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sweet dreams, napply doggo
甘さ0、指先が切れる程度の流血描写、夢主の過去描写あり
苦手な方はブラウザバック推奨
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「~♪、…違うな」
アコギを置いて時計を見ると、既に6時を回っていた。気が抜けて初めて感じた肌寒さについ身震いした。
あれ以来、体調が悪くなることが多くなってしまい、学校に行くのが億劫になってしまった。回復の目処も立たないうちから復帰を急かされることに参ってしまい、部活も辞めてしまった。丁度行事の実行委員の業務と重なってしまったから、1ヶ月前後は休んでしまっていただろうか。その間は暇を持て余すあまり、昔の趣味が再燃したり、バイトを入れたりなどした。なかなかの額だったが、口座を持たないが故に現物支給で渡された時にはその重み、分厚さに委縮してしまった。アコギもその金で買ったものだ。短くなっていく日の長さにも目もくれず、一人で手を出してみたかった曲に手を出す毎日を、俺は享受していた。
そういえば今日は一人じゃなかった。思い出して、辺りを見回した。いない…?
「あ」
ベッドの上の黒い毛玉を見て、俺は安堵した。
彼、黒柴ショウマは俺の想い人だ。本来であれば俺の家で二人きりということはあり得ない話だった。それが何故起こり得ているのかと言うと…
_数時間前
すっかり人が怖くてたまらなくなったこの頃は、人との関わりが殆どなくなってしまった。其れこそ、ショウマに依存しきってしまう程で、きっと迷惑に思われていたんだろうな…と今になって自己嫌悪が止まらない。いっその事ショウマとの関わりまで絶ってしまおうかと悲観的な考えが渦巻いていた頃、珍しくショウマの方から声がかかった。
「なあ、今日、お前ん家邪魔していいか?」
咄嗟のことで声が出なかった。とても嬉しかったが、自分の家に面白みのあるものがないのと、先日の一件が原因で素直に来てほしいと言うことが出来なかった。が、ショウマが来たいと言っているのだから、その通りにして、失望されてしまえばいいと思った。小さくうなづくとショウマが俺の顔を覗き込んだ。心なしか「うわ…」とでも言わんばかりの表情をしている気がする。俺はどんな顔をしているんだろう。
安心してほしくて口角を上げるとショウマだけでなく周りにいた何人かも何か恐ろしいものを見たかのような表情になった。
「…ちゃんと寝て起きて、飯食ってんのか?」
「…もちろん。でも、寒くなってきたからか、寝ても寝ても寝足りないんだ。」
本当のことを言ってしまうと、食欲は以前ほど湧かないし、夜も目が冴えてしまって、眠れたものじゃない。だが、それをショウマに言ったところで余計に頭を使わせるだけだなと思い、そう答えた。
せっかく心配してくれているのに、申し訳ないな。
俺が嘘つきなのが皆にバレて、ショウマに嫌われたら、少しは楽になるのかな。
嗚呼、またこんなことを考えて人の話を聞いていない。
「やっぱり体調悪いんじゃないか?いくらでも先延ばしにしてもいいからさ、今日はゆっくり休めよ」
ショウマはそう言うが、後に後にと引きずったところで体調は悪化するばかりなことは分かっている。それに今日終わらせてしまえば、もうこれ以上苦しむ必要もないはずだから。
「ううん、大丈夫だよ。だからさ、今日、来てよ」
そう、それで家にきたショウマにせがまれて何曲か演奏した後だった。
「…結構片付いてるんだな」
ショウマは殺風景な俺の部屋を見回しながら言った。
「『何もない』の間違いじゃなくて?」
身の丈に合わなくなってきた勉強机、収納してある本が見えないようになっている布箱の本棚、制服を掛けておくだけのスタンドとシングルサイズのベッド、それだけしかないのだから小綺麗で当然な様に見えるが、そんな風に言われるとなると、ショウマの部屋の散らかり具合が気になってくる。
「…よかった。軽口叩けるくらいの元気はあって」
ショウマはそう言って、ベッドの上に転がった。俺はそれに背を向けて、演奏を続けた。何も考えたくなかった。楽器を弾いてる間はそれ以上に何も考える必要がないから。だが、今日は違った。何を弾いても手が止まってしまう。あの日のことや、もっと昔の、ショウマに出会う前のことが次から次へとフラッシュバックする。苦しい。爪弾く指は震えて、弦を抑える指には力が入らない。音が外れる度に息が止まる。
意識が正常になったのは、指先に痛みを感じた時だった。弦が指に食い込んで、白い毛が赤く染まっている。俺は痛みを覚えたことに安堵した。その間も止め処なくあふれる血液が、柄や弦を伝って床に落ちる。カーペットの類を敷いていなくてよかった。血の匂いがするのはショウマが嫌がるかと思い、手を洗った。前よりも手の色が薄桃色に近くなったように見える。
自傷癖はもう残ってはいないが、時々夢に見る。誰からも手を差し伸べてもらえなかった遠い昔の話、自分だけが覚えている痛みの記憶。自分でさえ正確に記録できているか分からない。もしかしたら都合のいい作り話だったかもしれない。ただ、どうでもよくなりつつある過去をいつまでも引きずりながらショウマを愛していることだけが目に見えた真実だった。
それからも盲目的にアコギを弾き続けて、ようやく今に至る。
季節外れの半袖と短パンで、よくもまあこんなに凍える様子もなく眠れるのだろうか。大きな耳が不規則に揺れ、尻尾は時折小刻みに震える。ギザギザした歯をのぞかせる口からはだらしなく涎が垂れている。
袖口から見える脇からは制汗剤の清潔な匂いがする。ギリギリ見えそうで見えないパンツはおそらくボクサータイプだろう。服越しでもわかるものの質量の微妙さにショウマが「平均13cm」と落ち込んでいた理由が分かって思わず笑ってしまった。首筋や鎖骨、その下のモサ毛、毛の白と黒の境目、何もかもがキレイに、そしてエロく見える。
触れたい。そう思って手を伸ばした。距離が縮まっていく。息の音がどちらのものか分からなくなる。指先がもう届きそうだ。胸が苦しくなる。胸元との距離が1cmもなくなった。そこで手が止まり、段々と下の方へと降りていく。心臓が爆発しそうな興奮と緊張感は行き過ぎた手がショウマに布団を被せた瞬間に治まった。僕はベッドの側面にもたれかかった。呼吸が上手く出来ない。僕はショウマに何をしようとした?あいつみたいに赦された関係ですらないのに。何度恋をしても治らない性格がショウマのことを傷付けようとまた牙を剥く。
_嗚呼、こんなことになるなら、こんなに苦しい思いをし続けないといけないなら、
「初めっから、誰のことも好きにならなければよかった…」
ようやく整い始めた、哀愁の籠った音を止め、ショウマが帰った後のベッドに潜った。ショウマの匂いが染み付いて離れないから、眠れそうになかった。
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楽曲イメージ
「魔海の番人ダンテのテーマ~哀愁のアコギアレンジ~」
「放浪の竜騎士レオンのテーマ」
参考程度に
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