ものぐさ太郎は三年寝太郎ではなく、三年寝太郎は力太郎ではない

  寝るのにも體力つて使ふらしいよ。

  自律神経が糞なのか、ちよつと夜更かししたら永久に目覚めなくなるかと思つた。

  体力を使つて寝て、体力が切れたから又寝てゐる樣な氣氛だ。

  寝過ぎなのか、頭痛もする。

  蟲齒を放置してゐるからといふのもあらうか。

  三年寝太郎になつてしまふ。

  偖、物くさ太郎は三年寝太郎ではない。

  三年寝太郎は力太郎ではない。

  力太郎は垢太郎ではない。

  ものくさ太郎は、貴種流離譚である。

  貴族は着替へを自分ではやらない。人にやらせるのである。

  ものくさ太郎も、自分では何もしない爲に、村人から「ものくさなやつだ」思はれてゐた。

  然しある時、村に貴族がやつて來て、已むに止まれずものくさ太郎を接待役に抜擢した。

  (ものくさ太郎なら無礼があつて殺されても心が痛まないといふ判断か。)

  すると何と、ものくさ太郎は、貴族の作法を完璧にこなしたではないか。

  接待された人間が尋ねると、彼は尊い身分の出だつた。

  彼は都に歸つて官職に就いたとさ。

  シナの故事で、似た話に千里走る馬は居ても、見つけられるやつが居なければ、駄馬になるといふ話がある。

  意識高い系みたいだ。

  貴族だつたけど、田舎に逃れて「物くさ太郎」になつた人が一杯居たのではないか。

  それこそ、平安か鎌倉か室町か。知らんけど。

  無理にこの話から教訓を引き出すとしたら、人には人の事情があるから、自分の見方を押し付けてはいけないよ、とかだらうか。

  うーむ、やはり意識高い系みたいになつてしまふ。

  三年寝太郎は、三年寝てた。

  ある日、村に災害が起こると、寝太郎は馬鹿力を発揮して、村を救つた。

  彼は力を発揮する爲に、寝溜めしてゐたのだ。

  三年寝太郎には貴族の樣な繊細さはなく、純粋に腕つぷしの話だ。

  この後、何うなつたか知らないが、お侍さんになつたんぢやないか?

  それは金太郎か?

  力太郎は汚い話である。

  碌に風呂にも入らない爺と婆が、風呂を焚いた。

  其處で長年こびりついた垢を落とした。

  すると人間一人分の大きさになつたので、人形を作つた。

  子供の居ない老夫婦のもとに子供が與へられる奇跡といふのは、聖書でも昔話でも常道である。

  桃から生まれたから桃太郎

  竹からうまれたから竹子

  人から生まれたら人子

  垢から生まれたら垢太郎だらう。

  え、何? 違ふ?

  垢の人形は、ピノキオの樣に人間となり、しかも力持ちであつた。

  故に力太郎と命名した。

  正に、力こそパワーである!(????)

  折角だし鬼でも倒さうか。

  或いは熊と相撲でも取らうか。

  そんな話である。

  力太郎のその後を、私は知らない。