獣人のフィーダー

  ブタ獣人のブヒ太(ぶひた)は、いつも金欠だ。

  大学生で、学生相撲の全国大会出場経験もあるガッチリした体格の持ち主だが、財布はいつもスッカラカン。

  唯一の心の支えは、ネクラで怪しい雰囲気のキツネ獣人の親友(とブヒ太が一方的に思っている)キツ彦だ。

  ある日、キツ彦が「いいバイトがあるよ」とニヤリと笑いながら紹介してくれた。

  半信半疑ながら、ブヒ太は休日に町中の駅で待ち合わせに向かった。

  そこに現れたのは、がっしりした体型で紳士的なトラ獣人のナイスミドル、トラ蔵さん。

  年齢は40代半ばくらい、笑顔が眩しいほどチャームたっぷりだ。

  「ブヒ太くん? キツ彦の紹介で来たよ。まずは腹ごしらえでもどうかな?」とトラ蔵はにこやかに提案。

  ブヒ太は少し緊張しながらも、行きつけの食べ放題の中華料理店を案内した。

  安いコースを注文しようとすると、トラ蔵が「私が奢るから、遠慮せず高いコースにしなさい」と笑顔で言う。

  ブヒ太は恐縮しながらも、豪華なコースに変更。

  山盛りのエビチリや酢豚、チャーシュー麺に舌鼓を打ち、何日ぶりかの満腹感に幸せを噛みしめた。

  トラ蔵は最初こそ料理を口にしていたが、途中からブヒ太がモリモリ食べる姿を嬉しそうに眺めていた。

  「若いって素晴らしいね」と、どこか満足げな笑みを浮かべるトラ蔵。

  その視線に、ブヒ太は少しだけドキッとした。

  食事を終え、満腹のブヒ太が腹をさすりながら礼を言うと、トラ蔵は「さあ、バイト先を見に行こうか」と駐車場へ誘った。

  そこに停まっていたのは、ブヒ太でも知っている最新モデルの高級スポーツカーだ「高かったでしょ?」と聞くと、トラ蔵は「ディーラーの知り合いが勧めてくるから、よくわかんないんだよね」と笑顔で返す。

  ブヒ太は「す、すげえ雇い主だ…!」と感動に震えた。

  トラ蔵の運転するスポーツカーは、ブヒ太を乗せて高級住宅街へ。

  白塗りの壁が輝く豪邸に到着すると、ブヒ太の目はキラキラ。屋内プールにサウナ、広大なキッチンまで完備されている。「好きな時に使っていいよ」とトラ蔵が言うと、ブヒ太は「マジすか!?」と興奮を抑えきれなかった。

  キッチンでトラ蔵が巨大な冷蔵庫を開け、「何か食べたいもの、飲みたいものは?」と優しく尋ねる。

  ブヒ太は遠慮して首を振ったが、トラ蔵の目が一瞬寂しそうに揺れた。

  「そうか」とだけ呟き、どこか物足りなさそうだった。

  トラ蔵はブヒ太を暗い部屋へ案内した。

  「ん? 電気どこだ?」とブヒ太がスイッチを探そうとした瞬間、トラ蔵にドン!と押し倒される。

  倒れた先はフワフワのキングサイズベッド。

  驚くブヒ太の上に、トラ蔵が覆いかぶさってきた。

  「ブ、ブヒ太くん…もう我慢できない…♡」

  トラ蔵の声が甘ったるい幼児言葉に変わり、ブヒ太の胸に顔を埋めてスリスリ。

  ブヒ太は目を丸くして固まった。「え、え、食われる!?」だが、トラ蔵の次の言葉は予想外だった。

  「実はね、ボク、ブヒ太くんの超~ファンなの! 学生相撲の全国大会、めっちゃカッコよかったよ~♡ ずっとカワイイと思ってたんだから!」

  ブヒ太は混乱しながらも「で、俺をどうしたいの?」と問いただす。

  トラ蔵は目を輝かせ、「キミのスポンサーになりたい! 相撲を続けてほしいんだ!」と熱弁。

  だが、その熱意には「月に二回のハグ」「キミの愛用した下着の買取」「毎週の食事支援」なる条件が…。

  「ハグは月一でいいよね?」ブヒ太が交渉すると、トラ蔵は渋々頷いた。

  「う~ん、仕方ないね。じゃあ、それで!」と笑顔で契約成立。

  トラ蔵は早速ブヒ太に抱きつき、「これからもよろしくね♡」と尻を軽く揉む。

  「お、おい! 尻はなしだろ!」と突っ込むブヒ太だが、トラ蔵の近づく顔にドキドキが止まらない。

  その夜、トラ蔵のスポーツカーで下宿先へ送ってもらうブヒ太。

  ズボンの下はノーパンで、慣れない感触にそわそわしながら「またね」と手を振る。

  トラ蔵はハンドルを握りながら、助手席に置いたブヒ太のパンツを時折クンクン嗅ぎつつ、ニヤリと笑って走り去った。

  後日、ブヒ太は再びトラ蔵の豪邸に招かれた。

  テーブルには山盛りの料理が並び、ブヒ太はイスに座ってモリモリ食べる。

  トラ蔵は「もっと食べなよ! キミはもっと大きくなるべきだ!」と目を輝かせる。

  そう、トラ蔵の目的はブヒ太を「フィーダー」として肥育することだった。

  頬に付いた生クリームをトラ蔵がペロリと舐め取ると、ブヒ太は「うおっ、近い近い!」と笑いながら突っ込む。

  トラ蔵がドサクサに紛れて唇に舌を近づけると、ブヒ太は「ンーーッ!」と口を閉じて抗議。

  二人とも笑い合い、なんだかんだで楽しい食卓が続いた。

  ブヒ太はトラ蔵の支援で相撲の練習に励みつつ、毎週の豪華な食事で少しずつ体が大きくなっていく。

  トラ蔵は相撲ファンとしてブヒ太を応援しつつ、時折のハグ(とたまにこっそりパンツを嗅ぐ)で満足げだ。

  「キミはボクの最高の推しだよ♡」とトラ蔵が言うたび、ブヒ太は「変な推し方すんなよ!」と突っ込みながらも、どこか安心感を覚えていた。

  金欠のブタ獣人と熱烈なトラ獣人。二人の奇妙で温かい関係は、これからも続いていくのだろう。