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ふぉっくすている(リメイク)

  (おしとやかな口調)

  あの、すいません……そこの[[rb:御方 > おかた]]、少しよろしいでしょうか?

  お恥ずかしながら[[rb:私 > わくし]]、足を挫いてしまって……この辺りを歩くのは初めてで、おまけに辺りはすっかり夜で、誰にも気付いてもらえなくて。

  えぇ、はい……申し訳ないのですが、何処か一休みできる場所をご存じないでしょうか?

  手を貸してくださるのですね……ありがとうございます。

  見ず知らずの[[rb:私 > わたくし]]を気遣ってくださるなんて、貴方は優しい御方ですね。

  「家が近くにあるから今日は泊まっていけば良い」……あの、ありがたいのですが、本当によろしいのですか?

  「困っている人を放ってはおけない」……ですか。

  うふふ、やはり貴方は優しいのですね。

  目の前に悩みを抱えている人が居れば手を差し出さずにはいられない──

  (口調が変化、妖しい雰囲気)

  優しいのは美徳ですけど……それにしたって少し、警戒心が無さ過ぎではありませんこと?

  まさかこんな古典的な方法に引っ掛かるなんて……ひょっとして、時代劇とかお好きなんですか?

  まぁ、貴方みたいな人が時代劇を見てるところなんて中々想像できませんけどねぇ……はい、もちろん嘘ですよ♪

  こうやって、ぴょんぴょんと跳ね回る事が出来るくらいには元気です♪

  どうですか~驚きましたか~?

  こほん、浮かれたウサギのように跳ね回るのはこれくらいにして……こんな夜道で立ち話をするのも風情がないですから、貴方には少しばかり眠ってもらいますね。

  心配は御無用、私の[[rb:御社 > おうち]]に来てもらうだけですので。

  それでは……おやすみなさいませ♪

  (雨音)

  もう……流石に少し、眠り過ぎよ。

  私、そんなに手荒な真似をした覚えはないのに……もしかして、私が想定していたよりもずっと疲労が溜まっていたとか。

  この子は相変わらず──っと、そんな事をボヤいてたら、ようやく目を覚ましましたか。

  おはようございます、全く……いつまで寝てるつもりだったんですか。

  私、本当に心配したんですからね……それに、此処が心地良い場所なのはわかりますけど、だからって半日も眠り続けるとか……本当、少しは警戒したらどうですか?

  って……どうかしましたか、そんな狐に[[rb:摘 > つま]]まれたような顔をして?

  実際に貴方の事を私が摘んだ、いえ少しばかり驚かせたのは事実ですが──尻尾と耳……?

  えぇ、それはまぁ私、狐ですから。耳や尻尾の一つや二つくらい、付いてても当然ですよ。

  「ふーん」って、リアクションそれだけですか……普通はもっとこう、腰を抜かしたり……とにかく、派手に驚いたりするものでは?

  そんなに平然としていられると、私としてはとても悲しいのですが……コホン、まぁ良いです。

  「なんで自分が此処に?」って……動じないだけではなく、此方のペースを平気で乱してきますね。

  なんというか……ちょっと調子が狂っちゃいます。

  別に、今すぐ貴方の質問に答えてあげても良いですけど──その前に、少しお話しませんか?

  (卓袱台に茶碗を置く音)

  よろしければこちらをどうぞ、お客人に振舞うのは久しぶりで、正直なところマイチ自信がないのですが……抹茶、お嫌いではないですよね?

  良ければこちらもどうぞ、貴方に会いに行く時に買っておいた和菓子です。

  「お茶も和菓子も美味しい」……それは良かったです♪

  これでも昔は、茶道で有名な狐でしたから……いえ、先程の言葉は忘れてください。

  茶道で有名だった狐なんて、貴方があの話を知っているとしたらその……私の年齢とか、色々とバレてしまいますから。

  狐も人間と同じ、女性に年齢を聞くのは失礼な事……それだけ覚えてもらえば結構です。

  長生きを自慢する狐も居ますけど、私はそういう感じのではありませんから。

  

  (膝をポンポンと叩きながら)

  それより、こっちに来て少し横になりませんか?

  眠くはないと思いますけど、最近は少し働き詰めだったでしょう?

  なので、私が耳かきをしてあげましょう……これなら貴方も落ち着けるでしょうし、最近は怠っていた耳の掃除もできるでしょう?

  (膝に頭を置く音)

  あら、意外と素直に来てくれるんですね……それではまずこちらから、始めますね。

  (耳かき開始)

  どうですか、私の耳かき……気持ち良いですか?それは良かったです♪

  うふふ……やっぱり貴方、昔と変わらず可愛らしい顔をしてますね。

  えぇ……ひょっとしたら覚えてないかもしれませんが、貴方と私って、実は昔からの知り合いなんですよ?

  私の事は──その様子だと、まだ思い出せていないようですね。

  まぁ、あの時は人間に化けてましたから無理もありませんが……出来れば自分で思い出してくれたら、私としても嬉しいんですけどね。

  さてと、こっちはそろそろ終わりですね。

  (耳かき終了)

  はい、こちらの耳は終わりましたよ。次は反対側……の前に。

  (耳に息を吹きかける)

  ふふ……さぁ、反対側を向いて。

  おや、どうかしましたか?

  あぁ……あの庭、とても綺麗でしょう?私の趣味なんです。

  最初はちょっとした気まぐれで始めたんですけど、気が付いたらあんな感じに……それより、今は耳かきの続きをさせてもらいますね。

  (耳かき開始)

  ん、どうかしましたか?もしかして私の事……思い出してくれたりしたんですか?

  へぇ……その「もしかしたら」って思う人の事、良ければ私に教えてもらえませんか?

  うふふ……正解♪

  私の正体は、貴方が小さい頃に仲の良かったお姉さんでした……久しぶり、元気にしてた?

  懐かしいでしょう、貴方が小さい時もこうやって耳かきをしてあげて……もうすっかり大きくなったわね。

  うふふ、今さら驚くなんて……でも、昔の知り合いが実は化け狐でしたなんて言われたら、驚くのも無理はないのかもしれないわね。

  でも、どうしてすぐに私だって分からなかったの?

  私、話し方以外は昔と大して変わってないと思うんだけど……雰囲気が違って分からなかった?

  そっか……ちなみに、昔の私と今の私、貴方はどっちの方が好き?

  優しい近所のお姉さんと美しい狐のお姉さん……貴方はどちらの私を好きって言ってくれるのかな?

  あ、顔が赤くなった……もしかして、照れちゃったのかな♪

  どっちも好き?……うふふ、それは良いことが聞けたわ。

  さてと、それじゃあこっちのお耳も仕上げをしちゃいましょうね。

  (耳かき終了)

  さ、こっちの耳もフーってしちゃいましょうね。

  (耳に息を吹きかける)

  さて……お耳のお掃除も終わったし、さっきの質問に答えてあげるわ。

  どうして貴方がここに連れてこられたのか……それはね、貴方が頑張り過ぎていたからよ。

  だって貴方、最近はずっと気を張り続けていたでしょう?

  「頑張らなきゃ」「もっと頑張らなきゃ」って……休む事も忘れて、自分の事さえ[[rb:蔑 > ないがし]]ろにして。

  そんな事を続けていればいつか必ず身を滅ぼす……だから、ちょっと強引な気もしたけれど、貴方にはこうして休んでもらおうって思ったの。

  誰にも感謝されないって分かってるのに、それでもひたむきに頑張り続けて──

  お疲れ様……よく頑張ったわね。

  あら……もしかして、泣いているの?

  えぇ、大丈夫よ……今は貴方の気が済むまで、好きなだけ泣いて良いのよ。

  よしよし、よしよし……

  あら、泣き疲れて眠ってしまったのね……うふふ、こういうところも昔と変わってないのね。

  今はゆっくり休むといいわ……おやすみなさい、とっても素敵な頑張り屋さん。

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