003-012
リエルの抱いた思いは少なからずダインの行いを容認してしまうモノだった、そしてその心境の変化は目に見える形でリエルの身体に刻まれて行く。
リエルに刻まれた淫紋の中央部は空白となっていたが、今の心境でそこに一つの点が浮かび上がってきた、それは細い逆三角形の点で空白部の中心下部で紅の輝きを放っている。
ダイン 「意外ですね、私はまだ何もしていないのに、リエルに兆しが現れましたよ、下から徐々に拡がってハートの紋様が完成すると私の淫魔へと完成するんですよ」
七実 「愛情パラメータですね、正にエロゲーの世界じゃ無いですか」
ダイン 「手応えは必要ですけど、高過ぎる難易度は萎えますから、それにハートを完成させるのは解り易くて良いじゃ無いですか」
七実 「ダイン様はエロゲー脳ですからね、ですがそれこそ理想を追い求める漢って感じです」
真夏 「変態なだけですけどね、ですが変態を理解すると変態の素晴らしさが解りますよね、下らない常識から解放されてこそ得られる面白さは、常識に捉われている時とは桁違いですから」
ダイン 「その通り何ですよ、幸福には財産も地位も必要無いんですよ、自分なりの幸福を見つけて楽しめば良いだけで他人と比較するの事など間違ってます」
愛耶 「遊魔には当たり前の事ですけど普通の人には難題ですね、普通は秀でて無いという事ですから、ダイン様やナナみたいなタイプは評価はされてませんけど秀でた才能なんです」
ダイン 「私の思う才能とは楽しめる事だと思ってますからね、勉強が苦手と言ってる時点で勉強の才能が無いんですよ」
七実 「楽しめた上で結果を出せるのが天才という奴ですよね」
ダイン 「そうだと思います世の中色んな事に天才はいるんですよ、学業や金儲けが目立ちますけど」
真夏 「ダイン様の楽しめっていうのは才能を見つける為のアドバイスなんですね」
ダイン 「いや、それほど意味は有りませんよ、ただ単に遊魔は幸福でいて貰いたいですから、ですが才能を活かして遊魔文化を進歩させてくれるのは大いに歓迎です」
ファービ 「ナナやアイヤは得意な事が有って羨ましいよ、ファナは訓練ばっかりだったから得意も才能も解らないよ」
ダイン 「直ぐに才能が見つかるほど簡単では無いですから、ファービも色々試してみると良いですよ、そして楽しくて上手く行く事に熱中してみて下さい、それに飽きなければそれがファービの才能です」
ニア 「試しに今度ニアと森に行くにゃ、森には楽しみが満ちているにゃ」
真夏 「動植物を採取する事はダイン様のお力になりますよね、薬草や毒草の情報は色々と役立ちそうですし」
愛耶 「そうですよね、地球と同じ様なスパイスを発見出来れば料理の幅も拡がりますからね」
ダイン 「先ず重要なのが醤油ですね、シーベアーのストックは後僅かでしたから」
愛耶 「代用品の作り方は知ってますけど蜂蜜が必要何ですよ、市場で探してみたんですが誰も存在すら知らなくて、でも、蜂はいるみたいです」
ダイン 「ミツバチの因子は採取してますので、いざとなればこちらの種を弄って同種の働きをする蜂を作る事も可能です、ですが正直やり過ぎですよね」
七実 「それをやるなら、植物弄った方が良いですよね、食べれないけど果汁を搾って砂糖とか作れるのが理想的ですよ」
ダイン 「確かにそうですね、私の思考には植物を改造するという考えが抜けてました、七実が補ってくれて感謝ですね」
真夏 「遊魔流ゲノム編集ですね、一応シーベアーに持ち込んでいたフルーツの種は取って有りますけど」
愛耶 「有りましたねリンゴの種とか、でもリンゴは種から生えたという話は聞いた事無いです」
ダイン 「二十世紀梨はゴミ捨て場に生えてたという話は聞いた事有りますね、後はパイナップルの上部を植えると生えてたくるとか」
愛耶 「どっちもありませんね、リンゴの他に種が有るのはマンゴーぐらいです」
ダイン 「アレは美味しいんですが、生だと被れるんですよ何でもウルシ科の様で」
七実 「ダイン様にも弱点が有るんですね」
ダイン 「私は弱点だらけですよ、鯖で蕁麻疹出た事有りますし花粉症でも有ります、まぁこの世界には無いと思いますけど」
愛耶 「魚にはやっぱり醤油ですよね、テガスの運河魚を何種類か調理しましたけど、魚臭さを取るのが大変で揚げてますから、どの道淡水魚は生で食べない方がいいんですけどね」
ダイン 「寄生虫ですか、遊魔の身体なら何とでもなりますが、食べたくは有りませんね」
愛耶 「寄生虫でも揚げると美味しいって話も有りますけど、まぁ揚げるのが一番安全な料理法だとは思います、けどこの世界って油も高価何ですよ」
真夏 「食料を食べれない状態にする事を嫌がってますからね、油は有効性が認められて少量なら作られている様ですけど」
ダイン 「搾りカスの有効活用が出来れば納得されそうですけどね、マギガントには鉱石油も使われてましたが鉱石油は食用には使えませんし、まぁ精製は試してみて燃料として使えるか試してみたいですけど」
真夏 「ディーゼルエンジンを作るんですよね」
ダイン 「はい、アレは混合気を圧縮させて爆発させているので、プラグが要らないんですよ、それに燃料の軽油はジェットエンジンにも使えますからね」
真夏 「魔導ジェットじゃ駄目なんですか、試作品は凄い音してましたけど」
ダイン 「飛ばす物がマギガントなので、あれだけでは推力不足だと思うんですよ、それにマギガントの飛行は使い勝手が良いからで、ゆくゆくはもっと大きな物を作るつもりですから、ティアスを得た事で財力と実験環境が整うはずですから、このテガスを私の領地にしてくれるそうです」
七実 「遊魔にしなくてもあのお姫様にはよくして貰えたのかも知れませんけど、遊魔にして従えた方がお得ですよね、もうそこまで進んでいるなんて」
ダイン 「ククジア国民に取ってゾッフォはとても馴染み深いマギガントなんですよ、それを大活躍させた事で私の人気も上がっている様ですから」
七実 「それって言い寄って来る牝が増えるって事ですよね、この学院だけでも大変な事になっているのに、今でもダイン様が現れる昼間の工房に生徒達が集まって来てるんですよ」
真夏 「ポーカ学長もビックリしてましたよ、何時も大人気の学長の講義に空席が有ったって、ダイン様が王都でメイドを従えていた事は直ぐに伝わっていて、学院の女子達もチャンスが有ると考えている様ですよ」
ダイン 「アレは今朝の話ですが」
真夏 「工房間は通信用の魔道具が存在してますからね、それを使ってエディケスとの協定戦はテガスでも見れた様で話をしている生徒もいましたよ」
ダイン 「まだまだ把握していない事も多いですね」
真夏 「そう思います、現状遊魔はこのテガスさえも完全に把握してません、今は地固めの時と思いますが」
ダイン 「真夏の言い分は最もです、現状の我々は唯の珍しい客人ですからね、力を付けるまでは従順にしていましょう、研がなくても遊魔の牙は鋭いですから」
七実 「十分に研いでますけどね、むしろ新しく打っているんですか」
ダイン 「今はわざと鈍らにしている気もしますがね、ファービはそろそろでしょう」
ダインの言葉で注目の集まったファービの腹部には既にハートの紋様がくっきりと浮かび上がっている、元々ダインに絶対的な忠誠を誓っている遊魔なら段階を経て完成するリエルと同じでは無く、浮き出た段階で完成状態なのだ。
そうして、ファービ自身が認識した事で、淫魔への変容は一気に加速して行く、毛並みが自慢の尻尾の毛が徐々に消えて行き、艶かしいツヤを持つ表皮の尻尾へと変わって行くのだが、似た様な変化は身体の随所で起こっており、ファービは異形から更に別の異形へと変化しつつあった。
七実 「人外からの人外変化って面白いですね、獣の尻尾がウナギみたいに変わりましたよ」
ダイン 「ウナギですか、まぁ見た目的には近いかも知れませんね、爬虫類の様な尻尾で挿れられて鱗が剥がれるのも嫌でしょうから」
真夏 「確かに、尻尾は滑ってる方が絞めやすいと思います」
七実 「八十年代のエロアニメの触手っぽくて良いと思います、チンポ付けれるのが嫌で触手なんですよね」
ダイン 「尾チンポと呼んだりしましたが、遊魔の牝に男性器は不要です、それに母乳を出せるので尾乳首または尾ニプルにする予定です」
七実 「七実は賛成ですよ、幾ら牝同士で交わるといってもチンポはやっぱり駄目ですよ、ダイン様のみが持つ事で特別になりますから」
真夏 「そうですよね、役割的には延びる乳首ですから、吸収や捕獲も出来ますけどね」
ダイン 「遊魔の万能器官ですからね、想像力次第でまだまだ使えますよ」
ファービ 「丸呑みはやり過ぎだと思うけど、トラップとしても有効ですよね」
ニア 「良い考えにゃ、野生生物を捕まえるのに使えそうにゃ」
真夏 「でも、切ってそこら中に設置しないで下さいね、ここの住人に見つかると大変な事になりますので」
ダイン 「なら、土蜘蛛的に仕掛ければ良いんじゃ無いですか」
七実 「掛かる方は普通にホラーですよね」
ダイン 「ですが、バレないには隠れる事が重要なんですよ、潜水艦は見えなかったから脅威度が高かったわけですから」
真夏 「遊魔も人の社会に潜れる姿ですからね、その辺りが異形とは違いますよ、リエルは変化が少ないだけで変身能力は無い様ですから」
ファービ 「イレイサーでも変身能力を持つ異形は想定して無かったよ、だからあっさりやられたんだよ」
ダイン 「それはイレイサー側に危機感が足りなかっただけですよ、私も自己進化で人間に戻れる様に成りましたから」
ニア 「ニャアも考えたけど無理だったにゃ、戻れて解ったのはニャアには戻す為の知識が不足してたにゃ、そしてそれはこの牝も同じにゃ」
ニアが指差したリエルはちゃんと遊魔達の会話を聞いていた様で、その表情にはダインに対する興味が見て取れる。
ダイン 「質問が有るなら伺いますよ、このニアと私は貴女と同じ異形でしたから、住む世界は違っても同じ苦労を味わった筈です」
ダインの言葉にリエルは疑問を投げ掛けてみる事にする。
リエル 「なら伺いますけど、本当に自分の意思で姿を戻せたんですか?」
ダイン 「見た目だけですけどね、ですが姿さえ同じなら人間は警戒しないモノですよ」
真夏 「いや、ナナと仲が良かったダイン様はかなり怪しかったですよ、でもダイン様が好きに正直な所がナナの信頼を得ていた事も理解出来ましたし」
七実 「正に相思相愛でしたから、ダイン様と夜通しで話した事も有りましたよね」
ダイン 「互いに相手を求めていて好きの方向が同じでしたからね、あの頃はナナしか居なかったですから」
七実 「ほんと浮気者の酷い奴ですよ、でも今の方が楽しいんですよね」
ダイン 「安心感が有りますしね、二人だけで独自の世界を形成していて他者には理解されないと思ってましたが、理解出来る様にしてやればより楽しくなりましたよ」
真夏 「直接脳ミソに変な常識を刻み込まれましたから、ダイン様への愛情が有るから好ましく思えますけど、無ければドン引きですよね」
ダイン 「常識に囚われていては遊魔は務まるませんからね」
リエル 「思考を変化させて仲間を増やしたわけですか、まともな人間の考えでは有りませんがこれだけの人間を同族に変えたのは生存戦略として正しいんでしょうね」
ダイン 「成り行きですよ、このナナの次に遊魔にしたこの二人は異形ハンターだったんですよ、ですが敵を取り込んで手の内を探った方がより安全ですから」
リエル 「一人で悩んでいた私は仲間を見つける事も考え付かなかったです、アキを奪われて冷静に考えていませんでしたが、貴方のやり方も生き抜く為の手段だったんですか」
ダイン 「人間という種族は排他的で、自分よりも力を持つ存在は認めませんから、私の世界では人より優れた知性を生み出してますが、人類の多くは恐れていますからね、私的には高度な知性が有れば野蛮な行為は行わないと思っていますが」
リエル 「人を超えてしまった苦悩は私も解ります、私にはアキぐらいしか安らぎが有りませんでしたから」
アーキア 「その言い方だとアキは馬鹿だから解らないって感じだよね、でも遊魔に成ったアキはリィの苦悩も解るよ、何せダイン様の経験を与えられているからね」
リエル 「アキがリィをちゃんと解ってくれてるんですか」
アーキア 「当然だよ、遊魔はダイン様を理解してるから、そしてそれは異形の苦しみも含まれてるわけ、リィがアキに固執してたのはアキならば正体バレないって安心してたからだよね」
リエル 「そんな風じゃ無いです、アキならばバレても変わらず友人でいてくれるって思っていたんです」
アーキア 「そうなら、リィもダイン様の牝になるべきだよ、ダイン様の牝に成れば本当の家族に成れるんだよ、そしてそれは決して変わらない関係なんだよ」
遊魔社会に触れたリエルはそれに理解を示しつつ有った、確かにダインの事は警戒していたが、その成り立ちと現在を知れば、とても魅力的な選択肢だと思えてきたのだ。
確かにアーキアを奪われた事でダインには憎しみを募らせてきたが、異形という状況に置かれたならば生存の為に他者を利用する心理は解る。
そしてダインはただ単に利用するのでは無く家族として同じ能力を与えて、皆で楽しく生きているのだ。
リエルはダインと邂逅した事で彼の置かれていた境遇と今までの行いを知って好意を抱き始めていた、その根底には異形の牝としての本能も含まれており、リエル自身もダインを初めて会った同族の雄として捉え始めていたのだ。
おまけ
調停歴 調停歴元年より550年頃までは戦乱の時代であり、一つの大国の出現によって四大国時代へと突入する。
四大国時代は互いの国家が牽制しあった為に比較的平穏な時代では有ったが700年代初頭頃より存在が確認され始めた魔族の勢力拡大によって四大国は崩壊しザキトス戦役へと突入する。
四大国時代の反目から人類勢力は纏まりを欠いて人類大陸ほぼ半分を魔族に掌握されるが、魔族戦力の殆どが混沌大陸へと侵攻した隙に人類側の反発によって、魔王ザキトスの討伐が達成され、人類大陸は再び人の治世が戻る事となった。
そのおり解放された魔族支配地が討伐の功が有った者達へと分け与えられククジア王国が成立するが、ククジア二代侵攻によって半分の領土を割譲されほぼ現在の国境線が確定し、人類法の施行によって法歴が始まる事となる。