初夏の朝。
田んぼに挟まれた線路を、二車両の黄色い電車が走る。車体は錆や汚れが目立つも、目的を果たすため懸命に田舎道を駆ける。
やがて見えてきたのは、乗り場が一つしかなく、木造の小屋が一軒建っている無人駅。駅員はおろか券の販売機もなく、運賃箱と時刻表があるのみ。電車はそこで止まり、出入りする者がいないことを確認すると、再び走り出した。
電車の座席は空いていた。内装も、外装と同じく古めかしい。少ない乗客の大半は高齢者で、若者はほとんどいない。
過疎化した田舎へ進めば進むほど、乗客も減ってゆくローカル線。その電車の中には、一際目立つ若者がいた。
目立つのは若いからだけではない。効果で清潔感のあるスーツを着こなし、立派な体躯であるからこそ、目立っていた。
「はぁぁぁぁぁ・・・・・・」
その男は、獅子の獣人だった。体躯同様に立派な鬣を持つ、三十路を迎えたばかりの、働き盛りの男だった。
大恩寺悟(だいおんじさとる)という名の獅子は、深いため息を吐き、窓の外を見遣る。
「なんでこんなど田舎に・・・・・・」
悲哀や後悔が籠った表情で、再びため息を吐いた悟は、窓の外の景色を眺めながら、ぼそりとつぶやいた。
誰もが名を知る大手企業に悟が入社したのは、大学を出てすぐだった。
営業部に配属した悟は自身の優秀さを発揮し、入社一年目から好成績を収め、エリート街道を走り、ライバルたちを蹴落として昇進していった。
会社設立以来の速さで出世し、これからも会社に貢献するはずだった。だが、その夢は断たれた。未成年の若者と淫らな関係を結んだという罪で、悟は解雇させられたのだった。
女性と関係を持ったのは事実だった。だが、双方に了承の上で、相手が未成年でないことを確認したうえでの行為だった。だが女性は手のひらを返し、自身は未成年で強引に行為を迫られたと言い張り、悟の会社に訴えた。
会社としては、社員から犯罪者を出したくなかった。大きなプロジェクトに取り組んでいる最中で、それには悟も加わっていたからだ。
そして、悟の解雇し、女性に多額の口止め料を払い、会社は事なきを得たのだった。
(今思えば、これがハニートラップってやつか)
女性を差し向けたのは、ライバル企業か、同社の悟を憎む者達か・・・・・・。別に他者を踏みにじってきたわけではないが、飛ぶ鳥落とす勢いの悟を敵視するものは多かった。
「出る杭は打たれるということか。俺を蹴落とす暇があったら努力しろよ。大体、あんな魅力的な女性から誘われたら、断れるはずないだろう」
ぶつぶつと文句を言う悟。脳裏には、悟を責める同僚たちの顔が浮かんでいた。
「同情の言葉誰もくれないのは酷すぎるだろ。皆俺嫌いか?くそったれ」
幸い聞く者はいなかったその愚痴には、強大な恨みが込められていた。
「続いては、終点の・・・・・・」
電車のアナウンスを聞き、立ち上がった悟は荷物を棚から取り出そうとした。その時、同じく席を立って扉の前まで進んでいた老人の杖が、悟の足に当たった。
「おっと、すいません」
悟は一言謝ったが、杖をぶつけた老人は無視して扉の前に立った。
(田舎は優しい人が多いと思ったが、そうでもないか・・・・・・)
悟は老人の背中を見ながら思った。
解雇された悟は、自身にとって初体験であるハローワークへ向かい、職を探した。退職金は無く、貯金も半分ほどが女性への口止め料に回されたので、働かねばならなかった。
過酷な労働環境で働いてきた悟は、どんな辛い職場にも耐え抜く自信があった。だが例の一件のせいで人間不信になってしまい、同僚と良好な人間関係を築けず、どの職場も長続きせず職を転々とする日々が続いた。
そんな時に、ある情報を掴んだ。
過疎化した町が、都会からの移住者を呼んでいる、という話だ。人口減少が進む中、今いる若者を都会へ出さず、かつ都会の若者を呼ぶ運動は、田舎ならどの町でもやっていることだ。
以前は好きだった都会の流れも、今の悟にとっては不快なものでしかない。田舎での生活経験は全くないが、0からスタートするにはもってこいの環境かもしれない。自分の罪を知る者もいないわけだし、行ってみるかと心に決め、悟は都会から離れた。
出発当初は、多少は楽しみではあった。だが、田舎に着いた今は、やや心が沈んでいる。
電車で目的地に着くまで、悟は付近の田舎町を散策してみた。その際に、田舎の不便さを知った。公共交通機関の便は少なく、遊び場はなく、都会までの道は長く、若者は少ない。予想以上の不便さだった。
また、住む人間もまた予想とは違う。都会の人間関係に疲れたので、田舎の純朴さに癒されたいという気持ちがあったが、そうはいかなかった。朗らかな人も多いが、愛想のない人間もいる。
(閉鎖的、ということか。結局は、都会と同じだな。良い人も悪い人もいる)
落胆しつつ、悟は散策を止めて駅に戻ることにした。そこで、市役所の職員と待ちあうことになっている。
「ふう・・・・・・」
今日何度目かのため息を吐き、悟は駅の待合室でスマホを眺めていた。
「あっ!大恩寺悟さんですね!」
すると、元気のいい若い女性の声が聞こえた。
そちらを見ると、スーツを着た若いジャガー獣人の女性が笑顔で近づいてきた。
「どうも。市役所の方ですね」
「はいっ!横島絹(よこしまきぬ)と言います。上司の若井の代理で、お迎えに参りました!」
エネルギッシュで、感じのいい女性だが、悟は笑顔になれなかった。
「車を用意していますので、こちらに」
「ああ」
悟は距離を置いて、絹の後に続いて駐車場へと向かった。その際に、駐車場の看板を見て目を見開いた。
「朝から夜まで停めても300円・・・・・・」
都会でこの条件であれば、どれほどの人が喜ぶだろうか。
「さっ、こちらへ」
絹に促され、悟は渋々助手席に乗った。
「もし食事がまだでしたら、近隣のお店に行きませんか?おいしいお店、知ってますよ」
「いや結構。もう済ませてきたので。それより、早く話を進めたいので、市役所へお願いします」
「はい、わかりました」
絹は少し寂しそうに頷いた。
若い女性と長時間二人きりになりたくない。悟は例の一件以来、若く美人の女性が大の苦手となっていた。
市役所に到着し、イベントが書かれたパンフレット読みながら待つこと数分、都会からの人を何人も町に呼び込んでいる、若井(わかい)というカワウソ獣人の職員がようやく現れた。
流石に敏腕と呼ぶにふさわしい男だった。他の職員よりも、話がうまく有能であることが分かる。長年エリート社員として活躍していた悟には、それが分かった。
「では、この空き家に住んで、仕事は紹介されたとこへ行く、ということで」
悟が選んだ空き家は、最も国道に近く、移動がしやすい場所だった。また、隣の家までの距離も離れており、人付き合いもせずに済む。
悟がそう言うと、急に若井は申し訳なさそうな顔をした。
「はい、そういうことにしたかったんですが・・・・・・」
「何か問題でもあったんですか」
「はい。実際に、行ってみれば分かります」
市役所から車で数分、若井と共に自分の住まいとなる家にたどり着いた悟は、立ち尽くしていた。
「これは・・・・・・どういうことでしょうか」
悟の視線の先には、半壊した空き家が。
「車が突っ込んだんです。高齢ドライバーの事故でして。昨晩のことです。僕も今朝知りました」
「はぁ」
「他の空き家もありますが、どうですか?」
「いやそれはちょっと・・・・・・」
他の空き家は、国道から30分以上も離れた場所だったり、トイレが汲み取り式など、問題があるところしかない。
「あと、もう一つ言わねばならないことが・・・・・・」
若井の、更なる申し訳なさそうな表情を見て、悟は恐怖を覚えた。
半壊した悟の家から少し離れた場所に建つ、食品加工の工場。その工場はシャッターが下りて、黄色いテープが扉に巻き付いていた。
「私が働く予定の会社ですよね」
「ええ。その会社が、ごらんのとおり、昨日、潰れました」
「詳細を聞いても?」
「ええ。全国チェーンの大型スーパーが出来て、客を取られて。それだけならまだよかったのですが、工場長が脱税していまして、捕まってしまって。副社長も高齢で、前々から引退を考えていたみたいで。それで、他の社員も・・・・・・」
悟は、全てを投げ出してしまいたい衝動にかられた。
なんとかそれに耐え、若井に聞いてみる。
「次善の策がありましたら、ぜひお聞かせください」
細く曲がりくねった田舎道。両側には、木の根がむき出しになった土壁や雑木林、さらにはガードレールがない崖などが並ぶ。道路は一応舗装されているが、ひび割れが目立つ。
「ちょっとした秘境ですね」
若井が運転する車の助手席で、悟はぽつりと呟いた。
「まぁ、そうですね」
「あっ!」
悟の視線の先を、狸が駆け抜けた。
「猫じゃないですよね」
「はい、多分狸ですね。猪なんかも、たまに見られますよ。少し離れた地域では、鹿や猿なんかも」
(来るところまで来たな)
悟は、少し後悔し始めていた。
この町では、農業従事者を増やすため、「ファームステイ事業」を行っている。都会から来た人間が農家に滞在し、農業を体験して学ぶ、という内容だ。
農家の市民と同居することは、人間不信の悟にとって避けたいことだった。だが、今の自分には住まいがない。また、車が無いため満足に通勤も出来ない状態である。ならば、空き家の修復が完了するまでの数か月間、農業をしつつ耐えるしかないと判断した。
(しっかし、田舎に来て農家なんて。2年前の俺が今の俺を見たらなんて言うだろうか。こんな僻地まで来て・・・・・・ちくしょう!!)
そんなことを考え、悟はがくりと頭を下げた。
「もうすぐですよ」
急で曲がりくねった坂道を登りながら、若井は言った。
「確か、一人暮らしの女性でしたね」
「ええ」
悟が厄介になる家には、独身女性が一人だけ住んでいる。女性によって人生が滅茶苦茶になってしまった悟は断ろうとした。だが、急なお願いしOKを出した農家はそこだけだった。
さらに、その女性はすでに42歳で、田舎の女性らしくサバサバした性格だと若井から説明された。
「若くてかわいい子だったら、嬉しいでしょうけど、残念ながらそうではありません。まぁでも、若い人ほど、気を使わなくてもいいかもしれませんね」
「そうですね」
やがて若井の車は、坂の上の小さな一軒家に到着した。
古めかしい造りで、壁や屋根は薄茶色に変色している。都会慣れした悟には、その家すらも珍しく見えた。隣には、荷物置き場であろう小屋があり、その奥に畑が広がっている。思ったほど広くはないが、一人で世話をするのは大変だろう。
(これを一人で・・・・・・)
感心しつつ畑を見ていると、奥で収穫をしているらしい人影が見えた。遠方からでも、大柄なことが分かるほどの人物は、車の音に気づいてこちらに歩いてくる。
(この家に住んでいる女性ではなさそうだな。息子さんが帰ってきて、手伝ってるのか?)
若井は家の横にあるスペースに停めてある、軽トラックの隣に車を停めた。
悟はすぐに車から出て、姿勢を正して営業のスタイルに身を変えた。
(こういのは、第一印象が大事だからな)
悟は接近してくる人影に視線を向けた。ドスドスとこちらに近づいてくる人影。
「どうもっ!はじめましてっ!」
その人影が放つ声を聴いて、悟は気づいた。
(この声・・・・・・女性?)
その人物は巨体を揺らして悟の前にやってきた。
「こんにちは!あんたが都会から来た悟さんやね」
体格が大きい悟より一回り大きな人物は、猪獣人の女性だった。
体毛はこげ茶色。悟よりも背丈は頭一つ分大きい。横幅に至っては2倍近く、古い作業着はパンパンに引っ張られている。体全体が丸々と膨らんでおり、腹は弛みが見えることから、筋肉だけでなく脂肪が多いことがよく分かる。
声でも女性と言うことが分かるが、それ以上に彼女の女らしさを強調しているのは、豊満な胸だった。ファスナーをはだけさせた胸元から飛び出ている双乳は大きく膨れており、薄いシャツを限界まで引き延ばしており、布地は今にも裂けそうだ。垂れ気味の乳房は左右に流れており、ファスナーを閉めることは無理であることが分かる。
汗をかき、ハアハアと息を切らしながら、女性は土まみれの右手を差し出した。
「大恩寺悟です。この度は、私の無理を聞き入れてくれて、ありがとうございます」
圧倒されながらも、握手を交わす大恩寺、土まみれの手は温かく、汗でぬれていた。
「いやぁ、助かるよ、美川さん」
若井が女性に頭を下げた。
「いやいや、私の家の一つや二つ、喜んで貸すよ。人手も増えるんやから、私も助かるし。しかもこんな、働き盛りの若者やし。大歓迎やわ。礼儀もいいし」
まくしたてる女性に、悟は尋ねた。
「あなたが、美川 鈴(みかわ すず)さん、ご本人ですね」
「うん」
美川鈴。独身の農家で、野菜を栽培し、道の駅などに販売している。
(問題はなさそうだな)
悟は、鈴を見てそう思った。
正に、田舎の人、という雰囲気の女性だ。性格は合わないだろうが、合わせることはできる。心根は温かそうだし、誘惑を仕掛けそうな危険な女性には見えない。
早く住まいを決めたかった悟は、即決した。
「美川さん、今日からよろしくお願いします」
「うん、よろしく。あと、鈴でいいよ」
そう言って、鈴はにっこりと笑った。
牙がなく、太り気味な顔は、とても和やかだった。
悟の提案で、鈴は初日から悟に仕事を教えた。印象を良くするため、急いで働き、そして成果を上げたかった。
鈴は簡単な知識を悟に教え、行動を指示する。
肥料や収穫物を運び、機械を操作し、完熟した野菜を採り、水を与える。
そうしているうちに、一日はあっという間に過ぎた。
「疲れたな・・・・・・」
時刻は5時を回った。鈴の家に戻り縁側に座り込んだ悟は、疲労困憊の状態だった。
体力には自信があり、就職してからもジムでの体力づくりを怠りはしなかった。だが、農作業はスポーツとは別種のものだと痛感した。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫です。ありがとうございます」
疲労を見せない鈴が家の奥から麦茶と菓子を持ってきてくれた。悟は感謝し、それらを胃袋に収めた。
「なんだか、いつもより美味しいですね・・・・・・」
味わった菓子はどれもそこらで売られている安物だったが、格別に美味しく感じられた。
「仕事のあとやけんね」
鈴は笑った。
仕事の後は飯がうまい、か。
辛い仕事の後、同僚たちと飲み会をして楽しんだことは何度もある。だが、今味わっている感覚は、悟が今まで経験したことのないものだった。
肉体労働による疲労感、夕焼けにそまった畑、汗と土の匂い、汚れや作業着・・・・・・。
(意外と、いいもんだな)
不思議な心地よさと菓子の甘味を楽しみながら、悟は改めて鈴を見た。
仕事中はテキパキしていて、外見に合わない速度で動き回っていた鈴だが、今はゆったりとせんべいをバリバリと齧っている。農家としては有能だと、悟は思った。
「しかし、結構動けるね、兄ちゃん。都会育ちやけど、しっかりしちょんな」
「都会育ちでも、体は鍛えてましたから。でも、鈴さんほどしっかりと出来ませんよ」
「いやぁ、私はもう二十年以上やっちょうけん。でも、兄ちゃんは初日であんだけ動くけん、すごいわ」
方言も、聞き取れないほど難解ではなく、不快感はない。まだ会って数時間しかたっていないが、現時点では接することに不満はなかった。
眺めていると、口からこぼれたせんべいの破片が、胸元に落ちた。
今の鈴は、作業着を脱いで上半身はシャツ一枚だ。仕事中は意識しなかったが、やはり胸はとても大きい。汗で体に張り付いており、垂れ気味の乳房の形がしっかりと見て取れた。長年着用し続けているからだろうか、生地が薄くなっており、その下のシンプルなブラジャーや、乳首の盛り上がりまでも確認できる。
「あらら」
鈴は胸元に散らばっているせんべいの破片を叩き落とした。手を振るうたびに、巨大な乳肉全体がブルブルと揺れた。
その時、悟は自分が勃起していることに気づいた。女性で失敗して以来、性欲も減衰して、自慰の回数もかなり減っていた。しかし、生来の絶倫さと若さのおかげで、精子は睾丸にぎっしりと詰まっている。鈴の巨乳を前にして、失われたはずの性欲がむくむくと膨れ上がっているようだ。
(な、何を考えているんだよ、俺は。大体、あんな太ったおばちゃんに。いくら巨乳だからって、ありえないだろ。美形でスタイルのいい若い娘でもないってのに)
「汗臭いし、先に風呂入ってすっきりしよっか。んで、その後にご飯にしよう。腕を振るって美味いもん食わせちゃあ」
「期待してますよ」
「それじゃ、湯船はこっちやけん」
鈴は悟の前にかがんで、空のコップと菓子箱を持つ。寄せられた乳肉が目に入った。
「あ、運びますよ」
「いいよ、客人なんやから。どっこいしょ」
そう言って鈴は、その場で立ち上がり振り返った。まだ座ったままの悟の目の前に、鈴の巨大な尻肉が迫った。視界を覆い尽くす肉の桃は大きく、頑丈な作業着を引き伸ばし、悟の鼻先に迫った。
「じゃ、ついてきて」
歩きながら、鈴は言う。
「は、はい・・・・・・」
悟は、呆然としながら後を追った。
「じゃあ、もう湯はいれちょんけん、先に入りよ」
「いえ、家主の鈴さんこそどうぞ。女性なんですし」
「いやぁ、もう女性なんか捨てちょんよ、こんなんやし。現にずっと独り身やし」
そう言って、大きな声で笑いながら鈴は腹の肉を掴んでゆすった。しかし揺れるのは腹だけでない。胸や尻も連動して揺れ動いた。
「それに、私は食事の準備もあるけん、ほんとにいいよ。遠慮せんで、もう自分の家っち思いよ」
「それじゃあ、先に入らせていただきます」
悟は礼を言って、脱衣所に入った。
やはりというべきか、古めかしい。くすんだタイルや狭い湯船は田舎らしい。シャンプーやボディーソープも、スーパーで売られている安物ばかりだ。
「持ってきておいて良かった」
悟は持参した洗面用具一式を浴室の隅に置いた。無論、タオルも棚に収まっているのではなく、自前の者を使う。そして、脱衣所に戻って服を脱ぎ、最後の下着を脱ごうとする。その、片足を上げた瞬間だった。
「ごめん、バスタオルは・・・・・・」
「いっ!?」
扉が急に開き、鈴が声をかけてきた。
幸い、扉側には背を向けていたものの、片足を上げたままだった悟はバランスを崩し、後ろ側に倒れ込んだ。
「おおっと!」
悟の屈強な肉体が、さらに大きく豊満な鈴の肉体に倒れ込んだ。
背中を、柔らかい爆乳が受け止めた。ぐにゃりと形を変えるほど柔く、しかし奥底には弾力が残っており、悟の背を押し返す。贅肉がたっぷり乗った腹肉も柔らかく、心地よいウォーターベッドのような感触だ。
同時に、鈴の汗と体臭が鼻腔から飛び込んできた。都会の女たちの香水とは違い、汗と加齢を含んだ匂いだったが、なぜか不快ではない。
「ごめん、急に開けたりして」
鈴が悟の顔を覗き込んできた。距離が近く、吐息が顔にかかったが、それも不快ではなかった。
「ああ、いえ、大丈夫です」
悟は、鈴の肉体が心地よくて、立ち上がれなかった。
「しっかし、いい体しちょんね」
鈴はそんな悟の巨体を支えつつ、引き締まった肉体美に視線を移してそう言った。
「はっ!」
その台詞で、悟は自分が全裸だったことを思い出した。しかも、視線を下に向け先には、勃起した自慢の巨根が。
「元気やね」
「しっ!失礼しました!タオルの位置は分かりますので!」
そう言って悟は跳びあがり、両手で鈴を押して脱衣所から出そうとした。
しかし、悟にとってうれしい誤算が生じた。突き出された悟の両腕は、鈴の巨乳へとズブッと埋まった。
「あん」
「いぃっ!?」
先ほどよりも大きく後方へ跳びあがる悟。着地地点には、運悪く洗面器があり、それに足を取られて転倒し、尻もちをついてしまった。
「いっつ・・・・・・」
「あららら。大丈夫?」
鈴が心配そうに駆け寄った。悟は鈍痛に苦しみつつも、それに耐え土下座した。
「すっ!すいませんでしたっ!見苦しいモノを見せ!!胸を触るなんて!申し訳ございません!」
罵声が来ることを、悟は覚悟した。不可抗力とはいえ、セクハラをしたのだから。
「いや、いいんよ。それより、お尻大丈夫?」
「えっ?」
しかし、鈴がかけたのは、心配そうな声だった。顔を上げると、不安そうな鈴の顔が底にあった。距離が近く、鼻息がかかる。
「いえ、俺は大丈夫ですから。それより鈴さんの精神が」
「精神って、そげな大げさな。裸見せたりオッパイ触られたりされたくらいで。大体、わざとじゃないやん。私が脱衣所に入ったのが悪いんやし。ごめんな」
悟は、逆に謝られた。
確かに、いきなり開けるのはマナー違反だろう。とは言え、この状況で責められないことは、悟にとって意外なことだった。
「謝らないでください。俺が悪かったんです」
「いや、いいんよ。それに、むしろ、ちょっぴり嬉しかったわ」
そう言って、鈴はいたずらっぽく笑った。
「こんなおばちゃん相手に、そんなに神経質になってくれるんやけん」
「いえ、当然のことです」
「それに、若くて元気な兄ちゃんのがっしりした体見られたんやけんな。元気でおっきいアレも」
「ああ、いや、その、あれはっ!!」
「ま、若いうちは、ちょっとしたことでおっきくなるもんな。それじゃ、ゆっくり入りなあえ」
そう言って鈴は振り向きつつ立ち上がり、大きな尻を揺らして風呂場を後にした。
湯船につかり、悟は考えていた。
(まぁ、とにかくだ。おばちゃんだから、もう性のこととか意識しないんだな。だからあんなデリカシーのないことをしてしまうんだろ。少しは、気にしてほしいんだが)
そう考えながら、狭い湯船に身を沈める。働いた後なので、温かい湯が心地よかった。
(まぁ、男性をハニートラップにはめるような女性より、よっぽどいいか。それに、郷に入ったら郷に従えともいうし、俺も少しは鈴さんに合わせないとな)
そう考えて、悟は顔を上げて、先ほどのことを思い出した。
(また、あんなことが起きたり・・・・・・いや、何を考えているんだ!)
先ほどの接触。大きくて柔らかい鈴の「おっぱい」の感触は、まだ背中と両手に残っていた。
(期待するな!そもそも喜ぶな!!タイプじゃないし!!興奮なんて・・・・・・)
悟は自分の興奮を、否定できなかった。鈴の爆乳をむにゅりと掴んだ瞬間、快楽が全身を走ったのだ。
思い出すと、勃起してしまった。自慢の巨根が固くそそり立ち、刺激を求めて湯の中で蠢く。
(まぁ・・・・・・最近抜いてなかったし、興奮は沈めないといけないし)
自身を正当化させて、悟は浴槽から出て肉棒を掴んだ。
(本当にでかかったな・・・・・・)
悟は、先ほどの接触を反芻した。背中で受けた感触、そして両手で味わった柔らかさを。
(動くたびに揺れてたな・・・・・・)
一挙一動のたびに揺れていた豊満な肉体。太っていて不恰好であるはずだが、胸や尻以外の部位も魅力的に見えてしまう。
先ほどの一瞬だけでなく、今日一日の全てを思い出して、悟は激しく肉棒を扱いた。
溜めていた分、久しぶりな分、快楽は激しかった。いつもとは違う女性を妄想しており、その斬新さがまた新たな快楽を生む。巨根の先からは、白く濁った先走りが流れ始めた。
(やばい、もう!)
悟は早くも絶頂に達し、押し殺せなかった声を発しつつ、壁に向かって精液を放った。
久方ぶりの精液は濃く、粘度も高く、量も多い。肉棒はドクッドクッと脈動しつつ、白濁液を放っていく。
しばらく射精を続けた悟は、射精がいったん収まると、その場に座り込んだ。
「はあ・・・・・・」
久しぶりな、強烈な快楽だった。しかし、肉棒はまた満足せず、勃起しままだ。
だが、もう一度やろう、という気持ちは起きなかった。
鈴の肉体への欲望は消えていない。だが、鈴に対して淫らな視線を向けることが、良くないことのように感じられた。
(しばらくしたら、収まるだろう。その後、出よう)
悟は精液を全て洗い流し、湯船に身を沈めた。冷静になろうと自身に言い聞かせるも、鈴の乳の感触は中々消えてくれず、勃起も収まらなかった。
結局、勃起が収まらなかった悟は、丈の長いシャツで股間を隠して風呂から出た。
(通販で、間違えてサイズ違いのシャツを買ってしまったやつだが、部屋着用に残しておいてよかった)
「出ました。次、どうぞ」
「はーい、じゃ、次入るから。我慢できなかったら、先食べてていいけんね」
テーブルの上には、野菜炒めに数種類の漬物、焼きサバに千切りキャベツに納豆と、質素ながら健康的な料理が大量に並べられていた。
しかし、多い。悟も食事は多い方だが、食べきれるのが不安になるほどだ。
「豪華ですね」
「いやあ、口に合うかどうかわからんけど」
「きっと合いますよ。量も多いですね」
「たくさん食べていいから」
「食べ切れなほどですよ」
「そしたら私が食べるから。大食いやけん」
なるほど、と悟は思った。だからこんなに鈴は太ったのかと。
鈴はエプロンを脱いで、悟がいる、台所の入り口へと向かってくる。
反射的に、半身になって道を譲った悟だったが、ここはさっさと台所に入るか、廊下に出るべきだった。
「おっとごめん」
同じく半身になって扉に差し掛かった鈴だったが、扉は狭いため、またもや体が密着した。腹と乳房が、悟の上半身に密着する。
「我慢できんかったら、食べていいよ」
そう言って、鈴は脱衣所に入っていった。
不意に味わえた感触により、再び勃起した肉棒を撫でながら、悟は台所へと入り、冷えた麦茶で火照った体と心を冷ました。
(柔らかい・・・・・・女性の身体って、こんなに柔らかかったのか・・・・・・いや、デブだからだろ!感心するな!)
そして、心身が冷めたころ、あることに気づいた。
(しまった、バスタオル、籠に入れたままだったな)
狭い脱衣所の籠の中に、清潔かつ高級のバスタオルを入れたまま、出てきてしまった。汗臭く土で汚れている鈴の服もあの籠に放り込まれていないだろうか?
(なんか、嫌だな。失礼だけど。ついでに、毛並ケアのボトルも回収しておこう)
悟は脱衣所の前に来た。湯の音が聞こえるので、まだ鈴は浴室にいるようだ。
風呂にいる裸の女性が若い娘だったなら、悟は入らなかっただろう。だが、鈴ならば、ガラス越しなら接近してもいいだろう。
悟はドアに手を伸ばし、そして止めた。
(もし、たまたま出てきた鈴さんと鉢合わせたら・・・・・・偶然だったら、許してくれるだろうし・・・・・・)
あの豊満な肉体を、見ることが出来るかもしれない・・・・・・。
(期待するな!さっさと回収すればいいだろう!)
悟はドアを少しだけ開けて、中に向かって叫んだ。
「鈴さん、ちょっと入っていいですか!」
大きな声で叫んだが。
「え、なにー」
湯の音に混じって鈴の疑問の声が聞こえてきた。
「少し入っていいですか?取りたいものがあるので!」
「え?」
再び鈴の疑問の声。しかし、ガラス越しの不透明な声ではなかった。どうやら、浴室の扉を開けたらしい。途端に悟の興奮が増した。
「と、取りたいものがあるので、入っていいですか?」
「あ、いいよー」
鈴の了承とともに、扉が閉じる音がした。
悟は深呼吸して、脱衣所に入った。ガラス越しに裸の鈴がいる。長居しては、危険だった。すぐに目標を回収して引き揚げたかったが、タオルは見つけられたが毛並ケアのボトルが見つからない。視線を上にずらすと、洗濯機の上の戸棚に置いてあった。
(鈴さんが置いたのか)
身を乗り出しでボトルを掴んだ悟は、下から登ってきた汗の匂いにつられて視線を下に向けた。洗濯機の中に、その原因があった。
(これは・・・・・・)
洗濯機の中の、鈴の服。一番上には、最後に脱いだであろう、下着があった。
地味なベージュ色のパンツとブラジャー。それは、見たことがないほど巨大だった。
あの中に、爆乳と巨尻が一日中包み込まれていたのか。密着していたのか。汗を吸っていたのか。
それに見とれた悟は、行動が止まり、思考が性欲一点に向かう。
数秒間凝視した、その時。
ガララッ
「あっ」
「あらっ」
浴室の引き戸が開いた。反射的に視線を向けると、そこには、一糸まとわぬ鈴が立っていた。
「!!!!!!!!」
その光景に、悟は言葉を失い目を見開いた。
きょとんとした鈴の顔。その下には、やや垂れ気味ながらも巨大な爆乳が。太い腹よりもさらに大きく、臍から上はほぼ乳で埋められている。そのしたには、膨れた下っ腹で見えにくい股間部に、ムッチリとした二本の太もも。
それを隠すことなく、鈴は立ち尽くしていた。
そして数秒後、ようやく思考がまとまった悟は、弾かれるように脱衣所から飛び出した。しかし、出た途端に狭い廊下の壁に激突してしまう。
「うぐっ!」
「あらあらあら。大丈夫?」
バスタオルを体に巻いた鈴が、駆け寄ってきた。体が太く大きすぎるので、大半の乳は露出しており、股間は隠せていない。
「すっ!すみませんでしたっ!!」
悟は、本日二度目の土下座をした。
「いいよぉ、そんな、大の男が二回も頭下げて。ちょっと裸見られたぐらいで、怒らんって。それに、私が急に扉を開けたけんな。タオル忘れたんで、取ろうとしたんよ。もう、悟君はいないと思って。ごめんな」
鈴はそう言うが、悟は頭を下げたまま続けた。
「謝らないでください!悪いのは俺です!さっきは体を密着させ、今度は裸を見るなんてっ!失礼極まりないセクハラ行為でした!」
「大げさやなぁ。私は気にせんけん、いいって。こんなおばちゃんなんやし、今更そんな、なぁ。それに、わざとじゃないんやろ?」
「も、もちろんです!」
多少の期待はあったが。
「じゃあ、いいって。ほら、顔上げて。ご飯にしよ」
顔を上げた悟の目に、鈴の笑顔が飛び込んできた。邪な企みなど一切ない、純粋な笑み。そう確信できる表情だった。そんな顔で「許す」と言われたことで、自責の念が晴れていく。
「以後、気を付けます」
悟は、はにかんだ笑みを浮かべた。恥ずかしそうに。
「ま、兄ちゃんは少しエッチってことで」
「返す言葉もありません」
「それじゃ、もうちょっとかかるけん、待っててな」
そう言って、鈴は振り返った。バスタオルでは隠し切れない巨尻を悟に見せつけ、脱衣所に入る。
悟は勃起を静めるために、トイレに駆け込んだ。
射精をして、高ぶった性欲を抑えるために。
「むうう・・・・・・」
トイレで再び大量射精をして、悟は一人、茶の間にて悶々とした気持ちを持て余していた。良い香りを漂わせている食事を前に、食欲を抑えきれないわけではない。悟を悩ませているのは、紛れもなく性欲である。
(完全に、見てしまった・・・・・・)
一瞬目撃した鈴の裸が、頭から消えない。女体という存在は、色仕掛けで職を失った悟にとってはトラウマなのだが、不思議と鈴の全裸はトラウマを刺激する要因にはならなかった。
だが、それにより別の問題が発生している。鈴の裸に対し、性欲が強く反応し、高ぶってしまうのだ。女性の裸など見慣れているはずなのに、初心な少年のように興奮してしまっている。
(本当に、でかいおっぱいだったな)
鈴の巨大すぎる乳房が、脳裏から離れない。丸々と膨れ、下方に垂れつつも前方に大きく盛り上がり、湯で濡れていた。その上には、恥じらいや淫らな気配が全くない、無垢な表情があった。
年増で肥満という、色香の無い特徴を持った女性のはずなのに、悟は興奮しきっている。風呂場とトイレで自慰をしたのに、再び肉棒は勃起していた。
(勃起したまま接するのは、失礼だな。これは、納めないといけない。しなければならないんだ)
性欲を向けていることを申し訳ないと思いつつも、再び悟は再び自慰をすべくティッシュを取り、下半身を露出させた。
先走りを垂らす剛直を、鈴の全裸を想像しながら扱き上げる。
(あのおっぱい・・・・・・あれが揺れたらどうなるんだ?触ったらどんな感触なんだ?)
悟は妄想する。鈴の爆乳が揺れ動く様を。そして、その乳肉を思い切り掴み、揉みあげる。
下半身にも手を伸ばし、太腿と尻を愛撫する。そして、右手を股間に入れて、熟した性器に指を入れた。
妄想を掻き立て、剛直を何度も扱けば、性器に走る快感は増してゆく。
(どんな反応をするんだ?どんなふうに喘ぐんだ?)
爆乳に顔を埋めて挿入するところを想像し、腰を突き上げる。
「うっ!!!」
次の瞬間、悟の肉棒から白濁の塊が発射され、ティッシュを内側から押し上げた。3度目とは思えないほどの量だった。絶倫でありながら、処理をおろそかにしていたのだから当然かもしれない。
「ふうう・・・・・・」
強い快楽の余韻に浸り、悟は大きく息を吐いた。
「すず、さん・・・・・・」
行為が終わり興奮が収まれば、やはり多少の罪悪感はぬぐえない。いきなり家にやってきた自分を良くしてくれた鈴を、自慰の対象にしているのだから。
「すまない、鈴さん」
悟は、鈴の顔を思い浮かべて謝罪した。決して伝えることなど出来ない謝罪だ。いくら性に対して大らかでも、こんな光景は見せられない。
それとも、先ほどのように、笑い飛ばしてくれるのだろうか?
(もしそうだったら、助かるんだけどな)
悟は再び妄想した。行為の後も、鈴の顔に色気はない。さっき裸を見られたときのように、普段の笑みを浮かべている。太っていて、歳もそれなりだが、愛嬌がある顔だ。想像していると、悟の肉棒に再び力が入る。
(年増の太ったおばちゃんなのに・・・・・・)
悟は再び肉棒を掴んだ。しかし、それと同時に、風呂場の扉が開く音がした。
(まずいっ!)
悟は素早くパンツとズボンをはいた。
「今出たけんなー」
脱衣所から、鈴の声が聞こえてきた。
「は、はい!」
悟は次に精液を受け止めたティッシュを掴み、ごみ箱へ捨てようとして、そして動きを止めた。
(においでばれるよな・・・・・・猪は嗅覚もいいし)
悟は茶の間から出て、自分の寝室となった部屋へと向かった。そこのごみ箱ならば、ばれないだろう。
しかし、脱衣所の前でまたもや想定外のことが起こった。
「お待たせ」
脱衣所の扉が開いた。
「いっ!?」
女性ならばもっと時間がかかるのではないか。そんな悟の疑問は、鈴の服装を見て氷解した。
下半身は、短パン。そして上半身は、白いTシャツのみだ。やはり古着らしく、生地は薄くなっている。しかも、明らかに小さい。購入した時よりも、肉体が大きくなっているのだろうか。
しかも鈴は、ブラジャーをしていなかった。乳房か透けて見えるから、よく分かる。乳首の盛り上がりは勿論、全体の輪郭もはっきりと分かった。
一瞬で、肉棒が最大限まで大きくなる。
「す、すいません!」
反射的に悟は謝罪しつつ、寝室へと向かった。
「あ、トイレ?」
「はい、すぐ戻ります!」
悟は即座に肯定し、自室でなくトイレに駆け込んだ。
(またあんなのを見せつけられたら・・・・・・)
悟は再び、ズボンとパンツを下ろし、自慰を開始した。先ほどよりも鮮明になった妄想を掻き立てながら。
すぐ絶頂にたどり着けたが、トイレにティッシュはない。やむを得ずトイレットペーパーで肉棒を覆って射精したが、精液まみれのトイレットペーパーは肉棒に絡みついてしまったため、処理に大きく時間を使ってしまった。
(怪しまれたんじゃないか・・・・・・)
悟は恐る恐る茶の間に戻った。
「あら、遅かったやん。お腹の調子悪いの?」
しかし鈴は、全く気にしていないようだった。
「あ、いえ、大丈夫です。それより、すみません。待たせてしまって」
「いいのいいの、それじゃ、食べよっか」
鈴はテーブルの脇に置いてある炊飯器を開け、特大のどんぶりにご飯をよそい始めた。
それはささいな動作だが、ブラジャーを付けていないため、大きく柔らかい乳房はユサユサと揺れた。
(す、すごい。裸じゃないから見放題だし)
下半身が滾るが再び滾り始める。悟は頭を振って、性欲を必死に抑えた。
(そ、それよりも食事だ。せっかく、こんなにおいしそうなんだから)
料理を見ると、空腹を思い出す。口には唾液が溢れ、腹の虫が鳴る。
「それじゃ、いただきます」
二人分の白米をどんぶり大盛についだ鈴は、胸の前で両手を合わせた。
「はい、いただきます」
悟もそれに倣い、丁寧手を合わせる。
こんなことをしたのは小学生以来だと、懐かしく思いながら。
(く、食いすぎた・・・・・・)
膨らんだ腹をさすりながら、食事を終えた悟は大きく息を吐いた。
「ふふ、口にあったみたいやな」
「ええ、満足です」
「都会の人に合うか不安やったけど」
「都会とか田舎とか、関係ないですよ。舌は同じです。こういう素朴な味、何年ぶりかな」
想像以上に美味だった鈴の料理に満足した悟は、鈴の方を見遣る。
自分以上に量が盛られた皿は、全て空になっていた。
(そりゃ、太るな)
悟がそう思っていると、鈴は立ち上がってからの食器を流し台に運び始めた。
「あ、俺も手伝いますよ」
「いいよぉ。お客様にさせられんよ」
「そんなわけにはいかないですよ。泊めてもらっているのに」
「気をつかわんでいいって。自分の家と思ってよ」
「だったら、尚更です。自分の家なら、手伝わないと」
「じゃあ、お願いな」
鈴が食器を洗い、悟はそれを拭き始めた。
チラチラと鈴の顔と胸を見ながら、悟はこの役目をこれからも続けて行こうと決めた。鈴の方が若干背が高いので、悟の目線にちょうど乳の谷間が来るのだ。
「都会の人でも、するんやな、こういうの」
「もちろんですよ。一人暮らしなんだし」
「しっかりしちょんな」
「当然ですって」
「ごめんごめん、誤解しちょったかもな、都会の人も、いい人やわ」
「俺も誤解してましたよ。田舎もいいところですね」
そう言って、二人は笑い合った。
「それじゃ、おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
「ほんとに、5時に起こして大丈夫やな?」
「ええ。ちゃんと、朝からお手伝いしますよ」
「うん、じゃあ、期待しちょるけんな」
悟は鈴と別れ、四畳半の狭い和室に入った。そこが、これから悟の部屋となるのだ。成人男性にとっては非常に狭い空間だが、悟にとっては問題なかった。
(思ったほど、私物はないんだよな・・・・・・)
悟は部屋の真ん中に敷かれた布団に寝転がり、部屋の隅にある自分の荷物を見て思った。毛並みを整えるワックス、制汗スプレー。財布とスマホと充電器。それくらいしかない。衣服も、押し入れの中に全て収まった。
仕事一筋で生きてきた悟は、最低限の私物しか持っていなかったのだ。
(それくらい、捧げていたんだけどな)
改めて一人になると、職を失い田舎に逃げてきたという現状が、胸を締め付けてくる。行動している時は平気だが、一人で何もせずぼーっとしていると、憂鬱な感情が一瞬で心を黒く染めてしまう。
(まずい。ポジティブなことを考えるんだ)
悟は、今日を振り返ってみた。
職を失い田舎に来たが、予定していた家と仕事は手に入らなかった。絶望的な状況だったが、仮の住まいと仕事は手に入った。
(捨てる神あれば拾う神あり、か。鈴さんには感謝だ)
悟は鈴のことを思い返した。
朗らかで優しい人だった。人生に絶望した悟にとって、鈴の性格はとても有難いものだった。
(悪い人もいれば、良い人もいるんだな)
鈴の人柄を思い返していた悟だったが、やがて脳裏には、鈴の肉体が浮かんでくる。
(しっかし、本当に、胸が大きかったな・・・・・・巨乳、いや、爆乳だった)
過去、様々な女性と付き合い、色々な風俗店を利用してきた。多くの女性を抱いてきたが、鈴ほど乳房が大きい女性は見たことがない。
(確か、今までヤってきた女性で一番の巨乳は、Gカップだったか。鈴さんの胸は、Gどころじゃないな。最も、デブじゃないと、あれほどの爆乳にはならないだろうな)
悟は、過去に抱いた女性たちを振り返ってみた。スレンダーで美しい、若い女性たちばかりだ。
(やっぱり、細身で綺麗な女性たちばかりだ・・・・・・俺は、そういう女性が好みなんだ。それなのに)
鈴は、過去に悟が抱いてきた女性たちとは、正反対の女性だ。
(大柄で、太って弛んだ体で。顔たちも素朴で、性格もおっとりしていて。全然、違う女性だな)
何となく、胸が切なくなった。同時に、あの爆乳と巨尻を思い出し、性欲が昂る。
(何度もオナニーしたんだがな。また、するか)
その後、一瞬見た鈴の裸体、味わった鈴の乳房の感触を思い出しつつ、悟は3回オナニーして眠りについた。
それから、一か月が経過した。
いつもと変わらぬ朝を迎えた鈴の家に、元気な声が響いた。
「ほら、朝だよ悟!起きて!」
朝の五時三十分、鈴は悟の部屋に入り目覚ましの一声を放った。それを聞いた悟は、むくりと起き上がる。
決して悟が朝に弱いわけではない。ただ、鈴が早起きすぎるだけだ。
「おはよう、鈴さん」
「おはよう!今日も働くよ!」
そう言って、鈴は朝食の支度に向かった。
鈴は毎日5時起きなので、既に洗面や着替えと言った支度は済ませている。やや遅れて、悟は起きて行動を開始する。いつものことだった。
「さて、と」
悟は下半身に視線を移した。そこには、短パンを盛り上げる剛直があった。
いつものように、朝の一発を放つべく、悟はトイレへと向かった。
この一か月で、悟はこの家の暮らしにも、農業にも慣れた。もともと体力と知力に優れ、行動力と意欲も高かったため、すぐに鈴の戦力となった。
やや恥じらいやデリカシーに掛けた鈴の行動にも慣れて、混乱したり取り乱すこともなくなった。ただし、未だに慣れないこともある。それは鈴の豊満な肉体への欲望だった。
初めて鈴を性的な目で見てから、悟は鈴の虜になってしまった。既に鈴を妄想しながらの自慰に罪悪感を抱くことは無くなっている。何度射精しても鈴への欲望は消えず、その欲情は日に日に増していると言っていい。今では遠慮なく肉体を眺め、隙を見ては体に触れ、密着することもある。まれに偶然を装って脱衣所を開けて裸をちらりと見ることもあった。だが鈴は、それらについて言及することは全くなかった。内心で不満を感じている様子もなく、悟は遠慮しつつも、鈴の肉体を可能な範囲で堪能していた。
「いつもすみません」
「いいよ、気にせんで」
日課の自慰を終えた悟が台所へ向かうと、鈴が味噌汁を作っている。後ろ姿を眺めながら、悟は再び勃起した。体の脇から見える横乳と、大きな尻を眺めて。
(今日も、良い尻だな)
悟は、後ろから抱き着きたい欲望を抑えながら、食卓に食器類を並べ始めた。
「ほんと、ありがとね」
鈴は振り返って、笑顔を向けてくれる。
その顔と声を聞いて、悟の鼓動が高鳴る。心が、温かくなっていくような感覚だ。
「いえ」
そう言って、視線を反らす。性欲とは異なる感情に、喜び、そして困惑しながら。
「ちょっと、トイレ行ってくるわ」
「はい」
鈴は、悟の前を歩いて通り過ぎる。まだノーブラらしく、歩くだけで爆乳がタプンッタプンッと弾む。悟は、飛びつきたくなる衝動を抑え、トイレに向かう鈴を見送った。大きな尻肉も、乳房と同じように歩く度に揺れていた。
「ふう・・・・・・」
夕刻、作業道具を全て倉庫に納め終え、悟は汗を拭いつつ周囲を見渡した。
朱色に染まった畑が一面に広がっている。弱い風が体を撫で、火照った体を冷ましてくれる。既に夏本番ということもあり、遠くからセミの声が聞こえる。
(やっぱり、良いもんだな。でも、これももうすぐ味わえなくなるのか)
田舎の情景を味わっていた悟は、寂しさを感じていた。
三日前、悟が住むはずだった空き家の修繕が完了したと、市役所から連絡が入ったのだ。また、就職先は決まっていないが、市役所の臨時職員の募集があることを教えてくれた。
(地方公務員になるつもりはないが、臨時職員をしつつ、他の就職先をさがすのも、ありだな)
将来のビジョンが、明確になりつつある。それなのに、心の底から喜べないでいる。
(どうしてだろうな・・・・・・)
悟が一人、悩んでいると。
「悟くぅん!」
鈴が走ってきた。
当然、爆乳のせいで作業着の前は開け放たれている。白いシャツに包まれた巨大乳房は、ブラジャーの拘束をものともせず、ブルルンッ、ブルルンッ、と激しくバウンドしていた。
「お疲れ様です」
特大爆乳が作り出す絶景に興奮しつつも、それを抑えて冷静に対応する。
「そう言えば、明日、家を見に行くんやな」
「はい。明後日から荷物を移そうと思ってます」
悟は既に今後の予定を、鈴に伝えている。
「じゃあ、今日、久しぶりにお酒飲もうか」
「いいですね」
悟は迷わず頷いた。
稀に、鈴は晩酌をする。酒にかなり強いらしく、かなりの量を飲んでも性格的な変化はあまりない。だが、酒を飲んだ鈴はスキンシップが激しくなり、積極的に密着してくるのだ。悟はその際に、軽く胸や尻に触れたこともある。
「じゃあ、買い出しに行きましょうか」
悟は喜びを抑えつつ提案した。
「いや、一人で大丈夫やけん。悟君は、荷物とか整理しちょくといいよ」
「一緒に行きますよ。荷物は少ないから、整理に時間はかかりませんし」
「ほんと、気にせんで」
鈴はそう言って笑う。善意がまっすぐに伝わる笑顔で。
「分かりました」
「それじゃ、お風呂入っていていいけんな」
鈴はそう言って、軽トラで出発した。
一人残された悟は鈴の家に戻り、外に干された洗濯物を取り込み始めた。鈴は何もしなくてよいというが、悟は積極的に家事を手伝うようにしている。
(しかし、本当に警戒心がないんだな)
悟は、自分の下着と並んで干されている鈴の下着を見て思った。とてつもなく巨大な、ベージュ色のブラジャーとパンツを。
(鈴さん、すまない)
鈴に謝罪し、悟はそれを取ると、鼻先に押し当てて匂いを嗅いだ。鈴がいない時に洗濯物を入れる時の、日課となっている行動だ。
(あぁ・・・・・・良い香りだ)
熟した女性の匂いと、汗の匂い。過去は高級な香水に興奮していた悟だが、今ではこの匂いの虜になっている。デザインも、鈴の素朴さを体現している地味なベージュの方が、高級ランジェリーより淫らに感じられる。
(これに、包まれていたんだよな。あのおっぱいが)
悟は妄想する。このブラジャーに密着し、支えられている爆乳を。目撃したことがあるので、脳内に思い描くことは難しくない。
(あの、特大サイズの爆乳が・・・・・・)
ブラジャーに包まれていても、鈴が動けば激しく揺れる。それでも下着は、鈴の巨大な肉房をしっかりと守っている。
悟はブラジャーのタグを見てみた。
(Nカップ・・・・・・なんてサイズだ)
海外から特注しているという、凶悪なサイズの下着だ。これを装着すれば、乳房は若干持ち上げられ、前方にどんと突き出されたような状態になる。裸の状態の垂れた乳房もいいが、ブラを付けた乳房というのも、良い魅力を備えている。
性欲を抑えきれなくなった悟は、ブラジャーとパンツを握ったまま家に駆けこみ、手早く下半身を裸にして、勃起した肉棒をティッシュで包み扱き始めた。
「ぐっ!」
爆乳を顔に押し付けている妄想をしつつ、ブラジャーに顔を押し付ける。ペニスは、すぐに発射体勢を整える。
「ふっ!」
悟はブラを放し、パンツを鼻先に当てた。ブラジャーよりも、濃厚な雌の香りが脳を刺激する。
(でかいパンツだが、それでも鈴さんには小さいな)
悟は一度、鈴の裸を後ろ姿から見たことがある。偶然を装い、脱衣所のドアを開けた時だ。
短パンや作業着をパツパツに押し広げる尻肉は、乳房と同様に逸脱した大きさだ。若干の弛みはあるが、それでも見事な桃の形状をしており、淫らさと美しさを兼ね備えている。あれほどの大きさだと、パンツは尻肉に食い込み、尻たぶの大半は露出してしまうだろう。
しかし、その奥にある性器は流石に見たことがない。女体の最奥にある秘部だけは、どうあがいても手が届かない場所なのだ。
「ぐおっ!」
悟は、性器を包んでいる箇所を鼻先に当て想像した。
自分と鈴が、互いに裸になって抱き合っている。そして、自分は鈴の性器にペニスを押し当て、躊躇いなく挿入する。そのまま鈴に抱き着き、双乳に顔を埋め、激しく腰を振り、膣内に射精する。
「ぐあっ!!」
悟は腰を突き上げ、射精した。ティッシュの下で、性器が激しく脈打ちながら精液を放つ。
「ぐっ・・・・・・ふぅ」
悟は射精の快感に満足し、その場に座り込んだ。
「鈴・・・・・・」
快感の余韻に浸っていた悟は、不意に空しさと寂しさに襲われた。いつもなら、心地よい満足感が心身を満たしてくれるのだが。
(もう、会えなくなるから、なのか・・・・・・鈴さんと・・・・・・)
悟は後処理を終え、洗濯物の取り込みを再開した。自分の本心を理解しながら。
(鈴さんと、離れたくないと思っている)
悟は脳内で、鈴の裸を妄想した。自慰をしたばかりだが、肉棒は硬化する。
(いつの間にか、太ったおばさんに興奮するようになってしまったな。だからこそ、離れたくないのか。性的に、魅力を感じているから離れたくないのか)
次いで、鈴の笑顔が脳裏に浮かぶ。そして、共に生活した日々も。
突然やってきた自分を、鈴は優しく迎え入れてくれた。その朗らかな性格で、温かく包み込んでくれた。
(惚れているのか・・・・・・)
悟は、頭を振った。
そうではない。自分は性的な目で鈴を見ているだけだ。それを恋心と勘違いしているだけだ。裏切られたことで、他人の優しさが普段より良く見えてしまうだけだ。
(思春期のガキみたいだな。やめよう。俺みたいなやつがいきなり告白なんかしたら、鈴さんに迷惑だ)
悟は洗濯物を全て籠に入れると、家の中に戻り、洗濯物を畳みつつ鈴の帰りを待った。
気持ちを切り替えろと自身に言い聞かせるも、寂しさは拭いきれなかった。