創世記―はじまりの物語―より

  むかし、昔のお話です。

  心優しい若者と一緒に魔王に立ち向かった赤毛の剣士は、世の中が平和になった後も孤独でした。

  大切に思っていた人を亡くし、心折れ、前に進む気力を無くしていたのです。

  剣士の心は疲れ、その気持ちを誰にも言えないまま、自分の時を止めて逃げてしまいました。

  残された若者は悲しみました。

  友を失ったこと、友の気持ちに気付かなかった事を激しく後悔しました。

  しかし、若者は赤毛の剣士は失いましたが、一人ではありませんでした。

  周りにはたくさんの仲間や家族がいました。

  彼は再び立ち上がると決意しました。

  友が帰って来た時に、幸せになれる国を作ろう、と。

  若者は国造りに邁進し、そのうち若者ではなくなりました。

  それでも、仲間や家族、子供たちに囲まれて、彼は幸せな人生を送りました。

  いつか、赤毛の剣士がこの国で幸せになってくれればいいと願いながら。

  赤毛の剣士が目覚めたのは、五百年も後のことでした。

  心の傷を、黒髪と金の瞳の少女と共に癒した赤毛の剣士は、友の残した国を守ろうと再び剣を取って立ち上がりました。

  ……これが、我が国アルカーナの未来の物語。

  幸せな物語のはじまりはじまり。

  【新・子どものための創世記より抜粋】

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