【関西けもケット10】英雄たちが堕ちるまで【小説本サンプル】

  [chapter:サンプル① 一寸先は闇(モブ×バレル)]

  オリエントシティ。そこは現在の日本の首都であり、数多のヒトが集う都市である。

  オリエントシティは賑やかで活気があるが、ヒトが多ければ悪事を働くヴィランと呼ばれる存在も多くなってしまう。それに加え、ヒトを喰らうカイブツと呼ばれる脅威も散発的に現れている。

  ヴィランとカイブツ。それらの脅威に対抗する手段を持ったのがヒーローと呼ばれる存在であり、市井のヒトの希望の象徴となっていた。

  しかし、圧倒的な悪意は時に希望を打ち砕く。

  今日もまた、とあるヴィランの悪意が希望を打ち砕こうとしていた。

  §

  オリエントシティの繁華街から少し離れた場所にある廃アパート。その一室に、小太りの猪獣人が足を踏み入れた。この猪は小規模な組織犯罪集団を取りまとめる首領であり、ヴィランに属する男だ。

  「へへっ。良い眺めじゃねえか」

  この部屋と隣室を隔てる壁には穴が空いており、そこから尻が生えていた。その尻のすぐ上にはモニターが設置されており、困惑の表情を浮かべる狼獣人の上半身が映し出されている。

  この狼獣人の名はバレル。オリエントシティにある交番で勤務する巡査であり、“シンフォニック・トリガー”という名で活動するヒーローでもあった。

  『ぐうっ、抜けないッスぅ……!!』

  モニターからバレルの苦しげな声が響く。このモニターは、隣室に設置されたライブカメラで撮影された景色を映し出している。つまり、今のバレルは部屋同士を隔てる壁に突き刺さり、猪に無防備な尻を晒している状態だった。

  「これが儂らを嗅ぎ回っていたポリ公の尻か。良い手触りだぜ」

  猪はバレルの大きな尻尾を左手で持ち上げ、露わになった臀部を右手でゆっくりと撫でた。

  『ひうっ!? 後ろに誰かいるッスか!?』

  「ああ、居るぜ。と言っても、聞こえねえだろうがな」

  防音対策はばっちりであり、猪の声はバレルに届かない状況である。逆に、バレルの声はモニターから流れるようになっているため猪に筒抜けだ。

  『し、尻を触らないで欲しいッス……!』

  「そいつはできない相談だな。儂らの邪魔をする輩は、徹底的に潰す。お前には商売道具になってもらうぜ」

  バレルには声が届かないと知っていながらも、猪は語る。

  この猪は、違法な裏風俗を経営していた。商売道具とは、その裏風俗で働く者を意味する。

  「若いポリ公は需要があるからな。儂らみたいなヴィランが鬱憤を晴らすにはもってこいだ。これから、この店で働いてもらうぜ」

  廃アパートとは仮の姿。ここは、猪が経営する裏風俗店の一つであった。この店のコンセプトはずばり壁尻であり、壁で上半身と下半身が分断されたキャストが、客に下半身を弄ばれるシステムとなっていた。

  この店で春を売る男たちは皆、バレルと似たような境遇である。猪を摘発するために行動した警官や探偵は皆、猪の部下に捕らえられて商売道具と成り果てた。バレルも、その末路を辿ろうとしている。

  「儂自らがじっくりと開発してやるからな。感謝しろよ、ポリ公」

  猪は両手でバレルの尻肉を左右に押し広げ、露わになった薄桃色の肛門に鼻を押し当てた。

  「あー、たまんねえ」

  ふごふごと鼻を鳴らしながら、猪は何度も深く息を吸ってバレルの汗の臭いを堪能する。

  『い、いやッス……! 何がどうなってるんスかぁ……!』

  肛門に何かが押し当てられているのを感じたバレルは、恐怖で全身を強張らせた。

  「びびってんのか? ケツ穴が締まってやがるぜ」

  猪が言う通り、全身を強張らせたバレルの肛門はキュッと締まっている。

  「これからここは男のちんぽを受け入れるための処理穴になるんだから、少し緩くしねえとなあ」

  猪はそう呟いた後、分厚い舌でバレルの肛門を舐め始めた。

  『うあっ!? き、気持ち悪いッス……!』

  その内気持ち良くなるさ。猪は心の中でそう呟きつつ、下品な水音を響かせながら菊皺を舌で激しくなぞった。

  『ううぅぅっ……!』

  未知の感覚に恐怖するバレルの瞳が、次第に潤んでいく。逃げるのは不可能で、顔も知らない誰かに尻を一方的に弄ばれるしかない。そう悟ったようだ。

  『ひゃあっ!?』

  バレルの口から甲高い声が漏れる。尻穴をこじ開けて何かが侵入してきたからだ。バレルには分からないその何かとは、猪の分厚い舌の先端である。

  猪の舌先が固く閉じていた蕾をこじ開け、容赦なく肉穴を広げていく。

  舌が三分の一ほどバレルの中に沈み込んだタイミングで、舌が引き抜ける寸前まで猪は顔を引いた。そしてまたすぐに顔を前に動かし、舌をバレルの肉穴にねじ込む。

  『うあっ! あっ、んう、うぅっ!』

  猪が滑った舌で肉穴を穿る度、モニターから苦悶の声が流れた。その声を堪能しながら、猪は激しく頭を動かす。

  「……ふう」

  しばし夢中でバレルの尻穴を舌で穿っていた猪だったが、少し疲れたようだ。勢いよく舌を引き抜いた後、懐から煙草を取り出し火をつけた。

  『お、終わった……ッスか?』

  「早とちりすんじゃねえよ。休憩した後、本格的に開発してやる」

  煙を吐き出しながら、猪は近くの机に置いてあったステンレス製の器具を手に取った。

  この器具の名はクスコ。鳥のくちばしのような形をした二つの弁が蝶番部により一体となっており、ハンドルを操作する事で弁が開閉する仕組みになっている器具だ。本来ならば検診のために女性の膣腔内に挿入する医療器具である。だが、猪は別の使い方をするつもりのようだ。

  「ちっと痛いかもしれねえが我慢しろよ、ポリ公」

  煙草を吸い終えた猪が片手でクスコを持ち、細長い筒のようになっている閉じた弁の先端をバレルの肉穴に突き付けた。

  (サンプル①ここまで)

  [newpage]

  [chapter:サンプル② 二の矢が継げぬ(モブ3人×ゴロウ・イサリビ・パブラシア)]

  海洋惑星ムイラウカⅣ。海洋惑星という名に偽りなく、表面積の九割が海となっている惑星だ。そのため、人々は巨大な船舶の上で生活している。様々な船舶が存在する惑星であるが、数多の都市艦が連結、百万人を超える人口を擁する都市艦隊エステボルタは特に有名だ。

  「アイツ、どこ行きやがったんでぇ……!」

  エステボルタを構成する都市艦の一つであるエイサクスの居住区。そこで、筋肉隆々の鮫獣人が焦燥感を顕わにして落ち着きなく歩き回っていた。この鮫獣人の名はイサリビ。近海漁業で生計を立てている漁師であり、レイバーズサイトという事務所に所属するヒーローでもある男だ。

  「少し落ち着くんだ、イサリビ。一緒に探せばきっと見つかるはずだ」

  焦るイサリビに、体格のいい犬獣人が冷静に語りかける。この犬獣人の名はパブラシア。普段は主にグランアイランドという名のリゾート宇宙船で働いている男で、イサリビと同じレイバーズサイトに所属するヒーローである。

  「……すまねぇな。わざわざ遠いとこから来てくれたってのに、みっともねぇ姿を見せちまってよぉ」

  「気にするな。大切な友が急に消息を絶ったんだ。冷静さを保つのは難しい。……私も、冷静であれと自分自身に必死で言い聞かせている状態だしな」

  内心穏やかではないのはパブラシアも同じようだ。彼の長い尻尾は落ち着きなく揺れている。

  「必ず、ゴロウを見つけ出そう」

  「……おう! 無事にあいつを見つけ出せたら、一緒に酒盛りするぞ! とびっきり美味い刺身を用意するぜぃ!」

  「ははっ。それは楽しみだ」

  消息を絶った友を必ず見つけ出す。そう胸に誓いながら、彼らは夕日に照らされた道を歩き始めた。

  現在、エステボルタでは行方不明者が急増している。イサリビとパブラシアの友である船大工兼ヒーローの熊獣人――ゴロウも、その行方不明者の一人だ。

  ゴロウと同じ居住区で暮らすイサリビは、毎日のように彼と顔を合わせている。だが、それも少し前までの話。

  三日前、漁を終えたイサリビは新鮮な魚を持ってゴロウの家を訪ねた。だが、酒瓶が転がる家の中に彼の姿は無かったのである。

  ゴロウが書き置きも残さずに長く家を空けるのはおかしい。そう考えたイサリビはすぐに居住区の仲間と共に捜索を行ったが、ゴロウを発見する事はできなかった。

  このまま居住区の中や近隣を捜索してもゴロウが見つかる可能性は低い。居住区から離れた場所も捜索するべき。そう考えたイサリビは、同じ事務所に所属する仲間であるパブラシアに連絡をして協力を要請した。そして、今に至る。

  §

  「……この倉庫の近くで、目撃証言があったようだ」

  居住区から離れた場所を捜索するべきだというイサリビの考えは正しかったようだ。エイサクスと連結していた戦艦の方に足を伸ばすと、彼らはすぐにゴロウの目撃証言を得る事ができた。

  「こいつぁ、物流倉庫の成れの果てっぽいぜ」

  「扉は……開いたな」

  パブラシアが扉の取っ手に手をかけて力を込めると、巨大な引き戸がガラガラと音を立てて開いた。

  「勝手に入んのは気がひけるぜぃ……。でも、今はんな事を言ってる場合じゃねぇな」

  「ああ。彼が居る可能性がある場所は、徹底的に探すべきだろう」

  イサリビは頷き、廃倉庫の中に足を踏み入れた。パブラシアは携帯端末に備え付けられているライト機能をオンにした後、イサリビに続いて廃倉庫に足を踏み入れる。

  「んん? なんか、甘い匂いがしねぇか?」

  「そうだな。奥の方から漂ってきているようだ」

  辺りを警戒しつつ、ライトの明かりを頼りに暗い倉庫の中を進む二人。

  「匂いの発生源はここのようだな。誰かが居るのは間違いなさそうだが……」

  倉庫の奥には僅かに開いた巨大なスライド扉があり、隙間から明かりと甘い匂いが漏れ出ていた。

  「匂いも気になるけどよ、変な音もしねぇか?」

  断続的に何かを打ち付けるような音。それを耳に捉えたイサリビは怪訝な顔をする。

  「……嫌な予感がする。念の為に変身していった方が良さそうだ」

  パブラシアは携帯端末を操作し、レイバーズサイトに所属するオブザーバーに連絡を取ろうとした。

  ヒーローが変身するにはオブザーバーの存在が必要であり、十全に力を発揮するためにはライブ配信する環境も必要。そのため、パブラシアは携帯端末経由でオブザーバーに遠隔観測とライブ配信の準備を頼もうと考えた。だが、その心算はすぐに狂ってしまう。

  「どうしたんでぃ? そんなに険しい顔をしてよ」

  「……通信機能が停止していて、オブザーバーに連絡が取れない」

  「変身出来ねぇって事か?」

  「ああ。人為的な電波妨害をされている可能性がある。だとすれば、悪意ある者がこの奥に居るかもしれない。一旦、この倉庫を出てから準備を整えるのが良いと思うが……」

  パブラシアがそこまで言ったところで、

  「うおおおっ!?」

  突如、扉の向こうから悲鳴のような声がした。

  「こいつぁゴロウの声だ!」

  「待て、イサリビ!」

  悲鳴の主がゴロウであると確信したイサリビに制止の声は届かず、彼はスライド扉を勢いよく開けて中に飛び込んだ。胸騒ぎを覚えつつ、パブラシアもイサリビを追って扉の向こうに足を踏み入れる。

  ――そして、二人は驚愕した。

  扉の向こうに居たのは、複数人の獣人男性。その中には、二人が行方を追っていたゴロウの姿もあった。

  「すげえっ! ご主人様のちんぽ、気持ちいいっ!」

  全裸で四つ這い姿勢を取るゴロウが、そう叫んだ。彼のすぐ後ろには筋骨隆々な狼獣人が居り、荒々しく腰を振っていた。

  ゴロウの尻穴には、狼の肉棒が突き刺さっている。狼が腰を振る度に乾いた音が辺りに響き、ゴロウは豊満な腹を揺らしながら艶やかな声を漏らした。

  断続的に響く音の正体を知ったイサリビは、絶句する。パブラシアも目の前の光景が信じられないようで、目を見開いたまま硬直した。

  「おっ? この熊ちゃんのお仲間かい?」

  二人の姿を認めた狼は腰を振りながら、軽薄さが滲んだ口調で語りかける。

  「な、何してんでぇ、テメェ……」

  「何って、見れば分かるっしょ? セックスだよセックス」

  狼は笑みを浮かべつつ、ゴロウの最奥まで肉棒を押し込んで体重をかけてぐりぐりと腰をくねらせた。

  「んおっ、おっ、奥、すげええぇっ!」

  S字結腸を圧迫されると快感が全身を駆け巡るようで、ゴロウはだらしなく口を開けて嬌声を漏らす。

  「しっかりしろゴロウ!」

  「そうだ! 目を覚ましやがれってんだ! 何でこんな事してんでぃ!?」

  ゴロウは顔を上げ、友の声がした方に視線を向けた。彼の目は完全に蕩けきっている。

  「んうっ! イサリビに、うくっ……パブラシアじゃねえか……。お前らも、おほっ! ちんぽを、恵んでもらうために、ひぐっ! 来たのか……?」

  「な、何を言ってんだよ……?」

  喘ぎ声混じりでゴロウが放った言葉に、イサリビは困惑した。

  「ぐっ……!?」

  突如、パブラシアが胸を押さえながら崩れ落ちるように座り込む。

  「パブラシア!? ……うあっ!?」

  少し遅れて、イサリビもその場にうずくまった。

  二人は、苦しげに浅い呼吸を頻回に繰り返している。

  「不用心だねえ。解毒剤を飲まずに毒が充満した部屋に踏み込むなんてさぁ。でも、死ぬような毒じゃないから安心しなよ。ちょっと身体が痺れる代わりにすーっごく気持ちよくなれる毒なだけだからさ」

  「ちく、しょう……」

  全身に力が入らず立ち上がるのが困難なようで、イサリビが悔しげに声を漏らす。

  「俺ちゃんはこの熊ちゃんを犯すので忙しいからさ、誰かあの二人を犯しちゃって。そんで、この熊ちゃんみたいにちんぽ漬けの性奴隷にしちゃってよ」

  様子を伺っていた複数人の獣人男性たちに、狼がそう命令した。この狼は、この獣人の集団のリーダー格のようだ。

  「へへっ、ではあっしは犬の方と楽しませていただきますぜ」

  小太りの虎獣人が下品な笑みを浮かべながら、パブラシアに歩み寄る。

  「じゃあオレがサメの方とやるぜ」

  背が高く筋肉質な牛獣人が大きな足音を鳴らしながら、イサリビの方に歩み寄った。

  「や、やめるんだ……」

  「やめろと言われてやめる奴なんていやしませんぜ」

  懐からナイフを取り出した虎が、パブラシアの服を切り裂いていく。毒に侵された今のパブラシアに抗う術はない。彼はあっという間に一糸纏わぬ姿にされてしまった。

  「オイラに触るんじゃねぇ……!」

  「ふん。恨むなら俺らの縄張りに踏み込んできたテメェ自身を恨むんだな!」

  怪力の持ち主である牛は素手でイサリビの衣類を引き裂く。

  この部屋に充満する毒のせいなのだろう。露わになった二人の生殖器は、はち切れんばかりに勃起していた。

  (サンプル②ここまで)

  [newpage]

  [chapter:サンプル③ 三界の火宅(モブ×バロレイ)]

  グルメットファイターズ。料理に携わるヒーローが数多く存在する事務所の名だ。その事務所に、大きな二本の角を頭に生やした壮年の獣人が所属していた。その獣人の名はバロレイ。珍しい食材を求めて様々な惑星を練り歩く食材ハンターだ。

  現在、バロレイは地球の温泉街を訪れていた。この温泉街の近くに珍しい食材が自生しているという噂を聞き付けたからである。

  「到着が遅くなっちゃったなあ。今、食材探しに行くのは危ないかも……。躓いて転んで大怪我しちゃったり、カイブツに不意を突かれて食べられちゃったりしたら大変だ……!」

  バロレイが温泉街に辿り着いたのは夕刻で、辺りは薄暗くなっていた。今から食材探しに行った場合に起こり得る悪い事を考えて、心配性なバロレイはだらだらと汗を流す。

  「……よし! とりあえず、今日は宿を探そう!」

  そうと決めたバロレイは温泉街の探索を始める。しかし、この温泉街は人気の観光地であるため満室の宿だらけだった。

  「うーん。野宿するしかないか……」

  サバイバル知識が豊富なバロレイは野宿にも慣れている。空室がある宿を見つけるのは困難だと判断したバロレイは、野営の準備をするために温泉街から少し離れた場所に向かおうと考えた。その時、

  「そこのヒト。もしかして宿をお探しかい?」

  浴衣を着た大柄な獅子獣人に、バロレイは話しかけられた。

  「あなたは?」

  「オレはそこの宿のオーナーだ」

  獅子が指差した先。そこには、こぢんまりとした和風の旅館があった。

  「丁度、キャンセルした客が居てな。一室空いてるんだ。小さいがちゃんと温泉もあるぜ。泊まってくれたらありがたいんだが……」

  「こちらこそ助かるよ! 部屋が空いている宿が見つからなくて困っていたんだ。ぜひ泊まらせてほしいな」

  「勿論だ! お客さんかっこいいし、サービスするぜ。風呂上がりにはオレがマッサージしてやる」

  「か、かっこいいって……。おじさんを揶揄ったらいけないよ」

  頬を掻きながら、バロレイは恥ずかしそうに笑う。

  「さあ、入ってくれ。全力でもてなすぜ」

  獅子に促され、バロレイは旅館に足を踏み入れた。その瞬間、獅子は含みのある笑みを浮かべる。

  バロレイは、心配性で慎重派だ。しかし、ヒトに騙されやすいという欠点がある。故に、この獅子が邪な企みを秘めている事にも気づかなかった。

  §

  「いいお湯だったなあ」

  温泉を満喫したバロレイは、畳張りの和室に敷かれた布団に浴衣姿で横たわった。温泉が余程気持ちよかったのか、彼の顔は緩み切っている。

  「お客さん。失礼するぜ」

  声かけの後、バロレイの部屋に獅子が足を踏み入れた。

  「おや、オーナーさん。どうしたんだい?」

  「約束通り、マッサージをしにきたぜ。ほら、裸になってからうつ伏せになるんだ」

  「は、裸に?」

  「そうだ。本格的なマッサージの時に裸になるのは当然だぜ。知らなかったのか?」

  勿論、獅子のこの言葉は嘘である。だが、騙されやすいバロレイは彼の言葉を信じてしまった。

  「えっと……これでいいのかい?」

  浴衣を脱いでパンツ一丁になったバロレイが、敷布団の上でうつ伏せになる。

  「裸になれって言っただろ? これも脱がないとダメだぜ」

  「わあっ!?」

  獅子はバロレイのパンツに手を掛け、一気に剥ぎ取った。よく引き締まっているが表面には僅かに脂肪も乗った豊満な尻が、露わになる。それを見た獅子は逸物を硬くしながらごくりと喉を鳴らす。

  「さあ、始めるぜ!」

  獅子は懐からプラスチックの容器を取り出し、その中に入っていた透明なオイルを手のひらに垂らした。それを両手に馴染ませた後、獅子はバロレイの背中を揉み解し始める。

  「んっ、気持ちいい……」

  パンツを剥ぎ取られた直後は羞恥で顔を赤くしていたバロレイであったが、獅子の手で背中の凝りを解されている内に羞恥心は薄れていったようだ。バロレイは目を細め、マッサージを堪能する。

  「このオイル、良い匂いがするだろ?」

  甘い匂いが、部屋に充満していく。

  「リラックス効果があるから、いっぱい吸ってくれよな」

  「うん……」

  獅子がバロレイの背中にオイルを垂らし、甘い匂いがより強くなる。匂いが強くなるにつれ、バロレイの思考は霧がかかったかのようにぼんやりとしていった。

  「良い身体してんな。お客さん、普段何をやっているんだ?」

  「冒険を、しているよ……」

  「へえ、冒険者か。そりゃ、あちこち歩き回って鍛えられそうだ。色んな場所を旅するのは楽しそうだな」

  背骨の周囲の硬い筋肉を指圧しながら、獅子は質問を続ける。

  「旅先でムラムラした時はどうしてんだ? 風俗店を探し出してから誰かを抱いたりしてんのか?」

  「そんな事はしないよ……。いつも一人で、処理しているからね……」

  獅子の質問に返答した瞬間、バロレイは気付いた。恥ずかしくて普段なら発せないような言葉が、すらすらと口から出てくる事に。

  「週に何回くらいオナニーしてるんだ?」

  「四、五回くらいかな……」

  違和感を覚えつつも、バロレイは素直に返答してしまう。

  「へえ、まだまだ若いねえ。……ちなみに、ここは使った事があるか?」

  獅子はいきなりバロレイの尻たぶを両手で掴み、左右に開いた。

  「な、無いよ……! は、恥ずかしいから見ないで……」

  肛門が外気に触れる感覚で、獅子に恥部をじっくりと見られている事に気付いたバロレイは顔を赤らめる。

  「じゃあオレが初めての相手になるわけか。ラッキーだぜ」

  「それはどういう……んうっ!?」

  獅子は、大量のオイルを纏った人差し指をゆっくりとバロレイの肛門に挿入した。そして、ぐぼぐぽと淫靡な音を鳴らしながら抽送を開始する。

  「や、ダメ……こんなの、ダメだよ……っ!」

  敷布団を掴み、肉壁が抉られる感触に耐えるバロレイ。

  「このオイルはムイラウカⅣに居るダチから貰ったもんでな、媚薬効果と自白効果があるんだぜ」

  「うああぁっ!」

  獅子の太い指がある一点を抉った瞬間、バロレイは全身を大きく震わせた。その反応を見た獅子は歯を剥き出しにして笑いながら、コリコリとした弾力があるその一点を重点的に刺激する。

  「ほれ、ここが男の泣き所の前立腺だ。コリコリされると気持ちいいだろ?」

  「きっ、気持ちいい……っ! やっ、ちが、私は何をっ!?」

  「取り繕わなくていいぜ。オイルの効果でお客さんの本音は丸分かりだからな」

  「んうううっ!?」

  じゅぽっ、と音を立てて中指もバロレイの中に沈み込んでいった。二本の指で前立腺を的確に圧迫され、バロレイの身体の震えがさらに大きくなる。

  「お客さんの本音だけ聞くのはフェアじゃねえから、オレも本音で話してやる。実はこの旅館は裏の顔があるんだ」

  (サンプル③ここまで)

  [newpage]

  [chapter:サンプル④ 四海兄弟(モブ×ハイドール&ガルボ)]

  「チッ。何でオレサマがお偉いさんのご機嫌取りをしなきゃいけねぇんだ」

  海を思わせる水色の鱗に体表を覆われた竜人が、昼真っ盛りで蒸し暑い繁華街を歩く。

  彼の名はハイドール。ギャラクシー・アスリーツという事務所に所属するヒーローかつ、水泳選手としても活躍している竜人だ。

  「ヒトとの縁は大事にしておいて損はないと、我は思うがの」

  不機嫌そうな表情で歩くハイドールのやや後ろを、火のように赤い鱗に体表を覆われた竜人が歩く。

  彼の名はガルボ。インディペンデント・ヒーローズという事務所に所属するヒーローであるが、主に言語研究家として活動している竜人だ。

  「……いや、何で居るんだよ」

  「買い物をしていたらハイドール君を偶然見かけたのでな。どこに行くのか気になって、つい追いかけてしまった」

  「普通、知り合いを見かけてもつい追いかける事なんてあるか……?」

  屈託の無い笑みを浮かべるガルボを見て、ハイドールは察した。彼は暇を持て余していて、自分は暇潰しの相手としてロックオンされてしまったのだと。

  「それで、どこに行くのかの?」

  「喫茶店だよ。よくわかんねぇけど、移転を繰り返す神出鬼没な幻の喫茶店なんて言われてるとこらしい。そんな変な場所で、ファランクス社と提携してる会社の社長と会ってファンサしろ、だとよ」

  神出鬼没な幻の店という言葉を聞いたガルボは、露骨に目を輝かせた。

  「その店の噂は我も聞いた事があるのう。帰りたくないと思う程に居心地が良い喫茶店らしい。だが、招待制であり行ける者は限られているそうな。バズりたい若者の憧れの店らしく、SNSでも度々話題になっておるよ」

  「そんな噂があんのか。まあ、噂なんて尾ひれがつくもんだからな。あまり期待しないで行くぜ」

  「我は期待して行くとしよう」

  「……って、このままついてくるつもりかよ!?」

  ガルボは大きく頷く。元来、好奇心が旺盛であるガルボは流行りものに目がない。故に、SNSで話題の店に行かないという選択肢は無かった。

  「ハイドール君は社長殿に招待されている。つまり、店の場所を教えられているのだろう?」

  「そりゃあな。場所が分からない店には行けねぇし。でもよ、オレについてきても店の中に入れるかどうかは分からねぇぞ?」

  「構わんよ。幻の店の入り口を拝む事ができるだけでも充分である」

  「……はあ。なら、ついてこい」

  ハイドールは大きなため息を吐いた後に、ガルボの同行を許可した。ガルボは「感謝する」と礼の言葉を述べた後、鼻歌交じりでハイドールの後ろを歩く。

  ──彼らはまだ知らない。この後、生き方が大きく変わる体験をしてしまう事を。

  §

  繁華街からやや離れた場所にある、年季の入ったビルの地下。そこが、ハイドールを招いた社長が指定した場所だった。

  「ここみてぇだな」

  地下に続く階段を降りてすぐの場所にあったのは、西洋の城を思わせる豪華な装飾が施された白い扉。その扉のすぐ脇には、インターホンが設置されている。

  「ほほう。洒落た扉だ」

  「満足か?」

  「欲を言えば中に入りたいが、高望みするのはやめておこう。我はしばし扉の装飾を眺めてから帰るとするよ」

  ガルボは目を輝かせ、携帯端末のカメラを起動した。

  「扉を眺めて楽しいもんかねぇ。ま、気ぃつけて帰れよ。何かと物騒だからな」

  「ふむ。最近、行方不明になるヒーローが多いらしいの」

  「ああ。オレの知り合いも何人か居なくなっちまった。早く見つかるといいんだがよ」

  数瞬、彼らの間に沈黙が流れる。

  「……悪い。辛気臭い話をしちまったな」

  「構わんよ。それより、社長殿を待たせてはいけない。早く中に入った方が良いのではないか?」

  「そうだな。気は進まねぇけど行くか」

  ハイドールは意を決し、インターホンのボタンを押した。数秒後、巨大な扉がゆっくりと開く。

  「やあ。待っていたよ。ハイドールくん」

  白い扉の向こうから出てきたのは、白いスーツを着た筋肉質な牛獣人だった。

  喫茶店の店員が出てくると予想していたハイドールは、いきなり接待相手の社長が出てきた事に面食らい全身を強張らせる。

  「あ、えーっと、この度はお招きいただき……」

  「そんな堅苦しい言葉は使わなくていいよ。いつも通りのワイルドな話し方で良いからね。その方が僕も嬉しいから」

  「そ、そうか。そいつは助かるぜ……」

  慣れない敬語を使わなくて良い事に安堵したハイドールの全身からふっと力が抜ける。

  「ところで、そちらの竜人さんはキミの知り合いかな?」

  牛は扉の装飾を眺めるガルボに視線を向けつつ、ハイドールに問いかける。

  「ああ。前に仕事でちょっとな」

  ハイドールは簡潔に経緯を説明した。すると、牛は爽やかな笑みを浮かべてこう提案する。

  「興味があるなら、そこの竜人さんも一緒にどうだい。僕としては賑やかな方が嬉しいんだけど」

  「いいのかの?」

  「うん、いいよ。一緒にご飯を食べよう」

  「……ハイドール君は、我が一緒で大丈夫か?」

  「構わねぇよ」

  内心、ハイドールは喜ぶ。よく知らない相手と二人っきりで食事するよりも、知り合いと一緒に食事をする方が気が楽だからだ。

  「ならば、社長殿のお言葉に甘えるとしよう。我が名はガルボ。よろしく頼むぞ」

  「ガルボくんね。よろしく」

  こうして、三人は喫茶店の中に足を踏み入れた。

  彼らが喫茶店の中に入ると、スーツ姿の猫獣人が現れて席へと案内した。

  「ほう。扉も洒落ていたが、テーブルも洒落ておるのう」

  年季の入った西洋風のオケージョナルテーブルを見たガルボが、感嘆のため息を吐く。

  「あんまこういうのには詳しくねぇけど、高そうなのは分かるぜ」

  「ははっ、どうだろうね」

  笑いながら、牛はアンティークチェアに腰掛ける。二人もそれに続く。

  「そうだ。おすすめの飲み物があるんだ。良かったら君たちに飲んでほしい」

  「任せるぜ。オレはこういう店に来る事は殆どねぇから、メニューを見てもよく分かんねぇし……」

  「我も社長殿にお任せするとしよう」

  「オッケー。それじゃあ店員さん、“カスミソウの雫”を二つね。あと、スペシャルルームの準備もしておいて」

  手慣れた様子で、牛は猫獣人の店員に注文をする。注文を受けた猫獣人はぺこりと頭を下げた後、厨房へと向かった。

  「カスミソウの雫って何だ?」

  ハイドールは首を傾げつつ牛に質問した。

  「凝ったメニュー名で分からないよね。ハーブティーだよ」

  「スペシャルルームとは何だろうか?」

  ハイドールに続き、ガルボも質問する。

  「それは後のお楽しみだよ。今は食事を楽しもう」

  牛は両手をぽんと叩き、会話を打ち切った。それから程なくして猫獣人の店員が現れる。そして、ハイドールとガルボの前に湯気を放つティーカップを置いた。

  ティーカップの中には、透明感のある黄金色の液体が入っている。

  「どうぞ。召し上がれ」

  促され、二人はハーブティーに口をつけた。

  「ほほう。これは、心が安らぐの」

  清涼感のある香りを楽しみつつ、ガルボはゆっくりとハーブティーを飲み下していった。

  「飲みやすいし、結構美味いな」

  ハイドールの口にも合ったようで、カップの中身が勢いよく減っていく。

  「気に入って貰えたようで良かったよ」

  二人がハーブティーを飲む姿を見て、牛は笑みを浮かべる。

  「……そうだ。キミたちはカスミソウの花言葉を知っているかい?」

  牛が低い声でそう言った直後に、ハイドールとガルボの全身から力が抜け、彼らは椅子ごと床に倒れ込んだ。

  「カスミソウの花言葉はね、“夢見心地”だよ」

  牛のその言葉が耳に届くのと同時に、二人は意識を失った。

  §

  座位分娩台。それは出産時に妊婦が乗る、背もたれの角度調整が可能な医療用の椅子である。

  ハーブティーを飲んで気を失ったハイドールが次に目覚めた時、やや斜めに傾くような形で角度調整をされた座位分娩台の上に乗っていた。

  「……は? 何だよこれ!」

  気を失っている間に第三者の手によって服を脱がされたようで、今のハイドールは全裸だ。しかも、足乗せ台にはベルトが取り付けられており、ハイドールは股を大きく開いた状態で拘束されていた。

  拘束されているのは両手も同じ。座位分娩台の左右にあるバーとハイドールの手首に手錠がかけられている。

  ハイドールは全身に力を込めて拘束から逃れようとするも、カチャカチャと無機質な音が鳴り響くだけの結果に終わった。

  「む。これは一体……?」

  少し遅れて、ガルボも目を覚ました。だが彼もハイドールと全く同じで、全裸かつ股を大きく開いた状態で座位分娩台に拘束されている。

  「ハ、ハイドール君。これはどういう状況だろうか?」

  「オレサマにも分かんねぇよ! クソッ!」

  横並びになった二台の座位分娩台の上で、彼らはもがく。しかし、拘束が外れる気配は無い。

  「やあ。お目覚めのようだね。おはよう」

  一糸纏わぬ状態で惜しげなく肉体美を晒している牛が、軽い調子で挨拶をしながら二人に歩み寄った。

  「社長殿。よもやこれは汝の仕業か?」

  「そうだよ。さっきのハーブティーには強力な睡眠薬が溶け込んでいてね、それを飲んでぐっすりだったキミたちをスペシャルルームのVIP席にお招きしたわけだ」

  「何がVIP席だ! ふざけんなクソ野郎!」

  怒りを露わにしたハイドールが、牛を罵倒する。だが、罵倒されても彼は顔色を変えず、笑みを浮かべたままこう告げる。

  「ふざけてなんかいないよ。僕は竜人が大好きでね、真剣に君たちに恋焦がれている。だから僕がキミたちをたっぷり愛してあげるよ。そして、誰からも愛される幸せな性奴隷にしてあげる」

  牛は両手を二人の股間部に伸ばした。

  竜人型宇宙人の生殖器は、女性器に似た割れ目の中に男根が収納されているスリット型である。

  「ぐおっ!?」

  「くっ……!」

  牛は人差し指と中指を同時に二人のスリットに挿入し、第一関節と第二関節をぐにぐにと曲げて肉壁を抉り始めた。

  「ああ、キミたちの中はとても温かいね。興奮してきたよ」

  蛇が鎌首をもたげるように、牛の肉棒がゆっくりと上向きになる。

  「や、やめろ……やめやがれ……っ!」

  「ほら、エッチな音がしてきたよ。僕はこの音が大好きなんだよね」

  防衛メカニズムに依るものだろう。異物を挿入されたハイドールとガルボのスリットからは無色透明な粘液が分泌され、牛が指を動かす度にくちゅくちゅと淫靡な音を奏でた。

  「むう、身体が熱い……っ! もしや、睡眠薬以外にも我らに何か盛ったのか……!?」

  「うん。寝ている間にキミたちに媚薬を注入したよ。手っ取り早く気持ちよくなるならやっぱりお薬を使うのが一番だよね。僕も媚薬を飲んだからペニスがビンビンだ。早くキミたちの中にお邪魔したくてたまらないよ」

  「ちくしょう……っ!」

  ハイドールは歯噛みし、牛から与えられる刺激に耐えようとする。しかし、牛が指をぐねぐねと動かす度に二人の理性は徐々に削られていく。

  「く……はぁ、ん……っ!」

  歯噛みして耐えるハイドールとは対照的に、ガルボは口を開けて艶やかな声を漏らす。ガルボのスリットはハイドール以上に粘液を分泌しており、トロトロに解れていた。

  (サンプル④ここまで)