狼の探偵が情報を得るための賭けに負け、狐と一夜を共にするお話
狼の探偵《狼ヶ丘氷柱》彼は今、依頼達成のため、情報を集めに向かっていた。
依頼人は兎の少女、依頼内容はその恋人を見つけてほしいというものだ。
やっかいなのは、依頼人が既にリバースドになっているらしいということだ。
この世界にはリバーシボとリバースドの二種類の獣人がいて、両者は互いに捕食関係にある。
リバースドはリバーシボが飢えることで生じるということもあり、文明を支配しているのはリバーシボの方だ;リバースドは息を潜めて暮らしている。
今回の依頼の達成には、裏に通じる者から情報を引き出すのが不可欠だろう。
ということで向かう先は、リバースドが入り浸っているという地下の秘密の酒場だ。
路地裏の入り組んだところを進むと、2階くらいの高さにベランダがある。
酒場は地下だが、そこに至るにはむしろ反対にジャンプでベランダに飛び移らねばならない。
そして、ベランダにあるドアを開けるにも注意が必要だ。
ドアノブを何度か捻るとガチャっと音がする。
音が鳴った後、三度反対方向に捻ってからでないとドアは開かないのだ。
ドアを開けると、ようやく地下へとつながる縄梯子が現れる。
《氷柱》はようやく酒場へと辿り着いた。
中に入ると、竜のマスターのほか、常連の狐のギャンブラーにほか数名の獣人がいた。
「マスター、この虎の少年について何か知らないか?」
「ふむ、それならそこの狐が詳しいんじゃないか?」
「おや?何かご用ですか?」
狼はマスターに尋ねるも、ギャンブラーに聞くよう促されてしまう。
この狐《狐火燃》は何かと賭けをふっかけてくるのだ。
狼はまた何かふっかけてくるんだろうなと知りつつも、《燃》に尋ねる。
「この虎の少年に見覚えは?」
「ふむ、この人でしたか……、ええ知っておりますよ!
「情報を上げてもよろしいですが、その代わり私と賭けをして頂きましょうか?」
「やっぱそうなるよなぁ……」
「ふふっ、今回賭けて頂くものはお金じゃないですよ?」
「ほう、珍しい……」
「私が勝ったら、私と一夜を共にして頂きます!」
「……?
「なんか今変なこといわなかったか?」
「聞き間違いじゃないと思いますよ。
「私こう見えてもあなたのことを好いておりまして」
「ふむ……、俺今まで恋愛とかしたことないぞ……?」
「恋愛なんて生易しいものじゃないですよ……?
「あなたをわたし好みの存在へと作り変えてあげましょう」
「……なんだか、負けるわけにはいかなくなったな……!」
「それならちょっと変わった賭けをしてみないか?」
「ふむ?というと?」
「リアルファイト……というのは?」
「ふふふっ、なかなか面白い提案をしますねぇ……」
「なぁ、マスター?
「確かこの酒場、地下2階に決闘スペースあったよな?」
「まぁ、あるにはあるが……、本気か……?」
「貸してくれないか?」
「まぁ……別にいいぜ?」
「決まりですね」
《燃》と《氷柱》は酒場の地下2階で決闘をすることになった。
(カードゲームやボードゲームなら勝率はほぼ0だが、リアルファイトならオレに分があるはず……)
「ふふふっ、なかなか面白い戦いになりそうですねぇ!
「試合開始の合図は、このでd4ダイスが床に落ちたらとしましょうか?」
「あぁ、なんでも良い!
「とっととはじめるぞ!」
《燃》はニッチなゲームで使う目が4つしかない賽子を放り投げた。
床にダイスが落ちる音と共に《氷柱》は《燃》を引き裂かんと爪を腕を振りかざす!
しかし、《燃》はそれをいとも簡単に避けるとクロスボウを放つ!
《氷柱》は不意を突かれややびくりとするが体を反らして避け、距離を取る!
しかし、クロスボウはあくまでけん制用、間合いを活かすのではなくむしろ《燃》は《氷柱》に飛び込むように距離を詰め、隠しナイフをバックハンドでスラッシュし、引き裂かんとする!
《氷柱》は後方へ慣性が強くかかっており、体を反らして避けようとも、爪で受けようとも、バランスを崩しかねない!
そこで発想を転換させた!
自分がバランスを崩しても、相手のバランスも崩せれば、自分の隙は減らせるじゃないと。
スラッシュを空中で避けながら無理やりバックハンドで《燃》の腕をつかみ、スラッシュの向かう方へ腕を引き込む!
すると、二人の腕はちょうど真横へ延びる形となり、腕と体の慣性の差によって引っ張り込まれ、二人の体は密着する。
《燃》にとって前方、《氷柱》にとって後方の慣性によって倒れ込んでおり、このままでは《氷柱》が下敷きになる!
《氷柱》はつかんだ腕を後方に引き込みながら体を捻り、《燃》を下に、自分を上に返そうとするが、ねじり過ぎて、一周回って自分が下になってしまった。
《氷柱》の背中が床についたとき、《燃》は遠心力によりわずかに開いた空間に脚を折り込み、ばねのように伸ばすことで、《氷柱》を蹴ると同時に高くジャンプし、間合いを取りつつ体勢を立て直すことに成功した。
しかし、《燃》が間合いを取りつつ体勢を立て直すことを選んだおかげで、《氷柱》は悶絶しつつも次の攻撃までの間にある程度体勢を立て直す余裕ができた!
《燃》がダガーをバックハンドでスラッシュしながらとびかかってくるときには、《氷柱》は立膝をついて爪でダガーを受け止めることができたのである!
《燃》を上方へはじくと、《氷柱》は完全に体勢を立て直した。
その後、斬撃の膠着状態が続くが《燃》のある罠によって状況は一変する。
突如《氷柱》の足に激痛が走った。
d4ダイスだ。
d4ダイスの角は非常にとがっており、踏むと痛い。
それを見越して、《燃》は試合開始の合図にd4を使い、さらに膠着状態の中、《氷柱》を見事d4ダイスの方へ誘導したのだ!
痛みで悶絶した隙を突き、《燃》は《氷柱》の腕に傷をつける。
「へへっ、こんなのかすり傷だぜ!」
「ふふっ、それはどうでしょうか!」
その言葉を聞くと同時に《氷柱》は意識が朦朧としてきた。
ナイフに毒が塗ってあったのだ。
《氷柱》はそのまま意識を失い、《燃》との賭けに敗北してしまった。
……うっすらと目が覚める……。
なんだかふかふかなぬくもりを感じる。
どうやら、布団の中で《燃》に背後から抱きしめられているようだ……。
「ふふっ、どうやら起きたようですね……」
「あぁ……」
「賭けの内容は覚えてますか……?」
「負けたら一夜を共にするだったか……」
「覚えているようで何より
「さぁ、愉しい夜を過ごしましょう」
《燃》と《氷柱》は起き上がり、互い向き合うと永い夜が始まった。
「そうですねぇ
「まずは気持ちよくしてあげましょう」
「えっ、俺が負けたのに、お前が奉仕するのか……?」
「ふふふ、どうでしょうねぇ
「実際にやってからのお楽しみです」
そういうと《燃》は《氷柱》のイチモツを咥えゆっくりと責め立て始めた。
敏感なところを的確に突いた責めは《氷柱》を8分もしないうちに絶頂の寸前までいざなう。
しかし、本当に恐ろしいのはそこからだった。
絶頂しそうになる度、《燃》は責めを緩め、絶頂しそうで絶頂しないギリギリの状態が長く苦しく続くよう《氷柱》をいじめぬいたのである。
40分も寸止め状態が続いた《氷柱》は《燃》に懇願していた。
「もう勘弁じでぐれぇ……!!!!
「イキたい……!!!!イカせてくれ……!!!
「おねがいじまず……!!!!!」
「ふふっ、いいでしょう
「その代わり、自分の精液は自分で飲んでもらいますよ?」
「そ、それはどういう?」
「実際にやってからのお愉しみです!」
その後、ほどなくして《氷柱》は《燃》の口の中で果てる。
しかし、出した精液は口移しで《燃》の唾液ともども飲まされてしまった。
「ふふっ、今日はここまでです」
次の日の朝、帰り際に依頼人の恋人、虎の少年の情報を教えてもらい、狼は狐の家を後にした。
数日後、《氷柱》は依頼を達成し、兎の少女と虎の少年は無事再開を果たすのだが、それは別のお話。