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【82】側仕えハーフエルフの退屈な対価。【閑話】【R18(BL)】
自ら望んだ事とはいえ、これから赴く場での行為は楽しい物ではない。
半精霊を自身から離し、一つ溜息を吐いてからジャスパーは重い一歩を踏み出した。
他の「鳥」に悟られないよう道なき道を行く。
使用人専用の通路を通り、壁を駆け上がって屋根を伝い、屋根裏から非常用の脱出路へ降りる。
そこから暗い石壁の内側を延々と伝い歩いて、漸く「梟の黒」の私室へと辿り着いた。
一見、何の変哲も無い壁をコン、コココンと独特のリズムで叩くと、ぼぅと淡く光る魔術陣が浮かび上がる。
陣の真ん中に人一人が通れる程度の穴がぽっかりと開くと、無言でそこを潜った。
通り抜けた先は大き目の寝台とソファセットが置かれた寝室で、天井には明かりの魔道具が取り付けられており室内を煌々と照らしている。
「あはっ♪昼ぶりだね「錆」。待ってたよん♪」
「・・・随分と出来上がっているな「黒」・・」
気怠げな空気を隠しもせずに言葉を投げつつ、脱いだ上着をソファの背に置いた。
「ひひっ♪だってぇ・・ん、すっごい久々だから、待ちきれなくて、さ」
薄布だけを纏い、寝台の上で身をくねらせるサテュロスの青年を視界から外して、リボンタイを引き抜いた半エルフは不機嫌に訊ねる。
「それで・・今回はどの程度を望む?」
「勿論!僕が満足するまでお願いするよんっ♪」
元同僚に舌打ちで返し「・・いいだろう。さっさと終わらせる」と告げると、意地悪く笑ったサテュロスは楽しげに言った。
「え〜?すっごい久々なんだし、じっくりと時間を掛けて欲しいんだけど?」
「却下だ。睡眠時間が減ると俺の子が心配する」
「・・長い間仕事仲間だったのに、使役してる半精霊より扱いが軽いとか傷付くわぁ・・悲しくって僕、泣いちゃう!」
悲劇の主人公の如く嘆き、態とらしく目元を擦る元同僚に苛立ちを顕にして、外した白手袋を脱いだ上着の上に勢いよく叩きつける。
「クソが。己の行動を少しでも顧みてから言えこの屑」
「え〜怖ぁ・・ご主人様の前とで随分態度が違くない?本気で泣くよ?」
「・・・言葉遊びもいい加減にしろ「黒」。さっさと来い」
普段閉じている瞼を薄く開け、ジロリと冷ややかな視線を直接向けられたサテュロスは背筋をぶるりと震わせて笑う。
そうして、通常は尻尾の下に隠れている後穴へ埋めていた自らの指を漸く抜くと、愉しげに「はぁい♪」と返事を返した。
〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇
明るい室内に、ぐちゅぐちゅと粘着的な音が響く。
ソファに座る自分を挟み込むようにして膝立ちで乗り、背もたれを掴み夢中で腰を振る元同僚を冷ややかに観察する。
長い舌に自らの舌を絡め、粘膜同士で直接繋がった事で可能となった他人の魔力操作。それを駆使して、元同僚の体内を注意深く把握していく。
すると体中、至る所に濁り固まった魔力の不純物である「澱」が、痼りの様にして魔力の流れを阻害しているのを確認出来た。
『・・確かに「澱」が濃く、多い』
どれだけ「澱」の排出を怠けていたのか。
自分が側に居た時より格段に多いその数に苛立ちが募る。
特級呪詛師というのなら、自己管理くらいきっちりしてから威張れというのだ。
『兎も角、一度出してどの程度薄まるか確認だな』
そうと決まれば早速、好きにさせていた律動を制し、こちらから刺激を与えてやる。
普段は体内に収められている肉色の性器。握っていたその先端を、今度は包み込むようにして手のひらを沿わせ、強めに擦り上げた。
と、同時に魔力操作で「澱」を押し流すように意識して流れを作る。
「んふっ?!んっ!ぷはっ!あっ急に、あーっ!」
荒くなった鼻息が不快で絡めていた舌を解放すると、自由になった唇から途切れ途切れの言葉が溢れた。
が、それも直ぐに意味を無くした嬌声に変わる。
快楽に善がる元同僚を視界に収めつつ、淡々と手を動かして射精を促すとすぐに限界が訪れたらしく、手の中で欲望が弾ける感触。
包み込んだ指の間から溢れた白濁が、手首を伝い捲った袖口まで垂れてきた気配に眉を顰めた。
無言で性器から手を離し、洗浄魔法を発動して自分だけ身綺麗にする。
「ふぇぇ・・こんな直ぐ出るなんてぇ・・最初が一番きもちぃのに、もうちょっと加減してよ錆ぃ」
早々に達した事を不満げにそう零す元同僚に構う事なく「知った事か」と返して、後頭部を掴み引き寄せまた舌を絡めた。
「澱」は・・然程移動していない。これは時間が掛かりそうだ、実に面倒くさい。
手っ取り早く終わらせるには・・手数を増やすか。
すぐに口を離し「黒。「道具」は?」と訊ねれば、唇の端を長い舌で舐めたサテュロスは赤らむ目元を楽しそうに細めて「あるよ。使う?」と短く答えた。
「太いの細いの数が多いの・・色々あるけど、どれにする?」
「使うのはお前だろうが。何でもいい。さっさと出せ」
「んもぅ。肉体的快楽が得られない錆に精神的な気持ちよさだけでも感じて欲しいから、選択肢をあげたいのにぃ」
「興味ない」
「ちぇっ。堅物〜半エルフ〜」
煽る言葉へ反応する前に、ソファからぴょいと飛び降りたサテュロスは寝台に近づき、その隣のチェストから四角い封印箱を取り出した。
寝台の上に箱を置いて蓋を開けると、中身を取り出して肩に抱き上げる。
「はーい。この子が今のお気に入りだよん♪かぁいいでしょ?」
楽し気に紹介されたそれはうごうごと蠢く、薄桃色の体表を粘液でぬらぬらと光らせた内臓に良く似た生き物・・はっきり言って気持ち悪い。
自分の手首程の太さの触手をサテュロスの首や腰に巻きつけ、絡みついている悍ましい肉の塊にしか見えない[[rb:コ > ・]][[rb:レ > ・]]は、元同僚が生み出した擬似生命体。
遊びにしては悪趣味な、性欲発散の為だけに作られた屑野郎の玩具。
「ぴぃちゃん、今日はお客さんが来てるよぉ?君の凄いところをたぁくさん、見てもらおうねぇ?」
股間に伸びる触手を撫で、うっとりと笑って言う元同僚へ、鼻に皺が寄るのも構わずに口を開く。
「相変わらず良い趣味だな。だが言った筈だ。時間を掛けるつもりは無い」
「わぁい褒められた〜」
「褒めてない。さっさと続きだ。来い黒」
「はぁい♪」
魔力操作を受け、酩酊に近い状態となっているサテュロスは微妙に噛み合わない会話の中、跳ねるようにしてジャスパーの元に戻った。
そうして先程と同じように膝を跨ぐ様にしてソファに乗り、唇を寄せる。
ぬろぬろと動く触手を背後から身体中に這わせたサテュロスは、夢中で長い舌を動かし半エルフの舌へと絡めた。
だが、依然ジャスパーにとってそれは接吻といった甘い物では決してなく、魔力操作の為の接続以外の何物でもない。
故に、唾液を絡めながら淡々と相手の魔力操作に集中。
少しでも早く自室に戻って就寝する為に、元同僚の「澱」を取り除くことに意識を注ぐ。
「んちゅ、ふ。んっ・・んー!んーっ!」
ぐじゅる。と粘液を滴らせた触手が山羊脚の間を這い、ブツブツと小さな瘤を纏った先端を後穴から体内へと侵入させたらしい。
喉奥で籠った嬌声を上げ、ビクッビクッと痙攣するようにして身体を震わせたサテュロスは、黒く染めた爪先をソファの背もたれに食い込ませて快感に耐えている。
一方、半エルフは魔力制御の接続が切れないように、サテュロスの後頭部を両手で抱える様にして押さえ付け、快感によってうねり渦巻いた魔力を制御。
一気に「澱」を押し流すべく意識を集中した。
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