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その17にゃん:あの子を守りたい

  にこちゃんが「奴」を追って初めて人間界へ来たあの日、にこちゃんは学園の屋上であの子と出会いました。

  「そこの君、何をするつもりだい?」

  「誰!? 来ないでよ……みお、飛び降りてやるんだから!」

  にゃあにゃあ学園の屋上に居た、みおちゃんと名乗った少女。

  アホ毛が凄く特徴的で、いかにも抜けてそうなドジッ娘に見えたその子は……取り乱しながら怒鳴りました。

  (猫少女の僕を見ても何とも思わない程錯乱してる……本気で死ぬ気?)

  にこちゃんは彼女が何をしようとしているのか、すぐに悟りました。

  「そんな事して何になるんだい?」

  「もうみおが生きている意味なんてないんだ! お兄ちゃんも、たまちゃんも……皆全部失っちゃった! だからみおも……後を追うんだもん!」

  (どうしよう、今にも本当に飛び降りそう……もうこれ以上、僕の目の前で誰かが死ぬなんてごめんだ……)

  にこちゃんは何かを思い返していたようで、本能的にみおちゃんを守らなくてはならない衝動に駆られます。

  (あの子を助けなくちゃ。あの子を死なせてはならない、もう誰かが死ぬなんて繰り返したくない……助けられなければ、また僕のせいで犠牲が出てしまう)

  にこちゃんはどうすれば良いものか考えていましたが……。

  『パキン! ガシャーン!』

  「ぴゃあ!?」

  突然静かな学園に鳴り響いた音に、みおちゃんは驚いてしまいます。

  「奴が像を……阻止できなかったか」

  「な、何の音……?」

  「守り神の封印が……解かれてしまったね」

  守り神……像に宿るみやちゃんが、奴によって解き放たれてしまいました。

  「一体何が起こって……あっ!」

  「危ないっ!」

  みおちゃんは驚きで足を滑らしてしまい、屋上から落ちそうになってしまいます。

  「くっ、どうすれば……」

  「やだ、怖い……みお、やっぱり死にたくない……死にたくないよぉ!」

  にこちゃんは小柄な猫少女の体で、自分より大きな人間のみおちゃんの腕を掴みます。

  「機密機関で色々訓練しておいた良かった……」

  にこちゃんがとっさに彼女の手を掴む事ができたのは、日頃猫少女界の機密機関で訓練を積んでいたおかげです。

  とは言え、にこちゃんは特に力が強い訳でもなく……みおちゃんの重さに徐々に引き摺られて行きます。

  「やだぁ! 死にたくない! 死にたくないよぉ! 助けてっ……!」

  (一体どうすれば……このままじゃ本当に繰り返してしまう。ねここちゃんの時みたいに……僕には何もできないのだろうか)

  『ミオチャン……』

  (この気配は……彷徨える猫の魂の気配?)

  「ふぇっ!? 何かがみおの体の中に……魔法猫少女、始動ー!?」

  みおちゃんは口が勝手に呪文を唱えると……魔法猫少女の姿に変身しました。

  「ふぇー!? こ、これ一体どうなって……」

  「人間が猫少女になった……まさか、奴の計画が既に進んで……!? でもこの重さなら、僕でもどうにかなるかも……!」

  みおちゃんが猫少女態になった事で、体も縮み体重も大分軽くなりました。

  にこちゃんは精いっぱい、彼女を助けたい一心でみおちゃんの腕を引っ張り上げます。

  [pixivimage:146053888]

  「みおちゃんって言ったよね、しっかり! ほら、頑張って踏ん張って……!」

  「死にたくない……みお、死にたくない……でも上がれないよぉー!」

  『ミオチャン……ダイジョウブ、アタシガツイテル……カラ』

  「誰かの声が聞こえる……この声、みお……知ってる。たまちゃん……?」

  (そっか、みおちゃんに入り込んだ猫の魂はきっと、この子がさっき言ってた……にゃあにゃあ学園の守り神の力で、この子を猫少女に……)

  みおちゃんが言っていた「たまちゃん」と言う名前。

  にこちゃんはこの子の飼っていた「たまちゃん」と名付けられた愛猫が亡くなったんだ、と悟りました。

  しかしにゃあにゃあ学園の守り神に導かれ……きっと、飼い主であるみおちゃんを助けに来たのだろうと。

  「みおちゃん、良く聞いて。今の君は魔法猫少女だ。この体なら、身体能力も飛躍的に向上している。だから大丈夫、自力でも上がれる筈だから」

  「何を言ってるか分からない……みお、どうすればいいの!? いやだ、死にたくないよぉ……」

  (ダメだ、錯乱しているみたいで話が通じない……)

  にこちゃんは自分が引っ張り上げるしかない、と腹を括ったようで……。

  「せめてここちゃんの援護でも呼べれば……でも今ここちゃんは奴を追っているだろうし……あれ、何だか力が……」

  にこちゃんは突然、体から物凄く溢れてくる不思議な力を感じます。

  「これはきっと、みやちゃんのパワーが……解き放たれて溢れ出たパワーが、僕にも流れ込んで来たんだ。今なら行ける……筈」

  にこちゃんは全力でみおちゃんを引っ張り上げ、そして……。

  「みおちゃん……頑張って!」

  『ドサッ!』

  「……みお、助かったの?」

  普段非力なにこちゃんは瞬間的に凄い力を発揮し、みおちゃんをどうにか引っ張り上げて助ける事に成功しました。

  「うん、助かったよ……だからもう安心して欲しい。もう、目の前で誰かが死ぬのはごめんだ……」

  「みおがバカだった……ごめんなさい」

  「分かってくれればいいんだよ。もう大丈夫かい?」

  「うん、どうにか……」

  「そっか、良かった。僕はどうしてもやらなくてはならない事があるから、行くね」

  「あ、待って……! あ、足が……ガクガクして動けない……」

  にこちゃんはみおちゃんが助かった事を確認するなり、屋上を後にして像のあった辺りへ戻ります。

  [newpage]

  「わー、見事にやられてるよー」

  にこちゃんが像の元へ戻ると、みやちゃんの封印されていた像は粉々に砕け散っていました。

  「遅かったんだね……」

  「大丈夫かなー?」

  奴を追う為一緒に同行していたここちゃんは、笑顔で心配そうに尋ねます。

  「さあ、どうだろう」

  はっきりどうと言えないにこちゃんは、曖昧な返事をします。

  「それより屋上の方の様子はどうだった!?」

  「……何でもなかったよ」

  にこちゃんはここちゃんの性質を知っているので、きっとさっきの事は言わない方がいいと思ったようです。

  彼女に余計な不安を与えたくなかったのです。

  (でもここちゃん、その気になれば僕の心を読み取れるだろうから……知ろうとすれば知る事もできちゃうか)

  「そっかそっか♪」

  ここちゃんは満面の笑みでにこちゃんに答えました。

  (心を読み取ったのか、読み取ってないのか、分からない反応……彼女、ずっと笑顔だものね。そう、嘗ての僕と同じだものね……表情だけじゃ分からないや)

  ここちゃんは絶対に笑顔を崩さないので、彼女が本心では何を思っているのか……にこちゃんにも分からないようです。

  (僕も昔は周りからこんな感じに見られていたのかな……)

  そんな事を思いながらも、にこちゃんは本来の目的を思い出し……。

  「ところで奴は一体何処に……もうあまり力も残ってないから、何としてでもここで捕まえないと」

  「え、もうそんなに力残ってないの? それにしても何処へ行ったのかなー? あ! 向こうの方に居るよ!?」

  先程不思議な力が溢れ、瞬間的に物凄いパワーを発揮したにこちゃん。

  彼女のステッキを通して飛躍的な身体強化を補助していたようで、にこちゃんはかなり魔力を消耗してしまいました。

  にこちゃん達は「奴」の逃亡した方へ向かい、奴を追い詰めます。

  「チっ、もう追い着いテ来やがったカ」

  「逃がさないよ」

  「派手にやってくれちゃったねー! 許さないんだから♪」

  「知るかヨ。あたしの計画ヲ邪魔するなラ容赦しねえヨ?」

  奴が2人に攻撃を仕掛けようとしてきて……にこちゃんはどうしようか作戦の手立てがありません。

  頼れるのはここちゃんのバリアのみですが、奴に対してどのくらい有効なのか……。

  「うっ、何だこレ……何かガ力を妨げテ……」

  攻撃を仕掛けてくる前に、奴は急に藻掻き出しました。

  「何が起こっているのー?」

  「やられるかと思ったよ……」

  「ウっ、ウぐっ……うわアアアア!」

  (みやちゃんだ……彼女がとっさに正義のパワーを奴に放出したんだ。自分の正義の力を奴に注入してでも、奴を抑え込もうとして……)

  にこちゃんが機密機関に入った頃から、みやちゃんとはずっと長い付き合いです。

  なのでにこちゃんにはみやちゃんが何をしたのか、すぐに理解できました。

  「奴を捕らえるなら今しかない!」

  にこちゃんは奴を捕えようとしました。が、そのすぐ直後……。

  「あ、あの……こ、これは一体……」

  (みおちゃん? 騒ぎを聞きつけて降りて来たのかな……?)

  にこちゃんはこの状況をどう説明しようか、迷いましたが……。

  「君には関係ないよ」

  「そ、それはそうですけど……あ、あの、さっきは……うぅっ」

  (この子を1人にさせておくのも心配だね……こうなったらイチかバチか)

  みやちゃんが正義の力を無理やり奴に注入して、かなり力を封じ込めている今ならば……にこちゃんは自分の力でもどうにかできる、と。

  そう信じて全ての魔力を振り絞り……奴に向かってトドメの魔法を使いました。

  (僕の能力は……笑顔。これくらいしか使える魔法が無いんだ。みおちゃんが……彼女が、どうか笑顔になれるように……!)

  にこちゃんは奴に向かって、自身の「笑顔の能力」を全力でぶつけました。

  『バキン!』

  するとにこちゃんのステッキは折れてしまい……もはや使い物にならなくなってしまいます。

  みやちゃんの力も流れ込んだ魔力を極限まで放出した事で、莫大な魔力にステッキが耐えられなかったのでしょう。

  「ああ! ステッキ壊れちゃったね!?」

  「うん、どうしよう……」

  しかし、それ程の強大な魔力を奴にぶつけられた事で結果的には……。

  「でもこれで奴はどうにかできた……」

  にこちゃんはどうにか「奴」を抑え込む事に成功したのです。

  (みやちゃん、力を貸してくれてありがとう……)

  みやちゃんは少し高い所から皆の事を見下ろしていて……そのまま無言で何処かへ行ってしまいました。

  「あ、あなた達は一体……何者、でしょうか……」

  みおちゃんは猫少女の姿のまま、訳が分からないようでにこちゃん達に尋ねます。

  このような疑問を投げ掛けてくる辺り、にこちゃんは彼女が落ち着いたのだろうと思ったようで……。

  「気になるのかい?」

  と、切り返すと……みおちゃんはそーっと首を縦に振って頷きます。

  「みおちゃんの猫、たまちゃんって言うんだね?」

  「え、たまちゃん!?」

  ここちゃんが驚いたように声を上げましたが……彼女はすぐに口を閉じました。

  「うん……でも、亡くなっちゃった。お兄ちゃんが守ったのに、交通事故に遭って……お兄ちゃんと一緒に……」

  「大丈夫だよ。たまちゃんは目に見えなくても、きちんとみおちゃんの中に居る。彼女がみおちゃんに力を与えたんだ」

  「そういえばみおの恰好……何か関係があるの? あなた達と同じ格好みたいになってるけど……」

  「えっとね、ここ達は魔法猫少女って言う種族なんだよ!」

  「魔法、猫少女?」

  「うん、言葉通り魔法が使える猫の少女だよ!」

  「みおちゃんも、魔法猫少女になったんだね。きっとみおちゃんの大事にしていたたまちゃんが、この学園に導かれてみおちゃんに力を与えたのだと思う」

  「たまちゃんが……みおに、力を?」

  「猫少女になったと言う事は、何かしら意味があるのかもね!?」

  みおちゃんは良く訳が分からないようで、色々と錯乱している感じはしましたが……。

  「あ、みおの着けているリボン……これ、たまちゃんのだ。たまちゃん……みおと1つになったんだ。うん、たまちゃんの気持ち、確かに感じる……」

  (愛猫の事を感じて、落ち着いてくれたみたい……良かった。さて、後はこっちのたまちゃん……奴をどうすれば良いものか)

  「んにゃ……あれ、あたしは何をしていたんだにゃ?」

  「あ、たまちゃんが気が付いたよ!? ……でも、特に危ない心の声は聞こえないねー?」

  「うん、みやちゃんがどうにかしてくれたみたいだから。大丈夫だろうと思う。後は僕の笑顔の能力で……色々と抑え込めたみたい」

  「ねえ、今たまちゃんって言った……?」

  みおちゃんはきょとんとした顔で、にこちゃんに尋ねます。

  「え、うん。奴……いや、この子はたまちゃんだよ」

  「そっか、みやちゃんが正義の心で満たしたんだね。妹のみやちゃんなら、確かにそういう事もできそうかな!?」

  「あなたは……たまちゃん、なの?」

  「え、うん。あたしはたまちゃんだにゃ」

  「たまちゃん……たまちゃん! たまちゃんが帰ってきてくれた! たまちゃん……!」

  みおちゃんは泣きながら、たまちゃんに飛び付きます。

  「みおちゃん、気を付けて。その子は……」

  「今のたまちゃんなら大丈夫だと思うよ? 何しろ自慢の妹のパワーだものね! そこににこちゃんの魔法も合わさったんだもの」

  (たまちゃんがみおちゃんを笑顔にする、と言う形で能力が効いた訳か……何だか少し厄介な事になったかも)

  たまたまみおちゃんの亡くなった猫と名前が同じだったたまちゃん。

  にこちゃんがたまちゃんに発揮した笑顔の能力は、たまちゃんがみおちゃんを笑顔にする形で効果を発揮しました。

  「それにしてもこれ、どうにゃってるにゃ!? にゃんであたし、こんな格好にゃんだにゃ!?」

  「え? たまちゃん、どうしたの?」

  「あたし、にゃんでおんにゃのこの格好にゃんだにゃー!? って言うかこれ、おんにゃのこの体にゃんだにゃあ!?」

  (おや、これはもしや……みおちゃん、お兄さんが亡くなったと言っていたっけ……まさか、お兄さんの魂と融合している?)

  みやちゃんの力と合わさったにこちゃんの魔法は、みおちゃんの亡くなったお兄さんの魂をも引き付けてしまったようです。

  みおちゃんが笑顔になれるように、何とたまちゃんが……みおちゃんのお兄さんになってしまったのです。

  「にゃあー! こんにゃ恰好恥ずかしいにゃあー! これ、どうすればいいにゃー!?」

  「えーと、多分……魔法猫少女、解除で解けたりする?」

  「そうにゃの!? えーと……魔法猫少女、解除だにゃん!」

  たまちゃんが呪文を唱えると……彼女は小学4年生くらいの、人間の女の子の姿になりました。

  まるでたまちゃんを人間態に置き換えたような姿に。

  「お兄ちゃん……? え、もしかして……たまちゃん、みおのお兄ちゃん……なの?」

  「みお、あまり見にゃいで……恥ずかしいにゃ……」

  (たまちゃん、みおちゃんの事を呼んでるし……やっぱり、みおちゃんのお兄さんの魂とたまちゃんが融合してるっぽい)

  「嘘、お兄ちゃんが帰って来た……女の子になっちゃったけど帰って来た! みおより年下になっちゃったけど帰った来たんだー!」

  「みお、苦しい……あまり抱き着かないで……」

  (まさか、奴がこんな形で落ち着くとは……)

  「あららー、すっかりたまちゃん、みおちゃんのお兄ちゃん? みたいだねー?」

  にこちゃんが追っていた奴、たまちゃんは……みおちゃんのお兄ちゃんに「仕立て上げられた」ような形で落ち着きました。

  「あの、2人共……ありがとうございます。たまちゃんも、お兄ちゃんも助けてくれて……」

  「いや、別に僕達は助けたつもりは……」

  「何か成り行きでこうなったって感じかなー?」

  「是非お礼がしたいので、良ければうちに来てもらえませんか……? みおにはかつおダシの美味しい卵焼き、振る舞うくらいしか出来ないけど……」

  「かつおダシ……ごくり。じゃ、じゃあご馳走になろうかな……」

  猫少女達はかつおが大好きなようです。

  ついついかつおダシと言う言葉に惹かれて……にこちゃん達は、みおちゃんの家で卵焼きを振舞ってもらう事になりました。

  [newpage]

  「あの時の卵焼き、美味しかったな……出来ればまた食べたいものだね」

  にこちゃんはみおちゃんとの出会いを振り返りながら、野良猫達の世話を終えました。

  「それにしても彼女、不思議とその後僕の事とか……色々忘れているんだよね。もしかして、みやちゃんの不思議な力でも働いたのかな」

  にこちゃんが掛けた、みやちゃんの力を汲んだ強力な笑顔の魔法。

  もしかしたらみおちゃんの笑顔を守る為に、不都合な記憶は全て清算されてしまったのかもしれません。

  「あ、君は……亡くなったみおちゃんの猫、たまちゃんが産んでいた子だよね。お母さん、みおちゃんの中からいつまでも見守ってくれているからね」

  にこちゃんはみおちゃん所の猫にそう告げると、その場を後にしました。

  「さて、そろそろ僕は奴の様子を見に行かないと。成り行きでこうなったとは言え、彼女はたまちゃんと常に一緒だ。いつ危険な目に遭うかも分からない」

  猫少女界で特別指名手配を受けていた、自身の目的を果たす為なら手段を択ばない極悪非道の猫少女……奴、たまちゃん。

  そんな危ない奴が常にみおちゃんの側に居るのだから、にこちゃんは彼女の事を放っておけないのです。

  「僕の責任でこうなったみたいなものだもの。人間態の時もクラスメートとして側に居るけど……でも、人間の方は僕の事を知らないものね」

  にこちゃんが言うには、やはり猫少女にこちゃんの正体はみおちゃんのクラスメートのにこちゃんのようです。

  しかし人間の方は猫少女の方の事を知らない、とは一体どういう意味なのでしょうか……?

  「それに人間の僕がここねちゃんのお姉さんになったのは、彼女を守りたい……もう繰り返したくない、その一心だもの……」

  にこちゃんとここねちゃんの間に、嘗て何かしらがあったのでしょうか……?

  「これ以上犠牲は出したくない。奴と常に隣り合わせのみおちゃんも、ここねちゃんも……絶対に守ってみせる。もう奴による惨劇は繰り返させない、絶対に」

  にこちゃんは強く決心しました。

  「幸いにも、みやちゃんが正義の心を取り戻しつつあるのは良かった。屋上の一件を仕掛けたのは正解だったかな。みやちゃんが正義の心を取り戻すきっかけになったもの。みやちゃんを味方に着けられないと……この事態の収束なんてありえない」

  にこちゃんはたまちゃんの屋上事件を仕掛けた張本人だったのでしょうか。

  たまちゃん……奴を始末する為に、飛び降りをするように仕向けたのでしょうか?

  「さて、そろそろ奴を捜さないと。みおちゃんが心配だ」

  「あ、にこちゃん」

  「ここねちゃん? こんな所でどうしたんだい?」

  学園へ向かう途中、にこちゃんは人間態のねこちゃんと遭遇しました。

  「良く分からない、良く分からないけど……気が付いたらこっちに足が向かってたの。そしたら、猫少女のにこちゃんが居た」

  (もしかして……ここちゃんが? いや、でもここちゃんが人間態のここねちゃんと猫少女の僕を引き合わせる理由なんて……となると)

  にこちゃんはねこちゃんにこんな質問を投げ掛けました。

  「君はもしかして、ねここちゃんの方かい?」

  「ねここちゃん? 何の事……?」

  (そっか、ここねちゃんは自分がねここちゃんの生まれ変わり、だと気付いていないんだものね……さすがにこの質問は無意味だったかな)

  「ねここちゃんって……何だか私、聞いた事があるような……」

  (おや、と言う事はもしかして……ねここちゃんが、ここねちゃんを無意識で僕に引き合わせようとした?)

  普通は人間態のねこちゃんと猫少女のにこちゃんに接点なんてありません。

  しかし2人が学園の外にも関わらず、こうして出会ってしまったと言う事は……何かしらの意味があるのでしょうか?

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