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一つ断っておくことがある、、、、、孝之助は実は"とらっぷ"も名人芸....な訳が無く
戦という物に関して、これっぽっちも幻想は抱いていない、、、、殺るか殺られるか
そういった事態を回避する為の労力は惜しまないが、、、殺ると決めたら躊躇しない
だから、、、、
あの大狸が独りで此処に向かって来た時には、正直、、、驚きと呆れ、、、
...此処が判ったのは大したもんやと褒めたってもいいけんど、、
独りっちゅうのは、、無謀ちゃうんか
或いは、、こういった密林戦に余程に自信が有るのか、、、
真っ当な手順は、、、、正面は目立った動きを見せずに、、
外から二組の隊を組んで、両側から押し包むように捜索しなければ成果は上がらない
独りで探しに来た場合、、、こちらが完全なダンマリを決め込んだら、、、
後は探す側が消耗するのみ、、、迂闊に外へ戻れば、、それは的になるという事、、、
だが、、戦場でのあの動き....兵法を知らぬ訳では無いだろう、、、
となれば、、、何故、真っ当な手順から外れた行動を...?
其処に興味を惹かれてしまった....当初はそのまま村に帰って、あの大狸に無駄足を踏ま
せるつもりだったのだが、
「こうふぁん(孝さん)、
ほれふぁらどふるふぉ(これからどうするの?)」
非常食として、食堂のまりちゃんに試作してもらった"ふらんすぱん"を頬張りながら若虎が
訪ねてくる
「はは、ホントはこのままトンズラするつもりやったんやけど、
あのあんちゃんに、どうも興味湧いてもうて、、すまんねぇ」
あちらが闇の中、食事も取らずに必死に痕跡を追跡しているというのにのんびり夕飯という
舐めきった行動を、、、、だが、、
「でも、、ホントにこんな事してて、、、
俺たち、、、命のやり取りしているんだよね?」
"ふらんすぱん"を飲み込んで、若虎が尋ねてくる
「宗、、、おまさんも後々の事考えたら覚えておかなあかんよ
戦の勝敗を決めるのは、最後は兵站なんよ....
判りやすう言うと、、まあ、"腹が減っては戦はできぬ"や
最初は、、勢いや気合や才覚やらで、、無理が効くねんけど、、、
其処でずっと踏ん張ろ思うたら、どないな時に"食うて寝る"か
それを真面目に考えんかった奴は退場するしかないんよ......
これ、うちの大叔父様の受け売りやけどな」
不意に遠くから、炸裂音が、、太犬が遠眼鏡を向け
「ああ、、又引っ掛かっとる、、、あんなんに掛かっとるなんて、よっぽど疲れてるんやな」
遠眼鏡より映る光景は、、件の大狸が"とらっぷ"にかかって毛皮を焼かれている光景、、
闇の中でも目視出来るようにと、小規模ながら火が上がる仕掛け、、"火薬"の匂いを頼りに
追跡してくるだろうと予想して、、敢えて火薬の"とらっぷ"を置いていったのだが、、
まさか、こう何度も引っ掛かるとは、、、
火薬の発火で鉄片が飛び出るのは見せかけで、
本命はその熱で気化する神経毒というえげつない代物
一回で死に至る物では無いものの、あれだけ何度も浴びれば神経毒の作用でとっくにへたば
っている筈なのだが、、あの体格で効きにくいのか........
ふと思い直して遠眼鏡で見直してみると....大狸と火の位置を確認して
「宗、、先に寝とき、、、二刻たったら起こしたる」
「え、でも、、」
「ちょっと気になる事があるんや、、、
場合によっちゃ、、おまさんの出番かもしれん、、
だから、先に休んどき...」
そう笑顔で促す太犬に
「じゃあ、、その、、おやすみ、、、」
取り敢えず横になって目を閉じる....
[newpage]
大狸がクナイを投げ込むと、
匂いの元が発火して、鉄片が飛び散り、火で照らされる
「気に入らねぇ.....」
最初に探しに行った方向に気配は感じられず....諦めるか、反対側を探してみるかと、夕刻前
の射撃地点に戻った所で、火薬の仕掛けに出迎えられ........鉄片を浴びてしまう
不発だったのか、、そう大した量の鉄片を浴びずには済んだのだが.....
そして、火薬の匂いを頼りに辿った先で....今度こそ"最後"かと覚悟したが、またしても....
その後と今回は、同じ仕掛けである事を確認する為にクナイを撃ち込んで確かめたもの
安直に考えれば、
...案外、こういう事に関しては、素人なのか?
だが、何か引っ掛かる
...そもそも、、なんで自分はこうも必死になって・・・・・・・・?
そう、、、元の射撃地点には最初、何も残されていなかった、、、自分が戻るまでの間に仕掛
けられた物...."まだ近くに居る"........そう考えて慌てて反対側を探り、今居るこの獣道と
この仕掛を見つけて、其れを辿り、、、
...まさか.....この獣道に誘い込まれた!?
もしそうだとしたら、この先にはもう................
明日の朝に戻らなくては完全な逃亡と見なされる可能性が高い、、
また、あの凶弾の前に身を晒さなくてはならないのか....そんな思いに今日、何十度目となる
奥歯を噛み締める....
だが、
...まだだ、、もし相手が既に此処から逃げているとしたら、明日の朝、自分がまだ此処に
居る事を知らないで狙撃を始める可能性がある...其処を後ろから抑えられれば....
その為には、、
...地の利はまだ向こうにある
狙うなら狙撃から次の狙撃へ移動する途中から追跡しないと、、、、
明日の朝が勝負、、そう腹をくくると大狸も寝始める
優しく揺り動かす手で若虎が目を覚ます
「、、、孝さん...?」
「ちょっと考えがあるんや、、明日の朝なんやけど...アレ準備してくれへんか
後な、、、、」
太犬の話に
「そんな、、、孝さん
危ないよ!」
若虎が反対するが
「せやけど、、このまま何もせんでいたら、
もしもの場合、二人共あのあんちゃんに殺られてまうかもしれん....大丈夫やよ
もう諦めて居なくなっとるかもしれんし、、念の為やて..」
安心させようとするも若虎は納得してない様子で
「でも、、、、」
「多分、、あの仕掛け、一回は食ろうとる筈や...動きは鈍っとると思う
うちらにしても、相手するなら明日が勝負や、、それ以上此処で動き回られたら
うちらが待ち伏せされる可能性が益々高なる」
キッパリと若虎に言い渡し、そして、、表情を少し緩めて
「な、、頼むよ...宗」
「....判ったよ、、、」
[newpage]
...畜生、、、身体が重ぇ......
朝、目覚めてから、身体のだるさを自覚する
...昨日の夜から妙な感じはしてたが、、、、
てっきり疲れのせいかと思っていたら、あの仕掛け...そういう事か
単に陽動だけと思っていた昨日の仕掛けの本当の狙いを思い知る
...身体を痺れさす毒か、、、あの銃にしても、、まったく
えげつねぇ事してきやがるな、、油断も隙もあったもんじゃねぇ
だからこそ、、
...こんな相手に、そう何度も"まぐれ"は期待できねぇよな....
万全とは言い難い体調だが、、幸いにしてまだ動けるのは恐らく自身の体格のお陰、、、
だが、一度激しく動いてしまったら、、、恐らく次は......
不意にそんな思考が中断される.....聞き覚えのある"銃声"
続いて、もう一発、、、音の方角を確かめると
ゆっくりと大狸がその方向へ慎重に歩んでいく
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...孝さん、、、、大丈夫だよね、、、
若虎が一人物陰に潜んで様子を伺う....手綱街道を見渡せる場所、三箇所に仕掛けておい
たのは、一定間隔で"銃声"を鳴らすゼンマイのカラクリ、、一刻ずれて銃声が鳴るように仕掛
けて自分は完全に離れた所で身を隠す、、、後は太犬に任せるのみ....
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音の大きさと方向から、次に来るのはこの辺りかと見当をつけて、身を隠していた
...まあ、向こうも真っ直ぐ来てくれるとは限らないしな
先程も、、銃声がこちらに近づいて来たかと思えば、又、銃声が離れた所で....
このまま銃声がした方向へ近づく事も考えたが、、
...焦ったら、負ける....
槍を地に置いてじっと待つ大狸......
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茂みの中、太犬も又、、焦燥感が募ってくる
...もし、、あのあんちゃんがもうとっくに向こうに行っていて、あの"銃声"が鳴る仕掛け
を調べていたら....逆手に取られてまうかもしれへん
向こう側へ行くには、此処を通るしかない
だからこそ、あの銃声が鳴る仕掛けを向こう側へ仕掛けて、此処を通る大狸を仕留めるつもり
だったのだが、、
...夜の間に向こう側へ行っとったら、全部台無しや、、、
もしかしたら...もう諦めて、この林の中には居らんかもしれんし、、
だが、
...あっちもそないな簡単な相手やあらへん、、、
そろそろ、もう一つ、、此れで動くかどうかや、、
焦る自身を諌めて周囲の気配を伺う
[newpage]
再び銃声が鳴る....今度は、、、
...な!すぐそこ!?、、、いつの間に?
槍を置いて、慌てて銃声の方へ駆け寄ろうとするが、、
...いや、、もし、誰か来てたのなら見逃す筈が、、、
仮にも忍者、、此処で張っていてまんまと相手を見過ごす様な事は無いという自信はある
...しかし、、、、一体....?
再び周囲の気配を探ると不意に、、、茂みの中から僅かにガサリと音がして、、目にしたのは
短銃の銃身、、、
...そういう事か、、どういう仕掛けかまでは判らねえが、、、あっちが囮で、、、
こっちが本命か!
距離は六丈(一八めーとる)、、、クナイを投げれば一撃の距離、、、だが、、、
...まだ、殺したくないなんて、全く....甘いな、俺も、、、
だが、この場合、、其れが幸いする....飛びかかろうと慎重に相手を見定めて近づいてい
く内に、、違和感が確信となる
...違う!、、コイツはカカシだ!!
落ち着いて見定めれば、人影かと思ったものは毛皮を被った人形、、カラクリ仕掛けで動かさ
れたモノ、、、慌てて腰を浮かせてしまい....
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...な!近い!!此処まで近づかれていて気が付かんへんなんて...
太犬が慌てながらも、身体に染み込ませた動作で連発銃(りぼるばー)を向けた先は
距離二丈(六めーとる)の先の大狸、、、、
元より、本職(忍者)相手にまともにやり合えるつもりは無かったが、、、
これだけ策を講じて尚、この近くまで、、、
...せやけど、、この距離なら外さへん!!
こちらを視認する前に全弾撃ちこむつもりで引き金を....
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視界に捉えるまでもなく、鋭い殺気が背中から伝わって来た
...くっ間に合わねぇ!
一か八かのトンボ返りで中を舞い、、、初弾と二発目を躱して、、、逆さに向いて捉えた太犬
の姿に、、予想外の相手に少し躊躇するも....そのまま蹴りを狙う
...怪我さしちまうかも知れねぇが、勘弁してくれぇ!
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あの大きな身体が中を舞う姿に意表を突かれ、、最初の二発を外し、、、
...く、、、こんな弾や、あのデカブツ止められへんど
宙に舞った以上、、相手の動きは完全に読める、、、しかし恐らく二発当てた所で相手の蹴り
が決まるのは最早避けようもない、、、その二発で致命傷を与えられるかどうかも....
だが、、
...まだや!!
上の大狸では無く、足元に弾を撃ち込むと.....周囲の火薬が弾け一丈(三めーとる)の大穴
が姿を現し、、、宙を舞っていた大狸が
...なにー!!
為す術もなく太犬と共に穴の中へ.....
[newpage]
派手な音を立てて二人が底へ落ちると共に、天井の穴に鉄の格子がガチャンと閉まる音が、、
「つ、、、うぉ!」
飛び込んだ時の勢いの差か、、大狸が先に底へ尻餅を着いたその上に太犬が落ちてきて...
生来の人の良さが出て、咄嗟に受け止めてしまう
「.....すまへんね」
「あ、、いや、、」
大狸の腹の上に受け止められる形で顔を会わせる事となり、互いに何とも言えない雰囲気に
「あんた....何者(モン)だ?」
忍者の性、、、というよりも素朴な疑問から尋ねる大狸に
「...通りすがりの商人言うても、信用してもらえへんやろね.....」
頭上から覗きこんでくる大狸に苦笑いしながら太犬が答える
「全く、、、どの口が言うか、、、って、コラ!」
ちゃっかり自分の手から逃げ出そうとする太犬を捕まえると、着物を掴んだ手に違和感が、、
「ちょ、、ちょっと着物脱げ!」
上から押さえつけて太犬の着物を脱がそうとする大狸に
「いや~!犯されるぅ~」
全然、、緊迫感の無い叫びが、、、
「本当にもう、何も隠して無いんだろうな....?」
仏頂面で睨む大狸の前に居るのは、、
褌一丁に剥かれて後高手小手縛りされてちんまり正座している太犬と、、、数々の装備品
クナイ対策の"胴"に、連発銃(りぼるばー)二丁、、他にも怪しき丸薬等が、、、
流石にもう観念したのか、、、ソッポを向いてチッ、と舌打ちして
「何とか一発みもうて殺るつもりやったのに、、全然隙あらへんかった...」
珍しく肩を落としている様子からして、、、どうやら本当に打つ手が無くなったのか....
「あのな、、、」
先程までの大立ち回りと此処での一悶着で、身体の痺れに加えて頭痛までしてきた大狸は、
...こんなのに殺されたら、親に会わせる顔がねぇ、、、、、
と頭を抱えたくなる衝動を抑えて、
「ほら、、、、此処出るから、開け方教えろ」
と穴の上の格子を指さすと、、、
「そんなもん、あらへんよ」
と太犬が素っ気なく返す
「おい、、いい加減諦めてだな、、、、」
「中から開く罠やったら、逃げられてもうやろが」
今度は大狸を真っ直ぐ見据えて言い放つ
「何を馬鹿な、、だったらどうして自分も一緒に落ちたんだよ...」
狼狽を隠して問いかける大狸に
「本物の忍び釣るには、本物のエサ(自分)使わんとなぁ」
ニィと返す
大狸の太い腕がスッと伸び、太犬の喉元を軽く締め付けて
「もう、、ふざけている場合じゃねぇぞ、、、
いい加減、此処からの出方を教えないと....」
その先の言葉を躊躇う大狸に
「中から開ける方法は、本当にないんよ、、、」
締め付けられて顔を少し歪ませるも、真っ直ぐに視線を返してくる太犬に、、、それが嘘では
無い事を知る
「だったら、あんたの仲間に、、、」
「戻って来る時は、村の腕自慢を連れてくる、、、そういう段取りや」
間髪入れずに返る答えに、自身が目の前の太犬の策に落ちた事を思い知る
「く、、、」
このまま力を入れて、この小柄な太犬の首をへし折りたくなる衝動に駆られるも、
固まったまま、、ふと、、脇に置かれた装備の中、連発銃(りぼるばー)に目が行き....
銃声が穴の中から鼓弾(こだま)した......
十二発目、、、2丁目の連発銃(りぼるばー)の最後の弾が、天井の格子の同じ箇所を狙うが
「ちくしょう、、、、、」
壊すのは無理でも、せめて格子が少しでも歪んでくれれば、どうにか、、そう思って格子の付
け根を狙って撃ってみたが、、そもそも銃の類が不得手な大狸が狙っても、同じ箇所に当って
もくれず、、最後の弾も格子に虚しく弾かれる.....
「あんちゃん、、下手やな...」
流石に正座は疲れるので、、、足を崩してボソリと呟く太犬に、ムッと睨む大狸、、、
「こんだけ色々隠し持ってるのに、此処から出るのに使えるモノ無いのかよ、、」
半ば自棄糞で返す大狸に
「忍びやったら、普通そういうもん持ち歩いとるんでないの?」
素朴な疑問形で返す太犬に..........一時の間の後、
「どうせ俺は忍びの落ちこぼれだよ!!」
魂?の叫びを返す大狸、、、、、落ちた時、自分共々大狸も眠らせてしまおうと忍ばせていた
丸薬を使う間も無く取り上げられて、"このままやと逃げられてまう"と内心焦っていた太犬は
...忍びって、思うたのやけど、、、ホンマは違うんちゃうか....?
と何やら拍子抜けして、、、自分が殺される事も覚悟していたのが何だか....
だが、大狸の次の行動に、、、、
「ちくしょう、、、、、」
手が傷だらけになるのも構わずに、クナイで格子の根元の岩を削ろうと試みる、、、、だが、
そんな事で、この自然の岩を利用した"石牢"が簡単に開けられる訳もなく、、、クナイを持つ
手が傷だらけになるのも構わずに、、、、
「なあ、あんちゃん....迎えに来る村の腕自慢って、強者やけど、、、うちみたいなヒト
デナシやないよ、、、あんちゃんが大人しゅうしとれば、命まで取られへんって...」
大狸の必死な様子に思わず、、、だが、大狸は止めようとしない、、、やがて....
「つ、、、」
必死に格子の近くの岩にしがみついて、クナイで岩を削ろうとしていた大狸だが、、、、
体の痺れがそれを許さず、とうとう滑り落ちてしまう....
「体、、、痺れとるんのやろ、、そのままじっとしとったら毒も抜けてくけど、、、
これ以上無理したら、、後遺症残るかも判らんのやで」
自身の格好も忘れて、、、太犬が諭す様に声をかける....それでも再度登ろうとした大狸
がやがて、、、諦めて顔をうなだれ両手で地を掴み肩を震わせる
「ちくしょう、、、、、ちくしょう、、、
俺は、、今日、どうしても戻らきゃならなかったんだ、
死んででも、、」
こちらも見ずに返ってきた言葉に
「何言うとんねん!
あんなの(天壊)に忠義立てして、どないするつもりや!!」
思わず声を荒げると
「弟が、、俺が逃げた事になったら、、、弟が咎を受けちまう、、、
そしたら....どうやって親父やお袋に顔を合わせりゃいいんだよ
探す為にって、幕命に従ってたのに、、、俺が弟を、、、」
俯いたまま涙を流す大狸に
「なあ、、良かったら訳聞かせてもらえんかな...?」
[newpage]
夕刻、、手綱街道の外れにて、、、、
「なあ、あれ、、箏雪の旦那じゃねぇか?」
戻らない箏雪らしき武者が倒れているとの知らせに、、、顔を知っている者たちが、その場所
へ探しに行くと、、、見覚えのある甲冑を着た武者が.....
倒れている姿を認めて近づくと....大きな血だまりが、、、
「ひ!」
一人が腰を抜かして、、動けなくなっていると、、、もう一人が
「だらしねぇなぁ....テメエは其処で見とけ
まあ、、こりゃ、生きていねぇよな、、、箏雪の旦那
さて、、もう死んじまったんだ、、せめて手間賃位は貰っても罰は当たらねぇよな」
そうして箏雪と思しき武者の遺体から、金目の物を掠め取ろうと身体に触れた所で、、、
ガチリと仕掛けが外れる音がして、、、武者の身体が爆散した
「ぎゃあああ!」
遺体に触れた者が顔を焼かれて転げまわり、腰を抜かして居た者が
「うわー!」
ときた道を一目散に戻っていく
茂みの影で、
「あの、、、あの人、大丈夫なんですか?」
若虎が顔を抑えて転げまわっっている破落戸を見て
「大切な"生き証人"殺す様な真似せんて、、、
吃驚して大怪我負うたって勘違いしてるだけや
まあ、"あの体"はきっちり燃やしてまわんと、色々面倒やからな」
と太犬の視線の先は、、朝は自身の影武者として、、、、そして今、箏雪の遺体の"影武者"と
して燃やされている箏雪の衣服を身に纏った毛皮の人形....山でとった獣の内蔵と、火薬
を詰め込まれ、今こうして遺体を演じてもらっている訳であるが、、、
「此れで、、箏雪さん、、"戦死"ってなりますよね?」
「まあ、、細かい所色々調べられてもうたら、、ボロ出てまうかも判らんけど、、、
取り敢えず、、、問題無いやろ」
はぁ、、と溜息をつく太犬に
「どうしたんですか?」
「いや、、又、、面倒事抱えてもうたと思うて、、、」
ぷぷっと若虎が吹き出して、、
「何やねん、、?」
「だって、、孝さん、いつもと同じじゃないですか」
......後日、、孝之助達の努力?が実って、、
"箏雪"は戦死の上、、遺体は敵によってバラバラにされたとの報告が上へされた
との話が伝わってきた
昇月村、、、、
大狸が目を覚まして目にしたのは、茶色の天井、、、
...あれ?、、此処、、あの落とし穴じゃない...?
体を起こそうとするが、思うように動いてくれない、、、そうしてモゾモゾとしていると
...あれ?布団??
そうこうしている内に
「あんた、目が覚めたのかい?」
と声を掛けてくるのは、金色の毛の猪の女傑、、、
「此処はその、、何処でしょうか?」
と幾分呑まれ気味で殊勝な言葉遣いで質問する大狸、、、するとケラケラと笑って
「何処って、、あたしの食堂って言っても知らないだろ?
あんたが知りたいのは、、天壊か昇月かって事だったら、、聞くまでもない気もするんだけ
どねぇ.....
あたしは織部八千代、、この昇月村で食堂やってるモンさね、、
まあ、あたしの事皆が『おかん』って呼んでるけどね、、、あんたも呼びたい様に呼びな」
豪快に笑う女傑に、、久しぶりに人心地という物を味わって....
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