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電話の向こう……いないはずの彼女から

  ◇通話なので、片耳から聞こえるように

  ※雑音

  ※しばらく間をおいて

  ※バイブ音

  ※しばし間

  ※通話を出る

  あ、もしもし?聞こえてる?

  ……ん?あれ、聞こえてる?おーい。

  ……あ、よかった。聞こえてるみたいだね。えっと、久しぶりなのかな?

  ……んー私もよくわかんない。多分、あの世だと思うんだけど、真っ暗な空間にこれまたすごくレトロな電話があってね。ほら、公民館にあるダイヤルを回すやつ。

  それを使って君にかけたんだ。まさかつながるとは思ってなかったんだけど。

  あっ!そうだ。私のしたいって見つかった?……あー、やっぱりか。まぁ見つけにくいところにあるしね。私を殺した人は捕まった?……逃走中か。じゃあもうしばらくは見つからないなぁ。

  ん?犯人としたいの場所?残念だけど言わないよ。だって言っちゃうと、君、犯人探すでしょ?死体も。そんなことしたら君が捕まっちゃう。

  同じ理由で、匿名で警察に情報を渡すのもダメ。

  私がこうして君に電話したのは、喧嘩別れみたいになっちゃったから。

  一言謝りたかった。

  ……ううん。君は悪くないよ。あの日、君の話も聞かずに、見た光景を私が勘違いして、怒鳴りつけて、殴って、帰ったのは私だから。

  いくら約束した日に急にドタキャンされて、帰ろうとしたら他の女の子と腕組んでる様子を見たからって、ね。

  ……ふふっ、意地悪な言い方だったね。

  ……うん。わかってる。よくよく思い出せば、前に見せてもらった妹さんだったよね。

  ……そっか。私を優先しようとしたけど、妹さんのわがままでね……うん。ちゃんと聞けてよかった。

  ……泣かないの。

  私は死んじゃったけど、君はその分長生きしてね。

  それと、私のことが忘れられないからって他のことは付き合わないとか言わないでよ。

  私は叶わなかったけど、ちゃんと結婚して子供作って、幸せな人生を送ってからこっちにくるんだよ。

  まぁでも、もしかしたら私はすでに生まれ変わってるかもしれないけどね。

  忘れて欲しいとは言わない。だけど、私のことで君が幸せにならないのは私が苦しい。

  だから、死んだからこそちゃんと君に伝えるね。

  大好きだったよ。だから、私の分まで幸せな人生を送ってね。

  ……うん。よかった。

  あ、そろそろ時間だ。それじゃあ、また来世で。

  ※通話が切れる

  ※テレビのノイズ音

  ※徐々にフェードアウト

  【完】

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