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かじぺ○が有名になる前に書いたやつ

  時は夕刻よりも遅く、徐々に月明かりが空を満たす。

  無事、今日も一日の仕事が終わり、帰宅している最中、仕事場のストレスをついぼやいてしまう。

  「嗚呼……ったりぃーなぁ、もー」

  そして、携帯電話を履歴から発信して、後輩に電話をする。

  「あー、オレオレ、今日暇? オレんちで飲まね……」

  『嗚呼、はい、分かりました、大丈夫で……先輩?……』

  ショーウインドウに飾られた、一人のヒト、

  性別は女、年は推定16歳 と書かれている。

  「……や、やべぇ、超可愛い……」

  『へっ?可愛い……っていや、オレも先輩もノン……』

  携帯電話を持つ手の力が緩み、携帯電話は、地面へと墜落する。

  当然後輩の声は聞えなくなる。

  そして、携帯も気にせず、飛びつくようにショーウインドウに近づいた。

  『ドンッ』

  勢い余って両手がぶつかってしまう。

  「ひゃぁっ!!……」

  その音に驚き、尻餅をついた女子高生は、涙を流しながら、ショーケースの奥隅に後ずさりする。

  「か、可愛い……」

  そして、オレは、どれぐらいだろうか、女子高生に見入っていた。

  服装が美しい、涙残る顔が美しい、おびえている姿が美しい。

  あ、でも支配したいとかっていう不純な気持ちは一切ない。 ……と思う。

  

  

  …… どれだけ見ていただろう。

  「あの、此方の携帯はお客様の物でしょうか?」

  「んっ?嗚呼……ありがとう」

  店の店員が落ちていた携帯を取ってくれた、傷増えたなと言う憂鬱な気分よりも

  目の前に居る何者よりも美しいこの子のことに夢中で携帯を受け取っても

  無造作にポケットにしまってから、再びショーウインドウを食い入るように見つめた。

  

  「あの……抱っこしてみます?」

  ……、な、なんだと……。

  少し間があったが、子駑馬の意味を理解した時、オレの尻尾ははちきれんばかりに左右に揺れた。

  「……」

  「あはは……では、中へどうぞ」

  こ、こいつ、オレはまだ何も言ってないのに、何故オレの気持ちが分かった……。

  さては、エスパーだな!

  気味が悪いとも思ったが、事態が好転しているのに変わりはない。

  そして……。

  

  「ありがとうございましたー」

  ……飼うつもりないのに飼っちゃった。

  すごいのは、店員の話術なのだろうか、それともコイツの魅力なのだろうか…。

  店を後にしながら片腕で抱き一緒に女子高生と歩く。

  さっきからすすり泣きがやまないのは、店員がいうには避けられないとのことだが

  懐けば、静かになるらしい。

  攻撃的な人間より、凄く飼いやすいとのことだ。

  

  本屋に寄って、ヒトの飼育書を買った方が良いだろうか?

  まさか一目惚れで飼うなんて想定もしてなかった。

  でも、こいつに興味を持った客の一声があったとたんオレは慌てて購入を決めたのだ。

  

  <数分前 ペットショップ>

  誰かが店の中に入ってくる、別の店員が客に応対を始める。

  「いらっしゃいませ、興味がある子居ましたらお申し付け下さい」

  「あっ、あの子良いな、飼って……」

  耳がピクンとなると同時にオレは言葉を発していた。

  「飼います! いくらですか!」

  「……は、はぁ……あ、ありがとうございます、では……」

  と店員の呆れた返事を聞いたが今となっては良かったと思う。

  

  

  

  

  本屋前にてオレは会話を交わそうとするが、すすり泣いたままで何もならなかった。

  「少しだけ待っててくれるか?」

  「………んっ……んぅ……」

  「……大丈夫だ、怯えなくて良い」

  そういって、オレは2度目のハグをする。

  「ひっ!……んぅ……んっ……」

  女子高生から漂う甘い匂い、それは、吐息なのか、それとも体或いは服の匂いなのか分からなかったが。

  オレにとってはとってもいい匂いだった。

  

  

  そして、本屋の前でじっとしてもらうよう指示をしようとした時だった。

  「……☆ο△×ν○÷……」

  何か言葉を発した女の子は、そっとオレの腕を取った。

  「……うぉー、すっげぇーかわいい、大事にすっからなぁ!!」

  「ひっ!!……」

  懐かれたと思いオレは思わず大声を上げ3度目のハグをした。

  「ひくっ……」

  「……わりぃ……驚かせちまったなぁ……」

  ハグしていると伝わる、その子が震えて怯えているということ。

  一瞬だけ、優しくギュッとしてから女の子を解放する。

  

  

  ちらりと、本屋を眺める、今じゃなくて良いだろうか?

  そして、オレは、女の子に手を差し伸べ、握手をした形で家へと向かえた。

  

  

  家に帰る間もなく、おどおどして、オレの傍を離れない女の子。

  ふと、後輩と電話していたことを思い出す。

  

  

  女の子を片腕に抱いたまま、オレは後輩と電話をする。

  

  はじめのうちは、女の子を脅かさないよう気を使っていたのだが

  一分、二分と話すうちに、更にはペットのことを話そうとしたせいかオレの声のトーンは高くなっていた。

  「あ、そういえばよ、えっとなぁ……」

  いざ打ち明けようとすると背中にこしょばゆい感覚がのぼってきた。

  『どうしたんですか?』

  「いやー、ついに飼っちゃってさあ」

  『はい? 犬とか猫とかですか?』

  「いや、ヒト」

  『はぁ!? 先輩分かってます? ヒトって飼うのが難しいんですよ?』

  「わぁーってるよぉ」

  予想内の反応だが、やっぱり、否定されるとムッと来てしまう。

  『いいですか、ヒトは他のペットと違って、馴染めなかったり、生活が苦になると自殺することがあるんです。 くれぐれも気をつけて下さいよ?』

  『自殺』かぁ……。動物の中で唯一、オレ達獣人と同じように自害を選ぶ種族、それがヒト(人間)

  その代わり言葉は発せずともオレらと変わらないぐらい感情があるのだと考えられている。

  「わぁーってるってば、だってよぉ、つぶらな目で『飼って下さい』みたいに見てるんだもん、最高だよなぁー?」

  通話しながらも、時々女の子を見る、震えながらも、抵抗はせず俺の膝に体を預けて横になってくれている。

  ヒトが飼い難いだなんて俄かに信じがたかった。

  もし飼い難いとしたら、オレはそうとう良い奴を選んだのか、オレにヒトを飼う素質があるかのどっちかだと思う。

  

  「店員が『抱っこします?』とか言うから、抱っこしたの、もうダメだわ即買い。 運命感じちゃったねぇー」

  

  真実を話すと少し違うが そういうことにしておこう。それだけ愛着がある、土壇場で飼う!というよりは今みたいに言った方が後輩の株もあがるだろう。

  

  「さっきまで怯えて泣いてたんだけど、抱っこしたら泣き止んだわ。 相性良いんだろうなきっと」

  『……先輩の言動が凄く不安なんで、すぐ行きます、待ってて下さい』

  「え? そんなに見たい? めっちゃ可愛いから度肝抜かすなよ! あ 変なことすんなよ、一番はオレなんだからなぁ……」

  ノリで変なことを言ってしまう。 でも本当に親しくなったらHしたくなるんだろうか?

  「まぁー、心配ないと思う、めっちゃ懐いてると思うからよ」

  『良いですか、先輩、オレが到着して確認するまで、抱く以上のことしちゃ駄目ですよ?』

  「んー……もー……わあったって、うんじゃぁ、待ってるわ」

  電話が終わる、オレの右足に体を預けている女の子に問いかける。

  「なぁ? オレのこと好きだよなぁ?」

  「ひっ!…………」

  心なしか、ビクッとしていたような気がするが、多分、気のせいだよな?

  

  

  ……。

  

  

  

  

  

  

  ……

  目覚しがなり、布団から体を起こし、小動物が入ったゲージへテクテクと歩く。

  「……おはよ……銀…」

  眠い目をこすり、ジャンガリアンハムスターの銀に挨拶をする。

  しかし、銀の寝床は、ピクリともしない。

  名前を呼ばれることによって、餌が貰えると行動を強化された銀は、いつもなら目を覚まし起きてくるのだ。

  何を思ったのか、オレは寝床をひっくり返し、ウッドチップもろとも銀を寝床から出そうとした。

  その時だった……。

  『ボドッ……』

  その塊を見たオレは、一気に目が覚め、背筋が凍った。

  目の前に写る銀は、苦しそうに口を開けたまま……。

  

  

  

  ……。

  

  絶命していたのだ。

  「おい、銀、銀! 嘘だろ? な? おぃ! 銀ってば!」

  そっと大事に銀を抱え込むも、既にカチカチになり、普段通りなでても

  一切反発しないただの短い体毛がある肉の塊へと変貌していた。

  「銀、銀!しっかりしろよ! なぁ、おぃ!……」

  「ひっ……」

  「……んっ?……」

  女の子の怯える声に目が覚める、どうやら女の子を抱いたまま寝ていたようだ。

  女の子は、泣いてはいないが、泣きすぎて目が少し赤くなっていた。

  「銀……」

  『銀』と呟くと同時に、銀との苦い思い出が脳裏に蘇った。

  

  銀が亡くなったのは、銀を飼ってから、一月経とうとした頃の出来事だった。

  ようやく、名前で反応してくれるようになったし、『おはよう』と言えば寝床から顔出し

  大きく口を開けて立派なげっ歯をみせてくれた、そんな矢先だった。

  

  結局、学校を無断で休み、1日銀のことを想ったり、供養をしたりしてすごした。

  

  のちに分かった銀の死因だが、とあるフルーツをあげてしまったことだった。

  そのフルーツは、獣人やヒトには毒はないものの、小動物の一部には毒になるようだった。

  因みに、アポガドや桃の種も 小動物にとっては毒になる場合があるとダチが教えてくれた。

  

  学校に行けなくなったぐらい凹んだのだが、寝て起きると不思議と気持ちは回復していた。

  銀には申し訳ないが、いい勉強になっただろうと、楽観的になっていた。

  天国にいる銀の幸せを願ったのは、銀が亡くなって数日間だけだった。

  

  久々に思い出し、涙がこぼれそうなぐらい寂しい気持ちになる。

  ふと、視界が女の子を再び捕らえる、何をされるのか怯えているのか、抱かれたまま

  オレの襟元を見ていた。

  そして、視線をあげた女の子と目が合った。

  「ぁ……」

  しかし、女の子は、慌てて視線を逸らした。

  「……」

  潤んだ目と潤んだ唇、最高に色っぽく美しかった。

  ……舐めたい。

  そう思うと同時に、舌にじわりじわりと唾液が集まるのが分かる。

  そっと、女の子の顎を掴み、オレの方を向かせる。

  「ひっ……△×◎÷☆!! ◎△□÷○☆!!」

  何かを発する女の子、勿論ヒトの言語など理解できない。

  怯えてるのは分かる、凄く嫌がってるのは分かる。

  「……」

  でもよぉ、オマエは、オレのペットなんだよ。

  傷ついた、寂しくなった、オレの心癒してくれよ。

  なぁ……頼むよ。 ちゃんと面倒見るからさぁ、大事にするからさぁ……。

  

  徐々に女の子との距離が短くなる、短くなるにつれ、舌に唾液が溢れ、そして、マズルから顔を出す。

  ……嗚呼、オレ抱こうとしてるんだ、凄く怯えてるけど。

  一回抱けばオレの優しさきっと分かってくれるよな?……。

  「ゃ……□◎×☆△×!!」

  「……だぁーーめぇだぁ……」

  拒絶の言葉を言ってるのに、何故かもっとしたい、支配したい気持ちにかられ

  オレの逸物がピクッとはね、半勃ちになる。

  ……。

  

  その時だった。

  

  

  

  

  

  3:38 2014/03/05  読んでいただきありがとうございました、他の作品も是非!

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