AdAd
  
第十六話 明かされる変幻装姫の正体

  「申し訳ありませんわ……。わ、わたくし、澪の顔にあんなに潮と尿をかけてしまうだなんて……。何とお詫びを言えばいいのか……。」

  「気にしないでください。シャインミラージュさんは、あの敵からの責めの影響が抜けきれてないから、仕方ないですし、顔や髪はさっき洗面台で洗ってハンカチで拭きましたから。」

  「でも……。」

  「大丈夫ですって。それより、のど乾いてませんか?

  私、さっきスポーツドリンク買ってきて、家庭科室からストロー貰ってきたので、これを使ってゆっくり飲んでください。

  それとも、私のハンカチで体を拭き取る方を先にしますか?」

  「で、では飲み物を頂きますわ。(澪のハンカチをドルコスの精液や、わたくしの尿で汚してしまうなんて、考えただけで、頭が痛くなりますもの……。)」

  澪の裏表の無い親切心の言葉やサポートの数々に戸惑いながらも、既にフタを空けてストローを挿してあるスポーツドリンクを受け取ろうとする紗姫。

  変身ヒロインとして戦っている間、助けた人達から御礼を言われる事こそあったものの、ここまで優しくされる事には慣れておらず、先程のクリ吸い付きの事もあって、変にドギマギしてしまう。

  それでも、好意を無碍にしたくないと、顔を赤らめながらも、廊下に座ったままスポーツドリンクのペットボトルに手を伸ばそうとする紗姫。

  しかし、ペットボトルに触れる直前に、突然呻き、手が止まる。

  「どうしましたか、シャインミラージュさん!

  まさか、さっき私がクリから毒を吸い出した時に、やり過ぎて、どこか痛めたとか……?」

  「いえ、そうではなくて……、変身エナジーが抜けて……。」

  「そんな……! もう、あとは救急車が到着するまで待つだけなのに……。」

  「(ま、まずいですわ。わたくしの正体を知ったら、澪がますます私を守ろうと無茶するかも。

  それに、先程までドルコスに犯され暴言や暴力を何度も振るわれた人が、自分の親友だと知ったら、どんなにショックを受けるか……!

  あ、あ゛あ……。それ……なのに、わたくし、段々気が遠くな……って……うぅ。)」

  「シャインミラージュさん、凄い汗……! ま、待ってて下さい、今飲み物のストローを口元に運びますから、気を確かに持って!!

  (へ、変身エナジーが無くなると、どうなるんだろう。もし、正体が分かるだけじゃなくて、今までのダメージや負荷が、よりはっきりと肉体に及ぶとかだったら、どうしよう! ぐすっ……。)」

  「んむッ……ゴクッ。ハァ……ハァ……。ありがと……助かり……ましたわ。それと、戦いに巻き込んで、辛い……思いを……させて、ごめんなさい。」

  「何を言ってるんですか! 今まで貴女には私や街の人達を守ってもらいました。今日だって、あんな暴力的で恐ろしい怪人から助けてもらったばかりです。

  それに私、あの場で貴女に酷い事してた怪人を止めに入った事、後悔なんてしてませんッ!!

  だから、だかりゃ……ぐすっ……そんな悲じい゛こと言わ゛にゃいでくだざい。」

  変身エナジー消失とともに、今までのダメージと無理を押して技を使用した影響で意識が遠のくのを感じながら、ドルコス達が属する暗躍組織・ダーククライムとの戦いに巻き込んだことを、澪に謝る紗姫。

  それを聞いて、澪は紗姫の顔などについた汗をハンカチで拭いながら、自分から敵の怪人との争いの場に踏み込んだ事を後悔してないと伝えるとともに、1人で抱え込むのを思いとどまって欲しいと、紗姫に懸命に訴える。

  その優しさに心温まるとともに、今まで澪に変身ヒロインとしての一面を隠して接してきた事に対する罪悪感や、正体を知られてショックを与えてしまう事への恐怖に苛まれた紗姫は、残る気力を振り絞りながら、言葉を紡いだ。

  「その……気持ちだけでも……とても…………嬉しい。貴女には……本当に……感謝して…………ますわ。

  それと…………今まで…………正体の事…………シャインミラージュとしての……………………自分の事……………………黙ってて……………………ごめん……………………なさ……………………んああぁぁーーッ!!」

  ジョポポポポッ ゴポォッ むわぁっ

  「シャ、シャインミラージュさん!」

  途切れ途切れながらも懸命に伝えた後、突如叫びながら体をびくんと震わせ、二穴から尿と精液を噴出し、足下に再び卑猥な水溜まりを作った紗姫。

  その後、廊下の壁に身を預けながら、ぐったりとして意識を失ったのを見て、澪が慌てて声をかける。

  「よ、よかった。まだ呼吸はしてる。けど、段々グローブやバイザーが消えて……………………………………………………………………………………………………………え?」

  シュゥゥゥゥと、煙やドライアイスが立ちこめるかの様な音を立てながら、紗姫が身につけたグローブやバイザー等が、右側から次第に消えていくとともに、精液まみれながら綺麗な金髪のツインテールも変質していく様子に驚き、言葉を失う澪。

  いや、正確には変身が解けて髪が変質していく事、そのものに言葉を失った訳ではない。

  その事も驚きではあったが、その変身が解けて、澪の貸した上着だけを纏った状態になった娘の顔や髪型に見覚えがあったからだ。

  「どう……して…………………………………?」

  再び疑問の言葉を口から出すのが精一杯で、頭が追いつかない澪。

  何故なら、そこに映っていた娘の姿は、先程まで心無き怪人に陵辱と暴虐の嵐を受け、レオタードスーツを失い全裸同然の姿になっても尚、戦闘技能のない自分を守る為に、死力を尽くし戦ってくれた、尊敬すべき正義の変身ヒロインではない。

  ありふれたスポーツドリンクによるケアを素直に受け取り、御礼を言ってくれた、素朴な所のあるお姉さんでもない。

  黒髪のさらさらとしたロングヘアをなびかせて、生徒会の業務に熱心に取り組み、財閥のお嬢様でありながら、自分と分け隔て無く接してくれる、かけがえのない親友──

  東堂院紗姫の姿にしか見えなかったのだから……。

  続く……?

AdAd