虎退治に出かけて返り討ちにあった俺は、幼い少女と共に虎のメスへと堕とされていく(1)
※注意※
・肉食獣相手なので、流血描写があります。
・主人公(主な被害者)は中年男です。
・幼い少女が獣の被害に遭う描写があります。
・野生の獣なので、排泄等の描写があります。
以上ご了承の上お楽しみください。
[newpage]
「本当に、このあたりなのか?」
俺が尋ねると、案内役の村人は神妙な顔で頷いた。
ここは中国内陸部の山村。
俺はここへ、一年前から巨大ダム工事の技術監督として日本から派遣されてきていた。
正直、来る前はどうなることかと思っていたが、現地の労働者たちは温かく迎えてくれたし、噂で聞いていたよりもみんな真面目で、勉強熱心な気の良い連中ばかりだった。
とはいえ、苦労が何もなかったかと言えばそんなことはない。一番難儀したのは、言語のことだ。会社で取引をすることも多いため、以前から基本的な中国語は身につけていったものの、この地域は訛りが強く、なかなか聞き取りができず困ることも多々あった。
しかしそれも、滞在が長くなるにつれて次第に慣れ、今では問題なくコミュニケーションがとれる程度にはなった。反対に、上海支社の社員へ経過報告を行うたびに「だんだん田舎臭い喋りになってきたな」と笑われるようになってしまったが。
ともかく、言語が通じるようになると、ますます仲は深まる。
半年もする頃には、オフの日には村内の集落に招かれて、宴会に参加するようになった。
「ボク、いつか北京で働きたいんです」
「オレは監督の会社がある日本で」
若者たちが夢を語る姿に、俺は胸を熱くした。
二年間の担当契約が満了するまで、あと一年。それで帰国しなくてはならないのが、惜しいくらいだと思っていた。
ところがそんなある日、労働者たちが突然一向に現場に現れなくなった。
労働者たちをまとめる現地の派遣業者が報酬を出し渋っているという不満は、村人たちから何度か聞いていた。ストライキ計画が噂されていたこともあり、俺たち技術者はしばらく放っておくことにした。俺としては労働者たちに同情する気持ちも少なからずあったし、何より異国の地で労使の争いに巻き込まれるのは、厄介な話だ。対応次第で国際問題にも発展しかねないし、なるべく関わり合いにならないに限る。
だが、さすがに一週間を過ぎたあたりで上海支社の方から工期の遅れを心配されるようになってきた。
連絡を取ってみようかとも考えたが、深い山中の彼らの村には、まだろくに電話もネットも通じていない。一応スマホを持たせてある代表者にテレグラムで状況はどうかと尋ねてみるものの、要領を得ない回答しか返ってこなかった。もしかして、問題は労使の方じゃなくて、俺たちとの関係なのか? しかし、考えてみても心当たりはない。つい二週間前も、仲良く夕食を囲んだばかりだったのに。
仕方ない。直接、行ってみるしかないか。
そう思って彼らの集落を訪ねていくと、意外にも労働者たちは俺を快く出迎えてくれた。
俺はとりあえず、互いの関係がこじれたわけではないことに胸をなでおろしたのだが、ではどうしたのかと事情を尋ねてみたところ、彼らはにわかには信じがたいことを言い出したのだった。
「……つまり、野生の虎が、子供を攫っていったと?」
この村に住む十歳の少女が、学校へ行く途中の山道で、突然現れた野生の虎に連れ去られたというのだ。
以来、村民たちは虎の襲撃を恐れ、村から出ようとしなくなったのだという。
「なにかの間違いだろ? 虎なんて、この国じゃほとんど絶滅してる。残ってんのだって、もっと寒い地域の話じゃないか」
だが、たしかに少女が連れ去られるところを、村人が見ていたというのだ。
慌てて軍隊や警察に退治を依頼するも、こんなド田舎の一人や二人の被害者では動けない、とロクに取り合ってもらえなかったらしい。
以前にも、行方不明になった村人の捜索を願い出ても断られるということがあったという。役人には聞かせられない、と言いながら口々に不平や不満を漏らしていた。村人たちの不信は、相当根深そうだった。
「酷い話だな。これが都市部の話だったら対応が違うってのが、嫌なとこだ」
それはそれとして、このままではいけない。軍や警察が頼りにならないなら、自分たちで何とかしなければならない。
しかし、村人は揃いも揃って完全に怯えていた。彼らにとっては、虎は特別で、神にもなり、悪魔にもなる存在らしい。今回の虎は、人を襲う悪魔の虎だと言って、すっかり恐れ慄いていた。どことなく、アイヌのヒグマに対する信仰に似ている。
その気持ちを[[rb:無碍 > むげ]]にするつもりではないが、こちらとしてはホントにいるかどうかもわからない虎にビビって働けないなんて言われても困ってしまう。工期が遅れて責任を取らされるのは俺達の会社だ。
「しょうがないな。……じゃあ、その悪魔の虎とやらを、俺が退治してやったら仕事ができるんだな?」
俺が言うと、村人たちは目を輝かせて喜んだ。
会社の仲間からは危険だからよせと忠告されたが、俺には考えがあった。それほど危険を冒さずとも、問題は解決できる。そう思っていた。
そんなわけで、俺は今、村人たちに案内され、問題の山道を進んでいるのだった。
「ここだ」
案内役の村人が、林の奥を指さした。
そこには、横倒しになった倒木と、踏み荒らされた草の跡があった。
「ここで、[[rb:玲玲 > リンリン]]は襲われたんだ」
倒木の周りには、血痕も残っていた。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]って、それが攫われた子の名前かい」
「ああ、そうだ」
「なるほどね。じゃ、あとは俺に任せろ」
そう言って、俺は用意してもらったライフルを片手に、痕跡を頼りに森の中へ足を踏み入れた。
「気を付けて!」
俺の背中へそう呼びかけて、村人はみんな一目散に逃げていった。
——まったく、意外と薄情じゃないか。これじゃ役人たちのこと、言えないだろ。
俺は苦笑いして、歩みを進めた。
正直なところ、退治をするつもりはなかった。そもそも虎がこの辺りにいるなんて、これっぽっちも信じていなかったのだ。
おおかた、他の熊がなにか、別の動物に襲われたのだろう。それにしたって、本気で戦おうと思うほど俺も馬鹿じゃない。俺の考えた作戦は、こうだった。
しばらくそのへんを歩き回ってから、村人にバレないように上海へ飛び、そこで何日か身を潜める。そして、適当な虎の毛皮でも買って、退治した虎のものだということにして村へ戻る。こうすれば、むやみに危険なことをせずとも、村人たちの不安を解消してやれる。
気がかりなのは攫われた[[rb:玲玲 > リンリン]]とかいう娘だが……気の毒だが、既に生きているとは思えない。いずれにしろ、助け出すことは不可能だ。あとで、せめて遺族に見舞いの花でも送って、手でも合わせてやろう。
「さて、それじゃそろそろ森から出るか」
あたりに人の気配がしなくなったところで、俺は来た道を引き返しはじめた。いつまでもこんなところをウロウロしているわけにはいかない。
その時だった。
「っ!!な、何だ!?」
突然、目の前に大きな影が飛び込んできたのだった。何かが近づいてくるような物音は一切感じなかった。本当に、いきなり現れたという感じだった。
そして、現れたものの姿を見て、俺は全身を凍りつかせた。
「嘘だろ…」
目の前に現れたのは、紛れもなく虎だった。しかも、巨大な。
「あぁぁあ!!」
大慌てでライフルを構えた。が、慌てて構えたために銃口がぶれて、発射された銃弾はあさっての方向へ飛んでいってしまった。
それからは、一瞬の出来事だった。
「うわっ、ちょ、やめっ!うわあっ!」
虎に飛び掛かられた俺は、あっという間に押し倒された。
「あっ、ちょっと待て!やめっ、やめろぉっ!!」
必死にもがくが、三メートルはあろうかという巨躯に押しつぶされると、あまりの体格の違いに身動き一つ取れない。そのまま、虎は俺の担いでいたライフルや衣服を剥ぎ取ると、口で遠くに放り投げ、丸裸の無防備になった俺の肩口に噛みついてきた。
「ぐあああ!!」
激痛に絶叫する。虎は、そのまま俺をどこかへ引きずっていこうとしているようだった。血塗れの口で、俺をがっちりと咥え込んだまま、虎は森の中をすさまじいスピードで駆けていく。
何度か身を捩って逃れようとするも、そのたびに牙が深く食い込んでくるので、痛みから力が抜けてしまう。結局、俺はろくな抵抗もできないまま、虎のなすがままに引きずられていった。
[newpage]
噛みつかれている肩口からは血が滴り、引きずられる途中で岩や森の木々にぶつかったおかげで、体はアザや切り傷だらけになった。その痛みで、だんだん気が遠くなってきた頃、俺はようやく岩場に投げつけられるようにして解放された。
「こ、ここは」
朦朧とする意識を奮い立たせて辺りを見回すと、そこは巨大な岩山の側面に出来た、大きな横穴の入口だった。
「うっ」
強烈な獣の臭いに、鼻が曲がりそうになる。昔飼っていた猫のトイレの臭いに似た、鼻の奥にツンとくる臭いだ。
そんなことを思っていると、穴の奥の方から、まるで俺を出迎えるかのように、三頭の虎たちがのそのそと現れた。
「何だよ、これ」
虎は本来、群れる動物じゃないはずだ。それが一体、どういうことだ。
現れた虎たちは、俺を連れてきた個体と比べれば、二回りほど小さいようだが、それでも体長は俺よりありそうだ。
そんな虎たちに全裸のまま囲まれた俺は、もはや身動きすらできなかった。
「はあ、はあっ、はあっ」
恐怖と痛みで息が荒くなる。
そんな俺をしばらく唸り声を上げながら観察していた三頭の虎たちは、やがてのっしのっしと近づいてくると、俺の身体に爪を立て、そのまま横穴の奥へと引きずり込んでいった。
(ああ、俺はこいつらのために、狩られたのか)
俺をここへ攫ってきた虎は、俺が穴の中に引っ張られていく様を見送るかのように、入口に立ったまま見つめていた。
(獲物は確かに渡した、ってことかい)
もう抵抗する気力も無くしていた俺は、そんな自嘲的なことを考えながら、されるがままになっていた。
やがて、薄暗い穴の一番奥へと連れてこられた俺は、岩肌の壁に叩きつけられるようにして転がされた。
「ってェ……」
無意味に痛めつけないで、ひと思いに殺してくれよ。
そんな思いで視線を上げると、俺のそばに、三頭の虎たちとはまた別に、何か生き物がいるのに気づいた。
他に狩られた獲物だろうか。まだ、生きているようだ。呼吸するように、一定のリズムで身体が上下している。
「え……なんだ、こいつ」
その獲物の姿を見た途端、俺は思わず声を漏らした。
その生き物は、虎のような縞模様の毛を生やしていたものの、虎とは似ても似つかないシルエットだった。ずんぐりとした猿のようで、けれども頭のあたりだけ、まるで人間みたいな黒く長い髪の毛が生えている。
「キュルル……」
俺が連れてこられた物音で目を覚ましたのか、それとも俺の視線に気づいたのか、その生き物は細く甲高い唸り声を上げながら、むくりと身体を起こした。
キョロキョロとあたりを見回しているその生き物の顔が目に入った瞬間、俺は悲鳴を上げそうになった。
(ゆ、夢か、これは)
そう思いたくなる光景だった。
その生き物は、まるきり人間のような形の顔をしていたが、顔中はやはり虎のような模様の毛に覆われていている。目玉は、人間のような黒目と白目のはっきりしたものだった。
まるで、人面虎というか、人間と虎のあいの子のような姿だった。
「ウ、ア、ウ」
俺の存在に気づいたその生き物は、驚いたように目を大きく見開くと俺の方へ這うようにして近寄ってきた。
「く、来るな、化け物」
思わずそう言ったとたん、その生き物は悲しそうな表情をした。言葉が通じるのか…?
よくみると身体は小さく、人間の子供くらいの大きさで、顔立ちも幼そうに見える。必要以上に恐れる必要はないのかもしれないが、不気味であることに変わりはない。
すると、その生き物が口を開いた。
「オ……オジ、サン……タスケニ、キテ、クレタ、ノ?」
子猫のようなキイキイ声を漏らしながら、その生き物はたしかにそう言った。
それも、俺がこの国へ来てからずっと親しんでいた、あの方言混じりの中国語で。
まさか。俺の中に、恐ろしい想像が浮かんだ。
この子は、まさか。いや、そんなわけが……。
「アダジ……リン、リン……オトウさン、オガあァサン、アい…ダイ」
リンリン……[[rb:玲玲 > リンリン]]。
虎に連れ去られたという、あの村の女の子の名だ。こいつが、そうだっていうのか? まさか、そんなわけが……。
「アタし、ココ、ツれテ…ゴラレて、ニゲ、れ…ナイの」
その生き物はポロポロと涙を流し始めた。
「オジサん……ダすゲ、テ、クレなイ、ノ…? アダジ、コワい、ヨぅ……」
そう言いながら、そいつは俺の方へ手を伸ばしてきた。
「お前、本当に[[rb:玲玲 > リンリン]]なのか」
俺が恐る恐る声をかけると、その生き物は悲しそうな顔のままコクリと頷いた。それだけじゃなく、住んでいた村の名前や、襲われた場所のだいたいの位置まで、こちらの問いにきちんと正しく答えてみせた。
どうやら本当に、村から攫われた子で間違いないらしい。
「でも、その姿、どうしたんだ」
そう尋ねると[[rb:玲玲 > リンリン]]は、身を縮こまらせながら、両手で頭を抱えるようにして、首をぶんぶんと左右に振った。
「イッパイ、トら、アだジ、イジメダ…イダクテ、グるジィ…ハズかジィ、ソ…ソシタラ、かラダ…コ…んナ……」
鳴き声とも話し声ともつかない声で、[[rb:玲玲 > リンリン]]は必死に訴えてきた。
どうやら、ここへ連れてこられてからというもの、彼女は虎たちにずいぶんと辱めを受けていたらしい。そうしているうちに、身体がこんな風に変化してしまったと言いたいのだろうが……。
「そんなこと、あり得るのかよ」
すると、今まで黙って俺達を見つめていた虎たちのうちの一頭が、唸り声を上げた。
とたんに[[rb:玲玲 > リンリン]]は怯えたように身を震わせると、半狂乱になって叫び始めた。
「イヤッ、グルル、ウぅヤアアァッ!! ヤメデ、モウヤめデ!!」
俺は慌てて声をかけた。
「お、落ち着けよ。どうしたんだ。何でそんなに…」
「オジさン、ワガらナイ、ノ!? マタ、アダじヲ、イジメルッ…デ、オジサん、モ、アダジド…オなジ、メニ……ガゥ、アゥ、ァワゼルッデ……」
その言葉が終わらないうちに、さきほど唸った虎が[[rb:玲玲 > リンリン]]に駆け寄り、嫌がる彼女の首ねっこを咥えた。
「いヤァア! やダァ! ヤダぁ! おジサン、ダスけデぇエエ!!! ママぁ!パパァ!」
[[rb:玲玲 > リンリン]]は手足をバタつかせて泣き叫ぶが、虎は一向に構う様子を見せず、彼女を巣穴の外へと引きずっていった。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]!」
たしか外には、俺をここへ連れてきたデカい虎が居たはずだ。もうどこかへ行っているかもしれないが……もしもあれに痛めつけられるのだとしたら、[[rb:玲玲 > リンリン]]の小さな身体では耐えられるかどうか。
だが、助けにいこうと身を起こす前に、後に残った二頭の虎が俺の左右に陣取り、俺の腕や肩を押さえつけてきた。
「ぐっ!?」
連れてこられる時に出来た傷口に、二頭の爪が食い込む。
身動きがとれなくなった俺は、痛みに顔を歪めながら、さっき[[rb:玲玲 > リンリン]]が言っていたことを考えていた。
聞き取れた限りでは、虎がまた[[rb:玲玲 > リンリン]]をいじめる……要は[[rb:嬲 > なぶ]]りものにすると、そして、おじさん……つまり、俺を、同じ目に、合わせる?みたいなことを言っていた。
それが本当なら……。
俺は血の気が引く思いだった。食い殺されるよりも、酷い目に合うかもしれない。
「や、やめろ、離せ!」
必死に叫んでも、虎たちは俺を押さえ込んだまま、牙を剥き出しにして唸り声を上げるだけだった。
そして、そのまま俺の身体に顔を近づけてきた。ピチャリ、という水音が石壁に囲まれた巣穴の中に反響する。
「あっ、な、なにしてっ……!!」
二頭の虎たちは、俺の身体を舌を這わせ始めたのだった。虎の舌が、首筋から胸元までを行き来する。まるでヤスリのようなそのざらついた感触に、ゾワリ、と全身に鳥肌が立った。
「うっ、うぇっ、おぇっ」
気持ち悪い。それに、肉食獣特有の生臭さが鼻を突いて、思わずえずいてしまう。しかし、虎はそんな俺の様子を気にも留めずに、執拗に胸元を舐め回してきた。
「ぐっ、ううっ、くそっ」
身動きが取れないまま、屈辱的な行為に耐え続けるしかないというのは、こんなにも辛いものなのか。
気がつけば俺は、涙が溢れていた。
(おそらくは[[rb:玲玲 > リンリン]]も、こういうことを……)
想像するだけで、胸が張り裂けそうになる。あの小さな子が、一体どんな気持ちで、こんな責め苦を受けていたのかと思うと、やりきれない思いになる。
だが、そんな俺の感傷をよそに、虎の舌は今度は胸元から腹へと降り始めた。
(くっ、こいつっ)
俺が身をよじって抵抗すると、片方の虎が鋭い爪の生えた前足で、俺の肩を押さえ込んできた。まるで、それ以上動いたら腕を食いちぎるぞ、と言わんばかりの圧力が、肩に伝わってくる。
(くそったれ、チクショウ)
そのまま虎たちの舌は、俺の股間にまで伸びてきた。
「ひっ、な、やめろ、やめてくれ!」
そんなことを言っても無駄なのは分かっていたが、そう叫ばずにはいられなかった。二頭の虎たちはやはり願いを聞き入れることなく俺の股間を舐め回し、そしてついに、一方の虎が俺の一物を口にくわえこんできた。
「うぁあっ!?」
生暖かい口内の感触に、俺は悲鳴を上げた。
「やめ、やめろ!」
だが、虎はやめる気配もなく、俺のものをしゃぶり続けている。同時に、もう片方の虎は、俺の乳首を前足の肉球でこすり始めた。まるで人間みたいに器用なことをする虎に、嫌悪感と恐怖心がこみ上げる。
「う……ふ……ふぐぅ……!」
しかし、そんな気持ちとは裏腹に、俺の身体は、この異常としか言えない状況の中で、確実に熱を帯び始めていた。
虎の舌に舐められている下腹部が、ジンジンと熱い疼きを訴え、その熱が背筋を駆け上がってくる。そして、徐々に大きくなっていく俺自身のモノは、もう誤魔化しようもなく虎の口の中で立ち上がっていた。
そんな俺の変化を感じ取ったのか、乳首を愛撫してきている方の虎が、そのまま俺の顔を覗き込んできた。
それと目が合うと、表情など無いはずの虎が、ニヤッとした笑みを浮かべたような気がした。
「うっ……!」
その瞬間、俺は限界を迎えた。勢いよく、虎の口内へ精を吐き出してしまう。すると一物をしゃぶっていた虎は、それを待っていたかのように、咥えていたモノを吐き出すと、そこから溢れ出す精液を美味そうに舐め取っていった。
「はぁ……はぁ……」
(い、一体何のつもりなんだ)
絶頂直後の気だるい頭で、俺がそんなことをぼんやりと考えていると、今度は二匹同時に俺の股間へと顔を近づけてきた。そして片方は陰茎を舐め回し始め、もう片方は睾丸を口に含もうとしていた。
「くっ、やめろ! もう、やめ、てくれ!」
すでに一度絶頂を迎え、過敏になっている俺の男根が、二匹の虎に舐め回される。しかし、この程度では終わるはずもない。やがて、二頭の虎は俺の尻穴や玉袋に至るまでしゃぶり始め、俺は再び強制的に勃起させられてしまっていた。
ちょうど、その時だった。
巣穴の出口の方から、耳をつんざくような悲鳴が聞こえてきた。
「イヤァッ、イヤアアアッ! ヤメデ、オトう、ザンッ、オガアッ! サンン! たズゲデッ!! イダイッ!!イダイッ!!!グルルゥ!ギャァォォ!!」
何をされているのかわからない。けれど、あまりに凄絶な叫び声に、俺は戦慄した。俺もいつか、あんな風な声を上げるようなことをされるのだろうか。
今はまだ、屈辱的なだけで苦痛はほとんどない。苦痛らしい苦痛と言えば、傷の痛みと、獣臭い虎の唾液と、それくらいだ。けれど、それがエスカレートしていったら? きっとそれが、今の[[rb:玲玲 > リンリン]]が受けているもので、それはきっと…。
「うっ、うぇっ」
その光景を想像した瞬間、俺は込み上げてくる吐き気と涙をこらえ切れなかった。
俺が外から聞こえてくる悲鳴とその先の想像にに意識を向けていることに気づくと、俺の方をいたぶっていた虎は不満そうに低く唸った。
「グルゥ、グァォッ!」
そして、虎は強く俺の頬をビンタすると、地面に倒れ伏した俺を引きずるようにして外に連れ出した。
そんなに気になるなら見せてやる、とでも言われているようだった。
(確かに気にはなるが、直視して、耐えられるだろうか……)
俺の最悪な想像が、当たっていませんように。小突かれながら乱暴に運ばれていく最中、俺は必死にそう願っていた。
「り、[[rb:玲玲 > リンリン]]…!」
しかしその願いも虚しく、俺の想像はまさしく最悪の形でそこに展開されていた。
「イダイッ!!イダいッ!!!ギャウぅ、ガゥゥウゥ!!!」
それはまさしく地獄絵図だった。
四つん這いにさせられた[[rb:玲玲 > リンリン]]の背中に覆いかぶさるようにのしかかっていたのは、俺をここへ攫ってきたあの大きな虎だった。
彼女の倍以上はあろうかというその体躯をもって、虎は[[rb:玲玲 > リンリン]]の下半身に激しく腰を打ち付けていた。
[[rb:玲玲 > リンリン]]の小さな身体は、虎の凶悪な性器に文字通り貫かれていた。結合部からは鮮血が滴り落ちていて、それが激しい抽挿によって掻き出されているのだと分かる。
「アァッ、ガッ、ゴァアッ!!」
目をカッと見開き、舌を突き出し、彼女はまるで獣のような咆哮を上げて苦しんでいた。顔中を覆う鮮やかな色の毛並みは、溢れ出る涙と涎で光っていた。
そんな彼女の顔を、さっき[[rb:玲玲 > リンリン]]を連れ出した小さい方の虎が、まるで[[rb:玲玲 > リンリン]]を励ますかのようにペロペロと舐めまわしていた。
やがて、限界が訪れたのだろう、[[rb:玲玲 > リンリン]]の身体がビクンと大きく痙攣したかと思うと、彼女はガクッと力尽きたようにうなだれた。それでもなお、虎の射精が終わるまでのあいだ、彼女の小さな身体は激しいピストン運動に晒され続けた。
ヒトならざる虎柄の毛に覆われた少女の体を、巨大な虎のオスが犯している。遠目から見れば虎同士の交尾のようだが、組み敷かれているのは間違いなく、さっき俺と言葉を交わした人間の少女だった。
「グルルル、ガゥアァウ、グルル」
長い射精が終わると、虎は満足そうな鳴き声を上げて、[[rb:玲玲 > リンリン]]の中からズルリと一物を引き抜いた。すると、その拍子にゴプリッという音を立てて血と精液の入り交じった液体が溢れ出し、彼女の股間から地面へと滴り落ちる。
そんな光景を目の当たりにして、俺はただ呆然とその場にへたり込んでいた。
(なんて、ひどいことを)
悪夢のような光景だった。激しい行為が終わった今も、[[rb:玲玲 > リンリン]]は力なく横たわっていて、ただ肩だけが呼吸に合わせて動いている。
そんな彼女の無惨な姿を虎たちはじっと見つめていた。まるで何かが始まるのを待っているかのように。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]!」
俺は痛む身体を引きずり、這うようにして[[rb:玲玲 > リンリン]]へと駆け寄った。虎たちはなおもじっとしたまま、俺を止めようともしない。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]、しっかりしろ、大丈夫か、おい」
声をかけると、彼女はゆっくりと目を開いた。
「!」
俺は息を呑んだ。彼女の瞼の奥から現れた瞳が、まるで虎の目のような色に染まっていたのだ。本物の虎とは違って白目はあるものの、それでも黒目の部分が金色に光り、人間離れした光を放っている。
「グ、ウ、オ、ジサん…ガァア、あダァアシィイ、グァア、タジぃ…」
弱々しい声で喋る[[rb:玲玲 > リンリン]]の声は、さっきよりもこころなしか低く、滑舌も悪くなっていた。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]…!」
いたたまれず、俺は彼女を抱き寄せた。すると、彼女も弱々しい力ながら、俺の身体を抱き返してくる。虎柄の毛に覆われた彼女の身体は、暖かかった。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]、しっかりしろ。俺が、ついてる。一緒に逃げよう」
必死に励ます俺の腕の中で、[[rb:玲玲 > リンリン]]は苦しそうに息をしていた。
変化は、そこで始まった。
「ァ……ゥ…………ガ………!」
声にならない悲鳴を上げると同時に、[[rb:玲玲 > リンリン]]の身体が痙攣を始めたのだった。
ガクン、ガクンという、激しい震え。そして、彼女の身体を覆っていた短い毛が、より長く、ゴワゴワとした、本物の虎のような分厚い毛皮に変わっていく。
「ガァ、ガアァッ!!」
激しい苦しみの声とともに、[[rb:玲玲 > リンリン]]の身体は、さらに変化していった。
胴が長くなり、反対に手足が短く、ずんぐりとした体形になっていく。ほんの十歳の少女の体は、まるで太った中年のような体型になっていった。
しかし、俺には分かった。これは人間の体のバランスじゃない。いまはまだ、それこそ俺のような中年親父を小さくしたような感じだと言っても良いかもしれないが、さらに進行していけば、これはやがて猫のような…いや、虎のような形になっていくのだろう。
……あり得ない。そんなこと。人間が、虎に変わっていくなんて。
しかし、目の前で起きている光景は、これが現実のものなのだということを、雄弁に物語っていた。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]、しっかりしろ! ダメだ!」
きっと俺が何を言っても、意味なんて無いだろう。だが、いまの俺にはこう言ってやることしかできなかった。
[[rb:玲玲 > リンリン]]の変化はなおも止まらず、鼻の下からは長く太い、真っ白な毛が二、三本、ニョキニョキと伸びてきた。
(ひ、ヒゲまで)
俺がうろたえていると、少女はまた悲鳴にもにたうめき声を上げた。
「グゥ、グルルルル!」
どうしたのかと思って顔を覗き込むと、彼女は、自分の手を呆然とした表情で見つめていた。
「どうした。手がどうか……うっ」
その手に目をやったとたん、俺は思わず声を漏らしてしまった。
手の甲が虎柄の毛に覆われているのはまだいいとして、指がすっかり太く短くなり、ヒトのそれと比べるとかなり関節の自由度を失っていた。親指も小さく退化して、四本指になってしまったかのような形になっている。
かろうじて、まだなんとか指を立てることはできるようで、必死に一本ずつ握ったり開いたりを繰り返している。だがそのたびに、指先から鉤爪が出し入れできてしまうことに気づいたらしく、[[rb:玲玲 > リンリン]]はさらに怯えたような鳴き声を上げた。
そして彼女の手にはもう一つ衝撃的な変化が起きていた。手のひらの方に、弾力のある黒い肉の塊が形成されていたのだ。
それはまるで、いや、紛れもなく肉球だった。
「ダァあ、スゲてェエ、ウォオン、オォ、オジ、さン…グゥルル、アダジ、ニん、グェン、ダヨ、ね…?」
[[rb:玲玲 > リンリン]]の声は、ますます虎の鳴き声のような音になっていた。だが、彼女はまだ、人間の意識をなくしていないのだ。こんな辱めを受けながらも、必死に人間の尊厳を保とうとしている。
俺は懸命に言い聞かせた。
「そうだ、お前は人間だ。俺と一緒に、ここから出るんだ。出たら、良い病院に連れて行ってやる。そこで、もとに戻す方法を見つけてやるから」
なんの保証もできない。こんな状態になった人間を元の姿に戻す方法なんて、あるんだろうか。しかし、今は少しでも希望を与えてやらなくてはならない。それが、彼女の心を保たせる唯一の方法なのだと、俺は思った。
周りでは相変わらず、三頭の小さな虎と一頭の大きな虎が俺たちを取り囲み、じっと見つめている。
「グルルッ、ガフッ」
そのうちの一頭が唸り声を上げた。
どことなく、嘲笑われているような気がした。逃げられるわけがないだろう、と。
(クソ…!)
だが、少なくともいまはその通りだった。
凌辱され、苦痛とともに体が変化したばかりの衰弱した[[rb:玲玲 > リンリン]]と、肩口から血を流した傷だらけの俺。どちらも身ぐるみを剥がされて、無防備な裸の状態だ。
ここに来るまで、虎は俺を一時間以上かけて引きずってきた。こいつらの包囲を掻い潜ってあの村までたどり着くには、今の俺達では、あまりにも遠すぎる。
「グォウ」
そこへ[[rb:玲玲 > リンリン]]を犯していた大きな虎が一声唸ると、残りの三頭の虎が俺達に近寄ってきた。なんとなくわかっていたことだが、どうやら彼らはボスと手下の関係性らしい。
「やめろ…!」
[[rb:玲玲 > リンリン]]に触れさせせまいと俺は抵抗を試みたものの、前脚の一撃で弾き飛ばされてしまった。
そうして結局、俺達はまた二人揃って、饐えた匂いの充満する横穴の中へと、連れ戻されるのだった。
[newpage]
「オジサン、オジサン」
誰かが俺に話しかけている。
声に誘われてゆっくりと目を開けると、虎とヒトの中間のような見た目の少女の顔が目の前にあった。
「うわっ!」
俺は驚いて身体を仰け反らせ、そのまま後ろに倒れ込んでしまった。背中が壁にぶつかり、大きな音が洞窟の中をこだまする。
「オジサン、メガサメタ?」
「あ、ああ、[[rb:玲玲 > リンリン]]か」
ぶつけた背中をさすりながら、俺はようやく意識がはっきりしてきた。
ここは虎の穴で、この子は俺より先にここへ攫われてきた[[rb:玲玲 > リンリン]]という少女で…彼女は虎の慰みものにされながら、身体が少しずつ虎に変貌していっている…らしい。
やっぱり荒唐無稽すぎて、信じがたい。
だが俺は昨日、たしかにこの腕の中で彼女が変わっていくのを見た。信じられないというか、夢であってほしいと思うくらいだが、あれは間違いなく現実だった。特殊メイクや着ぐるみの類でもない。昨日起きたことが俺の妄想から出たものじゃないということは、今の獣じみた[[rb:玲玲 > リンリン]]の姿と、俺達を遠巻きに見張っている虎たちの気配で分かる。
その時、俺の腹がギュルルル、と音を立てた。そういえば、昨日から何も食ってないことを思い出す。
「オナカ、スイタ?」
「あ、ああ、うん、まあ」
すると[[rb:玲玲 > リンリン]]は、うつむき加減に言った。
「モウスグ、ゴハンノ、ジカンダヨ」
そうして、見張りの虎の方をちらりと見た。
俺よりもここでの生活や扱われかたを熟知しているであろう[[rb:玲玲 > リンリン]]がそう言うのだから、間違いはないのだろう。
でも、全く嬉しそうじゃないその態度が気になった。
(……まあ、当然だよな)
なんとなく、予想はつく。食事といってもどうせ虎が与えてくるものだ。俺達の口に合うはずもない。
やがて、ボス虎が手下たちを引き連れて入ってきた。見張りの虎はそれに気づくと、ボスの側に走り寄った。何事か唸り声が聞こえてくる。まるで見張っていた間の俺達の様子を報告しているようだ。
ボスはその後、獲物を持って来いとでもいうように、後に控えていた手下の二頭を見た。
すると、片方の虎がどこかへ駆け出し、すぐに何か茶色い塊を引きずって戻ってきた。そして、それを巣穴の真ん中に放り投げる。
「うっ…」
それは、鹿のような動物の死骸だった。まだ狩られたばかりなのか、致命傷と思しき首の傷から鮮やかな色の血が流れ出している。
「ウッ、ウゲェ、オエ」
胃の中のものが逆流するような不快感を覚える。多分、これを食えということなのだろう。だが、俺の人間としての本能が、食べることを拒否していた。
(こらえろ、俺)
[[rb:玲玲 > リンリン]]の前でそんな姿を見せるわけにはいかない。俺はグッと歯を食いしばって、なんとか吐き気をやり過ごした。
そんな俺の気も知らず、虎たちは鹿の死骸に群がっていくと、その鋭い牙で肉を引き裂き、臓物を啜り始めた。
凄惨な光景に、思わず目を逸らしてしまう。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]、見ないほうが…」
大人の俺にもキツいのだ。子供には刺激が強すぎる。そう思って、俺は彼女の目を塞ごうとした。
しかし、その彼女の顔を見た俺は、背筋が凍りつくような感覚に襲われた。
[[rb:玲玲 > リンリン]]は、虎たちが鹿の肉に食いつき内臓をあたりに散らかしていく様子を、じっと見つめていたのだった。
まるで最高のごちそうを見ているかのようにうっとりとした表情で、半開きになった口からこぼれた舌先に、よだれを滴らせながら。
「り、[[rb:玲玲 > リンリン]]!」
嫌な予感がした俺は、思わず呼びかけた。
その瞬間、[[rb:玲玲 > リンリン]]は我に返ったようにハッとして、それから泣きそうな顔になって頭を抱えた。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]…?」
「ウゥ…アタシ、マタ…」
そうして、うわ言のように繰り返した。
「アタシハ、ニンゲン…アタシハ、ニンゲン…。トラジャ、ナイ…トラジャ、ナイ…」
その様子を見て、俺は自分の予感に確信を持った。彼女はきっと、見た目だけじゃなく、心の中まで虎になりつつあるのだ。漂ってくる血の匂いと虎たちの食事風景を見せつけられて、獣の虎としての本能が呼び起こされてしまったのだろう。
「オジサン、アタシ、ニンゲン、ダヨネ?」
「ああ、そうさ、お前は人間だ。俺を信じろ」
俺は震える[[rb:玲玲 > リンリン]]を抱きしめて、ゆっくりと頭を撫でてやった。少しでも、彼女が安心してくれるように。
「ン……」
そうして、しばらくそうしていると、少しずつ震えが収まってくるのがわかった。
しかし、正直なことを言えば、皮膚が全く見えないくらい全身を毛皮に覆われた彼女の身体からは、もはや他の虎たちと同じような血と獣の臭いがぷんと立ち上っていた。外見ではもう、人間らしさよりも虎らしさの方が勝っていると言わざるを得ない。
だが一点だけ、俺は希望を持っているところがあった。
「そういえば、[[rb:玲玲 > リンリン]]。昨日よりもしっかり喋れてるじゃないか。大丈夫。お前はちゃんと人間でいられてるぞ」
「エ……」
そう。[[rb:玲玲 > リンリン]]は、昨日よりも確かにはっきり聞き取れるように言葉を話せている。もちろん、辿々しさはまだあるが、彼女の人間性が戻ってきている証拠だ。
しかし、そんな俺の言葉を聞いた[[rb:玲玲 > リンリン]]は、むしろ一層悲しそうな表情をして、呟くように言うのだった。
「チガウヨ、オジサン。ソレハ、タブン、オジサンガ……」
そこへ、俺たちの会話を打ち切るように、べシャリと音がなった。
見れば、虎たちが俺たちに向かって、鹿から剥ぎ取った肉の塊をよこした音だった。
肉は足元の岩肌に落ちて、血の池を作っている。血抜きもしていない生の肉なのだから、当たり前ではあるのだが。
よく見ると、俺の分と[[rb:玲玲 > リンリン]]の分とで、よこされた部位は少し違うようだった。
俺の方は生とはいえまだ食べやすそうな肉質のモモの一部だった。だが、[[rb:玲玲 > リンリン]]の方は腹の中の臓物が混じった、グロテスクなものだった。
「ウ、ウゥ…」
それを見たとたん、[[rb:玲玲 > リンリン]]が歯を食いしばって、苦しそうに唸りはじめた。
「オジサン、アタシ、ダメカモ…」
その言葉に、俺は震えた。これはきっと、食べられないという意味じゃない。再び獣の本能に飲み込まれてしまいそうになっているということだ。
みるみるうちに、[[rb:玲玲 > リンリン]]の表情が肉食獣のそれに変わってきているのがわかる。
「チノ、ニオイ…アタシ、オカシク、ナッチャウ……グルルゥ」
「[[rb:玲玲 > リンリン]]、耐えろ、頑張れ」
俺は彼女の肩を押さえるようにして、励ました。すると[[rb:玲玲 > リンリン]]はほんの少しだけヒトとしての理性を取り戻したのか、俺の手に触れながら、弱々しい声で言った。
「オジサン…アタシ、タベテル、アイダ、ヨビカケテ…。アタシヲ、ニンゲンデ、イサセ、テ…」
「わ、わかった」
俺がそう答えるのと同時に、[[rb:玲玲 > リンリン]]は与えられた内臓まみれの肉に飛びついて、両手で抑えつけると、獣のように口を突っ込んで肉に食いつき始めた。
いけない。人間らしい振る舞いを思い出させなくては。俺はそう思って、[[rb:玲玲 > リンリン]]に呼びかけた。
「だめだ、[[rb:玲玲 > リンリン]]。手を使え。手で持って、食べるんだ。君は、人間なんだから」
すると彼女は、またハッとしたように肩をピクリと震わせて、口から赤い血の糸を引きながら、顔を上げた。
「グ、グゥ…」
もどかしそうに唸りながら、両手を使って肉を口に運んでいく。
だが、指が縮んでしまったせいでうまく掴めないのか、何度も落としてしまう。そして、そのたびに口で拾いかけては俺の声で我に返る。その繰り返しで、なかなか食べ進めることができない。
「ウ、ウゥ…グルゥ…」
「頑張れ、[[rb:玲玲 > リンリン]]。ゆっくりでいいんだ」
それからしばらくは、クチャクチャと肉が咀嚼されていく音と、少女の理性を繋ぎ止めようと呼びかける俺の声だけが、ほら穴の中に響き渡っていた。そんな俺達の悪あがきを、虎たちは特に止めようともせずに見つめていた。
やがて、[[rb:玲玲 > リンリン]]が食事を終える頃には、俺はすっかり叫び疲れてしまっていた。
「オジサン、ゴメンネ…」
俺の顔を見た彼女は、申し訳なさそうに口元のヒゲをしおれさせてそう言った。
「でも、ほら。きちんと人間らしくいられたじゃないか」
俺が言うと、彼女はようやくホッとしたような表情を見せてくれた。
しかし、彼女の腹側の白っぽい毛並みは、何度もこぼした肉の血で真っ赤に染まっていた。両腕の毛皮も口の周りも血まみれだ。これで、人間らしいといっても無理がある。
(もう、飢え死にするくらいじゃないと、ヒトとしての姿は守り切れないのか)
もちろん、そんな事を言っては[[rb:玲玲 > リンリン]]の心が折れてしまうだろうから、とても口にできるわけもないが。
「ガォウ」
そこへ、不機嫌そうなボス虎の唸り声が聞こえてきた。
「オジサン、ボスガ、オコッテル。ハヤク、クエッテ」
[[rb:玲玲 > リンリン]]が、怯えたように言った。確かに、俺の分がまだ残っている。
「わかってる、よ…」
正直、食べたくない。だが嫌だと言える状況でもない。それに今は、なんでもいいから腹にものを入れて、生きのびなければという気持ちもあった。俺ひとりだったら、己の尊厳のために死を選んでも構わないところだったが、[[rb:玲玲 > リンリン]]のことを思うと、そうも言っていられない。
俺は、仕方なく与えられた肉を取り上げ、口を近づけた。鼻先を掠める[[rb:血腥 > ちまぐさ]]い臭いに、胃の腑が縮み上がる。
(やるしか、ないんだ)
俺は覚悟を決めて、肉にかぶりついた。とたんに口いっぱいに生臭い血と胃酸の味が広がる。
「う、ぐっ、むぐ、げほっ」
思わずえづいて吐き出しそうになってしまう。だが、そんなことをすれば、何をされるか分からない。喉の奥まで押し込むようにして、無理やりに飲み下すしかない。
ごくり、ごくりと喉を鳴らして飲み込むたびに、身体中の毛穴が開いて汗が吹き出した。不快感と恐怖心で身体がガタガタ震えるが、それでもなんとか全部食べきることができた。
「ガンバッタネ」
[[rb:玲玲 > リンリン]]が嬉しそうに言う。しかし俺は口の中に残った血や肉片の感触に、胃の中のものが逆流してきそうな気持ち悪さを感じていた。
「ゲホ、げほっ」
俺は咳き込みながら、うつ伏せになった。
壮絶だった。[[rb:玲玲 > リンリン]]も、俺も。こうなるとわかっていたから、[[rb:玲玲 > リンリン]]は食事の時間が来たのを嬉しくなさそうにしていたのか。
しかし、とりあえず何とか乗り切った。あとは、どうにかして虎たちの見張りを出し抜いて脱出する方法を考えなくてはいけないのだが……俺たちに、そんな猶予が与えられることはなかった。
「ヒッ! イヤ、ギャァア!!」
[[rb:玲玲 > リンリン]]の悲鳴で、俺はボス虎が目の前に近づいてきたことに気がついた。
「コナイデ! グルルゥッ!ガルルッ!!」
必死に威嚇しようとする[[rb:玲玲 > リンリン]]だったが、ボス虎は全く問題にせず、髪を咥えてきた。……[[rb:玲玲 > リンリン]]のではなく、俺の。
「お、俺かよ!?」
慌てて身をよじるが、ボス虎の力は強く、まったく振りほどけない。それどころか、咥えられた髪がブチブチッと何本か抜ける音がした。痛みよりも、恐怖心に体が硬直する。
そんな俺を、ボス虎はそのまま軽々と持ち上げると、地面に叩きつけた。
「かはっ……!」
硬い岩場に打ち付けられた俺は、一瞬息ができなくなった。
そして、悶絶している俺の上に、ボス虎がその巨体でのしかかってくる。
「イヤァアッ!! …ヤメテ!!! アタシ、アタシニナラ、ナニシテモ、イイカラッッ!!! オジサンヲ、ハナシテ!!」
[[rb:玲玲 > リンリン]]の懇願する声が聞こえるが、それを黙らせるかのように手下の三頭の虎たちが彼女に向かって駆け寄っていった。
「キャンッ!! ヒャン♡!! ニャアァァア!!!」
すぐに悲鳴とも嬌声ともつかない声が響き渡った。だが、今の俺には彼女が何をされているのかなんて考える余裕はなかった。
ボス虎は俺の頰をざらついた舌でひと舐めすると、俺を前脚で転がして腹這いにさせた。
「んんっ!」
すぐに気づいた。尻に、なにか生暖かいものが押し付けられている。
(まさか、こいつ……)
嫌な予感は的中した。ボス虎は俺の上に覆い被さると、その剛直を尻の穴に無理やりに挿入してきたのだった。
「んぎ、ぐぁああっ……!!!」
まるでサボテンか何かを入れられているのかと錯覚するほどの激痛が走った。どうやら虎のモノには無数の棘が生えているらしい。
「ふぅっ……ぐっ……ぐぇぁあ!!」
耐えようとしても、あまりの痛みに声を抑えられない。差し込まれるときよりも、引かれるときの方が、何倍も、何十倍も痛い。釣り針の返しのようになった棘が直腸の壁に引っかかって、突き刺さるのだ。
尻の穴から、何かぬるりとした液体が出てきて地面にぽたぽたと落ちて行く感覚があった。おそらくは、血だ。確かめるまでもない。俺の腸壁は、虎の凶器のようなモノによってズタズタに引き裂さかれていた。
「グァウ、グルルゥ!!」
ボス虎は、血の匂いにますます興奮したように唸り、勢いを増してピストン運動を繰り返す。その度に、地獄のような痛みが俺の尻の穴を襲った。
俺の意識が朦朧としてきたところで、虎はドンと一際強く腰を打ち付けてきた。すると、それと同時にナカに熱いものが広がったのがわかった。どうやら中で出されたらしい。どくんどくんと脈打つように、精液が流れ込んでくるのを感じる。傷口に沁みるが、それよりも抽挿のときに感じていた痛みの方が強すぎて、もはや気にならないくらいだった。
(こ……これで、終わりか…?)
苦痛の分長く感じたが、それでも思ったよりあっという間に射精までいってくれた。そういえば、虎は一度の交尾が短いと聞いたことがある。それならそれで、助かるのだが…そう甘くはなかった。
「グルルルルッ!グォオオオッ!!」
まるで、今は前戯だとでも言うかのように、ボス虎は再びピストン運動を開始する。
(嘘だろ!?)
なにかの間違いかと思ったが、虎は腰を振るのをやめる気配はなかった。それどころかむしろ、一層激しく、深く打ち付けてくるようになった気すらした。
「っづうぅ!…っでぇ!あぁ、ぐああ!」
俺の悲痛な叫びは、誰にも届かなかった。
この地獄はまだ始まったばかりだったのだと気づいたのは、その後何度も痛みによる失神を繰り返しながら、十回ほど中出しをされた頃のことだった。
「ァ、ぐ、あ、アガッ、」
その頃には、俺はもはや声すらまともに出せず、されるがままになっていた。トゲだらけのペニスに引き裂かれて、俺の肛門はもう見るも無残なことになっているだろう。入り切らなくなった精液が、俺の血と混ざって、辺りに小さな薄桃色の池を作っていた。
「ウ、グゥ、ゴフ、ゲホ、」
もう俺は限界だった。
いつまで続けられるんだろう? 負けるものかとどんなに自分に言い聞かせても、このままでは身体が先に壊れて死んでしまう。むしろ、早く死んでしまえた方が、楽かもしれない。
そんな俺の気持ちを嘲笑うように、ボス虎はさっきからずっと俺の首筋に噛みついて離してくれない。そこからも血は流れ出していたが、もう痛みは全く感じなかった。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]…リン、リン……」
心が折れそうだった俺は、すがるように[[rb:玲玲 > リンリン]]の名を呼んでいた。
無事でいてくれるだろうか。もしそうでなかったら、俺はもう、頑張る理由がなくなる。俺が人間としての尊厳を奪われてまで、生きよう、耐えようと思えるのは、[[rb:玲玲 > リンリン]]という哀れな少女のためなのだから。
すると、ぼやけた視界の中で、何かが俺の顔を優しく舐めてきたのが分かった。
慌てて瞬きを繰り返すと、俺を覗き込んでいる橙色の毛に覆われた顔がハッキリ見えてきた。
「り…[[rb:玲玲 > リンリン]]、なの、か?」
俺の言葉に、虎柄の毛皮に身を覆われた少女は、目に涙をためながら頷いた。手下の虎たちに貪られていたはずの彼女が、そこにいた。
「お前、顔が……」
「イワ、ナイデ」
[[rb:玲玲 > リンリン]]の顔は、また一段と虎のものに近づいていた。以前は人間の顔に虎柄の毛が生えているといった感じだったが、今は虎の顔に妙に人間らしい表情がついていると言った方が相応しい。
昨日生えたばかりのヒゲは、左右合わせて十本以上に増えて、その根元のあたりの肉が膨らんで、ネコ科の口元のような形になっている。
さっきまでピンク色だった唇は、上唇が真っ黒に染まって、おまけにその真ん中にできた縦の裂け目が、鼻に向かって上に伸びつつあった。
おでこも少し潰れたように縮んで、平らな頭になってきている。髪も薄くなったようで、その間から鮮やかな獣の毛による縞模様が顔を覗かせている。耳はまだ顔の横についているが、その内側にはフサフサの耳毛が溢れんばかりに生い茂っていた。
「アタシ、ガンバッテ、ニンゲン、マモッタ…オジサンモ、ガンバッテ、タ、カラ」
[[rb:玲玲 > リンリン]]はそう言って、ぎこちなく微笑んだ。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]……っ!」
本当は、彼女を抱きしめたかった。だが、こうしている間も、俺はボス虎に犯されていて、腕を伸ばすこともできない。
…そのせいで、まともな判断ができなくなっていたのだろうか。何とか[[rb:玲玲 > リンリン]]に思いを伝えたかった俺は、無意識のうちに、舌を伸ばしていた。そして、前に出っ張り始めている[[rb:玲玲 > リンリン]]の鼻先を、ペロリとひとなめした。
「ひゃ、オジ、サン?」
[[rb:玲玲 > リンリン]]は驚いたような声を出したが、すぐに理解したのか、同じように舌を伸ばして舐め返してくれた。おかげで、わずかではあるもののホッとした心持ちになれた。
俺が解放されたのは、それからさらに気が遠くなるほど何度も犯し倒されたあとだった。
[newpage]
それからというもの、俺達はひたすらこんな日々をまるでルーティンのように繰り返させられていた。
[[rb:血腥 > ちなまぐさ]]い生肉を食わされ、その後で、俺は失神するまでボス虎によって犯される。毎日、毎日、同じことの繰り返し。
行動に違いがあるとすれば、はじめのうちは苦痛で気を失っていたのが、ここ数日は快感で意識を飛ばすようになってきたことだった。
犯された初日に引き裂かれてボロボロになったはずの俺の肛門は、どういうわけか翌日には傷口が塞がっていた。それから日を追うごとに、虎の棘だらけのモノを突き入れられてもほとんど痛みを感じなくなっていき、代わりに、脳がビリビリと痺れるような快感を覚えるようになった。そうして、最後には気をやってしまうのだ。
おかげで、俺の心にも、変化が起こり始めていた。
「あう、ガフ、グァウア、あん……♡」
今日も俺はボス虎に突かれながら、獣のようなよがり声とともに、快楽の海に溺れていた。一突きされるたびに、まるでトコロテンのように俺のペニスからも精液がこぼれだす。
同時に、ボス虎のフー、フーという荒い鼻息が俺のうなじに吹きかけられた。彼もまた、俺の反応が良くなってきたことを喜んでいるのか、近頃は痛めつけるような交尾ではなく、情熱的な愛情を示すかのように、優しく、ねっとりとした動きで俺を求めてくるようになった。
おかげで俺はもう、食事の後に必ずやってくるこの時間を恐れることはなくなっていた。むしろ、待ち遠しくて、仕方がないという気持ちが、俺の心をじわじわと浸食し始めていた。
(まだかな…はやく、抱いてほしい……今日は昨日よりも、もっとたくさん、俺の中で出してほしい…)
まるで、オスを求める発情したメスのような思考だった。
そして、俺のそんな欲望を、ボスはいつも叶えてくれる。あれほど酷い目に合ったというのに、まるですっかりそれを忘れてしまったかのように、感謝の念さえ抱きながら、犯され、精を注ぎこまれる喜びに打ち震えていたのだった。
(俺……一体、どうなってるんだ……)
ふと正気に返るたびに、あり得ない心の変化が起きていることに気づく。その時だけは戸惑い、恐怖すら覚えるのだが、交尾の時間がやって来て、彼の匂いを近くに感じるだけで、その理性は消し飛んでしまう。
俺という存在が、目の前のボス虎に呑み込まれていくようだった。
そんな心の変化に呼応するように、俺の外見もまた、変化していった。
はじめは全身に橙色の毛がうっすらと生えだしただけだったが、やがて黒い縞模様が浮かび上がり、肩から背中にかけて、虎柄の毛皮がどんどん広がっていく。
そして骨格も、虎のようにややずんぐりとした、頑丈なものになってきた。
(ああ、やっぱり)
はじめに変化に気づいたとき、俺は自分でも驚くほど取り乱さなかった。[[rb:玲玲 > リンリン]]の例を見ていたということもあるし、何よりこうして身体が変わって来たことで、ボスにより激しく愛してもらえる。その喜びの方が、俺の中では大きかった。
そして、変化が進んだのは当然、俺だけじゃなかった。
俺がそんな日々を送っている一方で、[[rb:玲玲 > リンリン]]も手下のメス虎たちによって、快楽を叩き込まれていたようだった。
そう、後で知ったことだったが、手下の三頭の虎たちは、全員メスの虎だった。ボス虎がいない間も身体を愛撫してくるだけで、俺の尻を犯そうとはしなかった理由が、これで分かった。
そんなメス虎たちに、[[rb:玲玲 > リンリン]]は全身くまなく愛撫され続けていた。女同士ということで、ボスに抱かれたときほどの激しさはなかったようだが、何時間も続く緩やかな快感の波と穏やかな交わりは、幼い彼女の心身を虜にするには十分すぎるものだった。
こんなふうに、お互い別々に犯され、堕とされていくなかで、励まし合うことができない状況が続いた。
そうなると、俺達の変化していく体と心を止められるものは、なにもない。
ある日、俺は肩を揺すられて目を覚ました。見れば、[[rb:玲玲 > リンリン]]が悲しそうな表情で俺を見つめていた。
「どうしたんだ、[[rb:玲玲 > リンリン]]」
「おじさん、見て…」
そう言うと、[[rb:玲玲 > リンリン]]はくるりと後ろを向いて、俺にお尻を見せてきた。
「ああ…」
[[rb:玲玲 > リンリン]]が悲しんでいる理由は、すぐにわかった。
彼女のお尻の上から、とうとう尻尾が生えてきたのだ。
まだ短く、ほんの手のひらほど長さしかなかったが、それでも縞模様の毛が生えた、間違いなく虎の尻尾だった。
「おじさん…あたしがすっかり虎になっちゃったら、その時はあたしを見捨てて、一人だけでも逃げてね」
すっかり頭の上に移動した耳をパタつかせて、[[rb:玲玲 > リンリン]]は悲痛な声で言った。
「そんなこと考えるな。それに…」
俺は自分の身体を見ながら、答えた。
「俺だって、もう、同じようなもんだ」
俺の身体は、もうはじめに会ったときの[[rb:玲玲 > リンリン]]の状態よりも、虎への変化が進んでいた。
それは外見だけの話じゃない。
俺はもう、人間の言葉を喋れなくなっていた。
どんなに頑張っても、まるで舌が麻痺したみたいにうまく回らないのだ。
薄々気づいていたが、姿の変貌に反して、[[rb:玲玲 > リンリン]]の喋り方が日を追うごとにスムーズになっていったのは、彼女が人間の言葉を取り戻したからじゃない。俺が、虎の言葉を理解できるようになり、[[rb:玲玲 > リンリン]]の人間混じりだった言葉が、完全に虎のものになっていったからだ。
それが証拠に、最近では、他の虎たちの言葉さえもわかるようになっていた。
今の俺達二人の会話は、人間にはもう何を言っているのかわからない、獣の唸り声にしか聞こえなかっただろう。
「もういっそ、一緒に虎になるのも、悪くないかもしれないな」
思わずそうこぼすと、[[rb:玲玲 > リンリン]]は「ギャゥ」と小さく唸って、言った。
「だめだよ、おじさん。おじさんも、おかしくなっちゃってる」
「! ……ああ、そうだな」
[[rb:玲玲 > リンリン]]の言葉に、俺は自嘲気味に笑った。
おかしくなっていることは、自分でもわかっていた。早く虎になりたい。その方が楽だ。肉の味がもっと楽しめるようになるし、ボスにもっと愛してもらえる。幸せじゃないか。その方が、いいんだ……。そんな異常な考えが、もうずっと、頭から離れない。
冷静でいるうちは、そんなのダメだと理性で打ち消すこともできる。だがひとたび血の匂いを嗅ぎ、虎の唸り声を聞き、ボスの身体と性器から出るフェロモンを浴びると、俺の中の人間性は簡単に押し流されてしまう。
「虎になってもいいなんて、そんなこと考えちゃ、だめ。変わるのが、もっと早くなっちゃうよ」
すっかり瞼の上のヒゲまで生えた顔を手でこすりながら、[[rb:玲玲 > リンリン]]はそう言った。
「おじさんが来た日、あたしも、そう思うようになってた。そしたら、ほら、すごく早く変わったでしょ」
確かに、そうだった。俺の腕の中で急速に変化していったあの日の光景は、いまだに忘れられない。
「おじさんは、人間。そうでしょ?」
すがるような少女の言葉に、俺は頷いた。
「そうだな、気をつけるよ」
もうほとんど虎の姿になってしまった[[rb:玲玲 > リンリン]]でさえ、必死に踏みとどまろうとしているのだ。大人の俺が耐え抜かなくては示しがつかない。そう思って、俺は彼女の顎を優しく撫でた。ゴロゴロと嬉しそうに喉を鳴らす声が聞こえてくる中で、その彼女を撫でる俺の指が、太く短くなり始めていたことには気づかないふりをした。
[newpage]
ヒトとしての心を保とうと決心した俺だったが、その決意は早くも、その日の食事の直後から揺らぎ始めていた。
「おじさん、頑張ってね……」
そう言ってメス虎たちに連れて行かれる[[rb:玲玲 > リンリン]]を見送った後、俺はクンと鼻を鳴らした。
これまでそばに近寄らないと感じなかったボス虎の匂いが、今日は彼が俺を交尾へと誘うためにやってくる前に感じられたのだ。
(いつもより、すごく、強い匂い…?)
俺はつい、ふらふらとその匂いを辿り始めてしまった。
(行くな!)
突如聞こえた俺の中の声に、ぴたりと足が止まる。
そうだ、俺は、あのケダモノに、俺たちをめちゃくちゃにしたボス虎に、屈してはいけないのだ。
慌てて自分の鼻先を叩いた。あまりに匂いを嗅ごうとしすぎて、口が半開きになっていたのも、手で抑えつけた。
だがそこへ、今度はボスの身体の匂いとは別の匂いが、俺の鼻をくすぐった。
(こ、これは…ボスの……!)
それはボスの尿の匂いだった。
ツンと鼻を叩く匂いに、俺はまた口を開けて、今度は舌まで出してしまった。こうすると、より強く匂いが感じられるような気がするのだ。
匂いからは、ボスが俺を誘っているのがわかる。これは交尾の相手を、呼ぶ匂いだ。
「グルルルゥ……」
唸り声が漏れた。いけない、このままでは、本当に負けてしまう。負けたら、俺はまた人間性を失ってしまう。
(頼む、正気に戻れ! [[rb:玲玲 > リンリン]]と、約束しただろう!)
そんな俺のヒトとしての思いを嘲笑うように、俺の身体は勝手に動き出していた。まるで自分のものではないような足が地面を蹴りつけて、まっすぐにボスのもとに向かっていく。
(ああ……ダメだ……)
ヒトの心が、いとも簡単に獣の心に押しつぶされていくのがわかる。人間が虎に勝てるわけはないのだから、当然なのだが。
ボスは俺が自らやってくるのを待っていたかのように、彼の寝床に横たわっていた。そして、その少し離れたところの壁に、俺を誘い出した尿の匂いが撒かれていた。ここから先は俺の場所だ、という主張も感じ取れる。
(ボスの場所……俺なんかが入っちゃ、ダメだよな)
本当ならすぐにでも抱きつきに行きたい衝動に駆られていたのだが、上位の者に対する礼儀として、俺は彼のスペースから距離をとった。俺が無断で立ち入っていいのは、匂いがついているゾーンの外までだ。
来いと言ってもらえるまで、ここから先は踏み入ってはいけない。
俺は、ボスの縄張りの外を、グルグルと回り始めた。
「どうして、こっちに来ない?」
そんな俺の様子を見て、ボスは挑発するように笑ってそう言った。
——わかってるくせに、いじわるなことを言うんだから。
だが、俺の身体はそんな小さな不満よりも、彼の声を聞いた瞬間に疼きだした胸の高まりに、すっかり支配されていた。
「行儀のいいやつだ」
低く、ダンディな声。喋っていることがわかるようになってからというもの、俺は彼の男らしい深みのある声に、魅了されていた。
「クゥーン、グルルルゥ…♡」
(ねえ、早くシてよ…♡)
甘えた声で、精一杯媚びを売るように、俺は鳴いた。ボスは、それを聞くと満足そうに頷いて、むくりと起き上がった。
「いい子だ、こっちにこい」
ボスに許された俺は、すぐに彼のそばまで掛け寄って、四つん這いになり、地面に伏せた。
「可愛がってやる」
そう言いながら、ボスは俺の背中にのしかかって来た。ボスの大きな一物の先端が尻にあたる。それだけで、ゾクゾクとした快感が背中を走る。
「グルルルゥ……♡」
俺は小さく呻くと、期待に満ちた目でボスを見つめた。早く入れてほしいとばかりに腰を振ってみせると、ボスはニヤリと笑って、一気に押し込んできた。
「グルォ♡、グ、ァア♡」
あまりの圧迫感と快感に、俺は背中をのけ反らせた。すると、俺の鼻先がボスの口元へ、まるで逆立ちしながらキスするみたいに、触れた。
(ああ、くっさぁい…♡)
食事を終えたばかりの俺たちは、まだお互い口元に血の匂いを漂わせていた。そこに彼の吐息が混ざり、得も言われぬ匂いが顔中に広がる。たくましい獣の力を示すような強い香りに、腹の中がキュンキュンして、腰が自然と動いてしまう。
「グル、ォ、オウゥ、ガァアッ!」
ボスはそれに合わせるように、激しく抽挿を繰り返した。
ほどなく精液が注ぎ込まれ、俺もほぼ同時に絶頂を迎えた。
だが今日は、いつもと様子が違った。
(あ、あれ…?)
いつもなら、俺の一物がにょっきりと毛皮の中から顔を出し、盛大に精を漏らすはずが、今日はまったく反応しなかったのだ。
(気持ちよかった、はずだけど)
快感はあった。間違いない。しかし、俺のモノは射精はおろか、勃起すらしていない。困惑している俺に、ボスが甘い声で囁いた。
「うまく育ってきたみたいだな」
「え?」
俺は思わず、間の抜けた声で聞き返してしまった。
するとボスは、フフンと鼻を鳴らして、まるで出来の悪い生徒に言い聞かせるように答えた。
「お前、しっかりメスになってきたんだよ。あの三下どもの、仲間入りだ」
「え、メスって、でも、俺は、オスで…」
俺の言葉に、ボスはさも愉快そうに笑ってみせた。
「だから、うまく育ってきた、って言ったろ」
そう言って、さらに深く、俺の中に肉の槍を押し込んできた。
俺はもう喘ぎ声を上げながら、ひたすらボスの腰の動きに合わせて、身体を跳ねさせるだけだった。
「ガァッ♡、グ♡、アゥ♡、グルォオ♡、ァア♡」
深く突かれるごとに、俺の思考はグズグズに溶けていく。メスだとかオスだとか、そんなことはもうどうでも良かった。
気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい……! 好き、ボス、好きぃ……!もっと、もっと来て、めちゃくちゃにして!
そんな蕩けた俺の耳元に、ボスの甘い唸り声が入り込んでくる。
「いいぞ。もっと快楽に身を委ねろ。お前はもう、ヒトじゃない。俺のメス。この群れの仲間の、メス虎なんだよ」
俺は、ヒトじゃない。もう、人間じゃない。ボスの、メス、メス、メス虎なんだ! その言葉を心の中で繰り返すたびに、俺は胸が熱くなるのを感じた。
必死でつなぎ止めていたはずのヒトの心が、バキ、バキ、と壊れ始める音が、心の中で響く。
そして俺はとうとう、[[rb:玲玲 > リンリン]]の忠告を忘れてしまった。
(こんなに、気持ちいいなら、こんなに満たされているのなら、俺はもう、虎になっても、いいんだ……!)
そう思ってしまった。
その瞬間だった。
「ふ……グゥッ!!?」
全身に、今まで感じたことのない寒気が走った。
「……始まったな」
ボスの満足げな声が聞こえる。そして、勢いよくモノが俺の中から引き抜かれた。けれど、そんなことに構っている余裕はなかった。
俺の身体は、意思に判してビクビクと痙攣を始めた。そして同時に、骨の軋むような音が鳴り響いた。
「グァア!!!」
まず痛みが襲ったのは、鼻の下だった。今まで生えてきたものとは比べ物にならないほど太くて硬い、長い毛が、皮膚を破って、ワッと一斉に伸び出してきたのだ。その毛は、一本一本が神経に直接つながっているみたいに敏感で、触れるだけでピリピリとした電気のような刺激が走る。これが、虎のヒゲの感覚なのかと思う間もなく、痛みはさらに強くなった。顔全体の骨が、変形を始めたのだ。
「がッ!、ガッ、ァ、ギャアアアッ!」
鼻筋が横に広がり、それと同時に顎ごと前方に伸びてきた。顔が割れてしまうのではないかと思うほどの苦痛に、俺はのたうち回り、涙と涎を流しながら地面を引っ掻いた。
だが、その指先が触れた瞬間、手にも激痛が走った。
骨が溶けているかのような疼熱感とともに、ゴキゴキと音を立てて手の形が変わっていく。
今までは甲の方にしか生えていなかった獣毛が手のひらにまで浸食して、完全に毛むくじゃらの手になるのと同時に、指は縮み、反対に手のひらの部分は大きく、縦に長く広がっていった。指の付け根の部分と指の先の部分は不自然に盛り上がり、黒く変色していく。お互いがくっついてしまうほど大きく、丸くぷっくりと膨らんでいったそれは、見事な肉球となった。
そして極めつけに、指先に激痛が走ったかと思うと、もともと生えていた平たい爪が、その奥から生えてきた鉤爪に串刺し状に貫かれる形で剥がれた。あまりの痛みに思わず手に力が入った瞬間、鉤爪は指の中に引っ込み、それに刺し貫かれていた人間の平爪がぽろぽろと地面に落ちた。
「が……あ……」
毛皮も、ヒゲも、肉球も、顔や手の変形も、これまでの自分には無かった虎としての肉体が出来上がっていくだけのことだった。しかし、もともと生えていた爪が目の前で剥がれ落ちて行くのは、まるで、俺の中から失われていった人間の部分を見せつけられている気がした。
それに気づいた途端、俺の中に強烈な未練が蘇ってきた。
(俺は、一体、何をしていたんだ……)
人間だった俺が、無くなっていく。この爪のようにはがれて、堕ちていく。
「ひ、ヒィ……!」
悲鳴を上げたくなるほどの恐ろしさが、俺の正気を呼び戻してくれた。
(嫌だ! 俺は、やっぱり、人間でいたい!)
そう強く何度も念じていると、全身に走っていた痛みが少しずつ収まっていくのを感じた。急速に進んでいた変化が、なんとか止まったようだ。
(ま、間に合った……)
あのまま思い直せなければ、どうなっていたことか。俺は心底恐怖に震えた。
[[rb:玲玲 > リンリン]]の忠告の意味が、今更になって思い返される。
『虎になってもいいなんて考えちゃだめ。変わるのが早くなっちゃうよ』
まさに、彼女の言ったとおりだった。それを実感すると同時に、俺より長くこんな環境に居ながら、まだ完全には虎にならずにいられている彼女の心の強さに、尊敬の念すら浮かんできた。
「り、[[rb:玲玲 > リンリン]]、俺は……!」
「ちっ、ヒトの心が戻って来たか」
ボスは忌々しげに唸り声を上げた。
「まあいい、もうひと押しだ。焦らず、じっくりやってやるさ」
そう言って、動けないでいる俺を蹴飛ばすと、いつの間にか集まって来ていた手下のメス虎たちへ引き渡し、巣穴から去っていった。
[newpage]
戻ってきた俺の変わり果てた姿を見るなり、[[rb:玲玲 > リンリン]]はよろよろと歩み寄ってきた。
「おじさん…!」
「すまない、[[rb:玲玲 > リンリン]]。俺は……負けてしまった」
せっかくの忠告を活かせず、虎になっていく自分を認めてしまった。結果、このザマだ。
「ううん、いいの、そんなの。おじさんは、悪くないから」
それでも[[rb:玲玲 > リンリン]]は、そう言って俺を許してくれた。そして、優しく俺を抱きしめてくれたのだ。
(あれ……?)
そこで、違和感を覚えた。
今まで俺よりもずっと小さかった[[rb:玲玲 > リンリン]]の身長が、俺と変わらないくらいのサイズに大きくなっている。顔の高さが、ほぼ同じところにあった。
「……気づいたんだね」
[[rb:玲玲 > リンリン]]は悲しそうにそう言った。その顔も、よく見れば以前よりずっと大きくなっている。
俺は理解した。
[[rb:玲玲 > リンリン]]の身体が、人間サイズの虎っぽい姿から、本物の若い虎の姿へと変わってしまったのだ。
この穴にいるメスの虎は、みんな2メートルくらいの体格がある。[[rb:玲玲 > リンリン]]はそれよりは小さいようだが、それは、彼女がまだ本来子供だからだろう。
「さっき、あたしも負けちゃったんだ」
そう言って、彼女は苦笑いをした。
「だってお姉ちゃんたち、みんな、すごく優しいんだもん。痛くしないで、気持ちよくしてくれるんだもん。…これなら、虎になっても、いいんじゃないかって、おもっちゃったんだもん」
そう言って、彼女の目から、涙が流れ落ちた。そして、彼女がその目元を自身の手で拭った瞬間、パラリと音を立てて、その頭にわずかに残っていた長い黒髪がすべて地面に落ちた。
もう、彼女の頭部は完全に虎のものに変わっていた。唇は上下ともに真っ黒なものに変わり、鼻先へむかって縦に裂けた隙間もしっかり出来上がり、せり出した鼻先を頂点として力強い虎の顎が完成されている。その瞳を縁取る大きな白目の部分だけが、ヒトとしての面影を残していた。
「おじさんは、戻ってこられたんだよね。…でもね、あたしはもう、完全には戻ってこれなかった。…まだ、お姉ちゃんたちの仲間になりたいって気持ちが、収まってくれないの」
お姉ちゃんたち、というのは、ボスの手下のメス虎たちのことか。そんな呼び方をしているところを見るに、本当に、彼女の心はもう、ほとんど虎のものへと墜ちてしまったらしい。
「[[rb:玲玲 > リンリン]]…」
「あたし、もう頑張らなくても、いいよね?」
[[rb:玲玲 > リンリン]]はそう言って、寂しげな微笑みを浮かべた。
「だ、ダメだ、[[rb:玲玲 > リンリン]]。しっかりするんだ。…虎になってしまったら、お父さんやお母さんには、もう会えなくなるんだぞ」
俺は必死に説得した。俺は[[rb:玲玲 > リンリン]]の存在があったからここまで耐えられたというのに、その[[rb:玲玲 > リンリン]]が折れてしまったら、もう、俺もヒトのままでいられる自信がなかった。
だが、[[rb:玲玲 > リンリン]]は俺の説得には答えず、もはやヒトのような豊かな表情もできなくなった顔で低く唸ると、静かに、言った。
「もう寝よう?立ってるのがしんどいし、今日は身体がいっぱい変わったから、疲れちゃった。おじさんも、そうでしょ?」
俺は、もう何も言い返せなかった。
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(2)へつづきます