PR
【38】イケメンはイケてるメンだからイケメン・・真理ぃ・・。
「あ゛~・・お腹いっぱい・・そして部屋で服を着たまま風呂るという謎過ぎる体験・・マジやば・・」
「し、仕方ないだろう?!アヤがどうしても入りたいと言うから、私はっ!」
顔を赤くしてぐっと言葉を詰まらせる青年に、頼子は慌てて言い繕った。
「あ。いやいや。今のは単なる感想であって、責めてるんじゃないってば。助かったよ。ありがとね」
「スッキリしました」と礼を述べると青年も短く「そうか、良かったな」と少しぶっきらぼうに答えて、ふいと視線を逸らした。
まだ気持ちに折り合いをつけられていないその様子に、頼子も『はしゃぎ過ぎちゃったな』と反省しつつ「ごめんて」と謝る。
いや、だって生理現象を解消すると、今度は自分の汗の匂いや髪のべとべと具合が気になってですね・・
「お風呂に入って来る」と言うと勿論「大人しくしておけ」と注意されました。はい。
でもさぁ・・顔だけすっきりって落ち着かないやん?
どう了承をもらおうかと考えたけど、そこでぴーん!と来たね!
一人で入るのが許可されないなら、アド君に魔法で洗って貰えば良いんじゃない?ってね!!
友達を三助扱いするのはどうかと思ったけど「頼む!君だけが頼りだ!」のノリでお願いしたら渋々承諾されました。
・・・魔法を体験したかった訳ではっ!訳では!・・・あるけどね!
そしてお風呂場からボディーソープなんかの石鹸類を持ってきて、鏡の前で服着たまま丸洗い。
んで、髪から体から濯いで流して適度に水分飛ばしてもらって終了。
汚れた水はお風呂場にポイ。
・・普通にシャワー浴びるより楽だし快適でしたわ。
全自動魔法風呂・・癖になるかも。
「あと、ご飯もありがとね。ほんのり甘くて凄い美味しかった!」
「そうか。スープにパンをふやかした物だが、口に合ったようで何よりだ」
「胃に優しそうだよね。お気遣い感謝です」
「・・回復薬を飲んだとはいえ、あれだけの怪我だったからな・・それで、この後はどうする?」
「寝るのなら寝具へ下ろすが・・」と言われたものの、首を振ってその気遣いをやんわり断る。
回復薬のお蔭か、全く眠くないので。
寧ろちょい興奮気味?
てか刺されただけでも吃驚なのに、いつの間にか回復薬使われたとか!
んごごごご!貴重な体験だったのに意識無かったとか勿体ないっ!!
ま、置いといて。
「今は眠くないから大丈夫。それより、アド君に時間とかの余裕があるなら・・もうちょっとこうして話してたい、かな?」
青年の様子を窺いながら、素直に自分の希望を口にした。
だが直後に相手が徹夜していた事を思い出し、慌てて「あ、やっぱごめん。今の無し!」
と先の発言を撤回する。
「ん?何故だ?話すくらい構わんぞ?」
「や・・アド君寝てなかったの、ちょい失念してた・・ごめんね?大人しく横になってるから、アド君もゆっくり体を休めてください」
横向きの態勢のまま、ぺこりと頭を下げる。
・・言い訳にしかならないが、友達と認めてもらえて浮かれていたのだ。
それでも相手を気遣えないとか、友達以前の問題だわ。私のあほ。
『大怪我したからって甘え過ぎ!』と猛省し、先程までとは打って変わって大人しくなった頼子。
しゅんと気落ちしたその様子に青年は苦笑し、目を細めて言った。
「・・怪我人の癖に、気を遣い過ぎだ」
「いやぁ・・こっちは寝て食べて割と元気なのに、一緒に居る友達が睡眠不足とか・・普通に気ぃ遣うでしょ」
「だとしても、私には不要だ。2、3日寝なくても問題ないくらいには鍛えてるんでな」
「だから今は甘えておけ」と微笑む青年。
言葉の後に、にゅっと伸びた水の触手で手の甲をぽんぽんと軽く叩かれる。
・・・何その格好良いムーブ・・
これだからイケメンは・・イケメンはっ!!
何故だか急に照れ臭くなってしまって、頼子は「倒れても知らないからね」と唇を尖らせた。
ははっ!と小さく笑った青年は「信じろ。友人だろ?」と何処か嬉しそうに言い、一方の頼子はどこぞのスナギツネのように目を細めてそれに応じる。
「ふっ。わかった。もう少しだけ話したら私も休む。だから、機嫌を直してくれ」
「・・・了解でぇす」
不承不承を前面に押し出した返答に、青年は再度苦笑すると一転、背筋を伸ばし真摯な態度で「約束する」と誓った。
・・そんな真面目な顔して言われたら、こちらが悪い事してるみたいじゃないか。
『これじゃ、どっちが年上だか分かんないね』
何か、言い負かされた気がしないでもないが、何時までも拗ねている訳にもいかないか。
なので真面目くさった顔をして「それなら宜しい」と頷いてみせた。
頼子の態度に笑みを浮かべた青年だったが、何かを思い出したらしく「そうだ」と話しを切り出す。
「一つ確認したい事があったのだが」
「ん?」
「アヤは、刺して来た者をどうしたい?」
「へ?」
どう?とは?
きょとんとする頼子に、青年は真剣な様子で続ける。
「そちらの法で裁くというのなら協力は惜しまない。凶器もこちらで保管してある・・罪を犯した者は、然るべき罰を受ける。それが道理だ」
「え、え~と?・・」
「それとも直接報いを与えるか?それなら腕の良い呪詛師を紹介するぞ?」
「うぇっ?!」
素っ頓狂な声を上げた頼子に、青年は「どうする?」と普段と変わらぬ調子で訊ねた。
「ちょっ、ま。待って待って、ごめん、少し考えさせて!!」
「分かった。」
回答を保留して、暫し思考の海を泳ぐ。
・・確かに、ストーカーのあんニャロめには一発ボコッと行きたいとこだが・・
実際問題、通報したとしてどう警察に説明するよ。
刺されましたー。
傷?
治りましたー。
血痕?
キレイにしましたー。
でもほら!証拠としてここにナイフと穴の開いた服(洗浄済み)が!!
・・・いやいや、そんなん。いたずらと判断されてこっちが怒られるわ!!
てか下手したら捕まるわ!
うん!これは無理だね!
知ってた!
「・・・・・こっちの法で裁くにはちょーっと状況的に無理かな・・」
「何?そうなのか?」
「まぁね」
詳しく説明すると青年が良かれと思ってしてくれた事が裏目になったと知り、気に病むかも知れないと思い頼子は説明を省いた。
「それなら呪詛・・」
「や、それも要らないから」
「?何故だ?」
「何故って・・」
そんなの・・・面倒だからに決まっている。
刺されて痛かったし、実際友人が間に合わなければ死んでいただろう。
・・・でも、運良く今はこうして生きている。
ここからヤり返すとして、それで自分はスッキリするのか?
大した怒りも、復讐心も無いのに、伝手があるから・・
その権利があるからと、相手を呪うのか。
・・・・そんな価値。無いだろう。
[[rb:相手 > ストーカー]]には。そしてたぶん、私にも。
「うん。面倒くさいから別にいいや」
「・・・納得できん」
「説明しろ」と、珍しく命令口調の青年は不機嫌を通り越し、怒ったように言った。
「えぇ・・ん~。そだなぁ・・自分の意思が絡んで、それで他人を傷つけたり、死なせたりしたら・・後で後悔や、自己嫌悪に陥ったりして、絶対に悩む。と思うのね?今は平気でもさ。んで、後々そんな事に時間を割くのは嫌だし、私は自分の心にそんなしこりを作りたくない。だから「面倒」なの」
「・・だから放って置けと?なら、アヤの関知せぬ場合は」
「いやいや、それ絶対アド君が何かする気なのバレバレですやん。私関知しちゃってるじゃん」
「・・・・だが、また襲われたらどうするつもりだ?」
「あ、それは御免被る。絶対嫌です。のーせんきゅー!!」
「すっごい痛かったんだから!!」と眉根を寄せ、顔の前でパタパタと手を振る頼子に青年は顔を顰めて言った。
「ならどうしろと言うのだ?言っておくが、私はアヤを傷つけたヤツを許すつもりは無い。殺すなと言うのなら、せめて死なぬ程度に痛めつけねば溜飲が下がらん」
「おぅ・・過激ぃ・・」
「ならアヤはどうなのだ?私が同じような目にあった「は?そんなん[[rb:即殺 > そっころ]]ですが?」・・・」
キレ気味で言葉に割り込んで来た頼子に「なら分かるだろう・・」と青年は呆れて笑った。
「私も同じ気持ちだ。アヤを、友を傷つけられて[[rb:腸 > はらわた]]が煮えくり返っている・・ちょっとした報復くらい大目に見ようと思わんか?」
「・・・まぁ、それは・・・・確かに一理あるか、な?」
「では決まりだな。アヤに二度と近づけないよう、こちらで手を打たせてもらおう」
青年は大変良い笑顔(黒)でそう言って、胸の前で組んでいた腕を漸く解いた。
まぁ実のところ、今後ストーカーが近寄らなくなるのなら助かるし、ヤツの自業自得ではあるので「本当に死なせちゃ駄目だからね?」とだけ再度念を押して、対応は青年にお任せすることにした。
・・生きてさえいれば、後はなんとかしてくでしょ。
と、そんな訳でヤツは異世界の青年に目を付けられ、呪われる事になりました。とさ。
「悪い事はするもんじゃない」って、昔から言うのに。ねぇ~?
呪詛とか呪いとか・・おぉ。怖い怖い。
PR