欲望が数値化される獣人社会で刑事をしてる貴方を小悪魔系獣人が襲い、ふたりっきりの密室で深い関係性になる

  [捜査室]

  獣人特区パノプティコン。本能指数と呼ばれる人類が人類たる所以の理性を数値化し、如何にその者の理性が本能より上回っているかを全ての基準とした特別区域。今やその区域は地球の半分を占めている。

  また獣人とは動物と人間ふたつの特性と外見的な特徴を持つ22世紀最後に発見された異世界と言う場所からの来訪者。イヌやウサギ、ライオンからドラゴンまで様々な種類の獣人がおり、タイプごとに違った特徴的な本能を持つ。

  そして、その本能が激しく強い、即ち本能指数が基準値を大きく上回っている特殊逸脱者を逮捕または執行する役割を持つのがこの私たち執行省。

  いや正確には執行省に所属している管理官と、猟犬として飼われている特殊逸脱者である執行官なのですが。

  では改めて、管理官になって半年経ちましたがどうですか?自分の執行官が女の子で、こんなに可愛い同い年の子が自分の命令に従うと聞いて、何でも命令出来ちゃうぞーなんて思っていたら意外とそうでも無くて、ぶっちゃけ残念でした?

  管理官くんも男の子ですもんねー。そりゃーそう聞いたらドキドキしますし、半年も経てば現実知ってテンション下がっちゃいますよねぇ。仕方ない仕方ない、大人しく国家の犬やるしかないですよ。

  相変わらず冗談が通じない人ですね。そこはいやぁ犬になって追っかけるのは女の子の尻だけにしときたかったよーとか言っておチャラける場面じゃないですか。何焦って否定してるんですか。

  それじゃあガチっぽく見えちゃいますよ。モテなそうな匂いがプンプンします。これでも私、本能指数300オーバーの才能ある獣人ですからね。鼻には自信があるんですよ。

  あっ、これ獣人ジョークです。別に管理官くんから物理的な非モテの匂いなんかはしませんよ。むしろ良い匂いがします。

  例えるなら、チュベローズのような、金木犀の様な。柔らかい香水と高貴なお香が混ざった匂い。フェロモンってやつなのでしょうか。君の匂いを嗅いでいると落ち着きますし、気が狂いそうにもなります。

  きっと、・・・いや、やはり私は君の事が好きになってしまったからそう感じるのでしょうね。好きな人の匂いを好きになる。人として自然なことでしょう?

  だから、こうして迫ってしまうのも仕方ない訳です。そして貴方がそれを拒まないのも仕方ない。何故なら貴方も私の事が好きだから。

  きっと貴方は自分にはないものに引かれて私を好きになったのでしょう?人類って単純ですからね。異質で未知な何かにリスペクトと好印象を抱けば勝手に好意を抱いてしまうのです。

  まぁ実際私もそうでしたよ。生まれつき本能指数が300を超えている化け物で犯罪者予備軍。通常100で特殊逸脱者なのに私は300もある。そんな私は蔑まれ、疎まれ、気持ち悪がられてこの世界を生きてきました。

  そんな私を初めて人として接してくれたのが貴方です。優しさと暖かさを仕事抜きに与えてくれた。プライベートの、利害関係のない時間を共に居てくれた。

  だから貴方に恋をし、それだけの理由で恋が芽吹花が咲いてしまったのです。

  この部屋に監視カメラはありません。しかも今日は管理官全員非番。つまり今日この部屋に来る人はおらず、本当の意味でふたりっきり。

  何をしても許されるわけです。

  さぁ、私に身を委ねて、本能のまま私を愛してください。大丈夫、貴方は私たちと違いただの人間。何をしても基本的に本能指数は上がらない。

  だから貴方は何も考えず欲望のまま動けばいい。ただ私に噛み付くだけでいい。

  何故なら貴方は私の管理官であり、パートナーであり。

  最愛のオスなのですからね。

  愛してますよ、管理官くん。