ハロウィンを楽しみたい彼が、仮装してやってきた

  よし!あいつを絶対驚かせてやる!

  この、狼の被り物高かったなぁ。

  いやいや、サブライズに値段は関係ない!

  はぁ、ドキドキする。

  行くぞー。

  (ピーンポーン)

  (ドアが開く音)

  トリックオアトリート!

  ……トリックオアトリート?

  『早く入って』って、えぇ?!ちょっと待ってよ!

  (ドアを閉める音)

  ねぇねぇ、反応薄くない?

  驚いてくれると思って……。

  あれ?どうしたの?

  『……驚いて反対に冷静になった』って、何それ。

  『びっくりしたの!』って、(笑いながら)そんな今更騒がなくても。

  よいしょ。

  はぁー、暑かった。

  被り物って暑いね。

  珍しいって何が?手が込んでる?

  手は込んでないよ。いつもよりお金かけてる。

  笑うなってば。今年は、絶対狼やりたかったの!

  なんで……って笑わない?

  ほんとに笑わない?

  ……今年のハロウィンって、満月なんだよ。

  そう。

  それ聞いて、狼しかないって思ってさ。

  なんかね、46年振りなんだって。ハロウィンに満月なの。そんなチャンス逃せないじゃん。

  同じくらいかかるなら、今度ハロウィンと満月が一緒の時って、おじいちゃんだろ?

  だから……さ。

  ……う……うるさい!

  笑わないって言ったじゃん!

  可愛くないしっ!

  だって僕、狼だもんね。

  本番は、しっかり、ガッツリ君を襲うからね!

  だから、可愛くないってば!

  もう、いいよ!

  そんなに言うなら、君はどうなのさ。

  何に仮装すんの。

  明日まで内緒?

  それ、ズルくない?

  そりゃ、勝手に教えたのは僕だけど……。

  ここまで手の内見せたんだから、少しくらい教えてくれてもよくない?

  え?なになに?(軽いキスをされる音)

  うわっ!急に何すんの!

  (ムキになりながら)だから、かわいく……!

  え?メイド?御奉仕してくれんの?

  『そのつもりだったけどやめた』って何それ。

  ……赤ずきん?そんなにすぐ変えれるもんなの?

  『メイドの衣装が赤だから、大丈夫』……?

  そうなの?

  えー、でも、メイドさんも捨て難いなぁ。

  贅沢じゃないもん。

  せっかくだから楽しくしたいだけだもん。

  外に出られないんだからさ。

  昼間はメイドで、夜は赤ずきん?

  どっちもしてくれるの?

  じゃあ、僕昼間はどうしようかなぁ。

  ……吸血鬼とか?

  『いいよ。灰になって消えちゃうけど』って、そうだ!消えちゃう!

  えっと……じゃあ、どうしよう?

  分かった!

  明日までに考えとく!

  明日は沢山楽しもうね(軽いキス音)

  ーおしまいー