、そんなシチュエーションの雰囲気が出せるのだ。

  「はむっ、ぺろぺろっ」

  大河は乳首からお腹、そして股間へと舐める場所を変えていく。大河は私の乳首を両手で摘まんで、刺激してくる。

  「アンッ! やぁっ! んっ……!」

  私は妄想と実際の性的刺激を一心に受け、ビクッ、ビクッと震わせることしかできない。

  「ぺろぺろっ、んちゅ、むはぁっ」

  大河は私のアソコを舐め始める。まずはクリトリス。舐めた指で円を描くように刺激して、クリトリスを勃起させてくる。とても気持ちがいい。

  「やぁっ、んっ、いいんっ、が、がぅ……」

  気持ち良く感じてしまうと、ついつい鳴き声にすることを忘れてしまいがちになる。

  「がぅがぅ」

  大河はクリトリスからさらに下に下がり、アソコの穴をペロペロと舐め始める。ゾクゾクと私の体は小刻みに震えた。私のアソコを指で触り、アソコから出てきた愛液を伸ばし、糸が引いているのを確認すると、大河は中指を挿入した。

  「あぁっんっ!」

  アソコに大河の大きな指が入ると、性感帯が刺激されて変な声が出てしまった。

  「がぅあぅ?」

  多分、大河は痛くないのか?と聞いていると思う。

  「がぅがぅ」

  私は鳴き声を出して、首を左右に振った。痛くないという意思表示だ。問題無いと判断した大河は、中指を入れたり出したり、まさぐってくる。

  「あぁ……にゃぁぁぁっ……!!!」

  間違ってネコの鳴き声を出してしまった。いや、トラもネコ科だからいいのか。私が感じた声を出していると、頃合いを見て、大河は人差し指もアソコの中に入れた。アソコが大河の指で満たされていく。性感帯を擦られるのはキモチイイ……。

  「はぁっ、はぁっ、あんっ、んっ、やぁー、あんっ!」

  大河が激しくアソコの中をまさぐってくる。私はアンアン声を漏らしながら、ゾクゾクと高まってくるものを感じている。

  「あぁぁぁ、うにゃぁぁぁぁぁ!!! イクイクイクうぅぅぅぅぅー!!!」

  「うほぉっ!!!」

  私のアソコから噴き出した潮が勢い余って大河の口の中に集中的に入ってしまった。

  「はぁはぁはぁ……だ、大丈夫……?」

  「げほげほっ……大丈夫……まさかこんな飛ぶとは思わなかったけど……あはは」

  少し休憩して、今度は私が大河を攻める番になった。

  「がぉ❤」

  大河は仰向けに寝てもらっている。私は大河の足元から忍び寄り、大河の胸元までやって来る。

  「はむっ❤」

  「おほっ」

  私は大河の乳首に齧り付いた。その後、優しくゆっくり舐め回す。

  「がぅがぅ❤」

  大河はこそばゆいのを堪えているような顔をした。それが面白くてもっと攻めたい気持ちになる。普段の自分からは考えられない行為だ。大河の乳首を一通り弄んだ後は、そのまま下がっていき、勃起しているおちんちんを下から上へとじっくり舐め上げる。いわゆる焦らしプレイだ。大河がビクビク感じているのを楽しんだら、本格的に大河のおちんちんを口の中に含み、レロレロと口の中で舌を震わせながら、唇でおちんちん全体を刺激する。

  「が、がぉぅ……!!」

  刺激が強過ぎたようだ。大河がベッドをバンバン叩き、イキそうという合図を送ってくる。このままイカれてしまっては困るので、私は口の中から大河のおちんちんを救出した。ビクンビクン波打つおちんちんを少し放置して、落ち着かせる。

  「がぉ……んっ❤」

  おちんちんが落ち着いたら、騎乗位で大河のおちんちんを下のアソコで食べていく。

  「やぁ……あぁんっ……」

  大河に指を二本入れられた時よりも、アソコが圧迫される。私が腰を上下に動かすと、肉壁と肉棒が擦れ合って、私の体の奥からとめどなく愛液が溢れ出てくる。そう、これは愛の儀式だ。

  「ガルル……うぅー!」

  大河が腰を起こし、私は抱き抱えられる状態になった。大河に胸をもまれ、腰でアソコを突かれる。

  「ひゃぁぁぁっ!! あぁっ!! んっ、んんっ!!」

  私は再び鳴き声で鳴くのを忘れ、大河のおちんちんのピストン運動に喘ぎ声を上げてしまう。ここはラブホテルではない。隣の部屋との壁の薄さは知らない。聞こえていたら恥ずかしい。しかし、どうせこのホテルに泊まるのは今日と明日の二日だけ。誰かに聞かれていても……問題無いと言えば問題ない気もする。

  「はぁっ、はぁっ、や、だ、ダメっ!!! いっちゃう!!! そこやばっ!! んあっ、え、はぁはぁ、あっ、らめ、そこらめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――!!!!!!!」

  隣人を配慮する思いはあったものの、結局、私は大きな声を出して絶頂に達してしまった。いつもと違うホテルの空気に感化されたこともあるかもしれない。

  「はぁはぁはぁ……」

  私は力が抜け、少しぐったりした。私の膣の中に、温かい大河の精液を感じる。子供は三人くらい欲しいと考えている。夫婦なので、特に避妊は気にせず、感じるままに一晩を過ごした。

  翌日、昨夜遅くまでハッスルしてしまったせいで、結構眠かった。

  「オハヨウゴザイマス。ゴハンハタベマシタカ?」

  マッキーが元気に話し掛けてきた。

  「あ、はい。食べました。ふあぁぁ~」

  思わず欠伸をしてしまう。人前で恥ずかしい……。

  「ソレデハ、キョウハコチラノガイドガアンナイシマス」

  そう言ってマッキーは別のガイドを私達に紹介した。現地でガイドが変わるという話は聞いていなかったが、そういうものなのかもしれない。

  マッキーが紹介してきたガイドはステルというガイドだった。ステルは細い体で肌もあまり黒くなく、いかにもひ弱そうだった。

  「コンニチワ。ヨロシク」

  ステルはマッキーよりさらに片言だったが、会話をするとこちらの言うことはなんとなく分かっているようだった。日本語が通じるならとりあえずヨシとしよう。

  ステルが運転する車は、昨日より一回り大きく、今度はちゃんと屋根も付いていた。万が一野生動物に襲われても車の中に入れば大丈夫なようになっているのだと思われる。

  「ソレデハミナサンオキヲツケテ」

  マッキーに見送られ、私達はジャングルに向けて出発した。

  「今日も暑いね~」

  「そうだね、体を冷やすスプレーとか持って来たよ」

  「わー! ありがとう、首筋に掛けて掛けて!」

  「あいよ!」

  私は大河にシューっとスプレーを掛けてもらう。車は窓を開けたまま走っているので、すぐに流れ去っていくが、ヒンヤリした空気を少し感じることができた。

  「あっ、そのペンダント早速付けているんだね!」

  「うん! 大河にプレゼントしてもらったし、可愛いから早速付けてるよ」

  このペンダントは良い新婚旅行の記念になったと思う。後は今日、野生のトラに出会うことができれば万々歳だ。

  車は町をドンドン離れていく。二時間ほど走ったところでようやく止まった。ジャングルの中に入る前の砂漠地帯で車を降りる。水分や貴重品はちゃんと持って行けということなので、リュックにいろいろ詰め込んだ。こんなに熱いと水分は特に重要だろう。

  「う、ちょっと重い……」

  「あんまり重過ぎると逆に体力消耗しちゃうから、車の中に置いて行った方がいいと思うよ」

  「うーん、大丈夫! 何とかいける!」

  いよいよ野生のトラに会える! 会えない時もあるようだが、何とかして会いたい!! 自分の夢を叶えるため、気合いは十分だった。

  「ソレデハイキマショウ」

  私達はステルの先導の下、ジャングルに入って行った。

  ジャングルは濃い緑だ。たくさんの生き物の気配に満ちている。人があまり深く介入してはいけないと思わせる神聖さがあった。舗装はされていないが、切り開かれた道がある。ステルに先導されてジャングルの中を歩く。

  「サイキン、リョコウキャクガショウシツスルジケンハシッテイマスカ?」

  「え?」

  歩いているとステルが私達に話し掛けてきた。ガイドが始まったのだろうか。

  「いや、初めて聞いた話だけど……」

  「ソウデスカ……ジャングルデハナニガオキルカワカリマセン。キヲツケテクダサイ」

  「はい……」

  気を付けろと漠然と言われても困る。一体何に気を付けたらいいのだろうか?

  「何で旅行客が消えちゃうんだろうね?」

  私は不安になってきた。

  「さぁ、理由は分からないけど……俺達は離れずに行動しよう、大丈夫だ」

  「うん、そうだね」

  大河は私の不安を拭ってくれる。安心して心を任せられるこの人と結婚して良かったと私は実感した。

  「今日はトラには会えそうですか?」

  私はステルに聞いてみた。

  「ウーン……ワカリマセン……」

  ステルはなかなか渋い返事を返してきた。

  もしかしてこのままトラに会えないまま日本に帰ることになってしまうのだろうか? 私はまた不安になってきた。

  「大丈夫だ。必ず会える! 一生懸命探そう!」

  「うん! そうだね!」

  私は大河の言葉に励まされた。

  トラを探してジャングルを進むこと一時間。まだトラは見付からない……というか哺乳類が見付からない。虫や鳥は日本では見たことがないものを見ることができて嬉しかったが、やはり一番の目的である野生のトラを見たいと強く願う。私は昨日大河に買ってもらったトラ型のペンダントを握りしめた。

  「ウーン……トラノカズハフエテイルハズナノデスガ……キョウハハズレカモシレマセン」

  外れ。それはあまり想定していなかった。高確率でトラと出会えると謳っていたのでこのツアーに申し込んだのだが、もし出会えなかったら詐欺じゃないか。いや、野生動物だから運が大きく作用することは理解している。しかし、ここまで来て会えないというのは悔し過ぎる。私は少し焦り始めていた。

  「アア、ソウダ。モシ、ヒタイニジュウジノキズガアルトラガデタラニゲテクダサイ。ソノトラハトテモキケンデス」

  「額に十字の傷があるトラ? 何がキケンなのですか?」

  「ソノトラハヒトヲタベテイマス」

  人喰いトラ。トラは肉食動物なので、人が食べられてもおかしくはない。しかし、まさかそんなトラがいるなんて……そんな話はツアー会社は言っていなかった。

  私はトラが好きだが、食べられたいという訳ではない。突然のステルの告白に、私も大河もビックリした。私の心が揺らぐ。もし人喰いトラと遭遇してしまったらどうしよう。そんな危険なトラに遭うくらいなら、このまま遭遇しない方がいいのかもしれない。しかし、野生のトラをこの目で見てみたいという子供の頃からの願いは早々簡単に消えるものでもない……。

  「心配するな。遭遇した時はその時だ。今は美奈の夢を叶えるために一生懸命になろう」

  「うん。ありがとう、大河」

  私は大河に元気をもらってばかりだと思った。

  ジャングルの探索は残り一時間となった。結構奥まで歩いてきたので、今は引き返しながら、周りの景色や生物を見て楽しんでいる。

  「グルルルル……」

  もうトラには会えないかもと諦めかけていた時、後ろから肉食獣の鳴き声がした。この鳴き声は間違いない……振り返るとそこには二頭のトラがいた。

  「オーマイガー!!!」

  今まで元気がなさそうだったステルがそのトラを見るや否や大きな声をあげ、一目散にどこかに走り去ってしまった。あまりにも素早い動きだったので、私達はステルを引き留める声を掛ける瞬間さえなかった。ステルが瞬間的に逃げた理由はもうわかる。一頭のトラの額には、十字の傷があった。つまり、私達はこのトラの餌になったという訳だ。しかしながら、襲われる恐怖はあるものの、長年願っていた野生のトラに会いたいという願いが今この瞬間に叶えられ、私はとても嬉しい気持ちでいっぱいだった。

  「やっと……見れた……」

  動物園のトラとは違って引き締まった肉体。威厳のある風貌。その凛々しい姿をとても美しいと感じた。

  「お、おい。美奈には指一本触れさせないぞ」

  私の前に両手を広げて、大河が前に出た。膝が震えているのが分かる。大の大人でも野生のトラは怖い。当然だ。でもその勇気が、私にはとても嬉しかった。

  「ガルルルル……!」

  二頭のトラは大河より私の方を見ているようだった。そして、私を見て何かに気付いたのか目を細めた。少しずつ間合いを詰めてくる。

  「お、おい。来るな! こっち来るなぁぁぁ!」

  大河が必死にそう呼び掛けてもトラは確実にこちらに向かってやって来る。私もどうなってしまうのかすごく緊張して、心臓がバクバクしてきた。

  「ガアァァァァァ!!!!!」

  今まで声を荒げなかったトラが急に吠えた。そのあまりの迫力と極度に緊張した状態だった私は、驚き過ぎて失神してしまった。

  「………美奈……美奈……!!」

  大河の声が聞こえる……!

  「ハッ!」

  私は大河の声で目を覚ました。

  「美奈! 良かった。意識が戻ったか。このまま意識が戻らなかったら、俺どうしようかと思ったよ」

  大河は私を抱き締めて泣いていた。

  「うん……大丈夫。私達は一体……」

  一体どうなったのだろう?

  周りを見てみたが、薄暗くてよく分からない。周りには土の壁がある……もしかして洞窟の中なのか?

  「大河、ここは洞窟?」

  「うぅ……嗚呼、そうみたいだ。目が慣れてくると分かる。情けないことに俺もビビッて気を失った後、トラにここに運ばれてきたようだ」

  「ここは……トラの巣?」

  いや、おかしい。トラが洞窟に住むなんて話は聞いたことがない。

  「ガルルル……」

  二人で話をしていると、目の前に額に十字の傷があるトラがやって来た。二人の目の前に大きな生肉の塊を落とす。まるで食べろとでも言っているみたいに。目の前にはトラが一頭。洞窟の出入り口にももう一頭が見える。一頭だけならまだ倒して逃げることができた可能性もあるが、二頭では太刀打ちできない、逃げられない。何故トラがこんな行動をするのか、全くよく分からなかった。

  「俺が最初に目が覚めた時もトラは俺達を監視しているようだった」

  「そうなんだ……」

  一体、トラは私達に何をしているのか。手荷物はすべて消えている。何故かポケットの中に入れていたものまでなくなっている。使えるものは何もない。助けを呼ぶこともできない。トラはカッコよくて好きだったのに……いや、今でもその姿を見て惹かれているのに……何故こんなことをするのか、理由を知りたい。私はそう思った。

  「ど、どうしよう、大河?」

  「うーん。俺にも良いアイデアは思い浮かばないが、トラは俺達を襲ってくる気は今のところないみたいだ。とりあえず様子を見よう」

  「そうだね……」

  二人で時々会話しながら、何かアクションが起きる時を待った。

  一日が経過した。トラはずっとお互いのポジションに突っ立ている。襲って来ないなら抜け出せるのではないかと思って近づくと、こちらに吠えられる。出してくれる気はないみたいだ。洞窟の奥は行き止まりで、トイレはそこで済ませるしかなかった。丸一何も飲み食いしていない。疲労が結構溜まってきた。昨日は思い切って寝たが、起きると得体の知れない生肉が新鮮なものに置き換わっていた。やはり、これを食えと言っているようにしか感じられない。

  「お腹空いたね……」

  「……そうだな」

  「それ、何の肉だと思う?」

  「分からない……でも、多分人間ではないと思う」

  床に置かれている生肉を食べるのはかなり抵抗があった。何の肉か分からないし、生肉は確実にお腹を壊す。私達は洞窟内に他の飲み食いできるものがないか探したが、無念にも見付からなかった。

  洞窟に連れ去られてから二日が経過した。何も飲み食いしていないので、もう体からは何も出ない。私と大河は空腹で頭がおかしくなりそうだった。

  「また新しい肉に置き換わっている。トラはどうしてもあの肉を俺らに食べさせたいらしい」

  「そうだね、そんな気がする……」

  「このままじゃ俺ら二人ともダメになってしまう。ここはもうアレを食べないか?」

  「そう……だね……かなり抵抗あるけど……」

  私と大河は何度も話し合い、最終的に、トラが置いていく生肉を食べることにした。二人で千切り合って何か分からない生肉を食べる。生臭い。攻めて塩でも振って欲しい。新婚旅行がまさかこんなことになるなんて。後悔が脳裏を過る。私も大河も泣きながら二日ぶりの食事を済ませた。

  生肉を食べたことで一時的にお腹は満たされたが、やはり腹痛が起き始めた。お腹が痛い。しかし、痛いのはお腹だけではない。全身に痛みがある。何か……体全体が一回り大きくなっているような気がした。着ている服がピチピチになっている。

  「はぁはぁ……」

  「はぁはぁ……」

  苦しい。その一言しか思い浮かばなかった。とりあえずは生きているが、ここは生き地獄かもしれない。

  その後も、トラ達は朝起きたら新鮮な生肉を置いていく。他に食べるものがないので、苦しみながらでも私達はその生肉を食べた。生肉を食べた数時間後、体がどうも変化しているようだ。薄暗さに目も慣れてきたが、自分達の体がどうなっているのかよくわからなかった。

  「……もう、一週間が過ぎてしまった。本来なら、旅行を終えていた頃だなぁ」

  「もうそんなに時間が……」

  生きているだけ有難い。私はただそれだけを考えるようになっていた。

  「おい、それを食べろ。置いていくぞ」

  「えっ……」

  ある時から額に十字の傷があるトラの言葉が理解できるようになっていた。

  「大河、今、トラの言葉が分かるように……」

  「嗚呼、俺も分かるようになっている」

  私と大河は顔を見合わせた。

  「そうか。我々の言葉が理解できるようになったか……お前達には使命がある。とりあえずその肉を食べろ」

  額に十字の傷があるトラは、鋭い眼光で私達を睨み付ける。私達は指示に従って肉を食べた。体が適応したのか、不思議と生肉を食べてもお腹は痛まなくなっていた。

  肉を食べた後、額に十字の傷があるトラがやって来てこう言った。

  「我は元々人間だった。しかし、我はワータイガーの神に選ばれた。そして、お前達もまたワータイガーの神に選ばれたのだ」

  あまりにも唐突過ぎる内容に私達は混乱した。

  「トラが元々人間? ワータイガーの神って何だよ! 俺達をどうする気だ?」

  大河が額に十字の傷があるトラに問い返した。

  「ワータイガーの神は人とトラを司る神だ。お前達にもいずれ分かる時が来る。ワータイガーの神はトラが減り過ぎたことを嘆いている。そこでこの世界のバランスを取り戻すため、外から来た人間をトラに変えることに決めた」

  まるでファンタジーの話を聞いているみたいだ。

  「そこの女は神に選ばれた印を持っている」

  そう言って、額に十字の傷があるトラは私のペンダントを前足で指した。

  「えっ? これ?」

  「その印は、神が選んだ者にしか渡されない」

  私は驚いたが、そう言えば買った時、店の人に何か分からない言葉で何か言われたことを思い出した。

  「神が選んだ使命は絶対だ。抗うことはできない。我もそうだった……」

  ここから額に十字の傷があるトラが現在に至るまでの話を聞かされた。このトラも元々は海外旅行者だった。夫婦で旅行に来て、私と同じペンダントを手にしたことで私と同じような体験をした。出入口付近にいるトラは奥さんだという。この洞窟はワータイガーの神が宿る神聖な場所で、ペンダントを持っている人以外は入れてはならないという神からの神託があった。ある時、この中に入ろうとした人間がいて、追い返そうとしたが抵抗されて、仕方なく殺す羽目になった。額の十字の傷はその時に付いたものである。長年この洞窟を守ってきたが、私達と出会ったことで、交代の時期が来たという。ちなみに、このジャングルの別の場所でも同様のことが行われていて、結果、トラ化した人が増えているという。

  あまりにも無茶苦茶な話だったが、話を聞いているうちに、その神の存在を感じられるようになり、この場所を守らなければならないという気持ちが自然と増してきた。話を聞いた後、洞窟の外に出ることが許され、自分の体を見ると……体が二回りほど大きくなっており、服はあちこちビリビリに破れていた。体のあちこちにトラの毛が生えてきており、爪もトラのように鋭くなっていた。お尻の付け根から少しシッポが生えており、動かすことができた。顔は少しマズル化した鼻先が伸び、耳も少し頭の方に場所が移動していた。トラ化している自分達の体を見て、私と大河はすごく驚いた。しかし、トラ化することを受け入れている自分達もまたいた。私は子供の頃から動物になりたいと思っていたので、この状況を嬉しく思うことさえあった。これが心理的な変化なのか本心なのかは、最早分からなくなっていた。

  「大河……いっぱい子供産もうね」

  「嗚呼、そうだな」

  十字傷のトラと一緒に暮らすうちに、私達はこの生活に馴染み始めた。子供は自由につくってもいいというので、私は大河とのセックスに精を出した。

  「今日はどういうプレイをする?」

  私の体は日々、人間からトラに変化していく。毎日体が変わりゆく中でセックスするのは全く飽きが来なかった。

  「そうだな、シッポを使おうか」

  「分かったがぅ!」

  もう着ぐるみは要らない。私自身が着ぐるみのようなものだ。私はシッポで大河のおちんちんを巻き付け、上下にしごく。

  「あぁ、いい、キモチイイ……」

  不思議と性的な刺激には強くなり、より長い時間快感を楽しめるようになっていた。

  「ふぅ……次は俺の番だな、美奈」

  大河はそう言って私を押し倒し、私のシッポをぐいぐい引っ張る。シッポの付け根が刺激されて体がゾクゾクする。大河は私のシッポを持って、そのまま私のマンコにシッポを挿入する。

  「やぁんっ!!」

  私はセルフシッポオナニーをする形になった。しかし、それだけでは終わらない。

  「入れるぞ……」

  「うん……」

  私のシッポを挿入した状態で、さらに大河がおちんちんを挿入してくる。

  「あぁっ!!」

  私のマンコの中は自分のシッポとトゲトゲが生えた大河のおちんちんでギチギチ状態だ。この状態で腰を振られると、マンコとシッポを同時に感じちゃっておかしくなりそうだ。さらに、大河は耳をザラザラとした舌で舐め、手の肉球で私の複乳を撫で回す。まさに全身の性感帯を同時に攻められている状態だ。

  「いやぁぁぁぁぁっ!! はぁはぁ……あんっ、がぉっ! あんっ!!! はぁはぁ!!」

  トラの交尾は短いはずだが、中途半端に人間とトラの姿が混じっているせいで、いくらでもセックスを続けられることができた。

  「そろそろ最後の段階だな、さぁ、その肉を食べなさい」

  私は十字傷のトラから餌をもらう。一緒に生活している中で、餌の狩り方も学んだが、やはりベテランの方が大物を仕留められていた。私達が完全なトラになったら、この場所を任せるという。その時が来たらまたペンダントを持つ者と出会うから、その時はこの洞窟に連れてくるといいと言った。それが交代の合図だそうだ。しかし、トラを増やしている現状なので、交代の時期は案外早いかもしれないと言った。交代後は、トラとして自由に暮らせばいいとのことだ。

  私達は生肉を食べた。この洞窟内で生肉を食べることが、人をトラに変える条件だった。私達は生肉を食べ終えると、すぐにセックスを始めた。これでもう人間味のある体とはさよならだから。

  私達はキスをした。ヒゲがさらに長くなった。大河が私の元乳を舐めた。私の元乳は人間時の膨らみを失った。私は大河と手を繋いだ。指が太くなり、指を絡めることができなくなった。大河が私の髪を口に咥えた。私の髪は次第に体を覆う獣毛の長さと等しくなった。私はほぼトラの姿で、何とか騎乗位を試みた。しかし、骨格的に難しく、結局四つん這いの姿勢でフィニッシュを迎えることになった。

  「おめでとう。それでは、ここの守りを頼んだ」

  私達が一人前のトラになった時、十字傷のトラ夫婦はそう言ってどこかに去って行った。

  季節が巡って私達の子供が生まれた。生まれてきたのはトラだった。人間の頃の記憶は失われていないが、トラとして暮らしていても心身的に問題なかった。むしろ、トラになった大河はとてもカッコよかった。大河もこの運命を受け入れているようだった。私達は子育てをしながら、このワータイガーの神が宿るこの洞窟を守る。いつか私と同じペンダントを持つ誰かが現れるまで。

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