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わんわんぱにっく! その4

  たっぷりと寝て散歩して。3日ほどそんな生活をしたところ。

  「よし、もう走っても大丈夫そうだな。よく我慢したぞ、えらいえらい」

  頭を乱暴に撫でるトモ先生に私は尻尾を振った。

  そういえば、あれから一度もタケル達は来なかったな。

  子供というのはまぁ飽きっぽいところもあるから仕方ないか。

  「じゃあ…学校に連れて行くかぁ。しかし本当に大丈夫なのかね。」

  トモ先生の呟きに私はバゥ、と吼えてみる。

  この大きさの犬…というか狼が小学校の飼育小屋に入る。やっぱり想像がつかないのだ。

  「まぁ考えてもしょうがねぇな。」

  頭をバリバリ掻いて、トモ先生は私の檻にかかっている鍵を開けた。

  首輪を繋ぎ紐を持ち。私達は学校へ向かうこととした。

  

  外はやっぱり気持ちがいい。しかし今走ってしまえばトモ先生がついて来れないだろう。

  トモ先生が居ない状態では私も目的地へ着けないし、下手したら保健所行きなのだ。

  うずうずする足をなんとか押さえつつ歩く事数分。

  小さな校舎が見えてきた。いまどき珍しい―というか建築法とかは大丈夫なのだろうか―木造校舎だ。

  時間的には休憩時間なのだろうか、校庭は子供達の声で満たされていた。

  校門につく。…そこでミク先生がきょろきょろとあたりを見渡していた。

  そして私達の姿を確認するとニッコリと微笑み手を振る。

  「トモ先生~、ウルウル~。こっちです~」

  「わざわざすいません。」

  トモ先生も微笑む。そしてトモ先生はミク先生に私の紐を渡した。

  紐を受け取るとミク先生は私の頭を撫でて微笑む。

  「これから、よろしくねぇ。」

  「ガゥッ!」

  「いい子ねぇ」

  「じゃあミク先生。また。…時々こいつの様子、見に来ますから。」

  「よろしくお願いします。お忙しい中、ありがとうございましたぁ」

  トモ先生は微笑み、最後に私の頭を撫でて学校を去っていった。

  それを姿が見えなくなるまで見送り、ミク先生はまた私に微笑んだ。

  「じゃあ、いきましょうかぁ」

  私はがぅ、ともう一度吼えた。

  歩き出すミク先生の後について私も歩く。そこで子供達に見つかった。

  子供達は一瞬何事かと動きを止めるが…すぐに目を輝かせ私に飛び掛るがごとく勢いで近づいてきた。

  「わんちゃんだー!」

  「でかいね!すごいもふもふ!」

  「しっぽ!しっぽ!」

  そして私はもみくちゃにされた。正直な話噛み付いてやろうかとも思ったが…

  泣かれても面倒だし、なにより保健所行きは勘弁して欲しい。

  ウゥゥ、と唸り威嚇してみるが、意味はなかったようだ。

  もみくちゃにされる私。それを見ていたミク先生が手をぱんぱんと鳴らした。

  「は~い、そこまでぇ。それ以上やっちゃうと、ウルウルが噛んじゃうわよ~?」

  「えっ、このわんちゃん噛むの?」

  「いい子にしてれば大丈夫。だからもう離して上げてねぇ?」

  さすが先生というべきか。ミク先生の一声で子供達は私から手を離した。

  全身の毛がめちゃめちゃになってしまったな。まぁ別に気にするものでもないが。

  「そろそろ休み時間もおしまいだし、教室に戻ってねぇ?」

  「はーい!」

  「ちゃんと手洗いうがいもするのよぉ?」

  子供達は私へ手を振ったりばいばい、と言いながら教室へと駆けていった。

  ミク先生はふぅ、とため息をつき私に苦笑する。

  「ごめんねぇ?みんな良い子なんだけど…」

  気にしないで欲しい。私はその意味を込めてくぅん、と鳴いた。

  子供ならまぁあれぐらい元気なほうが良いだろう。むしろ怖がられなかっただけマシというものだ。

  歩を進めるミク先生。着いた先は飼育小屋だ。

  そういえば私が小学生の時もあったな。鶏とウサギを飼っていた。

  ウサギがすぐ脱走するもんで一回大騒ぎになった事があったな。

  遠い思い出に浸っていた私だが…首を引っ張られる感覚ですぐに現実に戻される。

  比較的大きめな飼育小屋の中は鶏とウサギのスペース。それと何もいない空白のスペースがあった。

  「別々のほうが良いわよねぇ。なんだかウルウル、この子達食べちゃいそうだし。」

  さすがにそんなこと…しないとは言い切れないな。

  現に今鶏とウサギの匂いをかいだら腹が減ってしまったのだ。

  人であったときなら顔をしかめてしまいそうな臭いのはずなのに…

  自分でも無意識のうちに生のまま頂いてしまいそうだ。

  空白のスペース。そこの扉をミク先生は開けて私を中に入れた。

  中には首輪とそれに繋がる鎖。扉を閉めて私の首輪を外すとミク先生はその首輪をつけた。

  …正直少しきつい。前の首輪は大分ゆるめだったのだろうか。

  「少しきついかしらぁ?でも我慢してねぇ。またもう少ししたら来るからここでまっててねぇ?」

  「バゥ」

  吼える私に微笑みミク先生は飼育小屋を後にした。

  檻越しの空は快晴でとても気持ちいい。しかし。暇だ。

  「ガゥッ…」

  隣の鶏やウサギに向かって吼えてみる。すると彼らはびくっ、と体を震わせて私から離れた。

  それもそうだ。今の私は彼らにとっては天敵である。

  檻の中をうろうろ歩き回って。

  そうしてても仕方なく、私はその場で体を丸めた。

  土は思ったより温度が高く、私の体をじんわりと暖める。

  まるで岩盤浴みたいだ。そんなことを思いながら私は目を閉じた。

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