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「シアン!」
銃が向けられていることを感じたリコスは、
咄嗟にシアンの手を取ろうと一歩踏み込んだ。
しかし、無情に響いた弾丸が静かな夜を引き裂き、
次の瞬間には一気に周囲が騒がしくなる。
傷を負ったシアンを背中に背負ってリコスは走ってこの場から逃げた。
「楽しかった……いや…幸せだった……」
逃げてる最中に聞こえたその声は、息も絶え絶えで
シアンの口から、か細く零れ落ちていた。
背中で命の鼓動がだんだん小さくなるのを感じながら、
リコスは必死に逃げ続けた。
「なに言ってるんだよ!まだ…これからだろ…!」
諦めとも取れるその言葉に、リコスは必死に否定を重ねた。
どこまで走ったのだろうか。喧騒はもう遠くに聞こえ、
静かな風だけが二匹を包んでいる。
「…シアン?」リコスは、
もうピクリとも動かないシアンをそっと背中から下ろし、
壁に寄りかからせた。
シアンの身体はまだほんのり温かく、
さっきまで生きていたのだと、
リコスの心に深く刺さる。
顔を覗き込むと、
スウスウと寝息が聞こえてきそうなほど優しい顔で眠っていた。
リコスは涙を流しながらぎゅっと抱きしめる。
シアンの身体からは、薬草の淡い甘い香りがまだ微かに残り、静かな風に溶けていった。
リコスはそっと、
シアンの柔らかいシルバー色の毛を何本か抜いて、
偶然持ってた小瓶に入れる。毛と葉の香りが混ざり合い、
静かに彼の存在を残す。
それはまるで、シアンがこの世界にいた証と、
命の輝きを閉じ込めたかのようだった。
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