第1話『旅』
青空が広がり、白い雲が流れる空。
広がる空を白い鳥が、羽ばたき、心地良い風が流れる。
この世界、【ラティティアス】。
獣人、人間、エルフ、ドワーフ、それぞれ別の種族が平和に暮らす世界。
それぞれ別の土地に分かれ、役割を果たし、暮らしていた。
そんな中には貴重な種族がいる。
そう、神の領域に至る種族だ。
その名の通り、神により選ばれた存在。
それは、種族により稀であり、稀少。
産まれても尚、生き続けるには難易度な存在。
そして、多くの者が悪巧みを考え、手に入れようとする。
そして、今宵、その種族が稀少にも産まれていたのであった。
ガヤガヤッと、大勢の人が、盃を持ち、笑い合う街。
青空に飛び立つ鳥達は、そんな街を見つめるように羽ばたく。
そんな街の中の一軒。
1人のローブを被った少年がいた。
手には、ジュースの入った瓶を持ち、少しずつ飲み干す。
そんな彼に1人の女性が話かける。
女性『ねえ〜?坊や。
1人で飲んでもつまらないだろう?
どうだい?
お姉さんと飲まないかい?』
そう、近付き、少年に触れようとした。
少年は、無視し、瓶の中のジュースを飲む。
そんな彼に女性は、苛立ちを覚え、再度絡む。
女性『聞いてんの〜?
お姉さんの言葉聞かないって、どういう事よ〜?
だからッ!聞いてんの〜ッ!』
無視をし続ける少年に遂に女性は、激怒してしまう。
そんな様子を聞いて、周りの客、店員も目線がいってしまった。
少年も苛立ちを見せ、ちッと舌打ちをする。
その後、フードに隠された顔からは、紅い目が差し込み、女性を睨みつける。
何かしようとした時。
?『ちょっと〜?
お姉さん!連れになんか用〜?』
声かけたのは、少年より少し背が高い青年だった。
ツンツンとした髪に、黄色い髪色、瞳は、エメラルドのように澄んだ瞳。
とても爽やかな表情の青年。
そんな青年に女性は、ついうっとりしてしまい、我に返ると、一瞥(いちべつ)する。
女性『この子。
貴方の連れ?
話しかけてるのに〜無視すんのよ〜?』
そんな話を聞いて、ちらっと少年を見る青年。
少年は俯き、何もしてない様子でジュースを再度飲む。
そんな少年の態度を見て、溜め息をする青年。
何か思いあったのか、青年は、女性に言葉をかける。
青年『ごめんね〜?
この子、シャイだからさ〜?』
女性『シャイにも程があるでしょ!!』
青年『まあまあ!
綺麗なお顔が台無しだよ〜?
お姉さん?』
女性『綺麗!?
まあ、しょうがないわね〜!
じゃあ、僕が飲んでくれる〜?』
青年『ん〜、、。』
青年は、女性を宥めようと話をしたのだが、鋭い目つきへと変貌する。
そして、女性の耳元へ行き、言葉を放った。
青年『まあ、でも。
見た目綺麗だけど中身が汚れてるなら、お断りだね。
今度こいつに近づいたら、、、。
タダじゃおかないからね?』
女性『ッッ!?』
女性は、つい尻もちをつく。
そんな女性を鋭く、上から見下すよう見つめる青年。
その光景を見て、フードの下から溜め息をつく少年。
そして、居心地が悪くなったのか少年は、青年の手を握り、店を後にした。
女性は、動けず、震えていたのだった。
店を後にした2人。
そのまま、街を出、道を歩く。
少年は、溜め息を吐きながら、青年に話をする。
青年は、笑いながら話を聞く。
少年『あのさ〜?
目立たないって約束じゃん?
何してんの?』
青年『ええ〜?
だって〜?
ちょっとムカついちゃって〜?』
少年『あのね?
リアン・シュリスタンさん?
君がそう言ったんでしょ?』
リアン『まあまあ!フィクスも嫌がってたじゃん?』
フィクス『それはそれ。
別にあんな女、すぐにやれるし。』
リアン『うん、君のその力絶対使わないでね?』
フィクス『はいはい。
それよりどうするの?』
リアン『ん〜?』
フィクス『目的地までまだ遠いよ?
歩くの?』
リアン『うーん?
この先にある街に行こうかなって。』
フィクス『計画性皆無。』
リアン『うるさいな〜?
行くよ〜?』
フィクス『待てよ!』
2人はそんな会話をしながら、次の目的地である街へ進む。
それを後ろから数名、後をつけていた。
しばらくして、水辺のある川へ着く2人。
そこで付けられていることに気付く。
2人は、目を見合わせ、何事もなく、過ごす。
川を後にして、先へ進もうとした時。
2人の前に5名程の盗賊が道を塞ぐ。
盗賊は、2人へ声をかける。
盗賊『おいおい〜?
ちょっと待ってくれよ〜?』
盗賊『オメーらが?噂になってる子供達だろ〜?』
リアン『盗賊さんが何か用かな?』
『分かるだろ〜?
どっちかが俺らの金になるってこと〜?』
フィクス『、、、、。』
リアン『金ね〜?
何のことかな?』
盗賊『しらばっくれんな!
もういい!
やっちまえ!
なるべく傷付けるなよ!』
リアン『やれやれ。』
1人の盗賊のボスらしい奴が、命令を下す。
そして、部下は2人へ襲いかかる。
しかし、リアンは華麗に避け、フィクスも薙ぎ倒していく。
盗賊達は、2人の強さに驚き、それでも構わず、襲いかかる。
そんな時だった。
大きな日の玉が、盗賊達の前に立ち塞がった。
盗賊達は、ビビリ尻もちをする。
リアンは、あーあー、、。と呟き、その日の玉を出す者を見る。
フードが少し、外れ、フィクスの顔が現れる。
盗賊達は、その姿を見て、驚き、叫ぶ。
盗賊『お、お、お、前!?』
盗賊『まままままさか!?
あ、あのッ!?
狐!?』
フィクス『お前ら、いい加減、邪魔。』
リアン『手加減しなよ。
フィクス。』
盗賊『そうか、お前は、、あのッ!』
フィクス『もういい。
黙れ。』
そう言い放つと、日の玉は盗賊達の元へ落ちる。
瞳の色は、赤く染まり、頭には、耳が生えていた。
日の玉を受けた盗賊達は、丸焦げになり、泣きながら逃げていったのであった。
そんな様子を見て、リアンは、フィクスとすぐに逃げるのであった。
リアン『フィクス、逃げるぞ。
きっとお前を狙う輩が現れるぞ。』
フィクス『わかってるよ。
リアン。』
逃げるように手を繋ぎ、走るのであった。
火が覆う村。
1人の青年が少年に笑いかける。
青年『お前、優しいな。
綺麗な目がしてる。』
そして、少年は、彼に手を差し伸ばす。
そう、笑いあった青年、リアン・シュリスタン。
彼は、狐であるフィリスに手を差し伸ばした唯一の人間。
そんな彼に惹かれたフィリス。
彼らは、村を後にして、共に逃げる旅を始めた。
2人は、笑い合いながら、今日もまた、目的地へと旅を続けるのであった。