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【144】皇国側の内情と行く先の懸念/布教はいつだって唐突に☆
眼鏡を掛けた線の細い、如何にも「研究者」といった風体の貴族。
パーガルディア皇国の遺跡調査の王国側の責任者にして、魔術陣を開発、研究、探求する者。
ストークス侯爵家次男。ケイオニクス・ストークス卿。
前国王であった父の妹姫が降嫁したストークス侯爵家。
彼はその孫にあたる人物だ。
それなりに近しい血筋ではあるが、以前の私は周囲の魔力を根こそぎ吸収してしまう体質だった為、互いに距離を置いてきた。
その故、今回の遺跡調査に参加するまで直接の交流が無かった。
眼鏡貴族・・ケイオニクス・ストークス卿は魔術陣の研究者だが、同じく魔道具の研究をしている姉上と共同で魔道具を開発することもあり、姉上経由でその為人は耳にしている。
曰く、「魔術陣開発の天才」「生粋の研究者」「歴代最高の同僚」などなど、その殆どが良い印象を抱くものばかりだったのだが、しかし。
「見ると聞くとでは大違い」というものを、このような所で実感することになろうとは思いもしなかった。
『血筋を鼻に掛けぬ、優秀な研究者との事だったが・・』
確かに、虚偽ではない。
ないのだが・・
〈つまり、魔力とは「意思」により如何様にも変化する不可視の「素材」なのだ。それは時に我ら貴族が想像し崇める「神」そのものと言ってもいいだろう。ありとあらゆる「物」に存在し、常に変化しつづけ当たり前に「そこ」にある。しかしよく、よく考えてもみろ。「それ」は「意識」すれば次の瞬間に炎へ、水へ、風へ、土へ変化するのだぞ?ただ「考えた」だけでだ。人の「意思」ほど曖昧なものなどないというの、に―・・そうか〉
〈ケイオニクス・ストークス卿・・〉
〈そうか。そうか!だからこその「詠唱」「魔術陣」!これらはあやふやで形の無い「魔力」という力を固定、顕現させる「型」だ!一定以上の魔力濃度を浸透させることで顕在化させる「無詠唱」と法則に沿った「型」に嵌める事で現れる魔法。結果は同じだとしてもそこに至る過程は似て非なる物、鳥と蝙蝠程に違う事だろう!つまり「無詠唱」による魔法構築の過程を紐解く事でより緻密な「魔術陣」の開発が―・・〉
この情報伝達方法は秘匿性が高く、多くの情報をやり取りできるという利便性も高い反面、普通に耳で聞く時の倍以上の感覚で情報が流れ込んでくるので、他の者も慣れるまでかなり苦労しそうだ。
そんな事を考えながら、再度の頭痛に眉を顰める。
一度止めたにも関わらず思念による一方的な話が何故か続いたが、撤収作業もそろそろ終盤だ。
怒涛の如く流れ込む[[rb:語り > 思念]]を断ち切るべく、意を決して何度目かの思念を飛ばす。
〈卿!そろそろ良いか?〉
〈はっ?!失礼。またしても思考の渦に囚われていた〉
〈そのようだな。だが、もう時間も無い。本題を頼む〉
ちら、と周りの様子を確認した卿は〈分かった〉と短く答えた後、真摯な雰囲気を纏い〈では改めて、感謝申し上げる〉と礼を伝えて来た。
〈今回の件。殿下の護衛が力を振るわなければ、多くの犠牲が出ただろう。それに、殿下の直接戦力としての助力、感謝する〉
〈・・今の私たちは冒険者の身。当然の働きをしたまでだ〉
〈勿論、理解している。故にこうして周囲に悟られぬよう礼を申し上げた。無論、礼が言のみという訳には行かぬ故。物でも情報でも、こちらが用意出来る範囲でお渡ししたく思うが・・如何か?〉
〈・・そうか。分かった。卿からの礼は護衛にも伝える。品の方も、有難く受けよう。何にするかこちらで相談した上で返答しよう〉
〈そうして頂けるのであれば重畳。では最後に、今回の騒動についての情報を共有させて頂く〉
『成程、これが本題か』と内心で頷き、続く言葉に意識を傾けた。
〈皇国側は事前に魔物の暴走の兆候を捉えていたらしい・・が、どうやら今回の遺跡調査。あちらでは我ら王国側の参加に異議を唱える一派が存在するらしく、そ奴らの妨害工作により移動経路の危険性の把握が不十分となり、今回の騒動に繋がった・・との事だ〉
〈それはまた・・今回の遺跡調査は皇国側からの要請だった筈だが?〉
〈どうにもその一派というのが皇国の中でも強く純人主義を掲げている派閥らしい。他国に要請を出すなら自国の意識統一など済ませておけ。というのがこちらの言い分ではあるが、あちらはとしては今回の要請に便乗して利を得ようという、禄でもない魂胆があるのだろう〉
〈それは、どちらの策略だ?〉
〈無論、共に調査する一派、それに反対する純人主義の一派、どちら共にだ。我ら王国側の知識や技術を盗み取りつつ、難癖をつけて来る純人主義派閥の力を削ぎ、牽制したい消極的他種族容認派閥。他種族との共存を進め、周辺国より突出した国力を持ちつつある我が王国を疎ましく思う純人主義派閥。どちらを相手にするのも面倒には違いないが、より厄介なのは態度を使い分ける前者の方だろうな〉
〈そうか・・〉
どことなく他人事に聞こえるのは気のせいか?
王国側で最も地位が高いのは自分であるという自覚はあるが、今はあくまでも一冒険者として同行している。
実際に相対するのは卿だと思うのだが・・
正面を向いたままちらりと視線だけを向けると、そう考えた思考が伝わったのか〈心配召されるな〉と気負わぬ様子で返された。
〈我が側近は優秀だ。あれは贈答品選びのような雑事から高度な交渉事まで的確に熟す。とりわけ、周囲の者らの機微を悟らせる事無く把握し、他人の動きを操る術に長けている。あれは事前に殿下の事も承知していたが、それを上手く隠し動いていたであろ?〉
その言葉に心底驚き、思わず目を瞬かせる。
あの小太りの貴族は、その見た目に反して稀有な能力を有していたと?
いや、自らの外見すら上手く利用し、それと気づかせずに周囲の者らを意図的に動かすのか。
なんともはや・・それが本当ならば、私は見事その術中に嵌っていたという訳だな。
〈・・成程。随分と優秀なようだ〉
〈然り。故に、交渉ならばあれに任せておけば問題は無い〉
〈懸念は交渉の外・・武力行使された場合か?〉
〈であるな。そこは殿下の護衛を筆頭に、騎士と冒険者らに任せる〉
〈分かった。情報感謝する〉
〈では良しなに。渡した小袋はそのまま手元に。何かあればまた連絡しよう〉
〈分かった〉
こうして、傍から見れば互いに視線も合わせぬままじっと無言で佇んでいただけに見えたであろう交流を終えた。
『やはり、皇国での活動は一筋縄には行かないか・・』
だが、力強い手札を明かされた事で気持ちに幾分余裕が出来た。
知らされた情報により行く先の懸念は強まったが、やるべき事は変わらぬ。
出来る限りの手を打って行くだけだ。
自分の天幕へと足を向けながらつらつらと今後について考えていたが、『今あれこれ悩んでも仕方がないか』と気持ちを切り替え、出迎えた傍仕えに片手を上げて答える。
『先ずは夕食に誘ってくれた「不屈の砦」の者たち差し入れる品を選ぶとしよう』
[[rb:魔法鞄 > マジックバック]]に入れてある品々を思い浮かべつつ、どれが良いかと傍仕えに話しを振った。
〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇
原稿も無事入稿出来たワタクシ、頑張った!頑張ったよっ!
くぅ~っ!よしっ!現物はイベント会場に直接搬入されるんで、私のやるべき作業はこれにて終・了☆
てなワケで!自由の身となった今の私はある意味無敵!
脱稿ハイの勢いに任せて、親友へのお礼イラストでも描くとするかの!
「んでも何を描こうかな?やっぱド〇ちゃん?」
今回描いた同人の主人公キャラを思い浮かべ、ペンタブの端を唇に当てて悩む。
公式が二次創作ネタをほぼ網羅するという狂気に満ちた作品だからね。
ネタには困らんのだが・・いや、ある意味困るちゃ困るが。
と、手元のタンブラー(グレープフルーツ氷に栄養ドリンクを突っ込んだブースト飲料)を傾けた所で、タイミングよく親友が訪ねて来た。
相変わらず恐ろしいほどグッドタイミングだなマイ・フレンド。
「はいはーい」といつも通りに招き入れたら・・
ん?何でそんな鼻息荒いのアキさんや?
「アコ!とりあえず何も言わずにコレ観てっ!今すぐ観て!」
部屋に上がるやいなや、新しいタブでユーなチューブを開いてとあるサムネを指さし捲し立てる親友。
「わ、分かった分かった・・ん?珍しいね。カートゥーンアニメ?」
「いいから!黙って一緒に観る!」
「おけまる。んでも飲み物くらい要るでしょ?何がいい?」
「そんなん水でいいよ水で!ほら早く早く!」
「はいはいよ~」
とまぁ、毎度の流れで新たな沼に足を踏み入れてしまうのでした。まる。
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