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「はぁ…」
眼鏡をくい、と上げため息をつきながら狼のガジュマは頭に手を当てた。
目の前にあるのはノート。
並んでいるのは赤い文字。
宿屋の経営をしているのだが、ある日を境に急激にキャンセルや従業員の退職などが増え始めたのだ。
原因は分からない。ただ、今まで何もなかったはずなのにヒューマとガジュマの間に亀裂が入ったのだ。
彼自身は問題ないのだが…周りが問題である。
このままこの状況が進めば店を畳まざるを得なくなってしまう。
もう一度ため息を吐くと…からん、とドアの開く音が聞こえた。
彼はどたどたと店のカウンターに出る。
すでに陽は沈み月明かりが道を照らす時間。
入ってきたのは数人のグループだ。
「すまない、泊めてもらえるか?」
と、先頭に立つ、蒼い髪の落ち着いた青年が申し訳なさそうに彼に尋ねた。
思ってもいなかった突然の来客。
彼は薄く微笑みながら頷いた。
「どうぞ。ただ今からだと素泊まりになってしまいますが…」
「あぁ、構わない。」
「あー、疲れたー!早くやすもーよー!」
と、赤毛の少年。それを苦笑いしながら諌める、可愛らしい少女。
「ほら、そんなに大声だしたら他のヒトに迷惑でしょう?」
「そうだぞー!まぁ、疲れたのは俺も同意だ。」
「そうね。」
賑やかな面子だ。こういったお客さんは久し振りで思わず笑ってしまう。
「では、お部屋は二階になります。ごゆっくりどうぞー」
鍵を渡しご案内。
と。
一人。僅かにその賑やかさから離れた黒豹のガジュマ。
静かに歩き時折ふぅ、とため息を吐く。
「ユージーン!先行っちゃうよー?」
赤毛の少年の言葉にあぁ、と頷き遅れて一歩踏み出した。
「ごゆっくり。」
「…あぁ。」
狼とユージーンの目が合う。その視線はどこか虚ろで。そして。
ぎらり、と鋭い眼光を放っていた。
夜もすっかり更けた。
狼はくわぁ、と欠伸をすると眼鏡を外し目頭を押さえた。
悩みは尽きず、まだまだやらなければいけないことはあるのだが…疲労と眠気がピークだ。
これ以上仕事をして倒れでもしたらそれこそ本末転倒である。
よっこらせ、と呟きゆっくり立ち上がると狼は腰を叩いた。
それと同時に腹の虫が盛大に鳴る。
「…なんか食って寝るか。」
一人ごちると狼は部屋を出て厨房に向かう。
そこそこの広さをもつ廊下は夜中になるとどこか不気味だ。
なるべく足音をたてないように歩いていると。
「あれ?」
敏感な彼の耳が何かの音を拾い上げる。
ずり、ずり、と這いずるような音。
グゥゥゥ、と獣のような呻き声。
ピン、と耳を立てて注意深く音の場所を探る。
恐らくだが、階段のすぐ上だろう。
もしかして、今泊まっているグループの誰かに何かがあったのかもしれない。
彼は駆け足で階段に向かう。
だん、だん、と段を飛ばし階段を上る。
その先にいたのは。
床に座り込み、頭を抱えながら唸り声をあげる黒豹のガジュマ、ユージーン。
狼は息をのみユージーンに近付く。
「お、お客様?!大丈夫ですか!?」
肩に手を当て狼はユージーンに声をかける。
そこでユージーンは狼の存在に気がついたのだろうか。
頭を上げた。
ユージーンの表情を見た瞬間、狼は全身を硬直させる。
完全に血走った目。焦点の合わない瞳。鋭い眼光。
唾液を溢し唸る。
来店した時からは考えられないほどの変貌。
背中に冷たいものが走る。
ユージーンは頬を吊り上げ壮絶で残虐な笑みを浮かべると…狼を押し倒した。
「ゥゥゥゥゥ!!」
「やめっ…離してっ…!」
必死に抵抗する狼。だが、ユージーンの力は彼と比べ物にならないほど強く、狼の体は押さえつけられてしまう。
ぎらりと光る爪。ユージーンはそれを用いて狼の衣服を破り捨てる。
外気に晒される体は他のガジュマに比べ少々細いが、充分な筋肉を備えている。
月明かりに照らされ銀色に輝く毛並みは上質な毛皮を思わせるほどだ。
あまりの出来事に狼はもはや抵抗すら出来ず、ただ体を震わせた。
「ゥゥゥゥゥ…!」
狼のマズルをがしっ、と掴むとユージーンは狼の胸に顔を埋めた。
狼の獣毛に埋もれた胸板へとザラザラとした舌を這わせる。
「んぐっ…」
マズルを押さえつけられているせいで声が出せない。
代わりに狼は苦しそうに喉の奥を詰まらせた。
ペロペロと引き締まった胸板を舐め回し、乳首を舌の先でねぶる。
獣毛がべっとりと唾液で濡れ皮膚に張り付く。
そして卑猥な臭いを放っていた。
狼はただ身悶えし、瞳を閉じる事しか出来ない。
ピン、とたった乳首から舌を離すと次は腹だ。
六つに別れた腹筋の筋をしっかりと舐め回し雄の感触を確かめる。
にやぁ、と歪な笑みを浮かべながらユージーンはひたすらに狼を貪り。
筋をなぞりズタズタに裂けた、辛うじて下着の形を保っている布切れをくわえると。
「ゥゥゥ!」
鋭い牙でユージーンはそれを一気に引きちぎった。
「ん、んぶぅぅ!」
閉じていた瞳を広げ狼は恐怖と恥辱から涙を流した。
萎えた肉棒は成人を迎えたガジュマの雄相応の大きさだ。
とはいえ、ヒューマの雄でいえば巨根、というにふさわしい大きさなのだが。
ユージーンはマズルを肉棒に近付けるとクンクンと鼻を鳴らした。
肺一杯に雄の臭いを充満させ、はぁ、と恍惚の吐息と共に唾液をはしたなく口の端から溢して。
身悶えする狼。ぶるん、と肉棒がゆれユージーンの頬を叩く。
だがユージーンの表情に変わりはない。
ぐぱぁ、と口を開き…
ぱくんと狼の肉棒をくわえ込んだ。
「…ッ?!」
ねっとりと熱く絡み付く粘膜に狼は声にならない声を上げる。
じゅぶじゅぶと音を僅かにさせながら首を上下に動かすユージーン。
その刺激に狼の肉棒が素直に反応しむくむくとユージーンの口の中で膨らみ先走りを溢れさせる。
唾液と先走りの混じった液体はユージーンの口に収まりきらず狼の睾丸を通り硬く締まった肛門を濡らしていった。
ひとしきり雄の感触を堪能すると、ユージーンは肉棒から口を離す。
月明かりにより、唾液にまみれた肉棒が妖しくてかり淫靡な臭いを放つ。
「グゥゥゥゥゥ…」
唸りながらユージーンは狼に馬乗りになると自らのズボンと下着をずらした。
圧倒的な大きさの肉棒が露出し、狼の腹に乗っかる。
ユージーンは自らの雄穴を指で掻き回した。
ごぼりと下品な音をたてながら雄穴から液体が零れ出す。
今から得られる快楽に期待しているのだろう。
腰を浮かせてユージーンはつぷ、と狼の肉棒の先端を雄穴でくわえた。
「~~~…ッッ♪」
それだけでユージーンは全身を痙攣させ舌をはみ出させる。
狼はされるがままであり、一切抵抗をしていない。
ただ目の前で行われている事を見ているだけ。
ユージーンは愉悦に表情を崩すとそのまま弛みきった雄穴で狼の肉棒を受け入れていく。
ずぶずぶと奥へ奥へ。
「ォォッ…ォォォッ!!」
じゅぽん!
ゆっくりだった動きを急激に早めユージーンは一気に狼の肉棒を全てくわえ込んだ。
下腹部がぼこり、と膨らみびくびくと震えている。
「つぁっ…!!」
その衝撃に狼は声を上げた。
ぐにゅぐにゅと蠢く腸壁が狼の肉棒を程よい弛さで締め付ける。
はぁぁぁ、と心地良さそうに息を吐くユージーン。しかし、それだけで終わるわけがない。
ユージーンは全身を上下に動かし始め、狼の肉棒を雄穴で味わい始めた。
「ぅぁっ!んんっ!」
ぐにゅぐにゅと蠢き、そして肉棒を激しく吸い上げる腸内。
ごつんごつんと前立腺を突く硬く熱い肉の塊。
血管が浮かび上がりグロテスクに体内で膨れ上がる竿。
狼の恥辱にまみれた、しかし蕩けたような表情。
全てが求めていたものだ。
「ハァッ…ハァッ…!!ォォォッ…!」
全身を上下に激しく揺らしユージーンは野太くはしたなく喘いだ。
肉の塊がどちゅどちゅとユージーンの腸壁を突く度に全身へと稲妻のような快感が走り抜ける。
ぶるんぶるんと硬く大きく膨れた肉棒から先走りが溢れ狼の腹部を、胸を。
そしてマズルまでも濡らす。
なすがまま、されるがままだった狼だが…
やがてユージーンの丸太以上に太い太股を掴むとユージーンと同じように腰を振り始めた。
狂気が伝染するように。
狼は恥辱の表情を嗜虐に変え目を血走らせながらユージーンの更に奥へと肉棒を捩じ込む。
「ォォッ!ォォォォ!!」
「グゥゥ!!ゥゥゥ、フゥゥゥ!」
全身の毛を逆立て狼はユージーンの中を乱雑に掻き回す。
獣のようにがむしゃらな行為。
互いの快楽を貪りあう。
ズチュズチュと水の音が大きさを増し床に卑猥な臭いをたてる水溜まりが出来た。
ゴツゴツと肉と骨がぶつかり行為の激しさを語る。
「グゥゥ…!グルルルルゥゥ!」
限界を迎えかけた狼は今までと種類の異なる唸り声をあげ、舌をはみ出させると腰を痙攣させた。
びくんびくん、とユージーンの中で肉棒が跳ねると睾丸と肉棒の根本が一層膨らんで。
来るのだ、求めていた熱が、快楽が。
ユージーンは狂喜に雌犬の色を混ぜ、動きが緩慢になった狼の代わりに更に全身の動きを速めた。
雄穴をきゅっ、と締め付け狼の肉棒を全て飲み込むと。
「ォォォォッ!!」
どぶびゅるるっ、どぶぶぶるるっ!びゅるるるぅっ!
口を開き遠吠えをすると狼は腰を浮かしユージーンの体内へとその性を解き放った。
熱く、濃厚な子種がユージーンを焦がす。
待ち望んでいたそれにユージーンは白目を剥き声にならない叫び声をあげた。
「…ッ!!」
狼の激しい射精から少し間を置き、またユージーンも絶頂を迎える。
どぶぶぶるるっ!ぶびゅぶびゅるるっ!
まるでゼリーか何かを想像させるような濃さの精液が宙に放たれボタボタと狼へと降り注ぐ。
青臭い臭いが廊下を支配して。
脱力感からユージーンはへなへなと狼に倒れ込んだ。
で。
浴場。体についた精液を洗い流してから…
「本当にすまない。」
ユージーンは狼の前で土下座をしていた。
狼は頬を赤く染めつつまぁ、と言葉を濁す。
ユージーン曰く、『思念』が世界に散ってしまったせいでヒューマとガジュマ、二つの種族で嫌悪感、苛立ちを互いに覚えるようになってしまったこと。
自分もまたそれにかかっていること。
仲間達と分かっていても憎しみが、怒りが溢れ出すこと。
そして度々外に出ては外敵を倒しごまかしていたこと。
今回は何故か発情してしまい、狼を襲ってしまったこと。
「謝っても許される問題ではない。だが、本当にすまなかった。」
「あ、あの、頭を上げてください。ぼ、僕はその、大丈夫ですので…」
ユージーンの苦虫を噛み潰したような表情。
狼は優しく微笑む。
「だから、気に病まないで下さい。貴方にも、色々事情があったのでしょう?」
「…」
「大丈夫です。だから、今日はゆっくり、休んでください。」
「…あぁ…」
訪れたユージーン一行は朝早くから出ていくようだった。
「突然すまなかった。ありがとう。」
青年の言葉に狼は首を振った。
「いえ、当店はいつでも、どんな方でも歓迎いたします。またのご来店、お待ちしております。皆様の旅に、幸運があらんことを。」
明るい笑顔。陽射しを受けて宿を出る。
「あ!」
狼は思い出したように声をあげユージーンに近付く。
「な、なんだ?」
「そ、その…全部終わって、皆でまた前みたいに笑いあえるようになったら…是非、来店してください。」
狼の言葉に驚いた表情をみせるユージーンだが…すぐに頷く。
「あぁ、必ず。」
力強い言葉。
そして彼らは旅立つ。
きっと、大丈夫。
頼もしい背中を見送り狼はせめて、と。
祈った。
彼らの道に、光あらんことを。
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