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予定があるらしいのに「少しだけなら」と実験に付き合ってくれた青年に感謝!
しかも言葉が通じない問題も、魔道具とやらで解決出来るみたい。
そうなれば自分だけでなく、友人とも直接コミュニケーションが取れるしね。
スムーズに交流出来るに越したことは無いので、とても助かる。
色々やり易くなるのは純粋に嬉しいし。
さて、初めて見るけど魔道具ってどんな物かいな?
青年の話を友人に伝えながら話をする事暫し、とうとう[言語変換]の魔道具が傍仕えの手で届けられた。
「良い機会だからな、紹介しよう。私の傍仕えのジャスパーだ」
「お初にお目に掛かります。ジャスパーと申します」
茶色い革張りの箱を受け取り、青年が隣に立つ傍仕えを紹介する。
傍仕えはこちらが見えていないだろうに、ピシリと綺麗な礼をしてくれた。
丁寧な態度に、つい反射的に頭を下げて答える。
「あ、どうも。アヤです。」
一方で私はその綺麗な所作に対し「それってどうなの?」といった感じの返事しか出来なかった。
だって、ついにご対面!アド君以外の異世界人ですよ?!
もうビックリ&興味津々!!
その傍仕えさんとやらがまた・・
尖った耳の感じがどう見てもエ・ル・フ!
え?若っ!
13か14歳くらい?ぱっと見ホテルマンみたいな制服を着た中学生なんですが?
さらっと流れるような綺麗な銀髪を首の後ろで一本にまとめて背中に流してるのが凄い似合ってる!
お顔は綺麗系だけど、目だけは「それ見えてるの?」ってくらいの糸目。
んでも瞼から伸びる睫毛も髪同様銀で綺麗!
胸ないし、男の子?・・いや、エルフの定番でよくあるつるぺたという可能性が・・
てかこの外見でもし男の子だったりしたら・・
「え?アキの好みドストライクじゃね?」
「?・・何がだ?」
「なになに~?私の好みが何て?」
ぼそりと呟いた言葉に二人が反応したけど、とりあえず向こうの様子が解らない友人の言葉に反応する。
「アキ・・早いとこ有線でカメラ繋がないとだよ」
「どゆこと?」
「アド君の傍仕えさんの、ジャスパー君・・さん?どっちか判んないけど、めっちゃ綺麗系糸目の中学生エルフ」
「・・・マジ?」
「マジ。ちな銀髪」
傍仕えさんの容姿を説明したら、友人はガチリと固まった後、いきなり私の両肩にバンっ!と手を置いてギリギリと力を込めて来た。
「痛っ!いたたた!ちょ、マジ痛いっ肩砕ける!!」
「アコ。今からカメラとタブレット取って来るから待っててくれるよう伝えて!」
「む、無理だよ?!アド君たちにも予定あるんだからっ!」
「ならせめて性別確認してっ!」
鬼気迫る友人に気圧されてちらりとあちらに視線を向ければ、驚いた顔の青年がこちらの意を汲んで「ジャスは男だ」と教えてくれた。
「ありがとっ!男!男の子だって!」
感謝の言葉もそこそこに、友人に視線を戻して返事をする。
するとようやく肩が解放された。
「っしゃー!キ・タ・コ・レ!!」
両手を握りこぶしにして、ダブルガッツポーズで歓喜に吠える友人。
・・嬉しそうで何より。暫くほっとこ。
自由になった両肩をぐるぐる回して解していると、困惑した表情で青年が問う。
「・・アキ殿は一体どうしたのだ?」
「あれ?傍仕えさんの容姿が好みど真ん中で絶賛興奮中」
後ろで珍妙な踊りを披露している友人にちょっと恥ずかしくなりながら「放置してて大丈夫だから」と気にしないよう伝えた。
「アキ殿はジャスくらいの年齢が恋愛対象なのか?」
「いや、恋愛っていうか、愛でるだけ。こっちでは大人が14、5歳の子に手を出したら犯罪だし」
「・・・ジャスは私よりも年上だが・・」
「・・マジで?」
びっくりして視線を隣の傍仕えに向ける。
と、なんとなく会話の流れを察したのか胸に手を当てて軽く会釈された。
「わたくしはハーフエルフですので」
「ハーフエルフ?!」
「あぁ。エルフは人より遥かに長く生きるからな。その血が入ると、それなりに成長もゆっくりなのだ」
そう二人に説明されてぱかりと口を開けて驚く。
「・・・マジ異世界だわ・・」
言葉少なに固まっていると「アディード様、そろそろ・・」と傍仕えが青年を促した。
どうやら時間みたいだ。
「すまない。今日はここまでだ・・魔道具を試せなくて悪いな」
「いやいや!気にしないで?!次時間がある時にでもまたよろしくお願いします!」
驚きから回復しきらぬまま、何となく立ち上がって斜め45度で頭を下げる。
するとそこへ別れの気配を察したのか、結構な勢いで友人が抱き付いてきた。
「うごっ!」
「えっ?!まさかもう帰っちゃうの?!そんな?!まだ顔も見てないのにっ!」
「ちょ・・苦しっ・・締めてる、締めてる、からっ!・・」
背後から首に回された腕を「ギブギブ」とタップしたところで、青年が「姿を確認したいのなら、また「すまほ」で写せば良いのではないか?」と提案してくれた。
それだっ!
ナイスアイディア!
手元のスマホのカメラを何とか起動して、青年に放る。
上手く受け取った青年はスマホの画面に映し出されたのが、手前側ではない事に直ぐに気が付いたようだ。
立ち上がると、戸惑った様子の傍仕えにスマホを向け「そのまま動くな」と伝えてシャッターを切る。
「これで良いか?」
画面を上にしたスマホがこちら側に押し出され、コトリと台の上に置かれた。
「・・アキ、アキっ!写真撮ったよ!」
「何だとぅ?!見せてっ!!」
絡まるように回していた腕を放し、友人は私を押し退けてスマホに飛びついた。
そうして画像を確認した後、信奉する神に捧げるが如くスマホを頭上高く掲げ持ち、片膝を立てた姿勢で固まっている。
歓喜と興奮がキャパを越え、感激に震えているらしい。
床にorzの格好でいる自分に、青年は心配そうに「平気か?」と声を掛けてくれた。
「うん・・ダイジョブ・・ふざけてじゃれただけだから・・」
「そうか、まぁ、大事にな・・」
「ありがと・・」
『変人と付き合うのは大変だな』とでも言いたげな青年に礼を言って、四足歩行から二足歩行へと進化する。
「そうだ。ちょっとだけ待ってくれるかな?お兄さんたちへのお礼の品を預けたいからさ」
「分かった。それにしても、もう届いたのか・・本当に早いな」
「ね~。便利で助かってます!」
言葉を返して、冷蔵庫へと向かう。
昼食前に届いていたプチケーキの詰め合わせを取り出すと、そのまま青年へと手渡した。
「お兄さんたちに「助けてくれてありがとうございました」とお伝えください」
「心得た。アヤの気持ちはしっかりと伝えよう。それと確認だが「るー」の対価は本当に金貨で良いのだな?」
「こちらとしては助かるが・・」と言い淀む青年。
どうやら散々「金貨は面倒だ」と伝えていたので、急な方向転換に『骨を折らせてしまったのでは?』と心配してくれたらしい。
「うん。見本として預かったこの一枚を調べてみないとだけど、多分大丈夫。アキの伝手でこっちのお金に交換してもらう予定なんだ!」
「そうか。目途が立ちそうで何よりだ」
「ではな。明日の夜にまた会おう」と言い残し、青年は傍仕えと共に鏡の前から去っていった。
その姿が視界から消えても、なんとなく扉の閉まる音がするまでは手を振り続ける。
さぁて。明日はカレールーの初取引だ。
積み上げられた金貨を想像すると、ちょっと楽しくなってきましたぞ?
ワクワクしながら、鏡台の上に置いていた黄金色のコインを手に取ると、親指と人差し指とで挟み持ち目線の高さに合わせてしげしげと観察する。
今見てる面にはカクカクとした鋭角な模様が大きく彫られており、ひっくり返した面には翼の生えた馬が彫られていた。
もしかしてあっちにはペガサスもいるのかな?
うん。中々にカッコイイデザインです。
ムフフ。金の含有率、高いと良いな~
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