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【リク作品】私がバシャーモになっちゃった!?

  「きゃーっ!?」

  ここは、アイコーシティの外れにある研究所。

  一人の女性の悲鳴と同時に、激しい爆音が響き渡った。

  「エリコ、どうしたんだ!?」

  メガネをかけた男性が、白衣姿で駆け込んでくる。

  が、もうもうと広がっている煙で何も見えない。

  「うわっ、装置が火を噴いたのか……!?」

  急いで換気扇のスイッチを入れ、煙を追い出していく。

  ファンがうなり、少しずつ視界が晴れていき……

  「エリコ、大丈夫か!?」

  「しゃ、しゃあ~!」

  呼びかけに返答はあるのだが……どこか妙な返事で。

  「おーい、エリコ、どこだー!?」

  「しゃぁ、しゃもぉ!!!」

  「んん……?」

  エリコの姿を探せど、全く姿は見えず。

  いつの間にやらすっかり煙はなくなり、部屋に陣取る大きな装置が姿を見せる。

  「あれ、おかしいな……いないぞ?」

  「しゃ、しゃもっ」

  「ん?」

  妙な声がする方を見ると……三本指の手が、装置の裏から出てきている。

  「バシャーモ、か?」

  首を傾げながらゆっくりとそちらに近づいていき……顔をのぞかせる。

  「バ、バシャッ」

  そこには一部が焦げた白衣を着ている、バシャーモがしゃがみこんでいるではないか。

  「あれ、やっぱりバシャーモか。えー、なんでバシャーモがいるんだ? エリコのやつ、手持ちにいなかったはずだけど」

  男性研究員は額に指を当て、考え込む。

  「バ、バシャ、シャモォ……」

  バシャーモは何かを言いたげなのだが、鳴き声では伝わるものも伝わらない。

  「とりあえず、お前からなんとかするか。怪我とかしてないか?」

  バシャーモの様子を見ようと、研究員が手を伸ばす。

  「しゃ、しゃもぉ!」

  が、それを拒むようにバシャーモが大きく手を振るう。

  「わ、なんだなんだ、ええっと……俺はタカシ、エリコと一緒の研究所で研究している人間だ。分かるか?」

  「バシャ、バシャ、モォ!」

  バシャーモはますます興奮し、手をバタつかせている。

  「な、なんだよ、落ち着けってば。手当ても出来ないだろ、そんなんじゃ」

  「バーシャァ、シャモ、バシャモォ!」

  先程から、どうもバシャーモの動きがおかしい。

  自分とタカシを交互に指差してみたり、白衣をぽんぽんと叩いてみたり。

  そのくせ、しゃがみこんだまま立ち上がろうとはしないのだ。

  「困ったなー……エリコのポケモンだとしたら、ゲットも出来ないしな……」

  「バシャぁ!? シャ、シャモ! バシャーモ!?」

  急に体をビクンとさせ、両手を大きく動かしながら首を左右に振り始める。

  「わ、わ、わ、なんだ、なんだよ、お前の言いたいことがわかんないんだってば!」

  その時、タカシはバシャーモの違和感に気づく。

  頭から勢いよく伸びている毛なのだが……メッシュのように、黒い毛が交じっているのだ。

  最初は影がそう見えているのかと思っていたのだが、頭部の動きについて行っているということは……地毛なのだろう。

  「ちょ、ちょっといいか? お前の、その毛……」

  「ば、ばしゃもっ!?」

  バシャーモが反射的に、両手を頭にやる。

  その弾みに白衣がぺろんとめくれ、中身が露わになり。

  「んんんん~!?!?!?」

  タカシが大声をあげてしまったのだが、それは無理もない。

  「しゃ、もぉおおおお~~~~!?!?」

  大慌てで両腕をおろし、胸を隠すバシャーモ。

  しかし、もうタカシはバッチリみてしまったのだ!

  このバシャーモに、何故か立派なおっぱいがあるという事実を……!

  「待て待て、お前、胸があるのか!?」

  「しゃぁああ……」

  一気に恥ずかしくなったのか、バシャーモはもじもじと体をくねらせる。

  「ん、待てよ? さっきからなんでお前がエリコの白衣を着ているのか気になっていたんだけど……」

  「しゃ、しゃもぉ」

  「え、まさか、エリコ?」

  「もぉ……」

  まるでうなだれるかのように、へたり込んだままのバシャーモは頭を縦に振るのだった。

  「あー、なるほどなぁ。ここの部品が吹っ飛んじゃってるな。それで装置が暴走して、エリコがバシャーモになっちゃったわけか」

  「バシャ、シャモォ?」

  キーボードを操作するタカシの横で、白衣を着たままのバシャーモが不安そうにしている。

  「うん、うん。データもあるし……部品を替えれば装置は直るはずだ。そうしたら、エリコも元に戻せると思うぞ!」

  「シャモ、バシャーモ!?」

  何を言っているかは相変わらず分からないが……喜んでいるのは分かる。

  「それにしても、人間がポケモンになる、か。伝説で聞くやつではあるけど、まさか実際に起きるとはなぁ」

  ちらり、と横を見る……が、喜んだ拍子にむき出しとなった乳房が目に入ってしまい、慌てて目をそらす。

  「しかも、完全にポケモンになったわけじゃないんだな。95%……ってところか。まあ、良かったよ。完全にバシャーモになっていたら、自分がエリコだってこと、忘れちゃっていたかもしれないしな」

  「しゃ、しゃもぉ!?」

  「ああ、可能性の話だぞ? でも、完全に変化するってそういう事だと思うし」

  ひとまず、最悪の事態は避けられたというわけだ。

  タカシはブラウザを開き、通販サイトを調べ始める。

  「あー、明日着かぁ。仕方ないな」

  「しゃも、バシャモォ?」

  「ん、ああ。壊れた部品、この辺じゃ売っていないからさ。明日の昼に届くから、それまではどうしようもないさ」

  「シャモ、バシャ、シャーモ!?」

  「ええっと、もしかしてあれか? その間、どうしろって言いたいのか?」

  「シャモ、シャモ!」

  「うーん……実際、どうしたもんかなあ。ここに置いておくのも何が起きるかわからないし」

  顎に手をやり、タカシが考え込む。

  「しゃ、しゃもぉおお……」

  不安が反映されているのか、手首から断続的に火が上がる。

  「よし、エリコが我慢できるならだけど、手はあるぞ!」

  「しゃぁも?」

  「明日まで、俺の手持ちポケモンって事にしよう」

  「バシャあああ!?」

  思わず跳び上がる……のだが、バシャーモの脚力のせいか変な所にすっ飛んでしまい。

  「慌てるなって、ゲットしたりはしないって。それにあれじゃないか、しょっちゅう俺の家に泊まりに来ているんだから今更だろ?」

  「しゃ、しゃももぉ」

  彼女としてお泊まりするのと、ポケモンとして一緒にいるのは全然違う話である。

  「だーいじょうぶだって、俺がなんとか誤魔化すから! それに、一日だけだぞ、明日の昼まで!」

  「しゃ、もぉ……」

  頭を抱えてしゃがみこんでしまう、バシャーモになったエリコ。

  選択肢はない以上、従うしか無いのだが……まさか、自分がポケモンになるとは夢にも思っていなかったのだろう。

  「はい、はい! じゃあ、俺の家まで帰るぞ、バシャーモ!」

  タカシが呼びかけるも、エリコは反応しない。

  「おいおい、今バシャーモなんだから。『バシャーモ』って呼ばれたら、返事してくれよ」

  「ば、ばしゃあ、シャーモ!!!」

  明らかに、抗議の声。

  「い、言いたいことは大体分かるけどさ。ちょっと想像してみろよ。俺がバシャーモを連れていてさ、『エリコ』って名前で呼んでいるとするだろ?」

  「しゃもっ」

  「ぶっちゃけご近所さんは俺とエリコが付き合っているの、知っていると思うんだよ。じゃあ……彼女の名前を、自分のポケモンに付けているやつってことになるわけ。俺が。な?」

  「ばぁ……しゃああああぁ……」

  理解してしまい、顔を手で覆う。

  恥ずかしさからか、顔を焼かんばかりに手首の炎が湧き上がり。

  「だから、バシャーモってわけだ。はい、返事してみて、バシャーモ!」

  「しゃ、しゃもぉ」

  「よく出来ました、と。じゃあ帰る前に、その白衣脱ごうな?」

  「しゃ、しゃもぉおお!?」

  裸になれというのか、と言わんばかりのポーズ。

  にらみつけるような瞳が、一段とその強さを増す。

  「えーっとだな。彼女の仕事着を自分のポケモンに着せている男だと思われちゃうんだ。俺が。流石にやばいって」

  「しゃぁああぁぁぁ……」

  「大丈夫大丈夫、確かに胸があるけどさ、堂々としていればみんなちょっと見るだけで気にしないって!」

  「しゃ、しゃもぉ?」

  流石にそれは無理がある気もするが……珍しいポケモン、で押し切る事もできなくはないだろう。

  エリコは渋々、白衣を脱いでいく。

  そして、胸につけているタグの自分の写真を見て……軽くため息を吐くのだった。

  「一生そのままってわけじゃないんだから、そんな名残惜しそうにするなって……俺が戻してやるって!」

  「しゃぁもぉ」

  自分に起こったことが色々と激しすぎたのか、エリコは少し疲れた声で返事をして。

  [newpage]

  「バシャーモ、そんなキョロキョロしなくてもいいぞ?」

  「ば、ばしゃぁ、ばしゃー!」

  胸を手で隠すようにしながら、エリコはタカシと並んで歩く。

  今日もいい天気、雲ひとつ無く陽の光がふりそそぐ。

  背中が照らされてできる影は、どう見ても人のそれではなく……

  「ほらほら、そんなに時間かからないから、さっさと帰るぞバシャーモ」

  「しゃも、ばしゃも、しゃーもぉ!」

  何度も繰り返しバシャーモと呼ばれるのが気に食わないのだろうか、怒った声を上げる。

  が、どこまで言ってもバシャーモの声はバシャーモの声。人間には何を言っているか、よくわからないままで。

  「あっ、タカシお兄ちゃん! こんにちはー!」

  「シャモッ!?」

  突然、男の子が声をかけてくる。

  「お、おう、ケンタ君か! こんにちは!」

  そのまま通り過ぎるわけにもいかず、タカシは一旦足を止める。

  「しゃ、しゃも、しゃもぉ……」

  となると、エリコも足を止めざるを得ない。

  すると急に周囲の目が気になり、ますますキョロキョロしてしまい。

  「ねぇねぇ、このポケモン、バシャーモ!?」

  「おっ、ケンタ君もバシャーモ、知ってるのか?」

  「うんうん、バシャーモかっこいいもん! バシャーモ、かっこいーい!」

  「しゃ、しゃぁ……」

  純真無垢な瞳が眩しいほどに、こちらを見つめてくる。

  自分がどこからどう見てもバシャーモなのだと再確認させられ、どこか惨めになってしまい。

  「あれぇ、このバシャーモ、どうしたの? 元気ないよ?」

  「あ、ああ、ちょっとわけがあってね。元気になるまで、俺が預かっているんだよ。な、バシャーモ!」

  「ば、ばしゃあ、しゃも!」

  「ふ~ん……ねぇねぇ、バシャーモってなんかスゴイ技、使えるの?」

  「え、あ、あー、こいつはね、バトルは苦手なんだよ! な、バシャーモ!?」

  「ば、ばしゃあ、しゃも、しゃもしゃも!!!」

  痛いところをつかれ、思わず繰り返しのようなリアクションをしてしまい。

  「そっかー。あ、そうだ! じゃあ、アチャモに挨拶させて、いい?」

  「え、ケンタ君もポケモン、手に入れたのかい?」

  ニコニコしている少年の手には、キラキラのモンスターボール。

  「うん! この間、博士からもらったの! いけ、アチャモ!」

  「あ、あ」

  タカシが許可してもいないのに、ケンタはアチャモを出してしまい。

  「ちゃも、ちゃもぉ!」

  出てきたアチャモは元気よく、バシャーモの側に近づいてくる。

  「バ、バシャーモ、優しく撫でてやったらどうだ?」

  「ば、ばしゃ、も」

  恐る恐るしゃがみ、手を伸ばし。

  「ちゃも、ちゃもぉ!」

  「あはは、アチャモ、バシャーモのこと好きみたい!」

  「そ、そうだな……」

  と、その時。

  「ちゃもぉ!」

  アチャモが戯れに、口からひのこを吐き出したのだ。

  それは見事に、人肌そのものの胸に命中してしまい……

  「バジャあ゙あ゙ぁ゙あ゙~~~~!?!?」

  あまりの熱さに、天にも登らんばかりの大ジャンプを決めてしまい。

  「わ、わぁ!?」

  「うわぁ、バシャーモってすごいな」

  これにはタカシも思わず、素で反応してしまい。

  「――もぉおおお!!!」

  反射的だったとは言え、見事な着地を決めるバシャーモ。

  大股を開き、全身をバネにして勢いを吸収し。

  「わあ、すごい、すっごーい!!! バシャーモって、すっごいんだねぇ!!!」

  「ちゃも、ちゃあああもぉおおおお!!!」

  ケンタとアチャモは大喜び。

  「よ、よし、バシャーモ! かっこいい所見せたから、かっこよく決めポーズだ!」

  「しゃも!?」

  明らかに戸惑いの表情。

  だがしかし、子供のキラキラした表情を壊すわけにもいかない。

  タカシも二人からは見えないように、早くやれと合図を送る。

  「バシャ、バシャアアァアア、モォオオオオオオオ!!!」

  勢いよく叫んだ途端に口から火が出て少し驚くものの、なんとかかっこよく決めてみせる。

  「わぁー、アチャモ、早く進化しようね!」

  「ちゃも、あっちゃも!」

  ケンタは満足し、満面の笑みで立ち去っていく。

  「エ、エリコ、大丈夫か……?」

  「しゃもぉおおおおお……」

  恨み節たっぷりの目が、痛いほどにタカシに突き刺さり。

  「ようし、なんとか帰れたな」

  「しゃぁもぉ」

  野生のポケモンが飛び出してきたり、声をかけられたり。

  バトルなどできるはずもなく、なんとかその場を誤魔化して帰ってきたのだが……もう夕方。

  「エリコ、結構うまかったぞ! コラッタ、エリコの迫力にビックリして逃げちゃったもんな」

  「しゃ、しゃもっ!」

  「あはは、痛いって、ごめんごめん」

  全力で大声をあげた時の事を思い出し、バシャーモエリコは顔を赤くしながらタカシの肩をバシバシと叩く。

  「とりあえず、ご飯にするか」

  「しゃもっ」

  エリコはだいぶ馴染んできた肉体を動かし、いつも座っている椅子に腰掛ける。

  「ええっと、これかな」

  「バシャッ!?」

  そんな彼女の目の前に出されたのは……なんと、ポケモンフード。

  「バシャ、バシャあ! しゃも、バシャーモ!」

  指差しながら、猛抗議。それはそうである、自分は人間なのだから。

  「仕方ないだろ、ポケモンが人間の食事食べたら腹壊すっていうじゃないか」

  「ばーしゃあ!」

  とは言え、彼氏の目の前でポケモンフードを食べるというのはなかなか……人間の尊厳に関わる問題である。

  「まあ待て、待てってば」

  そう言いながら、タカシはなぜかもう一皿ポケモンフードをテーブルに置き。

  「しゃも?」

  「ポケモンが人間の食事食べたら良くないけど、逆は大丈夫って聞くしな。俺もポケモンフード、食べるから我慢してくれ」

  「ば、ばしゃあ!?」

  彼氏は彼氏なりに、気を使ってくれていたのである。

  それに気付かず怒鳴ってしまったことに、エリコは少し自己嫌悪。

  まあ……鳴き声だけしか出せず、明確に言葉が伝わらなかったのは幸いかもしれない。

  「結構一個でかいんだな。いただきまーす」

  「ばしゃしゃもしゃー」

  手を合わせ、食事を口に運び。

  「どうしよ、俺も鳴き声だけで喋ったほうが良いか? ぴっかっちゅう」

  全く似ていない鳴き声に、思わずエリコは吹き出してしまう。

  「あ、やーっと笑ってくれたな。良かった良かった」

  クスクスと肩を震わせるバシャーモを見ながら、タカシもほっと一息つくのであった。

  [newpage]

  その後、なんとか風呂に入り、夜になり。

  「じゃあ、一緒に寝るか」

  念のため消火器を近くに置きつつ、タカシが布団に入る。

  「ばしゃぁ」

  エリコも疲れたのだろう、眠そうに目をこすりながら布団に潜り込み。

  そのまま眠りにつく……つもりだったのだが。

  ふと、タカシの臭いを鼻がキャッチする。

  いつもなら気にならないはずなのだが、突如気になったのもあるのか意識してしまい。

  「……しゃ、も」

  タカシだ、タカシだと思うほどに……体がほてり始める。

  思わず、うっかり火が出ているのではないかと確認してしまうほどに。

  「しゃ、しゃも、しゃもぉ……」

  次に襲いかかってきたのは――強烈な性欲。

  タカシとは何度も寝たことがあるが、それでもこんなに飢えたことはなかった。

  挿れて欲しい、挿れて欲しい、挿れて欲しい!

  直情的な欲求が股間から送られてくるかのように、頭をもたげ始める。

  心拍が上がっているのが分かる。

  目がぐるぐるする。

  ドキドキが頭にまで伝わってくるようで、今にも爆発してしまいそうだ!

  「エリコー? 大丈夫か?」

  タイミングとしては、全く大丈夫ではなかった。

  むしろ、最悪のタイミング。

  発情してしまったポケモンの肉体は、視界に入った獲物に素早く反応し――

  「わっ」

  フーッ、フーッ、と荒い呼吸をしているのが、分かる。

  自分の腕が、大好きな人の腕を床に押さえ込んでいる。

  「お、おい、どうした!?」

  あれ、自分って、こんなに強かったっけ?

  そんな気持ちが一瞬よぎる。

  だが、そんな事より、交尾、交尾、交尾、交尾、交尾……!

  ポケモンとしての、ケダモノとしての本能が語りかけてくる。

  もう、我慢なんて出来ない!

  あっという間に押さえ込んだのとは対照的に、今度はゆっくりと顔を、嘴を近づける。

  大好きなタカシの唇に嘴が触れ、心がときめき。

  「わ、わ」

  驚いた顔が見える。

  大好き。

  私のものにしちゃいたい。

  大きく口を開き、わざとゆっくり首に近づけていく。

  うふふ、私はバシャーモだ。

  強いんだ。

  逃さないんだから。

  抵抗を許さないように、手に力を入れつつ……首を甘噛みする。

  「あっ」

  甘い声が聞こえる。

  そして、気が付く。

  タカシは全く、抵抗しようとしていない事に。

  思わず我に返り、恥ずかしくなり、手を引っ込めてしまう。

  「ば、しゃあ!?」

  「ばしゃあ、って。そっちから押し倒しといて、急に落ち着いちゃうのか?」

  からかわれている。

  だってだって、私、私。

  色んな気持ちがあふれてくるが……鳴き声しか出せない、この嘴をそっと彼の手が撫でてきた。

  「ポケモンになっても、エリコは俺の彼女、だもんな?」

  「しゃもぉ……♡」

  ああ、感じる。

  まだ火傷の痕は残っているであろう胸が、優しく愛撫されている。

  「しゃぁ、もぉおおん♡」

  もっと、もっと撫でて欲しい。

  無意識に、彼の手を掴んでもう片方の乳房に押し付けてしまう。

  「あれ、今日は随分エッチなんだな?」

  「しゃ、もぉ!」

  ほのおポケモンだからか、体が熱くて仕方ないのだ。

  好きだという思いがどんどん燃やされて、ガンガン高まっているのだ!

  「しゃも、しゃも……!」

  いつもならしないような事でも、ついついしてしまう。

  大きな爪をパンツに引っ掛け、早く脱げ、と催促する。

  「ん、あ、本番、したいのか?」

  あなたの、卵が、欲しい。

  明確な欲望が、脳を支配する。

  「ばしゃあ、しゃあ、もぉお♡♡♡」

  我慢できず、股を開き、アソコを見せつけるように体を動かす。

  蒸気が出そうなほどに熱く、トロトロになった入り口。

  果たして、人間のナニは耐えられるのだろうか……と少しだけ思ってしまう。

  「よ、よし、じゃあ、がんばるぞ……!」

  タカシは意を決して、全裸になる。

  「あ、ええっと」

  が、そこで手を顔の前に突き出してきた。

  「しゃぁも?」

  今更お預けかしら、と不満げな声。

  「お、俺の趣味で悪いんだけどさ。バシャーモ、バックでエッチしてみたいかな、って」

  「しゃも、しゃぁーも!」

  言われるがままに後ろを向き、膝を付き、大きく股を開き。

  本当は愛しの彼の顔を見ていたいのだが……挿れてもらえるなら、今はとにかくなんでも良い。

  「うわ、すっごく温かいな、エリコの体」

  覆いかぶさってくるのが分かる。

  手が背中から回り込んできて、胸を触ってくる。

  「ばしゃぁあん♡」

  情熱的な肉体が敏感に反応し、キュンキュンしてしまい。

  「い、挿れるぞ?」

  「しゃ、もぉおおおおお♡♡♡」

  少し入っただけなのに、もう絶頂しそうな声を上げてしまう。

  そのくらい、そのくらい、この体は敏感なのだ。

  たまたまなのか、バシャーモはみんなそうなのかは分からないが、とにかく、いいっ、いいっ、いいっ!

  全身が興奮し、イチモツを欲しがり。

  思わず、腰を引いて自分から奥にいざなっていく。

  「わ、わ、熱い、熱い、わっ!」

  タカシの声が聞こえるが、構わない。

  口ではそう言いつつも、彼がしっかりと自分の体にしがみついているのは分かっているのだ。

  欲しい、欲しい、子種が、欲しい!

  ときめいた心が脳を支配し、トロトロにとろけていく。

  がむしゃらに腰を動かし、彼氏のイチモツを貪り、刺激に溺れ。

  乳首がつままれ、胸が揉まれ、変形し。

  「ばしゃ、ばしゃ、しゃも、しゃも、しゃもおおおおおお♡♡♡」

  こんな声、恥ずかしかったのに、今は、鳴きたい、鳴きたい、鳴きたい!

  「あ、あ、え、エリコ、だ、出す、ぞっ、あっ、おっ……♡」

  セックスの激しさか、タカシはたちまち果ててしまう。

  腹の中に、異物が流れ込んでくる。

  「しゃ、しゃもっ、しゃもっ、しゃもぉぉおおお……♡」

  全身が悦び、震え、ひくつき。

  何かが抜けていくのを感じながら、エリコはバシャーモとしての快楽に沈んでいくのであった。

  [newpage]

  「あいててて……」

  「しゃ、しゃも?」

  「大丈夫大丈夫、ちょっとまだヒリヒリするだけだから」

  ここは研究所。

  やっと部品が届いたため、タカシが作業をしている、のだが。

  時々股間をおさえては、痛そうな声を上げている。

  「しゃもぉおお……」

  昨夜の出来事を思い出す。

  ほのおポケモン故に、膣内の温度が上がりすぎてしまったようなのである。

  幸い、火傷とまではいかなかったのだが……

  薄くハッカ油を塗ったかのような、ヒリついた刺激にタカシは朝から苦しんでいるのだった。

  申し訳ない、と思う反面……

  もう一度セックスをしたい、という感情が湧き上がる。

  それこそ、もう少し待てば人間に戻れるのだから何も気にせずセックスできるはずなのだが。

  不思議なことに、一度セックスをしたせいかこの体に馴染んでしまった気がするのだ。

  自分は元からバシャーモだった気がするし、バシャーモのままで良い気がするし。

  もちろんそれは良くないし、元に戻るために今タカシが頑張っているわけで。

  分かるのだが、分かっているのだが。

  「しゃ、もぉおお♡♡♡」

  「わ、わーっ!?」

  理性が一瞬飛び、全力で後ろから抱きついてしまい。

  次の瞬間、修理中の装置が激しく火花を散らし、煙を上げ、またもや爆発し。

  「ばっしゃあああああ!?!?!?」

  エリコは派手にふっ飛ばされ、壁の換気扇のスイッチにぶつかってしまう。

  重い音とともに、煙は消えていき……

  「ばしゃ、ばしゃぁああ!?」

  エライことをしてしまった、と叫び声を上げるエリコ。

  「ら、らぐぅ!?」

  が、消えゆく煙から聞こえる声は意外なものだった。

  「ばしゃっ!?」

  「ら、らぐぅ、らーじぃ!?」

  視界が晴れ、そこにいたのは……

  「ばしゃ、ばっしゃー!?」

  「ら、らぐ、らぐらぁー、じぃ!?!?」

  なんと、タカシはラグラージになっていたのであった!

  頭が横に伸びたせいでメガネはひんまがり、大きくなった体は白衣を破いてしまい。

  だが頭髪はしっかりと生えており、ラグラージなのにフサフサで。

  「バシャ、バシャーモ、しゃもしゃも!?」

  「らぐ、らーじ、らっぐぅ!?」

  ――ところで。

  ポケモンの体になったのなら、人間の言葉が喋れないのは仕方のないことだ。

  今、二人はポケモンになってしまったのでそれぞれの鳴き声を出しているだけなの、だが。

  問題はその先、である。

  『ポケモンの体になったからといって、ポケモンの声が理解できるわけではない』のだ。

  つまりどういう事か。

  「ばしゃ、ばっしゃー、しゃも、しゃー!?」

  「らぐらーぐ、らーじぃ、ラージラグぅ!?」

  そう、お互いに何を言っているのか、全く伝わらなくなってしまったのである!

  身振り手振りを使い、声の調子を変え、相手の目を見てはいるのだが。

  種類の少ない鳴き声では、どう足掻いても感情以上の事は分かりあえないのであった。

  慌てふためいている二人は、必死にバシャーモの体を、ラグラージの体を動かしている。

  が、それだけだ。

  それ以上は、どうすることも出来ない。

  爆発のせいで装置はますます壊れてしまい、修理はますます困難であろう。

  ふたりとも人間の手では無くなってしまったせいで、作業一つとっても大変なのは目に見えている。

  「ばしゃ、ばっしゃ! ……しゃあ」

  「ら、らぐぅ?」

  と、突然バシャーモが動きを止め、一点を見つめ始める。

  ラグラージは首を傾げ……彼女の視線の先の、自分の下の方を見た。

  「らっぐぅうううう!?」

  なんと、そこには人間そのままのチンチンがあるではないか!

  いや、よく見るとラグラージの肌の影響か……ラグラージ色をしている。

  そう、エリコがバシャーモになっておっぱいが残ったようにタカシはラグラージになっても、チンチンが残ってしまったのだ!

  「ばっ、しゃああああああ♡♡♡」

  バシャーモの性欲が、一瞬で主導権を得る。

  バネのように発射されたその肉体は、ヘッドスライディングするように男根に飛びついて……

  「ら、っぐぅううううん!?」

  ぱっくんと、口に含んでしまったのである。

  そのまま、うっとりとした顔でしゃぶり始めるバシャーモエリコ。

  「ぐぅ、らぐぅ、らっぐぅうううう……」

  ほとんどラグラージになったタカシは体を震わせ、その感覚に飲み込まれていく。

  本当なら止めるべきなのだろうが、全身がフェラの刺激に酔いしれ、それどころではない。

  と、同時に……タカシの心も、ラグラージの性欲が支配し始めた。

  「ぅうう、らぐぅうう、らっぐぅうううううう……♡」

  まだむしゃぶりついているバシャーモの体を掴むと、無理やり持ち上げて引きはがす。

  「ば、しゃぁ!?」

  口から先走りの糸を引いている彼女の体は……昨日とは逆に、ラグラージに無理やり床に押さえ込まれてしまい。

  「ば、しゃあ、もっ!?」

  「らぐぅううう、らっぐうぅううう、らぁああああああじ♡♡♡」

  すっかりオスの獣になったラグラージタカシは、大きな舌で愛しの彼女を舐め回す。

  舌が通り過ぎるたび、徐々に彼女の表情も緩んでいき。

  平たい手に固定された細い腕も、すっかり抵抗の意志を失っていた。

  「らっぐぅ、らっぐぅ、らっぐぅうううう!!!」

  完全に自分のペースで、ラグラージがイチモツをバシャーモの入り口に押し付ける。

  「ばっ、しゃあ♡」

  ずぶ、ずぶ、と入ってくる感覚に、エリコの心は再び狂っていく。

  体が熱くなり、またもやペニスを熱が襲うのだが……

  「らぐっ、らぐっ、らっぐぅうううううう♡♡♡」

  みずポケモンだからか、全く気にならないようだ。

  昨日とはうってかわって、激しいピストンがバシャーモに襲いかかる。

  「バッ、お゙っ、もぉおおおっ♡♡♡」

  「らぐぅ♡ らぐぅ♡ らっぐぅうううう♡♡♡♡♡」

  容赦ない腰の動きが、二人の心を高めていく。

  舌が胸を、顔を、体を責め、その間にもイチモツはバシャーモの中を大暴れ。

  「ばしゃあああ、ばしゃあああ、ばしゃあああああああ♡♡♡」

  「らぐぅううう、らぐぅううう、らぐぅううううううう♡♡♡」

  二人は同調するように声を高め、ペースを上げ、息を荒くし。

  「バッ、ばしゃぁあああああ♡♡♡」

  「ラグ、らぁあああああじぃ♡♡♡」

  全く同じタイミングで、共に吠えながら絶頂する。

  [newpage]

  と、その時であった。

  二人の肉体からエネルギーが溢れ、お互いに共鳴するかのように力がみなぎっていき……

  「メガバッシャァアアアアモォオオオオオ♡♡♡」

  「メェガァラグラァアアアアジィイイイイ♡♡♡」

  なんと、同時にメガシンカしてしまったのだ!

  挿入されたままのペニスが、メガシンカにより凶悪なサイズへと変貌する。

  だがしかし、同じくメガシンカした女性器も負けてはいない。

  「ばしゃあ、ばっしゃああああああ♡♡♡」

  髪が跳ね上がり、全身が燃えるような模様に変化したエリコが悦びながら肉棒を締め上げる。

  「らぁぐぅ、らぁあああああじぃいい♡♡♡」

  一段とたくましくなったタカシも、負けじと体を動かす。

  「ばしゃ、ばしゃ、しゃもぉおおおん♡」

  メガバシャーモが甘い声をあげ、メガラグラージの心を躍らせる。

  「らぐぅ、らぐぅ、らっぐぅううううう♡♡♡」

  辛抱たまらん、と言った調子かタカシが大きな手を使い、メガバシャーモの肉体を持ち上げる。

  「ばしゃ、しゃあ、もぉおおお♡」

  ちょうど駅弁スタイルのようになっているのだが……人間同士とは違い、メガラグラージの手は完全にメガバシャーモを安定させていた。

  「ばしゃ、ばっしゃぁ、しゃも、ばっしゃああああん♡♡♡」

  それを良いことに、メガバシャーモは胸を揉みながら愛するタカシの顔を撫で回す。

  「らっぐぅ、らっぐぅうううん♡♡♡」

  興奮収まらぬメガラグラージは、固定した彼女の肉体をオナホのように前後させる。

  「あっ、ばしゃ、んっ、ゃぁあああああもぉおお♡♡♡」

  メガシンカによってより逞しく、より強固になった肉体。

  オナホ代わりに扱われた所で、まるで苦痛にはなっておらず……それどころか、まだ足りないらしい。

  「んっ、らっぐぅ、らっぐぅ、らっぐぅうううう♡♡♡♡♡」

  抱き上げられたまま腰を動かすエリコにより、タカシはより複雑な刺激を受け続ける。

  メガバシャーモが腰を振り、メガラグラージがそれを前後に動かし、挿れられたナニはマッシブな膣によって責め上げられ。

  「ばしゃあ、ばっしゃあ、しゃああああああん♡♡♡」

  「らぐぅ、らっぐぅううう、らぁああじいいいいい♡♡♡」

  メガシンカのせいか、快感のせいか。

  完全に人間であることを忘れてしまったかのように、二匹のメガシンカポケモンは終わることのない交尾をし続けるのであった。

  おしまい

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