CheMoleCule World-of-Chemistry 3話 もふもフッ素・パニック!
CheMoleCule World-of-Chemistry 3話
もふもフッ素・パニック!
ボクらはブリムストーン山を抜け、平原にたどり着いた。
PANちゃん「ここはさっきの火山よりも空気が澄んでいるね。そよ風が心地よくて…つい駆け抜けたくなるよ。」
…うん。ここは自然にあふれていて…どこか懐かしくもある。
Znくん「駆け抜けるのは良いけど、迷子にはならないようにね…本来の目的を忘れないでよっ(汗)」
PANちゃん「そうそう、この子を研究施設まで連れてかなくちゃ、寄り道はほどほどにするよ。」
Znくん「ここから海岸までは長いから…背中に乗せていってくれる?」
PANちゃん「いいよっ! シロりるさんもどうぞっ」
…ボクとZnくんはPANちゃんの背中に乗り、大地を駆け回りながら目的地を目指すことにした。
…しばらく草原の風景に目を奪われていた所で、ボクらは異変に気付いた。
Znくん「ん? このあたりの木、ひどく傷ついてない?」
PANちゃん「本当だ、前に来たときはこんな場所、無かったのに…」
木には所々、かじられたような傷が付いていた。
Znくん「刃物でえぐりとったような跡…自然にできたものではなさそうだね。誰がこんなことを?」
PANちゃんから降りて木を眺めていたら、――――――いきなり、小動物のような「何か」に出くわした!
???「シャアアアアア!!!」
Znくん「ひえっ!!」
PANちゃん「あうっ、またこのパターン!?」
???「ヨコセェ…デンシ...デンシヲヨコセェ…!!!」
…「それ」はZnくんを見つけると、Znくん目掛けて突進してきた!
…鋭い前歯を剝き出しにしながら……
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≪ドカーン!!!≫
…爆発した!?
???「……あれ、オレは何をしてるんだ?」
Znくん「げほげほっ、鼻がしびれるっ….」
PANちゃん「大丈夫!?」
Znくん「な、なんとか…げほっげほっ…」
‥良く分からないけど大人しくなったみたい。
PANちゃん「…君は、誰?」
???「オレはF。フッ素ビーバー族の一人だ。おや、見慣れない顔が一人居るな。ところで…オレ、昨日からの記憶が無いんだが、何か知っているか?」
PANちゃん「かくかくしかじか…(中略)」
フッ素くん「…なるほど、オレが暴走して辺りを荒らし回ってたという訳か。流石オレの前歯、大木も真っ二つなのに傷一つ付いてねぇ(どやっ)」
PANちゃん「どやってる場合か(やれやれ」
…この子は「フッ素」なのか、暴れっぽいのは「単体」だったから…? 今はZnくんと"結合"してるから大人しい…ってこと?
フッ素くん「はっ、オレの宝物の”アレ”が無い…!? アレはオレの大事なモノで…ああああああああああ(暴れ出しそうになる」
PANちゃん「落ち着いてっ、どの辺りで無くしたの?」
フッ素くん「うーん‥‥一昨日、この辺りで雷に打たれて…そこからの記憶が無いぜ。」
PANちゃん「わかったよ、それなら、ここから遠くないはずだ。手分けして探そう!」
Znくん「あのー…お話し中に申し訳ないけど、腕…いつになったら放してくれるのかなぁ」
…Znくんの右手はフッ素くんにがっしりと掴まれたままだ。
フッ素くん「それを見つけるまで…だな。今手を離したら…また暴れたくなっちゃう気がするんだ。」
Znくん「ひぃん…なんとしてでも探さなきゃ…!!」
・・・ボクも手伝おう。
PANちゃん「だめだ~ 全然見つからない・・・。」
…ありそうな場所は全部探したが、”それ”らしきものは無かった。はぁ…
Znくん「これだけ探して無いってことは、他のCheMoleCuleが持っていったのかも?」
PANちゃん「そうだね、この辺りに詳しそうな子は……酸素さんに聞いてみよう。泉の方に居るかな?」
フッ素くん「それなら、さっさと行こうぜ!」
Znくん「…君はボクにくっついてただけでしょ…」
…という訳で、ボクとPANちゃん、そして”フッ化亜鉛”くんは泉へと向かった。
泉の周りには、たくさんの…小魚?が妖精のように空を飛んでいて幻想的な雰囲気だ。
???「おや、ここに何の用だい、PANちゃん?」
PANちゃん「かくかくしかじか」
???「なるほど、フッ素くんが離してくれないと。‥‥申し遅れたが、オレは酸素。この泉の水を見守っている炎の精霊だ。O(オー)って呼んでくれ。
…この子たちはひんやり冷たい。ふよふよしてるのは水蒸気かな?
酸素さん「この子たちが気に入ったのかい?この池の周りに居るのは水、文字通り"水"のCheMoleCuleだ。」
Znくん「酸素さんっ、かくかくしかじか…(”アレ”の行方、知らない?)」
酸素さん「うーん、泉の下流の方でソルトと水が新しいおもちゃで遊んでいるのを見たけど、アレのことかな?」
フッ素くん「…な、なんだって!?早く取り返さなきゃ…!」
フッ素くんは焦った顔をして、川ぞいを大急ぎで下って行った。
Znくん「ちょっと、気持ちはわかるけど、ボクを引きずらないで~~~!!!」
H2Oくん「きゃははっ、これ、とってもおもしろい~!氷みたいにつるつる滑ってとても気持ちいい~~~!!! でも冷たくはない、ふしぎ~~~」
???「へへっ、いいだろう。しかしこの板はよく滑るなぁ、Fが大事そうにしてただけのことはある。もっとおっきければ、オレも滑れるのになぁ…」
H2OくんA「次はボクの番だー!」
H2OくんB「ふう、やみつきになっちゃうねっ」
H2OくんC「みんなで滑るから…よごれてうまく滑らなくなってきたなぁ…この板、きれいにしてくれる?」
???「ほいほいっ、川辺にあるこのとがった石で…」
焦るフッ素くん「こらーーーー!!!塩めーーーー!!!それはボクのだーーーーー!!!!ボクの宝物になんてことをーーーーー!!!それを固いものでこすったらぜーーーーったいにだめだって言われてるのにーーーーーー!!!!!!!!!」
フッ素くんはフライパンを見ると、Znくんを突き放してNaClくんに突撃し、無理やり奪い取った。
NaClくん「ああ……あああああ〜〜っ!目がぁぁ〜!目がぁぁぁぁあっ!!」
H2Oたち「あ~れ~☆(フライパンからはじかれる)」
フッ素くん「念願の”フライパン”を手に入れたぞ!」
Znくん「ひぃ~。やっと解放された~。」
PANちゃん「キミ、大丈夫?」
NaClくん「いててててっ、な、なんとか…目潰しを食らったけど…(バルス)」
その後、ボクらはフッ素くんがなぜ暴れてしまったのかについて酸素さんと話した。
PANちゃん「…なるほど。フライパンをなくしちゃったせいだったのね。」
ふてくされるNaClくん「…そこまで大事なモノだとは思わなかったぜ。この前みたいに、海岸で拾ってきたゴミか何かだと思ってたぞ。」
酸素さん「フッ素ビーバーは、各々が気に入った大事な宝物を常に持ち歩く性質があり、それを持つことで気性を安定させている。それを奪われてしまうと…今回のようなことが起きてしまう。めったなことでは引きはがされないのだが、強い電気エネルギーを与えられると、彼らの"e"を無理やり奪われて暴走してしまう。おそらく、一昨日の嵐の時に降った雷に打たれてしまったからだろう。」
フッ素くん「道理でそこからの記憶が無いわけだぜ。あと塩、このフライパンは大陸の施設で働いてるエラい人からもらった立派なモノなんだ、その辺にたまに打ち上げられてるゴミや、余所から流れ着いて来たCheMoleCuleとは違うぜ。」
NaClくん「ぐすん…ボクはただ、フッ素くんのフライパンがキラキラしててかっこよかったから…じっくり眺めたかっただけなのに…」
フッ素くん「じゃあ言ってくれれば良いじゃないか。お前の物は俺の物、俺の物は俺の物、仲良く使おうぜ。」
PANちゃん「まあまあ、一件落着?ってことで…(;^_^A それにしても、酸素さんってそんなことも知ってるんだね。」
酸素くん「えっへん、この天才で最強な酸素さまに何でもおまかせあれっ」
NaClくん「嘘つけ、それ以外のことはなーんにも知らない癖に、このバカ猿…(塩対応)」
酸素くん「…まあ、全部、NaClくんと仲の良い研究員CheMoleCuleに聞いた話なんだけどね~。」
…ちょっと待って。CheMoleCuleが流れ着いて来た..だって?この世界にCheMoleCuleが流れ着いてくることは普通のことなのかい?
フッ素くん「うんっ、この世界には、たまに外から未知のCheMoleCuleが流れ着いてくることがあるんだ。特に嵐の後には、水くんに混じって外来CheMoleCuleが海岸に打ち上げられているね。」
…ボク "も" 、ということか……
PANちゃん「実はボクも昔、この海岸に流れ着いて来たんだ。でも、ここに来る前の事、全然覚えていないんだよね… ボクは元から“何らかの存在だったような気がする”という記憶はあるんだけど…。」
…PANちゃんもなのか。でも何も知らない………。やはり、研究所を目指すことには変わりなさそうだ。
NaClくん「流れ着いて来たCheMoleCule達は、この世界の各地で暮らしているんだぜ。各々の得意なことが違うから、性格や能力に適した土地に移り住んでいるよ。」
…旅の過程でその子たちに会えるかもしれない、
是非会って話を聞きたいな。
ボクらはこの土地 "エレメンタル平原" の果てでフッ素くんたちと別れ、大陸へつながる桟橋の上をPANちゃんに乗って駆け抜けていった。
PANちゃん「高く飛ぶから、しっかり掴まってねっ!」
Znくん「OKっ!」
……後ろを向けば、Zn島やブリムストーン火山があんなに小さく見えて…
進行方向を向けば、地平線の向こうにあんなに大きな土地が広がっている。人工的な細長い塔も、うっすら見える。
…この世界は、思っていたよりもずっと広いようだ。
…てっきり原始的な文明しかないと思っていたが、この世界の化学はかなり発展しているようだ。
次は、どんな子に出会えるのだろう?どのような世界、どのような出来事が待っているのだろう?
“世界の外“から漂着してきた子は、どんな子なのだろう?
そして、ボクは、いったい誰なのだろう? どんな物質の力を持っているのだろう?
なぜPANちゃんと似た姿をしているのだろう?
…知りたい、知りたい。知りたい!
期待とわずかな不安を抱えながら、ボクは新たな土地へと降り立つ。
ボクらの旅は、まだまだ続く。
次回、「バイタル繁華街に響く腹鼓」
[newpage]
PANちゃん
モフモフな羊。CheMoleCule世界のアイドル。
空を飛ぶのも、草原を駆け抜けるのも好き。
シロりるさん同様、過去にエレメンタル保護区に流れ着いたCheMoleCuleの一人。
この世界に流れ着く前のことはなぜか覚えていないようだ。
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Znくん
亜鉛ウサギ族の青年の一人。フッ素くんと物理的……もとい化学的に仲良くなった。
ちなみにZnくんをはじめとする亜鉛ウサギはZn島の原住民であり、「世界の外」から流れ着いて来た訳ではない。
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(ハロゲン系CheMoleCule)[uploadedimage:14558632]
フッ素くん(右)
出っ歯がトレードマークのビーバー。
誰とも友達になれるパワー(電気陰性度)を有しているが、一方的に友達(電子)を欲しがるあまり、絆(共有結合)を引きはがされてしまうと暴れまわってしまう。必殺技は目潰し(物理)。
なお、互いに宝物を奪い合ってしまうため、ビーバーどうしの仲は死ぬほど悪い。
NaClくん(左)
海が大好きなシャチネズミ。気になったものは何でも拾ってきてしまう。
嫌いな相手には塩をぶっかけて文字通りの「塩対応」をする。
酸素さん
炎と水を操る精霊。H2Oくんたちの保護者的存在。
やさしい熱血お兄さんだが、頭はあまりよろしくない様子。
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H2Oくん
水の精。
CheMoleCule世界では「どこからともなく現れ、気が付くと消えている、その存在を普通は気にも留められない」といった、ファンタジー世界でのスライム並にありふれた存在。
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シロりるさん
謎のCheMoleCule。まだ見ぬ仲間と会えることを少し楽しみにしている。