人と獣人が手を取り合って生きるこの大陸において、種族の違いが原因の争いは幾度となくあり、その困難の度に、容姿も価値観も違う両種族は共に手を携えて乗り越えてきた。
そんな歴史を思い出しながら大陸西部の領地を治める一族の若き後継者で館の人間から若と呼ばれる自分はベッドの上で頭を抱えていた。
「はぁ……どうしようかな」
憂鬱な、まるでこの世の終わりかと思う様な表情を浮かべ、部屋の鏡にもその絶望しきった顔が浮かんでいるのが分かる。これから大陸へ侵攻してきた悪しき他国家へ戦争にでもしにいくかのような悲壮感を漂わせているのはその手に持つ白い布切れが原因だった。
「バレたら何を言われるか……いや、絶対に殺される」
手に握ってしわくちゃになっているそれを拡げるとそこにあったのは白い女性ものの下着。勿論、自分が穿くわけではないしそんな趣味もない。歴代の当主に居たとは伝わっているがそんな趣味は何代目かの次期当主である自分には当然の如く、勿論のこと持ってなどいない。
しかし隠しようにもきっと相手にはバレてしまっているだろう。手に触れたそれを握って走ってこの部屋まで帰ってきたのだから。そして心なしか館に響く位の足音を耳が拾ってしまっている。
コンコン。と部屋の扉がノックされる。普段であれば誰何をして開けるのだが扉の向こうの気配、それはまるで尋常ならざるものでもあるのか、扉から離れたベッドに居ても寒気を覚え、実際に自分の腕を見ると鳥の肌のようにブワリとなっているのがわかる。
「若様、いらっしゃいますか? いらっしゃいますよね? 居留守を使っても無駄ですよ?」
「っ!」
押し殺したような怒りが伝わってくる。下着……飾り気のない白いショーツに手汗が染み込むのがわかる。なんでこれを持ってきてしまったのか、後悔が先に立たないのだが、このまま息を殺して居留守を続けるわけにもいかない。何よりも扉の向こうの相手は人にはわからないような些細な音や心音、息遣いすら聞き分けるだけの”耳”を持っているのだから。
しかし何もできなくて後悔ばかり浮かんで、返答に窮していると扉の鍵が勝手に開錠され、扉はゆっくりと部屋の方へと開き、その向こうに佇む怒気を宿したメイドの姿を視界に捉えてしまった。
「わーかーさーま?」
「ひっ?! ま、まて違うんだ、これは本当にいや、その何かしようとしていたわけではなくてな、その、偶然つかんだものがこれだっただけで決してその、やましい事とかに使おうとか思っていたわけではないんだ。信じてくれ、リシア!」
ゆっくりと幽鬼のように身体を左右に揺らしながら部屋へと入ってくるメイド。顔を伏せ、白髪とその下に、普段なら煌びやかなルビーを溶かし込んだかのような紅い瞳がある筈なのに今は髪の毛に隠れて見えない。そして揺れるのは身体や髪だけでなく、彼女の頭から生えて垂れる大きなうさ耳も身体の揺れに合わせて左右へ振られる。
リシアは獣人だ。兎人族の獣人であり、整った容姿と可憐な姿が特徴であり、兎と同じように大きな耳は遠くの音や微かな音を判別できる。人と獣人が争っていた頃ではその容姿が仇となり娼館や奴隷として使役され、戦いでは斥候のような役割を担い、中でも白髪にルビーの瞳を持つ兎人族はその髪を相手の返り血で真っ赤に染め、その容姿や気配察知、気配を消しての後方から忍び寄り、相手の首を刈ったという。
目の前の兎メイドはそんな一族の末裔でもあり、数代前の当主が戦いの果てにその強さに惚れ、召し抱えたのが彼女の出自である。だから次期当主である自分は雇い主であるが、リシアから漂う気配は歴戦の首狩り兎よりも物騒な気配を纏っている。
「か、返す! 返すから!!」
「…………」
部屋の中央に立ち止まる不穏なお怒り兎メイドへ必死に声を掛ける。
実のところリシアとは幼馴染でもある。もちろん、それは次期当主と使用人との一線を引いた関係であるが、他の使用人達よりも仲がいいのは確かだ。もちろん、将来的に妻の一人として迎えることもできるがこの国では獣人と人との相互理解のため、いくつか法の下に決まり事もある。例えば自分のような貴族当主は正妻に獣人を迎え入れることはできない。
これは獣人の国でも同じことでこの場合は獣人の場所が人になる。というのも必ず混血になってしまい人族と獣人族では寿命の差が出てしまうのだ。そしてなにより獣人はすべからく子沢山であるから獣人の国とは別に人族の国では後継者は人である必要がある。
もっとも、分家などもあるから正妻に迎えて後継者は分家からという考え方もできるので必ずしも迎え入れることが出来ないというわけではない。
話がそれたがそんなわけで幼い頃は将来を誓いあうくらい仲が良かったが今のリシアは自分にとって非常に扱いにくいとも言えた。なぜならなまじ幼い頃からの付き合いであるから次期当主にして貴族である自分に対しての態度はまるで使用人とは思えないものなのだ。
「……ねぇ、若様? 乙女の下着を盗んでおきながら、待てとか話せば分かるとか……死ぬ?」
「っ!!」
「それともミジンコみたいに摺りつぶされたい? どこを潰すなんか簡単だよね? お世継ぎなんて分家から呼べばいいんだし、毎夜毎夜シコシコするだけで無駄子種吐き散らしてるそれ、いらないよね? ねぇ、何か言ったら? このごみくず若様」
……これである。笑顔を浮かべて吐かれるのは毒舌の極み。もっとも原因が自分にあるのはよく理解しているが顔を合わせるたびに吐かれる毒は普段なら粗相を許さない我が家のメイド長や執事長すら「若様に一任します」とのこと。実質の職務放棄もはなはだしいがリシアの毒舌はあくまで自分だけにしか吐かない。他の相手には例えば自分の良心である当主夫妻にも普通に接するのに、自分には「同じ空間で息しないでくださいますか?」と笑顔で毒づいてくるのだ。
先程も用事があったから部屋に訪れたというのに毒を吐かれ、さすがに苛立ってから手短なものを掴んで部屋に戻ってきたはいいが寄りにもよって下着だった事に震えている。
リシアは先述の通り、首狩りで鳴らした一族の血を引いている。隠密にも長けて気付けば背後にいることもあり、そして幼い頃からのかくれんぼでは必ず見つかり、こちらは見つけられない。そんな兎人族らしい彼女が笑顔で手を出してさっさと返せと言ってくる。
「ご、ごめん……その汗がちょっと……」
「あら、ヘタレな若様ですね。その粗末なぶら下げているものを必死にシコシコして汚すかと思っておりましたが。根本からヘタレですか。ヘタレは根性だけかと思っていましたが全部でしたか」
言い返したら負けだと分かっているのに喉元まで罵倒する言葉が出てきそうになる。だが、言ったら負けなのだ。それに自分のように獣人を愛し、領地に迎え入れた数代前の祖先のように、自分が目指す当主像としても使用人でもあり、領地の領民でもあるリシアに乱暴な言葉は口にできない。
押し黙っているとリシアは鼻を鳴らして部屋を出ていった。後に残された彼女の残り香がやけに鮮明に感じられた。
[newpage]
深夜、多くの人間が寝静まるが、館では何かしら起きているものもいる。例えば夜番や見張り、深夜の何かしらに備えて起きているものや獣人であればその身に神より刻まれた獣の習性が訴えかけ、夜に行動する者もまた多い。
自分はどうかと言うとただ目が覚めてしまったからというのが理由だ。部屋の戸を開け、廊下に出るとすぐにそう言った夜の何かに対応する当番の使用人が傍に現れる。
「若様。何かご入用ですか?」
「いや、なにもない。ちょっと夜風にあたってくるよ」
メイドにそう告げてから歩き出す。昼の事を思い出してなかなか寝付けないでいた。館に勤めている使用人の半分は獣人である。昼は主に人族や昼型の獣人が。夜は夜行性の獣人の使用人が活動しているがなぜか自分のお付きのメイドは殆ど人族である。その理由は言わずもがな、あの幼馴染の兎メイドの差金であることは把握しているのだが理由までは知らないし聞けていない。いや、聞くことができるのならとうにしているが、その代わり可愛い兎メイドに面罵されるという嬉しくもないご褒美も付随する。
親であり当主である父親にも相談したがこればかりはリシアの願いだからと首は横へ振られた。
結局、どこへ行く充てもなく、整えられた庭園で夜風にあたること暫し、足を止めたのは館の別館となる使用人のための小さな館の一角。灯りがついていたので足音を消して近づく。そこはリシアの部屋だ。
昼頃に訪れたのでよく覚えているし、手に握っていた布の感触は今も指先に残っている。
息を殺しながら窓からのぞくとリシアはこちらに背を向けて何かをしていた。もっとよく見たいが音を立ててしまう恐れを感じ不自由ながらまるで壁に張り付く小さなトカゲのように、覗き見ているとリシアは昼間、自分が握りしめ、そして没収されたあの下着を手にしていた。ショーツの柄も皴も握っていたからその質感すらも覚えている。そして手汗が染みてしまった事。そんなショーツをリシアはというと徐に抱きしめ、そして自らの顔へと近づける。
「…………」
さらにリシアは夜着をはだけ、開いている片手を自らの下腹部へと添わせていた。それは紛れもなく自慰の様相であって、幼い頃から知っている彼女のそれを見て、生唾を思わず飲み込むとその音が聞こえたのかリシアの動きが止まり、まるで油をさし忘れた機械のように振り向き始めて慌てて隠れるとバンと音を立てて窓が開いた。周囲を見渡し誰もいない事を確認したリシアは首を傾げながら窓を閉じる。
「今、若様が居たような気がしたんだけど……気のせいだよね」
「…………」
吐息すら漏らさぬように口を自らの手で覆って息を殺す。人族と獣人族では気配察知もやはり獣人族の方が鋭い。それは戦闘特化の種族ではなくむしろ自らを隠密に特化させたリシアのような兎人族であっても例外なくだ。
しかし夜目が利く種族ではなかったのが幸いしてリシアはそのまま窓の鍵を掛けて部屋の明かりを暗くしてしまう。覗きはもうできそうにないため、リシアの部屋の前を後にしつつ、脳裏ではあの自慰をする後ろ姿が鮮明に記憶されてしまいその夜はなかなか寝付けなかったが脳裏では一つ、リシアに対しての反撃の糸口を見つけたような気がした。
翌朝は昨夜のことがあったためかメイドが呼びに来るよりも早く目覚める。リシアは今日は非番であるので悟られずに準備を行っていく。出入りの御用商人を通じて即日で納品できるものをいくつか見繕ってもらい、部屋の隅にシーツをかけて隠し、その日を待つことにした。
もっとも、それは早くやってきた。
その日の夕方。非番で1日休息をとったリシアが自分付きのメイドとして夜番に入るというのだ。
千載一遇のチャンスとばかりに部屋でリシアがやってくるのを待っていると部屋の扉がノックされる。
「誰か?」
「リシアでございます……ヘタレ若様」
「っ! ああ、入ってくれ」
そう返しながら上質な絹のハンカチに睡眠の薬剤を塗布してドアの方へと寄り、リシアが入ってくるのを待つ。もしかすると察しているかもしれないがその時はその時。しかしヘタレと言うだけあって何の警戒もなくリシアが部屋へと入ってきたのには少々拍子抜けしてしまうが、背後から素早く歩み寄って口と鼻をハンカチで塞ぐ。
「な、なにを……わかさ……ま」
「はぁ、ふぅ……よし、効果時間はこれから30分だな急いで準備をしないと」
とっさの衝動と計画的な犯行。次期当主である自分がするとは思わなかったがこれはこれで何か言い知れぬ達成感があるものだと、緊張で忘れかけていた呼吸を思い出し、息を吐きつつ、リシアを改めて眺める。
当家指定の使用人の服装で一部が獣人仕様となっている。具体的にはスカートの腰のあたりからスリットが入っており、そこから尻尾を出すのだ。兎人族はそこまで大きな尻尾ではないがふわふわの綿毛のような尻尾が見えている。
触れると毎日丁寧にケアしていることがわかるほど手触りが良くずっと触っていたいと思ってしまうほどだが今日はリシアに触れるのではなくお仕置きという名の復讐をすることにしている。それに上手く事が進めば尻尾は好きなだけ触れるだろう。
因みに獣人族では好いた相手や結婚してから伴侶にしか尻尾や耳を触れさせないという掟のようなものがある。リシアは幼い頃は触れさせてくれたが最近では触れようとすると「変態の若様。もし触れればメスになるお覚悟があると思ってよろしいですか?」と宣って、何かを握り潰すジェスチャーをしてくるから触れれずにいたのだ。
使用人の服を脱がし、肌着と下着に剥いていく。この時点で起きられたら何をされるかたまったものではないから手早く下拵えを行っていく。要は弱みを握って逆らえないようにするという根本的なやり方だ。下手に人として扱おうとするから図に乗られるわけで、一度徹底的にわからせれば普段の言動はもう少しマシになる筈だという目論みもある。
その手段として選んだのが羞恥だ。そのための服装も王都に本店がある御用商人に用意させたものがあった。それを見た時自分が着るわけでもないのに恥ずかしさを越える何かを覚えてしまったがこれを着せてやるのだと思えば少しばかり鬱憤も晴れる。
王都では大人向けの飲食店にバニーガールなる装いで接客するお店があるという。兎人族の様に兎耳と尻尾を付け、きわどい恰好でお酒を注いだり、話し相手になったりと聞く。そんなバニーガールの人気に目をつけて、一部の娼館がきわどい恰好をさらにきわどく……いやもはやそれは裸と何ら変わりがないのでは?という装いに昇華させた。それが今手にしている……服とは呼べない何かだ。
バニーガールの衣装はバニースーツと呼ぶらしいのだがこれは本来スーツで隠している場所と隠していない場所が反転している。
「商人が言うにはあまりの恥ずかしさに娼館では粗相を働いた娼婦へ罰として着せるとのことだったが……これは恥ずかしいなんてものじゃないな」
目の前で衣装を着用させたリシアの格好はもしこの状態で目覚めれば憤死するのではないかと思うほどに過激に思えてしまう。
その装いはバニースーツという言葉にあやかって逆バニーと呼ぶらしい。なるほど、言い得ていると納得もしてしまう。隠すべき場所は隠されず、手足等は黒くぴっちりとしたどんな素材で出来ているかわからないもので覆われている。表面がつるりとしているそれら長い手袋とブーツと一体化した履き物、そしてバニーガールなる紛い物の耳と尻尾ではない本物の兎耳と尻尾を持つリシアが目の前にいた。
もし、御用商人が見れば「逆バニーを兎人族に着せて本物のバニーにするなんて……さすが若様」と感嘆させるやもしれない。だがこのままでは目を覚ましたリシアに何をされるか分かったものではないからさらに処置をすることにする。
「これは、入るのか?」
手にしたそれを訝しみながら添付された資料を読んで、粘度の高い油をそれへ塗布していく。それとは見た目は黒い棒だ。しかし、末端から伸びるホースの先には風船のようなものがあり、握ると黒い棒は歪に膨らみだす。
「で、これをお尻にか……」
裂けないように解しながら挿れる様にと説明書にあるからその通りにしてリシアの菫色の窄まりへと宛がい慣らすようにして挿入する。流石にいきなり全部は入らず、抜き差しして棒の表面に塗布した油を腸内へと行き渡らせるかのようにして押し込むと先程までとは打って変わって油のおかげもあるのかニュルリと抵抗なく全てが入ってしまう。
流石の圧迫感にリシアが呻き眉を寄せるも、まだ起きる気配はない。それどころかお尻を嬲られて前の秘裂からはじんわりと滲み出すように愛液の雫が滴っていた。
指先で掬い、鼻に近づけるとどこか花のような、それでいて酸っぱいようなそんなにおいがした。流石にそれを味わってみる勇気は無かったが。次期当主として、貴族として見知らぬものに口をつけないと言うのは幼少期より徹底して教育される。だから興味は湧いたがまたの機会に取っておいて、挿入した黒い棒に付属するホースのついた風船をゆっくりと握り込む。一握り、二握り……3回4回と増えるごとに肛門を押し上げる様にして内部の棒も膨らんでいることが見て取れる。流石の圧迫感にリシアの目覚めも近いようで握れるところまで握ってから離れて様子を見ることにした。
「ん、うぅん……こ、ここは……私いったい……それになんだか身体が涼し……っ?!」
数分経って薬の効果も切れたのか瞼をゆっくりと開け、気怠げに周囲を見渡し、そして自らの格好に気付いてリシアは両手で自分の身体を掻き抱き――傍でニヤニヤと笑みを浮かべて見つめているこちらを見つけると眦を吊り上げ、立ち上がり、こちらへ踏み出そうとして腰砕けになった。
「な、なにが……ひぐっ?! お、お尻に何かがっ! わ、若様ぁ?!」
「そうだねー、なんだろうねー?」
白々しくすっとボケるが勿論それが何かも知っているし、しかし気が動転しているのかお尻の中に入っているものが気になるのか普段のような態度とは違ってとても新鮮に思えた。
いま、リシアのお尻は自分の腕程とは言わないまでもちょっとした太さの棒を無理やり咥え込まされている状態だ。それでいて必要以上に取り乱さず、現状を把握しようとする魂胆に我ながら感心してしまう。
「こ、これは若様ですね……へ、ヘタレだった若様がこのような実力行使に出るとは……しかしこんな事をしてなんになるのですか? 私の服を返してくださいませんか? この変態ど鬼畜放蕩子息変態若様」
捲し立てるように罵詈雑言を吐きたいのに、力むとお尻のモノが気になって今も内股でまるでおもらしを我慢しているような格好でこちらを前かがみになりながら睨む逆バニーの格好をした兎人族のリシアに幾ばかの留飲も下がるというものだ。しかし、変態が重複している事にすら気付けないほどリシアは焦っていた。脂汗を浮かべているといっても過言ではない。
「今までの非礼を詫びるなら……それ、取ってあげてもいいけど? 謝罪一つにつき、服も一つ返してあげよう」
「なっ!」
リシアは驚愕の表情を浮かべてこちらを見つめてくる。普段ならそそくさとリシアの言うとおりにするのだが今日はなぜか立場が逆転している。それにまだ口は悪いが身体はお尻に太いものを挿れられて無理やり拡張され、にっちもさっちもいかないという状況がリシアに強硬手段を取らせることを防いでもいた。
だからだろうか、なぜこんなにも気持ちがいいのか。
おそらくきっとそういう感情は蓋をされて心の奥底にあったのだろう。普段は罵詈雑言をリシアに言われても「まあリシアだからしかたないか」と思っていたが今のリシアは普段と打って変わってしおらしく、どこか可憐さも感じられる。
「わ、若様ぁ? い、いいかげんにしないとぉ……ひぁっ?!」
「いい加減にしないとなんだい? なぁ、リシア」
椅子から立ち上がり、内股で両胸を手で隠し「こんな辱めを」とか「ぜったいころす」とか「ごーとぅーへる……」とか異国の言葉まで使い始めたリシアは殺意を滾らせているが力むと否応なくお尻のモノの存在感に腰砕けになり、近づいても何もできない。きっと圧迫感に走ることすら出来ないのだろう。ゆっくりと後退りしかできないリシアへ容易に近づき、素早くリシアのお尻の棒から繋がるホースとその先端の風船を手にし、ゆっくりと握ってやった。
握れば当然、空気が入る。さらに太さと膨らみを増したことに気付いたリシアはまるで屋敷の庭に住んでいる魚のように口をパクパクとさせ、何かを目で訴えかけるが当然無視をした。
さらにその風船さえ奪えればと思っているリシアの前でホースを抜いてやる。
「んあああっ?! な、なんれっ、なんれ抜けないのぉっ?!」
「そりゃ、これが無いと空気も入れられないし、抜くこともできない。おっと、渡すわけないだろう?」
手を伸ばして奪おうとしてくるが普段とは違う緩慢な動作で容易にリシアから離れ、ベッドの方へとホースと風船を放った。これでそれなりの距離を歩かねば拾えないがさらに膨らみを増した肛門を内側から責め嬲る器具によってリシアはうずくまる。
こちらを見上げるルビーの瞳にははっきりと恐怖が見て取れた。だけどまだ普段の行いのツケを払わせるべきと考えてもう少し脅してやる。
「リシア、その栓がある限り君はトイレもいけないんだ。わかるかい? たとえ力んでもそれは排泄できないほどに大きくなっている」
「わ、若様にしては、大胆で度し難い変態な事を考えましたね。この事を若様のご両親にお伝えしてもいいんですよ?」
リシアにとって伝家の宝刀だったのかもしれないがそれを聞いて肩をすくめ、部屋の隅に置いたシーツを外し、1本の棒と重い台座がついたモノを転がすようにしてリシアの近くへと持ってきた。不安がるリシアの前でそれを組み立てると丁度何かを飾る台座のようにも見える。
そんなリシアの前で最後のオプションとして男性器を模した張り型を棒の先端に付けた。
「わ、若様?」
「遠い国ではこれを女性の膣に挿入するらしい。1本の棒の刑務所って名前の器具だそうだ……なあリシア、この部屋にもそんな家具が欲しいと思ってるんだけどさ」
何が言いたいのかを遠回しに、しかしはっきりと告げてやる。
リシアの瞳にはっきりと恐怖が浮かんだのを見て耳元で囁いてもやった。
「10分ごとに服を返してやろう。それとお尻の太さも萎めてやろう。棒に跨れ」
「っ、若様……あとで覚えておいてくださいね? 貴方に同じことをして差し上げますから……んくっ、あああっ!!」
こちらを睨み据えながら強がりを口にする。もっとも逆バニーを着るなんてないし、そもそも入らない。そうならないようにたっぷりと躾けてやろうとほくそ笑み、台座から延びる張り型付きの棒の高さを下げ、リシアは台座の上に乗って棒を跨いだ。
ゆっくりと棒を上げ、愛液に濡れ光る秘裂を割り、その奥に息づく秘所へと挿入していく。リシアは身体を捩らせて快楽に、突き上げられ、自らの内部へと侵入してくる異物を締め付けて吐息を零した。愛液でたっぷりと濡れそぼった膣を突き進みある程度挿入したらリシアから離れ、台座の傍に椅子を引き摺ってきて座りつつ、台座の下部を操作して手のひらほどの金属の箱を手にしてリシアを鑑賞する。
汗で濡れ、秘裂は愛液で濡れそぼり、張り型を根元まで咥え込んだその様は淫靡で美しいオブジェとなっていた。近くに砂時計を置いて時間を計りつつ、思い出したかのようにルールを追加する。
「それと、普段の言葉の謝罪や反省とかがあれば早く開放してあげよう」
「ぐぅっ……変態のド鬼畜外道下半身脳みそ若様に詫びる事なんて……っ?! くあああっ?! や、や、やめっ! まって、棒を上げないでっ!!」
リシアの罵倒をはっきりと聞いてから、手元の箱についたボタンを操作するとリシアの半開きの口からは喘ぐ吐息から叫びに変わる。
彼女の跨っている棒はゆっくりと上下するし、内部の油圧でゆっくりと棒自体が上昇する。串刺しとまではいかないがそれくらいになるまで上げることも可能でつま先立ちにして全体重を膣と子宮で支えさせることもできる。なによりもお尻に挿入された栓が膨らんでゴリゴリと肉壁越しに感覚を伝え合う状況で自らの言動で如何様にも責められる事を理解するとリシアはその表情にはっきりと絶望の色を浮かべる。
意志の強い瞳は今、こちらの操作する手元のボタンへ不安げに向けられ、足を組み直すだけでびくりと身体を震わせた。
「おいおい、リシアは今調度品なんだから、しっかりとポーズを取ってくれないと」
「く、む、無理だからぁ……や、まって、やります、やりますからっ! やだ、ゆるしておねがい、棒を、棒を上げないでっ! ひああああっ?! ひゃ、ひゃめぇぇぇえええぇっ」
足の裏全体で支えていたのに今は僅かにつま先立ちを余儀なくされる。うさ耳と白い髪を振り乱して許しを乞うリシアなんて昨日までなら決してみられなかった光景だろう。つま先立ちをしなければ膣と子宮で体重を支えねばならなくなる。
そうそうに潰れて貰っても困るので高さを調整しながら、様子を見てポーズが崩れていればボタンを操作し、その内操作する振りをするだけでリシアは体勢を保ち続けるようになった。
「わ、若様……お許しください、リシアが悪かったです。反省しております、心から反省して、今後は若様に尽くすとお誓いしますからぁ」
「ふーん。で、この後同じ目に合わせるんだよね?」
手にしたリシアの使用人服を綺麗に畳んでリシアの傍に置きながら、椅子へと座り足を組んで睥睨する。
長時間お尻を嬲られ、膣も子宮も突かれ続けて流石のリシアも折れかけていた。今もルビーの瞳を潤ませながら普段罵倒しか口にしない唇から”高尚”なお願いを口にし、許しを乞う。
だがここで許しては起きた時に台座に居るのは自分かもしれない。すこし緩めるとすぐに「ぜったいこのあと同じ目に合わせる」とか「男として一生不能にしてやる」等と口走るものだからついつい代償を味合わせたくてさっきもお尻の栓にホースを繋ぐだけでなく、さらにぬるま湯を用意して注いでやったらついに泣きが入り始めた。お尻に膨らむ栓を挿れ、さらにお腹をたっぷりのぬるま湯で膨らまされたその姿はどこか倒錯的な妊娠したような見た目にも見える。
兎人族は子沢山だから一杯”生む”ことになるだろう。さらに風船を握ってやるとリシアはさらに下手に媚び始める。
「わ、若様? い、いえ、ご主人様? リシアはご主人様のためなら何でも致します。靴を舐めろと言われたら舐めますし、その、夜伽は得意ではないのですが、お口でご主人様のモノを喜ばせることもできます!」
「ほう、普段悪口罵詈雑言しか言わないその口でな? じゃあしてみろ」
なんだかだんだんと楽しくなってきて、それほどいうのならばと勃起した逸物を取り出しつつ、リシアを台座から開放する。しかしお尻は依然として栓が塞ぎ、今は浣腸ボテとも言うべきか、お腹をぬるま湯で膨らまされている。風船を握りながら椅子に座ると這いつくばるようにしてリシアはこちらへと這ってきた。
「し、失礼します、若様……」
「もし、歯を立ててみろ。このバケツに残ったお湯……いやもう水だが、全部リシアのケツに注いでやるからな?」
そう告げてゆっくり風船を揉むように握るとチューブを通ってお湯が駆け上がるのがリシアの視界に映り込む。
「ひゃ、ひゃいっ! あ、だめぇ、いや、はいって……ひゃ……し、しつれいしま……くひぃっ!!」
注がれる水が身体の内側にぶちまけられたのを感じたのだろう胸の前で両手を握りながらリシアは目を瞑って耐えつつ、目の前にそそり立つモノへとまずは舌を這わせ始める。きっと昨日までなら見られないだろうその絶景に上から睥睨しながらチロチロと舐めしゃぶられる自分のモノと感覚に心地良さを覚えていく。
「舐めるだけなのか? それじゃあ許されないよなぁ?」
「こ、これは前座、前座です! お、お口で失礼いたします」
口を大きく、顎が外れそうなほどに開かれて、男性としては平均的かそれなりに太く長いモノがリシアの口に飲まれていく。歯があたらぬように顎を必死に開いてしゃぶる様は征服欲を擽る。何より容姿に優れた兎人族であるから気持ちよくない筈がない。特にそういう娼館でも兎人族の娼婦は人気だという。その理由も分かるものだ。なによりリシアをそう言う目で見てこなかっただけに今は実に満足を覚える。
「リシア、こんなのどこで覚えたんだ?」
「んぐ? んんっ、はぁはぁ……えっとメイド長から夜伽教育として……んぐぅっ?!」
メイド長かと言われてなるほどと思ってもしまう。リシアも将来の妻候補であるからそういう教育がされていることはなんとなく知っていた。あくまで風の噂程度だが。それはそれとして奉仕の途中で止められるのは不満なのでまだ喋ろうとするリシアの口とその先の喉へと逸物を埋める様に挿入する。
その喋ろうとする喉の動きが心地良く逸物の先端を扱き上げるのでただ舐められるよりも心地良さは上だった。
「リシア、まだ奉仕は途中だろう?」
「んんむぅ、んもぉんむあぁっ」
「何言ってるかわからんが気持ちいいぞ? ……くっ!」
腰のあたりから気持ち良さが駆け上る様に迸り、リシアの口の中に放つ。昨日の今日で溜まっていたのもあってか、濃いのが出たような気がした。リシアは白目を剥きながらその可憐な鼻からも白濁した汁を滴らせている。
ハンカチで顔を口元を拭ってやってから気を飛ばしているリシアをベッドまで運ぶ。しばらく栓から延びるホースと先端を弄んでいるとリシアが目を覚ました。
「私……そうか若様と……っ?!」
「おはよう。イラマ中に寝るとはいい度胸をしているな? とは思ったがそろそろ虐めてやるのはおしまいにしようと思う」
「若様? あの……?」
ベッドの上に寝かせられ、身体を開いた状態で覆い被さる直前のような格好をしたこちらを見てリシアは不安半分期待半分という表情を浮かべてこちらを見上げていた。まるでこうなることを夢見ていたかのような表情にドキリとさせられつつ、硬さを取り戻した逸物を濡れそぼったリシアの秘裂に添える。
「リシア、まだヘタレだと思うか?」
「っ! 若様、意地悪はやめてください……今の若様は別に、ヘタレじゃないですよ」
恥ずかしい逆バニーの格好をさせられて、お尻に栓を嵌められて、散々ヘタレと呼んだ相手にこうも逆襲されて。リシアも思うところはある。しかし、普段の罵詈雑言にのらりくらりとへらへらとしている若様とは違う、男らしさが見れてリシアは少しだけ、思いを寄せ始めた頃を思い出してしまう。
好きの裏返しが転じてこんな素直じゃない自分になったのだから。
思っていたのと違う初めてになったが、リシアがこの世で一番かわいいと思ったのは久しぶりの感覚になるのだった。
[newpage]
「ヘタレ若様。起きてください」
「リシア、もう少し寝かせてくれないか?」
あの夜が終わっていろいろ後処理が大変で、しかし肌を重ね合ったあの日から数週間。
リシアはいつも通りに見えた。顔を合わせればヘタレといい、最近は変態とかド外道とか新しい二つ名のも頂戴している。ぶっちゃければあの後復讐されるんじゃないかと恐怖していたがそんなことはなく、ただスキンシップは以前より増えた気がしている。
周囲には普段通りの二人と見られているがそれは世を忍ぶ仮の姿。
本当のリシアが見れるのは決まって夜で普段の、昼のリシアを知っていればいる程、その変わりようには驚愕をもたれるだろう。
「……リシア、今日もなのか?」
入浴を済ませ、夜着に袖を通し、自分の部屋に戻ってくるとベッドの傍にリシアが待っていた。その格好はあの日無理やり着せた逆バニーを自ら纏って、さらにそれは屋敷の傍の使用人の館からこの部屋までバレないように来ているという事実。
以前までのリシアなら羞恥でキレ散らかしているだろうが今はそのルビーの瞳を潤ませてこちらを見上げている。
さらに首には所有物を表す首輪を身に着けていて、その格好がよりアブノーマルに、どこか過激さを増していた。首輪の鍵は机の上。リシアはその格好になって首輪を嵌め、鍵を机の上に放ってずっと待機していたのだ。
「若様、いえ、ご主人様。本日もリシアにお仕置きを賜りたくっ」
「はぁ、今日のヘタレとかド変態とかのか?」
「はいっ、罰を、悪い悪い兎人のリシアにお許しを頂くご許可をっ」
見ればリシアの股の間からは見慣れたホースが下がり、傍には水の張られたバケツが用意されていた。きっと嬉々としてお仕置きをされる準備をしていたのだろう。ホースを引っ張るとリシアの唇から悩ましい吐息が零れた。
「仕方ないな。言ってもわからないお前には身体に教えるほうが反省するんだろう? どっちが変態なんだろうな? ん?」
「ひゃっ、耳元に囁くのはっ、へ、ヘタレな若様から素敵な若様にするにはこれしかっ、ひあぁっ!注ぐのはやいっやだ、パンパンになっちゃっ! ひああああああっ!!」
駄うさぎにはたっぷりと教育をしなければならないらしい。早いペースで水を注いでやりながら首輪を引いて抱き寄せる。
まだまだ口の悪いこの兎には躾けと言う名の教育が必要で、今日もそのためのしつけが始まるのだった――。