Ad
月に照らされ、男は目を覚ます。
目に映るそれは限りなく正円に近い物だ。月だというのに眩しく。
むくり、と体を起こす。周りを見渡してみる。そこにはゴチャゴチャとしたビル群が立ち並び、それなのに誰もいない。
「…む…?」
そこで男は頭を抑えながら不思議そうに呟いた。
疑問。大き過ぎて見えない程の疑問。
「俺は…誰だ?」
ここに来るまで…いや、自分自身の名前も思い出せない。
自分が何者で、何をしていたのか。
それすらも。
まずは自分の格好を確認してみる。褌一枚。それにブーツ。
豪奢なマントに、大きな盾と剣を持っている。自分の持ち物か?
立ち上がると、クラクラと頭が揺れる。気分が悪い。
ォォォォォン、と遠くで遠吠えが聞こえた。
「…ここはどこなんだ…俺は…」
呟きに答えるものはいない。男は一歩を踏み出す。
ふ、と横に影を見た。
思わず男は身構える。それはガラスだ。そこに写るのは…
「!?」
鍛え上げられた肉体。丸太よりも太い腕。大人の胴体はあろうかと言う太腿。大きく膨れ上がった胸。そして…
獅子の、頭。とてもただの人だとは思えない。
自分の顔を触ってみる。鬣はふさふさで、だがボサボサ。碌に手入れもしていないのだろうか。
髭もある。試しに引っ張ってみると…
「いででででっ…」
見た目にそぐわない、情けない声をあげ男は髭を引っ張るのを止め、髭の根元を撫でた。
どうやら夢でも何でもないらしい。とにかく今は、誰かに話を聞きたい。そう思い男は誰もいないビル群を歩き出す。
こつ、こつ、こつと自分の足音と吐息だけが聞こえるビルの中は、とても不気味だ。正直怖い。
誰でもいいから話しかけたい、と思う男の目に、何者かが映った。大きさとしては自分より少し小さいぐらいだろうか。
少し安堵する。そして男は声を上げた。
「すまない、少し話を聞きたいのだが…」
振り向いた影。
長い、腰まで伸びた銀髪をなびかせる男。着ている服は拳法着だろうか。
ひとまず人と出会えた。安堵からか男は少し微笑み、その影に近づく。
すると。
「誰か…知らないが…逃げろ…!」
銀髪の男はギラリ、と鋭い視線を男に向けた。その眼光は…
直後。銀髪の男はウゥゥゥ、と唸り声をあげ、顔を抑えた。
「お、おい…!?」
近寄ろうとする男だったが、その足はすぐに止まる。銀髪の男の体からごぎゃんっ、と聞こえてはいけない音が聞こえたのだ。
そして変化が始まる。
全身が一気に膨らむ。それも拳法着が弾け飛ぶほどに大きく、そして凄まじい速度で。
破けた拳法着が地面に落ちきる前に、膨らんだ全身の筋肉を覆う皮膚から蒼い獣毛が飛び出した。
抑えた手の隙間から見えていた顔にも変化が訪れる。鼻先から顎にかけた顔のパーツがどんどんと前にせせり出てくるのだ。
それはマズル、と形容できる物。そこから覗くのは鋭い牙。
ぐぐぐ、と引っ張られるように。後頭部へと耳や額などが向かっていって。小さな耳が、今では信じられないほど大きな三角形の物へと変わっている。
下半身も膨らみ、布を突き破って尻尾が飛び出した。
銀髪の男だったもの。ー人狼が、男の前に現れる。
「ォォォォォン!!」
そして人狼は満月に向かい大きく遠吠えを上げた。
その遠吠えは鋭く、重く。ビリビリと男を揺らした。
衝撃に耐え切れなかったのだろうか、ビルの窓に亀裂が入る。
人狼は遠吠えを上げ終えると、視線を下ろした。血走った目。鋭い獣の眼光。
それは獅子の頭の男を捉える。
にぃっ、と壮絶な笑みを浮かべると…人狼は姿を消したように見えた。だが、男は。
「ぐっ!?」
記憶が無くても体が覚えているのか。とっさに盾を構えると人狼の拳を受け止めた。
鉄で出来た盾から轟音が鳴り響き、その衝撃を男に伝える。
このままでは殺される。そう考えた男は持っていた剣の柄で人狼の喉元を素早く突く。
直撃するか。そう思う男。だが人狼は、もう片方の手でそれをわざと受け止めた。
当然、衝撃を殺しきれるわけではない。骨が軋む音。肉が裂けるような音。
それを響かせながら人狼は後方へと吹き飛ばされていく。
「なっ、なんだっ!クソッ!」
男は吼えるように叫び、剣を構えた。
後方に飛ばされた人狼は四つ足を突き、唸り声を上げると両脚が膨張するほどに力を込める。
飛びかかって来るか。男は剣を構え、邪魔になりそうなマントを脱ぎ捨てた。
「来るなら…来いッ!」
こうなればヤケだ。このまま殺されるわけにはいかない。
そう決意を固める男。だが、人狼は…
「ぐっ…ゥゥゥ……ヤメロッ…!オレは…!頼む…逃ゲろ…!フゥゥゥ!!」
狼の言葉に、人の心を織り交ぜ、必死に男へ叫んだ。
顔の毛並みが濡れて皮膚に張り付いている。…きっと、傷付けたくないのだ。誰も。
だから人狼ー名も知らぬ、彼は。必死に抗っている。
男は…剣を放り投げ捨て、拳闘の型をとった。
「逃げない。俺はお前に話が聞きたいんだ。安心しろ。多分、格闘の心得はある…!」
男の言葉に。人狼は頰を釣り上げーどこか絶望の色を浮かべながらー男に飛びかかった。
男は竦むことも、恐れることもしない。どっしりと構え、人狼の動きを感じ取る。
目を使って追う事は出来ない。ならば、その他の感覚を研ぎ澄ませ。
す、と男は目を閉じた。
空気の流れ。人狼の臭い。地面の僅かな揺れ。殺気。
感じ取れ。一つも逃すな。
「…ハァッ!!」
そのまま、男は拳を思い切り振った。
その拳は…人狼の拳とぶつかり合い、凄まじい音を立てる。
「ぐっ…!」
鍛え上げられているであろう腕が隆起し、ぶちぶちと千切れる音が聞こえた。
苦痛に男は顔をしかめる。が、それは人狼も同じようだ。
「ガッ…!」
苦し気な声が聞こえた。いる場所は見えないが、はっきりわかる。後は。
「つぁっ!」
拳をぶつけたまま、男は盾を横に振り払う。
人狼のアクションが遅れ、盾は見事に人狼の顎へ直撃した。がぎぃ、と鈍い音が響き渡る。
そこで男はようやく目を開いた。
人狼はうつ伏せのまま、はぁはぁと激しく息を吐いている。
男は終わったか、と安堵に満たされ…がくんっ、と膝をついた。
緊張の糸が切れてしまったのか。集中し過ぎたせいか。どちらでもあるのだろう。
動くに動けず。
「…大丈夫…か…?」
人狼に話しかける。人狼ー彼は、あぁ、と一言答えた。
[newpage]
満月が沈み、朝日が昇り始めた頃。ようやく二人は動くことが出来るようになった。
その時には人狼の姿はもとに戻っており。すらっと、細身に最低限の―とはいえ十分な―筋肉を蓄えた上半身を曝していた。
「…あんたは、俺ともまた少し違うみたいだな。」
人狼だった彼は男の事を訝し気に観察しながら思わず言葉を発していた。
そうだ。自分の頭は獅子であり、彼ともまた少し違うのだった。
「そう…みたいだな。」
「みたいだな、って…あんたの事だろ?」
「そうなんだが…すまない、全く記憶が無くてな。ここがどこなのか、俺が誰なのか。全く覚えてないんだ。」
男の言葉に人狼だった彼ははぁ?と言いたげな表情を浮かべる。
「記憶喪失って奴か?それにしたって…」
「うむ。俺がまず人なのかもわからないな。少なくとも自分の姿が見えた時は、驚いた。」
男の素っ頓狂な答えに…人狼であった彼は笑う。
「驚いたって、お前。」
「笑い事じゃないぞ。考えてみろ。自分の記憶が無くて、鏡を見たら頭だけ獅子。驚くだろう?」
「そりゃ、まぁそうだけどな…じゃあ、名前も分からないのか。」
「あぁ。…む?」
そこで男は一つの事に気が付く。盾に、文字が刻まれているのだ。
しかし、ビルやそこいらに書いてある文字とは全く異なる表記。
読むことが出来る。
「レオ…グリーディア…?」
「名前はレオ・グリーディアってことか?…というか、まずその文字が読めないぞ、俺には。」
盾を目にした彼はむむむ、と眉根を寄せ、盾を眺める。
そして近くに男―レオが投げ捨てていた剣とマントを拾い上げた。
「こっちにも何か書いてあるんじゃねぇか?」
「む。…こっちも同じだ。グリーディア。…マントには紋章、か?」
剣の方には同じく名前と思しきもの。そして、マントの裏時には煌びやかな紋章が飾られている。
「レオ。それがお前の名前みたいだな。…ってかこれ、王族の紋章か?」
「…ふむ。この紋章も名前も、見覚えも聞き覚えもないな。俺が王、という訳でもあるまいに。」
どうやらレオの記憶を呼び戻すには全く足らないようだ。
どこかのんきに呟き、レオはマントを羽織ると、褌の隙間に剣を入れる。
相当危ない状態なのだが、どうもこの状態が一番しっくりくるのだ。
「…そうだ。お前の名前を聞いてなかったな。」
「俺か?俺はガロン。…ワーウルフだ。」
どこか躊躇いがちに彼―ガロンは自分の名と種族を名乗る。
レオは特にそれを気にするでもなく、そうか、と頷いた。
「ガロン、か。」
「じゃあ、またな。もしかしたら会う事も」
「待ってくれ。」
去ろうとレオに背中を向けたガロン。その背中にレオは急いで声をかけた。
「…なんだ?」
「いや、その、なんだ。自分の名前と国―だと思うんだが、分かったのはそれだけで、それ以外何にも分かってないんだ。…行く当てもない。だから、お前についていっていいか?」
「…別にいいけどよ、かなり危険だぜ?」
「構わん。一人で適当に歩き回るよりよっぽどマシだ。」
「ならいいけどよ。」
ガロンはため息を一つついて…歩き出した。
レオもそれに続くよう、歩いていく。
[newpage]
ガロンの旅は、彼の言う通り危険な物であった。
幾度も闇を狩る者たちに命を狙われた。幾度も純粋な魂を求める闇の者に襲われた。
レオとガロンは共に立ち向かい、剣を振るい、拳をぶつける。
剣を振るう度に、僅かずつ記憶が戻っていくのがレオには分かった。
自分のこの体は呪われているということ。
やはりこの世界の人間ではないということ。
このまま戦い続ければいつの日か記憶は戻るのだろうか。
しかし。
剣を振るう度に。共に戦うこの人狼へ。ある種の感情が生まれていく。
心が躍り、胸は高鳴る。この想いは。
「ぼけっとしてんなよ、レオ!」
そう吼えながらガロンは目の前に迫り来る殺人バチーどう見ても人の形なのだがーに拳を振るう。
ごしゃり、と頭蓋の砕ける音が鳴り響き、一匹に蜂は地面に落ちた。
ふっ、とレオは不敵に笑い剣を振り回した。斬る…という表現は正しくない。
叩き潰し、相手を壊す。そんな風に。
「悪いな!このぐらいなら寝てても倒せるさ!」
「それもそうだ…なっ!」
背中を合わせ、呼吸を整える。そして笑い合うと、二人は地面を蹴った。
[newpage]
満月の夜。二人は珍しく静かな夜を過ごしていた。
闇を狩るものも、闇のものも。誰もいない。
清らかな水を蓄える泉。
「たまにはこういう夜も悪くはないな。」
剣や盾を置き、マントも脱ぐとレオは静かに呟いた。
本当に静かだ。どこまでも透き通る水面に満月が反射する。
ガロンは、何も答えない。ただ静かに。座り込む。
その目はわずかに血走り。フゥゥゥ、と時折唸り声をあげる。
レオは両手で水を掬い上げると…ガロンの頭にぱしゃり、と水をかけた。
全身に生えていた獣毛がうっすらと濡れ、光る。
顔を上げると。満月を背に、レオが笑っているのが見た。
「どうだ?少し頭が冷えただろ?…頭が熱くなったら冷やせばいいさ。」
獅子の鬣が優雅になびく。はち切れんばかりの肉体が煌めく。
欲しい。欲しい。何もかも。彼の全てが。欲しい。
壊したい。奪いたい。全てをこの手に。血にまみれたい。
ガロンは。
「グゥッ…ガァァァァ!!」
レオに飛びかかる。耐え切れなかった。己の中の獣を。
全てを壊し、得ようとする心を。不意に飛びかかられたレオは、尻餅をつき、そのまま地面に倒れこんだ。
分かっていた。きっとこうなる事。だから。
笑う。ただ優しく、柔らかく。
「レオ…俺は…」
満月に照らされ、獣毛が妖しく艶めく。
美しい。ガロンに押し倒されながらもレオは息を飲んだ。
鋭い眼光も、その瞳から流れる涙すらも。
気が付けば。押し倒されていたレオはガロンを強く抱きしめていた。
ふわふわとした上質な毛皮を思わせる感触。そしてそこから伝わってくるガロンの熱い感触。
「安心しろ。大丈夫。」
レオの太い腕が、がっしりとガロンの体を強く強く包み込み。沸騰していた血液が少しずつ冷めていく。
ちりちりと理性を焦がしていた人狼の本能が、するすると解けていくようだ。
「あ…ありがとう…」
こんな形でしか礼が言えない自分を恥じながらも、ガロンは頬を赤らめながら小さく呟く。
筋肉と脂肪で型どられた胸がどこまでも暖かい。優しい。あぁ。このまま溶けてしまいたい。
ガロンは自分でも気が付かない内にレオの体を貪り始めていた。
マズルでその胸を擦る。長い舌でちろちろと乳首を嬲るとレオはんっ、と声を上げながら体を震わせた。
刺激に素直に反応する。乳首がぷっくらと膨らんだ。
「ガロン。くすぐったいんだが。」
その言葉にガロンははっ、と我に返ったような表情を浮かべる。
「悪い…」
申し訳なさそうに言うガロンではあるが…その股間部分にはくっきりと彼の欲望が表れている。
しかし、この月の下だ。獣欲に負けたくないのだろう。ガロンはそれ以上何もせず。レオからやがてゆっくりと離れていく。
ひゅう、と吹き抜ける風が、互いの体温を飛ばしていくようだ。
無言の空間。静かな空間。時間。互いの息遣いだけが聞こえる空間で。
ガロンは必死に獣欲を抑えつける。早くこの夜が終われと。
レオは。
「…全く、ガロン。お前が押し倒して舐めまわしたせいで全身が汚れてしまったじゃないか。」
「…は?」
言いながらレオは立ち上がる。確かに全身汚れてしまってはいるが…
すると突然。レオは身に着けていた褌を脱ぎ捨てた。
「なっ!?」
「汚れたら水浴びをする。当然だな。うむ。」
レオはにぃ、と少し悪戯っぽい笑みを浮かべると、泉に向かった。
満月。夜目の利くガロン。その目にはくっきりとレオの背中が写っていた。
筋肉質だが、むっちりとした僅かな脂肪が全身をコーティングしている。
豊満な尻の谷間は見えるか見えないか。そして野太い脚の隙間から見えるのは大振りの睾丸。
直接的に逸物が見えるわけでは無いが…その分想像を掻き立てられるようだ。
水を手ですくうと、ざばぁ、と全身を洗い流す。しっとりと濡れた鬣が、背中にぴったりと張り付いて。
適度に水を吸った肌に月明かりが反射する。
艶やかで、妖しく。艶めかしい。ガロンはごくり、と気づかぬ内に唾を飲み込んでいた。
レオの耳にもきっとそれは届くだろう。レオは分かっている。その上でこのような行動に出ているのだ。
水浴びを終えると、レオは褌と大きな右手で自分の逸物を隠した。
「そんなにみられると…興奮するだろう。あぁ…尻が疼いてきた…」
ぺろり、と舌なめずりをしながらレオはガロンの方へ向き直るとその場に開脚をするように座り込むと逸物と雄穴を隠すように褌を被せた。
右手を尻の方へ伸ばし、野太い指を挿入する。ぐちゅり、と淫靡な音が鳴ると褌を被せられていた逸物が反応し、褌を押し上げる。
「レオ…お前何を…」
ガロンの問いかけにレオは答えない。ぐちゅぐちゅ、と指で雄穴を拡げかき混ぜているのだろう。粘液質な音が継続的に鳴り、地面を濡らしているのが僅かに見えた。
「体が熱くてたまらないな。あぁ、この卑猥な雄穴に誰かモノを捻じ込んでくれないだろうか。指だけでは足りない。」
腰をかくつかせ。まるで誘う男娼のように。レオはにぃ、と笑い、その肉体を惜しげもなくガロンに見せつける。
獣欲を抑えつけているガロンを挑発するように。
「私は卑しいメスだな。…丁度よい。丁度良い所に狼がいるではないか。なぁ、狼よ。私のいやらしい穴を塞いでくれないか?雌獅子を抱いて、滅茶苦茶にしてくれないだろうか。」
どこかイタズラのように。だが淫らに。レオはガロンを誘う。
ガロンの抑え込んだ獣性、獣欲。それを引き出し。そして。
「何の冗談…だっ…」
「冗談じゃない。俺は…お前に抱かれたい。滅茶苦茶にされたい。」
獣欲に負けたのではない。 その免罪符となるべく。レオは体を差し出す。
ガロンがそれを望むか分からない。逃げているだけなのかもしれない。それでも。
「だから…ガロン。俺を抱け。獣、人狼としてでなく。ガロン、という男のまま。哀れな雌獅子を。」
レオは彼の助けになりたい、と思ったのだ。
心からそう。…だから。
ガロンはこくり、と頷いた。そしてゆっくりとレオー雌獅子を、押し倒した。
先程と違う。もっとゆっくり、優しく。自分のパートナーを抱くように。
あぁ。彼は、自分のパートナーとなってくれているのか。
「レオ…」
「ガロン…」
互いの名前を囁き合う。いつもと違う、甘い色。ガロンはレオの厚い胸板に顔を埋め、雄の匂いを堪能した。
くぱ、と軽く口を開き甘く噛むとレオは艶っぽい声を上げ、優しくガロンの頭を撫でる。
ぷっくらと膨らんだ乳首にも牙を甘く立て、ちゅうちゅうと赤子のように吸い上げて。
鼻の頭で胸筋をなぞり、豊満な胸を愉しみ。はしたないと自分で分かっていてもその動きを止める事が出来ない。
股間をレオの太腿に押し当て、擦りあてる。剛直がガロン自身の体とレオの太腿でもみくちゃにされびくびくと震えながら先走りをあふれさせた。
泉によって濡れていたレオの体が、ガロンの唾液に塗れるまで、そう時間はかからない。ぬるつく全身。
「フゥゥゥ…グゥゥゥゥ…」
「ふふっ、そんなに興奮するな。…俺まで興奮してしまう。」
いう通り。レオの逸物は完全に勃起しきり、先程からガロンの尻を叩いている。
ガロンは一度レオから体を起こすと、両手でレオの太腿を掴むと尻を天に向かせた。
むぉ、と濃密な臭いが立ち込め、ガロンの鼻を突く。
雄穴はいやらしくくぱくぱと収縮を繰り返しながらそこを塞ぐものを求めているようだ。
腸液がだらり、と垂れて、レオの尻や背中をたっぷりと濡らす。
「こんなに…なっているだろう…?早く…もっと雌にしてくれ…」
呼吸を僅かに荒くしながらレオはガロンにねだった。
ガロンの尻尾が優雅に揺れる。
レオの尻を天に向けたまま。少々無理のある体勢で。ガロンは己の剛直をレオの引くつく穴へと押し当てた。
先端を当てただけで、レオははぁっ、と熱い息を漏らす。
雄臭い全身で、求める物は雄。雌のような表情を浮かべて。共に歩き始めてから、初めて見る物。
妖艶に見えるのは、満月のせい?それとも。
どちらでも構わない、か。
ガロンはふぅっ、と息を吐くと…一気にレオの中へ逸物を捻じ込んだ。
「んぉっ…!!!」
ずんっ、と肉同士がぶつかり、激しい音と衝撃がレオの中を駆け巡ると、レオは呻き声を上げた。
熱い肉の塊が体内を満たす。その感覚は、戦の中でも平和の中でも感じる事の出来ない、不思議な多幸感。
ぎちぎちと圧迫される腸壁は防衛本能からだろうか、大量の腸液を分泌し始め、あっという間にガロンの逸物をコーティングした。
しかし多幸感を感じているのはレオだけではない。
ガロンもまたそうだ。尻尾を大きく揺らす。肉棒をゆるりと、だがしっかりと咥え込む腸壁。
そこから染み出る粘液が熱い。少しでも濃い精液を分泌させようとしているのか、雄穴はぎゅぅっ、と痛みを感じるほど締め付け。
ガロンの長い逸物を全て咥え込んでもなお、レオは少々余裕のある表情を浮かべていた。
「どう…した…?まだ…啼けない…ぞ…?」
額に汗を浮かべ。ガロンを挑発する。…どこまでも、この雌は。
優しい。
「今から啼かせてやる…ッ!」
ガロンは牙を食い縛りながらずるずると肉棒を半分ほど引き抜き…ずばんっ、と一気にまた勢いよく逸物を挿入した。
先程よりももっと奥へ。前立腺を抉り上げ、腸壁をこじ開けるように。
睾丸がびたんっ、と尻を叩き、揺れる。
「んっ!」
「うぉっ、ォォッ!」
レオが少し大きな嬌声を上げ、唾液を零した所で。ガロンは一気に腰を振り、レオの胸を更に弄り回し始めた。
ずちゅずちゅと粘液が擦れ、レオの雄穴から泡立った液体が零れる。
腸壁は抉られ、こじ開けられ。挿入された異物を押し出そうとぎゅうと強く力強く締め付け。
ガロンは胸から膨らんだ腹筋へ舌を伸ばす。背中が丸まり、痛みも感じるが、そんなもの気にしないほど。
この体を貪りたい。その欲望が勝る。
ガロンが舌を這わせる腹筋は硬い。胸程脂肪も蓄えられてはいない。だが、だからこそ。
一つ一つの筋をしっかりと貪ることが出来る。舌で舐めまわし、鼻先を押し当てて。谷間をなぞり、臍へ。
「やめっ…そこっ…ふぅおっ、ぉぉっ!」
レオは快楽から眉をしかめながらガロンを抑えようとするが声を上げ、背筋を仰け反らせた。
逸物が雌の快楽に涙を流し、粘液がガロンの顎下に飛び散る。
びっちょりと顎を濡らす先走りを長い舌を使い、器用にまとめ上げると、ガロンはそれをレオの胸に塗りたくった。
水やガロンの唾液よりも粘度が高く、艶やかに妖しく光る。
ガロンの腰の動きはどんどんと早まり、レオの中を素早くかき混ぜて。
「んっ、んぉっ、いいぞっ!ぐぅっ!がぁっ!んぎぃっ!ぎでるっ!んぉっ!」
体を地面に抑えつけられ、なすが儘にされる。そこに屈辱的な感情は生まれない。
求められ、自分を使う事で快楽を見出すガロンが、愛おしくてたまらない。
やがてレオの表情が徐々に蕩け始めた。目じりに涙をため、はぁはぁと浅ましく呼吸をする。
勇敢な顔や鬣は、今や…
「本当にっ…雌獅子だなっ…!」
先程まではどこか遠慮しがちだったガロンも、乗り始めたのか、レオを言葉で責め立てる。
尻尾でレオの脇腹をこそぐり、逸物を腹の奥まで挿入するとそこで動きを止め、ぐりぐりと腰を捏ね繰り回す。
ガロンの引き締まった腹筋で睾丸を刺激されると、レオの逸物からはとめどなく先走りが溢れ出し、レオの腹筋を更に淫らに汚していく。
「はぁっ、はぁっ…!いいぞっ…んぉっ!?」
「ウォォっ、ォォ!」
ガロンの吼える声。それと同時にガロンの肉棒がびくびくと震え、どぷどぷと先走りを注ぎ込んでいく。
逸物が膨らみ、レオの腸壁を更に圧迫し、レオはその感覚に目を開いた。
これ以上は無いと思っていたはずの圧迫が強まり。しかし感じるのは確実な快楽。
ガロンは体重をしっかりとレオに乗せ、かくかくと腰の動きを細かくした。
より細かく。腸壁のひだ一つ一つを丹念に撫で上げ、まくり上げるように。
レオの全身がびくびくと震え、吐息は熱くなるばかり。
時折前立腺を撫でられれば、睾丸は精液を生産するべく縮み上がる。
「そろそろっ…出すぞッ…!」
唸り声と共に、ガロンはレオに限界が近い事を告げた。確かにガロンが言う通り。
ガロンの肉棒は脈動を激しく繰り返し、睾丸は肥大化している。
レオは唾液で鬣を更に濡らしながら、宙に浮く両脚を痙攣させた。
「あ…あぁっ…!早くっ…注いでくれ…ッ!!」
その一言がトリガーとなり。
「グゥッ…ォォォォォンッ!!」
ガロンは牙を食い縛り…レオの中に全てを注ぎ込んだ。欲望も、愛おしさも。何もかも。
どぶぶびゅるるるっ、びゅぐぐっ、どぼぼっ!
「んおぉっ!おぉぉぉぉ!!ぐるっ…!イグッ…!グゥゥゥォォォ!!!!」
注ぎ込まれただけ、レオも絶頂に達し、ガロンよりも太い肉棒から大量の精液を噴き出す。
それはレオの胸部や腹部をたっぷりと濡らし、淫猥な臭いを立てていた。
数分にも及ぶ二人の射精。全身が白濁液に塗れていき、地面に水溜りが出来る。
それでもまだ、ガロンは足りないと言わんばかりに腰を動かし、その度にレオの雄穴から白濁液を絞り出す。
「ぐぅっ、ゥゥゥ!ゥォォォォ!」
「がっ!グゥァァァァ!!」
二人の遠吠えが響き渡る。満月の空の下。
先程まで明けて欲しいと願っていた夜。だが、今は。
このまま繋がっていたい。その為に。
夜よ、明けないでくれ。
[newpage]
「なぁ、レオ。お前は、記憶が戻ったら…どうするんだ?」
途方もなく広い荒野を歩きながら、ガロンはレオに尋ねてみた。
別段理由は無い。ただなんとなく。なんとなくだ。
「…さぁ、な。」
レオは少々寂しそうに笑いながら、剣の柄を撫でた。
この世界の人間でないのなら。どこか別の世界の人であるのなら。記憶が戻った時。
「元の世界に戻る、んだよな。」
ガロンの問いかけに、レオは答える事が出来なかった。
そうせざるを得ないのだろうか。異端である自分は、ここに居てはいけないのではないか。
しかし。ガロンは笑いながらレオの肩を叩いた。
「ま、まぁ、そっちの方がいいだろ!レオにとっては!呪いも解かないとだし、多分、王族というか、そういうのなんだろう?だったらよ」
言葉を遮り。レオはガロンの前で膝を突いた。
「…我が呪いは、この醜い獅子の頭と、もう一つございます。ガロン殿。貴方が全てを乗り越え、自らに勝ち、自分の進む道を得られるまで、貴方のそばを離れられない。…その呪いをかけたのは、貴方です。」
「レオ…」
恭しく―だがどこかイタズラめいた口調で―レオは続ける。
剣を地面にさし、傅く。
「貴方がこの呪いを解くまで。私は貴方と共に歩みましょう。貴方の剣となり、盾となり。」
「…よろしく頼む。レオ。」
「はっ!」
顔を上げる。目と目が合い。二人は…笑った。
「さぁ行こう。ガロン。お前の道は、まだ続いてる。」
「そうだな。」
ガロンが自らの道を進むか。己に打ち勝つことが出来るのか。
レオがこの先、ガロンと共に歩むのか。それとも。
今はまだわからない。だが…
きっと。二人の結末に何があったとしても。
悔やむことは無い。後悔もない。
歩んだ道は、後ろに。ここに。残っているのだから。
Ad