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令嬢は婚約破棄を認めない

  ※カップを置く音

  婚約破棄、ですか?

  ……別の令嬢を好きになったから、ですか……

  なるほど、確かに私たちの結婚は家同士のもの。いわゆる政略結婚で、そこに愛はありません。

  仕方がないことではありますが、それもまた貴族として生まれてきたものの責務です。

  この婚約は家のため、国のためのもので、個人の感情で勝手に決められるものではないんです。

  わたくしのお父様やお母様。あなたのお父様やお母様。そして、国王陛下の許可が必要なのです。それを、わかっておられるのですか?

  ……はぁ……そこは君がうまく、ですか……無責任ですね。

  そんな無責任で、他の女性と結婚しようとしているのですか?

  相手の女性が可哀想です。

  ……君には関係ない?関係ありますわ。私はあなたの婚約者です。

  私は浮気された立場の人間です。意見を言う権利はありますわ。

  はぁ……まぁ、あなたが浮気していることも、お相手の方のことも存じておりますがね。

  ……全く、白昼堂々と二人っきりでデートしたり、私が参加できないパーティーにお二人で参加されたり。

  この前はドレスに宝石をプレゼント。その前はとても珍しい生き物をプレゼントしておりましたね。

  あぁ先月ごろには下着を送られていましたね。

  流石に、体を重ねるのは目をつぶれませんよ。

  それから……ん?どうされました、そんなに顔を青ざめて。

  どうして知ってるって、当たり前じゃないですか。自分の婚約者がどこで何をしているか知るのは当然でしょ?

  浮気しても、それが許容範囲なのか、国的に問題になるかもしっかりと把握しないといけませんから。

  国に影響が出るようであれば、流石に止める必要がありましたが、相手は取るに足らない男爵令嬢。どうせ、お金や権力目当てでしょう。まぁ私の婚約者に対して奪えそうな相手と判断したことは腹が立ちますけどね。

  ※婚約者は走り出す

  ※扉をガチャガチャさせてる

  どこに行こうと言うのですか?

  言っておきますが、あなたはしばらくここにいてもらいます。

  ふざけるな?ふざけているのはあなたでしょ?立場がわかっていないようですね。

  あなたは私の婚約者。私以外を愛するなんて許されるはずがないでしょ?

  安心してください、相手にはそれなりの対価を払ってもらいます。誰の婚約者に手を出したのか判らせないと。

  あぁそうでした。先ほどの婚約破棄の申し出はお断りします。

  貴方はこれから、二度と私以外の女性に靡かないように、私の手で一から躾をしなおしますから。

  そう怖がらないでください。

  あんな女よりも、私の方が貴方を深く愛しています。

  ふふっ。さぁ、ベッドへ参りましょうか。

  それともここで、外の見張りに聞かれながら躾をされたいですか?

  ……ふふっ、素直な子は好きですよ。

  それじゃあ、まずはその素直さに免じてご褒美をあげないとですね。

  【完】

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