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【琥珀の牢】青龍と『白龍』と仙人と

  避難小屋の一間にて、

  二人の青龍が並んで横たわり互いの手を重ねるその下にあるのは『分家の石』

  想念を記録し、又、閲覧する道具として使われ今も又、、その中に意識を潜らせた二人が

  

  ・

  ・

  ・

  

  「此れが"蒼龍の里"ですか、、」

  そう感じ入った様子で呟くのは茶羽織を召した白髪の青龍、黒田宗左衛門

  その横顔を眺め

  「そう、、、、我の故郷だよ」

  感慨深く答えるのは膝丈まである紺の長作務衣を着けた灰髪の青龍、蒼雷

  因みに此方の方が二百歳近く年上である

  

  二人の目の前に広がるのは、蒼雷の記憶を元に造られた"蒼龍の里"の記録の中の光景

  前を行き交うのは、二人と同じ翡翠の角に青い肌を持つ龍人達、、、

  

  「忘れたつもりは無いのだけれど、改めてこういう形で目にするとね、、、

  やはり懐かしいね.......

  君はそうじゃないの?」

  同族である筈の白髪龍の様子にふと違和感を感じて問うてみれば

  尚も自身と同じ姿の者達がごく普通に暮らしているその光景に感慨深げに

  「私は五歳の時にこちら(東夷)に連れて来られた所為か、幼い頃の西域の記憶が

  無いのですよ、、

  覚えているのは西域を離れる際に船から見た、港が水平線に消えて行く光景位で、、

  実を言えば、自分の出自に関しては西域生まれと言う以外の事は何も知らないのです」

  さらりと、、、言葉の内容にそぐわない

  少し困った様な、何処か寂しさが滲んだ笑顔を返すのに

  「知らないって......親とか、、親類とか、、

  君の"親戚"達は、、、、、」

  予想外の言葉に戸惑う灰髪龍へ淡々と

  「....突然、連れて来られたのだと聞いております

  一緒に預かって欲しいと赤い龍人の"親戚"が私の育て親の虎人の元へ『石』と共に、、、

  私が西域の生まれで、歳が五つという以外の事は何も告げずに」

  「そんな!?

  いきなり連れて来て預かれって、、、その育て親の人もどうして何も聞かずに、、」

  灰髪龍のそんな納得しかねる様子に苦笑いして

  「その事に関しましては、、、父....育て親の方ですが

  その頃既に"親戚"として『石』に関わっていたので私の事よりも、、いきなり

  "『石』を預かってくれ"と言われて気が動転したらしく、、断ったらしいのですが、、

  気がついたら私と『石』が目の前に残されていた.........そういう事らしいのです

  その後、赤い龍人は二度と姿を表さず詳しい事は判らぬままで、

  父もその事に関しては気に病んでおりまして、、、

  "せめてお前の名前を聞いておくべきだった"と何度も謝っておりました、、」

  更に驚き

  「え!?じゃあ、君は自分の名前も、、

  自分では覚えていなかったの?」

  と白髪龍に問えば

  「其れが、、最初は確かに西域語らしき言葉を拙い様子で話していたらしいのですが、、

  子供の物覚えの速さでしょうかね、、"ご飯"という言葉を覚えてからすっかり東夷語

  しか話さなくなったとの事です........私もその頃の記憶は曖昧でして、、

  養子として竹盛の姓を譲り受けた東夷育ちの龍、竹盛惣右衛門....それが私なのですよ」

  静かに笑みを浮かべて答えるその顔に、、、何かを見てとった灰髪龍が

  「....悪い事を聞いちゃったかな、、」

  バツが悪そうに答えるのに

  「いえ、気になさらないでください、、、、当然の疑問ですし....

  かつて、百三十年程昔になりましょうか......"親戚"としての務めを果たす為に西域へ

  赴いた際に自身の出自を調べてはみたのですが、、、」

  言い淀む白髪龍に

  「何か判った事があったの?」

  先のやりとりもあって、気を遣いながら尋ねる灰髪龍へ

  「それが、、、色々とありまして、結局殆ど判らぬまま、再び此方へ戻ってきたのです」

  今度は白髪龍の方がバツが悪そうに答えるのに

  「そうなんだ、、

  君は"知りたい"と思った事はなんでも知る事が出来るのかと思っていたのだけど、

  ままならない事もあるんだねぇ」

  灰髪龍が巫女に頼まれた鏡を造る為の資料探しの際の白髪龍の手際の良さを思い返しながら呟く灰髪龍

  白髪龍の助力により鏡の作製に必要な知識を得た灰髪龍が

  "このまま只で使わせて貰うのは悪いから"と

  お礼に『石』に"蒼龍の里"を記録したのを二人で検分していて今に至った次第

  

  

  

  白髪龍が感慨深げに

  「私が知らぬ事などまだまだ沢山ありますよ....

  今こうして"蒼龍の里"を目にし、尚且つ"銀虎"という長命種の事まで、

  獣人の長命種の里とは、、、まるで伝説の始祖の様ですね」

  「始祖? 何だい其れは?」

  四百歳を超えた龍が初めて聞く言葉に興味津々な様子で聞き返すのに

  「ごく一部にのみ伝わっている物なのですが、、

  かつて、、言葉さえ無かった時代、龍人と同じく獣人達も皆長命だったという時代が

  あったという伝説がありまして」

  「へえ!?

  そんな伝説があるなんて、、本当に君は博識なんだね」

  と驚嘆する灰髪龍に苦笑し

  「いえ、

  私もその事を探求されてる方々と親しくなった者が偶々私の親しい者だったので

  知っただけで....何でも、、"仙道"と云うのだとか、、」

  「仙道って、仙人の"仙"?」

  訝しげに灰髪龍が問うのに

  「ええ、まあ、、長命を得る事自体が目的では無く、

  獣人と龍人の違い等を含めた人の命の有り様を調べるのが最終的な目的なのだとも

  その研究の過程で長命を得た方もいらっしゃるらしいのですが詳しくは私も、、」

  白髪龍が密かに

  ...あの方が"仙人"だと言われても、皆の想像からはかけ離れているからねぇ...

  と思った事を隠して苦笑する様を、首を傾げて見つめていた灰髪龍が何かに気づいた様に

  おもむろに

  「やっぱり、、ちょっと確かめた方が良いのかもしれないね

  君が里の事を覚えていない事もだけど、、我も里長として君の事が思い当たらない事も

  気になるし、、蒼龍の者が他の地で君を産んだ事も考えられるけど、、、」

  意味深げな灰髪龍の言葉に

  「あの、、一体.....」

  「君から仙人という言葉を聞いた時に、不意に君の髪の色が気になってね、、

  "まるで仙人みたいな白髪だな"と、、

  その髪は染めてはいないのだよね?」

  「ええ、若い頃、、五十歳位迄は黒く染めていましたが、その後は特には、、

  昔からこの色(白髪)なのですが....」

  「普通、蒼龍は六百歳位にならないと髪の色がそうはならないんだよ

  我が四百歳少々で髪がこの通り(灰色)だからね

  三百歳を超えていない君の髪がその色なのはね....」

  

  「では、私は蒼龍では無いと......?」

  灰髪龍の言葉に動揺の色を隠せない白髪龍が呟くと

  「いや、少なくとも蒼龍に連なる者である事は間違いないと思うよ

  唯、君の髪だけが偶々白いだけなのか、それとも我の里でも知っている者が少ない血筋に

  あたる者なのか、それを確かめたいのだけど、いいかな?」

  自身の出自に関する詳細が判るかも知れぬこの機会を"否"という筈も無いのだが、敢えて聞かれる事に違和感を感じた白髪龍が

  「あの、、どの様な事をなされるおつもりでしょうか?」

  怖ず怖ずと聞き返すと

  「お互いの躰を見せ合うだけだよ、、我では駄目かな?」

  口端を吊り上げ片目を瞑って返され、肩の力が一気に抜けた白髪龍がほうっと息を吐き

  「では、、御願いします」

  と含み笑いで羽織の紐を解き始めるのを見て

  「うん、遠慮無く」

  と一挙手で自身の長作務衣を脱ぎ褌一丁になり、白髪龍の背後に回り茶帯を解き始める

  瞬く間に羽織、長着、襦袢を肩より脱ぎ滑らせ褌へ手を掛ける手際はまさに四百歳の年の功

  白髪龍が"いえ、そこは自分で"と恥じらうのを口吻で塞ぎながら越中褌を解けば、巨根ではあるが獣人と同じ形の逸物が口吻による欲情で鎌首をもたげた姿が露わになる

  自身の褌も解いた灰髪龍が、興味深そうに顔を近づけ

  「うん、間違いない、、、君は『銀雲』だよ」

  「....あの、説明していただけないでしょうか」

  自身の睾丸を弄られ、そのまま情交へと至ってしまいそうな流れに危機感を覚え慌てて

  年上の龍へ説明を求めると、、申し訳無さそうに顔を上げ

  「ごめん、ごめん......ついね、純然と大きさと形が似ているなぁって思って、、

  我のを見れば違いが判るよ」

  と灰髪龍がその身を起こせば、総排泄孔(スリット)という龍人としては一般的な陰部の形状が尾の付け根にあるのが目に入る

  しげしげと見比べている白髪龍へ説明し始める

  「銀虎と蒼龍、、あの争いの前は交流が盛んでね、、中には夫婦になる者達も居たんだ

  只、その際子供を作らない事が暗黙の了解みたいな事になっていて、、」

  白髪龍が黙したまま目線で先を促すと

  「躰の違いが大きい所為なのだろうけど

  子供は出来ないか、生まれても天寿を全う出来ない事が殆どでね、、

  其れに一部の長老達には"混血は忌み子"という偏見も残っていて尚更、、

  だけどある時、銀虎の男と蒼龍の女の間に生まれた娘が長命の血を受け継いだだけでなく

  蒼龍と銀虎の双方の特徴を受け継いだまま、その血筋を徐々に増やしていったんだよ

  其れが『銀雲』、、青い躰に銀の髪が空に浮かんだ銀色の雲の様に見えるという意味でね

  『銀雲』の女性は相手が銀虎か『銀雲』であれば『銀雲』の子供を産んだんだ

  だけどあの争いで皆が忽然と姿を消してしまって、、、、

  あの混乱の中、銀虎との繋がりを疑われて真っ先に殺されてしまったのでは無いか?

  そう言う者も居て、、、、 あの争いから漸くに銀虎との仲を修復出来たものだから

  里でもあまり触れない様になっていて、、、、」

  「私がその血を引く者と?」

  漸く口を開いた白髪龍が念押しする様に聞き返すと

  「先ず間違い無いと思うよ

  単に此処の形だけなら他の獣人との混血も考えられるけど、君は二百歳を超えているし

  それにその髪の色はやはり銀虎の毛並みに似ているよ」

  僅かな逡巡の後、白髪龍が

  「もしかしたらですが、、この争いが終わった後、西域に行く事があるかもしれません

  その時に里への同行をお願い出来ますでしょうか?」

  と意を決して尋ねれば

  「我にもやるべき事があるからね、、其れが終わったら考えておくよ

  今はこういう返事しか出来ないけど良いかな?」

  「有難う御座います」

  頭を深々と下げる白髪龍に

  「所で、続きを始めないかい?

  このままだとちょっとね、、」

  と自身の逸物が総排泄孔から飛び出している様に少し顔を赤らめている灰髪龍へ

  「ええ、喜んで御相手させていただきます」

  と顔を上げ、そのまま身と唇を重ねて、この景色の木陰の中へとゆっくり押し倒した.....

  

  

  

  [newpage]

  同日....夜八つ(午前三時)時、、、

  

  

  「あぁ.....」

  呻き声を洩らして身悶えするのは、熊の中でも一際大柄な昇月村の幻内

  しかし平素の彼の者を知っている者にはこの光景はにわかには信じ難い物であろう

  

  一糸纏わぬ姿で腰を動かし反り気味に跨るのはこの船の主・・・白天龍の白い腹の上

  騎乗位で汗を振り乱すその様を額に薄っすらと汗を浮かべながらも下から満足そうに眺め

  「そんなに儂のモノが良いか?

  この淫乱な雌犬め!」

  そんなからかいの響きが交じった詰りの言葉を投げかければ

  「んぁ、、そん、、」

  恥ずかしげに目を逸らし僅かに腰の動きを緩めた大熊の様子に目尻を緩ませ

  「ふふ

  まだその様に恥じらうか、、、、仕方の無い奴め

  しかし....本当はもっと欲しいのであろう?」

  熊の股間の小ぶりなモノに手を伸ばし太い指には似合わぬ繊細な動きで扱いてやれば

  「あ....うぅぅん、、、」

  呻き声と共に我慢汁を吐き出しながら小ぶりな逸物がぬらぬらと起立し始め

  自身のモノが勃上がると共に、先に感じた恥じらいさえも情動へと転化されると

  老白龍の逸物を内側に抱えたまま腰の動きが激しくなり、加えて先の白龍主導の四回の行為で多少とも加減が判ってきた所為か、、拙いながらも力を加えて下の入口を締め付けてみせれば、流石の老白龍も言葉責めをする余裕も無くなり

  「むぅ、、」

  口を真一文字に結んで、白い被毛の手を茶毛の腰に添えて自身の腰をゆっくりと腹上の熊に合わせて振り始め、、

  

  互いが無言のまま相手の動きへに合わせる事へ集中し、

  「ん、、」

  「はぁ、、」

  くぐもった水音が互いの微かな喘ぎと交じって淫靡な音色となって響き、ついに、、、、

  「くぅ!!」

  「あっ、、ん!」

  果てるのは同時、、、

  白龍の"気"にあてられた熊が、股間から白い精を吐き出し腹上で溜まりを作って

  糸が切れた様に茶の腹毛を白く汚しながら倒れこんでくるのを優しく抱きとめ

  背中越しに自身の大きな逸物が抜けた穴から流れ出す精が敷布の上に大きな溜まりを作るのを満足気に見やり、、、吐息がかかる程間近な横顔へ視線を移す

  

  僅かに残った力で目線を上げ

  「天龍様、、もう、、」

  白い口吻が言葉を遮り

  左腕でそっとうなじを抱き寄せぴたりと押し付けられた口より互いの愛液を交換し合うと

  茶毛の頬にほんのり赤みが戻ってくる

  「儂はまだ少し物足りないがな」

  口端を上げ、感じ入ってぼうっとしている眼前の熊へそう告げて笑いかけると、

  恥ずかしそうに熊が

  「はい....私ももう少しだけなら、、」

  先程よりも幾分、精気を取り戻した様子で応えるのを満足気に眺め

  「ふふ、、そう無理をせずとも良い

  初めてで一晩に五度続けてならば上出来というもの

  少し休むが良かろう...」

  その言葉を聞き、気の緩みと共に眠気が襲って来たのか、

  「はい......」

  熊が白い被毛の胸に顔を埋めて眠りに落ちる....

  

  そっと脇へ横たえ、深い眠りに落ちた事を確かめると白い手が天蓋の隅から伸びた呼び鈴の紐を引いた.....

  

  

  

  部屋の外より控え目に扉が叩かれる

  『茶宇肪(チャ・ユーファン)でございます、、、宜しいでしょうか、大人(ターレン)?』

  『うむ』

  返答に応えて静かに扉が外より開かれれば、、

  赤い毛玉の様な姿ながらも弛みの無い体の犬獣人の後ろの者達が換えの敷布を抱えて控えているのを一瞥し

  『では、後は頼んだぞ

  儂はこの者を浴池(湯殿)へ連れて行かねばならぬのでな、、』

  すやすやと寝息を立てる大熊を両腕で抱きかかえたまま、起こさぬように声を潜めて老白龍は部屋を後にした.....

  

  ・

  ・

  ・

  

  『白龍』の船内には湯殿が二つある

  一つは乗組員達の為の広さ四丈(十二メートル)四方の浴場で浴槽も一度に大人数が入浴できる様に広い物となっている

  しかし、問題点が一つ、、、、真水である

  乗組員全員の入浴となるととても入浴に真水の供給量が追いつかない

  その為、大多数の乗組員は、入る前に体を真水で洗った後に海水の浴槽に浸かり、出た後に体を真水でさっと流すという事になる

  

  もっとも入浴自体は東夷の習慣であるので、無理に浴槽を設ける必要も無かったのだが、、

  乗組員への福利厚生には手を抜かない事で有名な『白龍』、、白天龍の一言で常設する事となり、逆に此処で入浴の習慣にはまってしまう者も多い

  浴槽を設けているのだがこちらは船員達に『洗澡(シーザオ)』と呼ばれている

  

  さて、これとは別にもう一つ、二丈(六メートル)四方の浴場がある

  来客用であり、又、入浴時間が不規則な者(主に白天龍)の為に開放されている此処の浴槽は海水以外にも真水や薬湯などを使う事が出来、造りも豪奢なのであるが、これは白天龍の趣味というよりも、商談相手をもてなすという使用目的を兼ねている為である....浴槽の広さも此処の乗組員四人がゆったり浸かれる程度....航海中は白天龍自身も海水を使用する事が殆どである

  『浴池(ユーチン)』と呼ばれているのはこちらの方である

  

  

  さて『浴池』には二人の先客が居た、、、

  

  一人はこの船の『主管(大番頭)』の『趙進(チャオ・ジン)』、齢六十二の灰顎髭を生やしたでっぷりと肥えた虎であるが、湯船に浸かるその裸体は意外にも弛みは少ない

  いざとなれば己一人でも白天龍の盾となるべく功夫の鍛錬を欠かさない事の証であろう

  

  もう一人は『随船大夫(船医)』の『黄琪翔(フゥアン・チーシィアン)』

  こちらは身の丈の半分程の長い顎髭を湯船でくゆらし大きな尾とゆったりとした体つきが如何にも現世離れした狐の好々爺、、、、実年齢は.....

  薬師も兼任しており、白天龍が扱う薬の大半は黄が調合もしくは手配したものである

  

  さてこの二人が此処に居るのは....

  『"只の健康診断"....そうおっしゃいましたよね、老師』

  虎の非難めいた右横からの視線を涼しい顔で受け流す狐爺は

  『だからその通りじゃろう

  房中術なんぞ天(ティエン)の奴から数えきれん程、ヤられておるのに今更何を

  恥ずかしがっておる?』

  "物が視えているのか?"

  親しい者でさえ判別つかぬ糸目のまま、右眉を吊り上げ応えると、、、

  

  ....因みに房中術とは仙術の健康法の一つ、男女間の愛の営みにおける気の巡りを外に漏らさずに循環させる事で気の巡りを整える物である  この場合は雄同士であるが.......

  

  『私の部屋(執務室)で始められては困ります!!

  しかも、こんな時間(明け方近く)まで、、、

  他の者に示しが....』

  堪りかねた虎が湯船から立上がり抗議した拍子に湯が勢い良く溢れるのに構わず

  ニヤリと右眼を開き見上げ

  『お主が何かと理由をつけて儂の部屋(医務室)へ来んからじゃ....

  それに、、施術中は随分気持ちよさそうに喘いでおったがの~

  それとも天(白天龍)の奴じゃないとやっぱり駄目か?』

  と更に赤面させられる始末....

  

  『良いから座って湯に浸からんか?

  せっかく気の巡りを整えても、心を乱してはな....』

  口調は変わらねどじっと見上げる眼差しに、、、、渋々腰を下ろす老虎が溜息を漏らすのを横に見ながら

  『先の寄港から少し気にはなっておったが、、、

  先刻の施術の最中も僅かじゃが気の滞りが見られたぞ

  なんぞ悩み事でも抱えて居るのか?』

  『いえ、、そんな事は....』

  必要あらば声を張り上げ檄も飛ばすが、平素は物腰柔らかに淡々と職務をこなし

  大人(ターレン)不在時に大事あっても決して揺るがぬ『蒼虎』の通名と些か違う

  この様な姿を見せるのは、ターレン以外に若干名、、、

  

  なにせこの狐爺....齢五八三にして白天龍よりも先輩の"仙人"

  仙洞『巫蠱(医学・薬学)』の使い手にして西域の秘薬の数々を使いこなし

  ターレンさえ頭が上がらぬ相手を目の前にしては隠し事など到底無理な事を悟り、

  重い口を開く

  『実は戸惑っているのです....その...仙人になったという事に』

  

  体を捻って向き直った狐爺が老虎を前に語り始める

  『お主は一緒に見てきたであろう....五十年共に我らの探索の旅を』

  『はい..』

  

  『太古、儂やお主の様な獣人も龍人と同じく長命だったという伝承...."始祖"たちの時代

  その古(いにしえ)の血を色濃く残す者を探し、その血を目覚めさせる

  代償として長い鍛錬を必要とし、其れでも目覚めが叶わぬ時もあるが

  長命とかつて始祖が持っていたとされる力の一部を得る

  肝心なのはこの先じゃが、、、、

  目覚めにより得られたこれらの力を詳しく調べ、始祖を含めた人の命の有り様を探る

  其れが我らが探求する仙道』

  

  黙したまま聞き入る老虎を前に先を続ける

  

  『この探求の意味は獣人だけに留まらん

  長命の龍族さえ、、何が原因か未だ突き止めておらぬが長命を失う事例がある

  天(ティエン)の郷里の事は知っておるであろう?』

  『ええ...』

  老虎の脳裏を過るのは、二十の頃に初めてその事を知った時の驚愕

  ある時期を堺に白天龍と同族の者達が次々と長命を失ってしまったという異変

  仙道によって再び長命を得る事が出来たのが白天龍を含め僅か三名だけという事実、、

  

  『お主は我らが長年かけて蓄積してきた知識を元に

  この五十年、仙術の鍛錬に励んで来た

  いわばお主の今の体は我らの成果の証、、、

  其れに仙人へと至ったからには後に続く者達を導かなくてはならぬ

  今更、その心構えが出来ていない訳でもあるまい?』

  

  仙酒(ソーマ酒)、、

  伝承に伝わる飲んだ者を不老不死にするとされる伝説の聖酒

  この巫蠱の仙人はその製造法を伝承しており、近年に於いても改良に余年が無い

  しかし、、、この仙酒は毒と言ってもいい代物

  

  古の血が濃い者が服せば、始祖達が持っていたとされる力

  所謂、仙術の類に目覚める事があるが、しかしそれは却って寿命を削りかねない物で、、

  元々、古の血が鎮められている事で生命として安定している状態を敢えて崩すその代償は決して軽くない

  

  仙術に目覚めた者は、ある者はその力を行使する代償として本来よりも更に短い生を終え、、

  大半の者は、、早い遅いの差こそあれ、熟考の末、諦めと共にその力を手放す事(封印)で人並みの寿命を取り戻そうとする

  

  その先、、、

  一度"古の血"によって傾いた生命の天秤を、半生を掛けて"仙人"と言う錘(おもり)を造り

  平衡を取り戻すという気の遠くなる様な道を選び、且つやり通せる者はほんの僅か、、、

  だが道半ばで降りた者達を責める事なかれ、、、、この老虎とて

  長い鍛錬の末に結局"仙人になるに到らず"という事も充分にあり得たのである

  

  元々の長命な者、例えば白天龍などの龍人の場合は

  古の血を再び呼び覚ます事さえ出来さえすれば、新たな安定状態への移行、、即ち仙人となる事はそう難しい事では無い......元々の躰の造りが古の血との相性が良いからである

  

  しかし、古の血が濃いとは言え獣人の仙術使いは、、、

  ともすれば元(古の血が眠る状態)に戻ろうとする躰に鞭打ち仙術を使い続ける事で己の古の血が眠ろうとするのを妨げ、その反動を抑える為の気の鍛錬に数十年を費やし、、

  安定期に入るまでの長い期間、僅かに気を緩めれば忽ち体調を崩す先の見えぬ日々ををくぐり抜け、、、そうしてさえ、仙人にまで手が届かなかった者は少なくない

  これ程割に合わぬ賭けも無いであろう

  老虎とて、、"たとえ己が仕損じたとしても、その記録が後々に白天龍達の役に立つ"

  そうした思いで続けた末に此処に辿り着いたに過ぎない

  しかもまだ、これで漸く入り口、、、だが老虎の声は

  

  『はい、その事については然と心得ております』

  普段の落ち着きのあるその声に迷いや後悔の類は見えないが....

  

  『では、、、何を戸惑っておる?』

  両目を僅かに開き腕組みをする狐爺へ

  『先の寄港地が私の郷里の近くである事は覚えておられますか?

  内地へ十里程入った所が私の生家が有った場所でして、、、、

  あの時ターレンより五日間のお暇をいただきまして

  私、両親の墓参りとその折に十五年ぶりに実家へ立ち寄ったのでございます』

  

  

  狐爺の脳裏を過るのは、『白龍』始まって以来の総力戦?の四日間....

  あの白天龍....性欲の塊が四日間を誰ともまぐわうこと無く書類と格闘している姿、、

  老虎の秘書を務めている茶宇肪(チャ・ユーファン)は勿論、、事務能力がある者は例外なく駆りだされ....

  例外は船医である自身と、厨房を預かる老太猪の『安洵(アン・シュン)』の二人のみ、、、

  二日目にして、一人また一人と激務に倒れ、さながら野戦病院の様相を呈していく執務室とその周辺、、、、少しでも精をつけさせようと狐爺と老太猪がそれぞれ秘伝の薬と食を振る舞うも、戦況?は改善の兆しを見せぬまま四日目へ....

  

  老虎の事務采配は、元々の事務能力の高さと仙洞『風水卜占(占い)』の合わせ技で効率を飛躍的に高めた他の追随を許さぬ物....

  普段、老虎が不在の際の事務処理の穴埋めをする同じ仙洞『風水卜占』の仙術使い

  『大幅(航海士)』の太猫『呉鎮(ウー・ヂェン)』が港の屋台で食あたりを起こして寝込んでいる最中、事務処理の停滞を予期して帰郷を渋る老虎を白天龍が無理矢理帰郷させたのだから当然の結果なのであるが......

  

  もしも、太猫が四日目に戦線(事務処理)復帰していなければ

  白龍が"建前上"は涼しい顔をしてこの虎を出迎える事は無かったであろうと思うと

  少しばかり治療の手を抜いて、一日程太猫の戦線復帰を遅らせてやるのも一興だったと思う次第....五日間の休暇を終えた老虎が白龍へ

  

  『あの、、本当に何も御座いませんでしたか?』

  『ある訳が無かろう!!

  それよりも....お主が居らぬ間、少し溜まっておってな、、

  今から少し付き合って貰うぞ、、、』

  と白龍の五日間の溜まりに溜まった性欲を炸裂させられた次の日に何食わぬ顔で職務に復帰する老虎に驚愕させられる乗組員達、、、『白龍』の面々にとっては色々と忘れられぬ七日間であった.....

  

  

  慌てて意識を現在(いま)に戻し、

  『確か、、お主の家筋は一度、無くなったのであったな....中央の政変に巻き込まれ、、

  お主が彼処(寄港地)でスリで生計を立てていたのもその所為であったのだろう?』

  『ええ、、

  辛うじて家族と共に謀殺される前に私一人が逃げおおせる事は出来たものの、、

  あの頃(十二歳)はもう本当に望みも無く、その日をただ生きる事だけで、、、

  それがまさか、、大人(ターレン)の財布を狙った事で、よもやこの様に人生が変わるとは

  想像も出来ませんでしたが、、、』

  当時に思いを馳せて遠くを見る様な目で微かに笑みを浮かべる老虎に

  『確かに、、

  あの頃のお主は、身なりさえ整えれば女どもが放っておかぬ美少年であったな

  顔立ちは兎も角も、、此処は随分と変わったのぅ』

  ニィと笑って老虎の膨よかな腹を揉み始める狐爺、、、、

  この程度の"せくはら"は日常茶飯事と軽く受け流して老虎が先を続け

  『お陰で、ターレンのお力添えも有って、三つ上の従兄弟が当主となって再興が叶った

  のが三十年前、その後、最後に会ったのが十五年前で御座いまして』

  『それで、、なんぞ困った事でも起きていたのか?』

  あの時の騒動で、帰郷した時の様子がどんなだったのか聞き忘れていた事を思い出した狐爺が内心の葛藤をおくびにも出さず何食わぬ顔で尋ねれば

  『いえ、、万事滞り無く、、、

  手紙のやりとりは続けておりましたから、上手く行っている事は知っておりました

  ただその、、「次は何時来てくれるのだ?」と催促が何度もありまして、、』

  『全く、、、自分の事になると後回しにしおって』

  『はは、、面目御座いません』

  

  苦笑する老虎の表情に陰りが無い事を見た狐爺が不思議そうに

  『その様子では、嫌な目に会うたという訳でもなさそうじゃのう、、

  どうして又、今迄里帰りを渋っておったのじゃ?』

  『近くに立ち寄った際の仕事の間が偶々悪かった所為もあるのですが、

  どうも、その、、、

  あちらでは私の事が誇張して語られている様でして、、

  前回といい、その、、あまりの歓待に少し申し訳ない様な気がしまして、、、』

  恥ずかしそうに答える老虎に

  『御家再興の立役者の一人が、天下の白天龍の懐刀とあっては皆が放って置く訳もあるまい?

  良かったのう、、、今度は昔と違って男の方も選び放題じゃぞ?』

  茶化す狐爺に困り笑いで応じる老虎、、、しかし、ふと、、

  懐かしむとも、寂し気とも、何とも形容しがたい表情で

  『只、、従兄弟と会ってきたのですが、、、孫達に囲まれ幸せそうでありましたが、

  三つ上とは思えぬほど年を、、、いえ、歳相応なのでしょう....

  六年前に当主を甥(子息)に譲った事は知ってはいたのですが、

  正直、直に会うまでは此れほど驚くとは自分でも思っておりませんでした、、』

  『それで、、、?』

  『此処に居る時はあまり感じませぬが、、

  私は随分と世間と違う道に入ってしまったのだと、そう認めざる終えませんでした』

  静かに答える老虎の視線は、自身の遥か先を行く目の前の"仙人"に据えられる

  『ほほう、、仙道を歩んでいるという事を漸く自覚したという訳か』

  返されるは、満足気ではあるが一抹の寂しさを含んだ笑み、、、

  『今迄は、まだ心の何処かで、

  いずれ体も衰え、、身を引いて静かに後進の指導をしながら静かに余生を過ごす

  そんな事を漠然と思い描いていたのですが、、どうもそうではない

  本当に"仙人"になってしまったのだと、、、』

  『で、、なんぞ思い立った事でもあるのかえ?』

  『まだ先の話ですが....

  いずれ茶が仕事の全てを引き継いだ暁には、私は一度今の職を辞そうかと思っております

  私が茶達の邪魔になってはいけない、、私は自分の役割を見直さなくてはならない

  その為に老師やターレン以外の仙人の方の生き方を見て回ろうかと、、

  もう暫く先になりそうですが』

  思いを吐露して穏やかな笑みを浮かべる老虎に

  『さようか、、』

  珍しく神妙な面持ちで答える狐爺........

  

  

  

  ....一間の静寂を破ったのは外から掛けられた馴染みの声

  『すまんが、開けてくれぬか?

  両手が塞がっておるのでな、、』

  

  慌てて湯から飛び出し入口の戸を開けば、両腕で東夷の熊を抱えて立つ

  老白龍の姿が目に入る

  『ターレン、、、』

  呆然と呟く老虎を前に飄々と

  『どうした、そんな顔をして?

  手伝ってくれぬか、、

  この者の躰を濯いでやらねばならぬのでな、、』

  と寝息を立てる熊の体をそっと床に下ろせば

  『ほお、、此れがお主が目をつけた雄か?

  いい躰をしておるの~

  それに、、、仙骨とは違うが"古の血"が色濃く出ておるのも興味深い』

  横たえられた小山の様な茶毛の躰を更に確かめようと、狐爺が手足を取って裏に表に返しながらその毛の汚れを濯ぎ始めたのを見て

  『では、師兄、、、

  その者の介添えをお願い致します

  少々疲れておる様なので、精をつける薬など処していただければ、、』

  後は医者に任せた方が良かろうと、客人の熊を師兄の狐爺に預けた老白龍は

  目の前に佇む老虎に向き直る

  

  『どうして此処へ?』

  漠然すぎるその問いに

  『まぐわった後の汗を流したいと思うのは特別な事ではあるまい?

  まあ、黄"師兄"にこの刻に呼び出された所為でもあるがな、、、』

  と老虎の背中越しに狐爺に目礼をする老白龍

  慌てて頭を返せば

  『儂よりも天(ティエン)に何か言う事があるのでは無いかえ?』

  仔細も見逃すまいと、顔がつきそうな近さで舐める様に茶の躰の其処かしこを診て回る狐爺に声だけで返事を返され、、、ふと気が付けば

  

  『先程のお主達の話が少しばかり漏れ聞こえてな、、

  帰郷話と一緒に詳しく話してはくれぬか?

  どうせなら儂の背中を流しながらな、、、』

  いつの間にか湯殿の一角に腰を下ろし背を向けた老白龍が振り返って笑いかけてくるのに

  『仰せのままに、、ターレン』

  つられて笑みを浮かべ大きな白い背を湯で洗いながら語り始めたのを

  目の端で見届けた狐爺が、僅かに口端を上げ熊の体の検分を再開した....

  

  ・

  ・

  ・

  

  『白龍』では"朝議"と呼ばれる評議がある

  

  傍目には不規則な生活の様に見えるが毎朝の各長との会食を欠かさない白天龍

  その後に開かれる、各部署の長からの報告を聞き白天龍が指示を出す評議を

  白天龍の御前会議という意味とも、朝の会議という意味とも、その両方を掛けたのか

  誰とも無く"朝議"と呼び始めたのがそのまま定着した次第

  

  『浴池』で狐爺に"触診"と称して散々体の隅々まで弄られたにもかかわらず深い眠りに落ちたままの大熊"幻内"を医務室の一隅へ寝かしつけると、老白龍、狐爺、老虎の三名は朝食の席へと向かう

  

  昨日より一睡もせずとも、気を操る術(仙術)を会得している三人にとってはさしたる問題にもならず、普段と変わらぬ様で西域の貴族趣味の一間に入室すれば、

  大きさ一丈程の丸い卓を囲んで既に席に着いていた他の長達が立礼する

  老白龍が貴族風の赤い漢服の袖より掲げた白い右手で応え、早々に席に着くと

  一同と卓に並べられた朝食とは思えぬ量の料理を見渡し満足気な笑みを浮かべて

  『皆、待たせたな

  朝餉をいただくとしようか』

  

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  

  いつもの賑やかな食事が終わった後の"朝議"も何事も無く進み、、、、

  否、『水手長(甲板長)』の骨太と言うには少々肉が付き過ぎた中年の狼

  『李守仁(リー・ショウレン)』が厳つい顔に似合わぬ諦め顔で"一応"の抗議を試みる

  『ターレン、、

  いくら停泊中と言いましても、船員が全員手空きになると言うわけでは.....

  新人の"味見"は少し控えていただきませんと、、、』

  夜の相手なら兎も角も、、、、昼からでは仕事に差し支えると、古参の乗組員が危険を察知して身を潜める代わりに犠牲になるのが、新人達、、、

  航海中は流石に控えてくれるものの、その分寄港した際に"新しい雄"の味見と仕込みを

  一気に行おうとするのは毎度の事ではあったが、、、、今回は新人だけでは飽きたらず、その場に潜んでいた古参の乗組員達までも餌食になり....

  上の立場は老白龍"大人(ターレン)"と老虎"趙"の二人のみ

  実質上の"船長"の懇願に

  

  『ふむ、済まぬな

  あの時は少々抑えが効かなくてな、、、

  まあ、当面はその事に関して心配はしなくて良いぞ』

  そう答えて舌なめずりする老白龍を見て、

  ...ああ、あの頃(海賊)に戻りてぇなぁ、、、

  いっそ、あの時斬首されていた方が平穏な人生だったんじゃなかろうかと、ターレンの働きかけによる恩赦が恨めしく思えて嘆息する太狼、、、、

  

  隣で苦笑いしながら『机長(機関長)』の壮年の厳つい大熊猫(パンダ)

  『燕中平(イェン・ヂョンピン)』が訛りのある西域語で

  『しかし、、、

  今回はどの様な用向きで、此処(狗走島)に入港したんでありましょうか?

  この国(東夷)が長らく門戸を閉ざしていた故、

  取引した品々は確かに本国(西域)で高値で商う事が出来ましょうが

  本来の『白龍』の役目とは些か違う気が、、、』

  

  『白龍』は世界を巡り、値打ち物を見つければそれを高値で取引もするが

  本来の目的は、西域以外の家畜もしくは作物を持ち帰り西域での生産を可能にする事

  

  近代的な保存技術が発達してない時代に於いては、小麦の様な保存が効く一部の穀類以外の海路輸送は難しい

  

  たとえ交易で取引出来る物だとしても、他の国より海路を介して運ばれる物より、

  内地の運河で運んだ方が運搬にかかる労力も国を越える手続きも無い分、利鞘は大きい

  

  他の国では気候が合わずに生産を断念せざる負えない物も、、

  東西南北に広い陸地を有する西域ならば元々栽培又は養殖されていた国の気候と合致する地域がほぼ必ずと言っていいほど存在する

  多少高くついたとしても、生産に成功すればそれに見合う富を生み出す事が出来る

  何よりもその土地自体の富の底上げを図る事が出来る....商機が増えるという事でもある

  

  だが、当然そう簡単に事は運ばない

  家畜なら、原種を連れて西域へ戻る海路の最中に遭遇する様々な気候の変化、、

  運良く生かして気候の適した場所に連れ帰れたとしても易々と繁殖出来る訳ではない

  作物も同様、種(たね)の状態ならば運搬は比較的容易いが、栽培するとなると障害は多い

  

  そこで『巫蠱(医学・薬学)』の仙人"黄琪翔"の出番となる

  この狐爺の知識が網羅するのは人の体だけに留まらず、この世の生き物全般に及ぶ、、、

  この仙洞が有って初めて成り立つのがこの商いのやり方

  家畜の原種を海を超え生かして連れ帰り、作物の発芽・育成条件を見極め、、

  実際、黄とその弟子達の手によって生産にまで漕ぎ着けた農作物は少なくない

  一部の穀類や嗜好品の類、珍しい毛が採れる家畜など、、

  

  しかし、それだけではまだ儲けに繋がらない

  農地の確保という問題が控えている

  それを育てるのに適した土地を見つけても、既に耕作地になっているか

  思わぬ形で隠れ里に出くわすか、、、どちらにしても無人という場合は皆無である

  

  最初にその土地で、栽培方法を自分達が確立しなければ生産を委託する事さえ難しい

  どうにかしてある程度の大きさの農地を確保する必要に迫られる

  経済的に困窮している地主から土地の一部を譲ってもらえれば良い方で、、

  止む無く自作農から土地を買い上げ、荘園経営とした所も少なからずある

  その場合、小作農として留まって貰う場合が大半であるが

  それでも形だけとは言え金銭で解決出来れば良い方で、、、

  

  

  隠れ里となると問題は更に複雑になる

  外敵と見なされ、その土地に立ち入る事さえ難しい場合も往々にして起こり、交渉さえも出来ぬまま時が過ぎ....

  しかし、、一旦耕作可能な土地と知られれば、後から来る入植者は抑えようもなく、やがて不幸な衝突を経て、里の者が更に僻地に追いやられるか、入植者の波に飲み込まれるか、、

  

  幸いにして里長が開明的な志向の場合は、少しだけ事態が良い方向へ向かう事もある

  『商会』が土地を借り受け、穀物を実らせて見せれば徐々に里の中にも話を聞く者が増え、、

  渋々ではあるが、里の共同体を守るために『商会』所有の荘園となる事に里長も同意し

  そうして辛うじて生き残れた数少ない隠れ里があり、、、

  

  そうした里の出自の所為か、大熊猫は外に対して必要以上に意地を張る癖があり、

  "いつか外の者達を見返す" かつてはそうした思いを糧に外の世界を学ぼうと里を出て

  白天龍の密かな援助の元、中央にて貪欲に知識を吸収し、、、

  やがて、形はどうあれ残れただけ自分達の里はまだ運の良い方だったのだと知って

  外からは欲の塊にしか見えなかったあの老白龍へ対抗心以外の感情の芽生えを覚え

  その活動への興味から『商会』に殻繰師として出入りする様になり、、

  

  いつしかその傍らで働く様になった自分を

  "里長に続いて俺もあの強欲爺にしてやられた"

  そう自嘲するも、老白龍にしてやられてしまった己が嫌でも無く....

  しかし、そんな思いを抱えているからこそ自身が機関長を務める『白龍』が本目的以外の

  こうした国情視察等に駆り出されるのは少々面白くなく、つい一言言わずにはいられない

  ...一体今度は何企んでやがる? この強欲爺、、

  

  

  『名士の方々への土産を忘れてはおらぬかな?

  此処はその手の物を調達するには丁度良い場所であろう?』

  そうにこやかに答えるのは『楽師長』の壮年の小柄ながらぷっくりした

  小熊猫(レッサーパンダ)の『文雪峰(ウェン・シュェフォン)』

  ターレンがあまりに"斬新すぎる"土産を選んだ際の保険の土産を確保する係でもある

  

  これ迄の『商会』の活動を他の商人達が黙って見ている筈もなく

  真っ当に協業(農地の提供等)を申し込んでくる者も居るのだが、

  生産されている物を農場から直に盗もうとする者も後を絶たない

  大抵の場合は、無駄に死なすか枯らしてしまうだけなのだが、、、

  

  しかし寡占状態が続けば今度は、甘い汁を吸おうとする地方の『名士(貴族)』と結託して圧力をかけてくる者達も現れる

  

  そこで、、、、

  改良を重ね、栽培が比較的容易になった品種の作物や家畜の生産を、その土地の名士や商人達に委託する事で抱き込み、代わりにその扱いを一任させる事で流通を掌握するという政治の真似事までせねばならない

  

  事業の立ち上げより、その節目節目で短い時でも二年、長ければ十年まるまる自ら西域を回って地方名士との折衝に当たらなくてはならなかった白天龍が、現在の様に外洋に出て年の半分以上を西域以外の地域での探索に費やす事が出来る様になったのは

  所属する『商会』の労力(名士との『付き合い』をどう呼ぶかは人それぞれだが、、、)の賜物である

  

  現在、南蛮への定期交易船団『黒耀船団』と並んで大黒柱となっているこの事業、、

  本来ならば今でも白天龍自ら西域を駆け回って地方名士との『付き合い』をせねばならぬ所を、申し訳程度に立ち寄って挨拶する事で済ませて貰っているのは

  一つはやはり、『白龍』の陣頭指揮をしていた方が商会全体の利益になるという意見と

  もう一つは、世界各地で見つけてくる"お土産"である

  

  生来の好奇心で見つけてくるそれは、地方名士に珍しがられ、時には贈られた事自体がある種の"格"となり、商会内部の運営の潤滑油にもなる物で、、

  

  大熊猫同様に隠れ里出身のこの小熊猫はかつて『商会』の一員として西域各地を飛び回って

  地方名士との折衝に明け暮れ、今は楽士長としてターレンが西域の地方名士を訪問する際のお膳立ても行う身からすれば、些か直情的な大熊猫の言動は

  嫌いではないが、一言苦言を呈さずにはいられない物であり、、、

  

  大熊猫が、その種(パンダ)には似つかわしくない苦々し気な表情でそっぽを向くと

  周りの長達が "ああ、またか、、" と苦笑する

  職場で何かと言い争うこの二人、職場以外でも互いに憎まれ口を叩きながら一緒にいる光景を度々目撃されているのだから、その仲は言わずもがな、、

  

  "もう頃合い"と見定めた、いつもの青い法服に身を包む大番頭の老虎がこの場を締めくくる

  『では、再度の確認を、、、

  現在、この島は内戦の小康状態にあり、この湾内も決して安全とはいえない事

  不要な上陸は出来るだけ避け、必要な場合でも日の入りまでには必ず戻る事

  以上を皆にもう一度念押しする事、、

  出港は十四日後を予定しているが、有事の際には予定を切り上げ西域向け出港する事

  何か付け加える事は有りますでしょうか、ターレン?』

  『いや、

  今日も皆の働きに期待しておる、

  以上だ』

  厳かに老白龍が告げると、各長が持ち場へと戻っていき、、、、老虎が

  『では、私も仕事が控えておりますので、、、、』

  と退室すれば、残されたのは老白龍と狐爺の二人のみ

  

  

  

  ふらりと卓を半周して白天龍の側に回った黄琪翔が口を開く

  『本来の役割か、、、

  時々儂も随分と回り道をしている様な気にさせられるな

  お主のやり方には』

  答えを求めぬ呟きの様な問いに対し、老白龍が

  卓の上の己が手を静かに見つめたまま僅かに口角を上げて振り返らずに答える

  『仙道の探求だけが儂の目的ではありませぬよ、師兄

  欲しい物に手を伸ばさぬのは儂の主義に反します故』

  

  仙術には仙酒(ソーマ酒)以外にも必要な仙薬が複数存在しており

  最初に古の血を目覚めさせる劇薬"仙酒(ソーマ酒)"

  再び古の血が眠りに入ろうとするのを妨げる"来陽"

  古の血の反動を穏やかにする"陽光"

  

  それらのうちの二つ "来陽"と"陽光" その原料は地元でのみ知られる薬草の類

  人の手による栽培が未だ成し得ていないその野草達の自生している地域が『商会』の荘園と多くの所で重なっている事は偶然ではない

  

  仙道の探求への必要量を遥かに上回る此れだけの量を確保するのは酔狂などではなく

  それら仙薬の他の効能を探る為、、、無論、薬としての商いも考えてはいるが

  其れよりも、、、、

  

  機関長の大熊猫の故郷の隠れ里もそうした中の一つである事

  或いはこの商いが遠因で大番頭の老虎の本家が巻き込まれた政変が起こった事

  其れ等が脳裏を過り、

  『その所為で泣く者が出ても構わずにか、、、

  相変わらず欲深いのう』

  諦めの笑みで嘆息する狐爺に

  『儂が大人しくしていても、泣く者が居なくなる訳ではありませぬから、、

  それに、、打てる手も打たずに手をこまねいていては家族(『白龍』乗組員達)を

  更に泣かす事にもなります故、、、』

  

  世界を巡る『白龍』の乗組員達が直面する課題は多い

  次々と変わる気候や、地元の食材を使うしか無い場合の変わった食事などへの適応等、、

  中でも、、最も深刻なのが風土病である

  地元民には大した事の無い軽い流行り病が、たまたま寄港していた『白龍』の乗組員達の命を奪う事態も度々起こり、、、

  これ迄に『白龍』が蓄積した記録や、黄達『巫蠱』の仙術使い達の弛まぬ努力により

  流行りの時期を予測して寄港を避ける事や、効能が見込める薬剤の開発に漕ぎ着ける等々

  しかし、、それでも命を落とす者を完全に無くす事は出来ず、、、

  

  そうした者達へ思いを馳せて尚、、、

  世界を巡りその変わる様を見続けたいという好奇心

  欲しいと望んだ物(者)へ躊躇わずに手を伸ばした時の心の躍動

  何よりもそうした喜びを分かち合える者達(家族)と共に過ごす時間

  己が欲がそれらを決して手放さぬであろう事を、己の心の内を真っ直ぐに見つめる白龍が弁解でも熱く語るでも無く、、淡々と事実を述べて行く様に語るその様(さま)に、、、

  

  ふと、、狐爺が懐かしむ口調で天井を見上げ

  『家族か、、、

  儂と師匠と、お主にお主の母、、もう三百年以上の昔になるのか、

  あの頃はたった四人だというのに

  お主の母が『商会』を立ち上げた時から、儂等は求める物が皆違っておったな、、』

  そんな様を見て、、瞳が緩み微かに柔和な笑みが溢れ

  『母は居場所を作る為、師匠と師兄は仙道の探求の為

  儂は世界を見て回る事が望みでしたな、、』

  

  白天龍と名乗る前、、『楚天(チュウ・ティエン)』というその大きな体躯に収まりきれぬ好奇心の持ち主の龍の少年の"世界を見て回りたい"という無邪気な思いで

  黄とその師匠の探索に同道する形で始まった旅は

  やがて、、、夫(天の父)に死別された義理の母、、鮮烈な赤毛以上に豪放な性格が印象に残る獣人の女性が立ち上げた『(赤毛)商会』を、三人が手伝う形で続けられ、、、、

  

  『あの頃は『商会』が港で集めた見聞を頼りに、儂か師匠のどちらかが船医として交易船

  にお主を連れて同乗して、お主が現地で買い付けを行っている間に儂等が噂の真偽を

  確かめに行って、、、随分とのんびりやっておったな』

  『『商会』が船を持てるようになるまで、暫くかかりましたからな、、

  まあ、船を持てた後でも(南蛮の)交易路から外れた場所へはなかなか船は出せませ

  んでしたが』

  『確かに、、、、

  お主が今の商いを始めてくれたお陰で、堂々と世界を船で巡る事が出来る様になった

  『白龍』と名の付いた船でな

  今は少しばかり仙道の探索で寄り道(寄港)をしても何も言われずに済む

  もっとも、、立ち上げで散々苦労させられた事は忘れられぬがな』

  

  少年の頃のままに貪欲に商いと仙道の双方の知識を吸収し続けた才気溢れる龍の商人は

  やがて、二つの道を一つに束ねてみせた

  

  『白龍』による仙道の探求、、、

  

  元々、黄とその師匠の仙洞『巫蠱(医学・薬学)』の探索の目的の一つは仙酒を始めとする秘薬の製法と材料を探す事であり、その知識は作物の栽培にも応用が効く

  当時南蛮でのみ栽培されていた穀物の一つを、西域で直に栽培する事で収益を上げる事で始まったこの事業は、穀物の原種を世界から探し出すという点で仙道の探索と重なる所も多く

  やがて、、本格的に事業が立ち上がるにつれて『商会』の組織的な支援も手伝って

  これ迄の数少ない仙人達だけの探求よりも遥かに効率的にその知識が深められていった、、

  獣人達の目先の利益と結びついているのだから、その推進力は凄まじく、、、

  ただし、現在の形を確立させるまでの苦労も並大抵の物では無く

  特に師匠が六十年前に行方知れずとなってからの黄の負担は大きく、更に近年は

  その知識が富の源泉と見なされ、黄本人と連なる者達へ付き纏う者達も現れ始め

  黄自身ならばあしらう事など容易いが、、弟子達を狙われる心境は穏やかではない

  無論それを黙って見過ごす様な『商会』ではないが、、、

  

  狐爺の"造り笑い"の据わった瞳をやんわりと受け止め、ニィと口角を吊り上げてみせると

  『ふふ

  師兄と言えども、"只"という訳には参りませぬ

  儂は商人なのですから、、、、

  なればこそ、、儂がこの船を扱う意味も判ってくれましょう

  関わる者は皆、我らにこの船を託しておるのです、、その期待を裏切る様な真似をすれば

  この船はおろか、『商会』での立場も危うくなりましょう』

  『だから、、常に利益を追求しなくてはならぬか、、

  なかなか思う通りにはいかぬものだな

  天下の白天龍と言えど、、』

  

  これ迄、老白龍との間で幾度と無く繰り返した一連の会話の行き着く先を思い返し、

  大きく嘆息すると、、、本題に入る

  『しかし、なれば何故に此処(狗走島)に後十四日も留まるのだ?

  この国(東夷)の国情視察が必要だった事までは判るが、、、、

  これ以上長居をすればこちらに飛び火する事が無いとは限らぬ事くらい

  わざわざ儂が言わんでも判っておろうに?』

  『争いの決着が付いた後、真っ先に勝った方へ手を差し伸べれば

  此処での後の商いに何かと都合が宜しいかと、、、

  日和見の誹りは免れぬかもしれませぬが、国を巻き込んだ此度の争い、、

  今、一旦この国を離れてしまえば

  政情が落ち着き再び入国出来る様になるまでは何年もかかるかもしれませぬ

  そうなってからでは、商機を失するかと』

  

  さらりと答えた老白龍へ、、一拍の間の後に渋い顔を向け藪睨みの眼差しで

  『お主.....こうなる事を知っておったのか?』

  『流石に我らが寄港したこの時に此度の争いが起こる事までは、、、

  しかし、備えはしておりました

  "あの者"からの忠告は受けておりましたので、、、』

  

  苦笑しながら答える老白龍が思いを巡らせるのは"備え"の一手の

  外洋にて待機中の『黒耀船団』が内の一隻、"疾風"が通名の旗船『黒虎』

  これ迄の経緯は既に伝えており、もしもの時は船長に『白龍』を見捨てて西域に戻る様に然と申し付けてある、、、この地に『商会』が助力すべきかどうかの判断も含めて"任す"と

  それと、、"龍帝"傘下の船が一隻、、流石に本人は乗っていないと聞いてはいるが、、

  

  そんな思案をおくびにも出さない老白龍に

  『あの者?』

  と首を傾げる様を見て、、、含み笑いで

  『先日訪ねて来た青龍ですよ、師兄』

  と返せば、漸く合点のいった様子で

  『ああ!!

  お主から逃げ遂せたあの.....孝之助の大叔父だったな、、、、、』

  

  先日の手痛い"失点?"を指摘され、、一転、珍しく苦虫を噛み潰した様な表情(かお)で

  『今の所、東夷の国情を知る手段は限られておりますので、、

  あの者から密かに届けられる便りは貴重な見聞なのですよ

  しかし、文だけでは伝わらない事も有る故、一度直に逢いたい旨を文にて伝えた所、

  此処(狗走島)を指定されたという訳です

  東夷への視察を兼ねてなら特に問題にもなりませぬ故』

  と答えるのを面白そうに眺め、、、先の驚愕を無かったかの様に狐爺が

  『逢って話をするだけではあるまい?

  互いに"親戚"同士とあってはな、、、』

  と意味深げな視線を送れば

  『ええ、"石合わせ"をする為に預かってきておりますよ、あちら(西域)の"親戚"から』

  と老白龍が懐から取り出したのは『分家の石』....孝之助から預かった"石"とは別物である

  

  "石合わせ"とは違う地域で活動する親戚が互いの石を持ち寄り、石を合わせる事で石の中の記録を複写しあう仕儀の事

  七年前に西域にて、孝之助の計らいにより"親戚"となった白天龍

  孝之助が帰国後も西域の親戚達との親交は続き、今回の東夷訪問を知った石の担い手より

  この石を預けられた次第、、

  

  『あの惣、、いや、黒田宗左衛門と申す者、、孝之助の大叔父だけあってなかなかの曲者

  仕事も抜かり無い様で、、、

  あの朝の後で確かめましたら、この石に確かに"石合わせ"がされておりました』

  と自分の領分(『白龍』船内)でしてやられた事を思い返して憮然として答える様に

  堪え切れずくっくと

  『出し抜かれたのか?

  白天龍ともあろうものがか?』

  傍らにて卓に手をつき左手で脇腹を抱えて苦しそうに涙目で笑う狐爺を横目で睨み

  ...次は必ず床上でお主の"啼き声"を聞かせてもらうぞ、宗左衛門

  と静かに闘志を燃やす老白龍、、、

  

  ひとしきり笑いの"発作"が治まった狐爺が涙を拭うのも忘れて振り向き

  『いや、済まん済まん、、まさかお主にその様な顔をさせる相手がまたも現れようとはな』

  と言葉とは裏腹の表情で答えるのに、出来る限り心裡が表情に出ぬ様に気をつけながらも

  『......兎も角も此方(東夷)の政の事情は判りましたし、

  孝之助の石とも"石合わせ"をしましたのでこの島の内情も粗方は掴めました』

  と声が硬くなるのは致し方なし、、、

  

  

  

  『では、後は此処から成り行きを見守るのみか、、、』

  卓を離れ窓際に立ち、狗走島を眺める狐爺の背後より

  『儂はもう少し此処を見て回ろうと考えております

  気になる物(者)も有りますし、

  何より、あの者は儂自ら出迎えて『もてなし』せねば気が済みませぬ故』

  と内なる闘志を秘めた肉食獣の笑みで答える老白龍の様を振り返らずとも想像出来た狐爺が

  大番頭の老虎の気苦労に思い至って苦笑し、無駄と知りつつ一応の釘を刺す

  『お主なら何処へ行っても問題無かろうが、、

  あまり趙を心配させるでないぞ』

  『はは、、此度の一件が我らが望む形で落ち着きましたら、この島の温泉へ慰労に連れて

  行くのも一興かと....

  それが叶わぬ場合となれば、西域への帰路でじっくりと労ってやろうと』

  照れくさそうに返ってきた言葉を聞き頬を緩め、、、、しかしふと思案気に振り返り

  『しかし、、

  儂もあの者には興味があるのでな、、、一度会ってじっくり話をしたい所ではあるな

  特に、生まれについてな』

  狐爺の意外な言葉に老白龍が訝しげに問い直す

  『生まれとは、、?』

  『あの者はどの種族に与する者なのかと思うてな、、』

  

  『巫蠱(医学・薬学)』を探求する仙人"黄"にとって長命種の調査は重要な課題の一つ

  何よりも長命種を長命たらしめる要因を解き明かせば、今迄経験のみに頼っていた仙術使いを"仙人"へと導く手法に、新たに重要な手掛かりを見つける事ができるやもしれない

  こうした事から、この狐爺は見ただけで大概の長命種の種族を判別出来のだが.....

  

  『"蒼龍"では無いと?』

  老白龍が僅かに驚きを持って問い返す

  仙洞『幻術』を研鑽する仙人"白天龍"にとっては、洞の知識の外の事ではあったが長年調査に同道する中で身につけた長命種に関する知識により、

  何も知らぬ者ならば"只の青龍"と済ませてしまう所を、翡翠の角と少ない鱗の外見から西域でも珍しい蒼龍と推察したのはむしろ讃えられるべき事

  しかし狐爺が首を横に振り

  『確かに蒼龍の特徴が出ておるが、、

  あの白髪、、もし蒼龍であるならば六百歳を超えていなければあの様には、、

  否、元から白いと言っていいようなあの見事な白色

  それにあの時一度すれ違うただけだが、蒼龍の"気"とも違った様な、、、』

  かつて、とある蒼龍を"触診"した経験から否定すると

  『そう言えば、、、石の中の記録にも、五つの歳の頃に東夷に連れて来られてから後の

  記録は残されておりますが、出生に関する物が見当たりませんな、、、』

  手にした石の記録を閲覧した老白龍がいよいよ持って困惑を深め答えれば

  互いが顔を見合わせ

  『....先程の「迎えに行く」という話だが、儂も付き合っても構わんぞ

  ただし、、お主の『もてなし』の前に話をさせてもらうという条件を飲んでもらえれば

  だがな、、』

  と狐爺が切り出せば

  『話をしてもらう代わりにと、逃げるのを手助けしたりしないでしょうな?』

  と老白龍が牽制し

  『何を言っておる!

  儂とてあの者への"触診"の機会を逃す気はないわ!』

  と兄弟子らしい主張をする狐爺、、、、やがて

  『では、、決まりですな』

  『うむ、、二対一と云うのは些か心苦しいがこれも仙道の為、、』

  互いが"邪"と言っても過言ではない笑みを浮かべて頷き合い、

  ひとしきりの間の後に老白龍が

  『では、何時、何処へ「迎えに行く」かは後でお知らせします故』

  と席を立ち部屋の出口へ向かへば

  『うむ、今はお互い待たせている者がいるからのう』

  狐爺も続いて部屋を後にした

  

  ・

  ・

  ・

  

  寝室に戻った老白龍が中央の豪奢な天蓋付きの寝台へ足音を立てて近づけば

  誰も居ないはずの寝台から微かな呻き声が漏れてくる

  声も立てずニィと口端を吊り上げ、、、

  寝台の下の"隠し抽出"をそっと引き出せば、其処には愛しの稚児....大熊猫"鈴零"が

  縛める縄の隙間より白黒の被毛をぷくりとはみ出させ猿轡をされた姿が露わになる

  そっと顎に手を添え顔を上げさせれば、潤んだ瞳で見つめ返し

  下腹に視線を下ろせば、、、、

  昨晩の大熊とのまぐわいを間近で聞かされ我慢出来なかったのであろう

  数回分の精が白く粘つき下腹の黒い毛を汚しているのが目に入る

  

  『『おしおき』だというのに我慢できなかったのか、、、仕方の無い子だ

  我慢が出来ぬ悪い子にはもう少し『おしおき』が必要かな?』

  そっと顎から手を離し立ち上がる素振りを見せれば、

  薄っすらと涙を浮かべ猿轡越しに口を動かし訴えかけるその様が堪らなく愛しく感じ

  『冗談に決まっておろう』

  屈み込み手早く猿轡を解き、その小さな口を貪る様な口吻で愛液を注いでやれば

  負けじと喰らいつく様に、、乾き以外の何かを潤す様に喉を鳴らす

  ひとしきりの啄み合いの後、そっと口を離せば"もっと"とせがむ愛しい顔が間近に迫る、、

  背中から抱き上げ寝台の上に座らせてやると

  『ターレン、、、』

  熱に浮かされた様に見上げてくる稚児の逸物が立ち上がりとろとろと濡れそぼるのが見え

  背に回された手首の革枷を外して両手を自由にしてやれば

  腹に抱きつき物欲しそうに見上げるその顔に、劣情が鎌首をもたげるのを下腹で感じ

  『さあ、、

  儂が脱ぐまでの間もう少しだけ我慢しなさい』

  頬をそっと撫でて体から離してやると、自身の漢服の紐を解き始める老白龍、、、、

  

  

  

  医務室に戻った狐爺は、密かに盛った一服によって大熊が寝入ったままなのを確かめると、今度は薬湯の治療の為に設えられた医務室専用の湯槽へ足を運ぶ

  其処には、縛められ目隠しされて媚薬の薬湯に浸けられた太犬"孝之助"の姿が、、

  おもむろに手を伸ばし右の乳首を抓ってやれば

  『あぁ、、』

  と湯船の中で躰をよじる様を満足気に見やり

  『ほほう、だいぶ仕上がって来たようじゃのう』

  と太腿を揉み回して呻き声を上げ続けさせる狐爺、、、、

  

  

  [newpage]

  握られた三節棍の両端から刃が飛び出し、青龍の蒼雷を包む闘気の質が変わる

  

  『我の全てを掛けて、汝を屠る!』

  

  自らに誓う様に"故郷の言葉(西域語)"を眼前の白い巨象に叩きつけると

  左右の棍より鞭の如く振るわれた両端の刃が交互に襲いかかる

  

  『ム!』

  

  棍の切っ先が先程よりも速く鋭く襲いかかる、、、それ自体は決して対応出来ぬ物では無かったが....同時に叩きつけられた闘気が白象の戦士をたじろがせた

  触れただけで肌を切り裂くような激しい闘気に、、、

  違和感を感じ目線を下ろすと、自身の脇腹に薄っすらと血が滲むのが見え....

  

  『ッ!!』

  

  傷をつけられた事にでは無い

  自身の気後れが招いた確かな証(傷)に僅かに自尊心が揺らいだ、、、、

  

  そんな隙を元海賊、猪の源七郎は見逃さない

  地力の差は埋めようも無いが、踏んできた場数(死線)なら負けていない

  青龍へ意識が向く代わり疎かになった周囲への警戒の僅かな綻びへ

  躊躇なく飛び込み斬りつける

  

  「おらぁ!!」

  

  脇をすり抜けざまに手斧で斬りつけた傷は深くは無かったが

  

  「キサマ!」

  

  「おっと!!

  私の事忘れちゃいないだろうね!」

  

  身を転じて離脱する源七郎への追撃は同じ南蛮の女戦士、、、猪の八千代の薙刀を躱すことで中断される

  更には大熊の幻内の理性を忘れた獣の爪の如き刃も執拗に白象を狙ってくる

  

  追わされた手傷こそ圧倒的に多いものの、、

  今まで白象の圧倒的な闘気に支配されていた場に綻びが出始め、徐々に連携が取れる様に

  風向きが変わって来た、、、、

  

  

  

  そんな戦場を、、、幕府湾の外れの船荷の蔵の二階の窓より遠眼鏡で眺めるのは、、

  白髪の青龍、黒田宗左衛門が溜息を一つ

  

  先程、遠眼鏡で見た最初の光景が灰髪の青龍が倒れる物だったのには

  "しまった!"

  とひやりとしたものの、その後どうにか互角の流れに持ち込まれたのに安堵はしたが

  しかし拮抗した力のぶつかり合いともなれば、どの者が何時倒れてもおかしくない

  何よりあの灰髪の青龍は決して引かぬであろう、、、

  

  「あの方に死なれたりでもしたら困りますしねぇ、、、」

  

  思い出すのは七日前の『分家の石』の中での出来事

  あの時は"一時たりとも無駄に出来ない"と鏡の製作の為に急いで鍛冶橋に戻る灰髪の青龍を見送るしか無かったのだが、、、

  

  あの時、濁した事、蒼雷に告げなかった事

  かつて西域へ自身の故郷を訪ねた際に"親戚"の青龍より告げられたのは

  『里は滅び、もう誰も居ない』との言葉

  十年間の西域での滞在を経て東夷への帰国直前に告げられた為、その時は事の真偽を確かめぬまま帰国したのが、百二十年前の事

  

  果たしてそれが、蒼雷の記録が伝える過去の確執に巻き込まれる事を恐れてか

  それとも別の理由が有っての嘘か

  或いは、蒼雷が里を旅だった後に蒼龍の里が本当に滅んだのか、

  或いは、あの争いより逃れた『銀雲』だけで作った里が滅んだという事なのか、、、、

  

  再び獣人(けものびと)の中で生きる事を思い定めて東夷に帰郷した身なれば、自身の出自に関わる事を敢えて避けて来たのだが、この様な形で再び目の前に現れると、、

  かつて捨てた"長命の者達に囲まれて残りの生を過ごしたい"という望みとは別に、

  只、純粋に"自身の出自を知りたい"という思いが募ってくる

  

  蒼龍の里の位置は記録にて既に把握しているが、里長(蒼雷)が同行してくれた方が里の者に対して色々と便宜を図って貰えるであろう事は言わずもがな、、、

  もしも先日聞いた以外の事情により自身の出自、、、『銀雲』に関する事が隠されているのだとしたら尚の事、込み入った話を聞く必要がある

  その為には、、、、

  

  「戦士の覚悟なんて"無縁"でしたがね、、、」

  

  茶の羽織を脱ぎ、長着と襦袢の袖と裾をまくり上げて腰紐でたすき掛けにした姿は青龍の膨よかな躰付きも手伝って、戦装束と言うよりもまるで大掃除にでも行くような些か可笑しみのある風体であったが、

  右手に握る柄までも金属で造られた身の丈程の長さの錫杖が厳かな雰囲気を醸し出す

  その鈍い輝きは、白虎の少年が新たに振るう刀身の輝きにも似て、、、

  

  「さて、、、精々足手まといにならない様にしませんと」

  

  己の中で一番"使える"と自認する棍術と親戚筋を頼って借り受けた曰くつきのこの錫杖

  そして懐の"石"を頼りに戦場へ赴こうと蔵の階段へ向かおうとしたその刹那

  

  「意外だのう

  お主はこういう時は傍観を決め込むものと思っておったのだが、、、」

  西域訛りの東夷語が投げかけられた方角に素早く目線を移せば、二丈先の蔵の壁際に立つ大柄な白龍の姿が目に入る、、、白天龍....湾内に停泊中の商船『白龍』の主、、

  「何時から其処へ居られたのです?」

  内心の動揺を隠し、敢えてゆっくりと向き直る間に周囲に見落としが無かったかを伺う

  間合いに入られていないとはいえ、此方に気付かれる事無くここ迄近づかれた時点で既に何かの術を掛けられているのか、それとももう術中に落ちたのか、、

  "この商人のいつものお遊びにしては少し手が込んでいる"......別人が化けている事も考慮し更に近づかれる前にこの場を脱しようと、階段へと跳躍する為に密かに両脚に力を入れた刹那

  「逃さぬぞ」

  不意に背面より両肩を然と掴まれ、、、なまじ脚に力を入れていた為、反応が遅れそのまま

  くるりと振り向かされれば其処に居たのは向こうから近づいていた筈の白龍が、、

  声を上げる間も無く抱きすくめられ唇をぴたりと合わせられ、舌と共に甘い香りの液体が流れ込んで来る

  

  「ふふ、、こういうのも乙であろう」

  青龍の口中を余すこと無く舌で蹂躙し終えた白龍がニィと口端を上げ覗きこんでくるのに

  「、、、お戯れが過ぎますぞ、、」

  唇が離れた後も然とその身を抱えて離さぬ白い腕から逃れようとするも、、

  野獣の如き腕の力で肘ごと抱えられ充分な力が出せぬ姿勢のまま、、、更には先程口移しで注がれた薬の所為か徐々に躰が上気して力を入れるのが難しくなり

  焦りを募らせる青龍がふと背後から近づく気配を感じて頭を巡らせれば、

  先程からゆっくりと近づいて来た赤い漢服の老白龍の"写身(うつしみ)"が徐々に消え、、

  代わりにゆったりとした白い漢服を身にまとった低い背丈の膨よかな狐の老人が身の丈の半分程の長い顎髭を撫でつつ微笑みを浮かべて見上げているのが目に入る

  「これでお会いするのは二度目となりましょうか、、、

  儂は『白龍』にて船医を務めております『黄琪翔』と申す者、、以後お見知り置きを....

  本日はお話したき事があり、お迎えに上がった次第

  しかし、どうやらお急ぎの御様子、、、此処は一つ、その中でお話など如何でしょう?」

  と指を指すのは懐に入れた『分家の石』の長着の膨らみ....

  

  色々な意味で"術中に落ちた"事を悟った青龍が早々に白旗を上げ、溜息一つ

  「....判りました、、では石の中で......

  所でその、、此方の方はどうにかなるのでしょうか?」

  と目線を下ろした先は、、、先程の媚薬に口吻と抱擁による摺合せで見事に膨らんだ自身の股間、、、

  「精を鎮める薬は持っておるが、、さて儂は商人故....只でという訳には行かぬなぁ、、」

  眼前の白龍が舌なめずりするのを力ない笑みで返すのがやっとの青龍が

  「では、、その事につきましても中で話し合うという事で、、、」

  

  ・

  ・

  ・

  

  胡座をかき車座になって片手を石に触れていた青龍、白龍、狐の三名が驚嘆の眼差しで互いを見やる、、、漸くに口を開いた青龍が

  「孝之助より仙術の探求のお話は伺っておりましたが、、まさかその様な形でなされてい

  るとは思いもよりませんでした、、、」

  その呟きを聞いた狐が申し訳無さそうに

  「我らはこの事に関して少し神経質になっていたのかも知れぬ

  これ迄、我らに近づいて来る者達は腹に一物も二物も抱えた者ばかりで、、、」

  自身ではごく偶に覗き見るだけだった石の中を、青龍の手ほどきでより深い所まで巡った老狐が、その中に記された"親戚"達の知識に対する余りにも開けっ広げな姿勢に、必要だったとはいえ自分達の秘密主義に些か恥じ入るのを、すっくと立った白龍が

  「さりとて、我らが周到に事を進めねばならぬ事に些かも変わりはありませぬ、師兄

  儂は一足先に商談相手(蒼雷)の加勢に向かいます故、

  その者をお願い致します」

  とそのまま身を翻して蔵の二階の窓から飛び出していく背中を見送った青龍が、傍らに立つ老狐が口元にあてがった筒の中身がゆっくりと口中に注がれるのを静かに飲み干して嘆息し

  「多少は腕に覚えがあるつもりでしたが......こうも簡単に捕らえられるとは、、、

  なんとも、、」

  と頭を振るその様に、傍らに座して

  「いやいや、、そう気を落とす事は、、

  儂等がそなたを捕らえる事が出来たのは、事前にこの場に入念な仕掛けを施していた

  からこそ、、

  そうでなくてはこうも上手くは....」

  と労うのを、、背後には壁しか無かった筈の場所から現れた白龍の姿を思い出した青龍の

  「しかし、、私をこの場所へまんまとおびき寄せる事が出来たのも、何か仙術を使った

  からなのでしょう?」

  との言葉を聞いた老狐が下を向き、くっくと堪え切れず笑いを漏らすのを訝しげに

  「あの、、、?」

  顔を上げた老狐が微笑んで

  「いや失敬、、、仙術と言うのが何とも可笑しく聞こえてな....

  実を言えば、儂等はそなたが此処に来るであろう事をさる方から聞かされ

  その言葉に従い、この場に術式を掛け身を潜めていた次第、

  他には何もしておらぬよ」

  と返すのに、、

  「さる方とは、、?」

  「妙齢と言うには些か歳が上じゃが、美しい女性と聞き及んでるな

  何でも、、対価さえ支払えば知りたい事を何でも教えてくれる巫女とか、、、

  天(白天龍)の奴からは"かすてら工房の創業"の覚書で手を打ったと聞いておる」

  呆気に取られた青龍の顔を面白そうに眺める老狐へ、、、

  「まさか"かすてら"で身請けされてしまうとは、、げに恐ろしきはその商才ですか」

  漸くに口を開いた青龍が自身でも可笑しそうに笑うのに

  「まったく、、あやつは仙人の前に商人が故、、」

  鎮静剤の効果が効く頃合いを見計らい、青龍が立ち上がるのに手を貸す老狐が

  つられて呆れ笑いで答えるその頃、、、

  

  

  僅かにでもその場から逃れようと逃げ惑う民の中を、疾風の如く赤い漢服をたなびかせた巨躯の白龍が突き進む

  "見え過ぎる"からと普段は瞑ったままの右眼を見開き、人の仔細な動きを見透かし僅かに開く隙間を縫う様にすり抜け、或いは目線が合った者には自ら避ける様に"暗示"を飛ばし、僅かな歩の緩めも無く民の流れを抜け出せば、、、

  

  向かうその先に件の青龍(蒼雷)の姿を認め

  ...おお、この者もなかなか良い躰付きをしておる

  と更に、先日逃した南蛮の白象、床上での哭き声が愛らしい大熊も見つけ

  ...誰か一人など決められぬわ、、、

  とニィと口端を上げ、、、、渾身の一踏みでその巨躯を宙に踊らせ戦場へ飛び込んでいく

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