[chapter:シラユキ]
「ご主人さま、はい、あーん」
爪楊枝にはカットされたシロップ漬けの林檎を差し出される。別に自分で食べれる、とシラユキには言ったものの、彼女は一歩も退かないと言わんばかりに爪楊枝に刺した林檎を向けたままだった。折角作ってくれた以上は食べないという訳にもいかないので、少し恥ずかしい気分にはなりながらも、僕は林檎をぱくっと口に入れていく。
「おいしいですか、ご主人さま?」
僕は首をこくりと振って即答すれば、シラユキは嬉しそうに笑顔を浮かべて良かったと溢す。そして爪楊枝で林檎を刺して、再び僕に食べさせようとする。なので、僕はもう諦めて、彼女のあーんと食べさせてくるのに付き合っていく。林檎を黙々と食べながらも、僕はあるものが気になって仕方がないでいた。
改めて見ると大きいとは思ってしまう。林檎のようにたわわに実ったシラユキの胸が。
食べさせるという、胸を寄せやすい体勢をしているのもあってか、僕はついついシラユキの胸に目が泳いでしまう。あまりの大きさで乳袋と言わんばかりに、シラユキが着ているドレスの胸元が膨らんでいた。
流石にわざとではないだろうが、こうも目につくとなると林檎とシラユキの乳袋、どちらの方が大きいのだろうかと考えてしまう。ぱっと見では同じくらいなので、実際に手に取って確かめないと分からないだろう。
そんなやましい考えがふつふつ湧いてきてしまうので、僕は気を紛らわせるべく林檎に齧り付く。精霊とは言え、女の仔の身体をあまりじろじろと見るものでもない、そう思った僕はシラユキの顔に視線を戻していくものの、彼女は含みのある笑いをしながらこう言ってきた。
「ご主人さま、宜しかったらこっちの林檎も食べて良いんですよ?」
そうして自分の胸をむにゅっと抱えていく。もぎ取った二つの林檎を抱えるかのように。そうして抱えたかと思えば、手を放してはたぷんっとその二つの果実を揺らしていく。そんな様子を見せられれば、たわわに実ったのは目でも分かるくらいだった。
僕は思わず赤面してしまう。シラユキの胸の具合を見たというのもあるが、彼女に視線を気付かれていたということに。
どうやって取り繕うか。いや、取り繕うくらいなら、寧ろシラユキからの甘い誘いに乗った方が良いのではないか。口の中に残っている林檎が段々と味がしなくなるくらいに悶々として、僕は固唾ごと林檎をごくりと呑んでいくのであった。
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[chapter:シンデレラ]
「ご主人様、私と一緒に踊ってくださるかしら」
シンデレラから誘われたものの、僕はダンスなんて知らない。ましてや舞踏会のようなダンスなんて尚更分かる訳がない。そう思っていると、シンデレラが僕の不安を汲み取るようにこう言ってきた。
「上手く踊れるとかは関係ないのですよ。誰と踊るかが大事なのですから」
そうして手を差し伸べてくる。ここまで異性に言わせてしまうと、本来リードするべき男性の立場が無いし、断るのは流石に申し訳なかった。ゆえに僕はシンデレラの手を取っていっては一緒に踊る。
最初は案外それっぽく踊れていたものの、早々に僕はシンデレラのガラスの靴を踏んでしまう。靴を踏んで体勢が崩れた僕は、ずるりと身体を傾けさせてしまう。それは自分だけではなくシンデレラもまた同様であった。
そして僕は背中を床につける程に見事なまでに倒れ込むこととなった。不幸中の幸いなのが、シンデレラが自分の身体の上になるかたちだったので、彼女には一切傷ついていないところだろうか。
「だんなさま、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫……。シンデレラこそ、大丈夫かい?」
「ええ、私は大丈夫ですよ、だんなさま」
とは言え、背中はずきずきと痛み直ぐには起き上がれそうにはなかった。せめて痛みが引いてから身体を起こそうと思っていると、
「……だんなさま、私、ダンスがうまいのですよ?」
「え? ああ、それは知っているけど……」
そんな当たり前のようなことを言ってくるシンデレラ。ガラスの靴を踏んだことに対して怒ってるのだろうし、謝らなければと思っているとある異変に気づく。
シンデレラが口を開けて、はあはあと息を荒げた息遣いをしているのである。それこそ、興奮している犬のように。だが、僕の不安は単なる気のせいではなかった。シンデレラのお尻が僕の下腹部を撫でるかのようにそれも、段々と熱を募らせていくところを中心に。
「し、シンデレラ……踊りの続きしようか?」
「いいえ、だんなさま、私の踊りはこの体勢でもできますのよ?」
嫌な予感がする。シンデレラの雰囲気からそう悟った僕は彼女に提案するが、一蹴されてしまう。それどころか、彼女の手の力が自然と僕を床に押し付けようと強くなっているため、自分で起き上がることすらままならなくなっていく。
すっかりポールを使ったダンスをする気満々となったシンデレラ。そんな彼女に僕はなんて返せば良いのか分からないうちに、愛撫されることで自らポールを立ててしまうのであった。
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[chapter:カグヤ]
「あるじさま、せくしーず召喚とはなんなのかのう?」
セクシーズ召喚ってセクシーポーズでもするのだろうかという疑問はさておき、エクシーズ召喚の間違いではと指摘してあげる。それに対して、カグヤはこう溢した。
「えくしーず召喚……ふむう、わらわはどうも横文字には弱くてな」
まあ無理もないと僕はカグヤを宥める。実際、彼女は妖精伝姫の仔たちの中でも珍しく和装をしている仔だった。特に尻尾に巻いているアクセサリーも他の仔は決まって本だったが、カグヤだけは和を彷彿とさせる巻物となっているのである。
実際に見せた方が早いか、と思って僕はカグヤの目の前で、妖精伝姫-シラユキと妖精伝姫-シンデレラの二枚を重ねてNo.39 希望皇ホープをエクシーズ召喚させた。
「こうやってかーどを重ねる……ふむふむ、これがえくしーず召喚と言うのじゃな。では、試しにあるじさまとわらわも重ねてみてはどうかの?」
折角、目の前で見せたと言うのに、カグヤにそう言われて僕は思わず吹きそうになる。カグヤは、自分が何を言っているのか分かっているのだろうか。
でもカグヤはすっかりその気なのか、身体を僕に預けてきたかと思えばそのまま押し倒してくる。お陰で僕はカグヤを上にする形で仰向けに倒れることになってしまった。
「あるじさまのからだはあったかいのう……」
エクシーズ召喚の話はどこいったと言わんばかりに、カグヤが僕にしがみついてそう呟く。カグヤが和装だから良いものの、それでも彼女の柔らかな感触が伝わってくる。特に尻尾とか大きい上にもふもふしているので、一度味わってしまえば手放すのが惜しくなってしまう。
それに身体を重ねてみて、案外カグヤの胸が大きくて柔らかいとか思ってしまう。外見ではそこまで胸があるようには思えなかったのだが、身体を重ねてみて確かに分かる。
こんなこと考えているなんてカグヤに幻滅されてしまう。僕はそう思ったのだが、逆に彼女の方からこう言ってくるのである。
「あるじさま、わらわのせくしーず召喚は見たくないかのう?」
いや、だからそれはエクシーズ召喚ではと突っ込む前にカグヤが着物の紐を緩める。そしてカグヤは胸元をはだけさせると、着痩せで隠していた確かな膨らみを見せつけてくるのである。あたかも本当にセクシーポーズでもすると言わんばかりに。
そんなカグヤの姿を見て、わざととぼけたようにエクシーズ召喚のことを訊いてきたんだなと僕は思った。狐に化かされる自分が悪いのだが、僕も現金なやつで首をこくりと縦に振ってしまう。そんな僕の反応を見て、カグヤはちろりと舌で口元を拭うと、くふふと妖しく笑った。
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[chapter:ターリア]
「あなたさま、わたくしと一緒に寝ましょう?」
ぽんぽんと、丁度空いているベッドのスペースを手で叩きながらそう言ってくるターリア。あたかも自分のベッドに僕を招いているように見えるのだが、実際はそうなんかではない。いつものようにターリアの方が僕のベッドに入り込んでいるのである。
「いや、そもそも僕のベッドで勝手に寝ないでよ」
「……あなたさまってば、そんなに冷たいお方でしたのね」
ターリアにはそう指摘するものの、彼女はしゅんと悲しそうにこう言ってきた。そこまで言われると、逆に申し訳ない気分になるので、僕は渋々ターリアの隣に寝転んでいく。一緒のベッドに入れるや否や、ターリアと顔を合わせることになるが、彼女が糸目ということもあってもう寝てるのではないかと思う。実際、ターリアからは息遣いが聞こえてくるものの、ほぼ寝息なのと変わりなかった。
「あなたさま」
そう言ってターリアが、不意に僕のことを抱き締めてくる。まるで僕をだきまくらにでもするかのように。ターリアからだきまくら扱いされることに対して、僕はどうでもいいとは思っているものの、抱かれると気になってしまう点があった。
それはターリアに胸を押し当てられている点である。ターリアは無自覚なのかもしれないが、寝る子は育つというのを顕著に表すかのごとく、彼女の胸は存在感を誇示しているのである。ゆえに僕は、ターリアにだきまくらにされると、どうしてもそちらに意識を向けざるを得なかった。
それにターリアの身体は全体的にふくよかであり、寝間着越しでも、むちむちとした柔らかな感触が伝わってくることとなる。ターリアに離れてとやっぱり頼みたいところである。しかし、冷たいとまた言われるのも嫌なのと、彼女の身体がきもちよくてそんなことも言えなかった。なので僕は黙り込むしかなかった。
このまま後は寝るだけ、僕はそう割り切って瞼を閉じようとすれば、ターリアが不意にこう言ってきた。
「――あなたさま、一緒に寝るという意味をご存知かしら?」
その台詞を聞いて僕は肝を潰すことになる。この状況で何を言っているんだろうか。そんなことを思っている矢先に、彼女は僕に抱きついたまま寝返りを打ってくる。すると、横になって寝ていた筈なのに、彼女が上になるように仰向けになっていた。
ターリアが上になったことで、余計に彼女のむっちりとした身体を感じることになる。それに彼女の胸の重量感も味わうこととなり、寝ていた筈の愚息が起きようとしてくる。それを彼女も察したのか、僕にこう言ってきた。
「あなたさまったらいけずですわ。せっかくわたくしが誘っているのに手を出さないのは」
そして糸目だった筈のターリアの目が開くことになる。彼女は僕にぎらついた瞳を向けながら、口元にあるほくろのあたりをちろりと舐めていく。
そう言えば、猫は肉食動物だった。そんなことを思いながら、僕は諦めたように見慣れた天井を仰いだ。
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[chapter:ラチカ]
「ラチカ、何か欲しいものってあったりする?」
「……どうして?」
「ラチカからはプレゼントばっかり貰ってるような気がしてさ」
僕がそう言うと、ラチカは目を丸くする。別に何の記念日という訳ではないが、事ある度に彼女から贈り物を貰っているため、何かしてあげたいと思ったからだ。
「じゃあ、ラチカ……アナタがほしい」
そう言って、ラチカは僕の洋服をくいっと引っ張ってきては僕を見つめてくる。プレゼントがまさか自分だとは予想外だったが、彼女の眉毛が困り眉のようになっているのもあって断る気を削いでくる。一応、確認にために僕は訊いていく。
「僕なんかで良いんだ」
「……うん、アナタがいい」
そうして抱っこして欲しそうに、両手を広げてくるので僕はラチカを抱えていく。彼女の種族はセーブルということもあって毛並みがつやつやであった。それに、彼女からは良い匂いまでも漂ってくる。逆にこっちがご褒美を貰っているのではないかと思う程に。
ラチカが更に僕に求めるように目を瞑ったまま顔を上へと傾けてくる。普段、彼女はここまで甘えてこないのだが、そうされるとあげたくなってしまう。僕はそっと唇をラチカの口に重ねていく。すると彼女は若干頬を赤らめながらも、僕にこう言った。
「……うれしい」
「喜んで貰えて僕も嬉しいよ」
そう言って僕はラチカと無言のまま見つめあっていく。彼女の水色の瞳はとても透き通っており、まさに穢れを知らないと言った具合だった。だけどそんな彼女から思いがけない言葉が飛んでくる。
「ラチカのからだ、あつくなってきちゃった……」
そう言ってラチカは、熱のこもった息遣いをするとともに、着ているコートに手をかけていく。そうしてボタンを外していけば、小柄な見かけによらず、むちっとした身体が垣間見える。特に胸に関しては谷間ができるくらいにたわわであった。
普段、ロングコートで着込んでいるからまさかここまでとは予想していなかった。僕は普段、ラチカのことを幼子同然に扱っていたのだから。目のやり場に困った僕はラチカにこう言う。
「ラチカ、ちょっと脱ぐのは……」
「あついからぬぎたいけど……だめ?」
言ってる本人――と言うより精霊は、無自覚なのか本当にそのつもりかもしれないので、はっきり駄目とは言えなかった。だけど、ラチカは僕におねだりするように見つめてくるものだから、甘やかしてこう言ってしまう。
「……それじゃあベッドで脱がせてあげるね」
そうして僕はラチカを抱えたまま、ベッドへと連れていく。その際に、彼女の大きな尻尾が嬉しそうに僕の背中を摩ってくるものだから、歩調が早くなるのは言うまでもなかった。