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着ぐるみ噺13-1

  ここは、割と古くからある、大型のアミューズメント施設だ。

  都心に近いと言う立地もあって、長く親しまれているのだが、経営者が悪いのか、商売はぼちぼち、設備の更新は遅れがちで、郊外の施設に客を取られるという悪循環に陥っている。

  なんとか、しなくてはと言う状況で、上からはゆるキャラを使ったらどうかと言う、一周以上遅れたアイデアを押し付けられた。

  たかだか、一体のゆるキャラを出したところで、何が変わるとも思えない。有象無象のキャラの中に埋没するだけである。

  そもそも予算がない。デザインを自分で用意したところで、制作費は百万近くする。そんな金があるなら、もう少し使うべき所はあるだろう。いや、ないのだが。

  そんなこんなで、様々なサイトをぐるぐると見て回っていた。その時出逢ったのが、美少女型着ぐるみのサイトであった。

  その日は、酷く疲れていたのか、なんなのか、引き寄せられるように、発注ボタンを押してしまった。オリジナルのキャラクターデザイン、衣装諸々を含めて、かなりお安かったはずだが、その辺の記憶はあやふやだった。

  否、そもそも、モノが届くまで、自分が決定ボタンを押した事さえも自信がなかったぐらいだ。

  さて、それは兎も角、モノは届いてしまった。

  届く段ボール2カートンの筈だ。一つは面で、もう一つは衣装と肌色タイツ。そう思っていたら、4カートン届いていた。

  この辺りから、色々怪しむべきだったのだが、納品書は二つ分であったし、値段は、発注したときに憶えていたのと同じだった。

  一つ分でも格安だったのに、それが二つ。そして、お面や衣装を見る限り、出来は決して悪くない。

  訝しむ僕に対して、スタッフは楽観的だった。

  「一つ目は、係長が着るとして、もう一つはどうしよう?」

  何故か、僕が着る事になっていたようだ。

  反論してみるも、「任されたんだから」と言われた。他にも女性スタッフがいると言うのに、男が着るのもどうなのだろう?

  「まぁ、一度着てみて、ダメなら代わればいいし、どのみち、交代になるなら、言い出しっぺが着なくちゃ」

  なんか、煙に巻かれた気がしたが、客前に出るわけじゃないからまぁいいかと思った。

  そして、もう一体の着ぐるみは、立候補した女性スタッフが着る事になった。

  着ぐるみの名前は、レイとアンらしい。0と1と言う訳だ。

  僕が着るのはレイの方である。

  説明書きにあったように、肌色の全身タイツを着込み、衣装を着る前に、面を被った。

  自分でも、面を被る前に衣装を着た方が楽だろうにと思ったが、それに素直に従ったのだ。

  面を被り、視界を調整する為に、鏡を見ながら面を動かすと、ふとした箇所で、非常に落ち着きがいい事を見つけた。

  まるで、自分の顔に合わせて作ったかのように、視界は良好で、視線も自然な位置になった。(尤も、面の中の視界なので、狭いことは狭いのだが)

  鏡を見て、「よし、出来た」と思った瞬間に、それは起こった。

  股間のアレが、急に萎み、或いは体内に吸収されて、内側に何かが形成される感じとなった。

  尻や胸に入れたあんこも、身体と馴染み、感覚を一にするとともに、その曲線も非常に自然なものへと変化した。

  太腿やウェストもそれに倣って、膨らんだり縮んだりした。

  何やら、整体で骨の位置を直して貰ったかのような感じが、骨盤で起こる。

  手を見れば、浮き出ていた血管が凹み、全体的に細く、丸みを帯びた指となった。

  これは異な事だと、面を外そうとするが、一向に外れない。

  顔の周辺と頭部が密着しているようだ。

  ファスナーも消え去り、完全に、着ぐるみと一体化してしまった。

  助けを呼ぼうと、声を上げようにも、一向に声は出ず、呼吸音だけが面の中に響いている。

  慌てふためく姿を、鏡の中に認めると、全裸である事が急に恥ずかしくなる。

  ひとまず、大人しく、衣装を着ることにした。

  下着から一つずつ着ていく。なかなか複雑な衣装だ。

  結局、半分ほど着替えたところで、助けを呼びに行くことになった。

  が、相手の反応は「可愛い!」とか「係長とは信じられない」と言うばかりだった。

  他のスタッフが、残りの着替えを手伝って、その後、漸く、書くモノが用意された。

  そこで、脱げない事実を告げることが出来た。

  アンが出てきたのも、その頃である。

  アンも脱げなくなってしまったようで、取り敢えず、製造元に問い合わせようという事になった。

  しかし、自分のアクセスしたパソコンからは、肝心なところの履歴が消えており、自分でも、どうやって辿り着いたサイトなのか、皆目見当が付かない。

  完全に、突き当たってしまった。

  「まぁ、折角の着ぐるみだし、暫く、パークに寝泊まりしていれば?」

  周囲は、楽観的で、そして他人事であったのだ。

  明日まで脱げなかったら、部屋を用意すると言う約束はなんとか取り付け、今日は、仕方なしに応接間のソファで眠る事にした。

  ここで困ったのが、寝られる部屋が、レイとアンで一部屋だと言う事だ。僕は兎も角、アンの中身は女性だ、気を遣わざるを得ない。

  が、しかし、アンの方は一向に構わないと言う事で、同じ部屋で寝ることになった。

  衣装に皺が寄るのは良くないだろうと言うことで、急遽買ってきたパジャマに着替え二人で寝室に入る。

  皆が退館し、周りが静けさに包まれると、アンの態度が急変した。

  肩を掴み、ぐっと壁に押し付けてきたのだ。

  この時、アンとの体格差に気付いた。いつの間にか、身長まで逆転していたのだ。

  何をしたいのか全く分からなかった。が、仄かな混乱を来していた。

  こちらが無抵抗であると、アンは片手を首に、もう片手を股間の方に持っていった。

  パンツ、ショーツと身体の間に手を滑り込ませ、自分も意識してこなかった、秘部に振れた。

  刹那、自分でも何が起こったのか分からなかった。背筋に電流が走ったようだった。

  それは快感と言えば、快感に近いものであったが、恐怖の方が全てを優っていた。

  アンが股間をいじり続けると、そこから卑猥な音が奏でられるようになった。

  明らかに濡れているが、叫びたいほどの感情の方があり、他に何も考えられなかった。

  何よりも、首を押さえられていて、後ろに逃げる以上、呼吸が苦しくなるばかりであったのだ。

  それらを考えると、もはや、自律など利かなくなり、最終的に失禁してしまった。

  そのお陰か、漸く、アンの拘束は解かれたが、今度は、足が震えて、そのままへたれ混んでしまった。

  それを見たアンは、自分のパンツをずり下げ、私にその逸物を見せつけたのだ。

  硬く、締まっているようで、外見はタイツに包まれている。それでいて、ディテールは亀頭の形がしっかりと保たれている。

  レイは「ああ、これから自分は犯されるのだ」と察した。だからといって、逃げることはできなかったし、覚悟することもできなかった。

  アンは当然の如く、愛撫もなしに、レイの股間にあるスリットに挿入した。

  レイの感覚では、沈み込んだちんこが、その中にある筈である。

  が、レイが感じたのは猛烈な痛みでしかなかった。

  頭の中で吹き荒れる叫びの種類が変わった瞬間である。

  「いいから、早く終わって!」

  面の中で目をぎゅっと瞑って耐える。

  尤も、レイにしても、アンにしても、面の表情が変わることはなく、お互い笑顔でまぐわっているのだ。

  アンは、必死に腰を振り続け、そして、遂に中に射精した。

  レイは、脈打ちながら注がれる精液の温度を感じながら、やっと終わってくれた安堵と、それ以上の虚無の気持ちに襲われた。

  レイは、放心状態のアンの顔や頭を撫で、急に優しい態度を取り始めた。

  どれほど時間が経ったのか、レイが立ち上がると、アンは、床の掃除をし始めた。

  気付けば、ドロドロになっていた股間は、すっかり清潔になって乾いている。

  こんな事態になったと言うのに、説明書にあった「メンテナンスフリー」と言う言葉を思い出していた。

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