愉快な妄想ワールド

  スパゲティを買つた。

  スーパーの冷凍コーナーのやつで、所詮スパ王。

  されどスパ王。

  スーパーで食品表示をまじまじと見ながら吟味するのに慣れてをらず、恥ずかしかつたので適当に四種類購つた。

  一つを除いて全部豚肉が入つてゐた。

  アレルギー表示様々である。

  戦争の家または不信仰の家に生まれて、

  五行の義務は遂行せず、ただ酒と豚肉を避けるだけの日々。

  酒と豚肉が目の前に現れる度に、アッラーの影が散らつくのだ。

  アッラーはお望みの者を導き給ひ、お望みの者を迷はせ給ふ。

  スパゲティが食べたくて口に運びかけたが、これは欲望に従ふ行為であるとして、すんでのところでやめた。

  これを書く事がイスラム的に正しいとは思へない。

  もし、私がイスラム世界に生まれて、寺子屋を卒業し、マドラサでフィクフや神学を学び、スーフィーに師事して、これがその交換日記なのだつたら。

  でもさうはならなかつたのだ。

  全てはアッラーの御計画の内である。

  アラビア語も出来ない。

  五行すら出来ない。

  家から出られない。

  信仰告白にも行けない。

  だけど神社仏閣にはもう行かないよ。

  酒の席も絶対行きたくない。

  豚肉は要らない。犬の餌。

  豚肉の食事を家人に譲るのも不味いのではないか。

  不浄と分かつて食はせるのは、不孝かつ罪ではなからうか。

  さう考へると、私の頭の中に愉快な妄想ワールドが広がる。

  豚肉を積極的に犬に食はせるべきだ。

  犬も不浄の動物とされてをり、犬こそ豚肉を食ふに相応しい生き物だ。

  ペットショップで豚肉のドッグフードを高い物から買ひ占めてやれ!

  そして、犬にたらふく與へるのだ! 犬を肥やせ! 犬を養へ!

  さうした事の暁に、最早人間の食ふ分の豚肉は無くなつてしまふのだ!

  だつたら鶏肉や牛肉のドッグフードだつたり、キャットフードだつたりは、俺が代りに食つてやらう! ガハハ!

  でも、ほんとは国産の肉は食べちやいけないんだ。

  アメリカやブラジル、オージーは、[[rb:キリスト教徒 > 同じ一神教徒]]が多数を占めると看做せるから良いつてファトワーが出てるけど、日本は[[rb:世俗主義 > 多神教]]の天下だから。

  豚コレラ、大いに結構。

  世から豚農家よ、絶へて仕舞へ。

  そして彼らには代りの職や、生活保護をたんまりと與へるのだ。

  彼らに月世界旅行をプレゼントするのも良い。

  豚農家、月に行く。