永遠の孤独

  

  皇曆2657年生まれ 俺太郎

  妄想上の私である。

  

  

  彼の父は、准男爵であつた。

  准男爵は当人限りの臨時の官職であり、息子に身分は受け継がれない。

  然も父は不運が重なり、爵位を没収されてしまつた。

  先祖代々の土地は國家管理となり、家以外の財産を全て没収されてしまつた。

  父は失意のうちに亡くなつた。

  年老いた母親と、劔術指南として都會で身を立ててゐる弟と、病気がちの妹だけが殘された。

  

  彼は最初、情けないことに、弟の稼ぎで暮らしてゐた。

  

  

  

  彼は、2680年までに結婚した。

  名ばかりの稱號「プリンス」も與へられた。

  

  妻は失はれた王家の末裔てふのが、専らの噂である。

  その爲彼女は、髙名なる「プリンセス」として呼び讃えられてゐる。

  

  俺太郎君自身も、妻からもらつた名ばかりの「プリンス」とはいへ、殿下と呼ばれた。

  もつとも、彼は「王配殿下」等と陰口を叩かれた。

  彼の名前や事績は、歴史に殘らなかつた。

  

  當然であらう。彼の事績はただひとつ、「結婚した」。それだけなのだから。

  

  

  資産は毎秒5000京圓だ。

  

  金1gを1萬圓としても、50億トン必要になつてしまふ。

  

  彼の娘は、一人は軍の頭領になつた。

  もう一人はアニメーターになつた。

  さらにもう一人は、學者になつた。

  

  彼女達はそれぞれ、スモウの横綱、野球選手、将棋の永世名人でもあつた。

  

  

  

  彼には息子が居たが、消息不明となつた。

  女と駆け落ちした爲である。

  

  

  

  永遠の孤獨

  ETERNA SOLEDAD: [[rb:THRICE SHORT STORY > ちよつと短めのシヨートシヨート]]

  または宇宙の歴史の三倍の長さの時間

  

  俺山俺太郎、記す

  

  皇暦2683年2月15日

  太陽暦の4月3日