美しい雑誌モデルが、人頭犬に変えられて過ごす

  自慢になるけど、私はファッション雑誌のモデルにスカウトされるほど美貌の持ち主だ。

  どんな服でも私の顔の美しさを引き立たせるアクセントに過ぎない。だからこの私に合う服が見つかるか不安だったが、それが気にならないほど暮らしはかなり良かった。

  皆に注目されるし、欲しいものは沢山もらったお金でなんでも手に入る。テレビにも出演したし、街を歩けばサインや握手を求められた。そんな生活は幸せで、ずっと続くと思っていた。

  

  そんな私は目をつけられてしまった。

  それは私の美貌に嫉妬する同性ではなく、私を蹴落とそうとするライバルのモデルでもない。

  全ての人間が理解出来ない“存在”にだ。

  モデルの仕事を終え、自宅に帰る途中の私の前に奇妙な女の子が現れた。

  奇妙というよりは不気味と言った方が合ってた。右が青、左が赤の二つ結びをフードから出しており、動物の皮で出来たような長袖のコートを着ている少女が私を見上げ、笑顔でこう聞いてきた。

  「お姉ちゃん、どんな服でも着こなせるって有名なモデルさんなの?」

  私が出てるファッション雑誌の愛読者かな? そう思って彼女の質問に答えた。

  「ええ。私が着れば、どんな服でも私の美しさを引き立たせてくれるわよ」

  「それじゃあ……私が考えた“服”でもお姉ちゃんのその顔を引き立たせてくれるかなぁ?」

  そう言って片腕を私に向けた。

  その時私は、ホラー寄りの撮影に参加していたかと思っていた。いや、そう思いたかった。

  少女の向けた袖口から出ている手は、皮が剥げていて肉と骨格が剥き出しになっていた。そしてその手首から血管のようなチューブが何本か伸びていて、私に迫ってきた。

  この瞬間が撮影での設定ではなく、現実だと気づいた私は逃げ出したかった。しかし、得体の知れない少女を目の当たりにして恐怖で足が動けず、仮に動けたとしてもチューブの先端が私の胸元に突き刺さっていた。

  「いッ!? ぎゃあああぁぁぁ!!」

  「静かにしなよ。ただの“お着替え”でそんな大声を上げないでよ」

  胸から体中に広がる激痛に悲鳴を上げる私に対し、少女は軽く言う。そして“着替え”という名の“獣化”が、私の体で始まっていく。

  私の両脚、特に腿と脛が短く、足首から先が長くなって、履いていた靴が脱げてしまう。露わになった足裏には肉球が形成されていた。

  お尻から尾が伸びていき、私の髪と同じ色の毛が生え揃った。

  両腕の付け根が真横から体の前に向けられ、手の指が短くなって先端に爪が生え、手のひらだった部位に肉球が出来た。

  犬のようなナニカに変えられた首から下の身体に、毛皮が一斉に生えて覆った。

  そして、私の頭も……

  「おっと。お姉ちゃんの頭まで変えたら、“着ぐるみ”を着せちゃうことになっちゃうね」

  少女はそう言って、私の胸元に刺さっているチューブを一斉に引き抜いた。

  あまりの激痛に立てなくなった私。しかし、痛みだけでなく[[rb:二足歩行に適さない身体になった > ・・・・・・・・・・・・・・・]]から立てないことに気がついた。

  自分の身体を見下ろした私の視界には、私の髪色と同じ毛に覆い尽くされた犬の体があった。

  「な、なにこれ……わたしのからだ、どうなってるの?」

  「犬の身体に“着替えて”あげただけだよ。んじゃあ、一緒に来てもらおうね」

  小さくなった私の胴体を持ち上げた少女は、そのまま歩き出した。

  千切れたり、脱げてしまった私の服はその場に置いたままで。

  「夢……?」

  目を覚ました私は上半身を起こそうとした。しかし、起こせなかった。身体が犬に変えられていたからだ。

  これではまるでさっきまで見ていた悪夢……

  「夢じゃない……」

  悪夢のような現実の続きだと気づいてしまい、そう呟いた時だった。

  私にこんな服を、いや、こんな身体に変えた少女の声が聞こえた。

  「おっはよう、モデルのお姉ちゃん。私の考えた服は気に入った?」

  

  周囲を見渡して姿を探すが、部屋の壁一面に張られている鏡に映っている“私の顔を持つ犬”しか見つからない。スピーカーか何かを使って遠くで私に話しかけているようだ。スピーカーと言うよりは肉声で聞こえるのが気になるが、早く元の身体に戻してほしかった。

  「わ、私の体を、元に戻してよ! 家に帰らせて!!」

  「その顔でどんな服でも着こなしてきたんでしょ? だったら私の“服”も着こなしてみてよ」

  「これのどこが服なの! 犬の身体そのものじゃない、バケモノ!!」

  少女のことはよく知らないけど、人の体を犬に変えるなんて普通の人間じゃない。バケモノと呼んでも良いはずだ。

  「ゼノノアさんだよ、こっちではイギョウ様で呼ばれてるよ。どう呼ぶかは別にいいけどさ……もし私が不機嫌になったら、ずっとその服を着る羽目になるよ。それとも自力でお着替えできるの?」

  少女――イギョウの言葉に私は黙ってしまう。

  私の体を元に戻せるのはイギョウしかいない。下手に反抗して彼女を怒らせてしまったら、私は一生この身体で生きることになってしまう。綺麗な服を着れないし、モデルにもなれない。

  ……今はイギョウの言いなりになるしかない。

  「……分かった。でも、着こなすってどうすればいいの?」

  

  身体を着こなす経験が全くない私はイギョウに質問してみたが、返事がない。

  しばらくすると、私を映している鏡の壁の一部が開いていく。扉のような仕組みだと思ったが、すぐさま後ずさりした。

  「ひっ!?」

  開かれた壁から血肉のついた骨の腕が伸びてきた。ホラー映画に出てくるようなそれに私が恐怖を抱いている中、その腕は持っていたなにかを部屋に置いて、すぐに引っ込んで壁も閉じた。

  腕が置いた物を離れた場所から見ると、プラスチックで出来たペット用のお皿に守られている茶色い粒の山――ドッグフードだとわかった。

  そして“これ”を食べるのは誰なのかを察してしまった。

  「お姉ちゃんの思ってる通りだよ。今の自分がどう見えているのか鏡でちゃんと確認しながらね。残すと後が怖いよぉ?」

  聞こえてきたイギョウの声に私は絶望した。人間の体に戻るためには、犬として過ごさないといけない。だけど、このままじゃあ本当に……。

  人間に戻るために人間のプライドを捨てる事にした私は、恐る恐るお皿に近づいていき、中にあるドッグフードを食べ始めた。

  「……まずい」

  お世辞でも美味しいとは言えない味だった。しかし食べないと元の姿に戻れない。

  食べるたびに吐きそうになるが、なんとか堪えて完食しようとする。ふと鏡に映る自分の姿を目にしてしまった。

  そこには、口をドッグフードの山に押し付けている人面犬の私がいた。綺麗な顔は青ざめていて、目は虚ろになっていた。口の周りが茶色く汚れている。

  雑誌モデルでの仕事で高級レストランで美味しく食べた事がある私が、こんな姿で過ごさなければならない。

  そう思うだけで涙が止まらなかった。

  空になったお皿から離れた場所で、私は組んだ前足に顎を乗せていた。鏡に映る自分を見ないように目をつぶりながら、イギョウからの命令が来ないことを祈っていた。

  しばらくすると、下腹部内で溜まってる液体が漏れ出そうな感覚を感じた。この感覚は人間の時から身に覚えがあるものだ。

  ……トイレに行きたい。

  「おトイレの時間かな~? ちょっと待ってね」

  私の脳内を読み取ったのか、イギョウの声が鏡張りの部屋に伝わった。

  その直後、隅の床が震えているのに気づいた私は目を向けた。数十分前に、ドッグフードを置いた骨格の腕が鏡張りの壁から出てきたかのように、隅の床が開いて穴が現れた。

  私が我慢している尿意、出現した穴、これはどういう意味かはすぐに分かった。

  「ふ、ふざけないで! なんで私がそんな所でッ!!」

  「嫌ならいいよ。そんな身体で人間用のトイレは使えそうにないし、ずっと我慢してると身体に悪いよ。もし床でおもらししたら、おしっこの臭いが部屋に広がっちゃうと思うよ?」

  「……うぅっ」

  イギョウに反論されてしまった私はまた人間としてのプライドを捨てることにした。

  隅に空いた穴に近寄り、下半身を向ける。片足を上げてどうにかバランスを取ったまま、股間の筋肉を緩ませた。尿が少し漏れ出た直後、部屋中に水音が響くほど勢い良く噴き出た。

  

  ……雑誌モデルに採用されるほどの美人の私が、犬としておしっこするなんて。

  心の中でそう涙を流した時だった。

  また鏡の壁に映る自分を見てしまう、私の綺麗な顔を持つ犬が放尿している姿を。あまりの姿に私は顔を赤くする。

  でもその犬は、口角を上げて舌を垂らしながら嬉しそうにしていた。

  そんな鏡に映る[[rb:人頭犬 > 私]]を[[rb:私 > 人頭犬]]は目を離せられなかった。

  あれから何日経ったんだろう。ずっと鏡張りの部屋にいるから時間の経過が分からない。

  不味いドッグフードの味は慣れてしまい、ドッグフードの山に口を押し付けて食べる私の姿を鏡で観察するのが日課となった。

  おしっこをする時も鏡の近くでするようになった。最初は抵抗があったけど、次第にその光景を見るのが好きになってしまった。

  ある朝、私の御主人様――イギョウ様がこの部屋にやってきた。鏡張りの壁に隠されていた扉から入ってきたイギョウ様は、犬の体になっている私を見て笑顔で挨拶してきた。

  

  「おっはよー。あなたが私の姿を見るのは久しぶりね。こっちはいつでも見てたけどね、犬として過ごすのを」

  「あ、あんたが私を犬みたいに過ごさせたじゃない!!」

  私はイギョウ様に反論してやった。ご飯やトイレ等の世話をしてくれたのは感謝するが、こんな奴の言いなりにはなりたくない。

  するとイギョウ様は骨と肉が剥き出しの手で私の頭を撫でてきた。もし犬の身体に変えられた直後に撫でられたら直ぐに抵抗していたのだろう。

  しかし今は、髪の毛越しに撫でるその手が温かく心地良かった。人間の顔に笑みを浮かべるだけでなく、尻尾も振ってしまう。

  私の綺麗な顔を活かせる唯一の身体に、イギョウ様は変えてくれた。人間の時に着ていたセンスのある服も悪くないけど、あれは誰もが着れば評価されるモノだ。元々可愛い犬の身体に、美人な私の顔が組み合わせた事で、可愛く美しい生き物に私はなれたんだ。

  口を開けて舌を出し、尻尾を振り続ける私の頭を撫でながら、イギョウ様はある提案をした。

  「これからはこうやって一緒に暮らしてあげるね。雑誌モデルだった人頭犬のお姉ちゃん♪」

  雑誌モデル……そういえば人間だった時の私はそういう仕事をしてたっけ。初めてイギョウ様に会った時は、“服を着こなす”感覚で犬の身体に変えてもらった

  でもそんな昔なんでどうでもいい。首から下を犬に変えてもらい、イギョウ様に可愛がってもらえる今の方が幸せだ。

  「あ、あんたがそう望んでいるなら……一緒にいてやるわ」

  イギョウ様が望んだから仕方なく私が付き合ってあげる。そういう態度で示そうとしたけど、尻尾の振りは止められなかった。

  [newpage]

  次に書くリクエスト

  ・フィオレーネのメルゼナ化

  ・モンスター化抑制薬を研究していた女研究者が、ナルガ希少種に変えられる。

  ・子供と旦那が謎の奇病で死にかけな妻が祈りをし続けたら、異形化。飲んだ人間を異形化させ、最悪母乳だけでも生きていける体にする怪物へと変化。そこから村を巻き込んでパンデミック

  ・オスウマ(獣人)が風俗店でメスウマ(獣人)を抱く

  ・犬メスケモのメイドが、金持ちの子豚のペットにされる(※合意)